JP5574480B2 - アミノ基含有アセトン誘導体、及びそれを用いた炭素−炭素結合形成方法 - Google Patents
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Description
A-(CH)2-CO-(CH)2-B ・・・(10)
(式(10)中、Aは、アルキル、アリル、アラルキル、アリール、シリル、又はスルホニルでモノ−又はジ−置換されたアミノ基、カルバメート基、アミド基、及びイミド基から選ばれるアミノ保護基、Bは、ヒドロキシル基、エーテル基、及びエステル基から選ばれるヒドロキシル保護基と、アルキル、アリル、アラルキル、アリール、シリル、又はスルホニルでモノ−又はジ−置換された前記と別なアミノ基、カルバメート基、前記と別なアミド基、前記と別なイミド基、及びアジド基から選ばれるアミノ保護基と、該Aと共に環を形成するメチレン基、ジアルキルメチレン基、及びカルボニル基から選ばれる環形成基との何れかである)
で表される。
で表されることを特徴とする。
請求項2に記載のアミノ基含有アセトン誘導体は、請求項1に記載されたもので、前記アミノ基含有アセトン誘導体が、前記化学式(11)で表わされるものであって、前記化学式(11)中、P 1 −NがN−CO−O−t-C 4 H 9 又はN−CO−O−t-CH 3 であることを特徴とする。
前記アミノ基含有アセトン誘導体に前記塩基を作用させてそのアセトン骨格のカルボニル基α位又はα’位にカルバニオンを生じさせた求核試薬とした後、そこへ反応する求電子試薬と作用させて、両試薬間に炭素−炭素結合を形成させるものであることを特徴とする。
アルドール反応等を引き起こすもので例えば炭素数20以下であってアセトフェノンやベンジリデンアセトフェノンのような飽和若しくは不飽和で脂肪族基含有及び/又は炭化水素系芳香環含有若しくは複素系芳香環含有のケトン類であってもよく、
クライゼン反応等を引き起こすもので例えば炭素数20以下であってケイ皮酸メチルのような飽和若しくは不飽和で直鎖状、分岐鎖状若しくは環状の脂肪族基含有及び/又は炭化水素系芳香環含有若しくは複素系芳香環含有のカルボン酸エステル類であってもよく、
置換反応等を引き起こすもので例えば炭素数20以下であって飽和若しくは不飽和で直鎖状、分岐鎖状若しくは環状の脂肪族基含有及び/又は芳香環含有のハロゲン化物類、パラトルエンスルホン酸エステルやメタンスルホン酸エステルのような飽和若しくは不飽和で直鎖状、分岐鎖状若しくは環状の脂肪族基含有及び/又は芳香環含有のスルホン酸エステル類であってもよく、
マイケル反応等を引き起こすもので炭素数20以下であって共役不飽和基を有するケイ皮酸エステルのような不飽和カルボン酸類やそのエステル類やそのアミド類、不飽和ニトリル類、不飽和ニトロ化合物類、又は不飽和スルホニル化合物類であってもよい。
(2−ヒドロキシメチル−2−プロペン酸メチル(21)の合成)
パラホルムアルデヒド(66g、2.2mol)、2N−塩酸(6ml)、及び水(200ml)を90℃で1.5時間、加熱し、透明なホルムアルデヒド水溶液を調製した。その水溶液を室温まで放冷した後、1,4−ジオキサン(200ml)、アクリル酸メチル(20)(180ml、2.0mol)、ジアザビシクロオクタン(DABCO;56g、0.5mol)を加え、その混合物を室温で10時間、撹拌した。反応終了後、溶媒を減圧留去し、残渣をジエチルエーテルで抽出した。抽出液を合わせて飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去すると、無色油状物のバイリス−ヒルマン付加物である2−ヒドロキシメチル−2−プロペン酸メチル(21)(94g、収率40%)が得られた。
2−ヒドロキシメチル−2−プロペン酸メチル(21)(32.15g、0.28mol)のジエチルエーテル(30ml)溶液に、−10℃で三臭化リン(24.4g、0.09mol)を滴下した。その条件下で、反応混合物を1時間撹拌した。そこへ水を加え、反応混合物をヘキサンで抽出した。抽出液を合わせて、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;ヘキサン/ジエチルエーテル=3:1)で精製すると、無色油状物の2−ブロモメチル−2−プロペン酸メチル(22)(39.4g、収率80%)が得られた。
