JP2001302653A - ラクトンの製造方法 - Google Patents
ラクトンの製造方法Info
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Abstract
ン酸を用いて、ラクトンを製造できる方法を提供する。 【解決手段】 下記式(1)で表されるエポキシカルボ
ン酸又はその誘導体と、下記式(2)で表される化合物
とを反応させ、下記式(3)で表されるラクトンを製造
する。前記反応は、スルホン酸基を有する酸触媒(固体
酸触媒など)の存在下で行ってもよく、反応系は不均一
であってもよい。酸触媒の割合は、エポキシカルボン酸
又はその誘導体(1)1モルに対して、例えば、0.0
5〜1当量程度である。なお、エポキシカルボン酸又は
その誘導体(1)は、光学活性を有していてもよい。 【化1】 (式中、Aは、C1-3アルキレン基を示し、Bは水素原
子又はアシル基を示す。R1は、水素原子、飽和又は不
飽和の脂肪族炭化水素基を示す)
Description
または農薬の中間体などの原料として有用なラクトン
(ヒドロキシラクトン、ヒドロキシラクトンとカルボン
酸とのエステルなど)の製造方法に関する。
ジヒドロフラン−2−オンなど)を製造する方法とし
て、種々の方法が知られている。例えば、米国特許49
68817号には、貴金属触媒存在下、グリシドールと
一酸化炭とを反応させることにより、4−ヒドロキシ−
ジヒドロフラン−2−オンを製造する方法が開示されて
いる。しかし、この方法では、高価な貴金属触媒を用い
る必要があるだけでなく、高圧(約3MPa以上)下で
反応させる必要があり、工業的に不利である。
ターナショナルエディション・イングリッシュ(Angew.
Chem. Int. Ed., Eng.)、5巻、994頁(1966
年)には、過酸化水素及びギ酸の共存系により3−ブテ
ン酸を処理し、さらに塩酸を作用させることにより、4
−ヒドロキシ−ジヒドロフラン−2−オンを製造する方
法が開示され、(2)WO98/04543号公報に
は、ラクトースなどの炭水化物を塩基性条件下、過酸化
水素水で処理し、その後酸処理することにより、4−ヒ
ドロキシ−ジヒドロフラン−2−オンを製造する方法、
および前記酸処理により得られる3,4−ジヒドロキシ
ブタン酸をアセトンによりアセトニドに変換し、このケ
タールを塩酸で処理することにより、4−ヒドロキシ−
ジヒドロフラン−2−オンを製造する方法が開示されて
いる。(3)EP761663号公報には、4−クロロ
−3−ヒドロキシブタン酸エチルを塩酸で処理し、水酸
化ナトリウムで中和することにより、4−ヒドロキシ−
ジヒドロフラン−2−オンを製造する方法が開示され、
(4)WO99/33817号公報には、グリシドール
をシアノ化し、加水分解後ラクトン化することにより、
4−ヒドロキシ−ジヒドロフラン−2−オンを製造する
方法などが開示されている。
して水を用いるため、その留去に多くの時間や熱エネル
ギーを必要とし、工業的に不利である。また、使用した
酸又は塩基は中和して塩にする必要がある。さらに、4
−ヒドロキシ−ジヒドロフラン−2−オンを有機溶剤で
抽出することも考えられるが、4−ヒドロキシ−ジヒド
ロフラン−2−オンは水溶性が高いため、抽出効率が悪
い。従って、前記方法(1)〜(4)では、目的化合物
を効率よく製造できない。さらに、前記(1)及び
(2)の方法では、過酸化物を、(4)の方法ではシア
ノ化合物を用いており、その取り扱いに注意が必要であ
る。
7年)には、カルニチンを熱処理することにより、4−
ヒドロキシ−ジヒドロフラン−2−オンを製造する方法
が記載されている。しかし、この方法では、ジメチルス
ルホキシドのような高沸点の溶媒を用いる必要があり、
生成物の単離が困難である。
のエステル、例えば、4−アシロキシ−ジヒドロフラン
−2−オンの製造方法としては、カルニチンのヒドロキ
シル基をエステル化し、さらに環化する方法、4−ヒド
ロキシ−ジヒドロフラン−2−オンのヒドロキシル基を
アシル化する方法などが知られている。しかし、これら
の方法では、エステル化反応と環化反応とを行う必要が
