JP2002086890A - インクジェット記録用紙、インクジェット記録方法、インクジェット記録体 - Google Patents

インクジェット記録用紙、インクジェット記録方法、インクジェット記録体

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JP2002086890A
JP2002086890A JP2000276266A JP2000276266A JP2002086890A JP 2002086890 A JP2002086890 A JP 2002086890A JP 2000276266 A JP2000276266 A JP 2000276266A JP 2000276266 A JP2000276266 A JP 2000276266A JP 2002086890 A JP2002086890 A JP 2002086890A
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jet recording
ink jet
organic solvent
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Keiji Obayashi
啓治 大林
Shinichi Osawa
愼一 大澤
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Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 インクジェット記録(プリント)の画像の滲
み及び退色性を改良した記録用紙、インクジェット記録
方法及びインクジェット記録体の提供。 【解決手段】 支持体上にカチオン性定着剤を含有する
多孔質インク吸収層を有するインクジェット記録用紙で
あつて、インクジェット射出後に沸点が常圧で200℃
以上の高沸点有機溶媒で処理して用いることを特徴とす
るインクジェット記録用紙。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット記
録用紙(以下、記録用紙ともいう)に関し、更に詳しく
は、経時における退色性、画像の滲みを改善した記録用
紙、インクジェット記録体、インクジェット記録方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録方法は記録用紙上
に、イエロー、マゼンタ、シアンなどの微小のインク液
滴を種々の作動原理により画像状に記録用紙上に吐出し
て画像記録を行うものであるが、近年その技術革新によ
り例えば、インクジェットプリンター技術と材料(株式
会社シーエムシー発行1998年7月)に詳細に記載さ
れている如く、銀塩写真画質に匹敵するカラープリント
が得られるようになってきた。しかし、画質に関しては
銀塩写真レベルに達しつつあるとはいえ、保存時の画質
を含めた場合は未だ改良が要望されている。インクジェ
ット記録(プリント)により得られた画質に対する改良
課題として、経時した場合に多孔質インク吸収層(以
下、インク吸収層ともいう)に吸着した染料の移動に伴
う画像の滲み、インク吸収層に吸着した染料の退色、色
再現性、光沢度の向上が挙げられる。これらの課題を解
決するために従来から種々の改良がなされてきている。
【0003】経時における画像の滲みは、インク吸収層
に定着した染料が使用したインク中の高沸点有機溶媒の
吸湿による水分により拡散することで発生、又、インク
吸収層に定着した染料がインク吸着層の水分により拡散
することで発生するとされている。この染料の拡散性を
防止するために、記録用紙に耐拡散性の染料定着剤とし
てカチオン性ポリマーや多価金属イオンを使用すること
が一般的である。カチオン性ポリマーや多価金属イオン
としては例えば、前記インクジェットプリンター技術と
材料に記載されている物が一般的に使用されている。
【0004】一方、インク吸収層に吸着した染料の退色
は以下に示す原因とされている。 (1)染料は分子状に分散して記録用紙のインク吸収層
に定着されるため、空気による酸化の影響を受けやす
い。
【0005】(2)記録用紙のインク吸収層中に残存す
るインクに使用されている高沸点有機溶媒の水分により
染料が拡散し、光による退色を受けやすい。
【0006】(3)特に記録用紙が別層としてインク吸
収層を支持体上に有する場合、表面が酸素や酸化性物質
の透過性が大きく酸化による退色が加速されやすい。
【0007】上記に示した如く、インク吸収層に定着し
た染料は酸化による退色が主であり、この退色性を抑制
するために、インクに含まれる染料の改良、種々の酸化
防止剤や紫外線吸収剤等の添加剤による改良が数多く提
案されており、例えば、特開平9−193532号、特
開2000−94829号に添加剤による退色性の改良
に関する技術が公開されているが、画像色素がゼラチン
やオイルにより保護されている銀塩写真に比較すると充
分でないのが現状である。
【0008】一方、退色性を改良するためにインクの色
材として染料の代わりに顔料を用いることも行われてい
る。顔料を用いると、顔料の溶解性が低いために経時に
よる画像の滲みは染料に比べより起き難く、又酸素や光
による影響も顔料粒子表面から徐々に起きるために退色
も染料に比較して格段に防止される。しかしながら顔料
を用いたインクでは記録用紙の表面に顔料粒子が定着さ
れるため、画像状に表面状態が変化し、特に光沢度が変
化するためにプリント品質上大きな欠点になっている。
【0009】インクジェット記録(プリント)の光沢
度、色再現性、耐水性を高める技術としてはインクジェ
ット記録(プリント)後に後処理として高沸点有機溶媒
を付与する技術が知られている。例えば、特開昭56−
77154号には、多孔性構造を有する記録用紙にイン
クジェット記録後、多孔性構造の空隙を不揮発性無色の
高分子化合物や高沸点の有機化合物で充填することで、
色再現性、耐水性、光沢性の改善されたインクジェット
