JP2001302534A - 肝機能増強剤 - Google Patents

肝機能増強剤

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JP2001302534A JP2000121594A JP2000121594A JP2001302534A JP 2001302534 A JP2001302534 A JP 2001302534A JP 2000121594 A JP2000121594 A JP 2000121594A JP 2000121594 A JP2000121594 A JP 2000121594A JP 2001302534 A JP2001302534 A JP 2001302534A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】ヒト又は動物において安全かつ有効である、肝
機能増強剤を提供する。 【解決手段】サトウキビを圧搾して得られる圧搾汁(甘
藷汁)、圧搾汁を水で浸出して得られる浸出汁、又は石
灰処理した清浄汁及び農縮汁等を蒸溜して得られる蒸溜
物を、固定担体(合成吸着剤を充填したカラム)を用い
たカラムクロマトグラフィーで水、エタノール及びこれ
らの混合物から選ばれる容媒で溶出する処理により得ら
れる画分を有効成分とする肝機能増強剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ヒトまたは動物の
ための肝機能増強剤に関する。本発明はまた、ヒトまた
は動物のための肝機能を増強させる食品および飼料に関
する。
【0002】
【従来の技術】肝臓は何らかの異常があったとしてもな
かなか症状が現れず、「沈黙の臓器」と呼ばれている。
国内の肝臓病患者全てを合わせると300〜500万人
といわれており、調査報告により数値に違いがあるが、
非常に多い数字であることには違いない。
【0003】また、肝臓病は日本人全体の死因の中では
第8位であるが、35歳から65歳の働き盛りの年齢層
の死亡原因を見ると、ガン、心臓病、脳卒中に次いで肝
硬変、肝ガン、劇症肝炎等の肝臓病が第4位に位置して
おり、死亡原因の上位であるといえる。
【0004】肝疾患の原因にはいくつかあり、その原因
により疾患の種類が異なる。肝臓の疾患としてもっとも
多いのがウイルス性肝炎であり、肝臓病患者全体の70
〜80%を占めるといわれている。その他としては、ア
ルコールの飲み過ぎや薬物の乱用による肝疾患、肥満に
よる脂肪肝が挙げられる。
【0005】ウイルス性肝炎の原因となるウイルスは、
10年ほど前まではA型、B型、C型が知られていた
が、現在ではこのほかにD、E、F、G、TTV等の合
わせて8種類が存在することがわかっており、最近注目
されている分野である。具体的に説明すると、A型肝炎
は経口感染し慢性化せず無症状で終わる人もいるが、ま
れに劇症肝炎となって治療が必要になる。衛生状態のよ
い日本ではほとんど見かけられなくなったが、海外旅行
などで感染する場合が増えている。B型は昔は輸血や集
団予防接種が感染原因であったが、現在では大部分が性
行為により感染している。通常は急性肝炎ですみ、慢性
化することは少ないといわれているが、2〜3%の人は
劇症肝炎になり、死亡するといわれている。また、キャ
リアの状態が長く続くと慢性肝炎に移行し、ウイルス性
肝硬変にまで症状が進むケースもあり、肝硬変にかかる
と肝ガンにかかる危険性も高くなる。C型肝炎の感染経
路については現在もいろいろな説があり、輸血、鍼治
療、覚醒剤の回し打ち、過去の医療行為、性行為、母子
感染の可能性が挙げられている。その他のウイルスにつ
いては現在のところまだよくわかっていない。
【0006】アルコールが原因となる肝障害の初期は脂
肪肝であり、さらに慢性的にアルコールを摂取している
とアルコール性肝炎になり、やがては肝線維症、慢性肝
炎、肝硬変になるといわれている。近年、アルコールの
とりすぎ、不規則な食事、脂質のとりすぎ、偏食、スト
レスなどが複合的に作用し、肥満や肝障害が増加してい
る。
【0007】このように、飽食の時代である現在、アル
コールの過剰摂取や栄養バランスの崩れによる肥満、海
外旅行の一般化、不特定多数の間での性行為等、様々な
原因から肝障害が増加し、注目されている。
【0008】ヒトの場合、肝障害はウイルスおよび不適
切な食生活が原因して起こることが多く、これらの原因
にストレスが加わると特に起こりやすくなる。このこと
は動物にも当てはまり、水・畜産業界でも、ウイルスの
他に養殖魚や家畜、家禽の飼料やストレスが原因で、肝
障害が増加している。特に、水産業界では、養魚飼料に
含まれる魚やその他の脂質が酸化されやすく、これら過
酸化脂質を摂取することにより魚の肝障害が現れる。ま
た肝機能が低下すると体力の低下、発育不良を起こし、
