JP2001296699A - 電子写真用トナー - Google Patents

電子写真用トナー

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JP2001296699A
JP2001296699A JP2000116015A JP2000116015A JP2001296699A JP 2001296699 A JP2001296699 A JP 2001296699A JP 2000116015 A JP2000116015 A JP 2000116015A JP 2000116015 A JP2000116015 A JP 2000116015A JP 2001296699 A JP2001296699 A JP 2001296699A
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JP
Japan
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wax
toner
amylopectin
ethyl
melting point
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Pending
Application number
JP2000116015A
Other languages
English (en)
Inventor
Kunihiko Tomita
邦彦 富田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
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Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 バインダー樹脂の融点より低い温度で定着可
能であり、省エネルギーが可能となる電子写真用トナー
を提供する。 【解決手段】 アミロペクチンの構成要素であるD−グ
ルコースのアルコール性水酸基をエチルエーテル化した
エチルアミロペクチンをバインダーとして使用したこと
を特徴とする電子写真用トナー。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複写機やファクシ
ミリ、プリンター等に用いられている電子写真用トナー
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、トナーを定着するには熱定着が多
く使われている。定着の原理としては一般に熱定着の場
合、定着されるトナーなどは定着機の熱により軟化或い
は溶融していなければならず、更にこの軟化或いは溶融
したトナーが定着機から圧力を受けて紙の繊維中へめり
込んだり、また、軟化或いは溶融したトナーの表面は粘
着性がでているのでその粘着力で接着する。従って、ト
ナーに使用する樹脂の融点或いは軟化点は定着機の温度
以下である必要がある。
【0003】しかし、近年地球環境の保全のために省エ
ネルギーの要求が高まっており、定着機で消費できるエ
ネルギーが制限されつつある。実際定着エネルギーを下
げるためには定着機の温度を下げるしかなく、このよう
に定着エネルギーを下げた定着機に対応したトナーの樹
脂は必然的に低融点にならざるを得ない。しかし、この
ように融点を下げた樹脂は柔らかくなりやすく、トナー
に加工した後簡単にブロック化したり、表面に粘着性が
あるためにトナー中の外添剤との相互作用が経時で変化
し特性変化が起こったり保存性の面で問題がある。ま
た、現像機内部に於いても同様にトナーが柔らかく粘着
性があるために、キャリアにトナーがスペントしたり、
現像ローラにトナーがフィルミングしたり、あるいは現
像ブレードにトナーが固着したりする問題がある。更に
は、印刷した後の画像についても環境の変化によって、
被印刷紙同士がブロッキングをおこしたりしやすいとい
う問題があった。そのほかに、トナーの加工上の問題も
あり、従来の樹脂で低融点化を図ると樹脂が柔らか過ぎ
る為に、粉砕工程に於いてトナーが粉砕しにくいという
問題や、粉砕機内に張り付いてしまうという問題もあ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の如き
問題点を解決したトナー、すなわち、 a:従来に比べ定着温度を下げることによる省エネルギ
ー化を図る、 b:従来の低融点樹脂を使用したトナーに比べ保存性を
