JP2001314183A - キラー活性を増強したリンパ球 - Google Patents

キラー活性を増強したリンパ球

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JP2001314183A JP2000146392A JP2000146392A JP2001314183A JP 2001314183 A JP2001314183 A JP 2001314183A JP 2000146392 A JP2000146392 A JP 2000146392A JP 2000146392 A JP2000146392 A JP 2000146392A JP 2001314183 A JP2001314183 A JP 2001314183A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 免疫調節剤(biological response modifier
s:BRM)活性化キラー細胞(BAK細胞)免疫療法
の効果をより高めることができる、キラー細胞の細胞障
害性が高められた、BRMによって活性化されたキラー
細胞を含むリンパ球やかかるリンパ球の製造方法を提供
すること。 【解決手段】 末梢血から分取した単核細胞を固相化抗
CD3抗体の存在下でインキュベーションした後、IL
−2含有培地で培養し、次いでIL−2及びIFN−α
で所定時間活性化処理する。所定時間の活性化処理とし
て、1000単位/mlのIL−2と1000〜200
0単位/mlのIFN−αで約15分間の処理を行うこ
とにより、ダウジ(Daudi)癌細胞に対する細胞障害活
性が150溶解ユニット以上のリンパ球を得ることがで
きる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】進行性癌患者に対し延命効果
をもち、患者のクオリティーオブライフ(QOL)を改
善するための新しい養子免疫療法に用いることができ
る、癌細胞に対するキラー活性を増強したリンパ球とそ
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、抗癌治療の目標は一般に癌の治癒
や癌組織の縮減に重点がおかれていたが、現在の医学は
患者が身体的に良好な状態にあることに加えて、患者の
QOLを維持する為の精神的ケアを重要視するようにな
ってきている。癌治療における化学療法や放射線治療は
癌細胞を殺傷するが、健全な細胞(特に骨髄細胞)をも
殺傷するため、副作用を誘発したりQOLを低下させ
る。かかる状況の中で、副作用を誘発することなく、癌
細胞のみを殺傷する免疫療法を開発する試みが最近活発
に研究されている。
【0003】キラー細胞の有する細胞障害活性を利用し
て、癌細胞を殺傷する方法として知られている免疫療法
として、リンホカイン活性化キラー (lymphokine activ
atedkiller cells:LAK) 細胞を用いる養子免疫療法
がローゼンベルグにより報告されている(Immunology To
day 1988; 9: 58-62)。この養子免疫療法は、患者の末
梢単核細胞からキラー細胞を分離し、インターロイキン
−2(IL−2)とともに培養し、活性化された細胞を
IL−2と共に患者体内に戻すという方法であるが、副
作用があり満足できるものではなかった。次いで、癌組
織からリンパ球を分離しIL−2で刺激し、活性化され
たリンパ球を患者にIL−2と共に戻す癌浸潤性リンパ
球(tumor infiltrating lymphocyte: TIL)療法が報
告された(J. Clin. Oncol. 1989; 7: 250-61, J. Immun
ol. 1989; 142: 4520-6, J. Immunol. 1991; 146: 1700
-7)が、この療法も副作用があり満足できるものではな
かった。また、癌特異的CD8陽性のキラー細胞を利用
する細胞障害性Tリンパ球(cytotoxic T lymphocytes:
CTL)療法と呼ばれる方法も報告されている(Jpn. J.
Cancer Res. 1989: 50: 337-45)が、この療法も副作用
の他に、CTLの処理に時間がかかる等の問題があっ
た。本発明者も、生物製剤(biological responsemodifi
ers: BRM)活性化キラー細胞(BRM activated kill
er:BAK細胞)療法について報告(以下「前報」とい
う)している(Biotherapy 1998; 11: 241-253)。この
BAK細胞療法は、癌患者の末梢血からリンパ球を取り
出し、癌細胞を特異的に障害する細胞を選択し、その細
胞障害活性を高める処理をしたリンパ球を患者に戻すこ
とによって、癌細胞の増殖を抑制し、また癌細胞を殺傷
することにより、癌細胞に起因する症状を改善し軽減す
るものである。
【0004】Tリンパ球の表面に存在し、癌細胞等の表
