JP2001295070A - 塗装金属板の製造方法 - Google Patents

塗装金属板の製造方法

Info

Publication number
JP2001295070A
JP2001295070A JP2000112705A JP2000112705A JP2001295070A JP 2001295070 A JP2001295070 A JP 2001295070A JP 2000112705 A JP2000112705 A JP 2000112705A JP 2000112705 A JP2000112705 A JP 2000112705A JP 2001295070 A JP2001295070 A JP 2001295070A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
compound
glycol
group
acid
coating
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000112705A
Other languages
English (en)
Inventor
Masami Akimoto
正美 秋元
Hisashi Isaka
尚志 井坂
Yoshizumi Matsuno
吉純 松野
Akihiko Aida
陽彦 会田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kansai Paint Co Ltd
Original Assignee
Kansai Paint Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kansai Paint Co Ltd filed Critical Kansai Paint Co Ltd
Priority to JP2000112705A priority Critical patent/JP2001295070A/ja
Publication of JP2001295070A publication Critical patent/JP2001295070A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 塗料の貯蔵安定性を劣化させることがなく、
またワキ限界膜厚を小さくせずに焼付け温度を低下する
ことができる塗装金属板の製造方法を提供する。 【解決手段】 長尺状の金属板上にプライマー塗料を塗
装し硬化させてプライマー塗膜を形成した後、連続的に
移送される該金属板のプライマー塗膜上に、〔A〕オル
トエステル(a)、グリコール化合物(b)及び1分子
中に少なくとも2個の水酸基を有する水酸基含有化合物
(c)を反応させてなるポリオルトエステルと、〔B〕
水酸基と反応性を有する基を1分子中に少なくとも2個
有する化合物、を含有する上塗塗料をを塗装し焼付ける
ことを特徴とする塗装金属板の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属板上に塗装し
硬化させたプライマー塗膜上に水酸基がブロックされた
ポリオルトエステルを含有する上塗塗料を塗装し焼付け
る塗装金属板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及びその課題】従来、長尺状の金属板上に
塗料を塗装した金属板、いわゆるプレコート金属板を成
型、加工したものが、建物の屋根、外壁、シャッター、
厨房器具、各種電気製品などに使用されている。プレコ
ート金属板としては、通常、金属板上に耐食性、密着性
などの向上のため、プライマー塗膜を形成した後、プラ
イマー塗膜上に上塗塗料を塗装し焼付けて上塗り塗膜を
形成したものが好適に使用されている。
【0003】プレコート金属板においては、一般に高温
短時間で焼付けが行われているが、省エネルギーの観点
から、焼付け温度を低下させることが求められている。
しかしながら、上塗塗料の焼付け温度を低下させるた
め、基体樹脂と硬化剤との低温での反応性の高い上塗塗
料とすると、塗料の貯蔵安定性が悪くなり、貯蔵中に増
粘したり、場合によってはゲル化するといった問題があ
る。また、ポリエステル−メラミン樹脂系上塗塗料にお
いては、貯蔵安定性を向上させるためにアルコールを添
加することがよく行われるが、アルコールを添加すると
塗料塗膜を焼付ける際のワキ限界膜厚が小さくなるとい
った問題があった。
【0004】本発明の主たる目的は、塗料の貯蔵安定性
を劣化させることがなく、またワキ限界膜厚を小さくさ
せることがなく、焼付け温度を低下させることができる
塗装金属板の製造方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するため鋭意研究を行った結果、上塗塗料の樹脂
成分としてポリオルトエステルを含有する塗料を使用す
ることによって上記目的を達成することができることを
見出し本発明を完成するに至った。
【0006】しかして、本発明は、長尺状の金属板上に
プライマー塗料を塗装し硬化させてプライマー塗膜を形
成した後、連続的に移送される該金属板のプライマー塗
膜上に下記の上塗塗料を塗装し焼付けることを特徴とす
る塗装金属板の製造方法を提供するものである。
【0007】上塗塗料 〔A〕(a)下記式(1)
【0008】
【化2】
【0009】式中、R1 は水素原子又は炭素原子数1〜
4のアルキル基を表し、3個のR2 は同一又は異なっ
て、それぞれ炭素原子数1〜4のアルキル基を表す、で
示されるオルトエステル、(b)α−グリコール及びβ
−グリコールから選ばれる少なくとも1種のグリコール
化合物、及び(c)1分子中に少なくとも2個の水酸
基を有する上記(b)以外の水酸基含有化合物、を反応
させてなるポリオルトエステルと、〔B〕水酸基と反応
性を有する基を1分子中に少なくとも2個有する化合
物、を含有する上塗塗料。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明方法について、さら
に詳細に説明する。
【0011】本発明方法における長尺状の金属板は、プ
レコート塗装鋼板分野で使用される長尺の金属板であ
り、材質としては、冷延鋼板、亜鉛系メッキ鋼板、アル
ミニウム板、ステンレス鋼板などを挙げることができ
る。上記亜鉛系メッキ鋼板としては、溶融亜鉛メッキ鋼
板、電気亜鉛メッキ鋼板、鉄−亜鉛合金メッキ鋼板、ニ
ッケル−亜鉛合金メッキ鋼板、アルミニウム−亜鉛合金
メッキ鋼板(例えば「ガルバリウム」、「ガルファン」
という商品名のメッキ鋼板)などを挙げることができ
る。これらの金属板は、表面にリン酸塩処理、複合酸化
