JP2001303149A - 希土類元素の分離方法及び希土類元素分離用組成物 - Google Patents

希土類元素の分離方法及び希土類元素分離用組成物

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哲也 宇田
Masahiro Hirasawa
政広 平沢
Toru Okabe
徹 岡部
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 希土類元素間の分離係数を飛躍的に増大で
き、従来法と比較して相互分離を効率よく行うことがで
きる希土類元素の分離方法を提供する 【解決手段】 複数の希土類又はその化合物を含む混合
物中の希土類元素をハロゲン化することにより、各々の
元素を互いに異なるイオンの平均価数を有するハロゲン
化物とする。但し、この場合、このハロゲン化物は水溶
液又は有機溶媒に溶解した状態でないものとする。その
後、蒸留、溶離等により、2価希土類ハロゲン化物と3
価希土類ハロゲン化物を分離することにより、希土類元
素を分離する。イオンの平均価数が異なる希土類元素に
おいては、2価希土類ハロゲン化物として得られる物質
中への収率と、3価希土類ハロゲン化物として得られる
物質中への収率が異なるので、蒸留、溶離等を繰り返せ
ば、最終的に希土類元素を分離することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数の希土類元素
又はその化合物を含む混合物から、当該希土類を分離す
る方法、及び希土類を分離するのに用いられる組成物に
関するものである。
【従来の技術】現在、希土類の相互分離プロセスは主
に、水溶液に含まれる希土類イオンを有機溶媒によって
抽出する溶媒抽出によって行われている。この際、希土
類イオンの性質の違いにより有機溶媒への抽出挙動が若
干異なるため、特定の希土類イオンを濃縮・分離するこ
とができる。例えば、希土類イオンA3+が、別の希土
類イオンB3+よりも有機溶媒に抽出されやすい場合、
3+イオンの濃縮した有機溶媒とB3+イオンが濃縮
した水溶液を得ることができる。
【発明が解決しようとする課題】しかし、この場合、3
価イオンの物理化学的性質が極めて類似しているために
1回の分離操作における分離度はわずかであり、一般に
個々の希土類元素を濃縮・分離する場合、数十段から数
百段の分離操作が必要である。この湿式法では精鉱の酸
溶解、ろ過、濃縮、中和、乾燥といった工程が必要不可
欠となっている。本発明はこのような事情に鑑みてなさ
れたもので、希土類元素間の分離係数を飛躍的に増大で
き、従来法と比較して相互分離を効率よく行うことがで
きる希土類元素の分離方法、及び希土類元素の分離に使
用される組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の第1の手段は、複数の希土類元素又はその化合物を含
む混合物中の希土類元素をハロゲン化することにより、
2種以上の希土類イオンの平均価数が2以上3以下の2
価3価混合希土類ハロゲン化物であって、水溶液又は有
機溶媒に溶解した状態でないものを含む混合物を製造
し、その後、2価希土類ハロゲン化物と3価希土類ハロ
ゲン化物の性質の違いを利用して、前記複数の希土類元
素を、少なくとも2つの群に分離することを特徴とする
希土類元素の分離方法(請求項1)である。本手段の骨
子は、2価希土類ハロゲン化物と3価希土類ハロゲン化
物が、蒸留、溶離等の分離工程において著しい性質の違
いを有することを利用して、予め、異なる希土類元素を
それぞれ異なるイオンの平均価数を有するハロゲン化物
とし、その後分離を行うことにより、希土類元素間の分
離係数を飛躍的に増大することにある。典型的には、2
種類の希土類又はその化合物を含む混合物中の希土類元
素をハロゲン化することにより、各々の元素を互いに異
なるイオンの平均価数を有するハロゲン化物とする。但
し、この場合、このハロゲン化物は水溶液又は有機溶媒
に溶解した状態でないものとする。その後、蒸留、溶離
等により、2価希土類ハロゲン化物と3価希土類ハロゲ
ン化物を分離することにより、希土類元素を分離する。
イオンの平均価数が異なる希土類元素においては、2価
希土類ハロゲン化物として得られる物質中への収率と、
3価希土類ハロゲン化物として得られる物質中への収率
が異なるので、蒸留、溶離等を繰り返せば、最終的に2
