JP2001316318A - 新規臭素化ジフェニルエーテル化合物およびそれを用いる防汚剤 - Google Patents

新規臭素化ジフェニルエーテル化合物およびそれを用いる防汚剤

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JP2001316318A
JP2001316318A JP2000131280A JP2000131280A JP2001316318A JP 2001316318 A JP2001316318 A JP 2001316318A JP 2000131280 A JP2000131280 A JP 2000131280A JP 2000131280 A JP2000131280 A JP 2000131280A JP 2001316318 A JP2001316318 A JP 2001316318A
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diphenyl ether
brominated diphenyl
antifouling agent
ether compound
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Tadamasa Hattori
忠正 服部
Aya Konno
彩 紺野
Yoshiichi Shizuri
芳一 志津里
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Marine Biotechnology Institute Co Ltd
Original Assignee
Marine Biotechnology Institute Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 人体にも環境にも安全性が高く、水中付
着生物に対しては防汚効果の高い新規化合物を提供す
る。 【解決手段】 下記の式(1)〜(4)で表される新規
臭素化ジフェニルエーテル化合物および該化合物を有効
成分とする防汚剤。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な臭素化ジフ
ェニルエーテル化合物に関するものであり、さらに詳し
くは、水中有害付着生物に対して付着防止作用を有する
新規な臭素化ジフェニルエーテル化合物および該化合物
を有効成分として含有する防汚剤に関するものである。
特に、本発明の臭素化ジフェニルエーテル化合物を有効
成分とする防汚剤は、船舶の船底、火力発電所等の冷却
水取水路、定置用漁網、ブイ、海底油田用リグ等の海中
構造物への水中生物の付着および繁殖を防止するために
有用である。
【0002】
【従来の技術】船舶の船底、火力発電所等の冷却水取水
路、定置用漁網、ブイ、海底油田用リグ等の海中構造
物、その他の海洋構築物の常時海水に接している部分に
は、フジツボ、ムラサキイガイ、カキ、コケムシ類、ヒ
ドラ、ホヤ、アオノリ、アオサ等の有害な水中生物が付
着、繁殖し、これらの水中の付着生物により船舶の流体
抵抗の増加、冷却用水設備の熱交換性能および熱伝導性
能の低下、漁網の潮通しの悪化等が生じるなど、水中生
物の付着により産業上多大な被害を蒙っている。従来、
海水および淡水に生息する有害付着生物の付着、繁殖を
防ぐために種々の防汚剤、例えば、有機スズ化合物、亜
酸化銅および窒素硫黄系化合物等を有効成分とするもの
が使用されてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、近年、重金
属、有害元素等により海、河川等の環境が汚染された
り、さらには魚介類を介して人体にも害を及ぼすとされ
ており社会問題化している。このような環境保全等の観
点からはたとえ水中付着生物に対しては有効な防汚剤で
あっても、使用上規制の対象となっている物質が少なく
ない。従って、これら従来の防汚剤の成分として用いら
れてきた化合物に代わる安全でかつ有効な防汚剤成分の
開発が強く望まれる。
【0004】本発明の課題は、このような事情のもとに
環境に対して有害な成分でなく、安全性が高く、水中付
着生物に対しては優れた防汚効果を発揮する新規化合物