良好にする、 c:従来の低融点樹脂を使用したトナーに比べ外添剤と
の相互作用に経時変化を起こさない、 d:従来の低融点樹脂を使用したトナーに比べトナース
ペント、フィルミング、固着を生じない、 e:従来の低融点樹脂を使用したトナーに比べ被印刷物
の保存性を良好にする、 f:従来の低融点樹脂を使用したトナーに比べ良好な粉
砕加工性を得る、 等の特性を有する電子写真用トナーを提供することをそ
の課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するため種々検討した結果、トナーの定着の最低温
度より高い融点のバインダー樹脂と前記トナーの定着の
最低温度より低い融点のワックスを使用し、ワックスの
融点以上の温度において該ワックスが液状状態で前記バ
インダー樹脂の溶剤あるいは可塑剤として機能すること
により、前記バインダー樹脂がワックスにより分子レベ
ルで溶解し、樹脂を軟化あるいは溶解させることによ
り、前記バインダー樹脂の融点より低い温度でトナーの
定着できることを見い出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0006】本発明では、前記のようなトナー系を採用
することにより、実際にバインダー樹脂として使用する
樹脂の融点よりはるかに低いワックスの融点近傍の温度
でトナーの定着が可能となり省エネルギー化ができた。
さらに、本発明では、前記のようなトナー系を採用する
ことにより、融点の高いバインダー樹脂、特にエチルア
ミロペクチンを使用しても低温での定着が可能なトナー
を得ることができた。
【0007】従来からトナーの樹脂中にワックスを分散
して使用する方法は公知である。これは定着ローラにト
ナーがつかないようトナー中の樹脂にワックスを分散し
て、定着する時にこの分散されたワックスが染み出して
トナーと定着ローラとの離型性を良くする方法がとられ
ている。しかし、従来使用されている樹脂はワックスに
よる溶解性がなくそのために樹脂自身を溶解や軟化させ
ることはできない。
【0008】これに対して本発明においてバインダー樹
脂として用いるエチルアミロペクチンは、ワックスの融
点以上の温度において液状状態のワックスに溶解或いは
可塑化されるので従来のバインダー樹脂とは明らかに異
なる効果を奏するものである。
【0009】なお、本発明における樹脂の融点とはフロ
ーテスター法による軟化点を指し、また、本発明におけ
るワックスの融点とはワックスの結晶が殆どアモルファ
ス化し透明になる点を指し、いわゆるDSC法における
Tgや吸熱のトップピークとは異なる概念の融点を指す
ものである。
【0010】以下、前記のような知見に基づいて到達す
ることが出来た本発明の課題解決手段を示す。また、以
下の本発明において採用する高融点のバインダー樹脂と
して、アミロペクチンを例に挙げて説明するが、本発明
において採用できる高融点のバインダー樹脂はアミロペ
クチンに限定されるものではない。
【0011】本発明の第1は、アミロペクチンの構成要
素であるD−グルコースのアルコール性水酸基をエチル
エーテル化したエチルアミロペクチンをバインダーとし
て使用したことを特徴とする電子写真用トナーにある。
本発明の第2は、エチルアミロペクチンとワックスを混
合することによりエチルアミロペクチンの融点以下で定
着可能であることを特徴とする前記第1の電子写真用ト
ナーにある。本発明の第3は、エチルアミロペクチンを
ワックス中に、ワックスの融点以上の温度でワックスを
溶剤として溶解させたものであることを特徴とする前記
第1又は第2の電子写真用トナーにある。
【0012】本発明の第4は、エチルアミロペクチンが
バインダーの全重量の10wt%以上であることを特徴
とする前記第1〜第4の電子写真用トナーにある。本発
明の第5は、エチルアミロペクチンに対するワックスの
組成比が97:3〜5:95であることを特徴とする前
記第1〜第4の電子写真用トナーにある。本発明の第6
は、ワックスの融点がエチルアミロペクチンの融点より
低いことを特徴とする前記第1〜第5の電子写真用トナ
ーにある。
【0013】本発明の第7は、ワックスの溶融粘度が1
50℃において1〜1,000,0000 cpois
eであることを特徴とする前記第1〜第6の電子写真用
トナーにある。本発明の第8は、エチルアミロペクチン
の平均分子量が104〜108であることを特徴とする前
記第1〜第7の電子写真用トナーにある。本発明の第9