記録(プリント)を与える記録方法が記載されている。
【0010】しかしながらこの技術は確かに空隙構造を
充填させることで、インクの色材が定着される多孔質層
の光散乱を防止させ、高濃度のプリント、光沢性の向上
には効果があるが、本発明が目的とする、プリント画像
の滲みや退色性の改良効果については記載がない。
【0011】又、特開昭59−196285号、同59
−201891号には、熱可塑性有機高分子微粒子およ
び接着剤からなるインク受理層を支持体上に有する記録
用紙にインクジェット記録後、有機溶剤や可塑剤を付与
してから加熱することで、上記熱可塑性有機高分子微粒
子を融着・製膜させてインク受理層の透明性を高め、光
沢やプリント濃度を改善した記録用紙が記載されてい
る。しかしながら、本発明が目指す画像の滲みや退色性
の改良効果に付いての記載はない。尚、ここで言うイン
ク受理層とは本発明のインク吸収層に相当する。
【0012】又、特開昭59−196285号に記載さ
れている可塑剤ではこうした問題はないが、可塑剤を付
与後、加熱処理を行っているが、この際に画像の滲みが
悪化し画像の鮮鋭性を低下させる場合があることがわか
った。
【0013】前述のごとく、染料を用いたインクで画像
の滲み、退色性は充分であるとは言い難く更なる改良が
望まれているのが現状である。本発明者はこの点に関し
種々検討を行った結果、インク吸収層に染料定着剤とし
てカチオン性ポリマーの存在下で疎水性高沸点有機溶媒
を付与することで、画像の滲み及び退色を同時に防止す
ることを見いだした。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の実態に
鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、インク
ジェット記録(プリント)の画像の滲み及び退色性を改
良した記録用紙、インクジェット記録方法及びインクジ
ェット記録体を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、以下の構
成により、前記目的が達成されることを見いだした。
【0016】1)支持体上にカチオン性定着剤を含有す
る多孔質インク吸収層を有するインクジェット記録用紙
であって、インクジェット射出後に沸点が常圧で200
℃以上の高沸点有機溶媒で処理して用いることを特徴と
するインクジェット記録用紙。
【0017】2)支持体上にカチオン性定着剤を含有す
る多孔質インク吸収層を有するインクジェット記録用紙
を用い、インクジェット射出後に沸点が常圧で200℃
以上の高沸点有機溶媒で処理することを特徴とするイン
クジェット記録方法 3)支持体上にカチオン性定着剤を含有する多孔質イン
ク吸収層を有するインクジェット記録用紙を用い、イン
クジェット射出後に沸点が常圧で200℃以上の高沸点
有機溶媒で処理し、前記高沸点有機溶媒を含有せしめた
ことを特徴とするインクジェット記録体。
【0018】4)高沸点有機溶媒が疎水性高沸点有機溶
媒であることを特徴とする1)に記載のインクジェット
記録用紙。
【0019】5)高沸点有機溶媒が疎水性高沸点有機溶
媒であることを特徴とする2)に記載のインクジェット
記録方法 6)高沸点有機溶媒が疎水性高沸点有機溶媒であること
を特徴とする3)に記載のインクジェット記録体。
【0020】7)多孔質インク吸収層が平均粒径が0.
2μm以下の無機微粒子を含有することを特徴とする
1)に記載のインクジェット記録用紙。
【0021】8)多孔質インク吸収層が平均粒径が0.
2μm以下の無機微粒子を含有することを特徴とする
2)に記載のインクジェット記録方法。
【0022】9)多孔質インク吸収層が平均粒径が0.
2μm以下の無機微粒子を含有することを特徴とする
3)に記載のインクジェット記録体。
【0023】以下、本発明の記録用紙について詳細に説
明する。本発明に用いられる記録用紙の支持体は多孔質
の支持体あるいは非多孔質の支持体のいずれも用いるこ
とができるが、本発明の効果を最大限に引き出すには非
多孔質支持体が好ましい。多孔質支持体としては、木材
パルプ紙、和紙、合成パルプ紙、合成繊維紙などが挙げ
られる。本発明で好ましく用いられる非多孔質支持体と
しては、金属、非多孔質の疎水性樹脂フィルム、紙の表
面を非多孔質の疎水性樹脂で被覆した支持体などが用い
られる。非多孔質の疎水性樹脂フィルム支持体の例とし
ては、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィル
ム、ポリ塩化ビニル(PVC)フィルム、ポリプロピレ
ン(PP)フィルム、ポリスチレン(PS)フィルム等
を挙げることができる。これらは透明又は白色の支持体
として用いられる。
【0024】紙の両面を非多孔質の疎水性樹脂で被覆し
た支持体としては、ポリオレフィン系樹脂で被覆したも
のが好ましく、特にポリエチレン(PE)で両面を被覆
した紙支持体が最も好ましい。以下、特に好ましく用い
られるPEで紙の両面を被覆した支持体について説明す
る。
【0025】支持体に用いられる紙は、木材パルプを主
原料とし、必要に応じてポリプロピレンを混練した合成
パルプあるいはナイロンやポリエステルなどの合成繊維
を用いて抄紙される。木材パルプとしてはLBKP,L
BSP,NBKP,NBSP,LDP,NDP,LUK
P、NUKPのいずれも用いることができるが短繊維分
の多いLBKP,NBSP、LBSP,NDP、LDP
をより多く用いることが好ましい。但し、LBSPおよ
び又はLDPの比率は10〜70質量%が好ましい。
【0026】上記パルプは不純物の少ない化学パルプ
(硫酸塩パルプや亜硫酸塩パルプ)が好ましく用いら
れ、又、漂白処理を行って白色度を向上させたパルプも
有用である。紙中には、高級脂肪酸、アルキルケテンダ
イマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸化チ
タンなどの白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミド、
ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白剤、ポ
リエチレングリコール類等の水分保持剤、分散剤、4級
アンモニウム等の柔軟化剤などを適宜添加することがで
きる。
【0027】抄紙に使用するパルプの濾水度はJIS
P 8121に記載のカナダ標準法で200〜500c
cが好ましく、又、叩解後の繊維長がJIS P 82
07に規定される24メッシュ残分質量%と42メッシ
ュ残分の質量%との和が30〜70%が好ましい。な
お、4メッシュ残分の質量%は20質量%以下であるこ
とが好ましい。
【0028】紙の坪量は50〜250g/m2が好まし
く、特に70〜200g/m2が好ましい。紙の厚さは
50〜210μmが好ましい。
【0029】紙は抄紙段階又は抄紙後にカレンダー処理
を行い高平滑性を与えることもできる。紙密度は0.7
〜1.2g/m2(JIS P 8118)が一般的で
ある。更に原紙剛度はJIS P 8143に規定され
る条件で20〜200gが好ましい。
【0030】紙表面には一般的に使用されている表面サ
イジング剤を塗布しても良く、表面サイズ剤としては原
紙中添加できるサイジング剤と同様のサイジング剤を使
用できる。例えば特開平11−323771号、同11
−034483号、特開2000−094827号、同
2000−198266号、同2000−220096
号、同2000−199196号に記載されている各種
サイジング剤を使用してもかまわない。
【0031】紙のpHはJIS−P−8113で規定さ
れた熱水抽出法により測定された場合、5〜9であるこ
とが好ましい。
【0032】紙表面および裏面を被覆するポリエチレン
(PE)は、主として低密度ポリエチレン(LDPE)
および/又は高密度ポリエチレン(HDPE)であるが
他の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)やポリプ
ロピレン(PP)等も一部使用することができる。
【0033】特にインク吸収層を塗布する側のPE層は
写真用印画紙で一般的に使用されているようにルチル又
はアナターゼ型の酸化チタンをPE中に添加し、不透明
度および白色度を改良したものが好ましい。酸化チタン
含有量はPEに対して3〜20質量%であり、好ましく
は4〜13質量%である。
【0034】PE層中には白地の調整を行うための耐熱
性の高い顔料や蛍光増白剤を添加することができる。着
色顔料としては、群青、紺青、コバルトブルー、フタロ
シアニンブルー、マンガンブルー、セルリアン、タング
ステンブルー、モリブデンブルー、アンスラキノンブル
ー等が挙げられる。蛍光増白剤としては、ジアルキルア
ミノクマリン、ビスジメチルアミノスチルベン、ビスメ
チルアミノスチルベン、4−アルコキシ−1,8−ナフ
タレンジカルボン酸−N−アルキルイミド、ビスベンズ
オキサゾリルエチレン、ジアルキルスチルベンなどが挙
げられる。
【0035】紙の含水率は概ね3〜10質量%である。
PE被覆紙は光沢紙として用いることも、又、PEを紙
表面上に溶融押し出してコーティングする際にいわゆる
型付け処理を行って通常の写真印画紙で得られるような
マット面や絹目面を形成したものも本発明で使用でき
る。
【0036】紙の表裏のPEの使用量はインク吸収層の
膜厚やバック層を設けた後で低湿および高湿化でのカー
ルを最適化するように選択されるが、一般にはインク吸
収層を塗布する側のPE層が10〜40μm、バック層
側が10〜50μmの範囲である。又、支持体の両面に
インク吸収層を塗布した記録用紙である場合には表裏の
PEの厚みは実質的に等しくするのがカールの点で好ま
しく、更に上記PE被覆紙は以下の特性を有しているこ
とが好ましい。
【0037】引っ張り強さは、JIS P 8113
で規定される強度で縦方向が2〜30×9.8N、横方
向が1〜20×9.8Nであることが好ましい。
【0038】引き裂き強度は、JIS P 8116
による規定方法で縦方向が0.098〜1.96N,横
方向が0.196〜1.96Nが好ましい。
【0039】圧縮弾性率は、≧9.8×106Paが
好ましい。 表面ベック平滑度は、JIS P 8119に規定さ
れる条件で20秒以上が光沢面としては好ましいが、い
わゆる型付け品ではこれ以下であっても良い。
【0040】表面粗さは、JIS B 0601に規
定された表面粗さが、基準長さ2.5mm当たり最大高
さは10μm以下、平均粗さは0.2〜5μmであるこ
とが好ましい。
【0041】不透明度は、JIS P 8138に規
定された方法で測定したときに80%以上、特に85〜
98%が好ましい。
【0042】白さは、JIS Z 8729で規定さ
れるL*、a*、b*が、L*=80〜95、a*=−3〜
+5、b*=−6〜+2であることが好ましい。
【0043】表面光沢度は、JIS Z 8741に
規定される60度鏡面光沢度が10〜95%であること
が好ましい。
【0044】クラーク剛直度は、記録用紙の搬送方向
のクラーク剛直度が50〜300cm3/100である
支持体が好ましい。
【0045】PEを紙基体に塗布する方法は種々の方法
があるが、溶融したPEを紙基体に押し出し塗布する方
法が特に好ましい。押し出し塗布方法により紙基体にP
Eを塗布した後、冷却ロールに鏡面又は種々の粗面ロー
ルを使用することでPE表面の光沢度を変化させたり絹
目面やマット面などの片付した支持体を作製することが
できる。
【0046】本発明の記録用紙のインク吸収層は高いイ
ンク吸収性を示し、ビーディングを抑制して斑を発生さ
せず、又異色間の境界部での色混じりを防止して高品質
のプリントを得る観点から、親水性バインダーと有機又
は無機微粒子で形成されるのが好ましい。微粒子は、高
い濃度と高い光沢度を得る観点から、粒径が約0.2μ
m以下でかつ低屈折率のものが好ましく、特に無機微粒
子が好ましい。
【0047】好ましい微粒子の平均粒径は、インク吸収
層中で0.005〜0.2μmであり、好ましくは0.
