JP2001316782A - 非晶質軟磁性合金 - Google Patents

非晶質軟磁性合金

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JP2001316782A JP2000289491A JP2000289491A JP2001316782A JP 2001316782 A JP2001316782 A JP 2001316782A JP 2000289491 A JP2000289491 A JP 2000289491A JP 2000289491 A JP2000289491 A JP 2000289491A JP 2001316782 A JP2001316782 A JP 2001316782A
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英貴 剱物
Horyu Chin
宝龍 沈
Hisato Koshiba
寿人 小柴
Takao Mizushima
隆夫 水嶋
Kazusato Igarashi
一聡 五十嵐
Hiroaki Fukumura
弘明 福村
Akihisa Inoue
明久 井上
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    • H01F1/01Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials
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    • H01F1/12Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of soft-magnetic materials
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた軟磁気特性を示し、特に飽和磁化が従
来のものよりも高く、更に磁気特性の熱的安定性に優れ
た非晶質軟磁性合金を提供する。 【解決手段】 ΔTx=Tx−Tg(ただしTxは結晶化開
始温度、Tgはガラス遷移温度を示す。)の式で表され
る過冷却液体の温度間隔ΔTxが20K以上であって、
Feと、Gaと、P、C、Si、Bのうちの1種以上の
元素Qを少なくとも具備してなり、非晶質相を主相とす
ることを特徴とする非晶質軟磁性合金を採用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非晶質軟磁性合金
に関するものであり、特に、過冷却液体の温度間隔を有
し、従来よりも飽和磁化が高く熱的安定性に優れた非晶
質軟磁性合金に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から多元素合金のある種のものは、
合金溶湯を急冷することにより非晶質相を形成し、これ
らは非晶質合金を形成するものとして知られている。ま
た、この種の非晶質軟磁性合金のうち、特定の合金組成
のものは、結晶化の前の過冷却液体の状態においてある
広い温度領域を有し、これらはいわゆる金属ガラス合金
(glassy alloy)を構成するものとして知られている。
【0003】また非晶質合金には軟磁気特性を示すもの
があるが、特に金属ガラス合金は優れた軟磁気特性を示
すとともに、液体急冷法で製造した非晶質合金の薄帯に
比べてはるかに厚いバルク状の合金を形成できることも
知られている。このような金属ガラス合金としては、例
えば従来、TM-Al-Ga-P-C-B-Si系等(TMは
Fe、Co、Ni等の遷移金属元素)の組成であって過
冷却液体の温度間隔を有するものが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来知られて
いる金属ガラス合金については、飽和磁化において満足
する特性が得られていないため、各種の磁気素子等に適
用する場合に大きな制約があった。そこで従来から、高
い飽和磁化を有する金属ガラス合金あるいは非晶質軟磁
性合金の研究開発が進められていた。
【0005】本発明は上記事情に鑑みてなされたもので
あって、優れた軟磁気特性を示し、特に飽和磁化が従来
のものよりも高く、更に磁気特性の熱的安定性に優れた
非晶質軟磁性合金を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明は以下の構成を採用した。本発明の非晶質
軟磁性合金は、Feと、Gaと、P、C、Si、Bのう
ちの1種以上の元素Qとを具備してなり、非晶質相を主
相とする組織からなることを特徴とする。
【0007】係る非晶質軟磁性合金によれば、磁性を示
すFeと、非晶質形成能を有する元素Qを具備している
ので、非晶質相を主相とするとともに軟磁気特性を示す
非晶質軟磁性合金を構成することが可能となり、またG
aは同時にキュリー温度を高める作用があるので、各種
磁気特性の熱的安定性が高い非晶質軟磁性合金を構成す
ることが可能になる。
【0008】また、本発明の非晶質軟磁性合金は、先に
記載の非晶質軟磁性合金であり、下記の組成式で表され
ることを特徴とするものである。 (Fe1-aa100-x-yGaxy ただし、TはCo、Niのいずれか一方または両方であ
り、QはP、C、Si、Bのうちの1種以上の元素であ
り、組成比を示すa、x、yは、0≦a≦0.15、x
≦20原子%、y≦50原子%である。
【0009】また、前記組成比を示すa、x、yは、0
≦a≦0.15、x≦20原子%、5原子%≦y≦50
原子%の範囲であることがより好ましい。更に、前記組
成比を示すa、x、yは、0≦a≦0.15、0.5原
子%≦x≦15原子%、7原子%≦y≦35原子%の範
囲であることが更に好ましい。
【0010】かかる非晶質軟磁性合金によれば、Feと
元素TとGaと元素Qが上記の組成範囲であるので、優
れた軟磁気特性と各種磁気特性の熱的安定性を発現する
ことが可能になる。
【0011】次に、本発明の非晶質軟磁性合金は、ΔT
x=Tx−Tg(ただしTxは結晶化開始温度、Tgはガラ
ス遷移温度を示す。)の式で表される過冷却液体の温度
間隔ΔTxが20K以上であって、Feと、Gaと、
P、C、Si、Bのうちの1種以上の元素Qとを具備し
てなり、非晶質相を主相とする組織からなることを特徴
とする。
【0012】係る非晶質軟磁性合金は、20K以上の過
冷却液体の温度間隔ΔTxを有する金属ガラス合金であ
るので、溶湯を冷却して非晶質相を形成させる際に、比
較的遅い冷却速度でも非晶質相を形成させることがで
き、薄帯よりも肉厚なバルク状の合金とすることが可能
になる。また、磁性を示すFeと、非晶質形成能を有す
る元素Qを具備してなるので、非晶質相を主相とすると
ともに、Gaを具備してなることから、非晶質構造の熱
的安定性を高めることができる。また、FeとGaと元
素Qとを具備してなるので、軟磁気特性を示す非晶質軟
磁性合金を容易に構成することが可能となり、またGa
はキュリー温度を高める作用があるので、各種磁気特性
の熱的安定性が高い非晶質軟磁性合金を構成することが
可能になる。
【0013】また本発明の非晶質軟磁性合金は、先に記
載の非晶質軟磁性合金であって、下記の組成式で表され
ることを特徴とする。 (Fe1-aa100-x-yGaxy ただし、TはCo、Niのいずれか一方または両方であ
り、QはP、C、Si、Bのうちの1種以上の元素であ
り、組成比を示すa、x、yは、0≦a≦0.15、x
≦20原子%、y≦50原子%である。
【0014】また、本発明の非晶質軟磁性合金は、先に
記載の非晶質軟磁性合金であって、下記の組成式で表さ
れることを特徴とする。 (Fe1-aa100-x-v-z-wGax(P1-bSibvz
w ただしTはCo、Niのいずれか一方または両方であ
り、組成比を示すa、b、x、v、z、wは、0≦a≦
0.15、0<b≦0.8、x≦20原子%、v≦22
原子%、0原子%≦z≦10原子%、1原子%≦w≦2
0原子%である。
【0015】前記組成比を示すa、b、x、v、z、w
は、0≦a≦0.15、0.1≦b≦0.35、0.5
原子%≦x≦15原子%、7原子%≦v≦20原子%、
0原子%≦z≦9.5原子%、2原子%≦w≦14原子
%であることであることがより好ましい。また、前記組
成比を示すa、b、x、v、z、wは、0≦a≦0.
1、0.1≦b≦0.28、0.5原子%≦x≦15原
子%、10原子%≦v≦15.5原子%、0.5原子%
≦z≦6原子%、4原子%≦w≦11原子%であること
が更に好ましい。
【0016】かかる非晶質軟磁性合金によれば、Feと
元素TとGaと元素Qが上記の組成範囲であるので、優
れた軟磁気特性と各種磁気特性の熱的安定性を発現する
ことが可能になる。
【0017】また、本発明の非晶質軟磁性合金は、先に
記載の非晶質軟磁性合金であって、下記の組成式で表さ
れることを特徴とする。 (Fe1-aa100-x-v-z-wGaxvzw ただしTはCo、Niのいずれか一方または両方であ
り、組成比を示すa、x、v、z、wは、0≦a≦0.