は、エチルアミロペクチンのエトキシル置換度が平均で
1〜3であることを特徴とする前記第1〜第7の電子写
真用トナーにある。
【0014】本発明の第10は、ワックスの25℃にお
ける針入度が0〜20であることを特徴とする前記第1
〜第9の電子写真用トナーにある。本発明の第11は、
ワックスがパラフィン、マイクロクリスタリン、オレフ
ィン及びこれらの酸化ワックスよりなる群から選ばれた
少なくとも一種であることを特徴とする前記第1〜第1
0の電子写真用トナーにある。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の電子写真用トナー
をさらに詳細に説明する。本発明のトナーにおいては、
そのメインバインダーとして融点が高く保存性や耐スペ
ント、耐フィルミング、耐固着性の良いエチルアミロペ
クチンを使用し、これをワックスで溶解したものを固化
させトナーとするものである。従って、このトナーを熱
定着にかけた時ワックスの融点以上の温度でエチルアミ
ロペクチンがワックスにより溶解しエチルアミロペクチ
ンの融点に温度が達しなくともエチルアミロペクチンが
軟化、あるいは溶解し定着性能が発現する。なお、エチ
ルアミロペクチン自体の融点は高いので樹脂が柔らかす
ぎるということはなく、良好な粉砕性も得られる。
【0016】本発明において、エチルアミロペクチンと
従来の樹脂とを混合して使用する場合、前記第4のよう
にバインダー構成比で少なくとも樹脂全体中のエチルア
ミロペクチン含有量が10wt%以上であることが好ま
しい。エチルアミロペクチンの含有量が、バインダー全
重量の10wt%より少ない処方量では従来の樹脂と混
合されたトナーの融点を充分に下げることができず、定
着不良をおこしてしまう。
【0017】また、エチルアミロペクチンに対するワッ
クスの組成比については、ワックスの処方量が多ければ
多い程、エチルアミロペクチンの溶解粘度は低下する
が、エチルアミロペクチン処方量が減少するとワックス
が他の樹脂を溶解することはなく樹脂と交じることもな
いので、樹脂とワックスが分離してしまいトナー化が難
しい。エチルアミロペクチンの処方量が多くワックスが
少ないと、エチルアミロペクチンがワックスに溶解して
も溶解粘度が高すぎて定着性能がでない。
【0018】そこで、本発明者はエチルアミロペクチン
に対するワックスの組成比について鋭意検討した結果、
エチルアミロペクチンとワックスの組成比は、前記第5
で記載したように両者の組成比が97:3〜5:95が
であれば良好な定着性能がでることが明らかとなった。
しかし実使用上はオフィスのような空調の効いた場所で
の定着のみとは限らず、高温、低温、高湿、低湿など色
々の定着環境が考えられ、さらにより好ましくは95:
5〜20:80、さらにより一層好ましくは90:10
〜30:70、もっと好ましくは80:20〜40:6
0である。
【0019】ワックスの融点がエチルアミロペクチンの
融点より低いものを使用しないと、エチルアミロペクチ
ンの融点以下でワックスが溶融しないので当然エチルア
ミロペクチンをワックスで溶解することはできず、トナ
ーの融点を下げることができない。したがって、ワック
スの融点は、好ましくは50℃以上130℃以下、より
好ましくは50℃以上110℃以下、さらにより一層好
ましくは50℃以上100℃以下、もっとも好ましくは
50℃以上90℃以下が望ましい。
【0020】ワックスの溶融粘度は、低ければ低い程よ
いが、1 cpoiseを切るようなワックスは知見が
なく、逆にワックスの溶融粘度が高い場合はエチルアミ
ロペクチンをワックスで溶解した場合、当然エチルアミ
ロペクチンのワックス溶液は高粘度となるので溶解粘度
が高すぎて定着不良を起こし易い。したがって、ワック
ス粘度では150℃において1〜10,000,000
cpoiseであるようなワックスが好ましいことが明
らかとなったが、実使用上はオフィスのような空調の効
いた場所での定着のみとは限らず、高温、低温、高湿、
低湿など色々の定着環境での使用が考えられので、さら
により好ましくは1〜10,000 cpoise、さ
らにより一層好ましくは1〜1,000cpoise、
余裕度を考慮すると、もっと好ましくは1〜100 c
poiseである。
【0021】本発明で用いるエチルアミロペクチンの分
子量について検討した結果、平均分子量が104〜108
であれば良好な定着品質が得られることが明らかとなっ
た。ただし、分子量が小さい場合はワックスで溶解した
時の粘度は低く、分子量が大きい場合にはワックスで溶
