JP2001300415A - 印刷物の劣化防止方法 - Google Patents

印刷物の劣化防止方法

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JP2001300415A
JP2001300415A JP2000116797A JP2000116797A JP2001300415A JP 2001300415 A JP2001300415 A JP 2001300415A JP 2000116797 A JP2000116797 A JP 2000116797A JP 2000116797 A JP2000116797 A JP 2000116797A JP 2001300415 A JP2001300415 A JP 2001300415A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 印刷物に簡単な処理を施すだけで、印刷物の
耐光性及び耐ガス性を向上させることができる印刷物の
劣化防止方法を提供すること。 【解決手段】 記録媒体に、染料インクにより画像等を
形成した印刷物を、処理液で処理する印刷物の劣化防止
方法であって、前記処理液は、樹脂、耐光性向上剤及び
インク定着剤を含有する該樹脂の水系分散液であり、前
記水系分散液は、その最低造膜温度が70℃以上であ
り、前記樹脂は、印刷物[記録媒体における耐水性基材
が、温度20℃、相対湿度90%の環境下における酸素
透過率30cc/(m2 ・D・atm)以上の耐水性紙
であり、そのインク受容層に染料インクにより画像の形
成された印刷物]の画像の表面に該樹脂を塗工量15g
/m2で塗工することにより、該印刷物の温度20℃、
相対湿度90%の環境下における酸素透過率を10cc
/(m2 ・D・atm)以下にし得る樹脂である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、印刷物、特にイン
クジェット記録された印刷物の劣化防止方法及び該劣化
防止方法に用いる処理液に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】近年の
インクジェット記録技術の革新的な進歩により、インク
ジェット記録により記録媒体に出力される画像は高品位
化しており、銀塩写真に匹敵する高画質の画像の出力が
可能となっている。しかし、高画質の画像の出力に用い
られるインクジェット記録用のインクである染料インク
は、紫外光や可視光、水分及び窒素酸化物ガスやオゾン
ガス等により経時的に変退色し易いという欠点を有す
る。このため、染料インクを用いてインクジェット記録
された印刷物は、耐光性、耐水性及び耐ガス性に劣り、
室内の壁に貼っておく等の通常の環境下において変色等
の記録画像の劣化が起こる等、保存性(劣化防止)の点
で未だ銀塩写真には及ばない。
【0003】また、インクジェット記録用媒体として
は、非晶質シリカ等の微小な多孔質材料を含有するイン
ク受容層を有する、いわゆる吸収型が主流であり、画像
の高画質化追究のため、該多孔質顔料として、更に微小
化したものが用いられる傾向にある。しかし、多孔質顔
料を更に微小化すると、それに比例して比表面積が大き
くなるため、インク受容層中の多孔質顔料と外気との接
触性が高まり、その結果、印刷物の保存性、特に耐ガス
性が低下するおそれがある。
【0004】また、近年のインクジェット用記録媒体自
体は、耐水性はかなり満足し得る水準となったものの、
その耐光性及び耐ガス性については依然課題となってい
る。インクジェット用記録媒体の耐光性及び耐ガス性向
上の技術としては、例えば、インクジェット用記録媒体
を構成するインク受容層自体の耐光性や耐ガス性の向上
を図ったもの(特開平9−254526号公報、特開平
8−164664号公報、特開平5−221115号公
報及び特開平7−246769号公報等参照)や、画像
表面に耐光性や耐ガス性を有するフィルム、樹脂層等を
積層したもの(特開平8−252985号公報、特開平
8−252883号公報、特開平5−318943号公
報、特開平8−174989号公報、特開平8−207
429号公報及び特開平9−174995号公報等参
照)等の技術があるが、何れもインクジェット用記録媒
体に十分な耐光性及び耐ガス性を付与できない。
【0005】上述の通り、染料インクは、紫外光や可視
光及び水分並びに窒素酸化物ガス、H2Sガス、硫黄酸
化物ガス及びオゾンガス等により経時的に変退色し易い
という欠点を有しており、また、インクジェット用記録
媒体は、耐光性及び耐ガス性が低いという欠点を有して
いる。このため、該インクジェット用記録媒体に、該染
料インクによりインクジェット記録された印刷物は、特
に、耐光性及び耐ガス性の点で問題がある。
【0006】従って、本発明の目的は、印刷物に簡単な
処理を施すだけで、印刷物の劣化防止、特に印刷物の耐
光性及び耐ガス性を向上させて、紫外光や可視光、酸化
性ガス等による該印刷物の変退色を防止することができ
る印刷物の劣化防止方法を提供することにある。
【0007】本発明者らは、耐水性基材上にインク受容
層を設けてなる記録媒体に、染料インクにより画像及び
/又は文字を形成した印刷物を、特定の処理液、詳しく
は特定の樹脂を分散状態で含有する処理液で処理するこ
とにより、前記目的を達成し得ることを知見した。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記知見に基
づきなされたもので、耐水性基材上にインク受容層を設
けてなる記録媒体に、染料インクにより画像及び/又は
文字を形成した印刷物を、処理液で処理する印刷物の劣
化防止方法であって、前記処理液は、樹脂、耐光性向上
剤及びインク定着剤を含有する該樹脂の水系分散液であ
