JP2004074613A - インクジェット記録用シート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、支持体上に少なくとも一層のインク受容層を設けたインクジェット記録用シートにおいて、インク受容層と支持体の間、インク受容層中、及びインク受容層上の何れかにタンパク質を保存性改良剤として含有することを特徴とするインクジェット記録用シートである。インク受容層が、顔料、水溶性接着剤および保存性改良剤としてタンパク質を含有するインクジェット記録用シートである。
【選択図】なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明はインクジェットプリントに用いるインクジェット記録用シートに関するものであり、特に、インクジェット記録用シート上にフルカラーで印字された画像の印字濃度が高く、インクの吸収性に優れるという特徴を維持しつつ、従来のインクジェット記録用シートの欠点であった長期保存での変色のないインクジェット記録用シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
液体インクを微細なノズルから記録体に噴出して画像を形成させるインクジェット記録方式は、記録時の騒音が少なく、カラー化が容易であること、高速記録が可能であること、また、他の印刷装置より安価であること等の理由から端末用プリンタ、ファクシミリ、プロッタ、あるいは帳票印刷などで広く利用されている。
一方、プリンタの急速な普及や高精細・高速化、さらにはデジタルカメラの登場により、記録体側にも高度な特性が要望されるようになった。すなわち、吸収性、記録濃度、耐水性、および保存性に優れた、銀塩方式の写真に匹敵する画質と保存性を兼ね備えた記録体の実現が強く求められている。
【0003】
このような要求に答えるため、支持体上に顔料および接着剤を主体とするインク受容層を設けたシートに関する提案が多数なされてきた。例えば、非晶質シリカおよび高分子バインダーからなる塗布層(特開昭55−51583号公報、同57−157786号公報、同62−158084号公報)、ゼオライト等のインク吸着顔料を有する塗布層(特開昭56−144172号公報)、微粉ケイ酸および水溶性樹脂からなる塗布層(特開昭56−148583号公報)、多孔質のカチオン性アルミナ水和物を有する塗布層(特開昭60−232990号公報)等を支持体上に設ける方法が提案されている。
【0004】
また、印字の耐水性改善の観点から、カチオン性ポリマー(特開昭56−84992号公報、同60−49990号公報、同61−125878号公報)、塩基性ラテックス(特開昭57−36692号公報)等をインク受容層に含有させる方法が提案されている。
【0005】
さらに、印字の保存性改善の観点から、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、塩化第二クロム等の金属酸化物、金属塩化物またはタンニン酸のうちの少なくとも一つを添加する方法(特開昭57−87987号公報)、ヒンダードフェノール類等の酸化防止剤を添加する方法(特開昭57−74192号公報)、ヒンダードアミン類を添加する方法(特開昭61−146591号公報)、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系やフェニルサリチル酸系等の紫外線吸収剤を添加する方法(特開昭57−74193号公報、同57−87988号公報、同63−222885号公報)、チオ尿素系化合物を添加する方法(特開昭61−163886号公報)、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール等の特定のメルカプト化合物を添加する方法(特開昭61−177279号公報)、ジチオカルバミン酸塩、チウラム塩、チオシアン酸エステルまたはチオシアン酸塩を添加する方法(特開平7−314882号公報)等が提案されている。
【0006】
しかしながら、これらの技術を用いて形成されるフルカラーインクジェット記録画像は長期保存中での変色、とりわけマゼンタ染料を用いた場合、その褪色に伴う変色に対してはまだまだ不十分であった。
【0007】
なお、インク受容層にアルブミンを用いると記述された発明はある(例えば、特開平3−155982号公報)。しかし、水溶性接着剤の一種としての例示でしかなく、水溶性接着剤とは別に、染料の保存性改良剤として使用するような技術思想がなく、保存性に優れるという作用効果を示唆するものでもない。
【0008】