15、x≦20原子%、v≦22原子%、0原子%≦z
≦10原子%、1原子%≦w≦20原子%である。
【0018】前記組成比を示すa、x、v、z、wは、
0≦a≦0.15、0.5原子%≦x≦15原子%、7
原子%≦v≦20原子%、0原子%≦z≦9.5原子
%、2原子%≦w≦14原子%であることがより好まし
い。また、前記組成比を示すa、x、v、z、wは、0
≦a≦0.1、0.5原子%≦x≦15原子%、10原
子%≦v≦15.5原子%、0.5原子%≦z≦6原子
%、4原子%≦w≦11原子%であることが更に好まし
い。
【0019】上記組成の非晶質軟磁性合金は、元素Qの
うちSiを除いたものであるが、この組成であっても優
れた軟磁気特性と各種磁気特性の熱的安定性を発現する
ことが可能になる。
【0020】また、本発明の非晶質軟磁性合金は、先に
記載の非晶質軟磁性合金であって、下記の組成式で表さ
れることを特徴とする。 Fe75-tCotGax(P1-bSibvzw ただし、組成比を示すb、t、x、v、z、wは、0<
b≦0.8、0原子%≦t≦17.5原子%、x≦20
原子%、v≦22原子%、0原子%≦z≦10原子%、
1原子%≦w≦20原子%である。
【0021】前記組成比を示すb、t、x、v、z、w
は、0.1≦b≦0.35、5原子%≦t≦17.5原
子%、0.5原子%≦x≦15原子%、7原子%≦v≦
20原子%、0原子%≦z≦9.5原子%、2原子%≦
w≦14原子%であることがより好ましい。また、前記
組成比を示すb、t、x、v、z、wは、0.1≦b≦
0.28、7.5原子%≦t≦12.5原子%、0.5
原子%≦x≦15原子%、10原子%≦v≦15.5原
子%、0.5原子%≦z≦6原子%、4原子%≦w≦1
1原子%であることが更に好ましい。
【0022】かかる非晶質軟磁性合金によれば、磁性を
担う元素であるFeとCoの合計量を75原子%なの
で、軟磁気特性をより向上させることが可能になる。ま
た、Coの組成比を上記の範囲にすることにより、合金
の非晶質形成能がより向上するので、比較的大型のバル
ク体や、従来にはない大きな厚さの厚板材を得ることが
可能になる。
【0023】また、本発明の非晶質軟磁性合金は、先に
記載の非晶質軟磁性合金であって、下記の組成式で表さ
れることを特徴とする。 Fe75ーtCotGaxvzw ただし、組成比を示すt、x、v、z、wは、0原子%
≦t≦17.5原子%、x≦20原子%、v≦22原子
%、0原子%≦z≦10原子%、1原子%≦w≦20原
子%である。
【0024】前記組成比を示すt、x、v、z、wは、
5原子%≦t≦17.5原子%、0.5原子%≦x≦1
5原子%、7原子%≦v≦20原子%、0原子%≦z≦
9.5原子%、2原子%≦w≦14原子%であることが
より好ましい。また、前記組成比を示すt、x、v、
z、wは、7.5原子%≦t≦12.5原子%、0.5
原子%≦x≦15原子%、10原子%≦v≦15.5原
子%、0.5原子%≦z≦6原子%、4原子%≦w≦1
1原子%であることが更に好ましい。
【0025】かかる非晶質軟磁性合金によれば、磁性を
担う元素であるFeとCoの合計量を75原子%なの
で、軟磁気特性をより向上させることが可能になる。ま
た、Coの組成比を上記の範囲にすることにより、合金
の非晶質形成能がより向上するので、比較的大型のバル
ク体や、従来にはない大きな厚さの厚板材を得ることが
可能になる。なお、上記組成の非晶質軟磁性合金は、元
素QのうちSiを除いたものであるが、この組成であっ
ても優れた軟磁気特性と各種磁気特性の熱的安定性を発
現することが可能になる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。本発明の非晶質軟磁性合金は、F
eと、Gaと、P、C、Si、Bのうちの1種以上の元
素Qとを具備してなり、非晶質相を主相とする組織から
なるものである。また本発明の非晶質軟磁性合金は、Δ
Tx=Tx−Tg(ただしTxは結晶化開始温度、Tgはガ
ラス遷移温度を示す。)の式で表される過冷却液体の温
度間隔ΔTxが20K以上であって、Feと、Gaと、
前記の元素Qを具備してなり、非晶質相を主相とする組
織からなるものである。
【0027】本発明の非晶質軟磁性合金は、磁性を示す
Feと、Gaと、Gaと同様に非晶質形成能を有する元
素Qを具備しているので、非晶質相を主相とするととも
に優れた軟磁気特性を示すものである。またこの非晶質
軟磁性合金の中には、20K以上の過冷却液体の温度間
隔ΔTxを示すものがあり、これはいわゆる金属ガラス
合金とよばれるもので、組成によってはΔTxが40K
以上、さらには50K以上という顕著な温度間隔を有
し、これまでの知見から知られる他の合金からは全く予
期されないものであり、軟磁性についても室温で優れた
特性を有しており、これまでの知見に見られない全く新
規なものである。
【0028】本発明の非晶質軟磁性合金は、非晶質相を
主相とする組織からなるので、保磁力が小さくなって優
れた軟磁気特性を示す。また本発明の非晶質軟磁性合金
は、過冷却液体の温度間隔ΔTxが大きいために、溶融
状態から冷却するとき、結晶化開始温度Txの低温側に
広い過冷却液体領域を有し、結晶化することなく温度の
低下に伴ってこの過冷却液体領域の温度間隔ΔTxを経
過したときに、ガラス遷移温度Tgに至って非晶質相を
容易に形成する。従って、冷却速度が比較的遅くても充
分に非晶質相を形成することが可能であり、例えば鋳造
法や射出成形法によって非晶質相組織を主体として形状
が比較的大きなバルク状の成形体を得ることができ、遥
かに実用性に優れたものとなる。更に本発明の非晶質軟
磁性合金は、従来のFe−Si−B系の非晶質軟磁性合
金に比べて大きなキュリー温度を示し、優れた熱的安定
性を有するものである。
【0029】上記の非晶質軟磁性合金の一例として、F
eを主成分とし、Gaと元素Qとを含有したものを挙げ
ることができる。元素Qとしては、P、B、C、Siの
うちの1種以上の元素が用いられるが、この元素QはS
iを除いたP、B、Cのうちの少なくとも1種以上の元
素であっても良い。
【0030】本発明の非晶質軟磁性合金は、例えば次の
組成式で表すことができる。 (Fe1-aa100-x-yGaxy ただし、TはCo、Niのいずれか一方または両方であ
り、QはP、C、Si、Bのうちの1種以上の元素であ
り、組成比を示すa、x、yは、0≦a≦0.15、x
≦20原子%、y≦50原子%である。
【0031】また、本発明の非晶質軟磁性合金は、以下
の組成式で表すこともできる。 (Fe1-aa100-x-v-z-wGax(P1-bSibvz
w ただしTはCo、Niのいずれか一方または両方であ
り、組成比を示すa、b、x、v、z、wは、0≦a≦
0.15、0<b≦0.8、x≦20原子%、v≦22
原子%、0原子%≦z≦10原子%、1原子%≦w≦2
0原子%である。
【0032】前記組成比を示すa、b、x、v、z、w
は、0≦a≦0.15、0.1≦b≦0.35、0.5
原子%≦x≦15原子%、7原子%≦v≦20原子%、
0原子%≦z≦9.5原子%、2原子%≦w≦14原子
%であることがより好ましく、0≦a≦0.1、0.1
≦b≦0.28、0.5原子%≦x≦15原子%、10
原子%≦v≦15.5原子%、0.5原子%≦z≦6原
子%、4原子%≦w≦11原子%であることが更に好ま
しい。
【0033】また、本発明の非晶質軟磁性合金は、以下
の組成式で表すこともできる。 (Fe1-aa100-x-v-z-wGaxvzw ただしTはCo、Niのいずれか一方または両方であ
り、組成比を示すa、x、v、z、wは、0≦a≦0.
15、x≦20原子%、v≦22原子%、0原子%≦z
≦10原子%、1原子%≦w≦20原子%である。
【0034】前記組成比を示すa、x、v、z、wは、
0≦a≦0.15、0.5原子%≦x≦15原子%、7
原子%≦v≦20原子%、0原子%≦z≦9.5原子
%、2原子%≦w≦14原子%であることがより好まし
く、0≦a≦0.1、0.5原子%≦x≦15原子%、
10原子%≦v≦15.5原子%、0.5原子%≦z≦
6原子%、4原子%≦w≦11原子%であることが更に
好ましい。
【0035】また、本発明の非晶質軟磁性合金は、以下
の組成式で表すこともできる。 Fe75-tCotGax(P1-bSibvzw ただし、組成比を示すb、t、x、v、z、wは、0<
b≦0.8、0原子%≦t≦17.5原子%、x≦20
原子%、v≦22原子%、0原子%≦z≦10原子%、
1原子%≦w≦20原子%である。
【0036】前記組成比を示すb、t、x、v、z、w
は、0.1≦b≦0.35、5原子%≦t≦17.5原
子%、0.5原子%≦x≦15原子%、7原子%≦v≦
20原子%、0原子%≦z≦9.5原子%、2原子%≦
w≦14原子%であることがより好ましく、0.1≦b
≦0.28、7.5原子%≦t≦12.5原子%、0.
5原子%≦x≦15原子%、10原子%≦v≦15.5
原子%、0.5原子%≦z≦6原子%、4原子%≦w≦
11原子%であることが更に好ましい。
【0037】また、本発明の非晶質軟磁性合金は、以下
の組成式で表すこともできる。 Fe75ーtCotGaxvzw ただし、組成比を示すt、x、v、z、wは、0原子%
≦t≦17.5原子%、x≦20原子%、v≦22原子
%、0原子%≦z≦10原子%、1原子%≦w≦20原
子%である。
【0038】前記組成比を示すt、x、v、z、wは、
5原子%≦t≦17.5原子%、0.5原子%≦x≦1
5原子%、7原子%≦v≦20原子%、0原子%≦z≦
9.5原子%、2原子%≦w≦14原子%であることが
より好ましく、7.5原子%≦t≦12.5原子%、
0.5原子%≦x≦15原子%、10原子%≦v≦1
5.5原子%、0.5原子%≦z≦6原子%、4原子%
≦w≦11原子%であることが更に好ましい。
【0039】従来から非晶質軟磁性合金の1種として、
Fe-Al-Ga-C-P-Si-B系の金属ガラス合金が知
られている。この従来の組成系の金属ガラス合金は、F
eに非晶質形成能を有するAl、Ga、C、P、Si及
びBを添加したものである。この従来の非晶質軟磁性合
金に対して本発明の非晶質軟磁性合金は、FeとGaと
元素Qとを含有したもので、従来の組成系からAlを除
去し、Fe量を増量させることなくこのAlの代わりに
Gaを増量させたものであり、従来においては必須元素
であると考えられてきたAlを除去しても非晶質相を形
成することが確認され、更には過冷却液体の温度間隔Δ
Txをも発現することが見出された。
【0040】Gaは、本発明の非晶質軟磁性合金に必須
の元素であり、特にGaの組成比xを20原子%以下と
することにより、非晶質軟磁性合金の過冷却液体の温度
間隔ΔTxを20K以上にすることができる。またGa
は、Feとの間での混合エンタルピーが負であり、Fe
よりも原子半径が大きく、更にFeよりも原子半径が小
さいP、B、Siとともに用いることにより、結晶化し
難く、非晶質構造の熱的に安定化した状態となる。更に
Gaは非晶質軟磁性合金のキュリー温度を高め、各種磁
気特性の熱安定性を向上させることができる。Gaの組
成比xは、20原子%以下であることが好ましく、0.
