JP2001304860A - 建築限界測定器 - Google Patents

建築限界測定器

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JP2001304860A
JP2001304860A JP2000119548A JP2000119548A JP2001304860A JP 2001304860 A JP2001304860 A JP 2001304860A JP 2000119548 A JP2000119548 A JP 2000119548A JP 2000119548 A JP2000119548 A JP 2000119548A JP 2001304860 A JP2001304860 A JP 2001304860A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 駅のホーム上で安全且つ短時間に作業できる
うえ、建築限界を侵しているか否かの判断の信頼性が高
い。 【解決手段】 建築限界測定器1につき、上方の測定点
Bまでの距離を測定可能な姿勢にレーザ距離計60をセ
ットした後、第1本体ビーム10をレールR,Rに係合
し、第3本体ビーム30をレールR,Rと直交し且つ水
平な状態に支持する。また、ターゲットバー40はレー
ル間の中心線上に位置決めされる。この状態で、レーザ
距離計60のレーザ光が測定点Bを照射する位置まで水
平方向にスライドし、距離を測定する。その後、レーザ
距離計60をスライドさせることなくその位置のままで
水平横向きにセットし直し、ターゲットバー40までの
距離を測定する。そして、これらの距離に基づいて、建
築限界と測定点との離隔距離Dを算出し、測定点が建築
限界を侵しているか否かを判断する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、駅のホーム上で列
車の建築限界を測定するための建築限界測定器に関す
る。
【0002】
【従来の技術】列車が線路上を支障なく走行するために
は、線路上に、車両の大きさに加えて相当の余裕を持っ
た空間が必要となる。この空間の限界を建築限界とい
う。建築限界は、車両走行時の車体、輪軸の横移動、台
車バネの変位、軌道狂いによる偏りなどを見込んで定め
られる。そして、どのような構造物もこの建築限界を侵
してはならない。
【0003】ところで、駅のホームにおいて、この建築
限界を測定するに当たっては、例えば市販のレーザ距離
計を利用し、作業者が線路上にて構造物の端部までの距
離を測定することが考えられる。しかし、線路上での作
業は列車退避等が必要となることから作業上問題があ
る。
【0004】このため、現状では、駅のホーム上で測定
作業が行えるように、図10に示すような測定器100
を用いて建築限界の測定を行っている。この測定器10
0を用いて測定を行う場合には、まず、下方土台部材1
01を一対のレールR,Rに係合して所定姿勢になるよ
うにセットし、次いで、上方垂直部材102を上方水平
部材103に沿ってスライドさせつつ、上方垂直部材1
02に挿入された棒部材104を上下方向にスライドさ
せて、棒部材104の先端を測定点に接触させる。そし
て、この時点で上方水平部材103に付された目盛及び
棒部材104に付された目盛から、定点(レール間の中
心線上であって上方水平部材の高さの点)からの水平距
離と上方水平部材からの垂直距離とを読む。つまり、接
触型距離計を用いている。その後、この水平距離と垂直
距離から三平方の定理により定点から測定点までの距離
を算出し、測定点が建築限界を侵していないか否かを確
認する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
測定器100を用いた場合には、上方水平部材103に
付された目盛や棒部材104に付された目盛を読み取る
ため、作業に時間がかかるうえ、読み間違いが生じるこ
ともある。このため、作業性や信頼性が十分得られない
という問題があった。
【0006】本発明は上記問題点を解決することを課題
とするものであり、駅のホーム上で安全且つ短時間に作
業できるうえ、建築限界を侵しているか否かの判断の信
頼性が高い建築限界測定器を提供することを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】上記課題