また、キセノゲル系多孔性顔料をインクジェット受容層用塗料として用いる際、プロテイン類を用いることができると記載されている発明(特開平5−85033号公報)もあるが、これも、本発明とは目的が異なり、作用効果も異なるものであり、なおかつ、卵白アルブミン、卵黄、リポタンパク質等の特定もなされていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、インクジェット記録用シート上にフルカラーで印字された場合に、従来のインクジェット記録用シートの欠点であった長期保存での変色、とりわけマゼンタ染料を用いた場合、その褪色に伴う変色を著しく減少させ、なおかつ、他の印字品質・強度についても問題ないインクジェット記録用シートを提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は下記の態様を含む。
(1)支持体上に少なくとも一層のインク受容層を設けたインクジェット記録用シートにおいて、インク受容層と支持体の間、インク受容層中、及びインク受容層上の何れかにタンパク質を保存性改良剤として含有することを特徴とするインクジェット記録用シートである。特に、インク受容層中及び/又はインク受容層上にタンパク質を含有せしめることが好ましい。
(2)インク受容層が、顔料、水溶性接着剤および保存性改良剤としてタンパク質を含有する(1)のインクジェット記録用シートである。顔料としてはシリカ、アルミナ、アルミナ水和物が好ましい。
【0011】
(3)タンパク質が卵白アルブミンである(1)又は(2)記載のインクジェット記録用シートである。インク受容層中に卵白アルブミンを1〜20質量%含むことが好ましい。
(4)タンパク質が卵黄である(1)又は(2)記載のインクジェット記録用シートである。インク受容層中に卵黄を1〜20質量%含むことが好ましい。
(5)タンパク質がリポタンパク質である(1)又は(2)記載のインクジェット記録用シートである。インク受容層中にリポタンパク質を1〜20質量%含むことが好ましい。
(6)タンパク質がウシ血清アルブミンである(1)又は(2)記載のインクジェット記録用シートである。インク受容層中にウシ血清アルブミンを1〜20質量%含むことが好ましい。
(7)インク受容層に非水溶性高分子を含む(1)〜(6)の何れか一項に記載のインクジェット記録用シートである。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明は、支持体上に少なくとも一層のインク受容層を設けたインクジェット記録用シートにおいて、インク受容層と支持体の間、インク受容層中、及びインク受容層上の何れかにタンパク質を保存性改良剤として含有することを特徴とするインクジェット記録用シートである。中でも、インク受容層中及び/又はインク受容層上にタンパク質を保存性改良剤として含有せしめたインクジェット記録用シートは長期保存での変色が極めて少ないので好ましい。インク受容層中に含有せしめる場合、インクジェット記録用シートとして公知のインク受容層にタンパク質を保存性改良剤として配合すればよく、例えば、少なくとも顔料と水溶性接着剤とタンパク質を併用したインク受容層がインクジェット記録適性にも優れるので好ましい。
【0013】
本発明で使用するタンパク質としては、卵タンパク質、乳タンパク質、血液タンパク質、筋肉タンパク質、種子タンパク質などであり、保存性改良剤として機能を有するものであれば使用できる。タンパク質は単純タンパク質(例えばアルブミン)、複合タンパク質(例えばリボタンパク質)、誘導タンパク質(例えばゼラチン)に大別できるが、保存性改良剤として機能を有するものであれば使用できる。例えば、卵白アルブミン、卵黄、リポタンパク質、ウシ血清アルブミンなどは効果が優れる。ゼラチンも使用可能であるが、卵白アルブミン、卵黄、リポタンパク質、ウシ血清アルブミンに比べると効果が小さい。中でも、卵白アルブミン、卵黄、リポタンパク質が効果が優れ、特に卵黄、リポタンパク質が際立った効果を有する。
【0014】
本発明は、このようなタンパク質が保存性改良剤として機能を有するメカニズムは明らかではない。一般的に、フルカラーインクジェット記録画像が長期保存中に変色する要因は、使用されている染料が、空気中のガス、特にオゾンのような酸化力の強いガスにより容易に酸化されるためと考えられる。本発明は、おそらくタンパク質は、内部に疎水性を、外部に親水性を示す構造であり、染料の疎水性部がその親和性を有するタンパク質内部の疎水性部分まで入り込み、染料を保護する状態で記録されるとともに、オゾンなどが接近すると、染料に先駆けてタンパク質が酸化されるため、染料の酸化反応を阻害するためと考えられる。
【0015】
本発明で使用するインクジェット記録用シートの支持体としては、通常のインクジェット記録用シートとして使用できる支持体であれば特に限定するものではなく、紙(酸性紙、中性紙)、合成紙、プラスチックフィルム、不織布等、あるいはプラスチックフィルムをコート紙や上質紙等と接着剤を介して貼合せたもの、または紙にプラスチックをラミネートしたもの等が使用される。かかるプラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエステル、ポリプロピレン、ナイロン等のフィルム等が挙げられる。