解した時の溶解粘度は高くなるので、分子量が小さいも
のの方が使用するワックスの量は少なくて済むが、分子
量が小さくなりすぎると、樹脂が硬くなり、トナーがも
ろく割れやすく成りすぎ、過粉砕し易い。逆に、分子量
が大きいとワックスで溶解した時の溶解粘度は高くな
り、ワックスの処方量を多くしなければならず、柔軟性
が高くなり過ぎ粉砕性が悪くなる。従って、粉砕性と定
着性をより良い方向へもっていくために、より好ましい
分子量は105〜107である。
【0022】前記分子量を決定する方法はいくつかあ
り、分子量は粘度に比例することを利用して、エチルア
ミロペクチンを溶剤に溶かしその溶液粘度で分子量を表
す方法、薬品を使った当量などで表す方法等もあるが、
その測定法で本発明が影響を受けるるものではない。ま
た、エチルアミロペクチンのエトキシル置換度について
検討した結果、該置換度が平均で1〜3であれば良好な
エチルアミロペクチンとしての性質が発揮できることが
明らかとなった。エトキシル置換度が低いとワックスに
対する溶解性が失われていき、また、アルコール性水酸
基はD−グルコピラノース構成単位中3個であるので3
が上限であるが、エトキシル置換度のより好ましい値は
平均で1.5〜3、更により一層好ましくは2以上3以
下が良い。
【0023】本発明で使用するワックスの25℃におけ
る針入度について検討した結果、ワックスの25℃にお
ける針入度が0〜20であるワックスであれば本発明に
好ましく使用できることが明らかとなった。一般にワッ
クスの針入度が高いとワックス自体の粘着性が高くなり
現像の設計上スペントやフィルミング、固着等が発生し
易くなり好ましくないので、高温環境での使用を考える
とワックスの針入度は0〜8が好ましく、より好ましく
は0〜5が望ましい。
【0024】本発明に使用できるワックスには以下のよ
うなものがある。パラフィン、マイクロクリスタリンワ
ックス、或いはこれらの酸化ワックス、モンタン酸、モ
ンタン酸エステル、カルナウバ、キャンデリラ、ライ
ス、エスパルト、カスター、木ロウ、ミツロウ、ホホ
バ、ステロール類、ケトンなどが使用できる。これらワ
ックスの種類が本発明の効果を本質的に左右するもので
はないが、本発明で使用するワックスとしては、パラフ
ィン、マイクロクリスタリン、オレフィン、あるいはこ
れらの酸化ワックスよりなる群から選ばれた少なくとも
一種を使用するのが良い。これらのワックスを使用する
ことによりエチルアミロペクチンの溶解性が高くトナー
を製造する際、短時間でエチルアミロペクチンがワック
スに溶けることが明らかとなった。これは、これらパラ
フィン、マイクロクリスタリン、オレフィン、あるいは
これらの酸化ワックスの極性が特に低くエチルアミロペ
クチンのエトキシル基とのなじみが良いことが原因と思
われる。また、前記各ワックスは単独で用いても良い
が、2種類以上を混合して用いても良い。
【0025】本発明で使用するエチルアミロペクチンの
特性をその前駆体であるアミロペクチンと対比して、さ
らに説明する。一般にアミロペクチンは分子内の水酸基
による水素結合力が非常に大きく結晶性が非常に高いた
め、熱による融解をしたりしない。また、基本的にワッ
クスに溶解する樹脂は殆どなく、本発明におけるエチル
アミロペクチンの前駆体であるアミロペクチンも当然ワ
ックスには溶解しなく、有機溶剤に対しても完全に不溶
であるという性質がある。
【0026】上述のように、アミロペクチンが根本的に
熱に対して不融であり、ワックス、各種有機溶剤に不溶
である理由は、D−グルコピラノース単位のアルコール
性水酸基自体の水素結合が強すぎて分子間の結合力が非
常に大きく結晶性が高いことにあり、このことにより分
子鎖が剛直でバラバラにほどけないことにある。また、
特にワックスに対しては水酸基自体の極性が非常に高い
ために比較的極性の低いワックスでは極性が違い過ぎて
溶解性が全く発現しない。
【0027】一般にワックスは直鎖のパラフィンや少し
分岐したマイクロクリスタリン、オレフィン、脂肪酸、
脂肪族エステル、脂肪族ケトン、アミン、アミド、アル
コール、ステロールなどがあるが、これはあくまで分子
の一部分の結合や基であり、メインとなるアルキル基の
部分が非常に長いので全体としては極性が極端に低くな
る。
【0028】これに対し、エチルアミロペクチンは、D
−グルコピラノースがα−(1→4)結合したものが、
α−(1→6)結合によって分岐した樹枝状構造をなす
と考えられるアミロペクチンをD−グルコピラノース単