膜処理、クロメート処理などの化成処理を施してたもの
であってもよい。
【0012】本発明方法においては、上記長尺状の金属
板上にプライマー塗料を塗装し硬化させてプライマー塗
膜を形成する。プライマー塗膜の形成は、例えば、金属
板上にプライマー塗料をロールコータなどにより乾燥膜
厚が通常1〜15μm程度となるように塗装し、焼付け
乾燥することにより行うことができる。焼付け条件は、
プライマーが硬化する条件であればよく、特に制限され
るものではないが、塗装金属板の生産性などの観点か
ら、通常、金属板の到達最高温度(PMT)が160℃
〜260℃となる条件で、15〜60秒間程度焼付ける
ことが好適である。
【0013】プライマー塗膜は、得られる塗装金属板の
耐食性の向上や塗膜の密着性向上などを目的に形成され
る。プライマーとしては、ポリエステル系プライマー、
エポキシ系プライマーなどを挙げることができ、これら
のプライマーは、クロム酸ストロンチウム、クロム酸カ
ルシウム、クロム酸亜鉛、クロム酸バリウム、燐酸亜鉛
などの防錆顔料を含有していてもよい。
【0014】本発明方法においては、上記硬化されたプ
ライマー塗膜上に、下記の上塗塗料を塗装し焼付ける。
上記上塗塗料は、下記の〔A〕ポリオルトエステルと、
〔B〕水酸基と反応性を有する基を1分子中に少なくと
も2個有する化合物を含有する。
【0015】ポリオルトエステル〔A〕は、以下に述べ
るオルトエステル(a)とグリコール化合物(b)と水
酸基含有化合物(c)の反応生成物である。
【0016】オルトエステル(a):オルトエステル
(a)は、下記式(1)
【0017】
【化3】
【0018】式中、R1 は水素原子又は炭素原子数1〜
4のアルキル基を表し、3個のR2は同一又は異なっ
て、それぞれ炭素原子数1〜4のアルキル基を表す、で
示される化合物である。
【0019】上記式(1)において、R1 又はR2によ
って表わされる炭素原子数1〜4のアルキル基は直鎖状
又は分岐鎖状であり、例えば、メチル、エチル、n−プ
ロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−
ブチル基などを挙げることができる。
【0020】オルトエステル(a)の具体例としては、
例えば、オルトギ酸メチル、オルトギ酸エチル、オルト
ギ酸プロピル、オルトギ酸ブチル、オルト酢酸メチル、
オルト酢酸エチル、オルトプロピオン酸メチル、オルト
プロピオン酸エチル、オルト酪酸メチル、オルト酪酸エ
チルなどを挙げることができ、なかでもオルトギ酸メチ
ル、オルトギ酸エチル、オルト酢酸メチル、オルト酢酸
エチルなどが好適である。これらは、単独で又は2種以
上組合せて使用することができる。
【0021】グリコール化合物(b):(b)成分であ
るグリコール化合物は、1分子中に水酸基を2個有する
α−グリコール及びβ−グリコールから選ばれる少なく
とも1種のグリコール化合物である。
【0022】α−グリコールとしては、なかでも、下記
式(2)
【0023】
【化4】
【0024】式中、R3 、R4 、R5 及びR6 は同一又
は異なって、それぞれ水素原子又は炭素原子数1〜24
のアルキル基、炭素原子数7〜24のアラルキル基又は
フェニル基、或いはこれらの基の一部が酸素原子で置換
されてなる基を表し、かつR3 、R4 、R5 及びR6
表される基の炭素原子数の合計は0〜24、好ましくは
0〜10の範囲内にあり、またR4及びR5 はこれらが
直接結合する炭素原子と一緒になって環状構造を形成し
ていてもよい、で示される化合物を好適に使用できる。
【0025】上記式(2)において、 R3 、R4 、R5
又はR6によって表わされうる炭素原子数1〜24のア
ルキル基は直鎖状、分岐鎖状又は環状であり、メチル、
エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イ
ソブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、n−オク
チル、2−エチルヘキシル、デシル、ドデシル、オクタ
デシル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシル、シク
ロヘキシルメチル、シクロヘキシルエチル基などを挙げ
ることができる。
【0026】上記式(2)において、 R3 、R4 、R5
又はR6によって表わされうる炭素原子数7〜24のア
ラルキル基としては、フェニル置換されたアルキル基が
好ましく、具体的には、例えばベンジル、フェネチル基
などを挙げることができる。
【0027】上記式(2)において、 R3 、R4 、R5
又はR6によって表わされうるアルキル基、アラルキル
基又はフェニル基の一部が酸素原子で置換されてなる基
としては、メトキシメチル、エトキシメチル、プロポキ
シメチル、ブトキシメチルなどのアルコキシアルキル
基;アセトキシメチル、アセトキシエチルなどのアルカ
ノイルオキシアルキル基;フェノキシメチル、フェノキ
シエチル基などを挙げることができる。 上記式(2)
における R3 、R4 、R5又はR6は、なかでも、水素
原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基であることが好
ましい。
【0028】かくして、上記α−グリコールの代表例と
しては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピ
レングリコール、1,2−ブチレングリコール、2,3
−ブチレングリコール、1,2−ヘキサンジオール、
1,2−ジヒドロキシシクロヘキサン、ピナコール、長
鎖アルキルモノエポキシドの加水分解物;グリセリンモ
ノアセテート(α体)、グリセリンモノステアレート
(α体)などの脂肪酸モノグリセリド(α体);3−エ
トキシプロパン−1,2−ジオール、3−フェノキシプ
ロパン−1,2−ジオールなどを挙げることができる。
これらのうち、なかでも、エチレングリコール、1,2
−プロピレングリコール、1,2−ヘキサンジオールが
好適である。
【0029】他方、β−グリコールとしては、なかで
も、下記式(3)
【0030】
【化5】
【0031】式中、R7 、R8 、R9 、R10、R11及び
12は同一又は異なって、それぞれ水素原子又は炭素原
子数1〜24のアルキル基、炭素原子数7〜24のアラ
ルキル基又はフェニル基、或いはこれらの基の一部が酸
素原子で置換されてなる基を表し、かつR7 、R8 、R
9 、R10、R11及びR12で表される基の炭素原子数の合
計は0〜24の範囲内にあり、またR7及びR9 、又は
7 、R9及びR11は、これらが直接結合する炭素原子