り、前記水系分散液は、その最低造膜温度が70℃以上
であり、前記樹脂は、印刷物[記録媒体における耐水性
基材が、温度20℃、相対湿度90%の環境下における
酸素透過率30cc/(m2 ・D・atm)以上の耐水
性紙であり、そのインク受容層に染料インクにより画像
の形成された印刷物]の画像の表面に該樹脂を塗工量1
5g/m2 で塗工することにより、該印刷物の温度20
℃、相対湿度90%の環境下における酸素透過率を10
cc/(m2 ・D・atm)以下にし得る樹脂である、
印刷物の劣化防止方法を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の印刷物の劣化防止
方法の好ましい実施形態について図1及び図2を参照し
ながら説明する。先ず、本実施形態の劣化防止方法の対
象となる印刷物10について説明する。印刷物10は、
図1に示すように、耐水性基材2上にインク受容層3を
設けてなる記録媒体1に、染料インクにより画像及び/
又は文字(図示せず)を形成してなるものである。印刷
物10を構成する記録媒体1及び前記染料インクは、こ
の種の印刷物におけるものと同様である。
【0010】記録媒体1を構成する耐水性基材2として
は、耐水性を有し、液処理工程により伸縮し難いものが
用いられ、例えば、サイズ処理が施された紙、ポリエチ
レン、ポリプロピレン、ポリエステル等を紙にコートし
たレジンコート紙、バライタ紙やRCペーパー等の写真
用基材、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、
ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂フィルム、合成紙、合
成繊維で形成されたシート状物等が挙げられる。
【0011】耐水性基材2の温度20℃、相対湿度90
%の環境下における酸素透過率は、耐ガス性向上の観点
から、好ましくは50cc/(m2 ・D・atm)以
下、更に好ましくは30cc/(m2 ・D・atm)以
下である。尚、酸素透過率の測定方法については後述す
る。
【0012】記録媒体1を構成するインク受容層3も、
顔料を主体とする通常のインク受容層と同様に形成して
ある。顔料としては、例えば、無定型シリカ、沈殿法の
シリカ、ゲルタイプのシリカ、気相法シリカ、擬ベーマ
イト等のアルミナ水和物、シリカ/アルミナハイブリッ
ドゾル、スメクタイト粘土、炭酸カルシウム、硫酸カル
シウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、カオリン、白
土、タルク、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム等が挙
げられる。
【0013】インク受容層3は、インク受容層の強度を
高める観点から、バインダーを含有することが好まし
い。バインダーとしては、例えば、ポリビニルアルコー
ル、シラノール変性ポリビニルアルコール、酢酸ビニ
ル、澱粉、カルボキシメチルセルロース等のセルロース
誘導体、カゼイン、ゼラチン、スチレン−ブタジエン共
重合体等の共役ジエン系共重合体ラテックス、エチレン
−酢酸ビニル共重合体等のビニル系共重合体ラテック
ス、アクリル酸及びメタクリル酸の重合体等のアクリル
系共重合体ラテックス等が挙げられる。
【0014】インク受容層3には、更に助剤を含有させ
てもよい。助剤としては、印刷物10の高い印字濃度及
び耐水性の観点から、染料定着剤を含有することが好ま
しい。染料定着剤としては、例えば、カチオン性有機
物、多価金属イオン及びカチオン性界面活性剤等が挙げ
られる。カチオン性有機物としては、例えば、1級〜3
級アミン化合物、1級〜3級アミン塩、4級アンモニウ
ム塩等の低分子化合物や、1級〜3級アミノ基、1級〜
3級アミン塩基若しくは4級アンモニウム塩基を有する
オリゴマー又はこれらの基を有するポリマー等が挙げら
れ、具体的には、ジアリルジメチルアンモニウムクロラ
イドポリマー、エピハロヒドリン−2級アミンコポリマ
ー、ジシアンジアミドポリアルキルアミンコポリマー、
ジアリルジメチルアンモニウムクロライド−二酸化硫黄
コポリマー、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド
−アクリルアミドコポリマー、ジアリルメチルアンモニ
ウム塩ポリマー、ジアリルアミン塩酸塩−二酸化硫黄コ
ポリマー、ジメチルメチルアミン塩酸塩コポリマー、ポ
リアリルアミン、ポリエチレンイミン、ポリエチレンイ
ミン4級アンモニウム塩化合物、(メタ)アクリルアミ
ドアルキルアンモニウム塩ポリマー、4級アンモニウム
塩基を含むアイオネン等が挙げられる。多価金属イオン
としては、Al3+ 、Ca2+ 、Mg2+ 等が挙げられ
る。カチオン性界面活性剤としては、塩化ベンザルコニ
ウム等が挙げられる。
【0015】その他の助剤として、光安定剤、蛍光増白
剤、紫外線吸収剤、耐水化剤、酸化防止剤、防かび剤、
分散剤、界面活性剤、増粘剤、pH調整剤、消泡剤等が
挙げられる。
【0016】印刷物を構成する前記染料インクとして
は、インクジェット記録に一般的に使用される染料イン
クであればよいが、本発明の印刷物の劣化防止方法は、
染料インクとして、特に水系の染料インクを用いた印刷
物に対して有効である。このような水系の染料インク
は、通常、染料、溶媒及び補助薬品からなる。前記水系
の染料インクに用いられる染料としては、例えば、直接
染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料、食用色素等
の水溶性染料が挙げられる。
【0017】前記水系の染料インクに用いられる溶媒と
しては、水及び水溶性の各種有機溶媒、例えば、メチル
アルコール、エチルアルコール等の炭素数1〜4のアル
キルアルコール類、グリセリン、エチレングリコール等