5原子%以上15原子%以下であることがより好まし
い。組成比xが20原子%を越えると、Fe量が相対的
に低下して飽和磁化が低下し、また過冷却液体の温度間
隔ΔTxが消失するので好ましくない。
【0041】Feは磁性を担う元素であって、Gaと同
様に本発明の非晶質軟磁性合金に必須の元素である。ま
た、Feの一部をCo、Niのいずれか一方または両方
の元素Tで置換しても良い。この場合、上記の組成式中
の組成比aで示すように、Feの組成比の20原子%以
下、より好ましくは15%以下の範囲でFeを元素Tに
置換することが好ましい。
【0042】また、Feの一部をCoで置換するととも
に、FeとCoの合計量を75原子%とし、更にCoの
量をFeの17.5原子%以下の範囲とすることがより
好ましい。Coは、Feとともに磁性を担う元素であっ
て合金の飽和磁化を向上させる。またCoには合金の非
晶質形成能を高める作用がある。この場合、Coの組成
比tを17.5原子%以下の範囲にすると、合金の融点
Tmが低下し、これにより非晶質形成能の程度を表す換
算ガラス化温度(Tg/Tm(Tgはガラス遷移温度、Tm
は融点(いずれも絶対温度)))が高くなって非晶質形
成能が向上する。従って、急冷速度が比較的に低速でも
組織全体を非晶質相とすることができ、従来では得られ
なかった大型のバルク体や、厚板材が得られる。
【0043】また、Coの組成比tは、5原子%以上1
7.5原子%以下の範囲とすることがより好ましく、
7.5原子%以上12.5原子%以下の範囲とすること
が更に好ましい。Coの組成比tを上記の範囲とするこ
とにより、合金の融点Tmをより低下させて非晶質形成
能を向上でき、飽和磁化も向上できる。
【0044】元素Qは非晶質形成能を有する元素であ
り、FeとGaに元素Qを添加して多元系とすることに
より、FeとGaのみの2元系の場合と異なり安定して
非晶質相が形成される。元素Qの組成比yは、50原子
%以下であることが好ましく、7原子%以上35原子%
以下であることがより好ましい。組成比yが50原子%
を越えると、Fe量が相対的に低下して飽和磁化が低下
するので好ましくない。
【0045】元素QのなかでもPは特に非晶質形成能が
高いので、このPを必ず含み、それ以外のB、C、Si
のうちのいずれか1種以上を含むようにすると、組織の
全体が非晶質相になるとともに過冷却液体の温度間隔Δ
Txが発現しやすくなる。またPとSiを同時に添加す
ると、過冷却液体の温度間隔ΔTxをより向上させて非
晶質単相となるバルクの大きさを増大できる。
【0046】PとSiを同時に添加する場合は、PとS
iの合計量を示す組成比vを20原子%以下とすること
が好ましく、8原子%以上19原子%以下とすることが
より好ましく、9.5原子%以上15.5原子%以下と
することが最も好ましい。PとSiの合計量を示す組成
比vが上記の範囲であれば、過冷却液体の温度間隔ΔT
xを向上させ、非晶質単相となるバルクの大きさを増大
できる。
【0047】PとSiを同時に添加した場合のSiとP
との比を表す組成比bは、組成比vが20原子%以下の
ときに0<b≦0.8とすることが好ましく、組成比v
が8原子%以上19原子%以下のときに0.1≦b≦
0.35とすることが好ましく、組成比vが9.5原子
%以上15.5原子%以下のときに0.1≦b≦0.2
8とすることが好ましい。組成比bが0.8を越えると
Siの量が過剰になり、過冷却液体領域ΔTxが消滅す
るおそれがあるので好ましくない。なお、このときの非
晶質軟磁性合金におけるSiの濃度を示すと、好ましい
場合に16原子%以下、より好ましい場合に0.8原子
%以上6.65原子%以下、最も好ましい場合に0.9
5原子%以上4.34原子%以下となる。
【0048】PとSiの組成比を示すb、vを上記の範
囲とすれば、過冷却液体の温度間隔ΔTxを向上させ、
非晶質単相となるバルクの大きさを増大させることがで
きる。
【0049】なおSiの組成比eを0としてもよい。即
ち、元素Qを、P、B、Cのうちのいずれか1種以上の
元素としてもよい。この場合のPの組成比vは、20原
子%以下とすることが好ましく、8原子%以上19原子
%以下とすることがより好ましく、9.5原子%以上1
5.5原子%以下とすることが最も好ましい。Pの組成
比vが上記の範囲であれば、過冷却液体の温度間隔ΔT
xを向上させ、非晶質単相となるバルクの大きさを増大
させることができる。
【0050】またCの組成比zは、0原子%以上10原
子%以下であることが好ましく、0原子%以上9原子%
以下であることがより好ましく、1原子%以上7原子%
以下であることが最も好ましい。更にBの組成比wは、
2原子%以上20原子%以下であることが好ましく、2
原子%以上10原子%以下であることがより好ましく、
4原子%以上10原子%以下であることが最も好まし
い。
【0051】また、上記の組成に、Geが4原子%以下
含有されていてもよく、Nb、Mo、Hf、Ta、W、
Zr及びCrのうち少なくとも1種以上が0〜7原子%
含有されていてもよい。これらのいずれの場合の組成に
おいても、本発明においては、過冷却液体の温度間隔Δ
Txは、35K以上、組成によっては50K以上が得ら
れる。また上記の組成で示される元素の他に不可避的不
純物が含まれていても良い。
【0052】本発明に係る非晶質軟磁性合金は、溶製し
てから鋳造法により、あるいは単ロールもしくは双ロー
ルによる急冷法によって、さらには液中紡糸法や溶液抽
出法によって、あるいは高圧ガス噴霧法によって、もし
くは射出成形法によって、バルク状、リボン状、線状
体、粉末等の種々の形状として製造される。特に、単ロ
ール法等の急冷法や、鋳造法あるいは射出成形法によっ
て、従来公知の非晶質軟磁性合金の場合に比べて10倍
以上の厚さと径の大きさの非晶質軟磁性合金を得ること
ができる。
【0053】これらの方法により得られた前記の組成の
非晶質軟磁性合金は、室温において磁性を有し、また熱
処理により、より良好な磁性を示す。このため優れたSo
ft magnetic特性(軟磁気特性)を有する材料として各
種の応用に有用なものとなる。なお、製造方法について
付言すると、合金の組成、そして製造のための手段と製
品の大きさ、形状等によって、好適な冷却速度が決まる
が、通常は1〜104K/s程度の範囲を目安とするこ
とができる。そして実際には、ガラス相(glassy phas
e)に結晶相としてのFe3B、Fe2B、Fe3P等の相
が析出するかどうかを確認することで決めることができ
る。
【0054】上記の非晶質軟磁性合金の製造方法の一例
として、成形金型を用いた射出成形法について説明す
る。この射出成形法は、上述の組成からなる金属ガラス
合金の溶湯を、溶湯ノズルから成形金型の円環状のキャ
ビティに射出し、キャビティ内で溶湯を冷却固化して円
環状の射出成形体を製造するというもので、溶湯をキャ
ビティの外周型面の接線方向から射出するというもので
ある。
【0055】図1及び図2に本発明に係る成形金型の一
例を示す。この成形金型21は、シート40を管状に丸
めてなる円管体41と上型25と下型26とからなる。
上型25が下型26の分割面29に接すると共に、上型
25の凸部27が下型26の切欠部28に嵌合して、上
型25と下型26の相対位置がずれないように固定さ
れ、円管体41が上型25を貫通する孔20に挿入され
ている。
【0056】下型26の分割面29のほぼ中央には凹部
22が設けられている。凹部22は浅い丸穴とされてい
る。また、分割面29には、スプルー23及び湯口24
が設けられている。スプルー23は、図1及び図2に示
すように、凹部22に連通すると共に、凹部22の周壁
面22aの接線方向に向けて延在している。また、凹部
22とスプルー23の深さはほぼ同一とされている。湯
口24はスプルー23と連通し、下型26の側壁面に開
口している。また、円管体41が孔20に挿入されて、
円管体41の先端41aが凹部22の底面22bのほぼ
中央に当接し、これにより円管体41の周面41bと凹
部22の周壁面22aが同心円を構成する関係となっ
て、図2に示す略円環状のキャビティAが形成される。
従って、凹部22の周壁面22aがキャビティAの外径
を決める外周型面を構成し、円管体41の周面41bが
キャビティAの内径を決める内周壁面を構成する関係と