およびそれを有効成分とする防汚剤を提供することにあ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
前記の環境保全上の必要性に鑑み、天然物質を単離利用
することに着目し、安全性が高く優れた防汚効果を有す
る化合物を開発すべく鋭意研究を重ねた結果、下記物質
が環境に対して安全であり、かつ水中有害付着生物に対
しては顕著な付着阻害性を有することを見い出し、これ
らの知見に基づいて本発明の完成に到達した。
【0006】すなわち、本発明の第一は、下記の式
(1)、式(2)、式(3)または式(4)で表される
臭素化ジフェニルエーテル化合物に関するものである。
【0007】
【化5】
【0008】
【化6】
【0009】
【化7】
【0010】
【化8】 (上記式(1)、式(2)、式(3)および式(4)に
おいて、R1 、R2 、R 3 、R4 およびR5 は、それぞ
れ低級アルキル基であり、互いに同一でもまたは異なる
ものでもよい。)
【0011】また、本発明の第二は、前記式(1)、式
(2)、式(3)および式(4)で表される臭素化ジフ
ェニルエーテル化合物からなる群より選択される少なく
とも一種の臭素化ジフェニルエーテル化合物を有効成分
として含有することを特徴とする防汚剤に関するもので
ある。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に本発明について詳細に説明
する。本発明の臭素化ジフェニルエーテル化合物は、前
記式(1)、式(2)、式(3)および式(4)でそれ
ぞれ表される化合物(I)、(II)、(III)および(IV)を包含す
る。
【0013】化合物(I) : 3,5-ジブロモ-2-(4',6'-ジ
ブロモ-2'-ヒドロキシフェノキシ)フェノール-1-アル
キルエーテル 化合物(II) : 4,6-ジブロモ-2-(4'-ブロモ-2'-ヒドロ
キシフェノキシ)フェノール-1-アルキルエーテル 化合物(III): 3,5-ジブロモ-2-(5'-ブロモ-2'-アルコ
キシフェノキシ)フェノール 化合物(IV) : 4,5,6-トリブロモ-2-(3',5'-ブロモ-6'-
ヒドロキシ-2'-アルコキシフェノキシ)フェノール-1-ア
ルキルエーテル
【0014】前記式(1)、式(2)、式(3)および
式(4)の臭素化ジフェニルエーテル化合物において、
1 、R2 、R3 、R4 およびR5 は、それぞれ低級ア
ルキル基であり、具体的には炭素数1−5のもの、例え
ば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペン
チル基およびこれらの異性体等を挙げることができる。
これらのなかで炭素数1−3のもの、特にメチル基が好
ましい。前記アルキル基としては、各化合物間において
それぞれ同一でもまたは異なるものでもよい。
【0015】従って、本発明の臭素化ジフェニルエーテ
ル化合物の特に好ましい形態としては次のものを挙げる
ことができる。化合物(I) の好ましい化合物は、式(1
1)
【化9】 で表される。式(11)の化合物は、以下に示す理化学
的性質およびスペクトルデータ等に基づいて同定したも
のであり、3.5-ジブロモ-2-(4',-6'-ジブロモ -2'- ヒ
ドロキシフェノキシ)フェノール-1-メチルエーテルと
命名される。
【0016】式(11)の化合物の理化学的性質 1.性状 :粘性油状 2.分子式:C138Br43 3.分子量:532 4.赤外吸収スペクトル(KBr)νmax:3438cm-1,1647cm
-1,1464cm-1,1038cm-1 5.質量分析:HREIMS C13H8O3 79Br4 実験値(m/z)527.7223 理論値(m
/z)527.7207 C13H8O3 79Br3 81Br 実験値(m/z)529.7161 理論値(m
/z)529.7187 C13H8O3 79Br2 81Br2 実験値(m/z)531.7172 理論値(m
/z)531.7167 C13H8O3 79Br81Br3 実験値(m/z)533.7164 理論値(m
/z)533.7147 C13H8O3 81Br4 実験値(m/z)535.7137 理論値(m
/z)535.7130 6.1H NMRスペクトル(CDCl3中で測定、500MHz)δppm:
3.64(3H,s,1-OCH3),5.81(1H,brs,2'-OH),6.98(1H,d,J=
2.2Hz,H-6),7.12(1H,d,J=2.4Hz,H-3'),7.16(1H,d,J=2.4
Hz,H-5'),7.38(1H,d,J=2.2Hz,H-4); 7.13C NMRスペクトル(CDCl3中で測定、125MHz)δppm
:57.39(q,1-OCH3),113.24(s,C-6'),116.27(d,C-6),11
7.78(s,C-3),117.86(s,C-4'),117.97(s,C-5),119.08(d,
C-3'),127.72(d,C-5'),128.31(d,C-4),142.37(s,C-2),1
42.69(s,C-1'),150.25(s,C-2'),152.40(s,C-1). 8.125MHz 13C NMRおよび500MHz 1H NMR化学シフト値
(CDCl3中で測定)
【0017】
【表1】
【0018】化合物(II)の好ましい化合物は式(22)
【化10】 で表される。式(22)の化合物は、次の理化学的性質
およびスペクトルデータ等に基づいて同定されたもので
あり、4,6-ジブロモ-2-( 4'-ブロモ-2'-ヒドロキシフェ
ノキシ)フェノール-1-メチルエーテルと命名される。
【0019】式(22)の化合物の理化学的性質 1.性状 :粘性油状 2.分子式:C139Br33 3.分子量:453 4.赤外吸収スペクトル(KBr)νmax:3426cm-1,1636cm
-1,1473cm-1,1087cm-1 5.質量分析:HREIMS C13H9O3 79Br3 実験値(m/z)449.8111 理論値(m
/z)449.8102 C13H9O3 79Br2 81Br 実験値(m/z)451.8081 理論値(m
/z)451.8082 C13H9O3 79Br81Br2 実験値(m/z)453.8075 理論値(m
/z)453.8075 C13H9O3 81Br3 実験値(m/z)455.8037 理論値(m
/z)455.8037 6.1H NMRスペクトル (CDCl3 中で測定、500MHz) δpp
m:3.89(3H,s,1-OCH3),5.99(1H,brs,2'-OH),6.79(1H,d,J
=8.5Hz,H-6'),7.01(1H,dd,J=2.4,8.5Hz,H-5'),7.07(1H,
d,J=2.2Hz,H-3),7.22(1H,d,J=2.4Hz,H-3'),7.52(1H,d,J
=2.2 Hz,H-5); 7.13C NMRスペクトル(CDCl3中で測定、125MHz) δpp
m:62.25(q,1-OCH3),117.63(s,C-6),118.54(s,C-4),119.
76(s,C-4'),120.61(d,C-6'),120.83(d,C-3'),123.18(d,
C-3),124.39(d,C-5'),132.07(d,C-5),143.53(s,C-1'),1
48.54(s,C-1),148.72(s,C-2'),151.16(s,C-2). 8.125MHz 13C NMRおよび500MHz 1H NMR化学シフト値
(CDCl3中で測定)
【0020】
【表2】
【0021】化合物(III) の好ましい化合物は式(3
3)
【化11】 で表される。式(33)の化合物は、次の理化学性質お
よびスペクトルデータ等に基づいて同定されたものであ
り、3.5-ジブロモ-2-( 5'-ブロモ-2'-メトキシフェノキ
シ)フェノールと命名される。
【0022】式(33)の化合物の理化学的性質 1.性状 :粘性油状 2.分子式:C139Br33 3.分子量:453 4.赤外吸収スペクトル(KBr)νmax:3478cm-1,1647cm
-1,1520cm-1,1067cm-1 5.質量分析:HREIMS C13H9O3 79Br3 実験値(m/z)449.8109 理論値(m/z)449.8102 C13H9O3 79Br2 81Br 実験値(m/z)451.8088 理論値(m/z)451.8082 C13H9O3 79Br81Br2 実験値(m/z)453.8063 理論値(m/z)453.8075 C13H9O3 81Br3 実験値(m/z)455.8071 理論値(m/z)455.8037 6.1H NMRスペクトル (CDCl3 中で測定、500MHz) δpp