魚病の蔓延化、高い斃死率を引き起こすことが少なくな
い。また、家庭で飼育される熱帯魚にも、餌由来の肝障
害抑制、および愛玩動物に対する健康志向から肝機能向
上が求められている。このようなことから、最近では肝
機能を向上させるといわれている各種漢方や強肝成分を
養殖魚や熱帯魚に与えることがあり、グルタチオン、イ
ンチンコウ、サンシシ、サイコ、ウコン、甘草、タウリ
ン、胆汁末、パントテン酸カルシウム、イノシトール、
ビタミンB6などを添加した魚用混合飼料が販売されて
いる。また、家畜、家禽にしても、飼料の酸化による過
酸化脂質の摂取、およびコレステロールの過剰摂取にス
トレスが加わることにより、脂肪肝およびその他の肝障
害が現れる。しかし、家畜や家禽に対し、飼料に添加し
て使用できるような安全性の高い肝機能増強剤は販売さ
れていない。
【0009】従来より肝疾患、肝障害に対する薬剤の研
究が多数行われ、医薬品または健康食品として報告また
は製品化されている。これらの肝障害抑制効果または肝
機能増強効果を確認するには、いくつかの方法がある
が、動物実験による肝障害モデルを使用した方法が一般
的である。
【0010】従来よく使われていた肝障害モデルとし
て、四塩化炭素を用いた肝細胞壊死型肝障害モデルがあ
る。四塩化炭素は、1回筋注することにより動物の種を
問わず急性肝障害を起こし、ラットの場合、12〜24
時間後にはGOTおよびGPTなどのトランスアミナー
ゼが肝細胞から血中に急激に移行するが、その後肝細胞
の壊死の進行が止まると、血中のトランスアミナーゼ量
は低下し、約72時間後には正常値に戻る。四塩化炭素
を2回以上筋注すると肝硬変になりその症状は非可逆的
であるため、通常肝障害抑制剤の効果を確認するために
は、1回接種による急性肝障害モデルを用いる。このモ
デルで肝障害に対して効果のある剤として、具体的に
は、特定のシステイン誘導体を有効成分として含有する
肝障害抑制剤(特開昭55−051021号公報)、肝
臓、胎盤、イースト等から得られるムコプロチドより成
る肝臓疾患用剤(特開昭54−110309号公報)が
報告されているが、前者は化合物であり、後者は動物性
抽出物である。後者の肝臓疾患用剤はアリルアルコール
による肝障害にも効果があることが記載されている。ま
た、植物由来の肝機能改善剤としては、エルバ・デ・サ
リーニョの溶媒または水抽出物(特開平6−9415号
公報)、甘草抽出液の乳酸発酵物(WO92/0139
3号公報)、グリチルリチン抽出後の甘草残渣を有効成
分とする強肝剤(特開平9−143085号公報)が報
告されている。植物抽出物ではないが、植物中に存在す
るフィチン酸及びその塩を有効成分とする肝疾患治療予
防剤(特開平2−15032号公報)も報告されてい
る。
【0011】最近よく用いられる肝障害モデルとして、
ヒトのウイルス性肝炎に類似する組織像を実験的に作り
出すことができる、D−ガラクトサミンを用いた急性肝
炎モデルがある。この物質を投与すると、肝臓で特異的
に代謝され、その過程により肝障害を生ずる。このモデ
ルに対する肝障害抑制効果を持つ化合物として、分子中
に(2−ピリジル)メチルチオ構造を有するベンツイミ
ダゾール化合物またはその塩を含有して成る肝疾患治療
剤(特開平8−283158号公報)、1,4−ジヒド
ロピリジン化合物(特開昭58−159490号公
報)、および2,2’−ジチオビスベンズイミダゾール
を有効成分として含有する肝疾患治療剤(特開平4−2
08223号公報)が報告されている。ベンツイミダゾ
ール化合物に関してはD−ガラクトサミンに関する効果
のみを確認しているが、1,4−ジヒドロピリジン化合
物および2,2’−ジチオビスベンズイミダゾールに関
しては四塩化炭素肝障害に対する効果も確認されてい
る。植物由来の強肝剤として、田七人参より得たギンセ
ノサイドRe/ギンセノサイドRg1から成る肝臓保護
薬(特開平9−241164号公報)が報告されてい
る。この成分はD−ガラクトサミンに関する効果以外
に、四塩化炭素肝障害およびPropionibacterium acnes
/リポ多糖誘発肝障害モデルにおいても効果が確認され
ている。
【0012】胆汁の生成は肝臓の重要な機能の一つであ
り、肝細胞から十二指腸にいたる胆道の異常により十二
指腸への胆汁流出が阻害されると、胆汁がうっ滞し、胆
汁の主要成分であるビリルビン、胆汁酸、コレステロー
ルなどが血中に逆流し、増加するようになる。このよう
な病態を胆汁うっ滞といい、黄疸、肝腫、灰白色便、濃
緑尿などを主な特徴とする。胆汁うっ滞は胆石や腫瘍に
より肝外胆管の機械的通過障害に起因する肝外胆汁うっ
滞と先天性胆管閉塞症や、ウイルスや薬物性肝障害など
による胆内胆汁うっ滞がある。それぞれ多くのモデルが
開発されているが、その内の1つとしてα−ナフチルイ
ソチオシアネート(ANIT)を用いる方法がよく用い
