JP2001303363A - ビニロン導電糸 - Google Patents
ビニロン導電糸Info
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Abstract
ールを使用することができ、繊維の長さ方向に安定、か
つ優れた導電性を有し、さらに強度などの機械的特性に
も優れたビニロン導電糸を提供する。 【解決手段】 繊維中に導電性カーボン微粒子を5〜20
質量%含むビニロン導電糸であって、導電糸の長さ方向
において式(1)で算出される比抵抗の値が101〜107Ω
cm、比抵抗の最大値と最小値との関係が式(2)を満足
し、かつ強度が2.5cN/dtex以上である。 比抵抗 = 抵抗値×断面積 ・・・(1) 比抵抗の最大値/最小値 ≦ 102 ・・・(2)
Description
安定、かつ優れた導電性を有し、しかも強度などの機械
的特性にも優れたビニロン導電糸に関するものである。
電性カーボン微粒子(以下、単にカーボン微粒子と略記
する。)からなる導電糸はよく知られているが、繊維に
良好な導電性を付与するためには繊維中に多量のカーボ
ン微粒子を含有させる必要があり、その結果、機械的特
性は低下し、一般に繊維の強度は2.5cN/dtexより低いも
のであった。このため、特定の衣料用途など限られた用
途に展開されているに過ぎない。
ビニロン繊維においてもカーボン微粒子を使用した導電
糸の製造法が特公昭54−44775号公報に開示され
ており、強度的には問題のない導電糸が得られている。
しかしながら、この製造法によれば、導電性を付与する
ためにはカーボン微粒子の添加量を20〜60質量%とする
必要があり、大幅なコストアップとなる上に、紡糸調子
が不良となるため、残存酢酸基量が特定のポリビニルア
ルコールを使用する必要がある。このことは導電糸製造
用に紡糸原液タンクを別途設置しなければならず、多額
の設備投資や設置スペースの確保などの種々の問題を伴
うものであった。
な問題点を解決するものであって、通常のビニロン繊維
製造用ポリビニルアルコールを使用することができ、カ
ーボン微粒子の含有量が少なくても、繊維の長さ方向に
安定かつ優れた導電性を有し、さらに強度などの機械的
特性にも優れたビニロン導電糸を提供することを技術的
な課題とするものである。
を解決するために、カーボン微粒子の添加量と紡糸延伸
条件などを鋭意検討した結果、本発明に到達した。すな
わち、本発明は、繊維中に導電性カーボン微粒子を5〜
20質量%含むビニロン導電糸であって、導電糸の長さ方
向において下記式(1)で算出される比抵抗の値が101
〜107Ωcm、比抵抗の最大値と最小値との関係が下記式
(2)を満足し、かつ強度が2.5cN/dtex以上であること
を特徴とするビニロン導電糸。 比抵抗 = 抵抗値×断面積 ・・・(1) 比抵抗の最大値/最小値 ≦ 102 ・・・(2) ここで、抵抗値は繊維長10cmでの電気抵抗値を単位長当
たりに換算した値(Ω/cm)であり、断面積は繊維の繊
度から密度補正して算出した断面積(cm2)である。そ
して、比抵抗の値は、これらの抵抗値と断面積を繊維の
長さ方向における任意の30箇所の測定から求めた平均値
である。(2)式の比抵抗の最大値および最小値は、繊
維の長さ方向における任意の30箇所より求めた比抵抗の
値中の最大値および最小値である。
する。本発明のビニロン導電糸は少なくともポリビニル
アルコールとカーボン微粒子で構成されるものであり、
カーボン微粒子の含有量は繊維全体の5〜20質量%とす
る必要があり、さらに好ましい含有量は10〜18質量%で
ある。カーボン微粒子の含有量が5質量%未満の場合は
導電性が著しく低下したり、導電性能のバラツキが大き
くなり、いずれも十分な導電性能を有していないものと
なる。一方、20質量%を超える場合は紡糸調子が不良と
なったり、毛羽や糸切れが発生しやすくなり、得られる
繊維の品位が低下する。
量を5〜20質量%とすることにより通常のビニロン繊維
製造用のポリビニルアルコールを用いることが可能とな
り、良好な紡糸調子を維持することができるのである。
ニルアルコールとしては、残存酢酸基量が0.6モル%
以下のものを挙げることができるが、本発明においては
残存酢酸基量が5モル%以下のものを使用することがで
きる。残存酢酸基量が5モル%を超えると凝固性が悪く
なり、安定な紡出ができないなどの問題が発生しやすく
なる。
販されている導電性カーボン微粒子を用いることがで
き、特に限定されるものではないが、紡糸安定性や繊維
の毛羽、糸切れ発生の抑制などの点から粒径が30μm以
