JP2001315139A - ポリビニルアルコールフィルムの製造法 - Google Patents

ポリビニルアルコールフィルムの製造法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 偏光フィルムの製造素材として有用な厚み均
一性に優れたポリビニルアルコールフィルムの製造法を
提供する。 【解決手段】 ドラム製膜機を用いてポリビニルアルコ
ールを含有する製膜原料からポリビニルアルコールフィ
ルムを製造する際に、製膜原料が供給される最上流側に
位置するドラムの表面の温度斑を2℃以下とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、偏光フィルムの製
造素材として有用なポリビニルアルコールフィルムの製
造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】光の透過および遮蔽機能を有する偏光板
は、光のスイッチング機能を有する液晶とともに、液晶
ディスプレイ(LCD)の基本的な構成要素である。こ
のLCDの適用分野も、初期の頃の電卓および腕時計等
の小型機器から、近年ではラップトップパソコン、ワー
プロ、液晶カラープロジェクター、車載用ナビゲーショ
ンシステム、液晶テレビ等の広範囲に広がり、大画面で
使用されるようになってきたことから、従来品以上に大
画面における偏光性能の均一性に優れた偏光板が求めら
れている。
【0003】偏光板は、一般にポリビニルアルコールフ
ィルム(以下、これを「PVAフィルム」と略記し、ま
た、これの原料であるポリビニルアルコールをポリビニ
ルアルコール系重合体と言い、これを「PVA」と略記
することがある)を一軸延伸し、染色することにより製
造した偏光フィルムの両面に、三酢酸セルロース(TA
C)膜などの保護膜を貼り合わせた構成としている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】偏光板の偏光性能を均
一とするためには、PVAフィルムを均一に延伸するこ
と、ムラなく貼り合わせることなど多くの注意点がある
が、最も重要な点は偏光フィルムの素材となるPVAフ
ィルムの厚みを均一にすることである。PVAフィルム
の厚みが均一でない場合には精密延伸を行っても、大面
積において均一な偏光性能が得られない。PVAフィル
ムの厚みを均一とするため、PVAの希薄溶液で流延製
膜することが行われているが、十分な厚み均一性は得ら
れていない。
【0005】そこで本発明の目的は、偏光フィルムを製
造するときの素材として有用で、大面積においても厚み
均一性に優れたPVAフィルムを得ることができるPV
Aフィルムの製造法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明のPVAフィルムの製造法は、ドラム製膜機
を用いてPVAを含有する製膜原料からPVAフィルム
を製造する際に、製膜原料が供給される最上流側に位置
するドラムの表面の温度斑を2℃以下とした。ここで、
温度斑とは、ドラムの表面温度を所定間隔置きに点測定
したときの最大値と最小値の温度差を言う。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明でドラム製膜機とは、例えば1個以上の回
転するドラムを用い、これらドラムのうち最上流側に位
置する第1ドラムの周面に、溶液または溶融状態のPV
Aを含有する製膜原料を供給し、乾燥してPVAフィル
ムとし、このPVAフィルムを下流側のドラムの周面上
を通過させながら順次乾燥させて、PVAフィルムを製
造するもののことを言う。このドラム製膜機には、乾燥
装置や調湿装置及び巻き取り装置などが付設される。ま
た、それぞれの駆動にはモータや変速機などが使用され
て速度調整される。乾燥温度は50℃〜150℃が一般
的である。
【0008】前記ドラムによるPVAフィルムの乾燥手
段は、加熱乾燥が効率的で、幅方向に均一な乾燥が得ら
れるならば特に限定されないが、液状熱媒体やガス状熱
媒体などを用いて外部から熱源を供給するタイプ、ヒー
タや誘導加熱コイルなどの熱源を内蔵するタイプ及びこ
れらの組み合わせによるタイプなどがある。
【0009】以上のドラム製膜時には、前記第1ドラム
の表面の温度斑(温度差)は2℃以下とすることが必要
であり、1℃以下が好ましく、0.8℃以下がより好ま
しく、0.5℃以下がさらに好ましい。PVAを含有す
る製膜原料が直接供給される第1ドラムの表面の温度斑
が小さいほど、厚みが均一な平滑性に優れたPVAフィ
ルムが得られる。このとき、温度斑が2℃より大きい
と、製膜原料が均一に乾燥されないため、厚み均一性に
優れたPVAフィルムを得ることは困難である。
【0010】第1ドラムの温度斑を少なくする方法とし