の多価アルコール類等が挙げられる。
【0018】前記水系の染料インクに用いられる補助薬
品としては、例えば、湿潤剤、分散剤、消泡剤、表面張
力調整剤、防かび剤、pH調整剤、酸化防止剤、粘度調
整剤等が挙げられる。
【0019】本発明の劣化防止方法の対象である印刷物
は、前記記録媒体に、前記染料インクにより画像及び/
又は文字がインクジェット記録されてなるもので、この
印刷物の構成は、従来のこの種の印刷物と特に変わらな
い。ここで言う「インクジェット記録」の方式は、ノズ
ルから前記染料インクの液滴を前記記録媒体に直接吐
出、付着させ得るものをいう。
【0020】次に、本発明の劣化防止方法の対象である
印刷物10の劣化防止方法の実施形態について説明す
る。
【0021】本実施形態の劣化防止方法に用いられる処
理液は、樹脂を好ましくは30〜98重量%、更に好ま
しくは40〜80重量%含有し、耐光性向上剤を好まし
くは0.01〜25重量%、更に好ましくは0.1〜5
重量%含有し、インク定着剤を好ましくは0.5〜25
重量%、更に好ましくは2〜10重量%含有する該樹脂
の水系分散液(エマルジョン)であり、該エマルジョン
は、その最低造膜温度(MFT)が70℃以上、好まし
くは70〜140℃、更に好ましくは100〜120℃
である。前記処理液中における各成分の含有量をそれぞ
れ前記範囲内とすることにより、画像及び/又は文字に
悪影響を及ぼすことなく、一層効果的に印刷物の耐光性
及び耐ガス性を向上させることができる。尚、「最低造
膜温度(MFT)」とは、エマルジョンを被着剤に塗付
したとき、粒子が融着して連続した皮膜を形成すること
のできる最低温度をいう〔JIS工業用語大辞典 第4
版、(財)日本規格協会〕。MFTは、JIS K 6
800に従い、測定される。
【0022】前記処理液中に含有される前記樹脂は、印
刷物[記録媒体における耐水性基材が、温度20℃、相
対湿度90%の環境下における酸素透過率30cc/
(m2・D・atm)以上の耐水性紙であり、そのイン
ク受容層に染料インクにより画像の形成された印刷物]
の画像の表面に該樹脂を塗工量15g/m2 で塗工する
ことにより、該印刷物の温度20℃、相対湿度90%の
環境下における酸素透過率を10cc/(m2 ・D・a
tm)以下にし得る樹脂である。ここで、前記樹脂が塗
工される印刷物は、本実施形態の劣化防止方法の対象と
なる印刷物10である。このような樹脂を含有する前記
処理液で印刷物10を処理することにより、印刷物10
に十分な耐ガス性を付与することができる。尚、前記樹
脂の前記塗工量と前記酸素透過率との関係の規定には、
前記塗工量が15g/m2以下、例えば、3g/m2、1
g/m2、0.1g/m2でも前記酸素透過率を10cc
/(m2 ・D・atm)以下にし得る樹脂が含まれるこ
とは言う迄もない。前記耐水性基材及び前記樹脂の塗工
された印刷物の酸素透過率は、ASTM−D−1434
に従って測定した値である。
【0023】前記樹脂は、水不溶性又は水難溶性の微粒
子である。その平均粒径は0.01〜10μm、特に
0.5〜8μmであることが、インクの液安定性並びに
該樹脂をそのガラス転移温度以上の温度で加熱した際の
製膜性及び該樹脂の膜の透明性の観点から好ましい。
【0024】前記樹脂としては、家庭用アイロン等によ
り、70℃以上、好ましくは100℃以上、更に好まし
くは120℃以上の温度で加熱しても透明性を保持し、
変色や亀裂が生じないものが良く、好ましくは、ポリオ
レフィン系樹脂、(メタ)アクリル酸系樹脂、スチレン
−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、スチレン−ア
クリル系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン系樹脂、フ
ェノール系樹脂、シリコン樹脂、ウレタン樹脂、エポキ
シ樹脂からなる群から選ばれる1種または2種以上が挙
げられる。特に、透明性及び耐熱性並びに耐光性及び耐
ガス性の観点から、ポリオレフィン系樹脂が好ましい。
【0025】前記耐光性向上剤としては、水溶性のもの
で、紫外光や可視光による記録画像の変退色を抑制する
作用を持つものであればよく、好ましくは、紫外線吸収
剤、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)及びクエ
ンチャー(消光剤)からなる群から選ばれる1種または
2種以上が挙げられる。紫外線吸収剤としては、例え
ば、ベンゾフェノン系、サルシレート系、ベンゾトリア
ゾール系及びシアノアクリレート系、並びに酸化チタ
ン、酸化亜鉛、酸化セレン及び酸化セリウム等の金属酸
化物が挙げられる。クエンチャーとしては、例えばニッ
ケル、コバルト等の金属錯塩系等が挙げられる。特に、
染料インクの光劣化防止の観点から、紫外線吸収剤及び
HALSが好ましい。
【0026】前記インク定着剤としては、印刷物10
を、前記処理液で処理した際の染料インクの滲み出しを
防止する作用を有するものであればよく、好ましくは、
カチオン性有機物、多価金属イオン及びカチオン性界面
活性剤からなる群から選ばれる1種または2種以上が挙
げられる。カチオン性有機物、多価金属イオン及びカチ
オン性界面活性剤は、それぞれ前記染料定着剤と同様の
ものが使用できる。特に、染料インクの耐光性を阻害せ
ずに、該染料インクの定着性を向上させる観点から、カ
チオン性有機物、とりわけエピハロヒドリン−2級アミ
ンコポリマー及びジシアンジアミドポリアルキルアミン
コポリマーが好ましい。
【0027】前記処理液には、前述の各成分(樹脂、耐
光性向上剤及びインク定着剤)に加えて、必要に応じて
添加剤を適宜配合してもよい。添加剤としては、例え
ば、無機顔料、分散剤、粘度調整剤、防腐剤、防かび剤
等を、これらの1種又は2種以上で用いることができ
