JP2001302700A - Nk細胞に対する新規抗体 - Google Patents

Nk細胞に対する新規抗体

Info

Publication number
JP2001302700A
JP2001302700A JP2000120125A JP2000120125A JP2001302700A JP 2001302700 A JP2001302700 A JP 2001302700A JP 2000120125 A JP2000120125 A JP 2000120125A JP 2000120125 A JP2000120125 A JP 2000120125A JP 2001302700 A JP2001302700 A JP 2001302700A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cells
antibody
cell
monoclonal antibody
human
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000120125A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroshi Wakasugi
尋 若杉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nichirei Corp
Original Assignee
Nichirei Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nichirei Corp filed Critical Nichirei Corp
Priority to JP2000120125A priority Critical patent/JP2001302700A/ja
Publication of JP2001302700A publication Critical patent/JP2001302700A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 ヒトNK細胞あるいは細胞傷害活性を有
する細胞群を認識する新規モノクローナル抗体、該抗体
を産生するハイブリドーマ、該抗体を用いる上記細胞の
測定システムが提供される。 【効果】 本抗体は、単独で、上記細胞を特異的に認識
することができ、また、細胞傷害活性を有する細胞群を
濃縮することも可能であり、癌治療などへの応用も期待
される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ヒトNK細胞(Na
tural Killer Cell)を認識する新しいモノクローナル
抗体及びその利用に関するものである。
【0002】
【従来の技術】NK細胞は、T細胞・B細胞などと同じ
くリンパ球のサブセットである。NK細胞はおもに骨髄
中で造血幹細胞から成熟・分化すると考えられている。
NK細胞は抗原特異的受容体を発現してはいないが、防
御的免疫機能において重要な役割を担っている。例え
ば、NK細胞は免疫的な刺激を受けると、IFN−γな
どのある種のサイトカインを分泌して細胞傷害活性を示
す。特に、特定にウイルス、細胞内細胞菌類、寄生虫、
種々の腫瘍細胞に対してこのような活性を有している。
NK細胞は形態学的には、アズール顆粒が多数見られる
ことから大顆粒リンパ球(Large granular lymphocyte,
LGL)と呼ばれる特徴を示す。これらの顆粒内には細胞
傷害を担うパーフォリンやグランザイムといった分子が
含まれていて傷害時に放出される。
【0003】これまで、NK細胞のマーカーとしては、
CD16、CD56、CD57などが、単独あるいは組
み合わせて用いられてきたが、そのいずれもが、NK細
胞を包含的あるいは特異的に認識しているとはいえない
ものである。また、例えばCD57抗体は、1981年
に安保らによって初めて作製されて以来、いくつかのモ
ノクローナル抗体が報告されている。しかしながら、そ
のいずれも、イムノグロブリンのサブクラスがIgMで
あるため、IgGとは異なり、分子量も大きくて取扱い
にくく、免疫沈降やウエスタンブロットなどに使用する
ことは不適である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、従来は
単独でしかもNK細胞のみを特異的に認識し得る抗体が
開発されていないため、各種のマーカーを組み合わせな
ければNK細胞の正確な検出、測定を行うことができな