を解決するため、本発明は、駅のホーム上で列車の建築
限界を測定するための建築限界測定器であって、一対の
レールに係合されて所定姿勢になるようにセットされる
下方土台部材と、前記下方土台部材が前記所定姿勢にセ
ットされたとき、ホームよりも高い所定位置にて前記レ
ールと直交し且つ水平な状態で支持される上方水平部材
と、前記上方水平部材に設けられ、前記下方土台部材が
前記所定姿勢にセットされたとき、前記レール間の中心
線上に位置決めされる照射用プレートと、前記上方水平
部材にて水平方向にスライド可能に設けられ、前記照射
プレートまでの距離を測定する第1姿勢及び上方に存在
する物体までの距離を測定する第2姿勢のいずれかにセ
ットされる光照射型距離計とを備えたことを特徴とす
る。
【0008】本発明の建築限界測定器では、まず、光照
射型距離計(例えば超音波距離計、レーザ距離計など)
を第2姿勢にセットし、次いで、下方土台部材を一対の
レールに係合して所定姿勢になるようにセットする。こ
のとき、上方水平部材は、ホームよりも高い所定位置に
てレールと直交し且つ水平な状態で支持される。また、
照射用プレートは、レール間の中心線上に位置決めされ
る。
【0009】この状態で、光照射型距離計の光が測定点
を照射する位置まで、光照射型距離計を水平方向にスラ
イドし、そのときの測定点までの距離(便宜上、距離L
yという)を測定する。例えば、第2姿勢が鉛直上向き
の姿勢の場合には、距離Lyは測定点までの垂直距離に
なる。その後、光照射型距離計をスライドさせることな
くその位置のままで第1姿勢にセットし直し、そのとき
の照射プレートまでの距離、即ち、レール間の中心線ま
での距離(便宜上、距離Lxという)を測定する。そし
て、これらの距離Lx,Lyに基づいて、建築限界と測定
点との離隔距離を算出し、測定点が建築限界を侵してい
るか否かを判断する。
【0010】なお、距離Lx,Lyは、光照射型距離計に
表示される数値を作業者が読み取ってもよいが、光照射
型距離計からパーソナル・コンピュータ等の演算装置に
ケーブル又はコネクタを介して伝送するようにし、直接
データを演算装置に送り、その演算装置にて建築限界と
測定点との離隔距離を算出するようにしてもよい。
【0011】以上の建築限界測定器によれば、駅のホー
ム上で光照射型距離計(非接触型距離計)を用いて測定
するため、従来のように接触型距離計を用いて目盛を読
み取る場合に比べて、作業時間が短くなるうえ、測定点
が建築限界を侵しているか否かの判断の信頼性が高くな
るという効果が得られる。また、駅のホーム上で測定作
業を実施できるため、線路上で測定作業を実施する場合
に比べて安全性が高くなるという効果も得られる。
【0012】ところで、光照射型距離計の第2姿勢とし
て鉛直上向きの姿勢のみを採用してもよいが、その場合
には、例えば測定作業者がこの建築限界測定器を支持し
て立っている位置(以下、測定作業位置という)よりも
線路側にある測定点からホーム側にある測定点までのす
べてを光照射型距離計で照射しようとすると、光照射型
距離計を水平方向にスライドさせる範囲を大きくする必
要があり、装置全体が大型化してしまうという問題が生
じる。
【0013】この問題を解消するには、本発明の建築限
界測定器において、光照射型距離計の第2姿勢として、
鉛直上向きの姿勢のほか、鉛直上向きから所定角度だけ
傾いた姿勢を選択可能なように構成することが好まし
い。この場合、例えば測定作業位置よりも線路側にある
測定点に対しては、鉛直上向きから所定角度だけ線路側
に傾いた姿勢に光照射型距離計をセットすることによ
り、光照射型距離計のスライド量が小さくても、光照射
型距離計はその測定点を照射可能となるため、装置がコ
ンパクトになる。
【0014】特に、光照射型距離計は、第2姿勢とし
て、鉛直上向きの姿勢のほか、鉛直上向きから所定角度
だけ線路側又はホーム側に傾いた姿勢を選択可能なよう
に構成することが好ましい。この場合、測定作業位置よ
りも線路側にある測定点に対しては、鉛直上向きから所
定角度だけ線路側に傾いた姿勢を第2姿勢として選択
し、測定作業位置よりもホーム側にある測定点に対して
は、鉛直上向きから所定角度だけホーム側に傾いた姿勢
を第2姿勢として選択すれば、光照射型距離計のスライ
ド量を一段と小さくすることができ、装置が一層コンパ