あるだけでなく、カルニチンや4−ヒドロキシ−ジヒド
ロフラン−2−オンを用いているため、上述と同様の問
題が生じる。
ヒドロフラン−2−オンを製造する方法として、オキシ
ラニル基に置換基を有するエポキシカルボン酸、すなわ
ち、4−アルキル(または、4,4−ジアルキル)−
3,4−エポキシ−ブタン酸エステルを原料として用い
る方法が知られている。例えば、テトラヘドロンレター
ズ(Tetrahedron Lett.)、30巻、2513頁(19
89年)やジャーナル・オブ・ケミカルソサイエティー
・パーキン・トランザクションI(J. Chem. Soc., Per
kin TransI)、1巻、161頁(1973年)には、
4,4−ジメチル−3,4−エポキシペンタン酸エステ
ルをギ酸で処理することにより、4−ホルミロキシ−
5,5−ジメチル−ジヒドロフラン−2−オンを製造す
る方法が記載されている。しかし、エポキシ環の反応性
は、置換基の有無により大きく異なるため、これらの方
法では、5位に置換基を有しない4−アシロキシ−ジヒ
ドロフラン−2−オンを製造することができず、汎用性
が低い。
3頁(1989年)には、4,4−ジメチル−3,4−
エポキシペンタン酸エステルを塩酸で処理することによ
り、4−ヒドロキシ−5,5−ジメチルジヒドロフラン
−2−オンを製造する方法が記載されている。しかし、
この方法において、4位が無置換の3,4−エポキシペ
ンタン酸エステルを原料として用いると、3−ヒドロキ
シ−4−クロロペンタン酸エステルが生成し、ラクトン
が得られない。
7171頁(1991年)には、4−エチル−3,4−
エポキシペンタン酸エステルを3%硫酸水溶液で処理す
ることにより、4−ヒドロキシ−5−エチルジヒドロフ
ラン−2−オンを製造する方法が記載されている。しか
し、この方法では、原料であるエポキシペンタン酸エス
テルのエポキシ基がエチル基で置換されているため、5
位に置換基を有しない4−アシロキシ−ジヒドロフラン
−2−オンが得られない。また、3%硫酸水を用いるた
め、目的物を水層から抽出する必要があるものの、目的
物は水溶性が高いため、抽出が困難である。
は、ラクトン環のうち、環内エステル基の酸素原子と結
合する炭素原子(ジヒドロフラン−2−オンの5位の炭
素原子など)が無置換であるラクトンを製造できる方法
を提供することにある。
とカルボン酸とのエステルを効率よく製造できる方法を
提供することにある。
シ環を有するエポキシカルボン酸又はその誘導体から、
効率よくラクトンを製造できる方法を提供することにあ
る。
酸触媒を効率よく分離できるラクトンの製造方法を提供
することにある。
ボン酸又はその誘導体の光学活性を保持しつつ、ラクト
ンを製造できる方法を提供することにある。
を達成するため鋭意検討した結果、無置換のエポキシカ
ルボン酸又はその誘導体を水やカルボン酸などと反応さ
せると、ラクトンを製造できることを見いだし、本発明
を完成した。
は、下記式(1)で表されるエポキシカルボン酸又はそ
の誘導体と、下記式(2)で表される化合物とを反応さ
せ、下記式(3)で表されるラクトンを製造する。
し、Bは水素原子又はアシル基を示す。R1は、水素原
子、飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素基を示す) 前記反応は、スルホン酸基を有する酸触媒(固体酸触媒
など)の存在下で行ってもよく、反応系は不均一であっ
てもよい。酸触媒の割合は、エポキシカルボン酸又はそ
の誘導体(1)1モルに対して、例えば、0.05〜1
当量程度である。なお、エポキシカルボン酸又はその誘
導体(1)において、エポキシ環のうち、基Aに結合す
る炭素原子は不斉炭素であってもよく、エポキシカルボ
ン酸又はその誘導体(1)は、光学活性なエポキシカル
ボン酸又はその誘導体(1)であってもよい。
導体(1)]エポキシカルボン酸又はその誘導体として
は、前記式(1)で表されるようなエポキシ環に置換基
を有していないエポキシカルボン酸又はその誘導体が使
用できる。本発明では、無置換のエポキシカルボン酸又
はその誘導体と化合物(2)とを反応させることによ
り、ラクトンを製造できる。