01〜0.15μmである。ここで言う平均粒径は、イ
ンク吸収層中に粒子として存在する状態で断面を電子顕
微鏡で観察したときに、個々の粒子の面積と等しい円に
換算したときの直径の個数平均値を示し、粒子は1次粒
子であっても2次凝集粒子であってもよい。インク吸収
層中で微粒子が2次凝集粒子を形成している場合にはそ
の2次粒子の粒子径を言う。
【0048】有機微粒子としては、メチルメタクリレー
ト、エチルメタクリレート、メチルアクリレート、ブチ
ルアクリレート、スチレン、ブタジエン、酢酸ビニル、
エチレン、ジビニルベンゼン、塩化ビニル、ビニルエー
テル等のモノマーを単独又は共重合して得られるポリマ
ーラテックスなどが挙げられる。
【0049】又無機微粒子の例としては、軽質炭酸カル
シウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオ
リン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウ
ム、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、硫化亜鉛、
炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、ケ
イソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、アルミ
ナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミ
ニウム、リトポン、ゼオライト、水酸化マグネシウム等
の白色無機顔料等を挙げることができる。特に好ましい
のは、シリカ、アルミナ、擬ベーマイトである。
【0050】インク吸収層に用いられる親水性バインダ
ーとしては、従来記録用紙で公知の親水性バインダーを
用いることができ、例えば、ゼラチン、ポリビニルアル
コール、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリド
ン、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、カルボキシ
ルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、寒
天、デキストリンなどを挙げることができるが特に造膜
性の良好なポリビニルアルコールが好ましい。
【0051】好ましく用いられるポリビニルアルコール
はケン化度が70〜100%、平均重合度が2000〜
5000であり、最も好ましくはケン化度が80〜99
%、平均重合度が2200〜450である。上記ポリビ
ニルアルコールには、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得
られる通常のポリビニルアルコールの他に、末端をカチ
オン変性したポリビニルアルコールやアニオン性基を有
するアニオン変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビ
ニルアルコールも含まれる。
【0052】カチオン変成ポリビニルアルコールとして
は、例えば特開昭61−10483号に記載されている
ような、第1〜3級アミノ基や第4級アンモニウム塩基
を上記ポリビニルアルコールの主鎖又は側鎖中に有する
ポリビニルアルコールであり、カチオン性基を有するエ
チレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体を加水
分解することにより得られる。
【0053】カチオン性基を有するエチレン性不飽和単
量体としては、例えばトリメチルー(2−アクリルアミ
ド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライ
ド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメ
チルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイ
ミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、N
−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、
ヒドロキシルエチルトリメチルアンモニウムクロライ
ド、トリメチル−(−メタクリルアミドプロピル)アン
モニウムクロライド、N−(1,1−ジメチル−3−ジ
メチルアミノプロピル)アクリルアミド等が挙げられ
る。
【0054】カチオン変性ポリビニルアルコールのカチ
オン変性基含有単量体の比率は、酢酸ビニル(加水分解
されたものも含む)に対して0.1〜10モル%であ
り、好ましくは0.2〜5モル%である。
【0055】なお、親水性バインダーがカチオン性ポリ
ビニルアルコールである場合にはこれ自体がカチオン性
定着剤で染料定着性を有することから後記のカチオン性
ポリマーは必ずしも必要とはしない。アニオン変性ポリ
ビニルアルコールは例えば、特開平1−206088号
に記載されているようなアニオン性基を有するポリビニ
ルアルコール、特開昭61−237681号、および同
63−307979号に記載されているような、ビニル
アルコールと水溶性基を有するビニル化合物との共重合
体、及び特開平7−285265号に記載されているよ
うな水溶性基を有する変性ポリビニルアルコールが挙げ
られる。
【0056】又、ノニオン変性ポリビニルアルコールと
しては、例えば、特開平7−9758号に記載されてい
るようなポリアルキレンオキサイド基をビニルアルコー
ルの一部に付加したポリビニルアルコール誘導体、特開
平8−25795号に記載された疎水性基を有するビニ
ル化合物とビニルアルコールとのブロック共重合体等が
挙げられる。ポリビニルアルコールは重合度や変性の種
類違いなど2種類以上を併用することもできる。
【0057】インク吸収層が含有する微粒子は記録用紙
1m2当たり5〜30gであり、好ましくは10〜25
gである。又、微粒子に対する親水性バインダーの質量
比は1〜15であり、好ましくは1.5〜8である。
【0058】本発明で用いることのできるカチオン性定
着剤としてはカチオン性ポリマーおよび表面がカチオン
性である無機微粒子が挙げられる。カチオン性ポリマー