る。
【0028】前記処理液は、前述の各成分と、必要に応
じて前記添加剤とを適宜配合して、前記樹脂のエマルジ
ョンとして調整されるが、フィルム剥離工程(後述す
る)における印刷物10からのフィルムの剥離性を向上
させる観点から、該添加剤として、無機顔料を配合する
ことが好ましい。無機顔料としては、インク受容層3に
用いられる前記顔料と同様のものが使用できる。特に、
保護層4(後述する)に補助的なインク吸収能を付与す
ると共に、該保護層4の透明性を向上させる観点から、
シリカゲル、アルミナゾル等の白色顔料が好ましい。ま
た、該白色顔料は、その平均粒径が0.01〜0.1μ
mであることが、該保護層4の透明性を向上させる観点
から好ましい。
【0029】前述の如く、前記処理液に更に前記無機顔
料を配合する場合、その含有量は、フィルムの剥離性と
前記保護層4の透明性とのバランスの観点から、該処理
液中、好ましくは1〜50重量%、更に好ましくは5〜
20重量%である。
【0030】また、前記処理液には、前記樹脂の分散安
定性の観点から、前記添加剤として、分散剤を配合する
ことが好ましい。分散剤としては、従来公知のものが用
いられ、例えば、ポリカルボン酸塩、スチレン−アクリ
ル酸系樹脂、末端アルキル基変性ポリビニルアルコール
等の高分子型分散剤や、ジアルキルスルコハク酸誘導
体、アルキルナフタレンスルホン酸塩等の乳化重合用分
散剤等が挙げられる。
【0031】前述の如く、前記処理液に更に前記分散剤
を配合する場合、その含有量は、該処理液中、好ましく
は0.001〜1重量%、更に好ましくは0.01〜
0.1重量%である。
【0032】前記処理液は、該処理液による印刷物10
の処理のし易さの向上、及び処理後の印刷物の表面を美
麗に仕上げる観点から、その固形分濃度が1〜40重量
%であることが好ましく、10〜25重量%であること
が更に好ましい。また、前記処理液は、その粘度が20
0cps以下であることが好ましく、10〜100cp
sであることが更に好ましい。粘度を前記範囲内とする
ために、例えば、前記粘度調整剤としてエタノール等の
アルコール類等(粘度を下げる場合)やカルボキシメチ
ルセルロース、デンプン等(粘度を上げる場合)を添加
することもできる。
【0033】本実施形態の印刷物の劣化防止方法におけ
る、前記印刷物10の前記処理液による処理は、浸積工
程と、予備乾燥工程と、フィルム接着工程と、フィルム
剥離工程とを備え、次のようにして実施される。
【0034】先ず、印刷物10は、浸積工程において、
前記処理液中に浸積される。浸積時間は10秒間程度が
好ましい。浸積時間が短すぎると、該処理液が印刷物1
0に十分に浸透せず、また、浸積時間が長すぎても劣化
防止の効果は頭打ちとなり、滲みやインク受容層の剥が
れ等の不都合が生じる。
【0035】前記浸積工程を経た印刷物10は、予備乾
燥工程において、前記処理液(水系分散液)のMFT未
満の温度で加熱されて予備乾燥される。予備乾燥方法と
しては、特に家庭用ドライヤー等による温風による風乾
が好ましい。本実施形態の印刷物の劣化防止方法では、
MFTが前記所定温度以上の前記処理液を用いているの
で、前記浸積工程を経た印刷物10を、家庭用ドライヤ
ー等により加熱しても該樹脂を溶融・膜化させることな
く、湿潤状態の印刷物10から水分を速やかに蒸発除去
することができ、次工程でフィルムをきれいに貼合・接
着させることが可能となって、処理後の印刷物10の表
面に光沢感に優れた鏡面を作り出すことができる。仮
に、MFTが前記所定温度未満の処理液を用いた場合に
は、家庭用ドライヤー等による加熱によって該処理液中
の樹脂が溶融・膜化してしまい、次工程でフィルムをき
れいに貼合・接着させることができず、処理後の印刷物
10の表面に鏡面を作ることができない。
【0036】前記予備乾燥工程における予備乾燥の程度
は、予備乾燥後の印刷物10のインク受容層3上に、前
記樹脂の微粒子を含有する前記処理液のゲル状物が残留
する程度とする。印刷物10の含水率としては、好まし
くは15重量%以下、更に好ましくは8重量%以下とな
るようにする。
【0037】前記予備乾燥工程を経た印刷物10は、フ
ィルム接着工程において、先ず、前記ゲル状物を介し
て、印刷物10の画像及び/又は文字が形成された一面
(インク受容層3の表面)の全面を覆うように平滑なフ
ィルムが貼合される。次に、フィルムが貼合された印刷
物10は、該フィルムが下になるように平滑な台等の上
に載置され、予め前記処理液のMFT以上の温度に加熱
された家庭用アイロン等により、上(耐水性基材2のイ
ンク受容層3と反対側の面)から加熱・加圧処理され
る。その際、該印刷物10の全体が均一に加熱・加圧さ
れるようにすることが好ましい。該加熱・加圧処理によ
り、印刷物10が乾燥されると共に、前記ゲル状物中に
残存する水分が完全に蒸発除去され、前記樹脂の微粒子
が溶融して一定の流動性を持った溶融物となる。そし
て、該溶融物が、インク受容層3の表面の全面に均一な
厚みで配されて、前記フィルムが印刷物10に接着され
る。乾燥の程度は、乾燥後の印刷物10の含水率が、好
ましくは10重量%以下、更に好ましくは6重量%以下
となるようにする。
【0038】前記フィルムとしては、前記フィルム接着
工程における取扱い容易性、コスト及び安全性の観点か
ら、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂フィル
ム、ポリエチレン(PE)樹脂フィルム、ポリプロピレ
ン(PP)樹脂フィルム等が好ましい。また、該フィル
ムの厚みは、好ましくは10〜100μm、更に好まし
くは25〜50μmである。
【0039】前記フィルム接着工程を経た印刷物10
は、フィルム剥離工程において、先ず、室温まで冷却さ
れる。その際、前記溶融物が固化して、前記フィルムと