なる。尚、外周型面(周壁面22a)が円環状の射出成
形体の外周面を成形し、内周型面(周面20b)が射出
成形体の内周面を成形する。
【0057】円管体41は図1に示すように、例えば略
矩形のシート40を管状に丸めたもので、シート40の
両端42、43が重なるように丸められてなるものであ
る。シート40は、丸められた状態で上型25の孔20
に挿入され、孔20の内面20aにより管状に支持され
て円管体41とされる。従ってこの円管体41は、シー
ト40の両端42、43を互いに接合させて固定するこ
となく管状に維持されるため、両端42、43が互いに
摺動自在とされており、円管体41の径が縮小自在とさ
れている。このようにして、キャビティAの内径が縮小
するように構成されている。
【0058】シート40は、金属ガラス合金の溶湯と反
応することがなく、溶湯の温度(1273〜1623
K)より融点が高く、かつ熱伝導率が高いものであれば
どのようなものでも良く、例えば、Cu(銅)、Al
(アルミニウム)、Au(金)、Ag(銀)、Pt(白
金)等からなる金属箔や、カーボンシート等であっても
良いが、特に銅箔からなることが好ましい。また、熱膨
張係数が金属ガラス合金と同等であれば、成形金型内に
流入する金属ガラス合金溶湯の熱により同じように膨
張、収縮するのでより好ましい。
【0059】また図2に示すように、キャビティAの周
壁面22a(外周型面)の一部が切り欠けられてスプル
ー23が連結されている。スプルー23は、その一方の
側面23aが凹部22の周壁面22a(外周型面)に接
続され、この接続部分における周壁面22aの接線方向
に向けて側面23aが延在している。また周壁面22a
は、スプルー23の他方の側面23bとも接続してお
り、この他方の側面23bは一方の側面23aと離間か
つ平行になるように形成されている。そしてこの他方の
側面23bの延長線(図示破線23c)が、円管体41
の周面41bの接線となるように構成されている。この
ようにしてスプルー23がキャビティAの接線方向に延
在している。なお、スプルー23の延在方向は、キャビ
ティAの接線方向に完全に一致させることが好ましい
が、接線方向から多少ずれた方向に延在していてもよ
い。
【0060】上述の成形金型21を用いて射出成形体を
製造するには、まず図1及び図2に示すように、上型2
5を下型26に嵌合し、上型25の孔20に円管体41
を挿入してキャビティAを形成した後、上記組成の非晶
質軟磁性合金の溶湯が充填された溶湯ノズル31を湯口
24当接させる。次に、図示しないガス供給源から不活
性ガスを供給して溶湯を溶湯ノズル31から射出する。
射出された溶湯は、湯口24及びスプルー23を通過し
てキャビティAに侵入する。スプルー23がキャビティ
Aの周壁面22aの接線方向に延在しているので、射出
された溶湯は、周壁面22aの接線方向からキャビティ
Aに侵入し、分流することなく図示矢印Z方向に向けて
移動してキャビティA内に充填される。
【0061】そして溶湯は、キャビティA内及びスプル
ー23内で冷却固化されて円環状に成形される。ここで
図2に示すように、溶湯の射出前における円管体41の
径はr1とされているが、溶湯が冷却固化された際に起
きる体積収縮によって、円管体41を構成するシート4
0の両端42、43が互いに摺動するか、あるいは円管
体41が中心方向に圧縮応力を受けて潰されながら変形
することにより、その径が縮小してr2(r1>r2)と
なる。このようにして図3に示すような、非晶質相を主
体とする射出成形前駆体51が形成される。
【0062】射出成形前駆体51は、キャビティAによ
り成形された円環状のキャビティ成形部52と、スプル
ー23により成形されたスプルー成形部53とからな
り、このスプルー成形部53を除去することにより、円
環状の非晶質軟磁性合金からなる射出成形体11が得ら
れる。
【0063】溶湯の酸化による溶湯ノズル31の溶湯詰
まりの発生を防止するためには、成形金型21への溶湯
の射出を低酸素濃度の雰囲気で行うことが好ましく、不
活性ガス雰囲気または真空雰囲気にて行うことがより好
ましい。また、溶湯の温度は、金属ガラス合金の融点を
Tmとしたときに、(Tm−100)K〜(Tm+30
0)Kの範囲とすることが好ましく、Tm K〜(Tm+
100)Kの範囲とすることがより好ましい。溶湯の温
度が(Tm−100)K未満であると溶湯射出口32で
溶湯が詰まるおそれがある上、液体状態の不安定な過冷
却液体状態で成形金型内に流入することにより結晶化す
るおそれがあり、また溶湯を(Tm+300)K以上に
してもそれに見合う効果が得られないからである。更
に、溶湯の射出圧力は、29〜490kPaであること
が好ましく、98〜294kPaであることがより好ま
しい。射出圧力が29kPa未満であるとキャビティA
全体に溶湯を充填することができなくなるので好ましく
なく、射出圧力が490kPaを越えると成形金型21
の上型25と下型26の接合部分から溶湯が漏出するお
それがあり、また射出成形体に応力が残留するおそれが
あって好ましくないためである。また金属ガラス合金の
融点Tmは、例えばFe70Ga711.613.276.24
1.88の組成の場合、1282Kである。
【0064】また、本発明の非晶質軟磁性合金はGaを
必ず含み、そのため非晶質形成能が高いので、双ロール
法により厚板材を製造することができる。特に、合金組
成を限定したものについては、双ロール法によって、よ
り非常に大きな厚さの厚板材を製造することができる。
例えば、上記のFe75-tCotGax(P1-bSibvz
wなる組成、あるいはFe75ーtCotGaxvzw
なる組成の合金は、非晶質形成能を向上させるCo及び
Gaを必ず含むので、双ロール法により従来にはない厚
さの厚板材を製造できる。双ロール法は、冷却面を有す
る2つの冷却ロールを、各冷却面同士が所定の間隔をも
って対向させて配置した状態で、各冷却ロールを回転さ
せた状態で冷却面同士の間に合金溶湯を噴出し、合金溶
湯を2つの冷却面によって急冷し、急冷薄帯を形成する
というもので、冷却面が2つある点で公知の単ロール法
と比較して冷却速度が高く、そのため単ロール法の場合
よりも大きな厚さの急冷厚板材が得られる。
【0065】また本発明の非晶質軟磁性合金は、Gaを
必ず含むために合金溶湯の粘度が比較的低く、溶湯を冷
却面の間に噴出させても合金溶湯が詰まることがなく、
合金の厚板材を連続して製造することができる。特に、
上記の2つの組成の非晶質軟磁性合金は、Coを必ず含
むために非晶質形成能が高く、双ロール法により220
μm以上、場合によっては300μm以上の厚さの非晶
質軟磁性合金の厚板材を得ることができる。
【0066】上記の非晶質軟磁性合金は、磁性を示すF
eと、Gaと、非晶質形成能を有する元素Qを具備して
いるので、非晶質相を主相とするとともに軟磁気特性を
示す非晶質軟磁性合金を構成することができ、またGa
はキュリー温度を高める作用があるので、各種磁気特性
の熱的安定性が高い非晶質軟磁性合金を構成できる。
【0067】また上記の非晶質軟磁性合金は、20K以
上の過冷却液体の温度間隔ΔTxを有する金属ガラス合
金であるので、溶湯を冷却して非晶質相を形成させる際
に、比較的遅い冷却速度でも非晶質相を形成させること
ができ、薄帯よりも肉厚なバルク状の合金とすることが
できる。特に合金の溶湯を用いて鋳造法や射出成形法を
適用することにより、バルク状の鋳造体や射出成形体を
構成できる。
【0068】
【実施例】(実験例1:非晶質軟磁性合金の物性調査)
Fe及びGaと、Fe-C合金、Fe-P合金、B及びS
iを原料としてそれぞれ所定量秤量し、減圧Ar雰囲気
下においてこれらの原料を高周波誘導加熱装置で溶解
し、種々の組成のインゴットを作製した。このインゴッ
トをるつぼ内に入れて溶解し、減圧Ar雰囲気下でるつ
ぼのノズルから回転しているロールに溶湯を吹き出して
急冷する単ロール法により、幅1mm、厚さ20μmの
実施例1〜実施例17の非晶質軟磁性合金の薄帯を得
た。また、比較例1として、Fe70Al5Ga29.65
5.754.6Si3なる組成のAlが添加された非晶質軟磁
性合金の薄帯を製造した。
【0069】得られた軟磁性金属ガラス合金の薄帯の組
成を表1に示す。また、実施例1〜17の非晶質軟磁性