種の希土類元素を分離することができる。なお、この
際、もとの混合物中に含まれていた希土類金属又はその
化合物以外の物質が分離された希土類金属のハロゲン化
物中に含まれることがあるが、これらの物質を希土類金
属から分離することは、従来周知の技術を持ちいて行う
ことができる。この方法は、3種以上の希土類元素又は
その化合物を含む混合物から、希土類元素を2つの群、
又は3つ以上の群に分離するためにも使用することがで
きる。前記課題を解決するための第2の手段は、複数の
希土類元素又はその化合物を含む混合物中の希土類元素
をハロゲン化することにより、2種以上の希土類イオン
の平均価数が2以上3以下の2価3価混合希土類ハロゲ
ン化物であって、水溶液又は有機溶媒に溶解した状態で
ないものを含む混合物を製造し、これに希土類以外の金
属のハロゲン化物を混合し、その後、2価希土類ハロゲ
ン化物と3価希土類ハロゲン化物の性質の違いを利用し
て、前記複数の希土類元素を、少なくとも2つの群に分
離することを特徴とする希土類元素の分離方法(請求項
2)である。本手段においては、前記第1の手段の2価
3価混合希土類ハロゲン化物中に、希土類以外の金属の
ハロゲン化物を混合したものを使用する点が第1の手段
と異なる。希土類以外の金属のハロゲン化物を混合する
ことにより、希土類ハロゲン化物と複塩を形成し希土類
ハロゲン化物の見かけの蒸気圧を増加させ、より低い温
度での分離操作が可能となる。これら、希土類以外の金
属としては、アルカリ金属又はアルカリ土類金属が好ま
しい。前記課題を解決するための第3の手段は、2種以
上の希土類イオンの平均価数が2以上3以下の2価3価
混合希土類ハロゲン化物であって、水溶液又は有機溶媒
に溶解した状態でないものを含む希土類元素分離用組成
物(請求項3)である。本手段において、「2種以上の
希土類イオンの平均価数が2以上3以下の2価3価混合
希土類ハロゲン化物」というのは、2種以上の希土類の
ハロゲン化物が混合されており、各々の希土類につい
て、そのイオンの平均価数が2価又は3価、およびその
中間の価数であり、希土類元素全体の平均価数が2以上
3以下のものである。本手段を使用すれば、前記第1の
手段の説明で述べたように、2価希土類ハロゲン化物と
3価希土類ハロゲン化物が、蒸留、溶離等の分離工程に
おいて著しい性質の違いを有することを利用して、イオ
ンの平均価数が異なる希土類元素を分離することができ
る。なお、本手段にかかる組成物は、不純物等、本発明
の骨子に関係の無い他の物質を含んでいてもよい。前記
課題を解決するための第4の手段は、2種以上の希土類
イオンの平均価数が2以上3以下の2価3価混合希土類
ハロゲン化物であって、水溶液又は有機溶媒に溶解した
状態でないものと、希土類以外の金属のハロゲン化物を
含んでなる希土類元素分離用組成物(請求項4)であ
る。本手段において、「2種以上の希土類イオンの平均
価数が2以上3以下の2価3価混合希土類ハロゲン化
物」というのは、2種以上の希土類のハロゲン化物が混
合されており、各々の希土類について、そのイオンの平
均価数が2価又は3価、およびその中間の価数であり、
希土類元素全体の平均価数が2以上3以下のものであ
る。本手段は、前記第3の手段に、希土類以外の金属の
ハロゲン化物が併せて含まれるものであり、前記第2の
手段の説明で述べたように、希土類ハロゲン化物と複塩
を形成し希土類ハロゲン化物の見かけの蒸気圧を増加さ
せ、より低い温度での分離操作が可能となる。これら、
希土類以外の金属としては、アルカリ金属又はアルカリ
土類金属が好ましい。なお、本手段にかかる組成物は、
不純物等、本発明の骨子に関係の無い他の物質を含んで
いていてもよい。
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態の例を
説明するが、本発明の範囲はこれに限定されるものでは
ない。まず、本発明の2価3価混合ハロゲン化物を得る
方法ならびにこれを用いた分離法の例について説明す
る。工程は、希土類元素を含む原料からハロゲン化物を
得る工程とそのハロゲン化物を選択還元する工程、さら
に得られた2価3価混合希土類ハロゲン化物を用いて希
土類元素を分離する工程で構成される。 (1)ハロゲン化工程 混合酸化物もしくは、リン酸塩などの希土類精鉱と黒鉛
粉末を混合し石英管などの耐食性反応容器に、これらを
充填し700℃程度の温度で、ハロゲンガスと反応さ