ては特に制限はないが、例えば液状熱媒体を熱源とする
タイプでは、ドラムの内面に平行またはスパイラル状の
流路を有するジャケットなどを設ける方法、ガス状熱媒
体を熱源とするタイプでは、ドラムの内部のドレンを強
制的に排除したりして温度コントロール精度を向上させ
る真空蒸気発生装置などを設置する方法、ヒータや誘導
加熱コイルなどを熱源とするタイプでは、熱源の間隔を
狭くする方法、及びこれらの方法を組み合わせた方法な
どが用いられる。なお、ドラム内に特殊構造を有しない
空洞でタンク方式の熱媒循環ドラムでは、ドラム内の熱
媒の充填具合、循環する熱媒のショートパスなどによっ
てドラム表面の温度斑が大きくなったり、ドラム表面の
温度が熱媒の温度より低下する場合があるため好ましく
ない。
【0011】本発明のPVAフィルムを構成するポリビ
ニルアルコール系重合体(PVA)としては、ビニルエ
ステル系モノマー重合して得られたビニルエステル系重
合体をけん化し、ビニルエステル単位をビニルアルコー
ル単位としたものを用いることができる。このビニルエ
ステル系モノマーとしては、例えば、ギ酸ビニル、酢酸
ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、ラウ
リン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、
ピバリン酸ビニル、バーサティック酸ビニル等を挙げる
ことができ、これらのなかでも酢酸ビニルを用いるのが
好ましい。
【0012】ビニルエステル系モノマーを共重合させる
際に、必要に応じて、共重合可能なモノマーを、本発明
の趣旨を損なわない範囲内(好ましくは15モル%以
下、より好ましくは5モル%以下の割合)で共重合させ
ることもできる。
【0013】このようなビニルエステル系モノマーと共
重合可能なモノマーとしては、例えば、エチレン、プロ
ピレン、1−ブテン、イソブテン等の炭素数3〜30の
オレフィン類;アクリル酸およびその塩;アクリル酸メ
チル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、ア
クリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリ
ル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2
−エチルへキシル、アクリル酸ドデシルアクリル酸オク
タデシル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸およ
びその塩;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、
メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロピ
ル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチ
ル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチル
へキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタ
デシル等のメタクリル酸エステル類;アクリルアミド、
N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミ
ド、N,N−ジメチルアクリルアミド、ジアセトンアク
リルアミド、アクリルアミドプロパンスルホン酸および
その塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンおよび
その塩、N−メチロールアクリルアミドおよびその誘導
体等のアクリルアミド誘導体;メタクリルアミド、N−
メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミ
ド、メタクリルアミドプロパンスルホン酸およびその
塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンおよびそ
の塩、N−メチロールメタクリルアミドおよびその誘導
体等のメタクリルアミド誘導体;N−ビニルホルムアミ
ド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン等
のN−ビニルアミド類;メチルビニルエーテル、エチル
ビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プ
ロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、i
−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、
ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテル等
のビニルエーテル類;アクリロニトリル、メタクリロニ
トリル等のニトリル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、
フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニル
類;酢酸アリル、塩化アリル等のアリル化合物;マレイ
ン酸およびその塩またはそのエステル;イタコン酸およ
びその塩またはそのエステル;ビニルトリメトキシシラ
ン等のビニルシリル化合物;酢酸イソプロペニル、N−
ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビ
ニルピロリドン等のN−ビニルアミド類を挙げることが
できる。
【0014】前記PVAフィルムを構成するPVAの平
均重合度は、フィルムの強度の点からは500以上が好
ましく、偏光性能の点からは1000以上がより好まし
く、2000以上がさらに好ましく、3500以上が特
に好ましい。一方、PVAの重合度の上限は、フィルム
の製膜性の点から10000以下が好ましい。
【0015】前記PVAの重合度(P)はJIS K
6726に準じて測定される。すなわち、PVAを再け
ん化し、精製した後、30℃の水中で測定した極限粘度
[η](単位:dL/g、Lはリットル)から次式によ
り求められる。P=([η]×103 /8.29)
(1/0.62)
【0016】前記PVAフィルムを構成するPVAのけ
ん化度は、偏光膜の耐久性の点からは90モル%以上が
好ましく、95モル%以上がより好ましく、98モル%
以上がさらに好ましい。また、PVAフィルムの染色性
の点からは99.99モル%以下が好ましい。前記けん
化度とは、けん化によりビニルアルコール単位に変換さ
れうる単位の中で、実際にビニルアルコール単位にけん
化されている単位の割合を示したものである。なお、P
VAのケン化度は、JIS記載の方法により測定を行っ
た。
【0017】前記PVAフィルムを製造する際には、可
塑剤として多価アルコールを添加することが好ましい。
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコー
ル、グリセリン、プロピレングリコール、ジエチレング
リコール、トリエチレングリコール、テトラエチレング
リコール、トリメチロールプロパン等を挙げることがで
き、これらのうち1種または2種以上を使用できる。こ
れらの中でも延伸性の向上効果からエチレングリコール
またはグリセリンが好適に使用される。
【0018】多価アルコールの添加量としては、PVA
100重量部に対して1〜30重量部が好ましく、3〜
25重量部がさらに好ましく、5〜20重量部が特に好
ましい。1重量部より少ないと染色性や延伸性が低下す
る場合があり、30重量部より多いとフィルムが柔軟に
なりすぎて取り扱い性が低下する場合がある。
【0019】また、前記PVAフィルムを製造する際に
は、界面活性剤を添加することが好ましい。界面活性剤
の種類としては特に限定はないが、アニオン性またはノ
ニオン性の界面活性剤が好ましい。アニオン性界面活性
剤としては、例えば、ラウリン酸カリウムなどのカルボ
ン酸型、オクチルサルフェートなどの硫酸エステル型、
ドデシルベンゼンスルホネートなどのスルホン酸型のア
ニオン性界面活性剤が好適である。ノニオン性界面活性
剤としては、例えば、ポリオキシエチレンオレイルエー
テルなどのアルキルエーテル型、ポリオキシエチレンオ
クチルフェニルエーテルなどのアルキルフェニルエーテ
ル型、ポリオキシエチレンラウレートなどのアルキルエ
ステル型、ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテル
などのアルキルアミン型、ポリオキシエチレンラウリン
酸アミドなどのアルキルアミド型、ポリオキシエチレン
ポリオキシプロピレンエーテルなどのポリプロピレング
リコールエーテル型、オレイン酸ジエタノールアミドな
どのアルカノールアミド型、ポリオキシアルキレンアリ
ルフェニルエーテルなどのアリルフェニルエーテル型な
どのノニオン性界面活性剤が好適である。これらの界面
活性剤の1種または2種以上の組み合わせで使用するこ
とができる。
【0020】界面活性剤の添加量としては、PVA10
0重量部に対して0.01〜1重量部が好ましく、0.
02〜0.5重量部がより好ましく、0.05〜0.3
重量部が特に好ましい。0.01重量部より少ないと延
伸性向上や染色性向上の効果が現れにくく、1重量部よ
り多いとフィルム表面に溶出してブロッキングの原因に
なり、取り扱い性が低下する場合がある。
【0021】前記PVAフィルムを製造する際に使用さ
れるPVAを含有する製膜原料の揮発分濃度は50〜9