m:3.97(3H,s,2'-OCH3),6.32(1H,brs,1-OH),6.90(1H,d,J
=8.8Hz,H-3'),6.92(1H,d,J=2.4Hz,H-6'),7.16(1H,d,J=
2.2Hz,H-6),7.21(1H,dd,J=2.4,8.8Hz),7.33(1H,d,J=2.2
Hz,H-4); 7.13C NMRスペクトル(CDCl3中で測定、125MHz) δpp
m:57.35(q,2'-OCH3),113.78(s,C-5'),114.79(d,C-3'),1
17.94(s,C-3),119.99(s,C-5),120.29(d,C-6),120.63(d,
C-6'),127.90(d,C-4'),127.96(d,C-4),140.70(s,C-2),1
46.77(s,C-1'),149.11(s,C-2'),151.20(s,C-1). 8.125MHz 13C NMRおよび500MHz 1H NMR化学シフト値
(CDCl3 中で測定)
【0023】
【表3】
【0024】次に、化合物(IV)の好ましい化合物は式
(44)
【化12】 で表される。式(44)の化合物は、4,6-ジブロモ-2-
(3',5'-ジブロモ-6'-ヒドロキシ-2'-メトキシフェノキ
シ)フェノール-1-メチルエーテルと命名されるものであ
り、以下に示す理化学的性質およびスペクトルデータ等
に基づいて同定されたものである。
【0025】式(44)の化合物の理化学的性質 1.性状 :粘性油状 2.分子式:C1410Br44 3.分子量:562 4.赤外吸収スペクトル(KBr)νmax:3456cm-1,1647cm
-1,1473cm-1,1058cm-1 5.質量分析:HREIMS C14H10O4 79Br4 実験値(m/z)557.7320 理論値(m/z)557.7313 C14H10O4 79Br3 81Br 実験値(m/z)559.7283 理論値(m/z)559.7291 C14H10O4 79Br2 81Br2 実験値(m/z)561.7279 理論値(m/z)561.7273 C14H10O4 79Br81Br3 実験値(m/z)563.7297 理論値(m/z)563.7253 C14H10O4 81Br4 実験値(m/z)565.7245 理論値(m/z)565.7237 6.1H NMRスペクトル(CDCl3中で測定、500MHz)δppm:
4.03(3H,s,1-OCH3),3.88(3H,s,2'-OCH3),6.09(1H,brs,
6'-OH),6.79(1H,d,J=2.0Hz,H-3),7.28(1H,s,H-4'),7.46
(1H,d,J=2.0Hz,H-5); 7.13C NMRスペクトル(CDCl3中で測定、125MHz) δpp
m:60.99(q,2'-OCH3),61.50(q,1-OCH3),113.30(s,C-5'),
115.19(s,C-3'),117.26(s,C-4),118.63(d,C-3),119.08
(s,C-6),120.08(d,C-4'),130.50(d,C-5),139.28(s,C-
1'),145.92(s,C-1),146.50(s,C-6'),148.67(s,C-2'),15
0.63(s,C-2). 8.125MHz 13C NMRおよび500MHz 1H NMR化学シフト値
(CDCl3中で測定)
【0026】
【表4】
【0027】前記化合物(11)、(22)、(33)
および(44)は、これらの化合物を含有する動物、植
物、微生物等を抽出処理することにより得られる抽出物
に対し適宜必要な精製処理を行い単離することができ
る。単離精製は、天然物から単離精製するために常用さ
れる方法を利用することができるが、例えば、具体的に
は海綿(Phyllospongia dendyi)を細断しエタノールで抽
出処理して得られるエタノール抽出物を水溶性成分とエ
ーテル溶性成分に分けるなどの処理工程を経て、水中生
物付着阻害活性を示す成分をクロマトグラフィーに付
し、メタノール−水混合溶媒等で分画し、高速液体クロ
マトグラフィー等によりメタノール−水混合溶媒を移動