面にある抗原を認識するT細胞レセプター(T cell rece
ptor: TCR)にはαβ鎖とγδ鎖があり、αβ鎖を有
するαβT細胞と、γδ鎖を有するγδT細胞とが知ら
れている。αβT細胞は主要組織適合遺伝子複合体(maj
or histocompatibility complex:MHC)依存性であ
るが、γδT細胞はMHC非依存性である。αβ鎖とγ
δ鎖はともにTリンパ球細胞表面上でCD3蛋白複合体
と非共有結合によって結合し、TCR−CD3複合体を
形成することが知られている。可溶性の抗CD3抗体と
IL−2により処理した従来のLAK細胞は多数のαβ
T細胞を含有し、癌細胞と正常な白血球の両方を殺傷す
るため、副作用を引き起こす。αβT細胞は癌細胞のみ
ならず健全な白血球細胞等に対しても細胞障害性を有す
るが、他方γδT細胞は癌細胞に対してのみ細胞障害性
を有するため、患者の末梢血から採取したT細胞のう
ち、γδT細胞を選択し、その細胞障害活性をBRMで
活性化したBAK細胞の濃度を高めることが肝要であ
る。すなわち、BAK細胞療法においては、キラー細胞
の細胞障害活性を高めると共に、癌細胞を特異的に傷害
するキラー活性の比率を高めることが重要である。
【0005】前報において、癌細胞を特異的に傷害する
キラー活性の比率を高めるには、あらかじめ抗CD3抗
体をフラスコ内壁に固定した固相化抗CD3抗体を用い
て、癌患者から採取したリンパ球を培養することが有効
であることを、本発明者らは既に報告しており、この固
相化抗CD3抗体を用いて処理したリンパ球には多くの
γδT細胞とNK(ナチュラルキラー)細胞が含まれて
いる。また本発明者らは、BRM活性化γδT細胞が抗
癌性のサイトカイン類(IFN−γ、TNF−α等)を
生産し、これらIFN−γ、TNF−αがBAK細胞の
主要な細胞障害性サイトカイン類であること(Clin Can
cer Res 3, 633-643, 1997)や、CD56陽性(CD5
+)細胞はCD56陰性(CD56-)細胞よりも強い
細胞障害活性を有すること(J Immunol Methods 136, 1
-9, 1996)を既に報告している。
【0006】前報において報告した新しいタイプの養子
免疫療法であるBAK細胞療法は、固定化された抗CD
3抗体、IL−2及びIFN−αで活性化されたリンパ
球を用いるものであり、これらの活性化されかつ増殖し
たリンパ球は多くのCD56陽性細胞から構成されてお
り、CD56陽性のMHC−非依存性のキラー細胞であ
るγδT細胞及びNK(ナチュラルキラー)細胞が約半
分を占めている。NK細胞は数種類の標的細胞株に対す
る自然発生的な細胞障害性を媒介するCD16 +のリン
パ球として定義され、CD56抗原の発現に基づき二つ
のサブセットに分類されている。このうちCD16+
D56+NK細胞は、CD16+CD56-NK細胞より
も強い細胞障害活性を有している。CD56抗原はMH
C−非依存性細胞障害性を媒介するCD3+Tリンパ球
の小さなサブセット上でも発現される。前報において
は、γδT+CD56+細胞はγδT+CD56-細胞より
も強い細胞障害性を持つことを示した。γδT細胞及び
CD16陽性NK細胞のうちで、CD56陽性細胞が特
に強いキラー細胞であることも示されている。かかるC
D56抗原は神経細胞接着分子(neural cell adhesion
molecule:NCAM)と同一物質であり、この神経系
及びその他の組織の胚発達の間に種々の部位に発現する
NCAMは、細胞表面上に5つのIgG様の領域を有す
ることも知られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らが前報にお
いて報告した前記BAK細胞免疫療法は有効な方法であ
ったが、更に改善の余地がないとはいえなかった。本発
明の課題は、BAK細胞免疫療法の効果をより高めるこ
とができる、キラー細胞の細胞障害性が高められた、B
RMによって活性化されたキラー細胞を含むリンパ球や
かかるリンパ球の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記BAK細胞免疫療法
におけるBRMによるリンパ球中のγδT細胞とNK細
胞の活性化は、IL−2を加えた培地中で約2週間培養
し、最後にIL−2とIFN−αで再活性化することに
よってなされるが、BRMによる活性化の条件を改善す
ることにより、前報に比べ細胞障害性が著しく改善され
たBAK細胞を含むリンパ球が得られることがわかっ
た。また、BRMによる活性化処理により増加するCD
56陽性細胞が、癌等の患者の苦痛を和らげる効果を有
するβ−エンドルフィンを産生することを初めて見い出
した。そして、前記細胞障害性が著しく改善されたBA
K細胞を含むリンパ球を、かかるリンパ球を採取した進
行性癌患者に投与したところ、患者に対し延命効果があ
ること、QOLの向上に寄与すること、副作用がないこ