2−ブロモメチル−2−プロペン酸メチル(22)(5.23g、29.4mmol)の乾燥塩化メチレン(200ml)溶液に、−78℃で0.5時間かけて、水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL−H)のヘキサン溶液(60ml、1.03M)を滴下し、同条件下で更に1時間撹拌した。反応終了後、反応混合物に室温で、飽和ロッシェル塩水溶液を懸濁しなくなるまで添加しながら、撹拌した。有機層を分離して、水層を塩化メチレンで抽出した。抽出液を合わせて、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:ヘキサン/ジエチルエーテル=2:1)で精製すると、無色油状物の2−(ブロモメチル)プロパン−2−エン−1−オール(23)(3.50g、収率79%)が得られた。
28%アンモニア水(60ml)に、2−(ブロモメチル)プロパン−2−エン−1−オール(23)(2.8g、18.7mmol)のメタノール(9ml)溶液を、0℃で滴下し、同条件下で、1時間撹拌した。反応終了後、反応混合物を減圧留去し、無色の油状物である粗生成物を得た。この粗生成物を精製することなく、次の反応に用いた。この粗生成物とトリエチルアミン(Et3N)(5.2ml、37.3mmol)との1,4−ジオキサン−水(3/1,40ml)混合液に、ジtert-ブチルカーボネート(Boc2O)(4.5g、20.5mmol)を添加し、室温で1時間撹拌した。反応終了後、溶媒を減圧留去し、残渣をジエチルエーテルで抽出した。抽出液を合わせて、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;ヘキサン/酢酸エチル=2:1)で精製すると、無色油状物の2−(ヒドロキシメチル)アリルカルバミン酸tert-ブチル(24)(2.87g、収率82%)が得られた。
2−(ヒドロキシメチル)アリルカルバミン酸tert-ブチル(24)(2.87g、15.3mmol)と2,2−ジメトキシプロパン(3.77ml、30.7mmol)との乾燥ベンゼン(30ml)溶液に、パラ-トルエンスルホン酸ピリジニウム(PPTS)(826mg、3.1mmol)を添加し、混合物を5時間還流した。反応終了後、反応混合物を1N−水酸化ナトリウム水溶液で希釈し、有機層を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した。抽出液を合わせて、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;ヘキサン/酢酸エチル=5:1)で精製すると、無色油状物の2,2−ジメチル−5−メチレン−1,3−オキサジナン−3−カルバミン酸tert-ブチル(25)(2.68g、収率77%)が得られた。
2,2−ジメチル−5−メチレン−1,3−オキサジナン−3−カルバミン酸tert-ブチル(25)(1.95g、8.58mmol)の乾燥塩化メチレン(200ml)溶液に−78℃で0.5時間、オゾンガスを吹き込んだ。窒素ガスでパージングした後、−78℃で、ジメチルスルフィド(Me2S)(3.14ml、42.9mmol)を滴下した。オゾン酸化反応終了後、反応混合物を減圧濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒ヘキサン/酢酸エチル=5:1)で精製すると、無色柱状晶の2,2−ジメチル−5−オキソ−1,3−オキサジナン−3−カルバミン酸tert-ブチル(26)(1.65g、収率84%)が得られた。
FTIR (KBr) ν 1753, 1699, 1387, 1367cm-1
1H NMR (CDCl3) δ 1.47(9H, s), 1.69(6H, s), 4.13(4H,s)
13C NMR (CDCl3) δ 24.3(×2), 28.3(×3), 50.3, 67.0, 81.1, 88.5, 153.3, 206.3
この分光学的データは、この構造を支持する。