インク受容層3との間に前記樹脂の層が形成される。そ
の後、該フィルムが剥離される。
【0040】以上のようにして処理された印刷物10
は、図2に示すように、画像等が形成されたインク受容
層3上が、厚みが好ましくは1〜50μm、更に好まし
くは5〜25μmの保護層4に被覆される。保護層4の
厚みを前記範囲内とするためには、前記処理液の固形分
濃度や粘度及び処理液への浸積時間等を調整すればよ
く、具体的には、前記厚みの保護層4を形成するには、
前記処理液を、塗工量(塗布量)3〜25g/m2で以
て前記厚みの保護層を形成し且つ該保護層の酸素透過率
が10cc/(m2 ・D・atm)以下となるように調
整するのが好ましい。更に、その際、前記樹脂の塗工量
換算で2〜15g/m2となり且つ前記保護層の酸素透
過率が10cc/(m2 ・D・atm)以下となるよう
に前記処理液を調整するのが好ましい。15g/m2
塗工しないと酸素透過率が10cc/(m2 ・D・at
m)以下にならない樹脂では、処理後の印刷物の表面性
を悪化させてしまうため好ましくない。このような保護
層4をインク受容層3上に具備することにより、印刷物
10に十分な耐光性及び耐ガス性を付与することができ
る。また、保護層4は、前述の如く、インク受容層3上
に付着した前記樹脂の微粒子にフィルムを被着させた
後、該樹脂の微粒子を溶融・膜化させることにより形成
されるので、その表面は、該フィルムの鏡面を拾って光
沢感が向上した美しいものとなる。
【0041】本実施形態の劣化防止方法の対象となる印
刷物10は、耐水性基材上にインク受容層を設けてなる
記録媒体に、染料インクにより画像及び/又は文字を形
成した印刷物であれがよいが、特に好ましい形態を挙げ
ると、次の通りである。前記耐水性基材2としては、R
Cペーパー(銀塩写真用基材)が好ましく、その坪量
は、好ましくは150〜300g/m2 、更に好ましく
は200〜250g/m2 である。
【0042】前記インク受容層3としては、前記顔料と
して気相法シリカを含有するものが好ましく、その平均
粒子径は0.01〜1μm、特に0.1〜0.5μmで
あることが、インク受容層の平滑性及び解像性等の画質
の向上の点で好ましく、また、そのBETによる比表面
積は150〜350m2 /g、特に250〜300m 2
/gであることが、インクの吸収性の点で好ましい。
【0043】前記インク受容層3は、固形分換算で、前
記顔料として気相法シリカを30〜80重量%、特に5
0〜70重量%、前記バインダーとしてポリビニルアル
コールを20〜60重量%、特に30〜50重量%、前
記助剤である染料定着剤として2級アミンエピハロヒド
リンのポリマーを5〜30重量%、特に10〜20重量
%含有することが、耐水性及び耐湿性の点で好ましい。
また、前記インク受容層3の耐水性基材2への塗工量
は、固形分換算で5〜40g/m2 が好ましく、10〜
30g/m2 であることが更に好ましい。インク受容層
3自体の厚みとしては、好ましくは5〜80μm、更に
好ましくは20〜60μmである。
【0044】本実施形態の劣化防止方法の対象となる印
刷物10は、インクジェットプリンタにより画像及び/
又は文字が形成されることが好ましい。
【0045】本発明の印刷物の劣化防止方法は、前記実
施形態に制限されず、種々の変更が可能である。例え
ば、印刷物10を、前記処理液で処理する方法として、
前記実施形態では、印刷物10を前記処理液に浸積した
が、印刷物10に前記処理液をスプレー等を用いて噴霧
したり、ロールバー等の塗工用具を用いて塗工したりし
てもよい。
【0046】また、前記フィルム接着工程では、印刷物
10に平滑なフィルムを貼合したが、特定の模様が付さ
れたフィルムを貼合してもよい。このようなフィルムを
用いることにより、処理後の印刷物10の表面に、規則
的あるいは不規則な模様を付すことができ、例えば、写
真のラスター面や絹面等を作ることができる。
【0047】また、保護層4は、インク受容層3上に設
ければよく、耐水性基材2の片面に設けてもよく、両面
に設けてもよい。尚、保護層4を印刷物10の片面に設
けた場合には、印刷物10のカールを防止するため、耐
水性基材2のインク受容層3と反対側の面に予めバック
コート層を設けてもよい。
【0048】また、インク受容層3は、耐水性基材2の
片面のみならず、両面に設けてもよい。また、画質向上
の観点から、インク受容層3に公知のカレンダー装置を
用いて平滑化処理を施してもよい。また、前記実施形態
におけるインク受容層3に代えて、例えば、特開平11
−58942号公報に記載されているように、有機カチ
オン性ポリマーが結合した無機微粒子を含有させた空隙
を設けた層や、特開平11−115308号公報に記載
されているように、無機微粒子と水溶性樹脂と特定の架
橋剤とを用いて恒率乾燥速度を示す間に該水溶性樹脂を
架橋させて、硬化させることにより得られる層等を用い
ることもできる。その他、特開平10−81064号公
報、同10−100397号公報、同10−11942
0号公報、同10−119423号公報、同10−11
9424号公報、同10−175365号公報、同10
−193776号公報、同10−203006号公報、
同10−217601号公報、同11−20300号公
報、同11−20306号公報、特開平7−27678
9号公報、特開平8−174992号公報等に記載のイ
ンク受容のための層に変更することもできる。
【0049】また、記録媒体1に画像等を形成する方法
として、前記実施形態ではインクジェット記録方式を用
いたが、染料インクを用いて画像等を形成できる方法で
あればよく、例えば、昇華型熱転写方式、熱溶融型熱転
写方式等を用いて画像等を形成してもよい。
【0050】本発明の印刷物の劣化防止方法は、その対
象である印刷物を、特定の処理液で処理することによ