としてはインクジェット記録用紙で従来公知のものを用
いることができ、例えば前記インクジェットプリンター
技術と材料や特開平9−193532号に記載されてい
る化合物が挙げられる。
【0059】本発明において特に好ましいカチオン性ポ
リマーは第4級アンモニウム塩基をポリマーの主鎖又は
側鎖に有するポリマーであり、ジメチルアミンエピハド
リン縮合物、ポリジアリルジメチルアンモニウム塩およ
びその共重合体、ビニルベンジルトリメチルアンモニウ
ム塩の単独重合体又は共重合体、N,N,N−トリメチ
ルアミノエチル(メタ)アクリレートクロライドの単独
重合体又は共重合体である。以下に第4級アンモニウム
塩基を有するカチオン性ポリマーの具体例を示す。
【0060】
【化1】
【0061】
【化2】
【0062】
【化3】
【0063】
【化4】
【0064】
【化5】
【0065】
【化6】
【0066】
【化7】
【0067】
【化8】
【0068】上記カチオン性ポリマーの数平均分子量は
2000〜10万の物が好ましく、3000〜8万の物
が特に好ましい。上記カチオン性ポリマーの使用量は記
録用紙1m2当たり概ね0.1〜10g、好ましくは
0.2〜5gの範囲である。
【0069】表面がカチオン性である無機微粒子として
は、例えばアルミナ、擬ベーマイト、表面がアルミニウ
ムで表面処理されたカチオン変成シリカ、さらには特開
平8−34160号に記載されているような、表面がア
ニオン性であるシリカ粒子表面に、カチオン性基とシリ
カ粒子と反応し得る基(トリスメトキシシリル基等)を
有する化合物を反応させて得られるシリカ粒子などが挙
げられる。
【0070】表面がカチオン性である上記無機微粒子は
これと親水性バインダーとの組み合わせにより染料定着
性のある多孔質層を形成することができるが、前記カチ
オン性ポリマーを併用する事もできる。
【0071】インク吸収層中には皮膜の造膜性を改善
し、又皮膜の耐水性や強度を高める目的で親水性バイン
ダーの有機又は無機の架橋剤を使用することができる。
【0072】有機の架橋剤としては、エポキシ系架橋
剤、イソシアネート系架橋剤、活性ビニル系架橋剤、ア
ルデヒド系架橋剤などを挙げることができる。無機の架
橋剤としては、ホウ酸系架橋剤、アルミニウム系架橋剤
が挙げられる。特に好ましい架橋剤としては、硼酸又は
その塩である。硼酸又はその塩としては、硼素原子を中
心原子とする酸素酸およびその塩のことを示し、具体的
にはオルト硼酸、メタ硼酸、次硼酸、四硼酸、五硼酸お
よびそれらの塩が含まれる。硼酸又はその塩の使用量
は、塗布液のシリカやポリビニルアルコールの量により
広範に変わり得るが、ポリビニルアルコールに対して1
〜60質量%であり、好ましくは5〜40質量%であ
る。
【0073】本発明の記録用紙のインク吸収層には上記
以外の各種の添加剤を添加することができる。例えば特
開昭57−74193号、同57−87988号及び同
62−261476号に記載の紫外線吸収剤、特開昭5
7−74192号、同57−87989号、同60−7
2785号、同61−146591号、特開平1−95
091号及び同3−13376号等に記載されている退
色防止剤、アニオン、カチオン又は非イオンの各種界面
活性剤、特開昭59−42993号、同59−5268
9号、同62−280069号、同61−242871
号および特開平4−219266号等に記載されている
界面活性剤、蛍光増白剤、消泡剤、ジエチレングリコー
ル等の潤滑剤、防腐剤、増粘剤、帯電防止剤、マット剤
等の公知の各種添加剤を含有させることができる。
【0074】上記インク吸収層の乾燥膜厚は20〜60
μmであり、特に25〜55μmが好ましい。インク吸
収層は単層からなってもいてもよく、2層以上のインク
吸収層からなっていても良い。上記インク吸収層は支持
体の片面のみに設けても良いが、両面に設けても良い。
この時両面に設けられるインク吸収層は同じの物でも良
く、又異なっていても良い。
【0075】支持体上にインク吸収層を塗布するに当た
っては、表面と塗布層との間の接着強度を大きくする等
の目的で、支持体に予めコロナ放電処理を施したり、ゼ
ラチンやポリビニルアルコールなどの親水性ポリマーあ
るいはアクリル系ラテックスエマルジョンなどのラテッ
クス下引き処理等を行うことが好ましい。
【0076】本発明の記録用紙が片面にのみインク吸収
層を有する場合、インク吸収層を有する側と反対側には
カール防止やインクジェット記録直後に重ね合わせた際
のくっつきやインク転写を防止するために種々のバック
層を設けることができる。バック層の構成は支持体の種
類や厚み、表側の構成や厚みによっても変わるが一般に
は親水性バインダーや疎水性バインダーが用いられる。
バック層の厚みは通常は0.1〜10μmの範囲であ
る。
【0077】又、バック層には他の記録用紙とのくっつ
き防止、筆記性改良、さらにはインクジェット記録装置
内での搬送性改良のために表面を粗面化できる。この目
的で好ましく用いられるのは粒径が2〜20μmの有機
又は無機の微粒子である。これらのバック層は予め設け
ていても良く、本発明の塗布組成物を塗布した後に設け
てもよい。
【0078】インク吸収層の塗布方式としては、ロール
コーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイ
フコーティング法、スプレーコーティング法、カーテン
塗布方法あるいは米国特許第2,681,294号記載
のホッパーを使用するエクストルージョンコート法が好
ましく用いられる。
【0079】インク吸収層を形成する塗布液を帯状の支
持体上に塗布した後、乾燥後にロール状に巻き取られて
記録用紙を得る。
【0080】乾燥は、概ね0〜150℃の範囲で乾燥す
ることが好ましい。特に基材の紙をPEで被覆した支持
体である場合、90℃を越えるとPEが軟化して塗布乾
燥時の搬送を困難にしたり記録層表面の光沢にムラが出
たりするので90℃以下で乾燥するのが好ましい。特に
好ましい乾燥温度は20〜70℃である。上記のように
して乾燥して得られた記録用紙はロール状又はシート状
に切断してから包装される。本発明の記録用紙は切断前
あるいは切断以降の任意の段階で、30℃以上で1日以
上加熱処理することによりインク吸収速度を向上させる
ことができる。