位の3個のアルコール性水酸基をエトキシル基で一部あ
るいは全て置換した形状を成すものであると考えられる
が、分子内の水酸基をエトキシル基で封鎖することによ
りこの水酸基による分子間の水素結合を断ち切り結晶性
を下げることにより、アミロペクチンとは全く異なった
新しい種類の樹脂として合成されたものであり、物理的
性質及び化学的性質において明白な差異がある。例え
ば、物理的性質においては、アミロペクチンと異なり融
点をもち熱可塑性であることがあげられる。また、化学
的性質としては各種有機溶剤やワックスに対する溶解性
があげられる。これら相違点は、本来のアミロペクチン
と決定的に異なる点であり、もはや同一の系統のものと
はいえず、新規の合成樹脂の範疇に入るものである。
【0029】エチルアミロペクチンのワックスに対する
溶解性の発現の理由は、上述のようにエチルアミロペク
チンがD−グルコピラノース単位のアルコール性水酸基
が一部あるいは全てエトキシル基に置換されており、水
素結合点が少なく結晶性も下がっており、しかもこのエ
トキシル基の極性が低い為に極性の低いワックスとの親
和性が高くなりワックスに溶解することにある。
【0030】本発明で使用するエチルアミロペクチンの
製法の一例としては、下記のような化1で示される方法
が挙げられる。アミロペクチンを原料としてアルカリア
ミロペクチンを作り、加圧缶中で塩化エチルを作用させ
て熱湯で洗って乾燥する。アミロペクチンは無水グルコ
ースの連鎖からなり、各C6単位は置換可能な三つのO
H基をもつが、エチルアミロペクチンはこのOH基を塩
化エチルにより部分的あるいは完全にエーテル化する。
アミロペクチンのエチルエーテル化は下式(1)で示さ
れる置換度1の場合から、下式(2)で示される置換度
3の場合間迄の範囲内で行われる。
【0031】
【化1】 C672(OH)2ONa+ClC2→ C672(OH)2OC25+NaCl (1) C672(ONa)3+3ClC25→ C672(OC253+3NaCl (2)
【0032】本発明に使用できるバインダー樹脂のサブ
レジンとしてはつぎのようなものがあげられる。ポリス
チレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエン
などのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−
p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共
重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン
−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メ
チル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、
スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アク
リル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチ
ル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、
スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α
−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アク
リロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン
共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレンー
イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−イ
ンデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチ
レン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共
重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタク
リレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエス
テル、ポリウレタン、ポリアミド、エポキシ樹脂、ポリ
ビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性
ロジン、テルペン樹脂、脂肪族叉は脂環族炭化水素樹
脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィンなどが挙げら
れ、単独あるいは混合して使用できるが特にこれら樹脂
に限定するものではない。前記樹脂に、必要に応じてカ
ーボンブラックやカラー顔料を混練分散して使用すれば
よく、当然帯電制御剤の併用も可能である。また、粉体
化した後、トナーの流動性を調整するためにシリカ、チ
タン、ストロンチウム等の添加剤を加えても良い。
【0033】前記成分を含有する点で、本発明の構成に
類似のものに特許第2597452号掲載公報がある。
該公報には、生分解性樹脂として植物、動物由来のセル
ロース・キトサン系、プルラン・キトサン系のコポリマ
ーに植物系ワックスを添加するとある。しかし、セルロ
ース、キトサン、プルラン、セルロース・キトサンのコ
ポリマー、プルラン・キトサンのコポリマーのどれも熱
可塑性がなく、これら樹脂のみでは熱による定着は不能
であり、また先述のように、ワックスや各種有機溶剤に
不溶な系統のものである。従って、この系においてはワ
ックス中にこれら樹脂が溶解せずに顔料のように分散さ
れている状態でワックスの熱溶融性のみによって定着が
できるものである。また、上述のようにアミロペクチン
とエチルアミロペクチンは物理的及び化学的特性が全く
異なる物質である。したがって、この発明はバインダー
樹脂をワックスで完全に溶解させ、この溶解したバイン
ダー樹脂により定着、結着させるという定着機構、及び
使用しているバインダー樹脂が根本的に異なる発明であ
る。
【0034】同様に特開昭62−94853号公報があ
り、このクレームにエチルアミロペクチンは含まれる。
しかし、この発明はエチルアミロペクチンなどを他の結
着樹脂中に混合することによって樹脂の凝集力をあげる
構成となっており、本発明の様にメイン樹脂としてエチ
ルアミロペクチンを使用するものではなく、本発明の場
合はワックスによりエチルアミロペクチンを溶解させる
ため粘度の低下が生じ、逆に凝集力は下がる方向にあ
る。しかも、定着は従来の樹脂による定着なので定着温
度は高いものとなる。
【0035】これに対して、本発明はメイン樹脂として
エチルアミロペクチンを使用するものであり、また定着
性能はこのエチルアミロペクチンがワックスにより溶解
することにより、低い温度での定着が可能となってい
る。従って、本発明とは根本的に異なる別の発明であ
る。
【0036】
【実施例】以下実施例に基づいて本発明を具体的に説明
する
【0037】 実施例1 エチルアミロペクチン 78wt% サゾールH2 16wt% カーボンブラック 5wt% CCA(帯電制御剤) 1wt%
【0038】 実施例2 エチルアミロペクチン 50wt% サゾールH2 10wt% 磁性体 39wt% CCA 1wt%
【0039】 実施例3 エチルアミロペクチン 72wt% カルナウバワックス 22wt% カーボンブラック 5wt% CCA 1wt%
【0040】 実施例4 エチルアミロペクチン 72wt% モンタン酸エステル 39wt% カーボンブラック 5wt% CCA 1wt%
【0041】 実施例5 エチルアミロペクチン 78wt% 155F°パラフィン 16wt% カーボンブラック 5wt% CCA 1wt%
【0042】 実施例6 エチルアミロペクチン 74wt% ライスワックス 20wt% カーボンブラック 5wt% CCA 1wt%
【0043】 実施例7 エチルアミロペクチン 74wt% 酸化パラフィン 20wt% カーボンブラック 5wt% CCA 1wt%
【0044】 実施例8 エチルアミロペクチン 94wt% カーボンブラック 5wt% CCA 1wt%
【0045】 実施例9 エチルアミロペクチン 74wt% 酸化パラフィン 20wt% シアン 5wt% CCA 1wt%
【0046】 実施例10 エチルアミロペクチン 72wt% カルナウバ 22wt% イエロー 5wt% CCA 1wt%
【0047】 実施例11 エチルアミロペクチン 42wt% 高融点ポリエステル(融点155℃) 30wt% カルナウバ 22wt% カーボンブラック 5wt% CCA 1wt%
【0048】 実施例12 高融点ポリエステル(融点155℃) 94wt% カーボンブラック 5wt% CCA 1wt%