【0016】
なお、支持体とインク受容層の間や支持体のインク受容層を形成しない面に、カール防止、バリヤー性付与、密着改良、帯電防止、色調調節などを目的とした下塗り層や裏面塗工層を形成してもよい。この層にタンパク質を含有せしめることもできる。
【0017】
インクジェット記録用シートのインク受容層としては、公知のインク受容層が使用でき、例えば、顔料と接着剤を有し、必要に応じてカチオン性ポリマーを配合された層である。
【0018】
インク受容層中に含有せしめる顔料としては、例えばゼオライト、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、ケイ酸アルミニウム、ケイソウ土、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、アルミナ水和物、アルミノシリケート、ベーマイト、擬ベーマイト、リトポン、尿素−ホルマリン樹脂フィラー等が挙げられる。これらは単独または二種以上を混合して用いられる。
これらのなかでも、シリカ、アルミナおよびアルミナ水和物はインク吸収性に優れているため好ましい。
【0019】
さらに、一次粒子の平均粒子径が30nm以下でかつBET法による比表面積が200m2/g以上のシリカを用いると、とりわけ高画質の画像が得られるため好ましい。一次粒子の下限は特に限定しないが1nm以上が好ましく、比表面積の上限も特に限定しないが500m2/g以下が好ましい。
【0020】
インク受容層中の顔料の使用量としては、インク受容層の固形分に対して20〜90質量%程度、好ましくは30〜80質量%程度である。なお、90質量%を越えるとインク受容層の塗膜強度が低下し、また20質量%未満になるとインクの吸収性が低下し、記録後のインク乾燥性が不充分となり画質が低下するおそれがある。
【0021】
本発明において、さらにカチオン性ポリマーとして、水に溶解あるいは乳化したときに解離してカチオン性を呈するポリマーを併用することも可能である。このようなカチオン性ポリマーとしては、例えば、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド・アクリルアミド共重合体、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド・二酸化イオウ共重合体、ポリアリルアミン塩酸塩、N−ビニルアクリルアミジン塩酸塩・アクリルアミド共重合体、ジアルキルアミン・エピクロロヒドリン付加重合物、ポリアミドポリアミンエピクロロヒドリン重合物、ジシアンジアミド・ホルマリン重縮合物、ポリアルキレンポリアミン・ジシアンジアミド重縮合物、ポリエチレンイミン塩酸塩、ポリ(メタ)アクリロイルオキシアルキルジアルキルアミン塩酸塩、(メタ)アクリロイルオキシアルキルジアルキルアミン塩酸塩・アクリルアミド共重合体、ポリ(メタ)アクリロイルオキシアルキルトリアルキルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシアルキルトリアルキルアンモニウムクロライド・アクリルアミド共重合体、ポリ(メタ)アクリルアミドアルキルジアルキルアミン塩酸塩、(メタ)アクリルアミドアルキルジアルキルアミン塩酸塩・アクリルアミド共重合体、ポリ(メタ)アクリルアミドアルキルトリアルキルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリルアミドアルキルトリアルキルアンモニウムクロライド・アクリルアミド共重合体等が挙げられる。
【0022】
インク受容層には、接着剤として、例えば酸化澱粉、エーテル化澱粉等の澱粉誘導体、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、カゼイン、ゼラチン、完全(部分)ケン化ポリビニルアルコール、ケイ素変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコールなどの水溶性接着剤、スチレン−無水マレイン酸共重合体の塩、スチレン−ブタジエン系ラテックス、アクリル系ラテックス、ポリエステルポリウレタン系ラテックス、酢酸ビニル系ラテックス等の水分散性接着剤、或いはポリメチルメタクリレート、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルブチラール、アルキッド樹脂等の有機溶剤可溶性樹脂が、単独あるいは複数を混合して用いられる。
これらの接着剤は、一般に顔料100質量部に対して1〜200質量部程度、好ましくは10〜100質量部程度の範囲で使用される。
【0023】
特に、インク受容層として、顔料、水溶性接着剤及びタンパク質を有する構成はインクジェット記録適性に優れるので好ましいが、更に非水溶性高分子を配合するとインク受容層の強度が優れるので好ましい。