チレン基、エチレン基、プロピレン基などのC1-3アル
キレン基である。好ましいアルキレン基Aは、メチレン
基、エチレン基など(特に、メチレン基)である。
素基(直鎖状又は分岐鎖状炭化水素基など)、脂環族炭
化水素基が含まれる。
基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル
基、イソブチル基、t−ブチル基などの直鎖状又は分岐
鎖状のC 1-10アルキル基(好ましくはC1-6アルキル
基、特にC1-4アルキル基)が挙げられる。不飽和の鎖
状炭化水素基には、ビニル基、イソプロペニル基、アリ
ル基などの直鎖状又は分岐鎖状のC2-6アルケニル基、
エチニル基、メチルエチニル基などのC2-6アルキニル
基などが含まれる。
ば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプ
チル基、シクロオクチル基などのシクロC3-10アルキル
基などが例示できる。不飽和の脂環族炭化水素基には、
例えば、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シ
クロヘプテニル基、シクロオクテニル基などのシクロC
4-10アルケニル基が含まれる。
特に直鎖状又は分岐鎖状のC1-6アルキル基(例えば、
C1-4アルキル基)である。
体としては、3,4−エポキシブタン酸、4,5−エポ
キシペンタン酸、5,6−エポキシヘキサン酸、又はそ
れらのエステルなどが挙げられ、特に3,4−エポキシ
ブタン酸又はそのエステル(3,4−エポキシブタン酸
メチル、3,4−エポキシブタン酸エチル、3,4−エ
ポキシブタン酸プロピル、3,4−エポキシブタン酸ブ
チルなどの3,4−エポキシブタン酸C1-6アルキルエ
ステル(特に、C1-4アルキルエステル)など)が好ま
しい。
は、ラセミ体であってもよく、光学活性体であってもよ
い。例えば、前記エポキシカルボン酸(又はその誘導
体)において、エポキシ環のうち、基Aに結合する炭素
原子は不斉炭素であってもよく、エポキシカルボン酸
(又はその誘導体)は、この不斉炭素に起因する光学活
性なエポキシカルボン酸(又はその誘導体)であっても
よい。このような光学活性なエポキシカルボン酸(又は
その誘導体)を用いても、光学活性を保持しつつラクト
ンを製造できる。例えば、前記式(3)において、基B
Oが結合する炭素原子が不斉炭素である光学活性なラク
トンを製造できる。
基Bは、水素原子、脂肪族アシル基(ホルミル基、アセ
チル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、
ブチルカルボニル基、ペンチルカルボニル基などの炭素
数が1〜6程度(好ましくは1〜4程度)の飽和アシル
基;(メタ)アクリロイル基、プロペニルカルボニル
基、ブテニルカルボニル基、ペンテニルカルボニル基な
どの炭素数が3〜6程度の不飽和アシル基など)、芳香
族アシル基(ベンゾイル基、ナフトイル基などの炭素数
が7〜13程度の芳香族アシル基)などである。
カルボン酸などが含まれる。カルボン酸としては、蟻
酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキ
サン酸などの炭素数が1〜6程度(好ましくは1〜4程
度)の脂肪族飽和カルボン酸;(メタ)アクリル酸、ブ
テン酸、ペンテン酸、ヘキセン酸などの炭素数が3〜6
程度の脂肪族不飽和カルボン酸;安息香酸、ナフトエ酸
などの芳香族カルボン酸などが挙げられる。なお、化合
物(2)は、単独で又は二種以上組み合わせて用いるこ
とができる。
ン酸又はその誘導体(1)1モルに対して、例えば、
0.5〜100当量程度、好ましくは0.8〜50当量
程度(例えば、0.8〜10当量程度)、さらに好まし
くは1〜30当量程度(例えば、1〜4当量程度)、特
に1〜15当量程度(例えば、1〜2当量程度)であ
る。なお、本発明では、後述するように、酸触媒(H型
陽イオン交換樹脂など)を用いてもよい。H型陽イオン
交換樹脂は、イオン交換樹脂の性状により、水やカルボ
ン酸を含有している場合がある。本発明では、イオン交