いという技術の現状に鑑み、本発明者らは、単独でNK
細胞を認識することができ、クラスがIgGである、N
K細胞に特異的な新しい抗体を作製することにより、N
K細胞の研究及びNK細胞の関与すると考えられる各種
疾患の診断・治療の発展に多大な寄与ができるものと考
えるに至った。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するためになされたものであって、鋭意研究の結果、
新規のNK細胞を認識する抗体を創製するに至り、本発
明の完成に至ったものである。以下、本発明について詳
述する。
【0006】目的とするモノクローナル抗体を産生する
ための融合細胞(以下、ハイブリドーマということもあ
る)を創製するため、本発明においては、免疫原として
ヒトの末梢血中のNK細胞分画を用いることとする。す
なわち、自動細胞分離装置(FACS Vantageセルソータ
ー)より、CD3陽性CD56陽性細胞及びCD3陽性
CD57陽性細胞を分離した後、それらを混合して免疫
原とする。
【0007】免疫に使用する動物については、ヤギ、ヒ
ツジ、ウマ、ウサギ、ラット、マウス等の動物が挙けら
れるが、モノクローナル抗体を作製するためには融合に
用いる骨髄腫細胞との相性の問題により、通常、マウス
かラットが使用できる。免疫に際しては、免疫応答を促
進するために免疫原を各種アジュバントと混合して使用
してもよい。免疫はある間隔で、マウスの腹腔、皮下、
あるいは静脈に、血清中の抗体価の上昇が明らかに認め
られるまで続け、最終免疫の数日後に、細胞融合のため
に脾臓を無菌的に摘出する。
【0008】モノクローナル抗体を産生するハイブリド
ーマの作製は、(Koehler, G. andMilstein, C., Natur
e 256, 495(1975))に準じて実施することができる。す
なわち、免疫動物から摘出した脾臓細胞、リンパ節細胞
又はBリンパ球から選ばれる抗体産生細胞と骨髄腫細胞
を混合し、細胞融合促進剤の存在下で融合する。細胞融
合に用いる骨髄腫細胞はP3−Ag8−γ、p3−X6
3−Ag8、P3−X63−AG8−U1、NSI−A
g4/1、X63−Ag8−6.5.3、SP2/0−
Ag14、MPCII−45.6TG1.7、S194
/5XX0.BU.1等が用いられる。好ましい細胞融
合促進剤としては、例えば平均分子量が1000〜60
00のポリエチレングリコールなどが挙げられる。ま
た、電気パルスによる融合も可能である。
【0009】次いで、ハイブリドーマの選択を次のよう
にして行う。細胞融合に使用する骨髄腫細胞は、8−ア
ザグアニン耐性株でヌクレオチド生合成のサルページ経
路に必要なヒポキサンチン−グアニン−ホスホリポシル
トランスフェラーゼを欠くため、HAT培地(ヒポキサ
ンチン、アミノブテリン、チミジンを含む培地)中では
ヌクレオチドの合成ができず、生き残れない。よって細
胞融合を行った後、HAT培地にて10〜14日間培養
することにより、脾細胞と骨髄腫が融合したハイブリド
ーマのみを選択することができる。
【0010】このようにして得たハイブリドーマの中か
ら、目的とする抗NK細胞抗体産生ハイブリドーマをス
クリーニングするため、ヒト末梢血中のCD3陽性細胞
の約10〜30%程度と特異的に結合する抗体を産生す
るクローンを選択する。このクローンを用いることによ
って、モノクローナル抗体を得る事ができる。さらに、
これらのモノクローナル抗体のうちで既存のNK細胞マ
ーカー、例えば、CD16、CD56、CD57、CD
161などとは、反応性の異なるものを選択する。
【0011】このようにして新規な抗NK細胞抗体を安
定的に産生できるハイブリドーマを得た。このようにし
て得たハイブリドーマは、9F9−1と命名し、これを
工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託した(FER
M P−17812)
【0012】モノクローナル抗体の製造は、ハイブリド
ーマを血清添加培地ならびに無血清培地にて培養するイ
ン・ビトロ法、あるいはハイブリドーマをマウス腹腔に
移植して、腹水を採取する、イン・ビボ法にて行い、硫
安塩析、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交
換カラムクロマトグラフィー、分子篩カラムクロマトグ
ラフィー、プロテインAカラムクロマトグラフィー、抗
原固定化カラムクロマトグラフィー等によって精製でき
る。得られたモノクローナル抗体は、免疫沈降法等によ