と一緒になって環状構造を形成していてもよい、で示さ
れる化合物を好適に使用することができる。
【0032】上記式(3)において、 R7 、R8 、R9
、R10、R11又はR12によって表わされうる炭素原子
数1〜24のアルキル基としては、前記式(2)におい
てR3 、R4 、R5又はR6によって表わされうるアルキ
ル基として前述したものを同様に挙げることができる。
【0033】上記式(3)において、 R7 、R8 、R9
、R10、R11又はR12によって表わされうる炭素原子
数1〜24のアラルキル基としては、フェニル置換され
たアルキル基が好ましく、具体的には、例えば、ベンジ
ル、フェネチル基などを挙げることができる。
【0034】上記式(3)において、 R7 、R8 、R9
、R10、R11又はR12によって表わされうるアルキル
基、アラルキル基又はフェニル基の一部が酸素原子で置
換されてなる基としては、例えば、メトキシメチル、エ
トキシメチル、プロポキシメチル、ブトキシメチルなど
のアルコキシアルキル基;アセトキシメチル、アセトキ
シエチルなどのアルカノイルオキシアルキル基;フェノ
キシメチル、フェノキシエチル基などを挙げることがで
きる。
【0035】上記式(3)において、 R7及びR9 、又
は R7、R9及びR11又はR12が、これらが直接結合す
る炭素原子と一緒になって形成することができる環状構
造としては、シクロヘキシル基、シクロペンチル基など
を挙げることができる。
【0036】上記式(3)における R7 、R8 、R
9 、R10、R11又はR12は、なかでも、水素原子又は炭
素原子数1〜6のアルキル基であることが好ましい。
【0037】かくして、β−グリコールの代表例として
は、例えば、ネオペンチルグリコール、2−メチル−
1,3−プロパンジオール、2−メチル−2,4−ペン
タンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2−ジエ
チル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメ
チル−1,3−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エ
チル−1,3−プロパンジオール、2−フェノキシプロ
パン−1,3−ジオール、2−メチル−2−フェニルプ
ロパン−1,3−ジオール、1,3−プロピレングリコ
ール、1,3−ブチレングリコール、ジメチロールプロ
ピオン酸、ジメチロールブタン酸、2−エチル−1,3
−オクタンジオール、1,3−ジヒドロキシシクロヘキ
サン;グリセリンモノアセテート(β体)、グリセリン
モノステアレート(β体)などの脂肪酸モノグリセリド
(β体)などを挙げることができる。これらのうち、な
かでも、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,3
−プロパンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジ
オール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、2−エ
チル−1,3−ヘキサンジオール、2,2−ジエチル−
1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチル−
1,3−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−
1,3−プロパンジオールが好適である。
【0038】(c)水酸基含有化合物:(c)成分であ
る水酸基含有化合物は、1分子中に2個以上の水酸基を
有する上記グリコール化合物(b)以外の化合物であ
る。
【0039】水酸基含有化合物(c)としては、α−グ
リコール及びβ−グリコール以外の2個の水酸基を有す
る化合物又は1分子中に3個以上の水酸基を有する化合
物を挙げることができる。
【0040】α−グリコール及びβ−グリコール以外の
2個の水酸基を有する化合物としては、例えば、1,4
−ブタンジオール、1,4−ジヒドロキシシクロヘキサ
ン、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオ
ール、2,5−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5
−ペンタンジオール、1,4−ジメチロールシクロヘキ
サン、トリシクロデカンジメタノール、2,2−ジメチ
ル−3−ヒドロキシプロピル−2,2−ジメチル−3−
ヒドロキシプロピオネート[このものはヒドロキシピバ
リン酸とネオペンチルグリコールとのエステルに相当す
る]、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビス(4
−ヒドロキシヘキシル)−2,2−プロパン、ビス(4
−ヒドロキシヘキシル)メタン、3,9−ビス(1,1
−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,1
0−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、ジエチ
レングリコール、トリエチレングリコール、テトラ以上
のポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、
トリプロピレングリコール、テトラ以上のポリプロピレ
ングリコール、エチレンオキサイドとプロピレンオキサ
イドとを共重合してなる両末端に水酸基を有する共重合
体、ポリカプロラクトンジオールなどの両末端に水酸基
を有する直鎖状ポリエステル、ポリカーボネートジオー
ル、ジエポオキシドのカルボン酸付加物などを挙げるこ
とができる。
【0041】また、上記3個以上の水酸基を有する化合
物としては、例えば、グリセリン、ジグリセリン、トリ
グリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリ
トール、ソルビトール、マンニット、トリメチロールエ
タン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロ
パン、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレー
ト、グルコン酸、3個以上の水酸基を含有するポリマー
(3個以上の水酸基を含有するポリエステル、ポリエー
テル、アクリルポリマー、ケトン樹脂、フェノール樹
脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリ酢酸ビニルのケ