られる。ANITによる肝障害は、小葉内胆管に炎症と
閉塞を起こし、肝内性胆汁うっ滞を起こす、胆管系障害
モデルとして知られている。このモデルに対する効果の
ある肝疾患用剤として、ヤマモモの樹皮を乾燥した楊梅
皮の溶媒抽出物が報告されており(特開昭63−222
119号公報)、これは四塩化炭素肝障害モデルに対す
る効果も確認されている。
【0013】その他の植物由来の肝障害抑制剤として、
コショウに含まれるアルカロイドのアセトアミノフェン
急性肝障害モデルに対する効果(特開平5−26264
6号公報)、ケブラ・ペドラの溶媒または水抽出物の高
コレステロール飼料による高脂血症モデルに対する効果
(特開平9−241176号公報)、セテサングリア全
草の熱水抽出物の高コレステロール食マウス肝障害モデ
ルに対する効果(特開平5−294841号公報)、ト
ベラ科植物の水溶性抽出物の肝疾患患者に対する効果
(特開平2−96532号公報)が報告されている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】従来報告されてきた肝
機能増強剤あるいは肝疾患予防治療剤には、化合物及び
動植物由来の天然成分があるが、そのほとんどが医薬品
として治療に用いられる医薬品である。ヒトや魚類用飼
料に用いられる化合物や漢方由来の成分は、元来医薬品
であるためその副作用の問題があり、肝障害予防のため
長期にわたって安全に摂取し続けられるわけではない。
また、価格的が比較的高い。
【0015】健康食品に用いられる肝機能増強剤は、漢
方由来の成分やビタミン類を医薬品におけるより少ない
量で含有することで構成されているものが多く、有効で
安全な食品レベルの天然成分を含むものはほとんどな
い。
【0016】また、従来の天然由来成分の肝障害抑制効
果及び肝機能増強剤は、いくつかの肝障害モデルのうち
1、2のモデルに対する試験しか行っていないものが多
く、特定の肝障害ではない広範囲の肝機能増強に用いる
には、効果に疑問がある。
【0017】以上のことから、複数の肝障害モデルに対
し効果があり、安全であり、低コストで生産できる天然
由来の肝機能増強剤が求められている。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の問
題点に鑑み、ヒトをはじめとする動物に安全な、低コス
トで調製でき、複数の肝障害モデルに対し効果がある肝
機能増強剤を得るべく鋭意検討を重ねてきたが、古来よ
り食品として使用されている甘蔗を処理して得られる画
分が、複数の肝障害抑制効果を発揮することを見出し、
本発明を完成した。
【0019】すなわち、本発明は、甘蔗汁を蒸留して得
られる蒸留物を固定担体を用いたカラムクロマトグラフ
ィーで処理することにより得られる画分を有効成分とす
る肝機能増強剤である。
【0020】本発明において、上記カラムクロマトグラ
フィー処理は、さらに好ましくは固定担体としての合成
吸着剤を充填したカラムに甘蔗汁の蒸留物を通液し、該
合成吸着剤に吸着された成分を、水、エタノール及びこ
れらの混合物から選ばれる溶媒で溶出することによって
行われる。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明における甘蔗汁は、甘蔗
(サトウキビ)を圧搾して得られる圧搾汁、甘蔗汁を水
で浸出して得られる浸出汁、又は原糖製造工場における
石灰処理した清浄汁及び濃縮汁を包含する。
【0022】甘蔗は本来蔗糖を得るためにその原料植物
として栽培されるが、本発明では蔗糖製造工程中で得ら
れる蒸留物をカラムクロマトグラフィー処理することに
より抽出するため、本発明の画分を抽出しても蔗糖は従
来と変わらない収率で甘蔗汁から回収することができ、
従来の蔗糖製造を妨げることはない。つまり、本発明の
画分は従来廃棄していた部分から得ることができるた
め、低コストで製造することができ、また資源の有効利
用にもなる。
【0023】本発明において、「肝機能増強剤」とは、
ウイルス、薬剤、アルコール、食事内容などが原因とし
て引き起こされる、脂肪肝、肝炎、胆汁うっ滞、肝細胞
の変性壊死等の肝障害を予防、治療、または症状を低減
する効果を包含する。
【0024】なお、本明細書においては、強肝作用また
は効果、肝機能増強作用または効果、肝障害抑制作用ま
たは効果、および肝疾患予防治療作用または効果を、特
に区別せず、同義としている。
【0025】本発明において、動物とはヒト以外の脊椎
動物を意味し、哺乳類、鳥類および魚類を含む。例え
ば、ウシ、ブタ、馬などの家畜、ニワトリ、ウズラ等の
家禽、ハマチ、タイ、ヒラメ、フグ、カンパチ、アユ、
ウナギ、マス、コイ、金魚などの魚類、イヌ、ネコなど
のコンパニオン・アニマルが挙げられる。
【0026】本発明の甘蔗由来の画分は、例えば次のよ