【0049】 実施例13 低融点ポリエステル(融点94℃) 94wt% カーボンブラック 5wt% CCA 1wt%
【0050】 実施例14 高融点ポリエステル(155℃) 78wt% サゾールH2 16wt% カーボン 5wt% CCA 1wt%
【0051】上記実施例1〜13について3本ロールに
て5回混練し冷却後粉砕し外添剤としてシリカをトナー
100部に対して1部加え混合し最終的なトナーとし
た。実施例14についてはワックスと樹脂が分離してト
ナー化ができなかった。
【0052】これらのトナーを用い実際に定着機の温度
を変えて実験を行った所、下表1の結果が得られた。ま
た、ワックスが入っている処方は定着ローラにオイルを
塗布する必要はないが、条件を統一する意味ですべての
トナーについてローラにオイル塗布を行った。
【0053】
【表1】
【0054】エチルアミロペクチンのみの場合と高融点
ポリエステル(155℃)のみの場合では160℃以上
の温度をかけないと定着せず、他のワックスと用いた系
では60〜80℃定着温度を下げることができた。
【0055】上記トナーを用いて保存性テストを行った
ところ、下表2の結果が得られた。(保存環境40℃2
週間)
【0056】
【表2】
【0057】○印は変化がないことを表す 帯電量は一成分現像のスリーブ上の帯電量を表す。OP
C地肌汚れはOPC上に付着したトナーを透明な粘着テ
ープでとり白い紙の上に張り付けてマクベス反射濃度計
により濃度ID1を測定し、更にトナーのついていない
透明な粘着テープを白い紙の上に張り付けその濃度ID
2を測定したものの差であり数値が小さい程汚れが少な
い。ΔID=ID1−ID2以上の結果より、エチルア
ミロペクチンとワックスで低融点化を図ったものの保存
性や特性に変化がないことが分かる。また、通常の高融
点ポリエステルについても保存性に問題はなく、特性に
ついてはやや変化があるものの問題にならないレベルで
ある。しかし、低融点ポリエステルを使用したものは保
存テストで完全に固化していまい、特性を測ることすら
できない。
【0058】トナーのランニング後の経時変化(画像出
し2000枚後) 画像出しは一成分現像で行い帯電量はスリーブ上のトナ
ーの帯電量である。
【0059】
【表3】
【0060】上記結果よりエチルアミロペクチン単独か
あるいはエチルアミロペクチンとワックスの組み合わせ
の場合、帯電量の変化が殆どなく、地肌汚れも殆ど変化
していない。エチルアミロペクチンと高融点ポリエステ
ルの組み合わせでは僅かに帯電量の変化と地肌汚れの劣
化が見られるが、問題とならないレベルである。高融点
ポリエステル単独の場合、帯電量の低下と地肌汚れの増
加があるが、使用できないレベルではない。低融点ポリ
エステル単独では大幅な帯電量低下と地肌汚れの劣化が
起こり、使えないレベルである。
【0061】また、作像系におけるテストを行った。ト
ナースペントについては2成分現像、現像ローラフィル
ミングと現像ブレード固着については1成分現像にてテ
ストを行い、1成分、2成分現像とも2000枚の画像
を出した後評価した。
【0062】
【表4】
【0063】エチルアミロペクチンやエチルアミロペク
チンとワックスの組み合わせの系では初期品質と殆ど変
化がなかった。エチルアミロペクチンと高融点ポリエス
テルの組み合わせでは現像ローラフィルミングがわずか
に発生しているが画像上全く問題にならない。高融点ポ
リエステルのみの場合2成分現像ではキャリアへのトナ
ースペント、1成分現像では現像ローラフィルミング、
現像ブレードへのトナー固着がやや見られるが、問題と
なるレベルではなく従来からの性能である。低融点ポリ
エステルの場合2成分現像におけるトナースペント、1
成分現像における現像ローラフィルミング、現像ブレー
ドへのトナー固着とも激しいトナーの付着がみられる。
この時画像上では画像濃度ムラ、転写紙の地肌汚れ、画
像の縦白スジなどさまざまな異常画像の発生が見られ画
像品質の上からもこの系は使用できない。
【0064】次に、被印刷物の保存性であるが、片面印
刷と両面印刷両方の場合に分けてテストした。
【0065】
【表5】
【0066】以上より実施例13の低融点ポリエステル
を使用した場合のみ転写紙の汚染やブロック化が起こり
使用できない。また、トナー化する際の粉砕工程につい
ての評価を行った。以下は一定量のトナーが所望の粒径
のトナーとして出来上がるまでの時間と付着状況の評価
である。
【0067】