(3−ヒドロキシ−2−オキソプロピルカルバミン酸tert-ブチル(27)の合成)
2−(ヒドロキシメチル)アリルカルバミン酸tert-ブチル(24)(303mg、1.6mmol)の乾燥塩化メチレン(32ml)溶液に−78℃で0.5時間、オゾンガスを吹き込んだ。窒素ガスでパージングした後、ジメチルスルフィド(0.59ml、8.1mmol)を−78℃で滴下した。反応終了後、反応混合物を減圧濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;ヘキサン/エーテル=1:2)で精製すると、無色油状物の3−ヒドロキシ−2−オキソプロピルカルバミン酸tert-ブチル(27)(161mg、収率53%)が得られた。
FTIR (KBr) ν 3366, 1693, 1523, 1368, 1167cm-1
1H NMR (CDCl3) δ 1.44(9H, s), 4.07(2H, d, J = 5.1 Hz), 4.35(2H, s), 5.24(1H, brs)
13C NMR (CDCl3) δ 28.2(×3), 47.2, 66.6, 80.4, 155.8, 206.1
この分光学的データは、この構造を支持する。
(3−(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)−2−オキソプロピルカルバミン酸tert-ブチル(29)の合成)
2−(ヒドロキシメチル)アリルカルバミン酸tert-ブチル(24)(300mg、1.6mmol)とトリエチルアミン(0.67ml、4.8mmol)とN,N−ジメチル−4−アミノピリジン(DMAP)(195mg、1.6mmol)との乾燥塩化メチレン(8ml)溶液に、0℃でtert-ブチルジメチルクロロシラン(TBSCl)(290mg、1.9mmol)を添加し、混合物を室温で0.5時間撹拌した。そこへ水を加え、反応混合物を塩化メチレンで抽出した。抽出液を合わせて、飽和塩化アンモニウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒溶出;ヘキサン/酢酸エチル=10:1)で精製すると、無色油状物の中間体(28)(426mg、収率88%)が得られた。中間体(28)(426mg、1.41mmol)の乾燥塩化メチレン(28ml)溶液に−78℃で0.5時間、オゾンガスを吹き込んだ。窒素ガスでパージングした後、−78℃でジメチルスルフィド(0.52ml、7.1mmol)を滴下した。反応終了後、混合物を減圧濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒溶出;ヘキサン/酢酸エチル=4:1)で精製すると、無色油状物の3−(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)−2−オキソプロピルカルバミン酸tert-ブチル(29)(351mg、収率82%)が得られた。
FTIR (KBr) ν 3380, 1715, 1506, 1366, 1254, 1170, 1110cm-1
1H NMR (CDCl3) δ 0.10(6H, s), 0.93(9H, s), 1.45(9H, s), 4.25(4H, s), 5.21(1H, br)
13C NMR (CDCl3) δ -5.6(×2), 18.2, 25.7(×3), 28.3(×3), 48.1, 68.3, 79.8, 155.7, 206.9
この分光学的データは、この構造を支持する。
(1,3−ジアジドプロパン−2−オン(31)の合成)
1,3−ジクロロ−2−プロパノン(30)(1.0g、7.87mmol)の乾燥アセトン(7.8ml)溶液に、アジ化ナトリウム(1.54g、23.6mmol)を添加し、混合物を室温で5時間、撹拌した。反応混合物を濾過して不溶解性物質を除去する後処理を行った後、溶媒を減圧留去すると、黄色油状物の1,3−ジアジドプロパン−2−オン(31)(1.09g、99%)が得られた。粗生成物を精製することなく次の反応に用いた。