と、場合によっては原発性癌の消失や縮小効果があるこ
とを確認し、本発明を完成するに至った。
【0009】すなわち本発明は、末梢血から分取した単
核細胞を固相化抗CD3抗体の存在下で培養した後、I
L−2含有培地で培養し、次いでIL−2及びIFN−
αで活性化処理することにより得られ、ダウディ癌細胞
に対する細胞障害活性が、150溶解ユニット以上であ
ることを特徴とする生物製剤(BRM)によって活性化
されたキラー細胞を含むリンパ球(請求項1)や、ダウ
ディ癌細胞に対する細胞障害活性が、180溶解ユニッ
ト以上であることを特徴とする請求項1記載の生物製剤
(BRM)によって活性化されたキラー細胞を含むリン
パ球(請求項2)や、生物製剤(BRM)によって活性
化されたキラー細胞が、生物製剤(BRM)によって活
性化されたγδT細胞及び/又はNK細胞であることを
特徴とする請求項1又は2記載の生物製剤によって活性
化されたキラー細胞を含むリンパ球(請求項3)や、生
物製剤(BRM)によって活性化されたγδT細胞及び
/又はNK細胞が、β−エンドルフィン産生能を有する
CD56陽性細胞であることを特徴とする請求項3記載
の生物製剤(BRM)によって活性化されたキラー細胞
を含むリンパ球(請求項4)や、β−エンドルフィン産
生能を有するCD56陽性細胞が50%以上含まれてい
ることを特徴とする請求項4記載の生物製剤(BRM)
によって活性化されたキラー細胞を含むリンパ球(請求
項5)や、生物製剤(BRM)を実質的に含まないこと
を特徴とする請求項1〜5のいずれか記載の生物製剤
(BRM)によって活性化されたキラー細胞を含むリン
パ球(請求項6)や、生物製剤(BRM)がIL−2及
びIFN−αであることを特徴とする請求項6記載の生
物製剤(BRM)によって活性化されたキラー細胞を含
むリンパ球(請求項7)に関する。
【0010】また本発明は、末梢血から分取した単核細
胞を固相化抗CD3抗体の存在下でインキュベーション
した後、IL−2含有培地で培養し、次いでIL−2及
びIFN−αで所定時間活性化処理することを特徴とす
る請求項1〜7のいずれか記載の活性化されたキラー細
胞を含むリンパ球の製造方法(請求項8)や、IL−2
含有培地での培養が、単球の共存下に行われることを特
徴とする請求項8記載の活性化されたキラー細胞を含む
リンパ球の製造方法(請求項9)や、IL−2及びIF
N−αによる所定時間の活性化処理が、1000単位/
mlのIL−2と1000〜2000単位/mlのIF
N−αで約15分間行う活性化処理であることを特徴と
する請求項8又は9記載の活性化されたキラー細胞を含
むリンパ球の製造方法(請求項10)に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明のBRMによって活性化さ
れたキラー細胞を含むリンパ球は、ダウディ(Daudi)
癌細胞に対する細胞障害活性が150溶解ユニット以
上、好ましくは180溶解ユニット以上であることを特
徴とし、上記BRMとしては末梢血単核細胞(PBM
C)に作用してその細胞障害活性を高めうるものであれ
ば特に制限されないが、インターフェロンやインターロ
イキン等のサイトカイン類を例示することができ、具体
的に、IL−2やIFN−α等を挙げることができる。
【0012】また、上記キラー細胞としては、癌細胞等
の細胞障害活性を有する細胞であれば特に制限されるも
のではないが、正常細胞を傷害することなく、癌細胞を
特異的に傷害するキラー細胞が好ましい。かかる癌細胞
を特異的に傷害するキラー細胞として、具体的に、TC
Rγδ鎖を有するγδT細胞や、IgG型抗体のFc部
分に結合する細胞表面受容体として知られるCD16膜
貫通型抗原を発現するNK細胞等を挙げることができ、
これらの中でもβ−エンドルフィン産生能を有するCD
56陽性細胞、すなわちCD56陽性のγδT細胞やC
D56陽性のNK細胞が好ましい。
【0013】本発明のBRMによって活性化されたキラ
ー細胞を含むリンパ球としては、CD56陽性のγδT
細胞やNK細胞が50%以上含まれているリンパ球が、
強い癌細胞特異的障害活性やβ−エンドルフィン産生に
よるQOL改善の点から好ましく、また、活性化処理に
使用したIL−2、IFN−α等の生物製剤(BRM)
が実質的に含まれていないリンパ球が副作用を抑制しう
る点で好ましい。
【0014】また、前記「溶解ユニット」は以下のよう
に定義される。エフェクター細胞とCr56等の放射性物
質で標識されたダウディ細胞又はK562細胞等の標的
細胞とを接触せしめ、該標的細胞から放出される放射性
物質の量[測定放出値(cpm)]と、該標的細胞に取り
込まれた全放射性物質の量[最大放出値(cpm)]と、
放射性物質測定環境下における放射性物質の検出量[バ
ックグラウンド(cpm)]とをスペクトルガンマカウン
ター等でそれぞれ測定し、次式(数1)により比放出率
(%)を算出する。1溶解ユニットは、1×107のエフ