【表6】
【0068】以上のように実施例1〜12迄はほぼ工程
上問題ないといえる。しかし、実施例13の低融点ポリ
エステルを使用した系では粉砕時間が通常の二倍以上か
かり、かつ粉砕室内のトナー付着が激しく粉砕中に粉砕
条件が変化してしまう。従って、低融点ポリエステルの
系ではトナー加工上大きな問題があると言える。
【0069】
【発明の効果】(1)エチルアミロペクチンの融点より
低い温度で定着が可能となり、省エネルギーが可能とな
ったトナーが提供される。 (2)低融点トナーであってもエチルアミロペクチン自
体の融点は高いので保存性が良好になったトナーが提供
される。 (3)エチルアミロペクチンは硬い樹脂なので、外添剤
がトナーにめり込んだり、低分子の樹脂による外添剤の
汚染がなく特性変化を最小限に抑えることができたトナ
ーが提供される。 (4)硬く粘着性のないエチルアミロペクチンを使用す
ることにより、トナースペント、フィルミング、固着等
を防止できたトナーが提供される。 (5)融点が高く、硬く粘着性のないエチルアミロペク
チンを使用することにより、被印刷物がブロック化しな
いトナーが提供される。 (6)低融点トナーでありながら使用しているエチルア
ミロペクチンが柔らか過ぎず適度に硬いので良好に粉砕
することができたトナーが提供される。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アミロペクチンの構成要素であるD−グ
    ルコースのアルコール性水酸基をエチルエーテル化した
    エチルアミロペクチンをバインダーとして使用したこと
    を特徴とする電子写真用トナー。
  2. 【請求項2】 エチルアミロペクチンとワックスを混合
    することによりエチルアミロペクチンの融点以下で定着
    可能であることを特徴とする請求項1記載の電子写真用
    トナー。
  3. 【請求項3】 エチルアミロペクチンをワックス中に、
    ワックスの融点以上の温度でワックスを溶剤として溶解
    させたものであることを特徴とする請求項1又は2記載
    の電子写真用トナー。
  4. 【請求項4】 エチルアミロペクチンがバインダーの全
    重量の10wt%以上であることを特徴とする請求項1
    〜3のいずれかに記載の電子写真用トナー。
  5. 【請求項5】 エチルアミロペクチンに対するワックス
    の組成比が97:3〜5:95であることを特徴とする
    請求項1〜4のいずれかに記載の電子写真用トナー。
  6. 【請求項6】 ワックスの融点がエチルアミロペクチン
    の融点より低いことを特徴とする請求項1〜5のいずれ
    かに記載の電子写真用トナー。
  7. 【請求項7】 ワックスの溶融粘度が150℃において
    1〜1,000,0000 cpoiseであることを
    特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の電子写真用
    トナー。
  8. 【請求項8】 エチルアミロペクチンの平均分子量が1
    4〜108であることを特徴とする請求項1〜7のいず
    れかに記載の電子写真用トナー。
  9. 【請求項9】 エチルアミロペクチンのエトキシル置換
    度が平均で1〜3であることを特徴とする請求項1〜8
    のいずれかに記載の電子写真用トナー。
  10. 【請求項10】 ワックスの25℃における針入度が0
    〜20であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか
    に記載の電子写真用トナー。
  11. 【請求項11】 ワックスがパラフィン、マイクロクリ
    スタリン、オレフィン及びこれらの酸化ワックスよりな
    る群から選ばれた少なくとも一種であることを特徴とす
    る請求項1〜10のいずれかに記載の電子写真用トナ
    ー。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003098756A (ja) * 2001-09-19 2003-04-04 Ricoh Co Ltd 画像形成装置
JP2009230066A (ja) * 2008-03-25 2009-10-08 Casio Electronics Co Ltd 電子写真用トナー

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