下、さらには10μm以下のものを用いることが好まし
い。
て説明する。まず、導電糸の長さ方向において下記式
(1)で算出される比抵抗の値が101〜107Ωcmである。
比抵抗の値が101Ωcm未満の場合、導電性としては良好
であるが、カーボン微粒子の含有量が5〜20質量%の範
囲内では、安定して生産することが困難である。さら
に、本発明者等の研究によればカーボン微粒子を20質量
%より多量に添加したとしても、比抵抗を100Ωcmレベ
ルよりも低くすることは極めて困難であり、紡糸調子が
不良となったり、多量のカーボン微粒子添加によるコス
トアップなどの問題が生じる。一方、比抵抗の値が107
Ωcmを超える場合、導電性が低くなり、導電糸としての
性能が不十分で用途展開が困難となる。
下記式(2)を満足し、かつ強度が2.5cN/dtex以上であ
ることが必要である。この式は導電糸の長さ方向におけ
る比抵抗のバラツキを示すものであり、式(2)を満足
することは本発明において最も重要な要件である。 比抵抗の最大値/最小値 ≦102 ・・・(2) 比抵抗の最大値/最小値の値が102を超えると、導電糸
の長さ方向における比抵抗のバラツキが大きくなり過ぎ
て品質上のトラブルを引き起こす。
おける任意の30箇所で測定した比抵抗の値のうち最大値
と最小値を用いる。各比抵抗の値は抵抗値と断面積から
式(1)により算出することができるが、抵抗値は繊維
長10cmでの電気抵抗値を単位長当たりに換算した値(Ω
/cm)である。
ントやマルチフィラメントの長繊維であっても、紡績糸
のような短繊維であっても、便宜上断面が真円のモノフ
ィラメントと仮定して繊維の総繊度から密度補正して算
出した断面積(cm2)を用いる。
と共に強度が2.5cN/dtex以上である。強度が2.5cN/dtex
未満の場合であっても、ナイロンやポリエステル導電糸
のように特定の衣料用途に展開できないことはないが、
非衣料用途、産業資材用途に展開するためには少なくと
も2.5cN/dtex以上の強度が必要であり、4.0cN/dtex以上
であることがより好ましい。
導電糸の製造過程で延伸倍率を高くする必要があり、一
方では延伸倍率を高くすると長さ方向における比抵抗の
バラツキが大きくなり式(2)を満足しなくなる。ま
た、カーボン含有量を20質量%よりも高くすると紡糸調
子が不良となるばかりでなく、延伸時に毛羽や糸切れが
発生しやすくなるといった問題が生じる。
ビニロン繊維製造用ポリビニルアルコールを用いても紡
糸調子が良好な条件として、まずカーボン含有量を20質
量%以下の範囲とし、カーボン微粒子の含有量や延伸倍
率と比抵抗との関係、さらに強度との関係などを詳細に
検討することにより、特定範囲の条件を選定すれば、本
発明の要件をすべて満足する導電糸が安定して得られる
ことを見出したのである。
してポリビニルアルコール、カーボン微粒子、ホウ酸及
び水を主要成分とする紡糸原液から製造する方法を例に
説明するが、本発明のビニロン導電糸はこの製造方法に
限定されるものではない。
る場合、一般にノズルからの紡出後、凝固、中和、湿
熱、水洗、乾燥、熱延伸などの工程を経て捲き取られ
る。通常のビニロン繊維を製造する場合には、凝固から
熱延伸工程までの全延伸倍率を10数倍とすることが一般
的であるのに対し、前記式(2)を満足するためには12
倍以下とすることが好ましい。一方、強度を2.5cN/dtex
以上とするためには、延伸倍率を3.0倍以上、さらには
3.5倍以上とすることが好ましい。
でカーボン微粒子の含有量を低減するに伴い、低下させ
ることが好ましく、カーボン微粒子の含有量を1質量%
低下させた場合、全延伸倍率を0.2〜2.0倍低下させるこ
とが好ましい。特にカーボン含有量が10〜18質量%の場
合、このように全延伸倍率を適正化することにより強度
が4.0cN/dtex以上となる繊維を得ることができる。
る。なお、実施例における比抵抗の値は次の方法により
算出した。紙管に捲き取られた繊維を引き出し、任意の
箇所で10cmより少し長くなるように切り取り、これを30
回繰り返し、試料30本を採取する。各試料の両端付近
に、その間隔が10cmとなるように少量の銀ペーストまた
はアルミ箔で繊維表面を包んだ後、20℃×65%RHの室内
にすべての試料を無緊張状態で24時間静置する。しかる
後、東亜電波工業社製超絶縁計SM-8220を用い、2本の
測定棒をそれぞれ試料の両端付近にある銀ペーストまた
はアルミ箔の部分に接続し、試料10cmの電気抵抗値を測
定した。この電気抵抗値を単位長当たりに換算した抵抗
値と繊維の総繊度から算出した断面積を用い、式(1)