【0081】次に本発明の記録用紙にインクジェット記
録する方法について説明する。本発明のインクジェット
記録の方式は、オンデマンド方式でもコンティニュアス
方式のいずれでもよい。又、インクの吐出方式は電気−
機械変換方式(例えばシングルキャビティー方式、ダブ
ルキャビティー方式、ベンダー型、ピストン型など)、
電気−熱変換方式(例えばサーマルインクジェット方
式、バブルジェット方式など)、静電吸引方式(例えば
電界制御型、スリットジェット型など)、および放電方
式(たとえばスパーク方式など)が使用できる。
【0082】本発明に用いられるインクは水性インクが
画像品質の面から特に好ましい。この水性インクは、着
色剤及び液媒体、その他の添加剤から構成されており、
着色剤としてはインクジェットで公知及び一般の直接染
料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料あるいは食品用
色素等の水溶性染料あるいは水分散性顔料が使用でき
る。例えば特開平11−116833号、同10−07
7427号、同10−060336号、同07−258
982号に記載の直接染料、特開平11−315237
号、同11−315229号、同11−302985号
に記載の酸性染料、特開平09−316380号、同0
7−314880号に記載の塩基性染料、特開2000
−085236号、特開平11−148035号、同0
9−067783号、同09−0311866号、同0
8−333539号に記載の反応性染料、特開2000
−204306号、同2000−204303号、同2
000−177242号、同2000−038529号
に記載の水溶性染料、特開平10−036729号に記
載の水分散性顔料が挙げられる。インク中の上記着色剤
の含有量はインク全量に対して質量%で概ね0.1〜2
0%である。
【0083】水性インクの液媒体は水及び水混和性の溶
媒から形成され、水混和性の各種有機溶剤としては、例
えば、メチルアルコール、イソプロピルアルコール、n
−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イ
ソブチルアルコール等のアルコール類;ジメチルホルム
アミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセト
ン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトンアルコ
ール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル
類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコー
ル等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリ
エチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオー
ル、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチ
レングリコール、グリセリン、トリエタノールアミン等
の多価アルコール類;エチレングリコールメチルエーテ
ル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル)エーテ
ル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等の多
価アルコールの低級アルキルエーテル類等が挙げられ
る。
【0084】これらの多くの水溶性有機溶剤の中でも、
ジエチレングリコール、トリエタノールアミンやグリセ
リン等の多価アルコール類、トリエチレングリコールモ
ノブチルエーテルの多価アルコールの低級アルキルエー
テル等は好ましいものである。インク中の上記水混和性
の有機溶媒の含有量はインク全量に対して質量%で概ね
10〜60%である。
【0085】その他の水性インクの添加剤としては、例
えばpH調節剤、金属封鎖剤、防カビ剤、粘度調整剤、
表面張力調整剤、湿潤剤、界面活性剤、及び防錆剤、等
が挙げられる。
【0086】水性インク液は記録用紙に対する濡れ性が
良好にするために、20℃において、25〜60×10
-3N/m、好ましくは30〜50×10-3N/mの範囲
内の表面張力を有するのが好ましい。
【0087】次にインクジェット記録後、高沸点有機溶
媒で処理する方法に付き説明する。本発明において処理
するとは、高沸点有機溶媒をインク吸収層へ付与するこ
とを意味する。
【0088】本発明に用いられる高沸点有機溶媒として
は沸点が200℃以上、溶媒の融点は40℃以下が好ま
しい。融点が40℃を越えるとインク吸収層中で結晶化
する傾向があり、この場合、光沢度の低下が生じ、又本
発明の効果も低減する。
【0089】一方、高沸点有機溶媒には疎水性又は親水
性高沸点有機溶媒が用いられるが、水混和性の有機溶媒
の場合に一般に吸湿性が高まり画像の滲みの改良効果が
小さくなる。好ましい高沸点有機溶媒は20℃で水に対
する溶解度が質量%で0〜1%、特に好ましくは0〜
0.2%の疎水性の高沸点有機溶媒である。
【0090】以下に好ましく用いられる疎水性の高沸点
有機溶媒の具体例としては、例えば、ジメチルフタレー
ト、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−
(2−エチルへキシル)フタレート、ジノニルフタレー
ト、ジイソデシルフタレート、トリ(2−エチルヘキシ
ル)ホスフェート、トリクレジルホスフェート、ジトリ
デシルフタレート、ジアリルフタレート、N,N−ジエ
チルラウリルアミド、エチレングリコールジステアレー
ト、グリセロールトリブチレート、ジエチレングリコー
ルモノブチルエーテルアセテート、ステアリン酸ブチ
ル、ステアリン酸へキシル、セバチン酸ビス(2−エチ
ルヘキシル)、流動パラフィン、塩素化パラフィン、シ
リコンオイル、ジイソデシルエーテル、ジベンジルエー
テル、トリエチレングリコールジブチルエーテル、室温
で液状の紫外線吸収剤や酸化防止剤、或いは天然の油脂
等を挙げることができる。
【0091】高沸点有機溶媒は単独で使用しても、2種
以上を併用することもできる。又、2種以上の高沸点有
機溶媒を併用する場合、それらを混合した状態で液状で