うに処理して得ることができる。
【0027】まず、原料甘蔗汁の蒸留を行って有効成分
を含む蒸留物を得る。蒸留は、加熱装置を持ち、蒸気を
冷却して液体で回収できるあらゆる装置を使用して行う
ことができる。原料甘蔗汁を、加熱装置を持つタンクに
入れ加熱し、得られる蒸気を冷却することにより回収し
て、液体の甘蔗由来の蒸留物を得る。本発明に係る蒸留
物は、原料甘蔗汁としてブリックス(Bx)が10〜5
0であるものを使用し、これをブリックスが高々65に
なるまで蒸留して得られる液体である。
【0028】蒸留条件としては、50℃〜120℃の温
度で、蒸留原料液体が沸騰する圧力を使用することがで
きる。好ましくは、70℃〜120℃の温度で、蒸留原
料液体が沸騰する圧力を使用することができる。温度お
よび圧力は、蒸留工程で用いる装置に応じて適宜調整さ
れる。例えば、甘蔗汁を遠心式薄膜真空蒸発装置、冷却
管を接続したフラスコ、または蒸留機を用いて蒸留する
場合には、70℃〜105℃において、240mmHg〜常
圧である。50℃より低い温度で蒸留を行うことも可能
である。しかしながら、液体として蒸気を回収したい場
合には、温度を低くするとそれだけ高い減圧条件にする
必要があり、またトラップ内で蒸留温度以下で蒸留物を
凝縮させる必要があるので、装置等にコストがかかりす
ぎる。従って、実験室においては可能であるが、工業的
には適さない。蒸留装置としては、例えば、実験室内に
おいては冷却管などに接続したフラスコが、工場におい
ては濃縮缶、効用缶等が用いられる。
【0029】この段階で得られる甘蔗汁の蒸留物にも肝
機能増強効果があるが、効果が弱いため、工業的に使用
するには濃縮を行う必要がある。従って、上記のように
して得られた甘蔗由来の蒸留物の肝機能増強成分を濃縮
するために、カラムクロマトグラフィー処理を行う。
【0030】甘蔗由来の蒸留物を回収し、カラムクロマ
トグラフィー処理する場合、以下のような方法をとるこ
とが好ましい。
【0031】まず、上記の甘蔗由来の蒸留物は、そのま
ま、または水で任意の濃度に調整して、固定担体を充填
したカラムに通液することができる。固定担体として
は、合成吸着剤が好ましい。合成吸着剤としては、好ま
しくは有機系樹脂を用いることができ、例えば、芳香族
系樹脂、アクリル酸系メタクリル樹脂、アクリロニトリ
ル脂肪族系樹脂等が使用できる。このような合成吸着剤
は市販されており、例えばダイヤイオン(商標)HP−
10、HP−20、HP−21、HP−30、HP−4
0、HP−50(以上、無置換基系の芳香族系樹脂、三
菱化学株式会社製);SP−825、SP−800、S
P−850、SP−875、SP−70、SP−700
(以上、無置換基型に特殊処理を施した芳香族系樹脂、
三菱化学株式会社製);SP−900(芳香族系樹脂、
三菱化学株式会社製);アンバーライト(商標)XAD
−2、XAD−4、XAD−16、XAD−16、XA
D−2000(以上、芳香族系樹脂、株式会社オルガノ
製);ダイヤイオン(商標)SP−205、SP−20
6、SP−207(以上、疎水性置換基を有する芳香族
系樹脂、三菱化学株式会社製);HP−2MG、EX−
0021(以上、疎水性置換基を有する芳香族系樹脂、
三菱化学株式会社製);アンバーライト(商標)XAD
−7HP、XAD−8(以上、アクリル酸系エステル樹
脂、株式会社オルガノ製);ダイヤイオン(商標)HP
1MG、HP2MG(以上、アクリル酸系メタクリル樹
脂、三菱化学株式会社製);セファデックス(商標)L
H20、LH60(以上、架橋デキストランの誘導体、
ファルマシア バイオテク株式会社製)等が挙げられ
る。適する合成吸着剤の種類は、通液する甘蔗由来の蒸
留物の蒸留方法、濃度、共存物などに応じて、適宜選択
することができる。
【0032】固定担体の量は、カラムの大きさ、溶媒の
種類、固定担体の種類などによって変化する。固定担体
の100〜20,000倍の蒸留物を通液し、有効成分
を固定担体に吸着させる。従って、通液しようとする蒸
留物の100〜20,000分の1の湿潤体積量の固定
担体を使用するのが好ましい。
【0033】甘蔗由来の蒸留物を上記カラムに通すこと
により、通液対象物中の肝機能増強効果を有する成分は
固定担体に吸着される。通液量および通液速度は、甘蔗
由来の蒸留物の蒸留方法により異なるが、SV=10〜
200(hr-1)が好ましい。甘蔗由来の蒸留物をカラ
ムに通液した後、不純物除去のためカラムを水洗して、
樹脂に吸着されずにカラム内に残存している成分を除去
することが好ましい。
【0034】固定担体に吸着された成分は、溶媒により
溶出する。溶出溶媒は、水、エタノールおよびこれらの
混合物から選ぶことが好ましく、特に、エタノール−水
混合溶媒が好ましい。室温において効率よく目的の効果
を有する成分を溶出するためには、50/50〜99.
