JP2001303880A - プラズマ破砕装置用プローブ - Google Patents

プラズマ破砕装置用プローブ

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JP2001303880A JP2000124459A JP2000124459A JP2001303880A JP 2001303880 A JP2001303880 A JP 2001303880A JP 2000124459 A JP2000124459 A JP 2000124459A JP 2000124459 A JP2000124459 A JP 2000124459A JP 2001303880 A JP2001303880 A JP 2001303880A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】岩石等を破壊するプラズマ破砕装置において、
プローブを鋼材等の磁性材料で構成するとインダクタン
スが大きくなり、早い立ち上がりをもったパルス電流を
効率よく供給することが出来ない。 【解決手段】プローブのインダクタンスに寄与する部分
の材料を全て非磁性材料とすることにより、パルス電流
の立ち上がりをなまらせることなくプローブ先端まで導
くことが出来、強力な破壊力を得ることが可能となっ
た。また、プローブ導体の表面層のみを非磁性材料と
し、あるいは導体表面に凹部を設けることによっても同
様の効果を得ることが出来る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、岩石などを破砕す
るためのプラズマ破砕装置に関する。
【0002】
【従来の技術】プラズマ破砕技術(PBT)は、例えば
特開平4−222794号公報に示されるように、破砕
対象となる岩石等にドリル等で予めあけた穴に電解液お
よび破壊電極であるプローブを挿入し、コンデンサバン
ク、スイッチ等から構成されるパルスパワー電源から供
給される高電圧パルス電流によって、プローブ先端での
放電を生じさせ、当該放電部分での電解液が放電エネル
ギーによってプラズマ化することによって発生する衝撃
波によって岩石等を破壊する技術である。図4にPBT
の構成を示す。図4において、1はプローブであり、先
端を破砕対象に取り付けた後、パルスパワー電源3から
供給されるパルス電流をケーブル2を通じてプローブ先
端に送ると、プローブ1の先端において放電が生じる。
【0003】ここで、プローブ1の代表的な構造は、例
えば図5に断面構造(図5(A)は縦断面図、(B)は
正面図)を示すように、絶縁された同軸構造の導体4
1,42で構成されており、当該導体を収納するケース
(図示せず)やパルス電流を供給するケーブル2との接
続部等を必要に応じて加えた装置である。プローブは岩
石等の穴中に挿入されて先端での放電を発生させる役割
をもつ。
【0004】従って、プローブは先端で発生する衝撃波
に耐える強度と、岩石への挿入やその他の作業中に容易
に破損したり曲がることのない堅牢な構造が要求され、
主たる構成材料は鋼であった。
【0005】鋼は導体としては導電率が低く一般的では
ないが、かかる理由から強度を得る目的で安価に使用さ
れるものとして選択されており、この点は例えば同種の
プローブに関する特表平11−500799号公報にも
「銅、黄銅、鋼、(中略)エルコナイト、ニッケル等か
ら作製できる。鋼は、変形を受け難く安価でかつ容易に
入手できるので最も好ましい」と示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】鋼など磁性体を導体材
料として用いてプローブを作成した場合、プローブのイ
ンダクタンスが大となるため急峻なパルス入力が難しい
という問題があった。
【0007】すなわちプラズマ衝撃波を生じるには急峻
な立ち上がりを有するパルス電流をプローブに供給し
て、先端における放電を生じる必要があるが、プローブ
のインダクタンスが大きいと高周波電流に対する抵抗が
大きくなるために低周波成分のみが通過しやすくなり、
プローブ先端に急峻なパルスが伝達されない。つまりパ
ルスの立ち上がり部の電流増加率をパワー増加率として
急峻さを表すとすれば、インダクタンスの大きいプロー
ブではパワー増加率の小さい電流しか入力出来ないと言
うことになる。
【0008】プローブのインダクタンスは一般的に電磁
気学において知られているように構成材料の透磁率に応
じて、透磁率が大きくなるとインダクタンスが大きくな
る。これは導体構造が同軸構造か並行導体構造かによら