合金について、X線回折法により結晶構造の解析を行っ
た。結果を図4及び図5に示す。更に、実施例14及び
比較例1の非晶質軟磁性合金について、DSC測定(Di
fferential scanning caloriemetry:示差走査熱量測
定)を行った。DSC測定の昇温速度は0.67K/秒
とした。結果を図6及び表2に示す。また、実施例14
と比較例1の非晶質軟磁性合金について、飽和磁化(σ
s)、保磁力(Hc)及び透磁率(μe)を測定した。結
果を表2にあわせて示す。
【0070】
【表1】
【0071】
【表2】
【0072】図4及び図5から明らかなように、実施例
1〜17の非晶質軟磁性合金の薄帯のX線回折パターン
はブロードなパターンを示しており、本発明の非晶質軟
磁性合金は、非晶質相を主体とする組織を有しているこ
とがわかる。
【0073】また、図6及び表2から明らかなように、
本発明の実施例14の非晶質軟磁性合金のDSC曲線に
は、740Kにガラス遷移によるガラス遷移温度Tgが
認められ、800Kに結晶化による結晶化開始温度Tx
が観察される。また、ΔTx=Tx−Tgで示される過冷
却液体の温度間隔ΔTxは60Kであった。更にガラス
遷移温度Tgと融点Tmの比であるTg/Tmは0.58で
あった。また、図6から明らかなように、比較例1の非
晶質軟磁性合金のDSC曲線おいても、740Kにガラ
ス遷移温度Tgが認められ、800Kに結晶化開始温度
Txが観察され、ΔTx=Tx−Tgで示される過冷却液体
の温度間隔ΔTxは60Kであった。更にガラス遷移温
度Tgと融点Tmの比であるTg/Tmは0.59であっ
た。
【0074】以上のことから、実施例14の非晶質軟磁
性合金は、Alが添加されていないにもかかわらず、結
晶化温度Tx以下の広い温度領域で過冷却液体域が存在
し、ΔTx=Tx−Tgで示される値が大きく、金属ガラ
ス合金であることが分かる。また実施例14の非晶質軟
磁性合金のTg/Tmは比較例1のTg/Tmとほぼ同等な
値を示しており、このTg/Tmの値は合金の非晶質形成
能を示す指標でありことから、実施例14の非晶質軟磁
性合金はAlが添加されていないにもかかわらず比較例
1の非晶質軟磁性合金とほぼ同等の高い非晶質形成能を
有していることが分かる。従ってFe、Ga、P、C、
BおよびSiからなる合金であっても、非晶質形成能が
高く、20K以上の広い過冷却液体の温度間隔ΔTxを
示すことがわかる。
【0075】また表2に示すように実施例14の非晶質
軟磁性合金は、比較例1の非晶質軟磁性合金よりも飽和
磁化が高く、優れた磁気特性を示していることが分か
る。
【0076】(実験例2:熱物性及び磁気特性のGa量
の依存性調査)実験例1と同様にして、種々の組成のイ
ンゴットを溶解して溶湯とし、減圧Ar雰囲気下で回転
しているロールにこの溶湯を吹き出して急冷することに
より、幅1mm、厚さ20μmのFe80-xGax124
4(ただしx=0、1、2、3、4、5)なる組成の
非晶質軟磁性合金の薄帯を得た。
【0077】得られた非晶質軟磁性合金についてDSC
測定を行った。DSC測定の昇温速度は0.67K/秒
とした。結果を図7に示す。また、得られた非晶質軟磁
性合金について、保磁力(Hc)及び磁歪定数(λs)
並びに飽和磁化(σs)を測定した。結果を図8及び図
9に示す。なお、保磁力(Hc)の測定はBHループト
レーサで行い、飽和磁化(σs)の測定はVSMで行っ
た。
【0078】図7から明らかなように、Gaの組成比x
の増加に伴って、キュリー温度Tc、ガラス遷移温度Tg
および結晶化開始温度Txが上昇していることが分か
る。従って、Gaの組成比xの増加により、キュリー温
度Tcが高くなって各種磁気特性の熱安定性が向上する
と考えられる。また、Gaの組成比xの増加に伴うガラ
ス遷移温度Tgの上昇によって、ガラス遷移温度Tgと合
金の融点Tmとの温度差が小さくなり、溶湯を急冷する
際の急冷速度を比較的小さくしても非晶質相が容易に形
成するものと考えられる。
【0079】次に図8に示すように、保磁力(Hc)及
び磁歪定数(λs)は、Gaの組成比xの増加による顕
著な変化は見られず、これらの磁気特性のGaの組成比
x依存性は小さいものと考えられる。一方図9に示すよ
うに飽和磁化(σs)は、Gaの組成比xの増加によっ
て徐々に低下していることが分かる。これは、Gaの組
成比xの増加に伴って相対的にFeの組成比が低下した
ため、磁性を担うFeの濃度が低下したためと推定され
る。ただし、Gaの組成比が5原子%の場合であっても
182×10-6Wb・m/kg程度の高い飽和磁化を示
しており、優れた磁気特性を示している。
【0080】(実験例3:物性及び磁気特性のC、P、
Si、Bの組成依存性調査)実験例1と同様にして、種
々の組成のインゴットを溶解して溶湯とし、減圧Ar雰
囲気下で回転しているロールにこの溶湯を吹き出して急
冷することにより、幅1mm、厚さ20μmの実施例1
〜実施例17の非晶質軟磁性合金の薄帯を得た。これら
の非晶質軟磁性合金の薄帯の組成は、表1に示した組成
と全く同一である。
【0081】得られた非晶質軟磁性合金について、DS
C測定(Differential scanning caloriemetry:示差走
査熱量測定)を行い、ガラス遷移温度Tg、結晶化開始
温度Tx、キュリー温度Tc及び融点Tmを測定するとと
もに、過冷却液体の温度間隔ΔTx、Tg/Tmを求め
た。DSC測定の昇温速度は0.67K/秒とした。図
10にガラス遷移温度Tgの組成依存性、図11に結晶
化開始温度Txの組成依存性、図12に過冷却液体の温
度間隔ΔTxの組成依存性、図13に融点Tmの組成依存
性、図14にTg/Tmの組成依存性、図15にキュリー
温度Tcの組成依存性をそれぞれ示す。また得られた非
晶質軟磁性合金について、VSMにより飽和磁化(σ
s)を測定した。結果を図16に示す。また、表3に、
各実施例の非晶質軟磁性合金のガラス遷移温度Tg、結
晶化開始温度Tx、過冷却液体の温度間隔ΔTxを示し、
表4に、各実施例の非晶質軟磁性合金の融点Tm、Tg/
Tm、キュリー温度Tc及び飽和磁化(σs)を示す。
【0082】なお、図10〜図16の三角組成図中のプ
ロットの添え数字は、ガラス遷移温度Tg、結晶化開始
温度Tx、過冷却液体の温度間隔ΔTx、融点Tm、Tg/
Tm、キュリー温度Tc、飽和磁化(σs)の値をそれぞ
れ示すものである。また、図10〜図16の三角組成図
には、等温線若しくは等高線を記入しており、先のプロ
ットの添え数字よりも小さい大きさの添え数字はこれら
の等温線若しくは等高線の値を示すものである。
【0083】
【表3】
【0084】
【表4】
【0085】図10よりガラス遷移温度Tgは、Bの増
加に伴って上昇しており、Tgの750Kの等温線がB
の組成比wの1.5〜10.5原子%の範囲にある。ま
た図11より結晶化開始温度Txは、Tgの場合と同様に
Bの増加に伴って上昇しており、Txの800Kの等温
線がBの組成比wの4.5〜10.5原子%の範囲にあ
る。そして図12に示すように、図10に示すTgの7
50Kの等温線と、図11に示すTxの800Kの等温
線とに囲まれた範囲が、ΔTxの50Kの等温線の範囲
に相当し、この範囲内で過冷却液体の温度間隔ΔTxが
50Kを越えており、特にFe70Ga711.613.27
6.24Si1.88なる組成の実施例14の合金においてΔT
xが60Kを示していることがわかる。
【0086】次に図13より、1300Kの等温線を境
に(P+Si)量の小さい側でTmが最大で1417K
を示し、1300Kの等温線より(P+Si)量が大き
い側でTmが小さくなり、特に(P+Si)が11〜1
4.5原子%、Cが0.5〜3.5原子%、Bが7.5
〜10.5原子%の範囲にある1230Kの等温線内で
Tmが1217〜1226Kとなっている。この123
0Kの等温線の範囲内の組成が合金の共晶状態の組成に
近いものであると考えられる。このように、図13に示
した三角組成図の範囲内の組成でTmに200K程度の
差があることから、この系の非晶質軟磁性合金では組成
に対して融点Tmが敏感であることがわかる。
【0087】次に図14に示すTg/Tmの組成依存性
は、Tmの組成に対する鋭敏性を反映したものとなって
おり、(P+Si)が11〜14.5原子%、Cが0.