クトになる。
【0015】また、本発明の建築限界測定器を構成する
下方土台部材、上方水平部材およびこれらを接続する接
続部材は、どのような材料で作製してもよいが、アルミ
ニウムを主原料とする金属で作製されていることが、剛
性・耐久性が高いうえ軽量であるという点で好ましい。
【0016】更に、本発明の建築限界測定器において、
下方土台部材はレール間に相当する長さとし、上方水平
部材はレール間の中心線からホーム側に所定の長さと
し、接続部材は下方土台部材から斜め上向きに延び出し
て上方水平部材を支持する形状にすることが好ましい。
この場合、建築限界測定器を必要最小限の大きさにする
ことができるため、軽量化が図られる。
【0017】更にまた、本発明の建築限界測定器におい
て、下方土台部材は、電気的に絶縁された状態でレール
と接触することが好ましい。この場合、レール同士が下
方土台部材によって電気的に短絡するおそれがないた
め、列車運行上好ましい。具体的には、レール同士が短
絡すると信号機が赤になるように設定されている場合が
あるが、このような場合に建築限界の測定を行ったとし
ても、誤って信号機が赤に変わることはなく、列車運行
上好ましい。
【0018】そしてまた、本発明の建築限界測定器であ
って、少なくとも上方水平部材と接続部材は2つ以上に
分割可能な構成にすることが好ましい。この場合、建築
限界測定器を運搬する際に、上方水平部材と接続部材を
分割して小さくまとめることができるため、容易に運搬
できる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の好適な実施形態
を図面に基づいて説明する。図1は本実施形態の建築限
界測定器の正面図、図2は平面図、図3は図1のA−A
断面図、図4は図1の部分拡大図(二点鎖線で囲った部
分)である。
【0020】本実施形態の建築限界測定器1は、主とし
て、下方土台部材としての第1本体ビーム10と、接続
部材としての第2本体ビーム20と、上方水平部材とし
ての第3本体ビーム30と、照射用プレートとしてのタ
ーゲットバー40と、第3本体ビーム30をスライド可
能なスライダ50(図3参照)と、光照射型距離計とし
てのレーザ距離計60とを備えている。
【0021】第1本体ビーム10は、アルミニウム製の
中空で四角柱形状のビームであり、その両端に電気絶縁
性の樹脂からなる断面L字型のレール係合部11,11
を有している。この第1本体ビーム10は、一対のレー
ルR,Rの上方からレール間にはめ込まれ、両側のレー
ル係合部11,11がレールR,Rと係合することによ
り、レールR,Rに直交する姿勢になるようにセットさ
れる。このため、第1本体ビーム10の長さは、レール
間の長さとほぼ一致するように設計されている。また、
第1本体ビーム10の上面には、斜め上方向に延び出し
た取付部材12が立設され、この取付部材12は同じく
第1本体ビーム10の上面に立設された支持部材13に
よって支持されている。
【0022】第2本体ビーム20は、アルミニウム製の
中空で四角柱形状の2つの分割ビーム21,21を長手
方向に並べて突き合わせた状態で、その両側から添え板
22,22をあてがい、添え板22,22を介してボル
トナットで両分割ビーム21,21を締結したものであ
る。
【0023】第3本体ビーム30は、アルミニウム製の
板状ビーム31と、アルミニウム製の四角柱形状の柱状
ビーム32とを、一部重なり合うようにして長手方向に
並べ、その重なり合った部分でネジ止めすることによ
り、一体化されている。板状ビーム31の先端には、タ
ーゲットバー40が取り付けられている。一方、柱状ビ
ーム32の下面には、斜め下向きに延び出した取付部材
33が立設され、この取付部材33は同じく柱状ビーム
32の下面に立設された支持部材34によって支持され
ている。また、柱状ビーム32の上面には、図3に示す
ように、長手方向に沿ってガイド溝35,35が設けら
れている。このガイド溝35,35には、スライダ50
が長手方向に沿ってスライドするように取り付けられて
いる。
【0024】第1〜第3本体ビーム10,20,30
は、第1本体ビーム10の取付部材12と第2本体ビー
ム20の下端側とが長ネジおよび蝶ナットにより連結さ
れ、第3本体ビーム30の取付部材33と第2本体ビー
ム20の上端側とが同じく長ネジおよび蝶ナットにより