5/0.5(体積/体積)エタノール−水混合溶媒が好
ましい。本発明の効果を有する成分は、前記溶媒で溶出
される画分に存在する。溶出速度はカラムの大きさ、溶
媒の種類、固定担体の種類等によって変化し、特に限定
されないが、SV=0.1〜10(hr-1)で溶出し、
樹脂の6倍湿潤体積量以内に溶出する画分を回収するの
が好ましい。なお、SV(Space Velocity、空間速度)
は、1時間当たり樹脂容積の何倍量の液体を通液するか
という単位である。
【0035】本発明のカラムクロマトグラフィー処理
は、これに限定されるものではないが、好ましくは次の
ようにして行うことができる。すなわち、無置換基型の
芳香族系樹脂あるいはアクリル酸系エステル樹脂を充填
したカラムに、カラム温度60〜97℃にて甘蔗由来の
蒸留物を通液した後、カラム内を水洗し、ついでカラム
に吸着されている成分を、カラム温度20℃〜40℃に
て50/50〜99.5/0.5(体積/体積)エタノ
ール−水混合溶媒で溶出させ、エタノール−水混合溶媒
での溶出開始時点から集めた溶出液の量が前記樹脂の6
倍湿潤体積量以内に溶出する画分を回収する。
【0036】かくしてカラムから得られた画分(溶出溶
媒も含む)をそのまま肝機能増強剤の有効成分として使
用できる。
【0037】本発明の画分は、原液では若干のにおいを
有するが、使用する際に希釈されるとほとんどにおいは
感じられなくなる。また原液では味を有するが、使用す
る際に希釈されるため、有効量の使用では画分の味は発
現しない。また、原液で無色または淡黄色透明であるた
め、使用する際に色の問題はない。
【0038】上記のように甘蔗から得られた画分は、マ
ウスを用いた甘蔗由来の画分の経口投与による動物実験
の結果、四塩化炭素急性肝障害モデル、フェノバルビタ
ール+四塩化炭素急性肝障害モデル、ガラクトサミン急
性肝障害モデル、α−ナフチルイソチオシアネート急性
肝障害モデルの4つの肝障害モデルに関して肝機能増強
効果を示した(後述の実施例1〜4)。よって、本発明
における甘蔗由来の画分は広い範囲での肝機能増強効果
を示すと考えられる。従って本発明は、ヒトあるいは動
物などの肝機能を増強することにより、各種の肝疾患の
予防、治療のために使用できる。
【0039】本発明の肝機能増強剤の投与時期は、特に
限定されない。
【0040】本発明の肝機能増強剤の投与量は、甘蔗由
来の画分の精製度、形態、対象とする動物の種類、健康
状態、成長の度合い等によって異なり、特に限定されな
いが、例えば後述の製造例1〜3で得た甘蔗由来の画分
の場合には、体重1kg当たり1日に1〜1000m
g、好ましくは50〜1000mgである。
【0041】本発明に係る甘蔗由来の画分の投与形態は
特に限定されないが、例えば経口的、静脈内、筋肉内、
皮下、皮内、腹腔内、直腸内、舌下、経皮、点眼などの
方法で投与することができる。
【0042】本発明に係る甘蔗由来の画分を投与する際
の画分の形状は特に限定されず、液状の画分をそのまま
投与してもよく、また通常用いられる製剤用担体によっ
て、公知の方法により固形剤とすることも液剤とするこ
ともでき、また製剤化の有無に関わらず食品、飼料、飲
水などに混合することもできる。
【0043】経口用固形製剤を調製する場合には、画分
に賦形剤、結合剤、粘結剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、
矯味矯臭剤、抗酸化剤、溶解補助剤などを加えた後、常
法により錠剤、被覆錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤な
どとする。
【0044】上記賦形剤としては、例えばデンプン、コ
ーンスターチ、デキストリン、小麦粉、小麦ミドリン
グ、ふすま、米ぬか、米ぬか油粕、大豆かす、大豆粉、
大豆油かす、きな粉、ブドウ糖、乳糖、白糖、マルトー
ス、植物油、動物油、硬化油、高級飽和脂肪酸、その他
の脂肪酸、酵母、マンニトール、結晶セルロース、二酸
化珪素、無水珪素、珪酸カルシウム、珪酸、リン酸一水
素カルシウム、リン酸三カルシウム、リン酸二水素カル
シウムなどが用いられる。
【0045】結合剤としては、例えばポリビニルピロリ
ドン、エチルセルロース、メチルセルロース、アラビア
ゴム、トラガント、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒ
ドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリ
ウム、カゼインナトリウム、カルボキシメチルセルロー
スナトリウム、プロピレングリコール、ポリアクリル酸
ナトリウム等が用いられる。
【0046】滑沢剤としては、例えばステアリン酸マグ
ネシウム、タルク、ステアリン酸などが用いられる。
【0047】着色剤、着香料としては、医薬品、食品、
飼料に添加することが許可されているものであればよ
く、特に限定されない。
【0048】抗酸化剤としては、例えばアスコルビン
酸、α−トコフェロール、エトキシキン、ジブチルヒド
ロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソールなどが挙
げられ、医薬品や食品、飼料に添加することが許可され
ているものであればよい。また、錠剤、顆粒剤は必要に
応じてコーティングすることは差し支えない。
【0049】注射製剤を製造する場合には、必要に応じ
て主薬にpH調製剤、緩衝剤、懸濁化剤、溶解補助剤、
安定化剤、等張化剤、抗酸化剤、保存剤などを添加し、
常法により製造することができる。この際必要に応じ、
凍結乾燥剤とすることも可能である。この注射剤は静脈
内、皮下、筋肉内などに投与することができる。
【0050】懸濁化剤としては例えば、メチルセルロー
ス、ポリソルベート80、ヒドロキシエチルセルロー
ス、アラビアゴム、トラガント末、カルボキシメチルセ
ルロースナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタンモ
ノラウレートなどを挙げることができる。
【0051】溶解補助剤としては、例えばポリオキシエ
チレン硬化ヒマシ油、ポリソルベート80、ニコチン酸
アミド、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート
などが用いられる。
【0052】保存剤としては、例えばパラオキシ安息香
酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、ソルビン酸等が
用いられる。
【0053】本発明はまた、前記した肝機能増強剤を含
む食品および飼料を提供する。食品および飼料は固体で
も液体でも良い。食品としては、例えば菓子類、清涼飲
料、機能性調味料、健康食品などが挙げられる。飼料と
しては、例えばドッグフード、キャットフードなどのペ
ット用飼料、家畜用飼料、養殖魚介類用飼料が挙げられ
る。
【0054】
【実施例】以下実施例を挙げて本発明をより具体的に解
説する。実施例で使用する物質の投与量に関する記載、
例えば「10mg/kg」または「10mg/kg体
重」は、体重1kg当たり10mgを投与したという意
味である。
【0055】製造例1 原糖工場の製造工程にて得られた甘蔗の圧搾汁(Bx.