ない。
【0009】PBTにおける破砕能力は入力する電流の
パワー増加率にも関連しており、パワー増加率が大き
い、すなわち急峻な電流を入力する方が大きな破砕能力
を得られるため、鋼を使用したプローブではその性能に
限界があった。
【0010】一方、導電率を重視して導体材料を鋼以外
の導体材料、例えば銅にて構成した場合、プローブ自体
に十分な強度が得られないという問題があった。
【0011】
【課題を解決するための手段】(解決手段1)本発明
は、上記の課題を解決し、パワー増加率の大きな電流を
入力するためになされたものであり、その構成は以下の
通りである。
【0012】プローブを構成する導体および絶縁材料の
うちプローブに流すパルス電流により生ずる磁束が交差
する領域の材料を非磁性材料のみで構成した。
【0013】これにより、インダクタンスを大きくする
ことなくプローブを構成することができ、パルス電流の
高周波成分に対する抵抗値を下げ、パワー増加率の大き
な電流をプローブ先端に与えることが可能となる。
【0014】ここで、インダクタンスに影響するのは、
構成材料の内、電流によって生じる磁束が交差する領域
の材料であり、透磁率の大きい材料中を磁束が鎖交する
ことにより磁気回路としての磁気抵抗が小さくなり、そ
の結果としてインダクタンスが大きくなる。
【0015】電流によって生じる磁束が交差する領域と
は、導体が同軸構造であり中心導体と外部導体を電流が
往復する場合には、導体内を電流が均一に流れる場合に
は外部導体に囲まれた内部の領域であり、外部導体の外
側は往復電流により生ずる磁場がうち消す関係になるた
め該当しない。現実には往復電流の差分としての誤差分
だけ外部に磁場が形成されるが無視できる量としてここ
では考えないこととする。
【0016】したがって、中心導体と外部導体を含む外
部導体に囲まれた部分を主に構成する材料を非磁性体材
料とすることによりインダクタンスを小さくすることが
可能である。
【0017】導体が平行導体の場合は、うち消されるこ
とがないために理論上は導体内外を含む全空間に磁束が
生じることになる。したがって導体の周囲に配される部
材の材料においても非磁性体を使用する必要がある。
【0018】ここで、導体に使用出来る非磁性体として
は、ステンレス鋼、アルミニウムおよびアルミニウム合
金、銅、および銅合金、などが考えられ、硬度の点では
ステンレス鋼が望ましく、アルミニウム合金なども適し
ている。一方導電率の点を重視すると銅、アルミニウム
およびそれらの合金が好ましく、これらは適宜選択可能
である。
【0019】(解決手段2)プローブの強度を落とすこ
と無く、パワー増加率の大きなプラズマ破砕装置用プロ
ーブを得る方法として、電流の往路および復路を構成す
る導体の一方あるいは両方を2層以上の複数層構造と
し、当該複数層の内の、往路と復路の導体を絶縁する絶
縁層に接する側の層を非磁性材料で構成し、残りの層を
磁性材料または非磁性材料で構成した。
【0020】導体を電流が流れる場合、その電流が高周
波になるほど、電流は導体表面のみを流れることが知ら
れており、この導体表面の電流が流れる領域の厚さは
「表皮厚さ」と呼ばれる。
【0021】プローブに流れる電流は、高周波成分を多
く含むパルス電流であるため、その立ち上がりのはやさ
を決める主な電流成分は一定の表皮厚さをもって導体の
表面を流れることとなり、同軸構造の場合には、中心導
体と外部導体それぞれの互いに向き合う表面に電流が流
れる。
【0022】従って、導体構造および材料と電流の周波
数によってきまる表皮厚さ部分のみを非磁性体で構成す
れば導体のインダクタンスを小さく抑えることが可能で
あり、電流の高周波成分に対する抵抗値を下げることが
できる。
【0023】この構成によれば、パルス電流の立ち上が
りに寄与する高周波電流が実質的に流れない部分につい
ては磁性体である鋼材料を用いてもよく、プローブの強
度を落とすことなく、パワー増加率を大きく保つことが
可能である。
【0024】(解決手段3)また別の構造としてプロー
ブの強度を落とすこと無く、かつ安価な磁性材料を使用
する手段として 絶縁材料で離隔された往路および復路
の導体が内部導体と外部導体とからなる同軸構造をなし
ており、中心導体の外側表面または外部導体の内側表面
の少なくとも一方の表面に長手方向に溝を形成こととし
た。
【0025】同軸構造の導体においては、中心導体の電
流の向きに対して、いわゆる右ネジの法則により電流を
周回する向きに磁束が生じる。導体が磁性体の場合は磁
束の大部分が磁性体内を鎖交し、導体表面を周回するよ