って、ヒトNK細胞に反応し、分子量130kDaの分
子を認識する抗体であることが確認された。
【0013】このようにして作製した抗体は、ヒトNK
細胞に対する特異性がきわめて高く、NK細胞を特異
的、選択的に認識して反応し、これと結合する特質を有
するため、本抗体を利用して各種方法によってヒトNK
細胞のイムノアッセイを行うことができる。したがっ
て、本抗体を利用することによって、他の抗体等を組み
合わせて使用することなく、本抗体単独で、NK細胞の
イムノアッセイを迅速、簡便、的確に行うことが可能と
なる。また、本抗体は、細胞傷害活性を有する細胞群
(換言すれば、NK細胞の大部分)を認識することも可
能であるので、該細胞群のイムノアッセイはもちろんの
こと、該細胞群の濃縮、分離、除去、精製等が可能とな
り、癌治療などへの応用が可能である。
【0014】イムノアッセイとしては、既述したよう
に、放射免疫測定法(RIA)、酵素免疫測定法(EI
A)、蛍光免疫測定法、化学発光免疫測定法、免疫組織
化学染色法、免疫沈降法その他が例示され、本抗体を第
一抗体及び/又は酵素標識した第二抗体として使用すれ
ばよい。
【0015】標識物質としては、酵素、蛍光物質、発光
物質、放射性物質などがあげられる。また、本発明に係
るイムノアッセイにおいて、酵素標識抗体を使用するほ
か、アビジン−ビオチン系を利用して、酵素標識抗体に
かえてビオチン標識した抗体を用い、そして酵素として
アビジン標識酵素を用いてアッセイ系を組み立ててもよ
い。アビジンとしては、卵白由来のアビジン、微生物由
来のアビジン(例えばストレプトアビジン)等がいずれ
も使用可能である。
【0016】標識酵素としては、西洋ワサビペルオキシ
ダーゼ(HRP)、ウシ小腸アルカリフォスファター
ゼ、β−ガラクトシダーゼ、ウレアーゼ、グルコースオ
キシダーゼ等の酵素免疫分析法(EIA)に常用される
酵素が適宜使用され、これらの酵素に適合しEIAで常
用される発色基質が適宜使用される。発色基質として
は、例えばHRPの場合は、3,3′,5,5′−テト
ラメチルベンジジン(TMBZ)、TMBZ・HCl、
TMBZ・PS、ABTS、o−フェニレンジアミン、
p−ヒドロキシフェニル酢酸等が使用され、アルカリフ
ォスファターゼの場合は、p−ニトロフェニルフォスフ
ェート、4−メチルウンベリフェリルフォスフェート等
が使用され、β−ガラクトシダーゼの場合は、o−ニト
ロフェニル−β−D−ガラクトピラノシド、4−メチル
ウンベリフェリル−β−D−ガラクトピラノシド等が使
用される。
【0017】蛍光物質としては、フルオレッセインイソ
チオシアネート、テトラメチルローダミンイソシオアネ
ートなど、発光物質としては、ルミナール、アクリジニ
ウムエステル、ルシフェリンなど、また、放射性物質と
しては、125I、131I、14C、3H、35Sなどを使用す
ることができるが、これら例示したものに限らず、免疫
測定法に使用しうるものであれば、他の物質も使用する
ことができる。なお、イムノアッセイには、検出、固
定、定性分析、定量分析、その他の測定が含まれる。
【0018】また本発明は、ヒトNK細胞に発現する分
子量約130kDaの分子と特異的に結合するクラスが
IgGである新規モノクローナル抗体、ヒト末梢血中に
含まれる高い細胞傷害活性をもつ細胞群を認識できる新
規モノクローナル抗体、それを利用するヒトNK細胞の
検出、測定方法を新たに提供するものである。そして、
前者の抗体は抗NK細胞抗体ということができ、後者の
抗体は該細胞群濃縮用抗体ということもできる。
【0019】したがって本発明は、前者の抗体にあって
は、該新規抗NK細胞抗体、その標識化物、酵素基質、
発色試薬、緩衝液、その他必要な物質を含有する該13
0kDa分子(又はそれを産生する細胞、例えばNK細
胞)測定用キットも提供するものである。
【0020】更に、ヒト末梢血中に含まれる高い細胞傷
害活性を有する細胞群は、とりもなおさず、NK細胞の
大部分であるから、上記したNK細胞を特異的に認識す
るモノクローナル抗体は、ほぼ、該細胞群を認識するモ
ノクローナル抗体ということができる。したがって、こ
の抗体は、インビボ及びインビトロにおいて、単独で該
細胞群を濃縮することが可能となり、その結果、該細胞
群の分離、除去、あるいは正常細胞の精製も可能とな
る。
【0021】上記のように、本抗体は、単独では該細胞
群を濃縮できるという特徴も有するため、癌治療などに
応用することができる。その場合は、本抗体を有効成分
とし、該細胞濃縮剤、その他医薬組成物として製剤化し
てもよい。