ェクター細胞が標的細胞からの比放出率30%を誘導す
る標的細胞の数として求められる。したがって、1溶解
ユニットは、1×107のエフェクター細胞がその30
%を殺傷することができる標的細胞数を意味することに
なる。
【0015】
【数1】
【0016】本発明のBRMによって活性化されたキラ
ー細胞を含むリンパ球は、例えば、以下のようにして調
製することができる。末梢血から分離したPBMCを、
培養器の内壁に固定した固相化抗CD3抗体の存在下で
インキュベートし、TCRと会合して抗原認識複合体を
形成するCD3(抗原)の抗CD3抗体との結合を利用
して、特にCD56陽性のγδT細胞を培養器内壁に付
着させ、次いでIL−2含有培地で培養し、T細胞やN
K細胞、特にCD56陽性のγδT細胞やCD56陽性
のNK細胞を増殖させた後、IL−2、IFN−α等の
BRMを用いて所定時間活性化処理することにより得る
ことができる。そして、このようにして得られたリンパ
球を洗浄し、活性化処理に用いたIL−2、IFN−α
等のBRMを実質的に除去しておくことが好ましい。ま
た、上記培養増殖時に単球を共存させることにより、よ
り細胞障害活性の強いキラー細胞を含むリンパ球を得る
ことができる。
【0017】上記活性化処理としては、ダウディ癌細胞
等の標的細胞に対する細胞障害活性が150溶解ユニッ
ト以上となる処理であれば特に制限されるものでなく、
使用するBRMの種類・組合せ、濃度、処理時間等を適
宜選択することができる。例えば、活性化処理にBRM
としてIL−2とIFN−αを用いる場合について具体
的に説明すると、1000単位/mlのIL−2と10
00〜2000単位/mlのIFN−αで約15分間の
活性化処理により、ダウディ癌細胞等の標的細胞に対す
る細胞障害活性が150溶解ユニット以上となるリンパ
球を得ることができる。上記1000単位/mlのIL
−2と1000単位/mlのIFN−αとを用いる場
合、処理時間を15分より少し長くしてもよく、また、
1000単位/mlのIL−2と2000単位/mlの
IFN−αとを用いるときは、処理時間を15分より少
し短くしてもよい。
【0018】前述した前報においては、1000単位/
mlのIL−2と500単位/mlのIFN−αとで1
時間活性化処理を行ったが、かかる活性化処理では、最
大130溶解ユニットのダウディ癌細胞等の標的細胞に
対する細胞障害活性しか得られないが、上記のように、
1000単位/mlのIL−2と1000単位/mlの
IFN−αで15分間活性化処理すると溶解ユニット2
00以上の本発明のリンパ球を、1000単位/mlの
IL−2と2000単位/mlのIFN−αで15分間
活性化処理すると溶解ユニット180程度の本発明のリ
ンパ球を得ることができる。なお、このような処理濃度
と処理時間を変えた活性化処理により、細胞障害活性が
上記のように大きく変化する理由は定かではないが、B
RMにより活性化されたBAK細胞は、当初約20%の
CD56陽性細胞を含有するに過ぎないが、2週間培養
・増殖することによってCD56陽性細胞が約50%あ
るいは50%以上に増えたこともその一因と考えられ
る。
【0019】
【実施例】以下に、実施例を掲げて本発明を具体的に説
明するが、この発明の技術的範囲はこれらの実施例に限
定されるものではない。 実施例1[BAK細胞活性を高めたリンパ球の製造] (材料)BAK細胞活性を高めたリンパ球の製造には、
以下の材料を使用した。OKT3クローン(オルト フ
ァーマシュチカル、アメリカ)から精製された抗CD3
モノクローナル抗体は、ヤンセン協和(東京)から購入
したものを、遺伝子組換え大腸菌で製造したヒトIL−
2(rhIL−2)は塩野義製薬(東京)から購入した
ものを、ヒト天然IFN−αは、住友製薬(大阪)から
購入したものを、それぞれ用いた。
【0020】(BAK細胞活性を高めたリンパ球の調製
法)複数の進行性癌患者から採取した末梢血20mlを
ヘパリン処理した後、フィコール−パーク密度勾配遠心
分離(350×g、25分)して、中間に層状になった
リンパ球を含む末梢血単核細胞(PBMC)画分を分取
した。得られたPBMC3〜5×107個を、10%の
ヒトAB血清とrhIL−2を700単位/mlで含む
30mlのRPMI1640+7培地(日研生物医学研
究所社製)に加えた後、抗CD3抗体で被覆された22
5cm2培養フラスコ中で一晩インキュベートした。次
いで、30mlのPBMCを上記フラスコに添加し、C
2雰囲気下37℃で2日間培養し、さらにRPMI1
640+7培地を60ml加え、さらに1〜2日培養し
た。
【0021】培養物を3つのフラスコに分け非接着性細
胞を2〜3日培養した。175単位/mlのIL−2と
2%のヒトAB血清を含むHyMedium930B-10(ニプロ社
製)1リットルを含むガス透過性のバッグに移し、2〜
3日間培養して2つのバッグに分け、これをさらに2〜
3日間培養して4つのバッグに分けた。殺菌試験とエン