1,3−ジアジドプロパン−2−オン(31)(300mg、2.14mmol)の酢酸エチル(20ml)溶液に、ジtert-ブチル ジカーボネート(1.0g、4.71mmol)と10%パラジウム/炭素(100mg)とを加えて、混合物を室温で48時間、水素ガス雰囲気下で撹拌した。反応混合物をセライト(登録商標)で濾過し、酢酸エチルで洗浄し、濾液から溶媒を留去した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒溶出;ヘキサン/酢酸エチル=3:1)で精製すると、無色針状晶の2−オキソプロパン−1,3−ジイルカルバミン酸tert-ブチル(32)(159mg、収率26%)と無色油状物の3−アジド−2−オキソプロパン−1−イルカルバミン酸tert-ブチル(33)(171mg、収率37%)とが得られた。
[2−オキソプロパン−1,3−ジイルカルバミン酸tert-ブチル(32)]
FTIR (KBr) ν 3350, 1754, 1719, 1681, 1537cm-1
1H NMR (CDCl3) δ 1.45(18H, s), 4.06(4H, d, J=4.9Hz), 5.21(1H, brs)
13C NMR (CDCl3) δ 28.3(×6), 48.3(×2), 80.2(×2), 155.7(×2), 202.4
[3−アジド−2−オキソプロパン−1−イルカルバミン酸tert-ブチル(33)]
FTIR (KBr) ν 3361, 2107, 1703, 1516cm-1
1H NMR (CDCl3) δ 1.47(9H, s), 4.06(4H, s), 5.20(1H, brs)
13C NMR
(CDCl3) δ 28.2(×3), 48.5, 55.7, 80.4, 155.6, 200.7
これらの分光学的データは、この構造を支持する。
2,2−ジメチル−5−オキソ−1,3−オキサジナン−3−カルバミン酸tert-ブチル(26)(300mg、1.3mmol)とベンズアルデヒド(34)(120mg、1.2mmol)との乾燥テトラヒドロフラン(6.5ml)溶液に、臭化リチウム(52mg、0.6mmol)と1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン(DBU)(91mg、0.6mmol)とを加えた。混合物を室温で1時間撹拌した。そこへ水を加え、反応混合物をジエチルエーテルで抽出した。抽出液を合わせて、飽和塩化アンモニウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;ヘキサン/酢酸エチル/クロロホルム=3:1:1)で精製すると、黄色油状物の副生成物である三環状アセタール(35)(94mg、収率14%)と、黄色油状物のアルドール反応生成物であるジアステレオマー混合物(36anti体,36syn体)(170mg、収率39%)とが1:2.8の比で、得られた。
(三環状アセタール(35))
FTIR (KBr) ν 3447, 1702, 1368, 1252, 1142, 1091, 1061 cm-1.
1H NMR (CDCl3) δ 7.4-7.26 (m, 5H), 5.0 (s, 1H), 4.78 (d, J=9.28Hz, 1H), 3.87 (d, J=9.5Hz, 1H), 3.85 (d, J=13.9Hz, 1H), 3.83 (d, J=13.4Hz, 1H), 3.78 (s, 1H), 3.55 (d, J=13.9Hz, 1H), 3.52 (s, 1H), 3.36 (d, J=13.4Hz, 1H), 1.70 (s, 6H), 1.62 (s, 3H), 1.46 (s, 9H), 1.44 (s, 9H), 1.26 (s, 3H).
13C NMR (CDCl3) δ 155.3, 153.9, 138.3, 127.9(×2), 127.8, 127.3(×2), 95.5, 89.7, 89.2, 81.1, 80.4, 71.1, 70.9, 68.9, 67.7, 51.5, 48.3, 31.1, 28.4(×3), 28.3 (×3), 25.5, 23.7, 19.1.
HRMS calcd for C29H44N2NaO9 (M + Na) 587.2945, Found 587.2947.