うに磁気回路を形成する。
【0026】当該磁気回路において、導体表面に溝、す
なわち凹部を形成すると、磁気回路内に空隙を構成する
ことになり、磁気抵抗を大きくすることができる。そし
て磁気抵抗を大きくすることは等価的に透磁率を下げて
インダクタンスを低減することになる。したがって、導
体材料に磁性体を使用しても、上述の非磁性体を使用す
る方法に近い効果が得られ、インダクタンスの低下によ
り電流の高周波成分に対する抵抗値を下げ、早い立ち上
がりの電流すなわちパワー増加率の大きな電流注入を実
現することが可能となるのである。
【0027】なお、空隙を形成する方法であれば、導体
自体を複数に分割した構造としても良い。
【0028】
【発明の実施の形態】(解決手段1)図1は解決手段1
の構成によるプローブの例であり、(A)は縦断面図、
(B)は正面図である。本図では中心導体62および外
部導体61が絶縁体5で隔たれて同軸構造をなす場合を
示している。中心導体と外部導体はそれぞれ電流の往路
および復路としての役割を果たすが、いずれが往路かと
いう決まりはない。プローブの基本機能としては中心導
体、外部導体、絶縁体により構成されるが、プローブ全
体の強度保持あるいは外傷保護等の必要に応じてケーシ
ング7を設ける場合もある。
【0029】また、高周波パルス電流を、パルスパワー
電源から効率よく供給するためにはケーブルは同軸構造
が好ましく、そのため、ケーブルと接続しやすい同軸構
造のプローブとするのが一般的である。しかし、電流の
往路及び復路をなす導体は必ずしも同軸構造である必要
はなく、2本の導体を平行に並べ、絶縁体で隔離したよ
うな、いわゆる平行導体であってもよい。さらには、1
本あるいは複数本で構成する中心導体の周囲に複数本の
外部導体を配置して同軸構造に類似の構造とすることな
ども考えられる。
【0030】ここで、中心導体62および外部導体61
の導体材料は非磁性体のみで構成される。材料には上述
の通り銅(軟銅、硬銅および銅合金を含む)、アルミ
(純アルミおよびアルミ合金を含む)、ステンレススチ
ールなどが考えられる。非磁性体金属であれば、いかな
る金属も可能であるが、例えばプローブの軽量化のため
にはアルミが望ましく、導電率を重視するためには銅が
望ましく、機械強度を重視する場合にはステンレススチ
ールが望ましいなど、設計者の選択が可能である。
【0031】さらには、往路および復路の導体は別々の
材料で構成することも可能である。例えば、中心導体は
導電率の良い銅を用い、外部導体として強度の強いステ
ンレススチールを用いる場合である。この組み合わせと
しては、この他に銅とアルミ、アルミとステンレススチ
ールなども可能であり、もちろん他の非磁性金属を用い
る場合はその組み合わせも可能である。
【0032】図1では中心導体は棒材としているが、電
流の表皮効果、コスト低減、軽量化等の観点からパイプ
材料を使用することも可能である。
【0033】導体間の絶縁離隔としての絶縁材料は、一
般的にはエポキシ樹脂やポリエチレン、ポリビニル等が
用いられるが、その他にも磁器、紙、ポリエチレンテレ
フタレートなど電力ケーブルや電力機器の等の絶縁に用
いられる非磁性材料であれば特に本発明の効果において
限定するものではない。
【0034】さらに、同軸構造の場合の外部導体の外側
は電流による磁束が交差せずインダクタンスに影響しな
いため、材料の限定はなく、例えば図1の例ではプロー
ブの補強材として磁性体である鉄材料で構成したケーシ
ング7を設けている。ケーシングは必要に応じて設けれ
ば良く必須ではない。
【0035】(解決手段2)図2に導体を二層構造とし
て高周波電流が流れる表面層のみを非磁性材料とした例
を示す。この例では、中心導体を鋼の心材82aと銅の
表面材82bによって構成し、外側導体を同じく銅の内
面材81bと鋼の表面材81aによって構成した。銅の
代わりに非磁性材料であるアルミ等上述の非磁性金属を
用いても良い。
【0036】中心導体の表面材あるいは外部導体の内面
材である非磁性材料の厚さは、通電するパルス電流の周
波数成分と使用する材料の導電率に応じて計算される表
皮厚さ以上とすれば効果的である。
【0037】ただし、中心導体または外部導体の一方の
みを二層構造にしたり、非磁性材料の厚さを表皮厚さ以
下とすることも、効果が比較的低減する不利益はあるも
のの、製造性やコスト等とのバランスを考慮して選択可
能であることは言うまでもない。
【0038】さらに、二重構造にする範囲は導体全長で
ある方が好ましいが、必ずしも全長でなくともインダク