0重量%が好ましく、55〜80重量%がより好まし
い。揮発分濃度が50%より小さいと粘度が高くなるた
め製膜が困難となる場合がある。一方、揮発分濃度が9
0%より大きいと粘度が低くなりすぎてPVAフィルム
の厚み均一性が損なわれ易くなる。
【0022】前記PVAフィルムは、例えば、製膜原料
をホッパープレート、T−ダイ、I−ダイ、リップコー
ターダイなどから最上流側に位置する第1ドラムの周面
に吐出し、このドラム上で含有水分を蒸発させて製膜し
て後工程に送り、さらに乾燥および調湿を行って適切な
PVAフィルムに調整して巻き取ることにより製造でき
る。
【0023】PVAフィルムの厚みは20〜150μm
が好ましく、40〜120μmがより好ましい。
【0024】前記PVAフィルムから偏光フィルムを製
造するには、例えばPVAフィルムを染色、一軸延伸、
固定処理、乾燥処理、さらに必要に応じて熱処理を行え
ばよい。各工程の順序は特に限定はなく、また染色と一
軸延伸などの二つの工程を同時に実施しても構わない。
また、各工程を複数回繰り返しても良い。
【0025】染色は、一軸延伸の前、一軸延伸と同時、
一軸延伸後のいずれでも可能であるが、PVAは一軸延
伸により結晶化度が上がりやすく染色性が低下すること
があるため、一軸延伸に先立つ任意の工程または一軸延
伸工程中において染色するのが好ましい。
【0026】染色に用いる染料としては、ヨウ素−ヨウ
化カリウムまたはDirect black 17、19、154 ;Direct
brown 44 、106 、195 、210 、223 ;Direct red 2、2
3、28、31、37、39、79、81、240 、242 、247 ;Direc
t blue 1 、15、22、78、90、98、151 、168 、202 、2
36 、249 、270 ;Direct violet 9 、12、51、98;Dir
ect green 1、85;Direct yellow 8 、12、44、86、8
7;Direct orange 26、39、106 、107 等の二色性染料
などが使用できる。染色は、通常PVAフィルムを上記
染料を含有する溶液中に浸漬させることにより行うこと
ができるが、その処理条件や処理方法は特に制限される
ものではない。
【0027】前記PVAフィルムの長さ方向に行う一軸
延伸は、湿式延伸法または乾熱延伸法を使用でき、温水
中(前記染料を含有する溶液や後記固定処理浴中でもよ
い)でまたは吸水後のPVAフィルムを用いて空気中で
行ってもよい。延伸倍率は4倍以上が好ましく、5倍以
上が特に好ましい。延伸倍率が4倍より小さいと、実用
的に十分な偏光性能や耐久性能が得られにくい。延伸温
度は特に限定されないが、PVAフィルムを温水中で延
伸(湿式延伸)する場合は30〜90℃が、また乾熱延
伸する場合は50〜180℃が好適である。延伸後のP
VAフィルムの厚みは、3〜75μmが好ましく、10
〜50μmがより好ましい。
【0028】前記PVAフィルムへの上記染料の吸着を
強固にすることを目的に、固定処理を行う。固定処理に
使用する処理浴には、通常ホウ酸およびホウ素化合物が
添加される。また、必要に応じて処理浴中にヨウ素化合
物を添加してもよい。
【0029】前記PVAフィルムの乾燥処理(熱処理)
は30〜150℃で行うのが好ましく、50〜150℃
で行うのがより好ましい。
【0030】以上のようにして得られた偏光フィルム
は、通常、その両面または片面に、光学的に透明で、か
つ機械的強度を有した保護膜を張り合わせて偏光板とし
て使用される。保護膜としては、通常セルロースアセテ
ート系フィルム、アクリル系フィルム、ポリエステル系
フィルム等が使用される。
【0031】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものでは
ない。実施例および比較例に記載したドラム表面温度
斑、PVAフィルムの厚み斑、二色性比は以下の方法に
より測定し、偏光フィルムの加工は以下の方法で実施し
た。
【0032】ドラム表面の温度斑:温度斑は、ドラムの
表面温度の均一性を評価するためのもので、ドラム循環
熱媒の温度または真空蒸気発生装置により発生したスチ
ーム圧力を、ドラム表面温度が85℃になるように設定
し、5m/分の周速度で2時間原料を供給せずに空運転
を行った後、運転を停止し、その直後、安立計器株式会
社製デジタル表面温度計を用いて、ドラム表面温度を幅
方向5cm間隔で全幅にわたって測定した後、さらに流
れ方向1m間隔で同様に全幅にわたって測定し、ドラム
表面温度の最大値と最小値の差を算出した。
【0033】PVAフィルムの厚み斑:厚み斑は、PV
Aフィルムの厚み均一性を評価するためのもので、アン
リツ株式会社製フィルムシックネステスタKG601A