【0022】なお、製剤化にあたり、担体としては、固
形、半固形、又は液状の希釈剤、充填剤、各種助剤等が
用いられる。医薬組成物は、常法にしたがい、投与単位
形態で投与することが好ましく、経口投与、組織内投
与、局所投与(経皮投与等)、又は経直腸的に投与する
ことができ、外用剤としても使用できる。
【0023】以下、本発明の実施例について述べる。
【0024】
【実施例1:モノクローナル抗体の作製】ヒトNK細胞
に反応し、分子量130kDaの分子を認識する、イム
ノグロブリンのクラスがIgGであるモノクローナル抗
体を以下により作製した。
【0025】(1)免疫原の作製 自動細胞分離装置(FACS Vantageセルソーター)を用い
てヒト末梢血より、CD3陽性CD56陽性細胞及びC
D3陽性CD57陽性細胞を分離した後、それらを混合
し免疫原とした。
【0026】(2)ハイブリドーマの作製 ハイブリドーマ(融合細胞)の作製は次のようにして行
った。
【0027】a)免疫および細胞融合 Balb/cマウスに上記の細胞を数回投与した後、免
疫されたマウスの脾細胞とマウス骨髄腫由来細胞株(P
3−X63−Ag8−U1;P3U1)を、細胞融合促
進剤としてポリエチレングリコールを用い、常法にした
がって細胞融合した。次いで、HAT培地(1×10-4
M ヒポキサンチン、4×10-7M アミノプテリン、
1.6×10-3M チミジン含有)にて培養し、生育し
たクローンを脾細胞と骨髄腫細胞が融合したハイブリド
ーマとして選択した。
【0028】b)抗NK細胞抗体産生ハイブリドーマの
スクリーニング 上記で得たハイブリドーマの中から、抗NK細胞抗体産
生ハイブリドーマのスクリーニングとして、ヒト末梢血
中のCD3陽性細胞の約10〜30%程度と特異的に結
合する抗体を産生するクローンを選択した。さらに、こ
れらのモノクローナル抗体の内で既存のNK細胞マーカ
ー、例えばCD16、CD56、CD57、CD161
などとは、反応性の異なるものを選択した。その結果、
クローン9F9−1を得た。このようにして得た抗NK
細胞抗体産生ハイブリドーマのクローン9F9−1を工
業技術院生命工学工業技術研究所にFERM P−17
812として寄託した。
【0029】c)モノクローナル抗体の精製 9F9−1を少量培養した後、マウス腹腔中にこれを投
与し、14日後に腹水を採取した。このマウスの腹水液
からアフィニティークロマトグラフィーを用いて精製し
た。
【0030】
【実施例2:抗体の性質】ハイブリドーマ9F9−1が
産生するモノクローナル抗体である9F9−1抗体のサ
ブクラスを、オクタローニー法を用いて検定した結果、
IgG1であり、L鎖の可変領域はκ鎖であった。また
この点は、ハイブリドーマ9F9−1の培養上清を用
い、マウスモノクローナルタイピングキット(The Bind
ing Site社製)にてマウス免疫グロブリンのクラス、サ
ブクラスの同定を行った結果からもIgG1であること
が確認された。
【0031】
【実施例3:ヒト末梢血との反応性】9F9−1抗体が
ヒト末梢血中のどのような細胞集団と反応するのかを詳
細に調べるため、フローサイトメトリーによる解析を行
った。すなわち、8〜20人の末梢血リンパ球を5×1
5個に調整し、それぞれのNK細胞マーカーのモノク
ローナル抗体で染色後、フローサイトメーターで解析し
た。その結果、図1に示すように、8〜20人の末梢血
リンパ球の内、9F9−1抗体は18〜52%程度の細
胞群と反応した。
【0032】次に末梢血リンパ球3検体について、9F
9−1抗体と既存のNK細胞マーカーとの反応性の比較
を行った。すなわち(A)3人の末梢血リンパ球をFI
TC標識抗ヒトCD3抗体とPE標識抗ヒトCD56、
CD57、CD16抗体の混合液により染色し、(B)
同じ3人の末梢血リンパ球をFITC認識抗ヒトCD3
抗体とPE標識抗マウスIgG抗体を標識させた9F9
−1抗体により染色し、フローサイトメーターで解析し
た。その結果、図2(A)に示すように、これら3検体
の既存NK細胞マーカーであるCD16、CD56、C
D57混合抗体との反応性は、CD3陽性細胞において
は15〜23%、CD3陰性細胞においては10〜25
%であったのに対して、9F9−1抗体は、CD3陽性
細胞においては12〜20%、CD3陰性細胞において
は8〜19%の細胞と反応した(図2(B))。
【0033】
【実施例4:ヒト末梢血の既存マーカーとの2重染色】
さらに詳細に9F9−1抗体の反応する細胞群を調べる
ため、9F9−1抗体と既存のNK細胞マーカーとの2