せ、ハロゲン化物を得ることができる。ハロゲンガスの
代わりに、ハロゲン化アンモニウムも使用することがで
きる。この時、希土類以外の遷移金属などの不純物も同
時にハロゲン化され、これらの不純物ハロゲン化物の蒸
気圧は、希土類ハロゲン化物と比べて非常に高いので、
ハロゲン化工程で遷移金属不純物は希土類元素と分離除
去できる。また、ミッシュメタルなどの混合希土類金属
を原料とする場合には、化学量論を考慮して供給するハ
ロゲンガス量を調整し、2価3価混合希土類ハロゲン化
物を直接得ることができ、以下の選択還元工程を省略可
能である。また、ハロゲンガスとしてヨウ素を使用した
場合、サマリウム、ユウロピウム、ツリウムならびにイ
ッテルビウムの3ヨウ化物は、化学的に不安定なため、
ハロゲン化工程で直接2ヨウ化物を得ることができ、選
択還元工程を省略可能である。 (2)選択還元工程 ほとんどの希土類塩は、ハロゲン化処理の後は3価の状
態であり、これを価数混合状態にするためには、一部の
希土類元素のみを2価にするために、700℃〜800
℃の温度で選択還元を行う必要がある。選択還元には、
金属、水素などの還元剤が有効であるが、場合によって
は電解により還元することも可能である。適切な金属還
元剤は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金
属、アルミニウムならびに鉄などである。特に、鉄、ア
ルミニウムなどの還元力の弱い還元剤を使用する場合、
これらの還元剤は、ユウロピウム、サマリウム、イッテ
ルビウム、ツリウムの3ハロゲン化希土類のみを2ハロ
ゲン化物に還元する性質があるので、これらの元素を分
離目的とする場合には、過剰量の鉄もしくはアルミニウ
ムの存在下で選択還元を行うことができ、プロセスが簡
易になる。一方、その他の3ハロゲン化物を金属還元剤
で選択還元するためには、アルカリ金属、アルカリ土類
金属、希土類金属などの強還元性の還元剤が必要である
が、この場合、化学量論を考慮して還元剤の量を調整し
なければならない。また、プラセオジムとネオジムのよ
うな、2ハロゲン化物の安定性の差が小さい元素同士の
場合、片方のみの希土類元素の価数を2価に選択還元す
ることは難しいが、一方の元素が、2価もしくは3価に
ある程度富んでいれば、後述する分離工程に使用可能で
ある。 (3)分離工程 この様にして作製した2価3価混合希土類ハロゲン化物
は、蒸留法と溶離法に使用できる。後者の方法は、共晶
塩組成までしか分離できないため収率は蒸気圧法に比べ
低下するが、一度に大量の原料を処理する場合に適して
いると考えられ、蒸留法の前処理法として期待できる。 蒸留法への利用 3ハロゲン化物の蒸気圧は、2ハロゲン化物の蒸気圧に
比べて2桁程度大きいため、目的とする希土類ハロゲン
化物の価数を2価にし、不要な希土類ハロゲン化物のみ
を3ハロゲン化物ガスとして気相に除去可能である。も
しくは、2ハロゲン化物と3ハロゲン化物の両方の化合
物を気化させ異なる温度の部分に蒸着させ分離すること
が可能である。この際、真空ポンプ等を用いると気化を
促進することができ、短時間の内に3ハロゲン化物と2
ハロゲン化物に分離することができる。また、アルカリ
金属もしくは、アルカリ土類金属のハロゲン化物の添加
は、希土類ハロゲン化物と複塩を形成し希土類ハロゲン
化物の見かけの蒸気圧を増加させ、より低い温度での分
離操作を可能にする。 溶離法への利用(融体の徐冷を利用した分離法) 3ハロゲン化物の固体と2ハロゲン化物の固体は相互溶
解度がほとんどないので、2ハロゲン化物と3ハロゲン
化物の共晶組成より2ハロゲン化物を多く含む混合融体
を充填した容器を下部から徐冷すると、混合融体よりも
密度の大きい2ハロゲン化物の固相が、下部から成長す
る。ここで分離したい元素の価数を2価にすれば、目的
元素に富むハロゲン化物を得ることができる。逆に共晶
組成よりも3ハロゲン化物が多い場合にも、目的の元素
を3ハロゲン化物として分離可能である。
【実施例】ここに、本発明の2価3価混合希土類ハロゲ
ン化物を使用した希土類元素の分離例を例示するが、本
発明はこれに限定される物ではない。 (1)使用例1 サマリウムとジスプロシウムの混合
ヨウ化物の使用例 使用例1として、2ヨウ化サマリウムと3ヨウ化ジスプ
ロシウムの2価3価混合ヨウ化物を用いたサマリウムと
ジスプロシウムの分離例について述べる。ヨウ化物は塩