あれば本発明で使用することができる。すなわち、少な
くとも1種類の有機化合物が液状であり、もう1種類の
有機化合物が20℃で固体であった場合でも混合された
状態で液状である場合、更には各々が室温で単独では固
体であっても混合した状態で20℃で液状になるものも
含まれる。後者の例としては、長鎖の脂肪族基を有する
化合物であり脂肪族基の炭素原子数が異なる化合物の混
合物、或いは異性体の混合物などの場合に各々が単独で
固体であるが混合した状態で液状になる場合がある。本
発明の高沸点有機溶媒はかかる混合物も含むものであ
る。
【0092】上記高沸点有機溶媒で処理する場合、高沸
点有機溶媒を単独で処理しても、或いは退色防止剤、紫
外線吸収剤、界面活性剤、防黴剤、増粘剤、硬膜剤など
を溶解又は分散した溶液で処理することもできる。
【0093】又蒸発性の高い低沸点有機溶媒を一部併用
することができるが、この場合使用する低沸点有機溶媒
は質量比で高沸点有機溶媒に対して、概ね50%以下が
好ましい。そのような低沸点有機溶媒としては、メタノ
ール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、メチ
ルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等を挙げるこ
とができる。
【0094】高沸点有機溶媒の記録用紙のインク吸収層
へ付与する量は、インク吸収層が有する空隙の50〜1
00%が好ましい。100%を越える場合には、インク
吸収層表面にべとつきを生じやすくなり、又、50%未
満の場合には本発明の効果が得にくくなる。特に好まし
い量は70〜100%である。
【0095】高沸点有機溶媒をインクジェット記録され
たインク吸収層に付与する時期は、インクジェット記録
された以降であればいかなる時期でも良いが、インクが
含有する蒸発性のある水や低沸点有機溶媒をある程度蒸
発させた後に行わせるのことが好ましい。より具体的に
は、インクジェット記録した後の高沸点有機溶媒の付与
するまでの時間は、プリントする環境温度や湿度、或い
はプリント後の乾燥設備の有無等により変化するが、蒸
発性の有機溶媒や水の残存量がインク吸収層の空隙容量
の50%以下になった状態で付与されることが好まし
い。空隙容量の50%を越える段階で高沸点有機溶媒を
付与すると高沸点有機溶媒が溢れて斑になりやすい。
【0096】好ましくは空隙容量の20%以下になった
後に高沸点有機溶媒が付与される。ここで空隙容量は、
インク吸収層が含有する空隙容量であるが、実験上は、
J.TAPPI紙パルプ試験方法No−51の紙および
板紙の液体吸収性試験方法(ブリストー法)に記載され
た、接触時間2秒の高沸点有機溶媒の液体転移量として
求められる。
【0097】本発明の高沸点有機溶媒による記録用紙の
処理方法は特に限定されず、公知の方法を適用すること
ができる。例えば高沸点有機溶媒液中への浸漬(ディッ
プ塗布)、スプレー塗布、およびロールコーター、ブレ
ードコーター塗布、バーコーターあるいはグラビアコー
ター等による塗布方法等を用いることができる。この際
必要に応じてスクイーズローラなどによる掻き取りを行
って記録用紙の表および又は裏に付着した余分の高沸点
溶媒を除くことが好ましい。又、インクジェット記録と
同時にヘッドから高沸点有機溶媒を吐出する方法でもか
まわない。
【0098】又、高沸点有機溶媒を付与した後、必要に
応じて記録用紙を30〜100℃に加熱したり、0.9
8〜98×104Paで加圧することもできる。
【0099】
【実施例】以下に本発明の実施例を挙げて説明するが、
本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0100】実施例1 含水率が6.5質量%の坪量200g/m2の紙基材の
裏側にHDPEとLDPEの混合物からなる密度が0.
943のPEで塗布膜厚が31μmになるように溶融押
し出し法で被覆し、表側をHDPEとLDPEの混合物
からなる密度が0.930のPEで溶融押し出し法によ
り塗布膜厚が28μmになるように被覆した。表側のP
E層にはアナターゼ型酸化チタン6質量%、着色剤とし
てウルトラマリンブルーとコバルトバイオレットを含有
している。
【0101】裏側に1g/m2のアクリル酸エステル/
スチレン共重合体ラテックスと0.1g/m2のシリカ
系マット剤をバック層として塗布し、表側にコロナ放電
を行い硬膜剤として2,4−ジクロロ−6−ヒドロキ−
sトリアジンナトリウムでゼラチン1g当たり5mg添
加したゼラチン下引き層を0.03g/m2を塗布し
た。
【0102】この支持体の表裏の特性を表1に示す。
【0103】
【表1】
【0104】ゼラチン下引き層の上に、以下の組成の塗
布液を湿潤膜厚が180μmになるようにスライドホッ
パー方式で塗布し、乾燥膜厚が40μmのインク吸収層
を設けて記録用紙−1を得た。
【0105】 塗布液組成(1L当たり): 気相法により合成されたシリカ(トクヤマ製QS−20) 90g カチオン性ポリマー P−13 8g ポリビニルアルコール(平均重合度3500、ケンカ度88%)10g ポリビニルアルコール(平均重合度4500、ケンカ度88%) 5g ホウ酸 0.8g ほう砂 0.4g サポニン 0.10g ベタイン型フッ素系界面活性剤 FS−1 0.02g
【0106】
【化9】
【0107】尚、塗布液の調整は、シリカ粉末を純水に
分散した後、カチオン性ポリマー水溶液、ホウ酸とほう
砂、ポリビニルアルコールの2種を混合した水溶液、サ
ポニンとFS−1を順次添加混合し塗布液とした。
【0108】塗布は40℃で行い、塗布後、一旦5℃に
10秒間冷却した後、20℃の風で20秒間、65℃の
風で1分間、50℃の風で1分間、40℃の風で1分間
乾燥した。乾燥は塗膜面が乾燥前は非接触ループ乾燥方
式で行った。
【0109】この記録用紙はブリストー法による測定の
結果、空隙容量は25ml/m2であった。
【0110】次にこの記録用紙にセイコーエプソン株式
会社製のインクジェットプリンターPM−800Cで評
価試料を得た。得られた評価試料を1昼夜完全に乾燥し
た後、スプレー塗布により表2に示す高沸点有機溶媒を
50℃に加温し記録用紙のインク吸収層面側に吹き付け
塗布を行った。