り、該処理液の保護層を印刷物の表面に形成し、該印刷
物の耐光性及び耐ガス性を向上させるものである。従っ
て、本発明の方法により印刷物の表面に形成される保護
層の形態は、特定の処理液の乾燥によって形成される乾
燥物が、印刷物の画像及び/又は文字を外気と遮断する
ように被覆した形態であればよい。
【0051】
【実施例】以下に、本発明の印刷物の劣化防止方法の実
施例を示す。しかしながら、本発明は、かかる実施例に
制限されるものではないことはいうまでもない。尚、以
下の例中、「部」及び「%」は、特に明示しない限りそ
れぞれ重量部及び重量%を示す。
【0052】〔実施例1〕下記の印刷物A及びBの製法
それぞれで得られた印刷物A及びBを、下記製造例1で
得られた処理液中にそれぞれ5秒間浸積した後、それら
を引き上げて家庭用ドライヤーにより80℃(該処理液
のMFT未満の温度)で加熱して、予備乾燥した。その
後、各印刷物の画像及び/又は文字が形成された一面
(インク受容層の表面)の全面を覆うように、厚さ25
μmのPETフィルム(コロナ処理無し、ユニチカ製)
を貼合した。そして、該フィルムが下になるように、各
印刷物を平滑な台の上に載置し、予め140℃(前記処
理液のMFT以上の温度)に加熱された家庭用アイロン
により、各印刷物の全体をそれぞれ均一に加熱・加圧し
て、該フィルムを接着すると共に、各印刷物を乾燥し
た。各印刷物を室温まで冷却した後、該フィルムを剥離
して、処理印刷物A1及びB1(何れも含水率7重量
%)を得た。何れも塗布量は5〜10g/m2であっ
た。
【0053】〔印刷物Aの製法〕耐水性基材上にインク
受容層を設けてなる記録媒体として、市販のインクジェ
ット用記録媒体(商品名「PM写真用紙」、EPSON
製)を用い、これに、染料インク(C,M,Y,Bk4
色の100%パッチ)を用いてインクジェットプリンタ
ー(商品名「PM800C」、セイコーエプソン社製)
によりカラーパッチを印刷し、印刷物Aを得た。
【0054】〔印刷物Bの製法〕前記印刷物の製法Aで
用いたものと同様の記録媒体に、前記印刷物の製法Aで
用いたものと同様の染料インクを用いて前記PM800
Cにより、高精細カラーデジタル標準画像[(ISO/
JIS−SCID)、画像名称「ポートレート」(サン
プル番号1、画像の評価認識番号N1)]を印刷して、
印刷物Bを得た。
【0055】〔比較例1〜4〕実施例1における下記処
理液に代えて、下記比較製造例1〜4でそれぞれ得られ
た処理液を用いた以外は実施例1と同様にして、それぞ
れ比較処理印刷物A’1〜A’4及びB’1〜B’4を
得た。
【0056】〔製造例1〕水250部に、ポリオレフィ
ン樹脂エマルジョン(固形分濃度40%、商品名「ケミ
パール」、三井化学製)96.5部、水溶性紫外線吸収
剤(商品名「ニードラル」、多木化学製)3部及びイン
ク定着剤(商品名「スミレーズレジン1001」、住友
化学製)0.5部を添加し、混合して、固形分濃度2
8.5%、粘度50cpsの処理液を得た。
【0057】〔比較製造例1〕製造例1における水溶性
紫外線吸収剤の代わりに水を用いた以外は製造例1と同
様にして、固形分濃度25.5%、粘度45cpsの処
理液を得た。
【0058】〔比較製造例2〕製造例1における水溶性
紫外線吸収剤及びインク定着剤の代わりに水を用いた以
外は製造例1と同様にして、固形分濃度25%、粘度4
4cpsの処理液を得た。
【0059】〔比較製造例3〕製造例1におけるポリオ
レフィン樹脂エマルジョンの代わりにアクリル樹脂エマ
ルジョン(固形分濃度40%、商品名「ボンロン」、三
井化学製)を用いた以外は製造例1と同様にして、固形
分濃度28.5%、粘度48cpsの処理液を得た。
【0060】〔比較製造例4〕製造例1におけるポリオ
レフィン樹脂エマルジョンの代わりにでんぷん(商品名
「MS3800」、日本食品加工製)10部及び水10
0部を用いた以外は製造例1と同様にして、固形分濃度
13.5%、粘度95cpsの処理液を得た。
【0061】〔処理性、耐ガス性、画質変化性、耐水
性、耐湿性及び耐光性の評価〕実施例1で得られた処理
印刷物A1、及び比較例1〜4でそれぞれ得られた比較
処理印刷物A’1〜A’4それぞれについて、下記の
〔処理性の評価基準〕、〔耐ガス性の評価基準〕及び
〔画質変化性の評価基準〕により評価した。それらの結
果を下記表1に示す。尚、〔耐水性の評価〕及び〔耐湿
性の評価〕については、処理印刷物A1並びに比較処理
印刷物A’1、A’3及びA’4についてのみ行い、下
記の〔耐水性の評価基準〕及び〔耐湿性の評価基準〕に
より評価した。また、実施例1で得られた処理印刷物B
1、及び比較例1〜4でそれぞれ得られた比較処理印刷
物B’1〜B’4それぞれについて、下記の〔耐光性の
評価基準〕により評価した。その結果を下記表1に示
す。
【0062】〔処理性の評価基準〕処理印刷物A1及び
比較処理印刷物A’1〜A’4それぞれの「表面状態」
及び「染料の滲み出し程度」を目視で観察し、それぞれ
下記評価基準により評価した。尚、「表面状態」は、フ
ィルム剥離直後の表面状態についてのものであり、ま
た、「染料の滲み出し程度」は、フィルム貼合前(予備
乾燥後)についてのものである。 〔表面状態の評価基準〕 ○:処理前と比較して光沢感が向上している。 △:処理前と比較して多少凹凸がある。実用限界。 ×:処理前と比較して曇り、亀裂、凹凸が生じており、
実用不可。 ××:フィルムを剥離する際に、基材の破れやインク受
容層の剥離が起こる。 〔染料の滲み出し程度の評価基準〕 ○:滲みは全く観察されない。 ×:C,M,Y,Bkのうち少なくとも1色の滲みが観
察できる。
【0063】〔耐ガス性の評価基準〕処理印刷物A1及
び比較処理印刷物A’1〜A’4それぞれを、ガス導入
口及び排出口の付いたガラス容器に入れ、ガス発生器に
て発生させた混合ガス(オゾン1ppm、NO25pp