換樹脂に含まれる水やカルボン酸の量は、前記化合物
(2)の使用量に含めない。
の誘導体(1)と、化合物(2)との反応において、特
定の酸触媒を用いてもよい。特定の酸触媒の存在下で反
応させると、エポキシ環にアルキル基が置換していない
エポキシカルボン酸又はその誘導体(1)を用いても、
効率よくラクトン(3)を製造できる。
促進する種々の酸、例えば、解離性ハロゲン原子を含ま
ない酸(スルホン酸基を有する酸、硝酸、トリハロ酢酸
(トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸)など)が使用で
きる。好ましい酸触媒は、スルホン酸基を有する酸であ
る。
有機スルホン酸類、スルホン酸基を有する固体酸(前記
無機酸類及びスルホン酸類を適当な担体(シリカゲル、
アルミナなど)に担持した酸、スルホン酸基を有する高
分子など)が含まれる。
黄)、発煙硫酸、ピロ硫酸などが含まれる。
ン酸(ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、
ナフタレンスルホン酸など)、脂肪族スルホン酸(メタ
ンスルホン酸、エタンスルホン酸など)が挙げられる。
オン交換樹脂から選択でき、例えば、スルホン酸基を有
するスチレン系樹脂(例えば、スルホン酸基を有するス
チレン−ジビニルベンゼン共重合体)、スルホン酸基を
有するフッ素樹脂(例えば、スルホン酸基を有するポリ
テトラフルオロエチレン(ナフィオン−H(Nafion-H)
(du Pont社製)など))などが挙げられる。なお、ス
ルホン酸基を有する高分子は、一部のスルホン酸基が塩
を形成していてもよい。また、スルホン酸基を有する高
分子は、ポーラス型であってもよく、ゲル型であっても
よい。前記酸触媒は、単独で又は2種以上組み合わせて
使用できる。
い。不均一反応系を形成する場合、酸触媒としては、イ
オン交換樹脂などの固体酸触媒が使用できる。このよう
な酸触媒を用いると、ラクトン(3)の製造後、濾過等
により簡便に酸触媒を除去でき、作業効率を向上でき
る。
その誘導体)1モルに対して、例えば、0.001〜1
00当量程度、好ましくは0.01〜10当量程度、さ
らに好ましくは0.05〜4当量程度(特に0.05〜
1当量程度)である。
に対して、例えば、0.001〜1当量程度、好ましく
は0.01〜0.5当量程度、さらに好ましくは0.0
5〜0.3当量程度であってもよい。
(エポキシカルボン酸又はその誘導体)や生成物(ラク
トン)の種類や安定性などに応じて選択でき、例えば、
10〜150℃程度、好ましくは30〜120℃程度の
範囲から選択できる。
1〜50kPa程度、好ましくは0.1〜13kPa程
度)で行うことが多い。また、操作上の理由により、加
圧下で反応してもよい。
と化合物(2)との反応は、溶媒の非存在下で行っても
よく、溶媒の存在下で行ってもよい。溶媒としては、例
えば、ケトン系溶媒(例えば、アセトン、メチルエチル
ケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン
など)、エーテル系溶媒(例えば、ジエチルエーテル、
ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒ
ドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタンな
ど)、ニトリル類(例えば、アセトニトリル、ベンゾニ
トリルなど)、スルホキシド系溶媒(例えば、ジメチル
スルホキシドなど)、スルホラン類(スルホランな
ど)、エステル系溶媒(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸
ブチルなど)、アミド系溶媒(例えば、ジメチルホルム
アミドなど)、アルコール系溶媒(メタノール、エタノ
ール、プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノー
ル、s−ブタノール、t−ブタノールなど)、脂肪族炭
化水素系溶媒(ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタ
ン、石油エーテルなど)、芳香族炭化水素系溶媒(ベン
ゼン、トルエン、キシレンなど)、ハロゲン化炭化水素
系溶媒(例えば、塩化メチレン、クロロホルム、ブロモ
ホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ブ
ロモベンゼンなど)、高沸点溶媒(ポリエチレングリコ
ール、シリコーンオイルなど)が使用できる。溶媒は単
独で又は二種以上混合して使用してもよい。なお、溶媒
は、反応の副生成物(R1OHで表される化合物)と共
沸可能な溶媒であってもよい。
応成分を溶解又は分散可能であり、かつ経済性などを損
なわない程度の量であってもよい。溶媒の使用量は、エ
ポキシカルボン酸(又はその誘導体)(1)及び化合物
(2)の総量100重量部に対して、例えば、0〜10
0,000重量部程度、好ましくは10〜10,000
重量部程度の範囲から選択できる。
性なガス雰囲気下で行ってもよく、空気雰囲気下で行っ
てもよい。また、反応は、バッチ式、セミバッチ式、及
び連続式のいずれの方式で行ってもよい。なお、酸触媒
として固体酸(特に、H型陽イオン交換樹脂)を用いる
場合、管型反応器を備えた流通式の反応装置を用いても
よい。
分離精製手段(中和、抽出、蒸留、精留、晶析、再結
晶、カラムクロマトグラフィーを用いた分離など)によ
り精製してもよい。
性材料、または医薬もしくは農薬の中間体などの原料と
して使用できる。特に、ラクトン環のうち、環内エステ
ル基の酸素原子と結合する炭素原子(ジヒドロフラン−
2−オンの5位の炭素原子など)が無置換であるため、
高機能性材料(側鎖を有しない線状高分子など)の原料
として有用である。
るエポキシカルボン酸又はその誘導体を用いてラクトン
を製造しているため、利用価値の高いラクトンを製造で
きる。また、エポキシカルボン酸又はその誘導体をカル
ボン酸と反応させることができるため、ヒドロキシラク
トンとカルボン酸とのエステルを製造できる。特に、酸
触媒の存在下で反応させると、ラクトンを効率よく製造
できる。また、光学活性なエポキシカルボン酸を用いて
も、エポキシカルボン酸の光学活性を保持しつつ、ラク
トンを製造できる。
に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定さ
れるものではない。
ペクトルは、500MHz 1H−NMR測定装置(ブ
ルッカー(Bruker)社製「AM500」、内部標準=テ
トラメチルシラン(TMS))を用いて測定した。
(3,4−エポキシブタン酸エチル基準)は、ガスクロ
マトグラフィー((株)島津製作所製、「GC12
A」)により求めた。なお、ガスクロマトグラフィーの
条件は下記の通りである。
ロモソルブW(AW)(60〜80メッシュ)に担持し
た充填剤 カラム長:2m カラム温度:100℃〜200℃(昇温速度=10℃/
分) 移動層:窒素 検知器:FID 実施例で得られた化合物の旋光度は、旋光計(日本分光
(株)製「DIP−370型旋光計」、測定波長=58
9nm(ナトリウムD線)、溶媒=アセトン、測定温度=
20℃)により求めた。なお、実施例では、予めモレキ
ュラーシーブス4Aで乾燥した酢酸を用いた。
−ジヒドロフラン−2−オンの製造) 3,4−エポキシブタン酸エチル0.534g、水0.
155g、硫酸0.061gをアセトン5mLに溶解し
た。この溶液をなす型フラスコ(容量25mL)に入
れ、窒素雰囲気下、3時間加熱還流した。
し、残渣に2−プロパノール5mLおよび炭酸カリウム
0.086gを加え、不溶物をろ過により除去した。ろ
液を濃縮し、粗4−ヒドロキシ−ジヒドロフラン−2−
オン0.377gを得た。4−ヒドロキシ−ジヒドロフ
ラン−2−オンの収率は86モル%であり、主な副生成
物は5H−フラン−2−オン(収率5モル%)であっ
た。
ンの1H−NMRスペクトル(CDC13):δ 2.5
3(td,J=1.0,17.9Hz,1H),2.7
6(dd,J=17.9,6.1Hz,1H),4.3
0(d,J=10.3Hz,1H),4.42(dd,
J=10.3,4.5Hz,1H),4.6−4.7
(m,1H).