にしたがって比抵抗の値を求めた。 比抵抗(Ωcm)= 抵抗値(Ω/cm)×断面積(cm2) ・・・(1) なお、電気抵抗値を測定するに際し、外部要因の影響を
抑制するため東亜電波工業社製遮蔽箱SME-8350の中に試
料を入れて測定した。また、測定電圧は500Vを標準と
したが、500Vで測定できない場合(試料の電気抵抗値
が相当低い場合)には電圧を250V、100V、50V、25
V、10Vと順次下げ測定可能な最大電圧にて測定した。
が17質量%、ポリビニルアルコールに対するホウ酸の濃
度が1.3質量%となるように熱水に溶解し原液を調製し
た。この原液をノズルに送液する配管の途中にラインミ
キサーを設置し、カーボン微粒子の濃度が15.1質量%の
水分散液(大日本インキ化学工業社製、商品名 VISCO B
LACK 1056、粒径10μm以下)を注入すると共に原液と混
合し最終の紡糸原液とした。その後、ノズルから凝固浴
中に紡出し、中和、湿熱、水洗、乾燥、熱延伸の各工程
を経て捲き取り、ビニロン導電糸1100dtex/250fを得
た。このとき、繊維中のカーボン微粒子の含有量、全延
伸倍率を表1に示すように種々変更して行った。得られ
た導電糸の比抵抗の値、比抵抗の最大値/最小値、強度
の評価結果を表1に示す。
ビニロン導電糸は導電性のばらつきも小さく良好な導電
性能を有し、強度にも優れていた。特にカーボン微粒子
の含有量が13質量%と18質量%の場合、強度に優れてい
た。一方、比較例1の導電糸はカーボン微粒子の含有量
が少なすぎたため、導電性能が不十分であり、強度も低
かった。比較例2の導電糸は延伸条件が適切でなかった
ため、比抵抗のバラツキが大きく、導電性能に劣るもの
であった。比較例3の導電糸は、カーボン微粒子の含有
量が多すぎたため、紡糸調子が不調で得られた繊維は多
数の毛羽が生じており、実質的に使用できるものではな
かった。
維製造用ポリビニルアルコールを使用しても安定に製造
することが可能であり、しかも繊維の長さ方向に安定、
かつ優れた導電性を有し、さらに強度などの機械的特性
にも優れているため、衣料用途から産業資材用途まで広
範囲の分野に使用することが可能である。
Claims (1)
- 【請求項1】 繊維中に導電性カーボン微粒子を5〜20
質量%含むビニロン導電糸であって、導電糸の長さ方向
において下記式(1)で算出される比抵抗の値が101〜1
07Ωcm、比抵抗の最大値と最小値との関係が下記式
(2)を満足し、かつ強度が2.5cN/dtex以上であること
を特徴とするビニロン導電糸。 比抵抗=抵抗値×断面積 ・・・(1) 比抵抗の最大値/最小値≦102 ・・・(2) ここで、抵抗値は繊維長10cmでの電気抵抗値を単位長当
たりに換算した値(Ω/cm)であり、断面積は繊維の繊
度から密度補正して算出した断面積(cm2)である。そ
して、比抵抗の値は、これらの抵抗値と断面積を繊維の
長さ方向における任意の30箇所の測定から求めた平均値
である。(2)式の比抵抗の最大値および最小値は、繊
維の長さ方向における任意の30箇所より求めた比抵抗の
値中の最大値および最小値である。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2000115170A JP4383628B2 (ja) | 2000-04-17 | 2000-04-17 | ビニロン導電糸 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000115170A JP4383628B2 (ja) | 2000-04-17 | 2000-04-17 | ビニロン導電糸 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JP2001303363A true JP2001303363A (ja) | 2001-10-31 |
JP4383628B2 JP4383628B2 (ja) | 2009-12-16 |
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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-
2000
- 2000-04-17 JP JP2000115170A patent/JP4383628B2/ja not_active Expired - Fee Related
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