(36anti体)
1H-NMR (CDCl3,400MHz) δ 3.65(1H, d, J=3.2Hz, H e ), 3.70(1H, dd, J=1.5, 18.0Hz, H a ), 4.22(1H, dd, J=1.5, 7.3Hz, H c ), 4.49(1H, d, J=18.0Hz, H b ), 4.88(1H, dd, J=3.2, 7.3Hz, H d )
(36syn体)
1H-NMR (CDCl3,400MHz) δ 2.75(1H, d, J=7.8Hz, H e ), 3.74(1H, dd, J=1.5, 17.1Hz, H a ), 4.34(1H, dd, J=1.5, 2.7Hz, H c ), 4.47(1H, d, J=17.1Hz, H b ), 5.23(1H, dd, J=2.7, 7.8Hz, H d )
なお、36anti体及び36syn体の混合物で測定しており、その他の吸収は、1.44(Boc基), 1.45(Boc基), 1.47, 1.49, 1.58, 1.63(Me基). 7.25-7.40(フェニル基)である。
前記の合成実施例1中で用いたBoc2Oに代えて、クロルギ酸メチルを用いたこと以外は、合成実施例1と同様にして、2,2−ジメチル−5−オキソ−1,3−オキサゾナン−3−カルバミン酸メチル(37)を得た。
FTIR (KBr) ν 1753, 1709, 1446, 1374cm-1
1H NMR (CDCl3) δ 1.71(6H, s), 3.70(3H, s), 4.15(2H, s), 4.17(2H, s)
13C NMR (CDCl3) δ 23.9(×2), 50.2, 52.6, 66.9, 88.7, 154.3, 205.6
この分光学的データは、この構造を支持する。
2,2−ジメチル−5−オキソ−1,3−オキサゾナン−3−カルバミン酸メチル(37)(50mg、0.27mmol)とベンズアルデヒド(34)(24.6μl、0.24mmol)との乾燥テトラヒドロフラン(1ml)溶液に、臭化リチウム(10.4mg、0.12mmol)と1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン(DBU)(18.3mg、0.12mmol)とを加えた。混合物を室温で1時間撹拌した。そこへ水を加え、反応混合物をジエチルエーテルで抽出した。抽出液を合わせて、飽和塩化アンモニウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を除去した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;ヘキサン/酢酸エチル=3:1)で精製すると、黄色油状物の副生成物である三環状アセタール(38)(41mg、収率35%)と、黄色油状物のアルドール反応生成物であるジアステレオマー混合物(39anti体,39syn体)(7mg、収率10%)とが3.5:1の比で、得られた。
(三環状アセタール(38))
1H NMR (CDCl3): δ 7.39-7.27(m, 5H), 5.1(s, 1H), 4.79(d, J=9.52Hz, 1H), 3.91(d, J=9.5Hz, 1H), 3.87(d, J=13.4Hz, 1H), 3.85(d, J=13.9Hz, 1H), 3.80(s, 1H), 3.69(s, 1H), 3.67(s, 3H), 3.65(s, 3H), 3.61(d, J=13.9Hz, 1H), 3.44(d, J=13.4Hz, 1H), 1.73(s, 3H), 1.72 (s, 3H), 1.65 (s, 3H), 1.28 (s, 3H).
13C NMR (CDCl3): δ 156.2, 155.1, 138.1, 128.0(×3), 127.3(×2), 95.2, 89.8, 89.4, 71.1, 70.9, 69.0, 67.6, 52.6, 52.5, 51.3, 48.3, 31.6, 25.6, 19.1, 15.3.
HR-MS: calcd for C23H32N2NaO9 (M + Na) 503.2006, Found 503.2004.