連結されることにより、一体化されている。このように
一体化された状態では、第1本体ビーム10と第3本体
ビーム30は平行であり、第2本体ビーム20は第1本
体ビーム10から斜め上向きに延び出して第3本体ビー
ム30を支持している。また、第1本体ビーム10の中
心線上(つまりレール間の中心線上)にターゲットバー
40が位置している。
【0025】スライダ50は、図3に示すように、アル
ミニウム製の板材を断面逆U字になるように折り曲げた
形状を呈し、柱状ビーム32の上面を覆うスライダ本体
51と、このスライダ本体51から柱状ビーム32の一
方の側面へ折り返されたスライド調整部53と、スライ
ダ本体51から柱状ビーム32の他方の側面へ折り返さ
れた距離計設置部55とを備えている。
【0026】このスライダ50のうち、スライダ本体5
1の裏面には、ガイド溝35に摺動自在にはめ込まれる
ガイド部52が設けられている。また、スライド調整部
53には、ネジ穴53aに蝶ネジ54が螺合されてい
る。そして、この蝶ネジ54を締めると、蝶ネジ54の
先端が柱状ビーム32の側面に押し付けられるため、ス
ライダ50はスライド不能な状態つまりロック状態とな
る。一方、この蝶ネジ54を緩めると、蝶ネジ54の先
端が柱状ビーム32の側面から離れるため、スライダ5
0はスライド可能な状態となる。
【0027】更に、スライダ50の距離計設置部55に
は、距離計マウント70をはめ込むための姿勢選択溝5
6が設けられている。図5はスライダ50の説明図であ
り、(a)は正面図、(b)は右側面図であるが、姿勢
選択溝56は、この図5(a)に示すように、縦の辺が
垂直方向と一致する第1の正方形SQ1と、縦の辺が垂
直方向から線路側に所定角度(ここでは15°)傾斜し
た第2の正方形SQ2と、縦の辺が垂直方向からホーム
側に所定角度(ここでは15°)傾斜した第3の正方形
SQ3の3つの正方形SQ1〜SQ3を、それぞれ中心
が一致するように配置して重ね合わせ形状を呈してい
る。また、この姿勢選択溝56は窪み状に形成されてお
り、この窪みの底部には距離計マウント70のボルト7
4を遊嵌するための貫通孔57が設けられている。な
お、図5(a)における二点鎖線は説明の便宜上引いた
仮想線である。
【0028】ここで、距離計マウント70は、図3に示
すように、板部材71の一方の面にレーザ距離計60を
着脱自在に取り付けるための一対の取付溝72,72を
備え、板部材71の他方の面の中央に四角柱状の凸部7
3を備え、その凸部73の中央にボルト74を備えてい
る。この凸部73は距離計設置部55の表側から姿勢選
択溝56の正方形SQ1〜SQ3のいずれかにはめ込ま
れて合致するものである。
【0029】そして、このように姿勢選択溝56に凸部
73がはめ込まれた距離計マウント70は、貫通孔57
を介して裏側に貫通したボルト74にスプリング75が
外挿された状態でナット76が螺合されている。この結
果、スプリング75は圧縮されて距離計設置部55から
ナット76を離間させる方向に付勢するため、この付勢
力により距離計マウント70の板部材71は距離計設置
部55に密着される。なお、図6は距離計マウント70
の説明図であり、(a)は正面図、(b)は右側面図で
ある。
【0030】レーザ距離計60は、図示しない測定ボタ
ンを押すと赤色のレーザ光が照射されて測定を行うもの
であり、レーザ照射位置は赤色の点として表れるため、
屋内であれ屋外であれ、どこを照射しているか容易に確
認できる。このレーザ距離計60は、液晶表示部61を
備えており、測定距離(レーザ照射位置までの距離)が
この液晶表示部61に表示される。また、レーザ距離計
60は、裏面に設けられた取付金具62(図3参照)が
距離計マウント70の一対の取付溝72,72に着脱自
在にはめ込まれ、距離計マウント70と一体化されてい
る。なお、レーザ距離計60としては、例えば株式会社
ソキア製のMiNiMeterMM30等が利用可能で
ある。
【0031】次に、本実施形態の建築限界測定器1を用
いて駅のホーム周辺の構造物が建築限界を侵しているか
否かを検査する場合について説明する。最初に、レーザ
距離計60を水平横向きの姿勢(第1姿勢、図4参照)
から、上向きの姿勢(第2姿勢、図8参照)に変更する
操作について説明する。図7はレーザ距離計の姿勢を変
更する際の説明図、図8はレーザ距離計が各種の姿勢を