12.5)4200リットルを250リットル/時の速
度で遠心式薄膜真空蒸発装置(商標:エバポールCEP
−1、大川原製作所株式会社)に供給し、500〜63
0mmHgの減圧下で温度90〜95℃で留出する成分
を、冷却水温25℃、冷却水量15m3/時間、コンデ
ンサ面積2m2の条件でコンデンサにて冷却し、連続し
て集めた。原料圧搾汁が約3600リットル、Bx.1
4.2になったとき、蒸留物の回収を終了した。得られ
た蒸留液は約600リットルであった。この蒸留液をア
ンバーライトXAD7HP(商標、オルガノ株式会社)
60mlを充填したカラム(カラムサイズ:内径3.2
cm、高さ25cm)に、SV=100(hr-1)の流
速で通液した。通液終了後、約5分間、同じ流速で水洗
した。次に、吸着された成分を、80%エタノール水溶
液(エタノール/水=80/20(体積/体積))で溶
出した。すなわち、SV=2(hr-1)の流速で通液
し、はじめの25mlの溶出液は捨て、その後に溶出液
の回収を開始した。80%エタノール水溶液120ml
を通液した後、成分の押し出しのため蒸留水を同じ速度
で通液し、回収溶出液の総量が150mlになった時点
で溶出を終了した。得られた溶出液を、甘蔗由来の画分
である肝機能増強剤剤サンプルとした。このサンプル
は、アルコール濃度計(YSA−200、矢崎計器株式
会社)で測定した結果、エタノール58%(体積/体
積)の、若干レモン色をした透明な液体であった。
【0056】製造例2 製造例1のアンバーライトXAD7HP(商品名、オル
ガノ株式会社)を充填したカラムに通液した液体を、そ
のまま直列につないだSP−850(商品名、三菱化学
株式会社)25mlを充填したカラム(カラムサイズ:
内径2.1cm、高さ16cm)に、SV=75(hr
-1)の流速で通液した。通液終了後、約5分間、同じ流
速で水洗した。次に、吸着された成分を、99.5%エ
タノール水溶液(エタノール/水=99.5/0.5
(体積/体積))で溶出した。この溶出は、XAD樹脂
が充填されたカラム単独について行った。SV=2(h
-1)の流速で通液し、はじめの13mlの溶出液は捨
て、その後に溶出液の回収を開始した。99.5%エタ
ノール水溶液50mlを通液した後、成分の押出のため
蒸留水を同じ速度で通液し、回収溶出液の量が50ml
になった時点で溶出を終了した。得られた溶出液を甘蔗
由来の画分である肝機能増強剤サンプルとした。このサ
ンプルは、アルコール濃度計(YSA−200、矢崎計
器株式会社)で測定した結果、エタノール83.5%
(体積/体積)の、若干黄色の透明な液体であった。
【0057】製造例3 原糖工場の製造工程にて得られた甘蔗の圧搾汁(Bx.