ン化物であるポリビニルアルコール、グルコースなどの
天然糖類等)などを挙げることができる。
【0042】水酸基含有化合物(c)としては、水酸基
価が20〜1850mgKOH/g、特に40〜165
0mgKOH/gの範囲内にあるものを好適に使用する
ことができる。
【0043】ポリオルトエステル〔A〕の製造:本発明
方法において使用する上塗塗料における〔A〕成分であ
るポリオルトエステルを製造するにあたり、オルトエス
テル(a)とグリコール化合物(b)と水酸基含有化合
物(c)との配合比率は、特に限定されるものではない
が、水酸基含有化合物(c)中の水酸基1当量に対し
て、オルトエステル(a)の量が0.01〜10モル、
好ましくは0.05〜5モル、さらに好ましくは0.1
〜2モルの範囲内にあり、かつグリコール化合物(b)
の量が0.01〜10モル、好ましくは0.05〜5モ
ル、さらに好ましくは0.1〜2モルの範囲内にある割
合で用いることが、分子量制御のし易さなどの面から適
当である。
【0044】ポリオルトエステル〔A〕は、上記
(a)、(b)及び(c)の3成分を縮合反応させるこ
とによって得ることができる。例えば、上記3成分を必
要に応じて、有機溶剤及び酸触媒の存在下で、通常、室
温〜250℃、好ましくは70〜200℃の範囲内の温
度で1〜20時間程度加熱し縮合反応させることによっ
て好適に製造することができる。
【0045】上記ポリオルトエステル〔A〕の製造にお
いて、オルトエステル(a)のアルコキシル基は、グリ
コール化合物(b)及び水酸基含有化合物(c)のアル
コール部分と交換反応を起こす。その際、オルトエステ
ル(a)は、通常、近接した水酸基を有するグリコール
化合物(b)であるα−グリコール又はβ−グリコール
と優先的に反応して環状構造を形成する。すなわち、グ
リコール化合物(b)は、3官能であるオルトエステル
(a)の2個の官能基(アルコキシル基)と優先的に反
応して環化する。オルトエステル(a)の残りの1個の
アルコキシ基は水酸基含有化合物(c)と反応すること
ができる。かくして、ポリオルトエステル〔A〕は、そ
の製造に際して分子間の橋架けを伴わないため、分子量
や粘度が抑制されたものであることができる。他方、グ
リコール化合物(b)を存在させずに、オルトエステル
(a)と水酸基含有化合物(c)とを直接反応させる
と、分子間の架橋反応が起こり、生成物の分子量や粘度
がどんどん増大する。本発明組成物におけるポリオルト
エステル〔A〕は、オルトエステル(a)と水酸基含有
化合物(c)に、さらにグリコール化合物(b)を加え
て反応させることにより、分子量や粘度の増大を抑制し
たものである。
【0046】上記の如くして製造されるポリオルトエス
テル〔A〕は、例えば、前記式(1)のオルトエステル
と、前記式(2)のα−グリコール及び1分子中に2個
の水酸基を有する化合物を原料として用いた場合、下記
式(4)
【0047】
【化6】
【0048】式中、Y1は1分子中に2個の水酸基を有
する化合物から該2個の水酸基を除いた残基を表し、R
1、R3、R4、R5及びR6は前記定義のとおりである、
で示される構造を有することができ、また、前記式
(1)のオルトエステルと、前記式(3)のβ−グリコ
ール及び1分子中に4個の水酸基を有する化合物を原料
として用いた場合、下記式(5)
【0049】
【化7】
【0050】式中、Y2は1分子中に4個の水酸基を有
する化合物から該4個の水酸基を除いた残基を表し、R
1、R7、R8、R9、R10、R11及びR12は前記定義のと
おりである、で示される構造を有することができる。
【0051】水酸基と反応性を有する基を1分子中に2
個以上有する化合物〔B〕:本発明方法において使用さ
れる上塗塗料における〔B〕成分である水酸基と反応性
を有する基を1分子中に2個以上有する化合物(「化合
物〔B〕」と略称することがある)は、水酸基と反応性
を有する化合物であり、本発明組成物におけるポリオル
トエステル〔A〕のオルトエステル基が加水分解して生
成する水酸基と反応して硬化物を形成することができる
ものである。
【0052】化合物〔B〕の代表例としては、例えば、
ポリイソシアネート化合物、アミノ樹脂、エポキシ基含
有化合物、アルコキシシリル基含有化合物及び2個以上
のカルボン酸無水基を有する化合物などを挙げることが
できる。
【0053】上記ポリイソシアネート化合物は、イソシ
アナト基(NCO基)がブロック化されていないもの
(以下、「非ブロック化ポリイソシアネート化合物」と
略称することがある)、及びイソシアナト基がブロック
化されたもの(以下、「ブロック化ポリイソシアネート
化合物」と略称することがある)のいずれをも包含す
る。
【0054】非ブロック化ポリイソシアネート化合物と
しては、例えば、リジンジイソシアネート、ヘキサメチ
レンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシア
ネートなどの脂肪族ジイソシアネート類;水素添加キシ
リレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネー
ト、メチルシクロヘキサン−2,4(または2,6)−
ジイソシアネート、4,4´−メチレンビス(シクロヘ
キシルイソシアネート)、1,3−(イソシアナトメチ
ル)シクロヘキサンなどの環状脂肪族ジイソシアネート
類;トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシア
ネ−ト、ジフェニルメタンジイソシアネートなどの芳香
族ジイソシアネート類;リジントリイソシアネ−トなど
の3価以上のポリイソシアネートなどの如き有機ポリイ
ソシアネートそれ自体、又はこれらの各有機ポリイソシ
アネートと多価アルコール、低分子量ポリエステル樹脂
もしくは水等との付加物、あるいは上記した如き各有機
ジイソシアネート同志の環化重合体(例えば、イソシア
ヌレート)、ビウレット型付加物などが挙げられる。
【0055】ブロック化ポリイソシアネート化合物は、
上記非ブロック化ポリイソシアネート化合物のイソシア
ナト基をブロック化剤でブロック化してなるものであ
る。上記ブロック化剤としては、例えばフェノール、ク
レゾール、キシレノールなどのフェノール系;ε−カプ
ロラクタム;δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタ
ム、β−プロピオラクタムなどラクタム系;メタノー
ル、エタノール、n−又はi−プロピルアルコール、n
−,i−又はt−ブチルアルコール、エチレングリコー
ルモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチル
エーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジ
エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレング
リコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモ
ノメチルエーテル、ベンジルアルコールなどのアルコー
ル系;ホルムアミドキシム、アセトアルドキシム、アセ
トキシム、メチルエチルケトキシム、ジアセチルモノオ
キシム、ベンゾフェノンオキシム、シクロヘキサンオキ
シムなどオキシム系;マロン酸ジメチル、マロン酸ジエ
チル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸メチル、アセチル
アセトンなどの活性メチレン系などのブロック化剤を好
適に使用することができる。上記非ブロック化ポリイソ
シアネートと上記ブロック化剤とを混合することによっ
て容易にポリイソシアネートのイソシアナト基をブロッ
ク化することができる。
【0056】これらのポリイソシアネート化合物は、単
独で又は2種以上を組合せて使用することができる。
【0057】化合物(B)として使用可能なアミノ樹脂
としては、メラミン、尿素、ベンゾグアナミン、アセト
グアナミン、ステログアナミン、スピログアナミン、ジ
シアンジアミド等のアミノ成分とアルデヒドとの反応に
よって得られるメチロール化アミノ樹脂が挙げられる。
アルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、パラホルムア
ルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等が挙
げられる。また、このメチロール化メラミン樹脂を1種
又は2種以上のアルコールによってエーテル化したもの
も上記アミノ樹脂に包含される。エーテル化に用いられ
るアルコールとしては、例えば、メチルアルコール、エ
チルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピ
ルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアル
コール、2−エチルブタノール、2−エチルヘキサノー
ル等の1価アルコールが挙げられる。これらのうち、な
かでもメチロール化メラミン樹脂のメチロール基の少な
くとも一部をC1〜4の1価アルコールでエーテル化し
てなるメラミン樹脂が好適である。
【0058】上記メラミン樹脂の具体例としては、例え
ばサイメル300、同303、同325、同327、同
350、同730、同736、同738[以上、いずれ
も三井サイテック(株)製]、メラン522、同523
[以上、いずれも日立化成(株)製]、ニカラックMS
001、同MX430、同MX650[以上、いずれも
三和ケミカル(株)製]、スミマールM−55、同M−
100、同M−40S[以上、いずれも住友化学(株)
製]、レジミン740、同747[以上、いずれもモン
サント社製]などのメチルエーテル化メラミン樹脂;ユ
ーバン20SE、同225[以上、いずれも三井東圧
(株)製]、スーパーベッカミンJ820−60、同L
−117−60、同L−109−65、同47−508
−60、同L−118−60、同G821−60[以
上、いずれも大日本インキ化学工業(株)製]などのブ
チルエーテル化メラミン樹脂;サイメル232、同26
6、同XV−514、同1130[以上、いずれも三井
サイテック(株)製]、ニカラックMX500、同MX
600、同MS35、同MS95[以上、いずれも三和
ケミカル(株)製]、レジミン753、同755[以
上、いずれもモンサント社製]、スミマールM−66B
[住友化学(株)製]などのメチルエーテルとブチルエ
ーテルとの混合エーテル化メラミン樹脂などを挙げるこ
とができる。これらのメラミン樹脂は単独で又は2種以
上組合せて使用することができる。
【0059】化合物(B)として使用可能なエポキシ基
含有化合物は、1分子中にエポキシ基を2個以上有する
化合物であり、その代表例としては、エチレングリコー
ルジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグ
リシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジル
エーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエー
テル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテ
ル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、ネ
オペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−
ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジ
グリシジルエーテル、ジグリセリンテトラグリシジルエ
ーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテ
ル、2,6−ジグリシジルフェニルエーテル、ソルビト
ールトリグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシア
ヌレート、ジグリシジルアミン、ジグリシジルベンジル
アミン、フタル酸ジグリシジルエステル、ビスフェノー
ルAジグリシジルエーテル、ブタジエンジオキサイド、
ジシクロペンタジエンジオキサイド、3,4−エポキシ
シクロヘキセンカルボン酸とエチレングリコールとのジ
エステル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−
3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、
3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−
3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキ
シレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチ
ル)アジペート、ジシクロペンタジエンオールエポキシ
ドグリシジルエーテル、ジペンテンジオキサイド、ビス
フェノールA型エポキシ樹脂とエチレンオキサイドとの
付加物、エポリードGT300(ダイセル化学工業