5〜3.5原子%、Bが7.5〜10.5原子%の範囲
であるTg/Tm=0.60の等高線の範囲内でTg/Tm
が大きくなっている。Tg/Tmが大きくなるということ
は、融点Tmとガラス遷移温度Tgの温度差が小さくなる
ことになるので、この範囲の組成の合金では、冷却速度
を低くしても非晶質相が形成されやすく、いわゆる臨界
冷却速度が小さくなる。また、Tg/Tm=0.60の等
高線の大部分の範囲は、図12に示したΔTxの50K
の等温線の範囲に重複し、このことからも上記の範囲の
組成の合金が非晶質形成能に極めて優れていることが分
かる。
【0088】次に図15に示すようにキュリー温度Tc
は、(P+Si)量が小さくなるにつれて高くなってい
ることがわかる。また図16に示すように飽和磁化(σ
s)は、図15のキュリー温度Tcと同様に(P+Si)
量が小さくなるにつれて高くなっていることがわかる。
特に(P+Si)量が14.5原子%以下で飽和磁化
(σs)が186×10- 6(Wb・m・kg-1)以上とな
り、高い飽和磁化(σs)を示すことが分かる。
【0089】(実験例4:鋳造体の製造)Fe及びGa
と、Fe-C合金、Fe-P合金、B及びSiを原料とし
てそれぞれ所定量秤量し、減圧Ar雰囲気下においてこ
れらの原料を高周波誘導加熱装置で溶解し、Fe75Ga
51244なる組成のインゴットを作製した。このイ
ンゴットをるつぼ内で溶解して溶湯とし、この溶湯を減
圧Ar雰囲気下でるつぼのノズルから回転しているロー
ルに吹き出して急冷し、幅1mm、厚さ20μmの実施
例18の非晶質軟磁性合金の薄帯を得た。
【0090】また上記のインゴットをるつぼ内で溶解し
て溶湯とし、この溶湯を鋳造型に流し込んで冷却するこ
とにより、非晶質軟磁性合金からなる実施例19〜20
の鋳造体を得た。実施例19は、長さ25mm、太さ
0.5mmの断面視円形の線状の鋳造体であり、実施例
20は長さ35mm、太さ1mmの断面視円形の線状の
鋳造体であった。
【0091】得られた実施例18〜20の非晶質軟磁性
合金について、X線回折法により結晶構造の解析を行っ
た。結果を図17に示す。また、実施例18と実施例2
0の非晶質軟磁性合金について、飽和磁化(σs)、保
磁力(Hc)、磁歪定数(λs)、ガラス遷移温度T
g、過冷却液体の温度間隔ΔTx及びTg/Tmを測定し
た。結果を表5に示す。
【0092】
【表5】
【0093】図17から明らかなように、実施例18〜
20の非晶質軟磁性合金のX線回折パターンはブロード
なパターンを示しており、これらの非晶質軟磁性合金
は、非晶質相を主体とする組織を有していることがわか
る。特に実施例19及び実施例20のように鋳造法で製
造した場合であっても、非晶質相を主体とする組織を有
しており、上記の組成の合金が高い非晶質形成能を有し
ていることがわかる。
【0094】また表5から明らかなように、鋳造体であ
る実施例20の非晶質軟磁性合金は、急冷薄帯である実
施例18の非晶質軟磁性合金とほぼ同等の飽和磁化(σ
s)、保磁力(Hc)、磁歪定数(λs)、ガラス遷移
温度Tg、過冷却液体の温度間隔ΔTx及びTg/Tmを有
していることがわかる。従って本発明の非晶質軟磁性合
金は、鋳造法により得られたバルク状の鋳造体であって
も、過冷却液体の温度間隔ΔTxを有しており、しかも
飽和磁化(σs)が高いことがわかる。
【0095】(実験例5:射出成形体の製造)Fe及び
Gaと、Fe-C合金、Fe-P合金、B、Siを原料と
してそれぞれ所定量秤量して混合し、混合した原料を溶
解して溶湯とし、この溶湯を図1に示す成形金型のキャ
ビティに射出成形して冷却することにより、図3に示す
ような円環状の非晶質軟磁性合金の射出成形体(実施例
21、22)を製造した。得られた射出成形体の大きさ
は、外径6mm、内径4mm、厚さ1mmであった。ま
た、得られた射出成形体の組成は、Fe70Ga710.49
3.455.75Si3.31であった。実施例21及び実施例
22の射出成形体について、X線回折により結晶構造解
析を行った。結果を図18に示す。
【0096】また、上記の溶湯を減圧Ar雰囲気下でる
つぼのノズルから回転しているロールに吹き出して急冷
し、幅1mm、厚さ20μmの実施例23の非晶質軟磁
性合金の薄帯を得た。実施例21の射出成形体と実施例
23の薄帯について、DSC測定(Differential scann
ing caloriemetry:示差走査熱量測定)を行った。実施
例23の結果を図19に、実施例21の結果を図20に
それぞれ示す。
【0097】図18から明らかなように、実施例21及
び実施例22の射出成形体のX線回折パターンはブロー
ドなパターンを示している。従ってこれらの非晶質軟磁
性合金は、たとえ射出成形法により得られたバルク状の
射出成形体であっても 非晶質相を主体とする組織を有
しており、上記の組成の合金が高い非晶質形成能を有し
ていることがわかる。
【0098】また図19に示すように、実施例23の薄
帯のDSC曲線には、740Kにガラス遷移によるガラ
ス遷移温度Tgが認められ、800Kに結晶化による結
晶化開始温度Txが観察される。また650Kにキュリ
ー温度Tcによる吸熱ピークが観察される。またΔTx=
Tx−Tgで示される過冷却液体の温度間隔ΔTxは60
Kであった。また、図20に示すように、実施例21の
射出成形体のDSC曲線には、744Kにガラス遷移に
よるガラス遷移温度Tgが認められ、802Kに結晶化
による結晶化開始温度Txが観察される。また649K
にキュリー温度Tcによる吸熱ピークが観察される。ま
たΔTx=Tx−Tgで示される過冷却液体の温度間隔Δ
Txは59Kであった。
【0099】また、実施例21の射出成形体と実施例2
3の薄帯について、磁界800A/mw印加した時の磁
束密度B800、残留磁束密度Br、保磁力Hcを測定し
た。更に、実施例21の射出成形体に真空中において温
度673Kにて30分間の熱処理を施し、その後再び磁
束密度B800、残留磁束密度Br、保磁力Hcを測定し
た。これらの結果を表6に示す。
【0100】
【表6】
【0101】表6に示すように実施例21の射出成形体
は優れた軟磁気特性を示し、更に熱処理を施すことによ
り作製時に試料中に導入された応力が緩和され、実施例
23の急冷薄帯を上回る軟磁気特性を示した。以上のこ
とから本発明の非晶質軟磁性合金は、射出成形法により
得られたバルク状の射出成形体であっても、過冷却液体
の温度間隔ΔTxを有しており、高い非晶質形成能を有
していることがわかる。
【0102】(実験例6:Coの添加効果の確認)F
e、Co及びGaと、Fe-C合金、Fe-P合金及びB
を原料としてそれぞれ所定量秤量し、減圧Ar雰囲気下
においてこれらの原料を高周波誘導加熱装置で溶解し、
種々の組成のインゴットを作製した。このインゴットを
るつぼ内に入れて溶解し、減圧Ar雰囲気下でるつぼの
ノズルから回転しているロールに溶湯を吹き出して急冷
する単ロール法により、Fe75-tCotGa51244
(ただしt=0,5,7.5,10,12.5,15,
17.5,20)なる組成の幅1mm、厚さ20μmの
非晶質軟磁性合金の薄帯を得た。
【0103】得られた非晶質軟磁性合金の薄帯につい
て、DSC測定(示差走査熱量測定)を行い、キュリー
温度Tc、ガラス遷移温度Tg、結晶化開始温度Tx及び
過冷却液体の温度間隔ΔTxを求めた。DSC測定の昇
温速度は0.67K/秒とした。また、溶融状態の合金
を降温速度0.033K/sの条件で徐冷しつつDTA
測定(示差熱分析)を行うことにより、融点Tmを求め
た。結果を図21、図22及び表7に示す。また、得ら
れた非晶質軟磁性合金の薄帯について、飽和磁化Is及
び保磁力Hcを測定した。結果を表2にあわせて示す。
また、I−H曲線を図23に示す。
【0104】
【表7】
【0105】図21から明らかなように、Fe75-tCo
tGa51244なる組成の薄帯の融点は、Co量が1
0原子%のときに最も低くなり、Co量が10原子%か
ら増減するにつれて融点Tmが高くなっていることがわ
かる。そして、合金の非晶質形成能の指標となる換算ガ
ラス化温度Tg/Tmは、Coが10原子%のときに0.
606を示しており、高い非晶質形成能を有しているこ
とがわかる。なお、Coが0原子%の合金でも0.61
の換算ガラス化温度Tg/Tmを示しており、非晶質形成
能が優れているように見えるが、このCoが10原子%
の合金のキュリー温度Tcは622Kを示し、他の合金
に比べてキュリー温度Tcが低くなっており、熱的安定
性に劣ることがわかる。即ち、Coの添加により、キュ
リー温度Tcが上昇して熱的安定性が向上し、非晶質形
成能が高くなる。
【0106】また、ΔTxについては、Coが5〜1
7.5原子%の範囲の合金でΔTxが40K以上を示
し、Coが7.5を越えて15原子%までの範囲の合金
でΔTxが44K以上を示しており、優れた非晶質形成
能を示すことがわかる。
【0107】次に、軟磁気特性については、Coが0〜
15原子%の範囲で飽和磁化Isが1.28〜1.3T
を示しており、比較的高い飽和磁化Isを示すことがわ
かる。これは、磁性を担う元素であるFeとCoの合計
量が75原子%と比較的高濃度であるためと考えられ
る。また、保磁力Hcについては、いずれの合金も3.