とったときの説明図であり、(a)は鉛直上向きの姿
勢、(b)は鉛直方向から線路側に所定角度傾いた姿
勢、(c)は鉛直方向からホーム側に所定角度傾いた姿
勢である。なお、所定角度は前述の通り、本実施形態で
は15°である。
【0032】作業者は、スプリング75の付勢力に抗し
て、レーザ距離計60を距離計マウント70と共にスラ
イダ50の距離計設置部55から引き離す。すると、図
7に示すように、距離計マウント70の凸部73が距離
計設置部55の姿勢選択溝56から外れ、レーザ距離計
60は距離計マウント70と共にボルト74を中心とし
て回動自在となる。つまり、レーザ距離計60は自由な
姿勢をとることができるフリーな状態になる。
【0033】この状態でレーザ距離計60を鉛直上向き
の姿勢になるようにしてから、再び凸部73を姿勢選択
溝56にはめ込むと、凸部73は姿勢選択溝56のうち
正方形SQ1(図5(a)参照)にはめ込まれ、スプリ
ング75の付勢力によりその姿勢にセットされる(図8
(a)参照)。
【0034】あるいは、フリーな状態のレーザ距離計6
0を鉛直方向から線路側に所定角度傾いた姿勢になるよ
うにしてから、凸部73を姿勢選択溝56にはめ込む
と、凸部73は姿勢選択溝56のうち正方形SQ2(図
5(a)参照)にはめ込まれ、スプリング75の付勢力
によりその姿勢にセットされる(図8(b)参照)。
【0035】あるいは、フリーな状態のレーザ距離計6
0を鉛直方向からホーム側に所定角度傾いた姿勢になる
ようにしてから、凸部73を姿勢選択溝56にはめ込む
と、凸部73は姿勢選択溝56のうち正方形SQ3(図
5(a)参照)にはめ込まれ、スプリング75の付勢力
によりその姿勢にセットされる(図8(c)参照)。
【0036】次に、第1〜第3測定点A〜Cを測定する
場合について、図9に基づいて説明する。図9は、建築
限界測定器の使用状態を表す説明図である。まず、第1
測定点Aのように、作業者が建築限界測定器1を支持し
ている位置(つまり測定作業位置)のほぼ真上に存在す
る構造物を測定するには、レーザ距離計60を鉛直上向
きの姿勢(図8(a)参照)にセットする。
【0037】続いて、作業者は、第1本体ビーム10の
レール係合部11,11をレールR,Rに係合させ、第
1本体ビーム10をレールR,Rに直交する姿勢となる
ようにセットする。また、第3本体ビーム30を、ホー
ムよりも高い所定位置(第2本体ビーム20の長さによ
って決まる)にてレールR,Rと直交し且つ水平な状態
となるように支持する。
【0038】続いて、スライダ50の蝶ネジ54を緩
め、レーザ距離計60を第3本体ビーム30に沿ってス
ライドさせ、第1測定点Aの真下で停止させる。そし
て、蝶ネジ54を締めてスライダ50をロックする。こ
れにより、レーザ距離計60は第1測定点Aの真下に位
置決めされる。なお、レーザ距離計60が第1測定点A
の真下に位置しているか否かは、レーザ距離計60の測
定ボタンを押して赤色のレーザ光の点が第1測定点A上
に表れたか否かによって容易に確認できる。
【0039】その後、レーザ距離計60の図示しない測
定ボタンを押してレーザ光を第1測定点Aに照射し、そ
のときのレーザ距離計60の液晶表示部61に表示され
た数値を第1測定点Aまでの距離(距離Ly)として記
録する。引き続き、レーザ距離計60を第1測定点Aの
真下に位置決めした状態で、レーザ距離計60を距離計
マウント70と共にスライダ50の距離計設置部55か
ら引き離す。すると、図7に示すように、距離計マウン
ト70の凸部73が距離計設置部55の姿勢選択溝56
から外れ、レーザ距離計60は距離計マウント70と共
に自由な姿勢をとることができるフリーな状態になる。
この状態でレーザ距離計60を鉛直上向きの姿勢から9
0°回転させて水平横向きの姿勢をとるようにし、凸部
73を姿勢選択溝56にはめ込む(図4参照)。このと
き、凸部73は姿勢選択溝56のうち正方形SQ1には
め込まれ、スプリング75の付勢力によりその姿勢にセ
ットされる。そして、レーザ距離計60の図示しない測
定ボタンを押してレーザ光をターゲットバー40に照射
し、そのときの液晶表示部61に表示された数値をレー
ル間の中心までの距離(距離Lx)として記録する。
【0040】そして、得られた距離Lx、Lyに基づい
て、建築限界と第1測定点Aとの離隔距離Dを下記数1