(株)製、3官能脂環式エポキシ化合物)、エポリード
GT400(ダイセル化学工業(株)製、4官能脂環式
エポキシ化合物);エポリードGT301、同GT30
2、同GT303(以上、いずれもダイセル化学工業
(株)製、開環ε−カプロラクトン鎖含有3官能脂環式
エポキシ化合物);エポリードGT401、同GT40
2、同GT403(以上、いずれもダイセル化学工業
(株)製、開環ε−カプロラクトン鎖含有4官能脂環式
エポキシ化合物);エピコート828、同834、同1
001、(以上、いずれも油化シェルエポキシ(株)
製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂);エピコート1
54(油化シェルエポキシ(株)製、クレゾールノボラ
ック型エポキシ樹脂)、下記式(6)で表されるセロキ
サイド2081、同2082、同2083(以上、いず
れもダイセル化学工業(株)製、下記式(6)におい
て、k=1のものがセロキサイド2081、k=2のも
のがセロキサイド2082、k=3のものがセロキサイ
ド2083);下記式(7)で表されるデナコールEX
−411(ナガセ化成(株)製)などを挙げることがで
きる。
【0060】
【化8】
【0061】式(6)において、kは1〜3の整数を表
す。
【0062】また、上記エポキシ基含有化合物として
は、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジ
ルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル
(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有重合性不飽
和モノマーとその他の重合性不飽和モノマーとの共重合
ポリマーも挙げることができる。上記その他の重合性不
飽和モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリ
レート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル
(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレ
ート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル
(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレ
ート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチル
(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレー
ト、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メ
タ)アクリレート等のC1〜24アルキル(メタ)アクリ
レート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、
ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3−ジ
ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキ
シブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコー
ルモノ(メタ)アクリレート等の、多価アルコールとア
クリル酸又はメタクリル酸とのモノエステル化物;上記
多価アルコールとアクリル酸又はメタクリル酸とのモノ
エステル化物にε−カプロラクトンを開環重合した化合
物;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシ
ラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジ
エトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロ
ピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオ
キシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)ア
クリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ
−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシ
ラン、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメト
キシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシブチルフ
ェニルジメトキシシランなどのアルコキシシリル基含有
重合性不飽和化合物;アクリロニトリル、メタクリロニ
トリル、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、イ
ソボルニル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、ベオバ
モノマー(シェル化学社製)、スチレン、ビニルトルエ
ン、α−メチルスチレンなどが挙げられる。
【0063】上記エポキシ基含有化合物は、単独で又は
2種以上を組合せて使用することができる。上記エポキ
シ基含有化合物は、エポキシ基の濃度は特に限定される
ものではないが、通常、エポキシ当量が100〜3,0
00、好ましくは100〜1,500の範囲内にあるこ
とが適当である。
【0064】化合物(B)として使用可能なアルコキシ
シリル基含有化合物は、1分子中にアルコキシシリル基
を2個以上含有する化合物であり、例えば、ジメトキシ
ジメチルシラン、ジメトキシジエチルシラン、ジメトキ
シジフェニルシラン、ジエトキシジメチルシラン、トリ
メトキシメチルシラン、トリメトキシエチルシラン、ト
リメトキシプロピルシラン、トリメトキシフェニルシラ
ン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テ
トラブトキシシラン、ジメトキシジエトキシシランなど
の重合性不飽和基を有さないアルコキシラン;ビニルト
リメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル
メチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラ
ン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメト
キシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピル
メチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオ
キシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(メタ)ア
クリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、β−
(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメトキシシラ
ン、γ−(メタ)アクリロイルオキシブチルフェニルジ
メトキシシランなどの重合性不飽和基含有アルコキシシ
ラン;上記重合性不飽和基を有さないアルコキシラン及
び(又は)重合性不飽和基含有アルコキシシランの部分
縮合物;上記重合性不飽和基含有アルコキシシランと該
アルコキシシランと共重合可能な重合性不飽和モノマー
との共重合体などを挙げることができる。
【0065】上記共重合体のモノマー成分である、アル
コキシシランと共重合可能な重合性不飽和モノマーとし
ては、前記エポキシ基含有化合物が共重合ポリマーであ
る場合の、エポキシ基含有重合性不飽和モノマーと共重
合する「その他の重合性不飽和モノマー」として使用で
きるアルコキシシリル基含有重合性不飽和化合物以外の
モノマーを挙げることができる。
【0066】化合物(B)として使用可能な2個以上の
カルボン酸無水基を有する化合物(以下、「ポリ酸無水
物」と略称することがある)としては、例えば、無水ピ
ロメリット酸、エチレングリコール1モルと無水トリメ
リット酸2モルとの縮合物[エチレンビス(アンヒドロ
トリメリテート)]、グリセリン1モルと無水トリメリ
ット酸3モルとの縮合物[グリセリントリス(アンヒド
ロトリメリテート)]など;コハク酸、アジピン酸、ア
ゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸、
エチル−オクタデカン二酸、フェニル−ヘキサデカン二
酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、などの多塩
基酸が分子間縮合した直鎖状又は環状ポリ酸無水物;無
水マレイン酸、テトラヒドロフタル酸無水物などの重合
性不飽和酸無水物を一単量体成分とするポリマーを挙げ
ることができる。該ポリマーを形成することができる重
合性不飽和酸無水物以外の単量体としては、例えば、メ
チル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレー
ト、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル
(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレー
ト、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル
(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルアクリレー
ト、n−オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メ
タ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、
ステアリル(メタ)アクリレート等のC1 24アルキル
(メタ)アクリレート;アクリロニトリル、メタクリロ
ニトリル、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、
イソボルニル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、ベオ
バモノマー(シェル化学社製)、スチレン、ビニルトル
エン、α−メチルスチレンなどが挙げられる。
【0067】上記ポリ酸無水物は、酸無水基の濃度は特
に限定されるものではないが、通常、酸無水基に基づく
全酸価が50〜1,100mgKOH/g、好ましくは
80〜800の範囲内にあることが好適である。上記各
化合物〔B〕は、単独で又は2種以上を組合わせて使用
することができる。
【0068】本発明方法において使用される上塗塗料
は、前記ポリオルトエステル〔A〕及び上記化合物
〔B〕を必須成分として含有し、さらに必要に応じて、
水酸基含有ポリマー〔C〕を含有することができる。
【0069】上記水酸基含有ポリマー〔C〕は、前記化
合物〔B〕と反応可能な水酸基を有するポリマーであ
る。水酸基含有ポリマー〔C〕は、水酸基を有し、化合
物〔B〕と反応して硬化できるものである限り、特に制
限されるものではない。
【0070】水酸基含有ポリマー〔C〕の代表例として
は、例えば、水酸基価が10〜250mgKOH/g以
下、好ましくは20〜200mgKOH/gの範囲内に
あり、数平均分子量が1,000〜30,000、好ま
しくは1,500〜25,000の範囲内にあるポリマ
ーを挙げることができる。水酸基含有ポリマー〔C〕の
樹脂種としては、代表例としてアクリル樹脂、ポリエス
テル樹脂、シリコンポリエステル樹脂、シリコンアクリ
ル樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂などを挙げることが
できる。これらのうち、なかでもアクリル樹脂、ポリエ
ステル樹脂を好適に使用することができる。
【0071】本発明方法で使用される上塗塗料におい
て、前記ポリオルトエステル〔A〕と前記化合物〔B〕
と上記水酸基含有ポリマー〔C〕との配合割合は、特に
限定されるものではないが、〔A〕、〔B〕及び〔C〕
成分の固形分合計100重量部に基いて、通常、各成分
の固形分量が下記範囲内にあることが適当である。 〔A〕成分:1〜95重量部、好ましくは25〜90重
量部、〔B〕成分:5〜40重量部、好ましくは10〜
30重量部、〔C〕成分:0〜89重量部、好ましくは
0〜65重量部。
【0072】本発明方法で使用される上塗塗料は、上記
〔A〕、〔B〕及び必要に応じて〔C〕成分をするもの
であり、さらに必要に応じて、酸触媒、有機溶剤、硬化
触媒、顔料;紫外線吸収剤、塗面調整剤、酸化防止剤、
流動性調整剤、ワックス等を適宜含有することができ
る。
【0073】上記酸触媒は、オルトエステル基を脱ブロ
ック化して水酸基を再生する反応を促進するための触媒
であり、特に制限されるものではなく、例えば、塩酸、