重染色をフローサイトメトリーにて解析した。すなわ
ち、末梢血リンパ球をFITC標識9F9−1抗体と、
(A)PE標識抗ヒトCD56、CD57、CD16抗
体の混合液、(B)PE標識抗ヒトCD56抗体、
(C)PE標識抗ヒトCD57抗体、(D)PE標識抗
ヒトCD16抗体、(E)PE標識抗ヒトCD161抗
体、により染色し、フローサイトメーターで解析した。
【0034】得られた結果を図3に示す。その結果から
明らかなように、9F9−1抗体の反応する細胞群は、
CD16、CD56、CD57のいずれかに陽性である
細胞群の約70%にあたるが(図3(A))、そのいず
れとも完全に一致するものではなかった(図3(B)、
(c)、(D))。また、CD161陽性細胞の約50
%と反応することがわかった(図3(E))。
【0035】
【実施例5:各種細胞との反応性】ヒト末梢血以外の正
常細胞及び腫瘍細胞と9F9−1抗体の反応性につい
て、ヒト末梢血において比較的類似した反応性を示した
CD57抗体と比較して調べた。すなわち、9F9−1
抗原及びCD57/HNK−1抗原の正常細胞、または
腫瘍細胞での発現を調べた。
【0036】得られた結果を図4に示す。図中、(A)
9F9−1抗原の発現、(B)CD57/HNK−1抗
原の発現を示すが、図4の結果から明らかなように、ほ
とんどの細胞において両者は同様の反応性を示したが、
一部のB細胞系列の腫瘍細胞株において9F9−1抗体
は特徴的な反応性を示した。
【0037】
【実施例6:9F9−1陽性細胞の細胞傷害活性】9F
9−1抗体が真に細胞傷害活性、NK活性をもつ細胞株
を認識しているかを調べるためにセルソーターを用いて
9F9−1陽性細胞を分離して試験を行った。試験は、
9F9−1陽性細胞の他、対象として末梢血リンパ球、
PBL、9F9−1陰性細胞をエフェクター細胞とし、
NK細胞による細胞傷害に感受性であるヒト慢性骨髄性
赤白血病由来細胞株K562をターゲット細胞として行
った。K562細胞は1×106個に調製し、牛胎児血
清100μLに懸濁した後、5 1Cr標識クロム酸ナトリ
ウムを100μL加え、37℃・5%CO2条件下で1
時間培養した。洗浄後、10牛胎児血清添加RPMI1
640培地10mLに懸濁し、エフェクター細胞(1×
104個/ウエル)の入ったプレート中に100μLず
つ添加し、37℃・5%CO2条件下で4時間培養した
後、上清を回収し、51Cr放出量をガンマーカウンター
で測定した。測定により得られたデータの解析は次の式
に基づいて行った。
【0038】細胞傷害活性(%)=Q×100 Q=(E−N)/(T−N)
【0039】(式中、Eはエフェクター細胞に51Cr標
識ターゲット細胞を添加したウエルの 51Crの放出量、
Nは51Cr標識ターゲット細胞だけを培養したウエルの
51Crの放出量、Tは51Cr標識ターゲット細胞に10
%塩酸を100μL添加し、全細胞を破壊したウエルの
51Crの放出量を示している)
【0040】図5に示すように、9F9−1陽性細胞
は、K562細胞に対し強い細胞傷害活性を示した。ま
た、9F9−1陰性細胞は末梢血リンパ球と比較しても
細胞活性が低く、ほとんど活性を示さなかった。このこ
とは、9F9−1抗体が細胞傷害活性をもつ細胞群、言
い換えればNK細胞の大部分を認識することを示してい
る。
【0041】
【実施例7:免疫沈降】ヒト白血病細胞株SUPT−1
(陽性細胞)及びネガティブコントロールとしてのSU
PT−13(陰性細胞)、それぞれ3×107個をNHS-s
ulfo-Biotinと反応させた後、可溶化し、9F9−1抗
体と反応させた。Protein G Sepharose(ファルマシ
ア)にて添加した抗体およびそれと反応している分子を
沈降させた。これをSDS−PAGEに供し、ペルオキ
シダーゼ標識のストレプトアビジン及び発色系としてE
CL化学発光システム(ファルマシア)を用いて可視化
し、得られた結果を図6(写真)に示した。
【0042】図中、各レーンはそれぞれ次のものを示
す。レーン(1)、(2):マウスIgG1抗体で免疫
沈降したSUPT−1細胞及びSUPT−13細胞のme
mbraneprotein。レーン(3)、(4):9F9−1抗
体で免疫沈降したSUPT−1細胞及びSUPT−13
細胞のmembrane protein。図面から明らかなように、9
F9−1抗体で免疫沈降したレーン(3)に130kD
aのバンドが検出された。
【0043】
【発明の効果】本発明によってNK細胞あるいは、細胞
傷害活性を有する細胞群を認識する新たなモノクローナ
ル抗体を産生するハイブリドーマが作製された。本抗体