ドトキシンアッセイを行い問題の無いことを確認した
後、1000単位/mlのIL−2と1000単位/m
lのIFN−αによって15分間活性化処理を行った。
0.1%のヒトアルブミンを含む生理食塩水中で遠心分
離することによって2回洗浄し、IL−2及びIFN−
αを除去し、得られた0.5〜1.0×1010のリンパ
球を2.5%のヒトアルブミンを含む生理食塩水200
mlを含む輸液バッグに入れた。この0.5〜1.0×
1010のリンパ球が、1回のBAK細胞療法において1
時間かけて静脈に点滴投与される量である。
【0022】実施例2[活性化処理の条件] (試料の調製)IL−2とIFN−αを用いた活性化処
理条件(IFN−α濃度、処理時間)について検討し
た。固相化抗CD3抗体処理に続くIL−2存在下での
2週間の培養・増殖後のPBMCを、1000単位/m
lのIL−2と、1000単位/ml又は2000単位
/mlのIFN−αで、15分間又は30分間活性化処
理を行い、得られた6種類のBAKを含むリンパ球をエ
フェクター細胞とし、ダウディ細胞を標的細胞とする細
胞障害活性について調べた。なお、対照としては、IL
−2とIFN−αを添加することなく、15分間インキ
ュベーションしたものを用いた。
【0023】(細胞障害活性の測定)上記活性化処理に
より得られたエフェクター細胞(2×106)を、10
%のヒト血清を含むRPMI1640培地1mlを入れ
た24ウェルの平底プレートでインキュベートした。3
7℃で24時間インキュベートした後、エフェクター細
胞をRPMI1640培地で3回洗浄した後、10%子
牛血清(FBS)を含むRPMI1640培地に再懸濁
した。一方、標的細胞であるダウディ細胞を、0.5m
lのクロム酸ナトリウム(Cr56、比活性5mCi/m
l;ICN, CostaMesa, CA)を用い37℃で90分間で標
識し、10%子牛血清を含むRPMI1640培地で3
回洗い、新しい培地に再懸濁し、1×104/ウェルの
エフェクター細胞が予め加えられている96ウェルU底
プレート(ベクトンディッキンソンラボ社製)に所定の
標的細胞濃度となるように加えた。96ウェルU底プレ
ートを50×gで遠心分離し、上澄を各ウェルから回収
しスペクトルガンマカウンター(Packard Instrument,
Downers Grove, IL)で、標的細胞から放出される放射
性物質の量[測定放出値(cpm)]を測定した。また、
標的細胞に取り込まれた全放射性物質の量[最大放出値
(cpm)]は標的細胞を3%トリトンX−100(シグ
マ社製)でインキュベートした後に測定した。そして、
放射性物質測定環境下における放射性物質の検出量をバ
ックグラウンド(cpm)とし、前記比放出率(%)の式
(数1)より算出した比放出率が30%となる標的細胞
数を求め、その値を1×107のエフェクター細胞当た
りの殺傷標的細胞数に換算、すなわち1000倍して溶
解ユニット値とした。結果を図1に示す。
【0024】図1から明らかなように、1000単位/
mlのIL−2と1000単位/mlのIFN−αとを
用いて15分間活性化処理したもの、及び、1000単
位/mlのIL−2と2000単位/mlのIFN−α
とを用いて15分間活性化処理したものは、溶解ユニッ
トが、それぞれ180程度及び200以上であり、極め
て高いことがわかった。一方、1000単位/mlのI
L−2と1000単位/ml又は2000単位/mlの
IFN−αとを用いて30分間活性化処理したものは、
1000単位/mlのIL−2のみを用いて15分間又
は30分間活性化処理したものと同程度の細胞障害活性
を示し、同濃度で15分間活性化処理したものに比べて
細胞障害活性が低かった。
【0025】実施例3[リンパ球の培養・増殖特性及び
性状] (材料)NK細胞、αβT細胞、γδT細胞、CD56
陽性細胞を定量するために、それぞれフルオレセインイ
ソチオシアネート(FITC)で標識したFITC抗C
D16モノクローナル抗体、FITC抗TCRαβモノ
クローナル抗体、FITC抗TCRγδモノクローナル
抗体、フィコエリトリン(PE)で標識したPE抗CD
56モノクローナル抗体を用い、これらモノクローナル
抗体はベクトンディッキンソン(マウンテンビュー、カ
リホルニア)から購入した。また、細胞内サイトカイン
分析のためのペリジニン−クロロフィル蛋白標識化抗C
D3抗体及びPE標識化抗IFN−γモノクローナル抗
体もベクトンディッキンソンから購入した。
【0026】(フローサイトメトリー)細胞の一定量を
氷上で30分間適量のFITC又はPEで標識したモノ
クローナル抗体で染色した。細胞を非標識化モノクロー
ナル抗体と30分間氷上でインキュベートし、冷たいR
PMI1640で洗浄し、それからFITC結合をした
ヤギF(ab′)2抗マウス免疫グロブリン抗体又は抗ラ
ット免疫グロブリン抗体(Cappel, Durham, NC)を用い
て染色した。染色したこれらの細胞を2回洗浄し、0.