m、SO21ppm)を30分間連続して導入してガス
処理を行った。ガス処理後の処理印刷物及び各比較処理
印刷物について、色差計を用い、ガス処理前の処理印刷
物及び各比較処理印刷物に対する色差(C,M,Y3色
についての平均値)をそれぞれ求め、下記評価基準によ
り評価した。 〔評価基準〕 ○:色差が5未満。耐ガス性良好。 △:色差が5以上15未満。実用限界。 ×:色差が15以上。実用に堪えない。
【0064】〔画質変化性の評価基準〕印刷物A(処理
前)並びに処理印刷物A1及び比較処理印刷物A’1〜
A’4(処理後)それぞれについて、反射濃度測定器
(「SPM50−1」、グレタグマクベス社製)を用い
反射濃度を測定して、OD変化率(C,M,Y3色につ
いての平均値)を求め、下記評価基準により評価した。 〔評価基準〕 ○:OD変化率が5%以下。 △:OD変化率が10%未満。 ×:OD変化率が10%以上。
【0065】〔耐水性の評価基準〕処理印刷物A1並び
に比較処理印刷物A’1、A’3及びA’4を、温度2
5℃、相対湿度50%の環境下に24時間放置した後、
0.3ccの水滴を、それぞれのC,M,Y,Bkのパ
ッチ100%部分に滴下し、更に、温度25℃、相対湿
度50%の環境下に24時間放置した。その後、処理印
刷物A1並びに比較処理印刷物A’1、A’3及びA’
4それぞれについての前記「染料の滲み出し程度」を目
視で観察し、下記評価基準により評価した。 〔評価基準〕 ○:滲みは全く観察されない。耐水性良好。 △:C,M,Y,Bkのうちの2色の滲みが観察でき
る。実用限界。 ×:C,M,Y,Bkのうちの3色以上の滲みが観察で
きる。実用に堪えない。
【0066】〔耐湿性の評価基準〕処理印刷物A1並び
に比較処理印刷物A’1、A’3及びA’4を、温度2
5℃、相対湿度50%の環境下に24時間放置して乾燥
処理を行った後、温度40℃、相対湿度80%の環境下
に24時間放置して湿潤処理を行った。湿潤処理後の処
理印刷物A1並びに比較処理印刷物A’1、A’3及び
A’4それぞれの画像背景部分について、色差計を用
い、湿潤処理前(乾燥処理後)の処理印刷物A1並びに
比較処理印刷物A’1、A’3及びA’4それぞれに対
する色差(C,M,Y3色についての平均値)を求め、
下記評価基準により評価した。 〔評価基準〕 ○:色差が5未満。耐湿性良好。 △:色差が5以上10未満。実用限界。 ×:色差が10以上。実用に堪えない。
【0067】〔耐光性の評価基準〕処理印刷物B1及び
比較処理印刷物B’1〜B’4それぞれを、キセノンウ
ェザオメーターCi35A(ATLAS社製)を用い
て、340nmの放射エネルギー0.25W/m2 、ブ
ラックパネル温度63℃、相対湿度50%RHの環境下
で、45kJ/m2 の光暴露処理を行った。光暴露処理
後の処理印刷物B1及び比較処理印刷物B’1〜B’4
それぞれの画像背景部分について、色差計を用い、光暴
露前処理前の処理印刷物B1及び比較処理印刷物B’1
〜B’4それぞれに対する色差(C,M,Y3色及び画
像背景部分についての平均値)を求め、下記評価基準に
より評価した。 〔評価基準〕 ○:色差が5未満。耐光性良好。 △:色差が5以上10未満。実用限界。 ×:色差が10以上。実用に堪えない。
【0068】〔酸素透過率の測定〕処理印刷物A1及び
比較処理印刷物A’1〜A’4それぞれの温度20℃、
相対湿度90%の環境下における酸素透過率を、前記A
STM−D−1434に従って測定した。その結果を下
記表1に示す。
【0069】〔MFTの測定〕製造例1及び比較製造例
1〜4でそれぞれ得られた処理液のMFTを、前記JI
S K 6800に従って測定した。その結果を下記表
1に示す。
【0070】
【表1】
【0071】表1に示す結果から明らかなように、実施
例1の印刷物の劣化防止方法に従って、処理液(製造例
1)で処理した印刷物は、処理性、耐ガス性、画質変化
性、耐水性、耐湿性、耐光性及び酸素透過率の全てにお
いて優れるものであることが分かる。これに対し、比較
例1〜4の印刷物の劣化防止方法に従って、処理液(比
較製造例1〜4)で処理した印刷物は、何れも処理性、
耐ガス性、画質変化性、耐水性、耐湿性及び酸素透過率
の何れかが十分なレベルに達していないことが分かる。
尚、実施例1の印刷物の劣化防止方法においては、印刷
物を処理液中に浸積させることにより、該処理液を該印
刷物に含浸させたが、「処理液中への浸積」に代えて、
「スプレーによる処理液の噴霧」により該処理液を該印
刷物に含浸させても、同様の結果が得られた。
【0072】また、実施例1と比較例1及び2との対比
から、画質変化を伴わずに、印刷物の耐ガス性及び耐光
性を向上させるためには、本発明の処理液の必須成分で
ある樹脂、耐光性向上剤及びインク定着剤が必要である
ことが分かる。また、実施例1と比較例3との対比か
ら、処理後の印刷物の光沢感を向上させるためには、処
理液のMFTが一定温度以上である必要があることが分
かる。比較例3では、MFTが低い処理液で印刷物を処
理したため、家庭用ドライヤーによる予備乾燥で該処理
液中に分散された樹脂が溶融・膜化してしまい、次工程
でフィルム貼合・接着をきれいに行うことができなかっ
た。また、実施例1と比較例4との対比から、処理液と
しては、酸素透過率が一定値以下である樹脂を分散状態
で含有させたものを用いる必要があることが分かる。
【0073】
【発明の効果】本発明の印刷物の劣化防止方法によれ
ば、画質をほとんど変化させることなく、印刷物の劣化
防止、特に印刷物の耐光性及び耐ガス性を向上させて、
紫外光や可視光、酸化性ガス等による該印刷物の変退色
を防止することができ、また、特別な装置を用いること
なく、家庭用ドライヤーや家庭用アイロン等で行うこと
ができるので、一般の家庭でも容易に印刷物の劣化防止