12.3)2800リットルを250リットル/時の速
度で遠心式薄膜真空蒸発装置(商標:エバポールCEP
−1、大川原製作所株式会社)に供給し、500〜63
0mmHgの減圧下で温度90〜95℃で留出する成分
を、冷却水温25℃、冷却水量15m3/時間、コンデ
ンサ面積2m2の条件でコンデンサにて冷却し、連続し
て集めた。原料圧搾汁が約2400リットル、Bx.1
4.4になったとき、蒸留を終了した。得られた蒸留液
は約400リットルであった。この蒸留液をSP−85
0(商標、三菱化学株式会社)200mlを充填したカ
ラム(カラムサイズ内径3.8cm、高さ22cm)
に、SV=100(hr-1)の流速で通液した。通液終
了後、約5分間、同じ流速で水洗した。吸着された成分
を、95%エタノール水溶液(エタノール/水=95/
5(体積/体積))で溶出した。SV=2(hr-1)の
流速で通液し、はじめの135mlの溶出液は捨て、溶
出液の回収を開始した。95%エタノール水溶液400
mlを通液した後、成分の押出のため蒸留水を同じ速度
で通液し、回収溶出液の総量が600mlになった時点
で溶出を終了した。得られた溶出液を、甘蔗由来の画分
である肝機能増強剤サンプルとした。このサンプルは、
アルコール濃度計(YSA−200、矢崎計器株式会
社)で測定した結果、エタノール62%(体積/体積)
の、若干黄色の透明な液体であった。
【0058】急性毒性試験 製造例1で得られた甘蔗由来の画分を使用して、ラット
を用いた単回経口投与毒性試験を行った。Sprague-Dawl
ey系SPFラット(Crj:CD(SD)IGS、日本チャールス・
リバー株式会社)の雌雄各16匹を5週令で入手し、約
1週間検疫・馴化飼育した。飼育条件は、温度23±3
℃、相対湿度50±20%、換気回数1時間10〜15
回、照明1日12時間であり、固形飼料(CFR−1
(商品名)、オリエンタル酵母株式会社)及び飲料水を
自由に摂取させて飼育した。その後、健康な動物を選
び、6週令で試験に供した。投与時の体重範囲は雄で1
74〜186g、雌で120〜134gであった。投与
前一晩(約16時間)絶食させたラットに、蒸留水で2
00mg/mlの濃度になるように調製した甘蔗由来の
画分を一定の投与容量(10ml/kg体重)にて1回
強制経口投与した。対照群の動物には滅菌蒸留水のみを
同様に投与した。投与量は、2000mg/kgの1用
量とし、これに対照群を加えて計2群を使用した。1群
の動物数は雌雄共に5匹とした。絶食後の再給餌は、投
与6時間後に開始し、その後14日間、上記飼育条件に
て飼育した。結果を以下の表1に示す。
【0059】
【表1】
【0060】投与後14日間が経過した後、雌雄とも最
大投与量の2000mg/kgでも、ラットの死亡は認
められなかったので、致死量は2000mg/kgを上
回るものと推測される。飼育中はいずれのラットにおい
ても異常は認められず、さらに各被検液投与群の雌雄の
体重は、対照群とほぼ同等の推移を示し、観察期間中の
体重増加も対照群とほぼ同等であった。また、いずれの
ラットにおいても、解剖学的検査の結果、体外表、頭
部、胸部及び腹部の器官・組織に異常は見られなかっ
た。以上の結果から、製造例1で得られた甘蔗由来の画
分を使用し、ラットの単回経口投与毒性試験を行ったと
きの毒性はきわめて弱いものと考えられる。
【0061】実施例1:D−ガラクトサミン急性肝障害
モデルに対する作用 製造例1および2で得られた甘蔗由来の画分またはウコ
ンエキス粉末(丸善製薬株式会社製)をそれぞれ1回投
与当り500mg/kgの用量で、1群5匹のSlc:ICR
雄性5〜6週令マウス(体重25〜30g)に1日1
回、5日間連続経口投与し、5日目にD−ガラクトサミ
ン5g/kgを、1匹分当たり0.2mlになるように
生理食塩液に溶解したものを腹腔内投与した。この際、
ウコンエキスは1回投与当り0.5mlの蒸留水に溶解
して用い、甘蔗由来の画分はそのまま用いた。画分また
はウコンエキス投与開始から6日目に全採血し、得られ
た血液を遠心分離し、血漿中の肝機能検査値(GOT、
GPT)を測定した。また、陰性対照群として、画分の
代わりに同容量の蒸留水を経口投与しかつD−ガラクト
サミンを投与しない群を設定した。陽性対照群として、
画分の代わりに同容量の蒸留水を経口投与し、画分投与
群と同様に肝障害を惹起させた群を設定した。結果を以
下の表2に示した。甘蔗由来の画分を投与した群の肝機
能検査値は、どれも陰性対照群の値に近く、陽性対照群
と比較し肝障害が軽減された。また、ウコンエキスを投
与した群も陽性対照群と比較し肝障害が軽減されたが、
甘蔗由来の画分を投与した群よりその効果は低かった。
以上のことから、甘蔗由来の画分はD−ガラクトサミン
急性肝障害モデルに対する肝機能増強作用を示すことが
明らかになった。
【0062】
【表2】
【0063】実施例2:四塩化炭素急性肝障害モデルに
対する作用 製造例1および3で得られた甘蔗由来の画分をそれぞれ
1回投与当たり100〜500mg/kg(0.5ml
になるように注射用蒸留水に溶解したもの)の用量で、
1群5匹のSlc:ICR雄性5〜6週令マウス(体重25〜
30g)に1日1回、5日間連続投与し、5日目の画分
投与の6時間前に肝障害負荷として、四塩化炭素(CC
4)0.001ml(オリーブオイルに懸濁して0.