6A/m以下であり、軟磁気特性に優れていることがわ
かる。
【0108】以上より、Coの組成比が5〜17.5原
子%の範囲の合金は40K以上のΔTxを示しており、
非晶質形成能が高いことがわかる。また、Coの組成比
が7.5〜12.5原子%の範囲の合金は、飽和磁化I
s、保磁力Hc、キュリー温度Tc、ΔTx及びTg/Tmが
いずれも優れた値を示しており、熱的安定性、非晶質形
成能及び軟磁気特性に優れていることがわかる。特にこ
れらのなかでもCoを10原子%含む合金が、最も優れ
た特性を示すことがわかる。
【0109】(実験例7:鋳造体の製造)Fe、Co及
びGaと、Fe-C合金、Fe-P合金及びBを原料とし
てそれぞれ所定量秤量し、減圧Ar雰囲気下においてこ
れらの原料を高周波誘導加熱装置で溶解し、Fe75ーt
CotGa51244(t=10,12.5,15)な
る組成のインゴットを作製した。このインゴットをるつ
ぼ内で溶解して溶湯とし、この溶湯をCu製の鋳造型に
流し込んで冷却することにより、非晶質軟磁性合金から
なる鋳造体を得た。各鋳造体は、長さ25mm、太さ
1.5mmの断面視円形の線状の鋳造体であった。
【0110】得られた各鋳造体について、光学顕微鏡に
より組織の観察を行った。また、各鋳造体について、D
SC測定(示差走査熱量測定)を行い、キュリー温度T
c、ガラス遷移温度Tg、結晶化開始温度Txを求めた。
DSC測定の昇温速度は0.67K/秒とした。図24
にDSC曲線を示す。
【0111】各鋳造体の表面はいずれも金属光沢を示
し、また表面の凹凸も少なく、均一な性状を示してい
る。鋳造体の断面観察でも鋳造体の中心部分まで金属光
沢を示しており、内部まで均一な状態である。また各断
面に対してX線回折を行っても結晶質相の存在を示す回
折ピークは確認されず、非晶質単相組織であることが判
明した。また、図24から明らかなように、各鋳造体は
ガラス遷移温度Tg、結晶化開始温度Txを有しており、
過冷却液体の温度間隔ΔTx(=Tx−Tg)が40K以
上を示しており、金属ガラス合金であることがわかる。
また、これらの鋳造体の飽和磁化を測定したところ、い
ずれも1.3Tの高い磁化を有していることが判明し
た。従って上記組成の非晶質軟磁性合金は、高い非晶質
形成能を有しており、直径1.5mmの比較的大きなバ
ルク体を得ることができることが明らかになった。
【0112】(実験例8:単ロール法及び双ロール法に
よる合金の製造)Fe、Co及びGaと、Fe-C合
金、Fe-P合金及びBを原料としてそれぞれ所定量秤
量し、減圧Ar雰囲気下においてこれらの原料を高周波
誘導加熱装置で溶解し、種々の組成のインゴットを作製
した。このインゴットをるつぼ内に入れて溶解し、減圧
Ar雰囲気下でるつぼのノズルから回転しているロール
に溶湯を吹き出して急冷する単ロール法により、Fe65
Co10Ga51244なる組成の幅1mmの急冷厚板
材を得た。
【0113】また、上記のインゴットを別のるつぼ内に
入れて溶解し、減圧Ar雰囲気下でるつぼのノズルから
回転している2つのロールの間に溶湯を吹き出して急冷
する双ロール法により、Fe65Co10Ga51244
なる組成の幅2mmの急冷厚板材を得た。双ロール法で
の製造条件は、ロールの直径を140mmとし、2つの
ロールの間隔を0.05〜0.12mmとし、ロールの
回転数を300rpmとした。また、るつぼのノズル径
を0.5mmとし、溶湯の射出圧力を0.38kgf/
cm2(37kPa)とし、660Torr(88kP
a)のAr雰囲気とした。
【0114】得られた急冷厚板材を、623Kで1.8
ks(350℃で30分間)、623Kで3.6ks(3
50℃で60分間)、673Kで600s(400℃で1
0分間)、673Kで1.2ks(400℃で20分
間)、723Kで300s(450℃で5分間)、723
Kで600s(450℃で10分間)、723Kで900
s(450℃で15分間)の各条件で熱処理することによ
り、実施例24〜30の非晶質軟磁性合金の厚板材を得
た。尚、実施例24〜28の厚板材は単ロール法により
製造し、実施例29及び30の厚板材は双ロール法によ
り製造した。
【0115】得られた非晶質軟磁性合金の厚板材の組織
の状態を、X線回折法により測定した。結果を表8に示
す。また図25に実施例30の厚板材のX線回折測定結
果を示す。また、得られた非晶質軟磁性合金の厚板材に
ついてDSC測定(示差走査熱量測定)を行い、キュリ
ー温度Tc、ガラス遷移温度Tg、結晶化開始温度Tx及
び過冷却液体の温度間隔ΔTxを求めた。DSC測定の
昇温速度は0.67K/秒とした。結果を表8に併せて
示す。また図26に実施例27及び実施例30の厚板材
のDSC曲線を示す。更に、得られた非晶質軟磁性合金
の厚板材について、飽和磁化Is、保磁力Hc及び1k
Hzにおける実効透磁率μeを測定した。結果を表9に
示す。
【0116】
【表8】
【0117】
【表9】
【0118】(単ロール法により製造した厚板材)表8
に示すように、単ロール法では厚さが27μm(実施例
24)から234μm(実施例28)までの厚板材が得
られたが、実施例28の薄帯は組織中に結晶質相が析出
した。実施例28の厚板材は、結晶質相の析出によって
ΔTxが実施例24〜27に比べて10K程度小さくな
っており、また表9に示すように熱処理前の状態で保磁
力が約40A/mを示しており、磁気特性が劣化してい
ることがわかる。実施例28の厚板材は、厚さが234
μmと比較的厚く、しかも冷却能力が比較的小さな単ロ
ール法により製造したため、溶湯の急冷が不十分となっ
て結晶質相が析出し、磁気特性が劣化したものと考えら
れる。また、表8及び表9に示すように、実施例24〜
27の厚板材はいずれも非晶質相単相組織からなり、ま
た熱処理なしの状態で比較的良好な磁気特性を示してい
る。実施例24の1kHzにおける実効透磁率μeがや
や低めだが、623K、1.8ksの熱処理後で1kH
zでの実効透磁率が4400まで向上しており、他の厚
板材と遜色ない磁気特性を示している。
【0119】(双ロール法により製造した厚板材)表8
及び図25に示すように、双ロール法では厚さが229
μm(実施例29)から300μm(実施例30)の非
晶質単相組織からなる厚板材が得られている。特に、実
施例29及び30の厚板材は、単ロール法で得た実施例
28の厚板材よりも大きな厚さであるにもかかわらず、
結晶質相の析出が一切観察されていない。またΔTxも
表8及び図26に示すように実施例24〜27と同程度
である。これは、2つの冷却ロールを用いて厚板材の両
面から冷却する双ロール法が、1つの冷却ロールで厚板
材の片面のみを冷却する単ロール法よりも冷却能が高い
ために、大きな厚さの厚板材でも合金組織の内部まで急
冷することができるためと考えられる。
【0120】尚、双ロール法による非晶質合金薄帯の製
造は、これまで幾度となく試されてきたが、単ロール法
に比較して溶湯の詰まりが多発し、また薄帯が得られた
としても厚さ等が不均一なものしか得られず、更に最適
な製造条件の設定も困難であり、量産性に劣るといった
問題が以前から指摘されていて、従来から冷却能に優れ
ることが知られているにも関わらず実際にはほとんど成
功していなかった。本発明では、従来のFeAlGaP
CB(Si)系の金属ガラス合金からAlを除去してG
aを増量し、更にCoを添加することにより、合金溶湯
の粘度が従来の金属ガラス合金の溶湯よりも低くなると
ともに非晶質形成能が向上したために、双ロール法によ
る300μmの厚さの合金厚板材の製造が可能になっ
た。
【0121】磁気特性は表9に示すように、実施例29
の合金厚板材について、熱処理温度が高かくなるにつれ
て保磁力が低下し、軟磁気特性が向上していることがわ
かる。この現象は、双ロール法により製造された急冷厚
板材に内部応力が残存し、この内部応力が熱処理により
緩和されるにつれて磁気特性が向上したためと考えられ
る。
【0122】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明の
非晶質軟磁性合金は、磁性を示すFeと、非晶質形成能
を有するGaと、Gaと同様に非晶質形成能を有する元
素Qを具備しているので、非晶質相を主相とするととも
に軟磁気特性を示す非晶質軟磁性合金を構成することが
でき、またGaは同時にキュリー温度を低下させる作用
があるので、各種磁気特性の熱的安定性が高い非晶質軟
磁性合金を構成できる。
【0123】また本発明の非晶質軟磁性合金は、20K
以上の過冷却液体の温度間隔ΔTxを有する金属ガラス
合金であるので、溶湯を冷却して非晶質相を形成させる
際に、比較的遅い冷却速度でも非晶質相を形成させるこ
とができ、薄帯よりも肉厚なバルク状とすることができ
る。特に合金の溶湯を用いて鋳造法や射出成形法を適用
することにより、バルク状の鋳造体や射出成形体を構成
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の非晶質軟磁性合金の射出成形体を
製造する際に用いる成形金型の一例を示す斜視図であ
る。
【図2】 図1に示す成形金型を用いた本発明の非晶
質軟磁性合金の射出成形体の製造方法を説明するための
模式図である。
【図3】 図1に示す成形金型を用いて得られた本発
明の非晶質軟磁性合金の射出成形体及び射出成形前駆体
を示す説明する斜視図である。
【図4】 実施例1〜実施例8の非晶質軟磁性合金の
薄帯のX線回折パターンを示す図である。
【図5】 実施例9〜実施例17の非晶質軟磁性合金
の薄帯のX線回折パターンを示す図である。
【図6】 実施例14及び比較例1の非晶質軟磁性合
金の薄帯のDSC曲線を示す図である。
【図7】 Fe80-xGax1244(ただしx=0、
1、2、3、4、5)なる組成の非晶質軟磁性合金の薄
帯のDSC曲線を示す図である。
【図8】 Fe80-xGax1244(ただしx=0、
1、2、3、4、5)なる組成の非晶質軟磁性合金の薄
帯の保磁力(Hc)及び磁歪定数(λs)のGa量の依
存性を示すグラフである。
【図9】 Fe80-xGax1244(ただしx=0、
1、2、3、4、5)なる組成の非晶質軟磁性合金の薄
帯の飽和磁化(σs)のGa量の依存性を示すグラフで
ある。