を用いて、PVAフィルムの幅方向1.5mにわたって
フィルムの厚みを測定した。なお、フィルムの厚みは、
流れ方向25cm間隔の3ヵ所で測定し、最大値と最小
値の差を算出した。
【0034】二色性比:得られた偏光フィルムの偏光性
能を評価する指数として二色性比を使用した。この二色
性比は、日本電子機械工業会規格(EIAJ)LD−2
01−1983に準拠し、分光光度計を用いて、C光
源、2度視野にて測定・計算して得た透過率TS (%)
と偏光度P(%)を使用して下記の式から求めた。 二色性比=log(TS /100−TS /100×P/
100)/log(TS/100+TS /100×P/
100)
【0035】偏光フィルムの加工方法:PVAフィルム
を予備膨潤、染色、洗浄、一軸延伸、固定処理、乾燥、
熱処理の順に処理して偏光フィルムを作成した。すなわ
ち、PVAフィルムを30℃の水中に1分間浸漬して予
備膨潤し、ヨウ素/ヨウ化カリウムの重量比を1/1
0、ヨウ素濃度を50g/Lとした30℃のホウ酸4重
量%の水溶液中に4分間浸漬し、30℃の水中で0.5
分浸漬して洗浄し、ホウ酸4重量%の50℃の水溶液中
で延伸倍率5.0倍に一軸延伸を行った。続いて、ヨウ
化カリウム40g/L、ホウ酸40g/Lの40℃の水
溶液中に5分間浸漬して固定処理を行った。この後PV
Aフィルムを取り出し、定長下、40℃で熱風乾燥し、
さらに100℃で3分間熱処理を行った。
【0036】実施例1 けん化度99.9モル%で重合度4000のPVA10
0重量部、グリセリン10重量部、ラウリン酸ジエタノ
ールアミド0.1重量部および水からなる揮発分80重
量%の製膜原料を金属ドラム内に真空蒸気発生装置によ
り発生したスチームを吹き込んだ表面温度85℃のドラ
ムに流延し、製膜した。空運転時のドラムの表面温度は
84.8℃、温度斑は0.5℃であった。さらに金属ロ
ール表面の製膜原料を100℃の熱風で乾燥し、平均厚
さ75.2μm、厚み斑2.2μmのPVAフィルムを
得た。
【0037】このPVAフィルムを使用して偏光フィル
ムに加工したところ、その中央部の厚みは28μm、透
過率は43.1%、偏光度は99.6%、二色性比は4
2.3であった。また、この偏光フィルムの1m四方を
クロスニコル状態の2枚の偏光板の間に45°の角度に
置き、透過光を目視で観察すると、光学斑はほとんど認
められなかった。
【0038】実施例2 けん化度99.9モル%で重合度2400のPVA10
0重量部、グリセリン10重量部、ラウリン酸ジエタノ
ールアミド0.1重量部および水からなる揮発分72重
量%の製膜原料を、金属ドラム内の表面にスパイラル状
の流路を有するジャケット構造の表面温度85℃の熱媒
循環ドラムに吐出し、製膜した。空運転時のドラムの表
面温度は84.5℃、温度斑は0.8℃であった。さら
に金属ロール表面の製膜原料を90℃の熱風で乾燥し、
平均厚さ74.8μm、厚み斑2.9μmのPVAフィ
ルムを得た。
【0039】このPVAフィルムを使用して偏光フィル
ムに加工したところ、その中央部の厚みは27μm、透
過率は43.5%、偏光度は99.2%、二色性比は3
9.5であった。また、この偏光フィルムの1m四方を
クロスニコル状態の2枚の偏光板の間に45°の角度に
置き、透過光を目視で観察すると、幅1〜3mm、長さ
10〜30mmの細長い楕円状の薄い光学斑が1個確認
された。
【0040】実施例3 けん化度99.9モル%で重合度1700のPVA10
0重量部、グリセリン10重量部、ラウリン酸ジエタノ
ールアミド0.1重量部および水からなる揮発分58重
量%の製膜原料を、85℃の実施例2で使用した金属ド
ラムと同じ構造で、スパイラル定数の低いドラムに吐出
し、製膜した。空運転時のドラムの表面温度は83.9
℃、温度斑は0.9℃であった。さらに金属ロール表面
の製膜原料を85℃の熱風で乾燥し、平均厚さ74.9
μm、厚み斑3.1μmのPVAフィルムを得た。
【0041】このPVAフィルムを使用して偏光フィル
ムに加工したところ、その中央部の厚みは26μm、透
過率は43.2%、偏光度は99.1%、二色性比は3
6.8であった。また、この偏光フィルムの1m四方を
クロスニコル状態の2枚の偏光板の間に45°の角度に
置き、透過光を目視で観察すると、幅5〜10mm、長
さ20〜80mmの細長い楕円状の非常に薄い光学斑が
3個確認された。
【0042】比較例1 けん化度99.9モル%で重合度4000のPVA10
0重量部、グリセリン10重量部、ラウリン酸ジエタノ
ールアミド0.1重量部および水からなる揮発分78重
量%の製膜原料を、表面温度85℃のドラム内に特殊構
造を有しない空洞でタンク方式の熱媒循環ドラムに流延
し、製膜した。空運転時のドラムの表面温度は81.6
℃、温度斑は3.3℃であった。さらに金属ロール表面
の製膜原料を120℃の熱風で乾燥し、平均厚さ74.