非水溶性高分子としては、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系重合体、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルの重合体または共重合体等のアクリル系重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体等の水分散性高分子接着剤、あるいはこれらの各種重合体のカルボキシル基、カチオン性基等の官能基含有変性重合体、メラミン樹脂、尿素樹脂等の熱硬化樹脂等の合成樹脂系の水性接着剤、無水マレイン酸共重合樹脂系、ポリアクリルアミド系、ポリメチルメタクリレート系、ポリウレタン樹脂系、不飽和ポリエステル樹脂系、ポリビニルブチラール系、アルキッド樹脂系等の合成樹脂系接着剤などの高分子が例示でき、中でもアクリル系重合体とエチレン−酢酸ビニル共重合体は接着性が良く、かつインクとの親和性が良く吸液性を向上させるので、好ましく用いられる。
【0024】
インク受容層にタンパク質を含有せしめる場合、インク受容層の全固形分に対し、1〜20質量%の範囲で配合するとよい。1質量%に満たないと保存性改良の効果が十分得られず、20質量%を超える配合では、インク受容層の強度が低下する傾向になる。
【0025】
さらに、インク受容層中には、顔料分散剤、増粘剤、架橋剤、流動性変性剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤等を適宜添加することもできる。
【0026】
インク受容層は、インク受容層用塗液をバーコーター、ブレードコーター、エアナイフコーター、グラビアコーター、ダイコーター、カーテンコーター、スライドビードコーター等の塗工方式で支持体上の少なくとも片面に乾燥後の塗布量が2〜30g/m2程度となるように塗布乾燥して形成される。因みに、塗布量が2g/m2より少ないと記録画質が低下し、また30g/m2より多いと塗膜強度が低下するおそれがある。なお、インク受容層を複数層形成することもできる。また、インク受容層を支持体の両面に形成することもできる。
【0027】
インク受容層形成後、高光沢を付与する等の目的のために、例えばスーパーカレンダー、グロスカレンダーなどで加圧下のロールニップ間を通して表面の平滑性を与えることも可能である。
【0028】
上述したインク受容層上にさらに光沢層を設けることができる。この光沢層は、樹脂を主成分とすることができる。また顔料および樹脂を含有させて構成することもできる。光沢層はインクを速やかに通過または吸収できるよう、光沢を阻害しない範囲で多孔性もしくは通液性にするのが好ましい。このようにするためには、顔料を配合するか、光沢を落とさない範囲で、樹脂が完全に成膜しないような乾燥条件を選択すると良い。かかる光沢層にタンパク質を保存性改良剤として配合することができる。
【0029】
光沢層に用いる顔料は、インク受容層に用いたものと同様のものが挙げられるが、光沢、透明性、インク吸収性の点で、コロイダルシリカ、非晶質シリカ、酸化アルミニウム、アルミノシリケート、ゼオライト、合成スメクタイト等が好ましい。これらの顔料は光沢層中に10〜80質量%含まれることが望ましい。顔料のBET比表面積が大きいほど、インクの吸収性に優れるため、150m2/g以上が好ましい。上限は特にないが1000m2/g程度までであり、700m2/g程度以下が好ましい。顔料の平均粒子径(凝集粒子の場合は凝集粒子の径)は、0.01〜5μmが好ましく、0.05〜1μmのものがより好ましい。更に好ましくは0.05〜0.8μmである。粒子径が0.01μm未満になると、インク吸収性の改良効果に乏しくなるおそれがあり、5μmを超えると、光沢や印字濃度の低下が起こるおそれがある。顔料として一次粒子の平均粒子径が3nm〜40nmで、二次粒子の平均粒子径が10nm〜500nmであるシリカ微細粒子を使用すると、光沢、インクの吸収性に特に優れたものとなる。光沢層が顔料を主成分(10〜80%)として形成する場合、インクの吸収性が特に好ましい。
【0030】
この場合、光沢層がインク吸収性および透明性に優れるため、光沢層にカチオン性化合物を配合すると、インク染料が効率よく光沢層に定着し、光沢層の透明性とあいまって印字濃度の極めて優れたものとなり易い。光沢層の樹脂としては、水溶性樹脂(例えば、ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、シリル変性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール類、カゼイン、でんぷん、カルボキシルメチルセルロースやメチルセルロース等のセルロース誘導体)、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系重合体ラテックス、スチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系共重合体ラテックス等の水分散性樹脂、水性アクリル樹脂、水性ポリウレタン樹脂、水性ポリエステル樹脂等、その他一般に塗工紙分野で公知公用の各種樹脂(接着剤)が単独あるいは併用して使用される。