る4−ヒドロキシ−ジヒドロフラン−2−オンの製造) 硫酸に代えて、H型陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)
製「ダイヤイオンRCP160M」)0.66g用い、
8時間反応させる以外は、実施例1と同様にした。反応
終了後、イオン交換樹脂を濾過により除去し、ろ液を濃
縮することにより粗4−ヒドロキシ−ジヒドロフラン−
2−オン0.367gを得た。4−ヒドロキシ−ジヒド
ロフラン−2−オンの収率は86モル%であり、主な副
生成物は5H−フラン−2−オン(収率5モル%)であ
った。
−ジヒドロフラン−2−オンの製造) 3,4−エポキシブタン酸エチル0.488g、酢酸
0.492g、硫酸0.055gをなす型フラスコ(容
量25mL)に入れ、混合物を窒素雰囲気下、60℃で
1.5時間加熱した。
し、残渣に2−プロパノール5mLを加えた。さらに氷
冷しながら、炭酸カリウム0.078gを加え、不溶物
をろ過により除去した。ろ液を濃縮し、粗4−アセトキ
シ−ジヒドロフラン−2−オン0.435gを得た。
ンの収率は58モル%であり、主な副生成物は3−ヒド
ロキシ−γ−ブチロラクトン(収率31モル%)であっ
た。
ンの1H−NMRスペクトル(CDC13);δ 2.1
0(s,3H),2.62(d,J=18.3Hz,1
H),2.85(dd,J=18.3,6.7Hz,1
H),4.37(d,J=11.0Hz,1H),4.
50(dd,J=11.0,4.8Hz,1H),5.
4(m,1H).
る4−アセトキシ−ジヒドロフラン−2−オンの製造) H型陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製「ダイヤイオ
ンRCP160M」)0.59gを触媒として用い、反
応温度を90℃、反応時間を4時間とする以外は、実施
例3と同様に反応した。なお、前記H型陽イオン交換樹
脂は、樹脂中の可溶性成分を酢酸で置換してから用い
た。
除去し、ろ液を濃縮することにより粗4−アセトキシ−
ジヒドロフラン−2−オン0.379gを得た。4−ア
セトキシ−ジヒドロフラン−2−オンの収率は55モル
%であり、主な副生成物は3−ヒドロキシ−γ−ブチロ
ラクトン(収率11モル%)、及び5H−フラン−2−
オン(収率4モル%)であった。
ヒドロフラン−2−オンの製造) エポキシブタン酸エステルとして3(S),4−エポキ
シブタン酸エチル(光学純度98%e.e.)を用いる以外
は、実施例2と同様にした。得られた4(S)−ヒドロ
キシ−ジヒドロフラン−2−オンの旋光度は、[α]D
20=−86.4°(濃度c=0.843g/100m
l、メタノール溶液)であった。
キシ−ジヒドロフラン−2−オンの製造) 3,4−エポキシブタン酸エチル0.514g、酢酸
0.251gをアセトン5mLに溶解した。この溶液を
なす型フラスコ(容量20mL)に入れ、窒素雰囲気下
で1時間加熱還流した。この混合物をガスクロマトグラ
フィーで分析したところ、反応は全く進行していなかっ
た。
0.463gをエタノール5mLに溶解した。この溶液
をなす型フラスコ(容量25mL)に入れ、窒素雰囲気
下、2時間加熱還流した。
90gの残渣を得た。この残渣をガスクロマトグラフィ
ーおよび1H−NMRにより分析したところ、残渣に
は、4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸エチルが収率
90モル%で含まれていた。
Claims (7)
- 【請求項1】 下記式(1)で表されるエポキシカルボ
ン酸又はその誘導体と、下記式(2)で表される化合物
とを反応させ、下記式(3)で表されるラクトンを製造
する方法。 【化1】 (式中、AはC1-3アルキレン基を示し、Bは水素原子
又はアシル基を示す。R1は、水素原子、飽和又は不飽
和の脂肪族炭化水素基を示す) - 【請求項2】 スルホン酸基を有する酸触媒の存在下、
エポキシカルボン酸又はその誘導体(1)と式(2)の
化合物とを反応させる請求項1記載の製造方法。 - 【請求項3】 不均一な反応系で行う請求項2記載の製
造方法。 - 【請求項4】 固体酸触媒を用いる請求項2又は3記載
の製造方法。 - 【請求項5】 酸触媒の割合が、エポキシカルボン酸又
はその誘導体(1)1モルに対して、0.05〜1当量
である請求項2〜4のいずれかの項に記載の製造方法。 - 【請求項6】 R1が直鎖状又は分岐鎖状のC1-6アルキ
ル基であり、Aがメチレン基である請求項1〜5のいず
れかの項に記載の製造方法。 - 【請求項7】 エポキシ環のうち、基Aに結合する炭素
原子が不斉炭素である光学活性なエポキシカルボン酸又
はその誘導体(1)を用いる請求項1〜6のいずれかの
項に記載の製造方法。
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