(39anti体)
1H NMR (CDCl3) δ 3.68(3H, s), 3.75(1H, d, J=17.6Hz), 4.24(1H, d, J=7.3Hz), 4.51(1H, d, J=17.6Hz), 4.89(1H, dd, J=2.2, 7.3Hz)
(39syn体)
1H NMR (CDCl3) δ 3.68(3H, s), 3.81(1H, d, J=16.8Hz), 4.36(1H, d, J=2.6Hz), 4.50(1H, d, J=16.6Hz), 5.24 (1H, dd, J=2.6, 7.1Hz)
なお、39anti体及び39syn体の混合物で測定しており、その他の吸収は、1.51(6H, s), 1.61(3H, s), 1.65(3H, s), 7.20-7.42(5H, m)である。
((S)-メチル 6-((S)-エタノイルオキシ(4-ニトロフェニル)メチル)-2,2-ジメチル-5-オキソ-1,3-オキサジナン-3-カルボキシレート(45anti)の合成)
N−CO−O−Meを有するアミノ基含有アセトン誘導体(37)(94mg、0.5mmоl)を含むイソプロパノール(i−PrOH)溶液にp−ニトロベンズアルデヒド(2、38mg、0.25mmоl)及び触媒として不斉なピロリジン−テトラゾール触媒(41)(10.4mg、0.075mol)を加え、その反応混合物を、室温で72時間撹拌した。水及び酢酸エチルを加えて希釈した後、有機層を分離し、水相を酢酸エチルで抽出した。その抽出液を合わせて、飽和塩化アンモニウム水溶液、及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去した。粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=2:1)で精製すると、淡黄色油状のアルドール付加物(62mg、収率73%、39anti:39syn=95:5)が得られた。さらに高速液体クロマトグラフィー分析のために、そのアルドール付加物(39anti)をアセチル化した。
[(S)-メチル 6-((S)-エタノイルオキシ(4-ニトロフェニル)メチル)-2,2-ジメチル-5-オキソ-1,3-オキサジナン-3-カルボキシレート(45anti)]
淡黄色油状物
シリカゲル薄層クロマトグラフィー:Rf 0.39(ヘキサン/アセトン/クロロホルム=4:1:1).
[α]D 18 -37.66(c 0.82, CHCl3)(98% ee).
FTIR (KBr) ν 1752, 1709, 1524, 1373, 1348, 1230cm-1.
1H NMR (CDCl3) δ 1.55(3H, s), 1.76(3H, s), 2.16(3H, s), 3.47(1H, dd, J=17.3, 1.4Hz), 3.67(3H, s), 4.4(1H, d, J=17.3Hz), 4.65(1H, dd, J=3.9, 1.2Hz), 6.25(1H, d, J=3.9Hz), 7.55(2H, d, J=9.0Hz), 8.17(2H, d, J=8.8Hz).
13C NMR(CDCl3) δ 20.8, 23.7, 34.3, 50.4, 52.6, 72.4, 76.2, 89.6, 123.1(×2), 129.1(×2), 142.2, 147.8, 154.1, 169.4, 203.0.
この分光学的データは、この構造を支持する。
溶媒、反応時間を、表1に記載の条件にしたこと以外は、反応実施例3と同様にして、反応を行った。その結果をまとめて表1に示す。なお、DMFはN,N-ジメチルホルムアミド、NMPはN-メチルピロリジン、DMSOはジメチルスルホキシドである。
触媒としてL−プロリンを用いたこと以外は反応実施例8と同様にして、反応を行った。その結果を表1に示す。
反応実施例3のベンズアルデヒドに代えて、各種p-置換ベンズアルデヒドを用いたこと以外は、反応実施例3と同様にして、そのアルドール付加物(46anti及び46syn)を得た。反応実施例3と同様にして精製し、理化学分析を行った。その結果を、表2に纏めて示す。
p-ニトロベンズアルデヒド(2、44mg、0.29mmоl)とp−アニシジン(4、36mg、0.29mmоl)とのDMF溶液を、室温で45分間撹拌した。次いで、L−プロリンから誘導した光学活性ピロリジン−2−イル−5−テトラゾール触媒(41)(12.2mg)と、N−Bocを有するアミノ基含有アセトン誘導体(26)(100mg、0.436mmоl)を加え、その反応混合物を室温で96時間撹拌した。シリカゲル薄層クロマトグラフィーにより反応完了を確認後、そこへ飽和塩化アンモニウム水溶液及び酢酸エチルを強く撹拌しながら加えた。有機相を分離した後、その有機相を水で洗浄した。その有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去した。粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル/クロロホルム=2:1:1)で精製すると、オレンジ色アモルファス状固形物として所望のマンニッヒ付加物(47anti及び47syn)が得られた。
FTIR (KBr) ν 1749, 1698, 1605, 1515, 1369, 1347, 1243, 1153 cm-1.