6μm、厚み斑8.4μmのPVAフィルムを得た。
【0043】このPVAフィルムを使用して偏光フィル
ムに加工したところ、その中央部の厚みは27μm、透
過率は43.0%、偏光度は99.7%、二色性比は4
3.7であった。また、この偏光フィルムの1m四方を
クロスニコル状態の2枚の偏光板の間に45°の角度に
置き、透過光を目視で観察すると、幅5〜20mm、長
さ50〜150mmの縞状、楕円状、及び不定形な光学
斑が8個確認された。
【0044】比較例2 けん化度99.9モル%で重合度2400のPVA10
0重量部、グリセリン10重量部、ラウリン酸ジエタノ
ールアミド0.1重量部および水からなる揮発分74重
量%の製膜原料を、表面温度85℃の比較例1と同じ構
造で比較例1とは別のドラムに吐出し、製膜した。空運
転時のドラムの表面温度は81.7℃、温度斑は4.0
℃であった。さらに金属ロール表面の製膜原料を100
℃の熱風で乾燥し、平均厚さ75.1μm、厚み斑9.
5μmのPVAフィルムを得た。
【0045】このPVAフィルムを使用して偏光フィル
ムに加工したところ、その中央部の厚みは27μm、透
過率は43.7%、偏光度は99.0%、二色性比は3
8.9であった。この偏光フィルムの1m四方をクロス
ニコル状態の2枚の偏光板の間に45°の角度に置き、
透過光を目視で観察すると、幅5〜20mm、長さ30
〜150mmの縞状、楕円状、及び不定形な光学斑が8
個確認された。
【0046】比較例3 けん化度99.9モル%で重合度1700のPVA10
0重量部、グリセリン10重量部、ラウリン酸ジエタノ
ールアミド0.1重量部および水からなる揮発分66重
量%の製膜原料を、表面温度85℃の実施例1で使用し
た金属ドラムに吐出し、製膜した。空運転時のドラム表
面温度は81.6℃、温度斑は3.3℃であった。さら
に金属ロール表面の製膜原料を85℃の熱風で乾燥し、
平均厚さ75.5μm、厚み斑8.8μmのPVAフィ
ルムを得た。
【0047】このPVAフィルムを使用して偏光フィル
ムに加工したところ、その中央部の厚みは26μm、透
過率は43.4%、偏光度は98.9%、二色性比は3
6.3であった。この偏光フィルムの1m四方をクロス
ニコル状態の2枚の偏光板の間に45°の角度に置き、
透過光を目視で観察すると、幅5〜20mm、長さ30
〜300mmの縞状、楕円状、及び不定形な光学斑が1
1個確認された。
【0048】以上の実施例1〜3および比較例1〜3の
結果を下記の表1に示す。
【0049】
【表1】
【0050】上記表1において、◎は光学斑がなくて最
も優れているもの、○は若干の光学斑はあるものの実際
の使用は可能であるもの、×は光学斑が多くて使用不能
のものを示している。
【0051】上記の表1から明らかなように、製膜原料
が供給される最上流側に位置するドラムの表面の温度斑
を2℃より大きくすると、PVAフィルムの厚み斑が大
となって厚みの均一性が得られず、これより得られる偏
光フィルムに多くの光学斑が発生する。このことから、
PVAフィルムの厚み斑を小として、光学斑の少ない偏
光性能に優れた偏光フィルムを得るためには、前記ドラ
ムの表面の温度斑を2℃以下にする必要のあることが理
解できる。
【0052】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、大面積に
おいても厚み均一性に優れた平滑なPVAフィルムを得
ることができ、また、このPVAフィルムから光学斑の
少ない偏光性能に優れた偏光フィルムを得ることができ
る。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 29:04 C08L 29:04 (72)発明者 実藤 徹 愛媛県西条市朔日市892番地 株式会社ク ラレ内 Fターム(参考) 2H049 BA02 BA27 BB43 BC03 BC09 BC22 4F071 AA29 AH12 BB02 BC01 4F205 AA19 AG01 AH42 AR06 GA07 GB02 GC02 GF29 GN19 GN24

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ドラム製膜機を用いてポリビニルアルコ
    ールを含有する製膜原料からポリビニルアルコールフィ
    ルムを製造する際に、製膜原料が供給される最上流側に
    位置するドラムの表面の温度斑を2℃以下としたことを
    特徴とするポリビニルアルコールフィルムの製造法。
  2. 【請求項2】 偏光フィルム用ポリビニルアルコールフ
    ィルムの製造法である請求項1記載のポリビニルアルコ
    ールフィルムの製造法。
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