処理を行うことができる。更に、劣化防止処理後の印刷
物は、その印刷面が鏡面仕上げされ、光沢感が向上した
美しいものになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の印刷物の劣化防止方法に用いられる印
刷物の断面を拡大して示す拡大断面図である。
【図2】本発明の印刷物の劣化防止方法により処理され
た処理後の印刷物の断面を拡大して示す拡大断面図であ
る。
【符号の説明】
1 記録媒体 2 耐水性基材 3 インク受容層 4 保護層 10 印刷物
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4D075 AB01 AC43 AE03 BB24Z BB93Z CA32 CA34 DA04 DB18 DC27 EA06 EB12 EB13 EB14 EB15 EB22 EB32 EB33 EB38 EB42 EC07 EC11 EC47 EC54

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 耐水性基材上にインク受容層を設けてな
    る記録媒体に、染料インクにより画像及び/又は文字を
    形成した印刷物を、処理液で処理する印刷物の劣化防止
    方法であって、 前記処理液は、樹脂、耐光性向上剤及びインク定着剤を
    含有する該樹脂の水系分散液であり、 前記水系分散液は、その最低造膜温度が70℃以上であ
    り、 前記樹脂は、印刷物[記録媒体における耐水性基材が、
    温度20℃、相対湿度90%の環境下における酸素透過
    率30cc/(m2 ・D・atm)以上の耐水性紙であ
    り、そのインク受容層に染料インクにより画像の形成さ
    れた印刷物]の画像の表面に該樹脂を塗工量15g/m
    2 で塗工することにより、該印刷物の温度20℃、相対
    湿度90%の環境下における酸素透過率を10cc/
    (m2 ・D・atm)以下にし得る樹脂である、印刷物
    の劣化防止方法。
  2. 【請求項2】 前記処理液が、前記樹脂30〜98重量
    %、前記耐光性向上剤0.01〜25重量%及び前記イ
    ンク定着剤0.5〜25重量%を含有する請求項1記載
    の印刷物の劣化防止方法。
  3. 【請求項3】 前記処理液が、更に無機顔料を含有して
    おり、該無機顔料の含有量が1〜50重量%である請求
    項1又は2記載の印刷物の劣化防止方法。
  4. 【請求項4】 前記樹脂が、ポリオレフィン系樹脂、
    (メタ)アクリル酸系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹
    脂、塩化ビニル系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、ブ
    タジエン系樹脂、スチレン系樹脂、フェノール系樹脂、
    シリコン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂からなる群
    から選ばれる1種または2種以上である、請求項1〜3
    の何れかに記載の印刷物の劣化防止方法。
  5. 【請求項5】 前記耐光性向上剤が、紫外線吸収剤及び
    ヒンダードアミン系光安定剤からなる群から選ばれる1
    種または2種以上である、請求項1〜4の何れかに記載
    の印刷物の劣化防止方法。
  6. 【請求項6】 前記インク定着剤が、カチオン性有機物
    からなる群から選ばれる1種または2種以上である、請
    求項1〜5の何れかに記載の印刷物の劣化防止方法。
  7. 【請求項7】 前記処理液による処理が、 処理前の前記印刷物を前記処理液に浸積する浸積工程
    と、該浸積工程を経た前記印刷物を、前記水系分散液の
    最低造膜温度未満の温度で加熱して予備乾燥する予備乾
    燥工程と、該予備乾燥工程を経た前記印刷物の画像及び
    /又は文字が形成された一面にフィルムを接着させ、且
    つ前記水系分散液の最低造膜温度以上の温度で該印刷物
    を加熱して乾燥するフィルム接着工程と、前記印刷物か
    ら前記フィルムを剥離するフィルム剥離工程とを備える
    請求項1〜6の何れかに記載の印刷物の劣化防止方法。
  8. 【請求項8】 前記処理液で処理し、乾燥して得られる
    印刷物が、前記インク受容層上に、厚み1〜50μmの
    保護層を具備するように、該処理液で処理する請求項1
    〜7の何れかに記載の印刷物の劣化防止方法。
  9. 【請求項9】 前記印刷物が、前記記録媒体に、前記染
    料インクによりインクジェット記録されたものである請
    求項1〜8の何れかに記載の印刷物の劣化防止方法。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9の何れかに記載の印刷物
    の劣化防止方法に用いられる処理液であって、 樹脂、耐光性向上剤及びインク定着剤を含有する該樹脂
    の水系分散液であり、該水系分散液は、その最低造膜温
    度が70℃以上であり、該樹脂は、印刷物[記録媒体に
    おける耐水性基材が、温度20℃、相対湿度90%の環
    境下における酸素透過率30cc/(m2 ・D・at
    m)以上の耐水性紙であり、そのインク受容層に染料イ
    ンクにより画像の形成された印刷物]の画像の表面に該
    樹脂を塗工量15g/m2 で塗工することにより、該印
    刷物の温度20℃、相対湿度90%の環境下における酸
    素透過率を10cc/(m2 ・D・atm)以下にし得
    る樹脂である、処理液。
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