5mlの冷たいRPMIに再度懸濁し、FACScan
フローサイトメーター(ベクトンディッキンソン社製)
により分析した。イソタイプ適合モノクローナル抗体を
ネガティブコントロールとして用いた。IFN−γ生産
性γδT細胞は前報(Biotherapy 11, 241-53, 1998)に
記載した方法と同様フローサイトメトリー法(Flow cyt
ometry)により測定した。
【0027】(CD56陽性細胞とCD56陰性細胞の
単離)末梢血単核細胞(PBMC)から、CD56陽性
及びCD56陰性リンパ球を、マイクロビーズ(Milten
yi Biotech Inc社製)を用いたガイセルハルトらの方法
(Geiselhart et al. Natural Immunity 15, 227-33, 1
996)により単離した。簡単に説明すれば、フィコール
−パーク(Ficoll-Paque)密度勾配遠心分離法により末梢
血からPBMCを分離し、得られたPBMC中のCD5
6陽性細胞を、抗CD56抗体と結合した磁気マイクロ
ビーズで被覆し、磁気カラムを用いて陽性的に選択し溶
出した。また、CD56陰性細胞は磁気的に消費されそ
のままの細胞として分離された。これらのCD56陽性
細胞及びCD56陰性細胞の純度は、FACS(fluore
scence activated cell sorter:蛍光活性化セルソータ
ー)分析によりそれぞれ98%であることがわかった。
【0028】(IL−2存在下2週間の培養によるCD
56陽性細胞等の増加)後記する表3に示される癌患者
3名から末梢血を数ヶ月にわたり複数回採取し、IL−
2存在下2週間培養する実施例1記載の方法で活性化さ
れたキラー細胞を含むリンパ球を調製した。そして、培
養の前後におけるNK細胞、γδT細胞、CD56陽性
細胞の増加について調べた。結果を図2に示す。図2に
示されるように、患者番号1においては、γδT細胞と
CD16陽性細胞の両細胞数が培養によって増加し、患
者番号6においては、γδT細胞の数が増加し、患者番
号11においては、CD16陽性細胞の数が増加するこ
との他、CD56陽性細胞の数は全ての患者において増
加することや、BAK細胞の主な集団(ポピュレーショ
ン)はCD56陽性γδT細胞、CD56陽性NK細胞
等のCD56陽性細胞からなることがわかった。
【0029】また、実施例1におけるIL−2存在下の
2週間の培養時における単球共存の細胞障害活性やCD
56陽性細胞数に及ぼす影響について調べた。単球非共
存下での培養とするために、培養器内壁に付着した細胞
を除去した状態で培養する以外は、単球共存下の培養で
ある実施例1と同様に行った。また、細胞障害活性はダ
ウディ細胞に加えてK−562細胞を用いる以外は実施
例2と同様に行った。結果を表1に示す。表1から、末
梢血リンパ球中のCD56陽性細胞を増殖するために
は、培養する際に単球を共存させることが好ましいこと
や、BAK細胞を付着性単球の非共存下で培養すると、
K−562細胞(NK細胞の標的細胞)及びダウディ細
胞に対する細胞障害活性は増加しないことがわかった。
【0030】
【表1】
【0031】(β−エンドルフィンの分泌に関する新し
い知見)また、図2からわかるように、BAK細胞は培
養前約20%のCD56陽性細胞を含有するが、2週間
培養するとCD56陽性細胞は約50%に増加し、BA
K細胞の多くはCD56陽性細胞であることがわかっ
た。また、前報において、CD56陽性(CD56+
細胞はCD56陰性(CD56-)細胞よりも強い細胞
障害活性を有することを報告した。他方、β−エンドル
フィンはNK細胞活性を増進し、NK細胞及びヒト末梢
血リンパ球によるIFN−γの生産を増進する。そこ
で、CD56陽性細胞がβ−エンドルフィンを産生する
かどうかについて調べた。
【0032】(β−エンドルフィンの分析法)リンパ球
の培養上澄中のβ−エンドルフィンは、ラジオイムノア
ッセイ(RIA;INCSTAR Corp. 社製)により分析し
た。培養上澄をウサギ抗β−エンドルフィン血清と16
〜24時間4℃でインキュベートした。[125I]でラ
ベルしたβ−エンドルフィンを加え、さらに16〜24
時間4℃でインキュベートした。相分離はヤギ抗ウサギ
抗体の事前沈殿複合体で20分間4℃にて行った。その
溶液を760×gで20分遠心分離し、その上澄を捨
て、それぞれの試験管中の沈殿物をガンマシンチレーシ
ョンカウンターで測定した。このβ−エンドルフィン抗
体の交差−反応活性はヒトβ−エンドルフィン中で10
0%であり、エンケファリン(enkephalin)、ACTH及
びバソプレッシン中では0.01%以下であった。
【0033】(CD56陽性細胞のβ−エンドルフィン
の産生)CD56陽性細胞及びCD56陰性細胞は、前
記マイクロビーズ法によって末梢血単核細胞(PBM
C)から単離した。次いで、2.5mlの106細胞を
RPMI1640培地中で血清を添加せずに16時間培
養した培養上澄におけるβ−エンドルフィンを、前記β
−エンドルフィンの分析法により測定した。結果を表2
に示す。表2に示されるように、CD56陽性細胞だけ
が8pg/mlのβ−エンドルフィンを産生した。この
産生量は、109個のCD56陽性細胞の場合、20n
gのβ−エンドルフィンが生産されることに相当する。
通常のヒトの血漿中のβ−エンドルフィンは5.8±
1.1pg/mlであり、本発明のBAK細胞療法に用
いられるBAK細胞によって生産されるβ−エンドルフ
ィンは20ngとなるので、生体にとって有意の量とい
える。
【0034】
【表2】
【0035】上記のように、CD56陽性細胞とCD5
6陰性細胞と比較した結果、CD56陽性細胞のみがβ
−エンドルフィンを産生することを初めて明らかにし