は既知のNK細胞マーカーとは異なる反応性を示し、本
抗体単独でヒト末梢血リンパ球中の高い細胞傷害活性を
示す細胞群を濃縮することが可能であり、癌治療などに
応用されることが期待される。また、本抗体単独でNK
細胞の大部分を認識することができるため、既知のNK
細胞マーカーに替わって診断目的に汎用される可能性が
高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】ヒト末梢血と9F9−1抗体の反応性を示した
図面である。
【図2】ヒト末梢血と9F9−1の反応性をフローサイ
トメトリーを用いて解析し、既知のNK細胞マーカーと
比較した図面である。
【図3】ヒト末梢血を9F9−1抗体と既知のNK細胞
マーカーで2重染色した後、フローサイトメトリーで解
析した図面である。
【図4】各種細胞と9F9−1抗体との反応性をCD5
7抗体と比較して表わした図面である。
【図5】9F9−1陽性細胞の細胞傷害活性を測定した
結果を示す図面である。
【図6】9F9−1抗体を使った免疫沈降反応の後、S
DS−PAGEにて解析した図面代用写真である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12R 1:91) C12N 5/00 B (C12P 21/08 15/00 C C12R 1:91) C12R 1:91) Fターム(参考) 4B024 AA12 AA15 BA46 DA02 FA10 GA05 HA15 4B064 AG27 CA10 CA20 CC24 DA13 DA14 4B065 AA92X AA93Y AB05 BA08 CA25 CA46 4H045 AA11 BA10 CA42 DA76 EA50 EA51 FA72

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒトNK細胞に発現する分子量約130
    kDaの分子と特異的に結合するモノクローナル抗体。
  2. 【請求項2】 細胞傷害活性を有する細胞群を濃縮でき
    るものであることを特徴とするモノクローナル抗体。
  3. 【請求項3】 クラスがIgGである請求項1又は2に
    記載のモノクローナル抗体。
  4. 【請求項4】 サブクラスがIgG1である請求項3に
    記載のモノクローナル抗体。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項に記載のモ
    ノクローナル抗体を産生することができるハイブリドー
    マ。
  6. 【請求項6】 ハイブリドーマ9F9−1。
  7. 【請求項7】 請求項1〜4のいずれか1項に記載のモ
    ノクローナル抗体からなるNK細胞マーカー。
  8. 【請求項8】 請求項1〜4のいずれか1項に記載のモ
    ノクローナル抗体を使用することを特徴とするNK細胞
    の測定方法。
  9. 【請求項9】 請求項1〜4のいずれか1項に記載のモ
    ノクローナル抗体を含有することを特徴とする細胞傷害
    活性を有する細胞群の濃縮剤。
  10. 【請求項10】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の
    モノクローナル抗体を含有することを特徴とするNK細
    胞測定用キット。
JP2000120125A 2000-04-20 2000-04-20 Nk細胞に対する新規抗体 Pending JP2001302700A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000120125A JP2001302700A (ja) 2000-04-20 2000-04-20 Nk細胞に対する新規抗体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000120125A JP2001302700A (ja) 2000-04-20 2000-04-20 Nk細胞に対する新規抗体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001302700A true JP2001302700A (ja) 2001-10-31

Family

ID=18630989