5mlにしたもの)を経口投与した。画分投与開始から
6日目に全採血し、得られた血液を遠心分離し、血漿中
の肝機能検査値(GOT、GPT)を測定した。また、
陰性対照群として、画分の代わりに同容量の蒸留水を経
口投与しかつ四塩化炭素を投与しない群を設定した。陽
性対照群として、画分の代わりに同容量の蒸留水を経口
投与し、画分投与群と同様に肝障害を惹起させた群を設
定した。結果を以下の表3に示した。画分投与群の検査
値は、陰性対照群の値と陽性対照群の値の中間の値を示
し、画分の投与量に依存して陰性対照群の値に近づいて
おり、肝細胞保護作用が認められた。以上のことから、
甘蔗由来の画分は四塩化炭素急性肝障害モデルに対する
肝機能増強作用を示すことが明らかになった。
【0064】
【表3】
【0065】実施例3:フェノバルビタール+四塩化炭
素急性肝障害モデル 製造例1で得られた甘蔗由来の画分を1回投与当たり5
00mg/kg(0.5mlになるように注射用蒸留水
に溶解したもの)の用量で、1群5匹のSlc:ICR雄性5
〜6週令マウス(体重25〜30g)に1日1回、5日
間連続経口投与した。また、肝障害負荷として、0.5
%フェノバルビタールナトリウム−生食液を0.5m
l、画分投与開始日から1日1回、4日間連続経口投与
し、また四塩化炭素0.05ml(オリーブオイルに懸
濁して0.5mlにしたもの)を5日目の画分投与の6
時間前に経口投与した。画分投与開始から6日目に全採
血し、得られた血液を遠心分離し、血漿中の肝機能検査
値(GOT、GPT)を測定した。また、陰性対照群と
して、画分の代わりに同容量の蒸留水を経口投与しかつ
フェノバルビタールナトリウムおよび四塩化炭素を投与
しない群を設定し、陽性対照群として、画分の代わりに
同容量の蒸留水を経口投与し、画分投与群と同様に肝障
害を惹起させた群を設定した。結果を以下の表4に示し
た。甘蔗由来の画分を投与した群の肝機能検査値は、ど
れも陰性対照群の値に近く、陽性対照群と比較し肝機能
が改善された。以上のことから、甘蔗由来の画分はフェ
ノバルビタール+四塩化炭素急性肝障害モデルに対する
肝機能増強作用を示すことが明らかになった。
【0066】
【表4】
【0067】実施例4:α−ナフチルイソチオシアネー
ト急性肝障害モデルに対する作用 製造例1で得られた甘蔗由来の画分を1回投与当たり5
00mg/kg(0.5mlになるように注射用蒸留水
に溶解したもの)の用量で、1群5匹のSlc:ICR雄性5
〜6週令マウス(体重25〜30g)に1日1回、5日
間連続経口投与し、5日目にオリーブオイル0.51m
lに懸濁したα−ナフチルイソチオシアネート(ANI
T)100mg/kgを経口投与した。画分投与開始か
ら6日目に全採血し、得られた血液を遠心分離し、血漿
中の肝機能検査値(GOT、GPT)を測定した。ま
た、陰性対照群として、画分の代わりに同容量の蒸留水
を経口投与しかつANITを投与しない群を設定し、陽
性対照群として、画分の代わりに同容量の蒸留水を経口
投与し、画分投与群と同様に肝障害を惹起させた群を設
定した。結果を以下の表5に示した。甘蔗由来の画分を
投与した群の肝機能検査値はどれも陰性対照群の値に近
く、陽性対照群と比較し肝機能が改善された。以上のこ
とから、甘蔗由来の画分はANIT急性肝障害モデルに
対する肝機能増強作用を示すことが明らかになった。
【0068】
【表5】
【0069】
【発明の効果】本発明によれば、甘蔗由来の画分をヒト
または動物に例えば経口的に与えることにより、ヒトま
たは動物の肝障害を予防、治療及び低減することができ
る。しかも、甘蔗由来の画分は植物由来であり、古来よ
り、ヒトが黒糖などの含蜜糖として食してきた天然物に
含まれるため、ヒトおよび動物の健康を害することなく
安全で、しかも低コストである。本発明の画分の成分
は、ほぼ無色透明であり、また肝機能増強効果が高いの
で、少量で作用するため、食品や飼料に添加しても味お
よび臭いに悪影響を与えず汎用性があるため、産業上非
常に有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2B150 AA01 AA02 AA03 AA05 AA06 AA08 AB10 DD31 DD56 DD57 DD58 4B018 LE05 MD48 ME14 MF01 4C088 AB73 AC05 BA08 CA14 CA15 NA14 ZA75

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】甘蔗汁を蒸留して得られる蒸留物を、固定
    担体を用いたカラムクロマトグラフィーで処理すること
    により得られる画分を有効成分とする肝機能増強剤。
  2. 【請求項2】前記カラムクロマトグラフィー処理が、固
    定担体としての合成吸着剤を充填したカラムに、甘蔗汁
    を蒸留して得られた蒸留物を通液し、該合成吸着剤に吸
    着された成分を、水、エタノールおよびこれらの混合物
    から選ばれる溶媒で溶出する処理である請求項1記載の
    肝機能増強剤。
  3. 【請求項3】前記蒸留物が、10〜50のブリックスを
    有する甘蔗汁をブリックスが高々65になるまで蒸留し
    て得られる液体である、請求項1または2記載の肝機能
    増強剤。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれか1項記載の肝機能
    増強剤を含む食品。
  5. 【請求項5】請求項1〜3のいずれか1項記載の肝機能
    増強剤を含む飼料。
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