【0031】
なお、樹脂を主体に光沢層を形成する場合、特にエチレン性不飽和結合を有するモノマー(以下、エチレン性モノマーという)を重合させてなる重合体あるいは共重合体(以下、一括して重合体と称する)を主成分として構成されるのが好ましい。さらに、これら重合体の置換誘導体でも良い。また、上記のエチレン性モノマーをコロイダルシリカの存在下で重合させ、Si−O−R(R:重合体成分)結合によって複合体になった形、あるいは上記重合体にSiOH基等のコロイダルシリカと反応するような官能基を導入しておき、コロイダルシリカと反応させて複合体になった形で使用することも可能である。この複合体を使用した場合、光沢、インク吸収性に優れたものとなりやすい。
【0032】
さらに加熱鏡面ドラムを用いるキャスト方式で光沢層を得る態様では、上記の重合体等の樹脂は、そのガラス転移点が40℃以上のものが好ましく、50〜100℃の範囲であるものがより望ましい。ガラス転移点が低いと乾燥の際に成膜が進みすぎ、表面の多孔性が低下する結果、インクの吸収速度が低下するおそれが生じる。また、乾燥温度が重要であり、乾燥温度が高すぎると成膜が進みすぎ、表面の多孔性が低下する結果、インクの吸収速度が低下し、逆に乾燥温度が低すぎると、光沢に乏しくなる傾向が有り、生産性も低下する。光沢層ではキャスト方式を用いることもできる。この態様では、キャストドラムからの離型性に優れたものとなり易い。複合体粒子は特に限定しないが、例えば平均粒径が20〜200nm程度である。
【0033】
ウェット法は、基紙上に塗工した光沢層が湿潤状態にあるうちに該光沢発現層を加熱された鏡面ドラム面に圧接して強光沢仕上げを行うものである。ゲル化法は、基紙上に塗工した光沢層が湿潤状態にあるうちにこの光沢層をゲル化剤浴に接触させ、ゲル化状態にした光沢層を加熱ドラム面に圧接して強光沢仕上げを行うものである。リウェット法は、湿潤状態の光沢層を一旦乾燥してから再度湿潤液に接触させた後、加熱ドラム面に圧接して強光沢仕上げを行うものである。
【0034】
光沢層の塗工量は、乾燥固形分で0.2〜30g/m2 、好ましくは、1〜20g/m2である。ここで、0.2g/m2未満では光沢が十分に出ない場合があり、30g/m2を越えて多いとインク乾燥性が劣ったり、記録濃度が低下するおそれがある。
【0035】
本発明のインクジェット記録用シートは、裏面に粘着剤層と剥離シートとを積層した所謂粘着加工、裏面に磁気記録層を形成する所謂磁気加工、カード基材に積層する所謂カード加工等、公知の加工を施すことも可能である。また、紙もしくはフィルムの両面に本発明のインクジェット記録用シートを積層し、両面をインクジェット記録可能にすることも可能である。また、例えば、建築装飾用の壁紙、ポスター、看板、化粧合板用化粧紙、床材、自動車の内装材等に有効である。
【0036】
記録画像を形成するための液体インクとは、着色剤および液媒体、その他の添加剤からなる記録液体である。
着色剤としては直接染料、酸性染料、反応性染料等の各種水溶性染料が挙げられる。また、水性インクの液媒体としては、水単独、あるいは水および水溶性有機溶剤の併用がある。更に油性インクでもよい。水溶性有機溶剤としては、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール等の一価アルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチリン、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル等が挙げられる。
さらに添加剤としては、例えばpH調整剤、金属封鎖剤、防ばい剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、界面活性剤、および防錆剤等が挙げられる。
【実施例】
以下実施例に基づき、本発明をより詳細に説明する。以下の各例において、部、%は特にことわりのない限り、質量部、質量%を表す。
【0037】
実施例1
厚み50μmのポリエステルフィルムを支持体としてその片面に、下記塗料Aの組成からなるインク受容層用塗料を塗布、乾燥して、乾燥後のインク受容層厚みが35μmのインクジェット記録用シートを作製した。
【0038】
【0039】
実施例2
インク受容層用塗料として下記塗料Bを使用した以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録用シートを作製した。
【0040】
【0041】
実施例3