【0111】高沸点有機溶媒はインク吸収層面から完全
に溢れるまで行った後、表面に付着している余分の溶媒
をスクイーズローラで除去した。得られた記録用紙の表
面を乾いたスポンジで更にふき取った。得られた試料に
ついて以下の評価を行った。 (1)光沢度 未インクジェット記録部分のJIS−Z8741に規定
される60度鏡面光沢度を測定した。 (2)画像の滲み マゼンタベタ背景に幅が0.5mmも黒の線をしたもの
を40℃、相対湿度80%で1週間保存したときの線幅
の増加幅を求めた。 (3)退色性 シアンのウェッジ画像をインクジェット記録し、外気を
連続的にインク吸収層表面に2週間連続して吹き付け、
初期濃度が1.0の濃度の残存濃度を求め、得られた結
果を表2に示す。
【0112】
【表2】
【0113】DMF:N,N,−ジメチルホルムアミド EG :エチレングリコール DEG :ジエチレングリコール GLY :グリセリン DEP :フタル酸ジエチル DOP :フタル酸ジ−(2−エチルヘキシル) LP :流動パラフィン SBB :セバチン酸ジブチレート SOIL :シリコンオイル ODA :1−オクタデカノール(プロパノールに溶解
して塗布) DOPの沸点は290℃/50×133kPa、SBB
の沸点は227℃/17×133kPaであった。以下
の実施例では表2と同じ高沸点有機溶剤であるため説明
は省略する。
【0114】表2に示す結果から、沸点が200℃以上
であり融点が40℃以下である高沸点有機溶媒を使用し
た本発明の試料4〜10はいずれも光沢度、画像の滲
み、退色のいずれも改良される。中でも疎水性の高沸点
有機溶媒を用いた試料106〜110の画像の滲みと退
色防止効果が優れている。
【0115】これに対して、沸点が200℃未満の高沸
点有機溶媒を使用した試料102,103では画像の滲
みや退色の防止効果が小さいことがわかる。又、融点が
61℃の高沸点有機溶媒を使用した111では光沢度が
低下し、画像の滲みや退色防止効果が小さい。
【0116】実施例2 実施例1の記録用紙−1を作製するに使用した塗布液に
おいて、カチオン性ポリマーを除去した以外は実施例1
と同様にしてカチオン性ポリマーを含まない記録用紙−
2を作製した。この記録用紙−2を使用した以外は、実
施例1と全く同じ処理を行い表3に示す試料を作製し、
実施例1と同様に評価を行い、結果を表3に示す。
【0117】
【表3】
【0118】表3に示す結果から、カチオン性ポリマー
を使用しない場合には高沸点有機溶媒を付与しても画像
の滲み改良効果が殆ど得られないことがわかる。
【0119】実施例3 実施例2で使用した記録用紙−2にカチオン性定着剤と
して塩基性ポリ水酸化アルミニウムを記録用紙1m2
たり1.0gになるように水溶液としてオーバーコート
・乾燥して記録用紙−3を作製した。この記録用紙−3
を使用した以外は、実施例1と全く同じ処理を行い表4
に示す試料を作製し、実施例1と同様に評価を行い、結
果を表4に示す。
【0120】
【表4】
【0121】カチオン性定着剤をカチオン性ポリマーか
ら、水溶性アルミニウム塩に変更しても本発明の試料3
04〜310では画像の滲み防止と退色防止効果が得ら
れることがわかる。
【0122】実施例4 実施例1において、支持体をPEで両面を被覆した紙支
持体から坪量200g/m2の紙支持体に変更した以外
は記録用紙−1と同様にして記録用紙−4を作製した。
この記録用紙−4を使用した以外は、実施例1と全く同
じ処理を行い表5に示す試料を作製し、実施例1と同様
に評価を行い、結果を表5に示す。
【0123】
【表5】
【0124】表5の結果から、支持体を多孔質の紙支持
体にした場合、画像の滲みが元々良いレベルであり、本
発明の高沸点有機溶媒の添加で幾分かは改善されるが支
持体が非多孔質の場合に比べて改良効果は小さい。又、
退色防止効果も同様である。
【0125】
【発明の効果】本発明によれば、画像の滲みや退色性を
改良したインクジェット記録用紙、インクジェット記録
方法及びインクジェット記録体を提供することができ
た。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上にカチオン性定着剤を含有する
    多孔質インク吸収層を有するインクジェット記録用紙で
    あって、インクジェット射出後に沸点が常圧で200℃
    以上の高沸点有機溶媒で処理して用いることを特徴とす
    るインクジェット記録用紙。
  2. 【請求項2】 支持体上にカチオン性定着剤を含有する
    多孔質インク吸収層を有するインクジェット記録用紙を
    用い、インクジェット射出後に沸点が常圧で200℃以
    上の高沸点有機溶媒で処理することを特徴とするインク
    ジェット記録方法。
  3. 【請求項3】 支持体上にカチオン性定着剤を含有する
    多孔質インク吸収層を有するインクジェット記録用紙を
    用い、インクジェット射出後に沸点が常圧で200℃以
    上の高沸点有機溶媒で処理し、前記高沸点有機溶媒を含
    有せしめたことを特徴とするインクジェット記録体。
  4. 【請求項4】 高沸点有機溶媒が疎水性高沸点有機溶媒
    であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェッ
    ト記録用紙。
  5. 【請求項5】 高沸点有機溶媒が疎水性高沸点有機溶媒
    であることを特徴とする請求項2に記載のインクジェッ
    ト記録方法
  6. 【請求項6】 高沸点有機溶媒が疎水性高沸点有機溶媒
    であることを特徴とする請求項3に記載のインクジェッ
    ト記録体。
  7. 【請求項7】 多孔質インク吸収層が平均粒径が0.2
    μm以下の無機微粒子を含有することを特徴とする請求
    項1に記載のインクジェット記録用紙。
  8. 【請求項8】 多孔質インク吸収層が平均粒径が0.2
    μm以下の無機微粒子を含有することを特徴とする請求
    項2に記載のインクジェット記録方法。
  9. 【請求項9】 多孔質インク吸収層が平均粒径が0.2
    μm以下の無機微粒子を含有することを特徴とする請求
    項3に記載のインクジェット記録体。
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