式(θ=90°)によって算出し、第1測定点Aが建築
限界を侵しているか否かを判断する。
【0041】
【数1】 次に、第2測定点Bを測定する場合について説明する。
第2測定点Bのように、作業者が建築限界測定器1を支
持している位置よりも線路側に存在する構造物を測定す
るには、レーザ距離計60を鉛直方向から線路側に所定
角度傾いた姿勢(図8(b)参照)にセットする。
【0042】続いて、作業者は、第1本体ビーム10の
レール係合部11,11をレールR,Rに係合させ、第
1本体ビーム10をレールR,Rに直交する姿勢となる
ようにセットする。また、第3本体ビーム30を、ホー
ムよりも高い所定位置にてレールR,Rと直交し且つ水
平な状態となるように支持する。
【0043】続いて、スライダ50の蝶ネジ54を緩
め、レーザ距離計60を第3本体ビーム30に沿ってス
ライドさせ、レーザ距離計60が第2測定点Bを照射で
きる位置で停止させ、蝶ネジ54を締めてスライダ50
をロックし、レーザ距離計60を位置決めする。なお、
レーザ距離計60が第2測定点Bを照射できる位置か否
かは、レーザ距離計60の測定ボタンを押して赤色のレ
ーザ光の点が第2測定点B上に表れたか否かによって容
易に確認できる。
【0044】その後、レーザ距離計60の図示しない測
定ボタンを押してレーザ光を第2測定点Bに照射し、そ
のときのレーザ距離計60の液晶表示部61に表示され
た数値を第2測定点Bまでの距離(距離Ly)として記
録する。引き続き、レーザ距離計60を位置決めしたま
まの状態で、レーザ距離計60を距離計マウント70と
共にスライダ50の距離計設置部55から引き離し、レ
ーザ距離計60を水平横向きの姿勢をとるようにし、凸
部73を姿勢選択溝56にはめ込む(図4参照)。そし
て、レーザ距離計60の図示しない測定ボタンを押して
レーザ光をターゲットバー40に照射し、そのときの液
晶表示部61に表示された数値をレール間の中心までの
距離(距離Lx)として記録する。
【0045】そして、得られた距離LX、LYに基づい
て、建築限界と第2測定点Bとの離隔距離Dを前述の数
1式(θ=75°)によって算出し、第2測定点Bが建
築限界を侵しているか否かを判断する。次に、第3測定
点Cを測定する場合について説明する。第3測定点Cの
ように、作業者が建築限界測定器1を支持している位置
よりもホーム側に存在する構造物を測定するには、レー
ザ距離計60を鉛直方向からホーム側に所定角度傾いた
姿勢(図8(c)参照)にセットする。
【0046】続いて、作業者は、第1本体ビーム10の
レール係合部11,11をレールR,Rに係合させ、第
1本体ビーム10をレールR,Rに直交する姿勢となる
ようにセットする。また、第3本体ビーム30を、ホー
ムよりも高い所定位置にてレールR,Rと直交し且つ水
平な状態となるように支持する。
【0047】続いて、スライダ50の蝶ネジ54を緩
め、レーザ距離計60を第3本体ビーム30に沿ってス
ライドさせ、レーザ距離計60が第3測定点Cを照射で
きる位置で停止させ、蝶ネジ54を締めてスライダ50
をロックし、レーザ距離計60を位置決めする。なお、
レーザ距離計60が第3測定点Cを照射できる位置か否
かは、レーザ距離計60の測定ボタンを押して赤色のレ
ーザ光の点が第3測定点C上に表れたか否かによって容
易に確認できる。
【0048】その後、レーザ距離計60の図示しない測
定ボタンを押してレーザ光を第3測定点Cに照射し、そ
のときのレーザ距離計60の液晶表示部61に表示され
た数値を第3測定点Cまでの距離(距離Ly)として記
録する。引き続き、レーザ距離計60を位置決めしたま
まの状態で、レーザ距離計60を距離計マウント70と
共にスライダ50の距離計設置部55から引き離し、レ
ーザ距離計60を水平横向きの姿勢をとるようにし、凸
部73を姿勢選択溝56にはめ込む(図4参照)。そし
て、レーザ距離計60の図示しない測定ボタンを押して
レーザ光をターゲットバー40に照射し、そのときの液
晶表示部61に表示された数値をレール間の中心までの
距離(距離Lx)として記録する。
【0049】そして、得られた距離Lx、Lyに基づい
て、建築限界と第3測定点Cとの離隔距離Dを前述の数
1式(θ=105°)によって算出し、第3測定点Cが
建築限界を侵しているか否かを判断する。以上の詳述し
たように、本実施形態の建築限界測定器1によれば、以