化物に比較して、蒸気圧が高いという特色があり、2塩
化物が1000℃程度の温度では、ほとんど蒸発しない
のに対して、2ヨウ化物は、1000℃、真空条件下で
容易に蒸発する。従って、原料に希土類オキシハライド
等の不揮発性不純物が含まれている場合、これらも同時
に除去できる利点がある。実施例では、2ヨウ化サマリ
ウムと3ヨウ化ジスプロシウムを等モル比になるように
混合しサンプルとした。約14gの2価3価混合ヨウ化
物を、図1中に示すモリブデン製坩堝に充填し、ステン
レス製反応容器中に装填した後、アルゴン雰囲気中で1
000℃まで昇温した。炉の温度勾配が一定になったの
ち、ローターリポンプを用いて真空引きを開始し、約2
時間保持した。その後、室温まで炉冷した。図2に、こ
のようにして得られた蒸発物と残渣の重量とそれらの組
成分析の結果をモリブデン坩堝からの平均距離で示す。
組成は、希土類元素のモル比で示した。図2に示すよう
に、蒸発量のピークは、2つ確認でき、温度の高い80
0℃付近で、主に2ヨウ化サマリウムが凝集し、600
℃付近では、主に3ヨウ化ジスプロシウムの凝集が認め
られた。坩堝位置から約8cmから16cmから回収し
た凝集物のサマリウム濃度は、97.6mol%であ
り、約24cmから33cmで回収した凝集物のジスプ
ロシウム濃度は、98.3mol%であった。従来法の
溶媒抽出法では、分離特性を評価するために、2相間の
それぞれの元素の分配比の比である分離係数が使用され
ている。例えば、有機相にトルエン、抽出剤にD2EH
PAを用いた場合には、分離係数は、約79程度、デカ
ンとPC−88Aを使用した場合には分離係数は約61
1程度である。これに対して、本発明の2価3価混合ハ
ロゲン化物を用いて行った分離では、2つの蒸発物間で
の見かけの分離係数(β’Dy/Sm)は、β’
Dy/Sm=2280程度となり、本発明の2価3価混
合希土類ハロゲン化物の優れた分離特性が示されてい
る。また、モリブデン坩堝残渣には、不揮発性物質であ
るジスプロシウムオキシヨウ化物(DyOI)が確認さ
れ、酸素不純物の除去に対しても、優れた特性を備えて
いることがわかる。 (2)使用例2 ネオジムとプラセオジムの混合塩化
物の使用例 塩化物の使用例として、使用例2に、2塩化ネオジムと
3塩化プラセオジムの2価3価混合塩化物を用いた分離
例について述べる。3塩化ネオジムと3塩化プラセオジ
ムの混合物に還元剤として、ネオジム金属を添加し、選
択還元を行い2価3価混合塩化物を作製し、これを用い
て真空蒸留を行った。このとき、ネオジム金属の添加量
は、3塩化ネオジムを2塩化ネオジムに還元するのに必
要な化学量論量とした。2価3価混合塩化物(5.6
g)は、ネオジムとプラセオジムのモル比が同じになる
ように調整した。これを図1に示す装置を用いて、アル
ゴン雰囲気中で1000℃まで昇温し、これを1時間真
空蒸留した。その結果を図3に示す。2ヨウ化物の場合
とは異なり、2塩化物の蒸気圧は小さく、モリブデン坩
堝に残渣として、2塩化物が残った。蒸発物は、3塩化
物であり、緑色の蒸発物を回収することができた。残渣
の2塩化物は、ネオジムに富んでおり、蒸発した3塩化
物は、プラセオジムに富んでいた。これは、2塩化ネオ
ジムが、2塩化プラセオジムよりも若干安定であるため
である。残渣の組成は、70mol%Ndであり、蒸発
物の平均組成は、71mol%Prであった。この場合
のみかけの分離係数(β’Nd/Pr)は、β’
Nd/Pr=5.72程度であった。サマリウムとジス
プロシウム混合ヨウ化物の場合と比べて、分離係数が低
いのは、ネオジムとプラセオジムの2塩化物の安定性の
差が小さいためと考えられる。しかしながら、有機相と
水相を用いた従来の溶媒抽出法では、例えば、有機相に
トルエン、抽出剤にD2EHPAを用いた場合には、分
離係数は、1.7であり、デカンとPC−88Aを使用
した場合には分離係数は1.5程度であるので、本発明
の2価3価希土類ハロゲン化物の優位性が示されてい
る。また、ネオジムは、強力永久磁石への用途が主であ
り、この場合、必要とされる純度は、95mass%N
dであると言われている。一般的な希土類鉱物には、ネ
オジムとプラセオジムが、Pr:Nd=1:3の割合で
存在するので、これを原料として2価3価希土類ハロゲ
ン化物を作製し、目的の純度のネオジムを得るために
は、約5回の操作で十分である。これに対して、溶媒抽
出法では、少なくとも30段以上の抽出操作が必要であ