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000120125A Pending JP2001302700A (ja) 2000-04-20 2000-04-20 Nk細胞に対する新規抗体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001302700A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10155124B2 (en) 2012-09-28 2018-12-18 Mevion Medical Systems, Inc. Controlling particle therapy
US10456591B2 (en) 2013-09-27 2019-10-29 Mevion Medical Systems, Inc. Particle beam scanning

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10155124B2 (en) 2012-09-28 2018-12-18 Mevion Medical Systems, Inc. Controlling particle therapy
US10456591B2 (en) 2013-09-27 2019-10-29 Mevion Medical Systems, Inc. Particle beam scanning

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH0751062B2 (ja) モノクローナル抗体
US20020102244A1 (en) Method of identifying and/or isolating stem cells and prognosing responsiveness to leukemia treatment
JP2021503014A (ja) 牛妊娠関連グリコタンパク質1に特異的に結合する抗体及びその用途
US20220289840A1 (en) Antibodies To Cell Adhesion Molecule-Related/Down-Regulated By Oncogenes (CDON) And Uses Thereof
WO1983004104A1 (en) In vitro diagnostic methods using monoclonal antibodies against connective tissue proteins
JP2001302700A (ja) Nk細胞に対する新規抗体
US8080242B2 (en) Anti-HPA
JPS63240797A (ja) モノクローナル抗体、その製法およびそれを含有する診断薬
JP2009013175A6 (ja) 抗hpa
WO1986002359A1 (en) Monoclonal antibodies and their use
JPS60208925A (ja) ガン診断と治療のためのモノクロ−ナル抗体の生産法
US6168925B1 (en) GPIIb/IIIa platelet receptors assay
JPH03187395A (ja) ヒトインターロイキン―4に対するモノクローナル抗体および該抗体の利用方法
JP2001299343A (ja) Cd57抗体
JPS6378067A (ja) 癌診断薬
JP3504676B2 (ja) αカテニンに対するモノクローナル抗体
HU204895B (en) Process for producing 3-5 monoclonal antibodies specific to ige surface receptor, hybrid cell lines producing such antibodies as well as for detecting the receptors
JPH06107695A (ja) 新規ヒト血液細胞関連抗原及びそれを認識する単クローン抗体
JPS61126100A (ja) 抗TdTモノクロ−ナル抗体及びその製造法
EP0106894B1 (en) Methods and test kit for diagnosing cancer in humans
JP2021073435A (ja) 試料に含まれるペリオスチン測定の感度の改善方法
JPH046358B2 (ja)
JPH0673471B2 (ja) モノクローナル抗体
CA2363568A1 (en) Diagnostic agent and therapeutic agent for leukemia
JP2002345461A (ja) 胃癌特異的モノクローナル抗体