下の効果が得られる。
【0050】駅のホーム上でレーザ距離計60を用い
て測定するため、従来のように目盛を読み取る場合に比
べて、作業時間が短くなるうえ、測定点が建築限界を侵
しているか否かの判断の信頼性が高くなる。 駅のホーム上で測定作業を実施できるため、線路上で
測定作業を実施する場合に比べて安全性が高くなる。
【0051】レーザ距離計60は、上方に存在する物
体までの距離を測定する姿勢として、鉛直上向きの姿勢
のほか、鉛直上向きから所定角度だけ線路側又はホーム
側に傾いた姿勢(図8参照)を選択可能なように構成さ
れている。このため、第2測定点Bのように測定作業位
置よりも線路側にある測定点に対しては、鉛直上向きか
ら所定角度だけ線路側に傾いた姿勢を選択し、第3測定
点Cのように測定作業位置よりもホーム側にある測定点
に対しては、鉛直上向きから所定角度だけホーム側に傾
いた姿勢を選択すれば、レーザ距離計60のスライド量
を小さくすることができ、ひいては第3本体ビーム30
の長さを短くでき、装置全体がコンパクトになる。
【0052】第1〜第3本体ビーム10〜30はアル
ミニウム製のため、剛性・耐久性が高いうえ軽量化も図
られる。 第1本体ビーム10はレール間に相当する長さに設計
され、第3本体ビーム30はレール間の中心線からホー
ム側に所定の長さに設計され、第2本体ビーム20は第
1本体ビーム10から斜め上向きに延び出して第3本体
ビーム30を支持する形状に設計されているため、建築
限界測定器1を必要最小限の大きさにすることができ、
軽量化が図られる。
【0053】第1本体ビーム10は、絶縁樹脂からな
るレール係合部11,11を介してレールR,Rに接触
しているため、レールR,R同士が第1本体ビーム10
によって電気的に短絡するおそれがない。このため、レ
ールR,R同士が短絡すると信号機が赤になるように設
定されている場合に建築限界の測定を行ったとしても、
誤って信号機が赤に変わることはなく、列車運行上好ま
しい。
【0054】第1本体ビーム10はレール間に相当す
る長さであり、第2本体ビーム20は2つの分割ビーム
21,21に分割可能であり、第3本体ビーム30も板
状ビーム31と柱状ビーム32に分割可能であることか
ら、建築限界測定器1を運搬する際には、分割して一つ
のビームを1m強にすることができるため、容易に運搬
できる。
【0055】尚、本発明の実施の形態は、上記実施形態
に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に
属する限り種々の形態を採り得ることはいうまでもな
い。例えば、上記実施形態では、レーザ距離計60に表
示される数値(距離Lx、Ly)を作業者が読み取るよう
にしたが、レーザ距離計60に演算装置としてのノート
パソコンをケーブル又はコネクタを介して接続し、直接
データを伝送するようにしてもよい。この場合、作業者
が読み取る作業が不要なため作業性が一層向上し、作業
者を介さずにデータを処理するため信頼性が一層向上す
る。
【0056】また、上記実施形態では、上方に存在する
物体までの距離を測定するときのレーザ距離計60の姿
勢として、3つの姿勢を選択可能としたが、4つ以上の
姿勢を選択可能としてもよい。例えば、姿勢選択溝56
の形状につき、正方形SQ1〜SQ3を重ね合わせた形
状としたが、これを4つ以上の正方形を重ね合わせた形
状とすればよい。なお、本実施形態と異なる構成により
姿勢を選択可能としてもよい。
【0057】更に、第3本体ビーム30のホーム側の端
部に取っ手を設けて、作業者が作業し易いようにしても
よい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施形態の建築限界測定器の正面図であ
る。
【図2】 本実施形態の建築限界測定器の平面図であ
る。
【図3】 図1のA−A断面図である。
【図4】 図1の部分拡大図(二点鎖線で囲った部分)
である。
【図5】 スライダの説明図であり、(a)は正面図、
(b)は右側面図である。
【図6】 距離計マウントの説明図であり、(a)は正
面図、(b)は右側面図である。
【図7】 レーザ距離計の姿勢を変更する際の説明図で
ある。
【図8】 レーザ距離計が各種の姿勢をとったときの説
明図であり、(a)は鉛直上向きの姿勢、(b)は鉛直