る。以上、2つの実施例について説明したが、この他
に、ネオジムとサマリウムの2価3価混合塩化物ならび
にネオジムとサマリウムの2価3価混合ヨウ化物につい
ても同様な効果を確認している。さらには、他のほとん
どの希土類元素も溶融塩中において安定な2ハロゲン化
物を形成するため、ほとんどの混合物について、2価3
価混合希土類ハロゲン化物を作製し、これを相互分離に
使用することができると期待できる。
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
希土類元素間の分離係数を飛躍的に増大でき、従来法と
比較して相互分離を効率よく行うことができる。さらに
は、リン酸塩などの希土類精鉱が原料の場合、ハロゲン
化、選択還元工程が新たに必要となるが、従来の湿式法
では必要不可欠である精鉱の酸溶解、ろ過、不純物の沈
殿除去、濃縮、中和、乾燥といった工程を省略でき、製
造コストを大幅に低減できる可能性もある。同様に、希
土類金属の主要な用途である強力希土類磁石製造時に発
生するスクラップからの希土類金属の分別回収プロセス
には、本手法が有効である。また、強力永久磁石への用
途のように最終製品が金属である場合、相互分離後のハ
ロゲン化物を、そのまま溶融塩電解、金属熱還元法等の
希土類金属生産プロセスに供することができ、工業上大
いなる利益がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】蒸留装置の構成を示す概要図であり、電気炉に
より加熱したステンレス容器を真空排気することによ
り、モリブデン坩堝に充填した希土類ハロゲン化物が蒸
発し低温部分に分離・凝集する。
【図2】サマリウムとジスプロシウムの混合ヨウ化物か
ら、サマリウムヨウ化物とジスプロシウムヨウ化物を分
離した結果を示す図である。
【図3】ネオジムとプラセオジムの混合塩化物から、ネ
オジム塩化物とプラセオジム塩化物を分離した結果を示
す図である。
フロントページの続き (72)発明者 宇田 哲也 仙台市太白区長町南2丁目15−24フラッツ 長町南201号 (72)発明者 平沢 政広 仙台市太白区郡山6丁目5−11−101 (72)発明者 岡部 徹 仙台市太白区長町5−3−1−2405 Fターム(参考) 4G076 AA04 AB04 AC10 BE20 4K001 AA39 CA13 DA08 DA10 EA01 EA02 EA05

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の希土類元素又はその化合物を含む
    混合物中の希土類元素をハロゲン化することにより、2
    種以上の希土類イオンの平均価数が2以上3以下の2価
    3価混合希土類ハロゲン化物であって、水溶液又は有機
    溶媒に溶解した状態でないものを含む混合物を製造し、
    その後、2価希土類ハロゲン化物と3価希土類ハロゲン
    化物の性質の違いを利用して、前記複数の希土類元素
    を、少なくとも2つの群に分離することを特徴とする希
    土類元素の分離方法。
  2. 【請求項2】 複数の希土類元素又はその化合物を含む
    混合物中の希土類元素をハロゲン化することにより、2
    種以上の希土類イオンの平均価数が2以上3以下の2価
    3価混合希土類ハロゲン化物であって、水溶液又は有機
    溶媒に溶解した状態でないものを含む混合物を製造し、
    これに希土類以外の金属のハロゲン化物を混合し、その
    後、2価希土類ハロゲン化物と3価希土類ハロゲン化物
    の性質の違いを利用して、前記複数の希土類元素を、少
    なくとも2つの群に分離することを特徴とする希土類元
    素の分離方法。
  3. 【請求項3】 2種以上の希土類イオンの平均価数が2
    以上3以下の2価3価混合希土類ハロゲン化物であっ
    て、水溶液又は有機溶媒に溶解した状態でないものを含
    む希土類元素分離用組成物。
  4. 【請求項4】 2種以上の希土類イオンの平均価数が2
    以上3以下の2価3価混合希土類ハロゲン化物であっ
    て、水溶液又は有機溶媒に溶解した状態でないものと、
    希土類以外の金属のハロゲン化物を含んでなる希土類元
    素分離用組成物。
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