た。CD56陽性細胞はその細胞膜表面にNCAMをも
ち、脳ホルモンのβ−エンドルフィンを産生することか
ら、神経−免疫−エンドクリン(neuro-immune-endocrin
e:NIE)系に直接的に関与する、多機能的NIE細胞
であると考えられる。かかるCD56陽性細胞が多機能
NIE細胞であることはこれまで全く知られていなかっ
た。このように、CD56陽性細胞によるβ−エンドル
フィンの生産はBAK細胞療法によって誘起される一連
の抗癌反応に重要な役割を果たしていると考えられる。
他方、β−エンドルフィンは非常に重要な鎮痛・鎮静作
用を示す。したがって、BAK細胞療法を始めて2〜3
週間後に患者が満足すべきQOLを報告したのはこれが
理由であると推察される。
【0036】実施例4[臨床試験] 本発明のBAK細胞活性を高めた自己リンパ球を用いた
BAK細胞療法を施した患者は、余命が数ヶ月と予測さ
れる化学治療を拒否した13人の進行性癌患者、及び手
術を受けた後の転移の防止を希望した4人の患者であ
る。前報において、IFN−γ生産性のγδT細胞の割
合が1%以下の進行癌患者はBAK細胞治療の対象にな
らないことから、全ての患者のIFN−γ生産性のγδ
T細胞の割合が1%以上であることかどうかを確認し
た。表3に、患者の性別、年齢、原発病巣、転移病巣、
IFN−γ生産性のγδT細胞の割合を示した。
【0037】
【表3】
【0038】インフォームドコンセントを与えてから、
通院によるBAK細胞治療の対象とした。平均6×10
9の本発明のBAK細胞を1時間かけて月1回又は2週
間に1回点滴注射した。BAK細胞治療の結果を表4に
示す。全ての患者の行動状態(performance status)は
カルノフスキー指標で80%以上であった。また表4に
示されているように、2週間培養することによって患者
17人全てのPBMC中のCD56陽性細胞数が増加す
ることがわかった。BAK細胞治療の間中、癌マーカー
としての免疫抑制性酸性蛋白(IAP)及びQOLマー
カーとしてフェーススケールを測定し記録した。表2及
び図3に示されるように、たとえ癌マーカー蛋白(IA
P)が増加した場合でも、全ての患者のQOLは満足な
状態であるか改善された。番号1の患者の場合、図2に
示されるように、培養によってγδT細胞及びNK細胞
(CD16陽性細胞)の数が増加した。肺への転移癌の
大きさは像分析の結果3年間変化せず、患者の全体的状
況は大変良好であった(図3)。番号10の患者の場
合、図2に示されるように、培養によってγδT細胞及
びCD56陽性細胞の数が増加した。番号10の患者は
硬性胃癌に冒されていたが2週間に一度飛行機で札幌か
ら通院することができた。このことは、全般的に良好な
QOLが17月以上維持できたことを示している(図
3)。この患者は免疫療法の開始した後18月後、手術
した後30月後に死亡したが、死亡の1月前まで多くの
好きな活動に参加していた。図3に示すように、BAK
細胞治療が細菌汚染のためできなくなった7月、番号5
の患者の雰囲気は悪くなった。番号8の患者の場合、図
2に示されるように、培養によってNK細胞(CD16
陽性細胞)及びCD56陽性細胞の数が増加した。番号
8の患者は手術不可能な肺癌にかかっていたが、BAK
細胞治療を始めてからCT像分析によれば癌が消失し
た。
【0039】
【表4】
【0040】17人全ての患者の行動状態はカルノフス
キーの指標で80%以上であり、彼等は2週間に1回の
割合で通院した。番号1〜7及び9〜13の患者の場
合、原発性癌が除去されたにも拘わらず、多くの手術不
可能な転移癌があった。これらの患者は2〜3月しか生
存出来ないと判断される状態であったが、16月以上に
亘ってBAK細胞治療を受けた。これは、BAK細胞治
療が進行癌患者に対し副作用の無い延命効果があること
を意味する。これら番号1〜7及び9〜13の患者の場
合、症像分析(CT及び/又はMRI)によれば、癌の
大きさは変化しなかった。したがって、これらの患者に
対するBAK細胞療法は、従来の化学療法で用いられる
基準からすれば効果なしと判定される。しかし、これら
の患者の行動状態(performance status)は、カルノフ
スキー指標によれば80%以上であり、彼等のQOL指
数は10段階のフェーススケールを使った評価によれば
維持されたか改善された。
【0041】そこで、以下の新しい判定基準を導入する
ことにした。従来の固形癌の化学療法による効果判定で
は病巣像が消失し、4週間以上持続した場合を「著効」
(CR)、病巣面積が50%以上の縮小が4週間以上持
続した場合を「有効」(PR)、病巣面積が50%未満
縮小、又は25%以内増大が4週間以上持続した場合を
「不変」(NC)、病巣面積が25%以上増大した場合
を「進行」(PD)としており、画像上腫瘍の大きさが
不変であれば治療の効果がないとされてきた。しかし、
癌組織が存在しても副作用がなく、QOLが良好な状態
に維持されているならば患者にとって問題がないことか
ら、免疫療法では癌組織を無理矢理殺傷することはしな
いため、BAK細胞治療の効果判定基準として新しくP
RとNCの間に病巣面積が50%未満縮小、又は25%
以内増大が6ヶ月以上続く場合として「長期不変」(pr
olonged NC)を加えた。この判定基準を加えた番号1
〜13の患者の固形癌治療効果の判定結果を表4に示
す。病巣の画像が消失した番号8及び番号13の患者に
つきCRの例が2例、番号1〜7及び12の患者につき
prolonged NCの例が8例となり、BAK細胞治療の効
果がより一層明確となった。また、番号14〜17の手
術後の転移予防のためにBAK細胞治療を行った4名の
患者については、癌転移の無い期間がそれぞれ46、3