相として用い、前記化合物(11)、(22)、(3
3)および(44)をそれぞれ単離することができる。
【0028】一方、本発明の化合物は、いずれも化学的
に合成することもでき、工業的に大量生産することも可
能である。その方法は任意に選択すればよいが、例え
ば、ブロムベンゼン、フェノール、水酸化カリウム等を
用いて得られるジフェニルエーテルを原料として使用し
所望の化合物に誘導すればよい。
【0029】次に、本発明の新規臭素化ジフェニルエー
テル化合物を用いる防汚剤について説明する。本発明の
化合物は、いずれも水中付着生物に対する付着阻害性を
有するので防汚剤の有効成分として有用である。本発明
によれば、臭素化ジフェニルエーテル化合物は、前記の
ように各種方法により製造することができるが、生物由
来の活性成分を利用できることが一つの特異点であり、
このことから環境に対し安全性が高く、かつ水中付着生
物に対して高活性の防汚剤成分を提供することができ
る。また、前記化合物をそれぞれ単独で使用してもよい
し、任意に混合して使用することができる。さらに、本
発明の化合物の作用が阻害されない限り、これらと他種
の防汚活性を有する化合物と混合して使用することもで
きる。
【0030】本発明の防汚剤は、塗料、溶液および乳剤
等の形態で使用することができる。例えば、塗料として
使用する場合は、前記化合物を塗料調製剤に配合して防
汚塗料とし、これを船底、水中構造物、冷却水用水路等
に塗布すればよい。この際使用される塗膜形成剤として
は、例えば、油ワニス、合成樹脂、人造ゴム等が挙げら
れる。また、防汚塗料には所望に応じて更に溶剤、顔料
等を加えることができる。具体的な塗料の配合剤として
は後記の処方例に示すように、前記化合物、ロジン、ビ
ニル系合成樹脂、リン酸トリクレジル、タルク、硫酸バ
リウム、ベンカラ、メチルイソブチルケトンおよびキシ
レン等を挙げることができる。この場合、前記化合物の
含有量は任意に決定することができるが、通常、塗料組
成物全重量基準で1ppm〜1%、好ましくは50pp
m〜0.5%の割合で配合される。
【0031】本発明の防汚剤を溶液として使用する場合
は、例えば、前記化合物を塗膜形成剤に配合し、溶媒に
溶解した溶液とし、これを養殖漁網、定置漁網等に塗布
すればよい。塗膜形成剤としてはトルエン、キシレン、
酢酸エチル、メチルイソブチルケトン、メタノール等が
使用される。この溶液には必要に応じて、可塑剤等の添
加剤を加えることができる。この場合、前記化合物は、
特に限定されるものではないが、通常、溶液全重量基準
で1ppm〜1%、好ましくは50ppm〜0.5%の
割合で配合される。
【0032】また、本発明の防汚剤を乳剤として使用す
る場合は、溶媒中に前記化合物を溶解し、更に界面活性
剤を添加して常法により乳剤を調製する。界面活性剤と
しては、普通一般のものを使用することができる。この
場合において、前記化合物は、特に限定されるものでは
ないが、乳剤全重量基準で1ppm〜1%、好ましくは
50ppm〜0.5%の割合で配合される。また、本発
明の防汚剤は前記の塗料、溶液、乳剤としての使用の形
態のほかに養殖漁網、定置網等の水中構造物素材の高分
子樹脂に練り込んで使用することもできる。
【0033】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。もっとも、本発明は実施例等により限定されるもの
ではないことは言うまでもない。
【0034】実施例1 本件化合物の単離、構造決定 パラオ海域にて採取した海綿 Phyllospongia dendyi
細断し、エタノールで抽出処理して得られたエタノール
抽出液を水溶性成分とエーテル溶性成分に分け、付着阻
害活性が認められたエーテル溶性成分をODSカラムク
ロマトグラフィーに付し、MeOH/H2Oにより分画した。こ
れを高速液体クロマトフラフィ(HPLC)(ODSカ
ラム)により、MeOH-H2O(70-30) を移動相として分離を
図り、付着阻害活性物質を得た。この各画分の物質は、
前記理化学的性質およびNMR(核磁気共鳴法)とMS
(質量分析法)の測定により、化学式(11)、(2
2)、(33)、(44)は、それぞれC13H8Br4O3, C