インク受容層用塗料として下記塗料Cを使用した以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録用シートを作製した。
【0042】
「塗料C」
【0043】
実施例4
インク受容層用塗料として下記塗料Dを使用した以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録用シートを作製した。
【0044】
【0045】
実施例5
インク受容層用塗料として下記塗料Eを使用した以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録用シートを作製した。
【0046】
「塗料E」
【0047】
実施例6
インク受容層用塗料として下記塗料Fを使用した以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録用シートを作製した。
【0048】
【0049】
比較例1
インク受容層用塗料として下記塗料Gを使用した以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録用シートを作製した。
【0050】
【0051】
比較例2
インク受容層用塗料として下記塗料Hを使用した以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録用シートを作製した。
【0052】
【0053】
実施例7
インク受容層用塗料として下記塗料Iを使用した以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録用シートを作製した。
【0054】
【0055】
実施例8
インク受容層用塗料として下記塗料Jを使用した以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録用シートを作製した。
【0056】
【0057】
実施例および比較例で得たインクジェット記録用シートについて、インクジェットプロッター(Designjet2500CP;ヒューレット・パッカード製)により、イメージングインク(ヒューレット・パッカード製,染料インク)を用いて、マゼンタインクのベタ印字およびISO−400の画像(「高精細カラーディジタル標準画像データISO/JIS−SCID」、p13、画像名称:ポートレート、財団法人日本企画協会発行)を印字し、以下の評価を行い、結果を表1に示した。
【0058】
「耐オゾン性」
長期保存性との相関の高い耐オゾン性を評価した。マゼンタインクのベタ印字およびISO−4000の画像を、オゾン濃度0.1ppmの容器に10時間放置した。
ベタ印字の場合には試験後のマクベス濃度を測定し、次の式により画像残存率を算出した。一方、画像の場合には目視により変色の度合いを観察し、評価した。
画像残存率(%)=〔(処理後の濃度)/(処理前の濃度)〕×100
ISO−4000の画像は画質を次の基準で評価した。
(画質評価基準)
A:変褪色がみられない
B:変褪色がややみられるものの、実用上問題なし
C:変褪色がみられ、実用上問題となる可能性がある
D:変褪色が多くみられ、実用上問題ある
E:変褪色が著しく、実用上問題あり
【0059】
「インク受容層の強度」
マゼンタインクのベタ印字およびISO−4000の画像を印字2分後に爪で擦過し、次の基準で評価した。
(擦過評価基準)
○:インク受容層の剥げが殆どみられず、実用上問題なし
△:インク受容層の剥げがみられ、実用上問題となる可能性がある
×:インク受容層の剥げが著しく、実用上問題あり
【0060】
【表1】
【0061】
【発明の効果】
表1から明らかなように、本発明のインクジェット記録用シートは、オゾンガスに暴露された場合でも画像の変褪色が非常に少なく、長期保存性に優れた記録用シートであった。
Claims (7)
- 支持体上に少なくとも一層のインク受容層を設けたインクジェット記録用シートにおいて、インク受容層と支持体の間、インク受容層中、及びインク受容層上の何れかにタンパク質を保存性改良剤として含有することを特徴とするインクジェット記録用シート。
- インク受容層が、顔料、水溶性接着剤および保存性改良剤としてタンパク質を含有する請求項1記載のインクジェット記録用シート。
- タンパク質が卵白アルブミンである請求項1又は2記載のインクジェット記録用シート。
- タンパク質が卵黄である請求項1又は2記載のインクジェット記録用シート。
- タンパク質がリポタンパク質である請求項1又は2記載のインクジェット記録用シート。
- タンパク質がウシ血清アルブミンである請求項1又は2記載のインクジェット記録用シート。
- インク受容層に非水溶性高分子を含む請求項1〜6の何れか一項に記載のインクジェット記録用シート。
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