【図10】 Fe70Ga7(PSi)vzwなる組成の
非晶質軟磁性合金の薄帯のガラス遷移温度Tgの組成依
存性を示す三角組成図である。
【図11】 Fe70Ga7(PSi)vzwなる組成の
非晶質軟磁性合金の薄帯の結晶化開始温度Txの組成依
存性を示す三角組成図である。
【図12】 Fe70Ga7(PSi)vzwなる組成の
非晶質軟磁性合金の薄帯の過冷却液体の温度間隔ΔTx
の組成依存性を示す三角組成図である。
【図13】 Fe70Ga7(PSi)vzwなる組成の
非晶質軟磁性合金の薄帯の融点Tmの組成依存性を示す
三角組成図である。
【図14】 Fe70Ga7(PSi)vzwなる組成の
非晶質軟磁性合金の薄帯のTg/Tmの組成依存性を示す
三角組成図である。
【図15】 Fe70Ga7(PSi)vzwなる組成の
非晶質軟磁性合金の薄帯のキュリー温度Tcの組成依存
性を示す三角組成図である。
【図16】 Fe70Ga7(PSi)vzwなる組成の
非晶質軟磁性合金の薄帯の飽和磁化(σs)の組成依存
性を示す三角組成図である。
【図17】 実施例18〜実施例20の非晶質軟磁性
合金の薄帯及び鋳造体のX線回折パターンを示す図であ
る。
【図18】 実施例21〜実施例22の非晶質軟磁性
合金の射出成形体のX線回折パターンを示す図である。
【図19】 実施例23の非晶質軟磁性合金の薄帯の
DSC曲線を示す図である。
【図20】 実施例21の非晶質軟磁性合金の射出成
形体のDSC曲線を示す図である。
【図21】 Fe75-tCotGa51244なる組成
の非晶質軟磁性合金薄帯の融点TmのCo組成比依存性
を示すグラフである。
【図22】 Fe75-tCotGa51244なる組成
の非晶質軟磁性合金薄帯のDSC曲線を示す図である。
【図23】 Fe75-tCotGa51244なる組成
の非晶質軟磁性合金薄帯のI−H曲線を示す図である。
【図24】 Fe75-tCotGa51244なる組成
の非晶質軟磁性合金の鋳造体のDSC曲線を示す図であ
る。
【図25】 実施例30の非晶質軟磁性合金の厚板材
のX線回折パターンを示す図である。
【図26】 実施例27及び実施例30の非晶質軟磁
性合金の厚板材のDSC曲線を示す図である。
【符号の説明】
11 射出成形体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 沈 宝龍 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アルプ ス電気株式会社内 (72)発明者 小柴 寿人 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アルプ ス電気株式会社内 (72)発明者 水嶋 隆夫 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アルプ ス電気株式会社内 (72)発明者 五十嵐 一聡 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アルプ ス電気株式会社内 (72)発明者 福村 弘明 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アルプ ス電気株式会社内 (72)発明者 井上 明久 宮城県仙台市青葉区川内元支倉35番地 川 内住宅11−806 Fターム(参考) 5E041 AA11 AA19 BD03 CA02 NN01

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Feと、Gaと、P、C、Si、Bの
    うちの1種以上の元素Qとを具備してなり、非晶質相を
    主相とする組織からなることを特徴とする非晶質軟磁性
    合金。
  2. 【請求項2】 下記の組成式で表されることを特徴と
    する請求項1に記載の非晶質軟磁性合金。 (Fe1-aa100-x-yGaxy ただし、TはCo、Niのいずれか一方または両方であ
    り、QはP、C、Si、Bのうちの1種以上の元素であ
    り、組成比を示すa、x、yは、0≦a≦0.15、x
    ≦20原子%、y≦50原子%である。
  3. 【請求項3】 前記組成比を示すa、x、yが、0≦
    a≦0.15、x≦20原子%、5原子%≦y≦50原
    子%であることを特徴とする請求項2に記載の非晶質軟
    磁性合金。
  4. 【請求項4】 前記組成比を示すa、x、yが、0≦
    a≦0.15、0.5原子%≦x≦15原子%、7原子
    %≦y≦35原子%であることを特徴とする請求項2に
    記載の非晶質軟磁性合金。
  5. 【請求項5】 ΔTx=Tx−Tg(ただしTxは結晶化
    開始温度、Tgはガラス遷移温度を示す。)の式で表さ
    れる過冷却液体の温度間隔ΔTxが20K以上であっ
    て、Feと、Gaと、P、C、Si、Bのうちの1種以
    上の元素Qとを具備してなり、非晶質相を主相とする組
    織からなることを特徴とする非晶質軟磁性合金。
  6. 【請求項6】 下記の組成式で表されることを特徴と
    する請求項5に記載の非晶質軟磁性合金。 (Fe1-aa100-x-yGaxy ただし、TはCo、Niのいずれか一方または両方であ
    り、QはP、C、Si、Bのうちの1種以上の元素であ
    り、組成比を示すa、x、yは、0≦a≦0.15、x
    ≦20原子%、y≦50原子%である。
  7. 【請求項7】 下記の組成式で表されることを特徴と
    する請求項5に記載の非晶質軟磁性合金。 (Fe1-aa100-x-v-z-wGax(P1-bSibvz
    w ただしTはCo、Niのいずれか一方または両方であ
    り、組成比を示すa、b、x、v、z、wは、0≦a≦
    0.15、0<b≦0.8、x≦20原子%、v≦22
    原子%、0原子%≦z≦10原子%、1原子%≦w≦2
    0原子%である。
  8. 【請求項8】 前記組成比を示すa、b、x、v、
    z、wが、0≦a≦0.15、0.1≦b≦0.35、
    0.5原子%≦x≦15原子%、7原子%≦v≦20原
    子%、0原子%≦z≦9.5原子%、2原子%≦w≦1
    4原子%であることを特徴とする請求項7に記載の非晶
    質軟磁性合金。
  9. 【請求項9】 前記組成比を示すa、b、x、v、
    z、wが、0≦a≦0.1、0.1≦b≦0.28、
    0.5原子%≦x≦15原子%、10原子%≦v≦1
    5.5原子%、0.5原子%≦z≦6原子%、4原子%
    ≦w≦11原子%であることを特徴とする請求項7に記
    載の非晶質軟磁性合金。
  10. 【請求項10】 下記の組成式で表されることを特徴
    とする請求項5に記載の非晶質軟磁性合金。 (Fe1-aa100-x-v-z-wGaxvzw ただしTはCo、Niのいずれか一方または両方であ
    り、組成比を示すa、x、v、z、wは、0≦a≦0.
    15、x≦20原子%、v≦22原子%、0原子%≦z
    ≦10原子%、1原子%≦w≦20原子%である。
  11. 【請求項11】 前記組成比を示すa、x、v、z、
    wが、0≦a≦0.15、0.5原子%≦x≦15原子
    %、7原子%≦v≦20原子%、0原子%≦z≦9.5
    原子%、2原子%≦w≦14原子%であることを特徴と
    する請求項10に記載の非晶質軟磁性合金。
  12. 【請求項12】 前記組成比を示すa、x、v、z、
    wが、0≦a≦0.1、0.5原子%≦x≦15原子
    %、10原子%≦v≦15.5原子%、0.5原子%≦
    z≦6原子%、4原子%≦w≦11原子%であることを
    特徴とする請求項10に記載の非晶質軟磁性合金。
  13. 【請求項13】 下記の組成式で表されることを特徴
    とする請求項5に記載の非晶質軟磁性合金。 Fe75-tCotGax(P1-bSibvzw ただし、組成比を示すb、t、x、v、z、wは、0<
    b≦0.8、0原子%≦t≦17.5原子%、x≦20
    原子%、v≦22原子%、0原子%≦z≦10原子%、
    1原子%≦w≦20原子%である。
  14. 【請求項14】 前記組成比を示すb、t、x、v、
    z、wが、0.1≦b≦0.35、5原子%≦t≦1
    7.5原子%、0.5原子%≦x≦15原子%、7原子
    %≦v≦20原子%、0原子%≦z≦9.5原子%、2
    原子%≦w≦14原子%であることを特徴とする請求項
    13に記載の非晶質軟磁性合金。
  15. 【請求項15】 前記組成比を示すb、t、x、v、
    z、wが、0.1≦b≦0.28、7.5原子%≦t≦
    12.5原子%、0.5原子%≦x≦15原子%、10
    原子%≦v≦15.5原子%、0.5原子%≦z≦6原
    子%、4原子%≦w≦11原子%であることを特徴とす
    る請求項13に記載の非晶質軟磁性合金。
  16. 【請求項16】 下記の組成式で表されることを特徴
    とする請求項5に記載の非晶質軟磁性合金。 Fe75ーtCotGaxvzw ただし、組成比を示すt、x、v、z、wは、0原子%
    ≦t≦17.5原子%、x≦20原子%、v≦22原子
    %、0原子%≦z≦10原子%、1原子%≦w≦20原
    子%である。
  17. 【請求項17】 前記組成比を示すt、x、v、z、
    wが、5原子%≦t≦17.5原子%、0.5原子%≦
    x≦15原子%、7原子%≦v≦20原子%、0原子%
    ≦z≦9.5原子%、2原子%≦w≦14原子%である
    ことを特徴とする請求項16に記載の非晶質軟磁性合
    金。
  18. 【請求項18】 前記組成比を示すt、x、v、z、
    wが、7.5原子%≦t≦12.5原子%、0.5原子
    %≦x≦15原子%、10原子%≦v≦15.5原子
    %、0.5原子%≦z≦6原子%、4原子%≦w≦11
    原子%であることを特徴とする請求項16に記載の非晶
    質軟磁性合金。
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