タンスの低減には効果がある。よって導体端部等の加工
性を考慮して可能な部分のみを二重構造とすることでも
良い。
【0039】二重構造の2つの層は、芯材の表面に表面
材をめっきで構成したり、テープ状の表面材を芯材に巻
き付けたり、表面材のパイプに芯材を挿入するなどの構
造が考えられる。芯材と表面材は電気的に一体と見なさ
れるように導通していれば機械的に全長が接着されて一
体になっているという意味の二重構造になっていること
は必ずしも必要ではない。
【0040】ここで、二重構造の2つの層は必ずしも一
方のみを磁性材料にする必要がある訳ではなく、両方の
層に非磁性材料を使用しても良いことはもちろんであ
る。例えば芯材に強度の高いステンレススチールを使用
して表面材に導電率の高い銅を使用するなどである。こ
の他、アルミと銅、ステンレルスチールとアルミなども
可能である。
【0041】(解決手段3)図3は導体表面に長手方向
に連続する溝を形成した構造であり、(A)はプローブ
の縦断面図、(B)は正面図を示す。中心導体42の表
面に溝83が構成され、外部導体41の内面に2つの溝
83が構成されている。上述のように、インダクタンス
は導体横断面内を周方向に鎖交するところの磁束に起因
しており、この方向に透磁率が高くなるとインダクタン
スが大きくなる。そこで、磁性体である導体の断面にお
いて空隙を設けることにより周方向の透磁率を等価的に
小さくし、インダクタンスを小さくしたものである。
【0042】ここで、図3では中心導体に溝を1本、外
部導体には溝を2本設けているが、本数を限定するもの
ではない。また、溝内を埋める材料は非磁性体であれば
良く、絶縁体で充填されても、あるいは気体による空隙
でも、さらには他の非磁性金属により埋めることによっ
て導電率を下げる効果を併せ持つ構造であっても良い。
【0043】
【発明の効果】以上のように、本発明ではPBTにおけ
るプローブを非磁性体のみで構成し、またはプローブ中
の導体材料のうち電流の流れる割合の多い部分のみを非
磁性体で構成し、あるいは磁性体材料を使用した材料の
一部に磁気抵抗を大きくする空隙を設けたので、プロー
ブのインダクタンスを低減させることが出来、高周波成
分を含むパルス電流を、その急峻な立ち上がりを保持し
たまま効率よく先端に伝えることができるため、衝撃破
壊力の大きいPBTを構成することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の導体に非磁性材料を使用したプローブ
の断面構造例で、図1(A)は縦断面図、図1(B)は
正面図である。
【図2】本発明の導体を二重構造としたプローブの断面
構造例で、図2(A)は縦断面図、図2(B)は正面図
である。
【図3】本発明の導体表面に溝を設けたプローブの例で
ある断面構造例で、図3(A)は縦断面図、図3(B)
は正面図である。。
【図4】従来技術に基づくプラズマ破砕装置の概念図で
ある。
【図5】従来技術に基づくプラズマ破砕装置のプローブ
を示す断面構造例で、図5(A)は縦断面図、図5
(B)は正面図である。
【符号の説明】
1 プローブ 2 ケーブル 3 パルスパワー電源 41 外部導体 42 中心導体 5 絶縁体 61 非磁性体外部導体 62 非磁性体中心導体 7 ケーシング 81a 外部導体磁性体部分 81b 外部導体非磁性体部分 82a 中心導体磁性体部分 82b 中心導体非磁性体部分 83 溝

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】絶縁材料で離隔された往路および復路の導
    体が平行に有し、該導体に流すパルス電流によって生じ
    る磁束が交差する領域にある前記絶縁材料および導体材
    料が非磁性材料からなることを特徴とするプラズマ破砕
    装置用プローブ。
  2. 【請求項2】絶縁材料で離隔された往路および復路の導
    体が平行に有し、該導体の一方あるいは両方が2層以上
    の複数層構造であって、該複数層の内の、上記絶縁材料
    に接する側の層を非磁性体材料で構成したことを特徴と
    するプラズマ破砕装置用プローブ。
  3. 【請求項3】絶縁材料で離隔された往路および復路の導
    体が内部導体と外部導体とからなる同軸構造をなし、前
    記中心導体の外側表面または外部導体の内側表面の少な
    くとも一方の表面には長手方向に形成した溝を有するこ
    とを特徴とするプラズマ破砕装置用プローブ。
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