方向から線路側に所定角度傾いた姿勢、(c)は鉛直方
向からホーム側に所定角度傾いた姿勢である。
【図9】 本実施形態の建築限界測定器の使用状態を表
す説明図である。
【図10】 従来の建築限界測定器の使用状態を表す説
明図である。
【符号の説明】
1・・・建築限界測定器、10・・・第1本体ビーム、
11・・・レール係合部、20・・・第2本体ビーム、
21・・・分割ビーム、30・・・第3本体ビーム、3
1・・・板状ビーム、32・・・柱状ビーム、35・・
・ガイド溝、40・・・ターゲットバー、50・・・ス
ライダ、56・・・姿勢選択溝、57・・・貫通孔、6
0・・・レーザ距離計、61・・・液晶表示部、70・
・・距離計マウント、73・・・凸部、74・・・ボル
ト、75・・・スプリング、76・・・ナット、A・・
・第1測定点、B・・・第2測定点、C・・・第3測定
点。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 駅のホーム上で列車の建築限界を測定す
    るための建築限界測定器であって、 一対のレールに係合されて所定姿勢になるようにセット
    される下方土台部材と、 前記下方土台部材が前記所定姿勢にセットされたとき、
    ホームよりも高い所定位置にて前記レールと直交し且つ
    水平な状態で支持される上方水平部材と、 前記上方水平部材に設けられ、前記下方土台部材が前記
    所定姿勢にセットされたとき、前記レール間の中心線上
    に位置決めされる照射用プレートと、 前記上方水平部材にて水平方向にスライド可能に設けら
    れ、前記照射プレートまでの距離を測定する第1姿勢及
    び上方に存在する物体までの距離を測定する第2姿勢の
    いずれかにセットされる光照射型距離計とを備えたこと
    を特徴とする建築限界測定器。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の建築限界測定器におい
    て、 前記光照射型距離計は、前記第2姿勢として、鉛直上向
    きの姿勢のほか、鉛直上向きから所定角度だけ傾いた姿
    勢を選択可能なことを特徴とする建築限界測定器。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の建築限界測定器におい
    て、 前記光照射型距離計は、前記第2姿勢として、鉛直上向
    きの姿勢のほか、鉛直上向きから所定角度だけ線路側又
    はホーム側に傾いた姿勢を選択可能なことを特徴とする
    建築限界測定器。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の建築限
    界測定器であって、 前記下方土台部材と前記上方水平部材とを接続し、前記
    下方土台部材が前記所定姿勢にセットされたとき、前記
    上方水平部材を前記所定位置にて前記レールと直交し且
    つ水平な状態で支持する接続部材を備え、 前記下方土台部材、前記上方水平部材及び前記接続部材
    は、いずれもアルミニウムを主原料とする金属で作製さ
    れていることを特徴とする建築限界測定器。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の建築限界測定器であっ
    て、 前記下方土台部材は前記レール間に相当する長さとし、
    前記上方水平部材は前記レール間の中心線からホーム側
    に向かって所定の長さとし、前記接続部材は前記下方土
    台部材から斜め上向きに延び出して前記上方水平部材を
    支持する形状とすることを特徴とする建築限界測定器。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の建築限
    界測定器であって、 前記下方土台部材は、電気的に絶縁された状態でレール
    と接触することを特徴とする建築限界測定器。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかに記載の建築限
    界測定器であって、 少なくとも前記上方水平部材と前記接続部材は2つ以上
    に分割可能なことを特徴とする建築限界測定器。
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