7、31及び18月続いた。このことは、BAK細胞治
療が癌転移予防効果を有することを意味する。
【0042】表4及び図3のヒト免疫抑制性酸性蛋白質
(IAP)はヒト血清α1−酸性糖蛋白質の一つであ
り、癌マーカー蛋白質である。IAPの血清濃度はヤギ
抗ヒトIAP血清抗体を用いる単一放射免疫拡散法によ
り測定した。精製されたIAPを用いた検量線は30μ
g/mlと1500μg/mlの間で直線であった。ま
た、表4及び図3中のフェーススケールとは、図4に示
されるように、異なったムードを表す順番に並べた10
枚の絵である。目、眉毛、及び口の微妙な変化が少しず
つ違ったムードを表している。その顔はムードが悪い順
に1〜10の番号が付されており、1が最も良いムード
であり、10は最も良くないムードである。試験官がこ
れらの顔を指差して患者に「これらの顔は最初の大変幸
福なものから最後の大変悲しいものまであります。今日
のあなたの気持ちを最も良く表している顔を指差してく
ださい。」といって患者に指差すものをムードとして採
用する。
【0043】
【発明の効果】本発明の生物製剤(BRM)によって活
性化されたキラー細胞を含むリンパ球は、CD系の各種
レセプターやサイトカインの免疫系における相互作用の
解明、癌治療の基礎的研究に有用であるばかりでなく、
癌患者に投与することにより延命効果があり、患者のQ
OLを向上させることができ、しかも副作用が無いの
で、新しい免疫療法を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【図1】IL−2とIFN−αとを用いた活性化処理に
おける細胞障害活性の程度を溶解ユニットで示した図で
ある。
【図2】末梢血由来のリンパ球をIL−2存在下に培養
したときのNK細胞、γδT細胞、CD56陽性細胞の
細胞数の変化を示す図である。
【図3】本発明のリンパ球を用いて治療した患者の経過
を示す図である。
【図4】QOLを測定するために用いたフェーススケー
ルの図である。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 末梢血から分取した単核細胞を固相化抗
    CD3抗体の存在下で培養した後、IL−2含有培地で
    培養し、次いでIL−2及びIFN−αで活性化処理す
    ることにより得られ、ダウディ癌細胞に対する細胞障害
    活性が、150溶解ユニット以上であることを特徴とす
    る生物製剤(BRM)によって活性化されたキラー細胞
    を含むリンパ球。
  2. 【請求項2】 ダウディ癌細胞に対する細胞障害活性
    が、180溶解ユニット以上であることを特徴とする請
    求項1記載の生物製剤(BRM)によって活性化された
    キラー細胞を含むリンパ球。
  3. 【請求項3】 生物製剤(BRM)によって活性化され
    たキラー細胞が、生物製剤(BRM)によって活性化さ
    れたγδT細胞及び/又はNK細胞であることを特徴と
    する請求項1又は2記載の生物製剤によって活性化され
    たキラー細胞を含むリンパ球。
  4. 【請求項4】 生物製剤(BRM)によって活性化され
    たγδT細胞及び/又はNK細胞が、β−エンドルフィ
    ン産生能を有するCD56陽性細胞であることを特徴と
    する請求項3記載の生物製剤(BRM)によって活性化
    されたキラー細胞を含むリンパ球。
  5. 【請求項5】 β−エンドルフィン産生能を有するCD
    56陽性細胞が50%以上含まれていることを特徴とす
    る請求項4記載の生物製剤(BRM)によって活性化さ
    れたキラー細胞を含むリンパ球。
  6. 【請求項6】 生物製剤(BRM)を実質的に含まない
    ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載の生物製
    剤(BRM)によって活性化されたキラー細胞を含むリ
    ンパ球。
  7. 【請求項7】 生物製剤(BRM)がIL−2及びIF
    N−αであることを特徴とする請求項6記載の生物製剤
    (BRM)によって活性化されたキラー細胞を含むリン
    パ球。
  8. 【請求項8】 末梢血から分取した単核細胞を固相化抗
    CD3抗体の存在下でインキュベーションした後、IL
    −2含有培地で培養し、次いでIL−2及びIFN−α
    で所定時間活性化処理することを特徴とする請求項1〜
    7のいずれか記載の活性化されたキラー細胞を含むリン
    パ球の製造方法。
  9. 【請求項9】 IL−2含有培地での培養が、単球の共
    存下に行われることを特徴とする請求項8記載の活性化
    されたキラー細胞を含むリンパ球の製造方法。
  10. 【請求項10】 IL−2及びIFN−αによる所定時
    間の活性化処理が、1000単位/mlのIL−2と1
    000〜2000単位/mlのIFN−αで約15分間
    行う活性化処理であることを特徴とする請求項8又は9
    記載の活性化されたキラー細胞を含むリンパ球の製造方
    法。
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Suzuki et al. Requirement of interleukin 7 signaling for anti-tumor immune response under lymphopenic conditions in a murine lung carcinoma model

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