13H9Br3O3, C13H9Br3O3, C14H 10Br4O4 であることを同
定した。
【0035】実施例2 付着阻害性の測定 メタノールに溶解した化合物(11)を、直径35mm
プラスチックシャーレにおける培地中の該物質濃度が
0.05ppm,0.1ppm,1.0ppm,2.5
ppm,5.0ppmになるように、それぞれシャーレ
の底に所定量塗布した。常温乾燥後、シャーレ1枚当り
1500個〜3000個のボタンアオサ(Ulva conglob
ata)の胞子を培養温度20℃〜23℃、照度3000lx
の長日下で5日間、5mlのPES栄養補強海水培地によ
り培養し、シャーレ底部の任意の1cm2 の範囲に有す
る発芽した胞子、未発芽、未付着の胞子を測定すること
により発芽率、付着率を調べた。その結果、0.05p
pmで付着率、発芽率ともに50%以下、5.0ppm
では0%近くにまで下がった。
【0036】実施例3〜5 実施例1にて採取した化合物(22)、(33)および
(44)について実施例2の方法によりそれぞれ付着阻
害性を評価し表5に示す結果を得た。
【0037】上記の実施例から本発明の化合物(1
1)、(22)、(33)および(44)は、いずれも
少量でボタンアオサ(Ulva conglobata)胞子の発芽率、
付着率を低減させ得ることがわかった。
【0038】比較例1 本発明の防汚剤を使用しないで実施例2と同一の条件に
てボタンアオサ胞子の発芽率および付着率を測定した。
結果を表5に示す。
【表5】
【0039】防汚塗料処方例 本発明の前記化合物を防汚塗料の有効成分として使用す
る場合の代表的な処方例を以下に示す。
【表6】
【0040】
【発明の効果】本発明により水中有害付着生物に対する
付着阻害性を有する新規臭素化ジフェニルエーテル化合
物およびそれを有効成分とする防汚剤を提供することが
できる。新規化合物臭素化ジフェニルエーテル化合物
は、防汚効果が著しく高いため、従来の金属化合物を有
効成分とする防汚剤に比較して環境保全の観点からみて
も極めて有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 志津里 芳一 静岡県清水市袖師町1900番 株式会社海洋 バイオテクノロジー研究所清水研究所内 Fターム(参考) 4H006 AA01 AA03 AB05 GP03 GP06 GP12 GP22 4H011 AD01 BA01 BB03 BC01 BC05 BC07 BC18 BC19 BC20 DA17 DD01 DH02 DH15

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の式(1)、式(2)、式(3)
    または式(4)で表される臭素化ジフェニルエーテル化
    合物。 【化1】 【化2】 【化3】 【化4】 (上記式(1)、式(2)、式(3)および式(4)に
    おいて、R1 、R2 、R 3 、R4 およびR5 は、それぞ
    れ低級アルキル基であり、互いに同一でもまたは異なる
    ものでもよい。)
  2. 【請求項2】 前記式(1)、式(2)、式(3)お
    よび式(4)において、R1 、R2 、R3 、R4 および
    5 がそれぞれメチル基である請求項1記載の臭素化ジ
    フェニルエーテル化合物。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載された式(1)、式
    (2)、式(3)および式(4)で表される臭素化ジフ
    ェニルエーテル化合物からなる群より選択される少なく
    とも一種の臭素化ジフェニルエーテル化合物を有効成分
    として含有する防汚剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN103214364A (zh) * 2013-03-05 2013-07-24 中国海洋大学 一种联苯醚化合物的制备方法与作为天然海洋生物防污剂的应用
CN103214364B (zh) * 2013-03-05 2016-02-03 中国海洋大学 一种联苯醚化合物的制备方法与作为天然海洋生物防污剂的应用

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