[マイナーなマンニッヒ付加物(47anti)]
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.43(9H, s), 1.61(3H, s), 1.74(3H, s), 3.19(1H, dd, J=16.8, 1.2Hz), 3.69(3H, s), 4.31(1H, d, J=16.8 Hz), 4.65(1H, br d, J=3.9Hz), 5.00(1H, d, J=3.9Hz), 6.57(2H, m), 6.70(2H, m), 7.52(2H, d, J=8.8Hz), 8.11 (2H, m).
13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 24.3, 24.8, 28.2(×3), 50.4, 55.5, 57.7, 77.5, 81.4, 89.3, 114.8(×2), 116.0(×2), 123.1(×2), 129.6(×2), 139.1, 145.5, 147.4, 152.9, 153.1, 205.4.
[メジャーなマンニッヒ付加物(47syn)]
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.45(9H, s), 1.54(3H, s), 1.67(3H, s), 3.67(3H, s), 3.71(1H, dd, J=16.8, 1.2Hz), 4.39(1H, s), 4.48(1H, d, J=16.8 Hz), 5.11 (1H, d, J=2.2Hz), 6.53 (2H, m), 6.68 (2H, m), 7.52 (2H, d, J=8.8Hz), 8.16 (2H, m).
13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 24.3, 24.8, 28.2(×3), 50.7, 55.5, 57.4, 78.3, 81.4, 89.3, 114.8(×2), 115.6(×2), 123.6(×2), 128.1(×2), 139.2, 147.3, 147.4, 152.8(6), 152.9(3), 204.9.
この分光学的データは、この構造を支持する。
Claims (8)
- 前記アミノ基含有アセトン誘導体が、前記化学式(11)で表わされるものであって、前記化学式(11)中、P 1 −NがN−CO−O−t-C 4 H 9 又はN−CO−O−t-CH 3 であることを特徴とする請求項1に記載のアミノ基含有アセトン誘導体。
- 請求項1に記載のアミノ基含有アセトン誘導体と塩基とからなる求核試薬であって、
前記アミノ基含有アセトン誘導体に前記塩基を作用させてそのアセトン骨格のカルボニル基α位又はα’位にカルバニオンを生じさせた求核試薬とした後、そこへ反応する求電子試薬と作用させて、両試薬間に炭素−炭素結合を形成させるものであることを特徴とする求核試薬。 - 請求項1に記載のアミノ基含有アセトン誘導体に塩基を作用させてそのアセトン骨格のカルボニル基α位又はα’位にカルバニオンを生じさせた求核試薬とした後、そこへ反応する求電子試薬と作用させて、両試薬間に炭素−炭素結合を形成させることを特徴とする炭素−炭素結合形成方法。
- 前記求電子試薬が、アルドール反応、求核置換反応、マイケル反応、又はクライゼン反応によって前記炭素−炭素結合を形成するもので、飽和若しくは不飽和アルデヒド類、飽和若しくは不飽和ケトン類、飽和若しくは不飽和エステル類、飽和若しくは不飽和ハロゲン化物類、不飽和アミド類、不飽和ニトリル類、不飽和ニトロ化合物類、又は不飽和スルホニル化合物類であることを特徴とする請求項4に記載の炭素−炭素結合形成方法。
- 前記求電子試薬が、マンニッヒ反応によって前記炭素−炭素結合を形成するもので飽和若しくは不飽和アルデヒド類、又は飽和若しくは不飽和ケトン類であって、アミン類と共に、前記作用させて、アミノ化炭素−炭素結合を前記形成することを特徴とする請求項5に記載の炭素−炭素結合形成方法。
- ピロリジン−テトラゾール触媒を、共存させて、前記炭素−炭素結合を形成させることを特徴とする請求項4〜6の何れかに記載の炭素−炭素結合形成方法。
- 不斉な前記ピロリジン−テトラゾール触媒により、不斉に前記炭素−炭素結合を形成させることを特徴とする請求項7に記載の炭素−炭素結合形成方法。
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