硫酸、硝酸;メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、パ
ラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、
ジノニルナフタレンスルホン酸、ジノニルナフタレンジ
スルホン酸などのスルホン酸化合物;上記スルホン酸化
合物のアミンなどの塩基による中和物;上記スルホン酸
化合物と、n−プロパノール、n−ブタノール、n−ヘ
キサノール、n−オクタノール、イソプロパノール、2
−ブタノール、2−ヘキサノール、2−オクタノール、
シクロヘキサノール、tert-ブタノールなどの第1
級、第2級又は第3級アルコール類とのエステル化物;
上記スルホン酸化合物と、酢酸グリシジル、ブチルグリ
シジルエーテルなどのオキシラン基含有化合物との反応
によって得られるβ−ヒドロキシアルキルスルホン酸エ
ステル類;蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、2−エチ
ルヘキサン酸、オクタン酸などのカルボン酸;リン酸モ
ノブチル、リン酸ジブチル、リン酸モノイソプロピル、
リン酸ジイソプロピル、リン酸モノオクチル、リン酸ジ
オクチル、リン酸モノデシル、リン酸ジデシル、メタリ
ン酸、オルトリン酸、ピロリン酸、リン酸トリメチル、
リン酸トリエチル、リン酸トリブチル、リン酸トリオク
チル、リン酸トリブトキシエチル、トリス・クロロエチ
ルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレ
ジルホスフェートなどの有機リン酸系化合物;サイラキ
ュアUVI−6970、同UVI−6974、同UVI
−6990(以上、いずれも米国ユニオンカーバイド社
製)、イルガキュア261、同264(以上、いずれもチ
バ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)、CIT−16
82(日本曹達(株)製)、BBI−102(みどり化学
社製)、アデカオプトマーSP−150、同SP−17
0(以上、いずれも旭電化社製)などの紫外線の照射に
よって酸を発生する光潜在性酸発生剤;ルイス酸などを
挙げることができる。
【0074】本発明方法において使用される上塗塗料
は、通常、無溶剤又は有機溶剤型の組成物とされ、有機
溶剤型の組成物とする場合の有機溶剤としては、上塗塗
料の各成分を溶解又は分散できるものが使用でき、例え
ば、ヘプタン、トルエン、キシレン、オクタン、ミネラ
ルスピリット等の炭化水素系溶剤;酢酸エチル、酢酸n
−ブチル、酢酸イソブチル、エチレングリコールモノメ
チルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブ
チルエーテルアセテート等のエステル系溶剤;メチルエ
チルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケ
トン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;メタノー
ル、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、
sec−ブタノール、イソブタノール等のアルコール系溶
剤;n−ブチルエーテル、ジオキサン、エチレングリコ
ールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチ
ルエーテル等のエーテル系;スワゾール310、スワゾ
ール1000、スワゾール1500(以上、いずれもコ
スモ石油社製)、SHELLSOL A(シェルゾール
A、シェル化学社製)等の芳香族石油系溶剤等を挙げる
ことができる。これらの有機溶剤は1種で又は2種以上
を組合せて使用することができる。
【0075】必要に応じて配合される上記硬化触媒は、
本発明組成物の硬化反応を促進するものであり、例え
ば、化合物〔B〕がブロック化ポリイソシアネート化合
物である場合には、硬化剤であるブロック化ポリイソシ
アネート化合物のブロック剤の解離を促進する硬化触媒
が好適であり、好適な硬化触媒として、例えば、オクチ
ル酸錫、ジブチル錫ジ(2−エチルヘキサノエート)、
ジオクチル錫ジ(2−エチルヘキサノエート)、ジオク
チル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチ
ル錫オキサイド、ジオクチル錫オキサイド、2−エチル
ヘキサン酸鉛などの有機金属触媒などを挙げることがで
きる。
【0076】化合物〔B〕がメラミン樹脂などのアミノ
樹脂である場合、特に低分子量の、メチルエーテル化ま
たはメチルエーテルとブチルエーテルとの混合エーテル
化メラミン樹脂である場合には、硬化触媒として、りん
酸、スルホン酸化合物又はスルホン酸化合物のアミン中
和物が好適に用いられる。スルホン酸化合物の代表例と
しては、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンス
ルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、ジノニルナ
フタレンジスルホン酸などを挙げることができる。スル
ホン酸化合物のアミン中和物におけるアミンとしては、
1級アミン、2級アミン、3級アミンのいずれであって
もよい。
【0077】化合物〔B〕がエポキシ基含有化合物であ
る場合の硬化触媒としては、例えば、テトラキス(アセ
チルアセトナト)ジルコニウム、コバルトアセチルアセ
トナト、トリス(アセチルアセトナト)アルミニウム、
マンガンアセチルアセトナトなどのキレート化合物;β
−ヒドロキシアミノ構造を有する化合物と酸化鉛(II)
のキレート化反応物;2−エチルヘキサン酸鉛、セカノ
イック鉛、ナフテン酸鉛、オクチル酸鉛、酢酸鉛、乳酸
鉛、オクチル酸ジルコニウムなどの金属カルボキシレー
ト;イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−イソ
プロピルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、
2−フェニルイミダゾールなどのイミダゾール化合物な
どが挙げられる。
【0078】化合物〔B〕がアルコキシシリル基含有化
合物である場合の硬化触媒としては、例えば、ドデシル
ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、ジノニ
ルナフタレンスルホン酸、トリフルオロスルホン酸など
の有機スルホン酸化合物;これらの有機スルホン酸化合
物のアミン中和物;リン酸モノブチル、リン酸ジブチ
ル、リン酸モノイソプロピル、リン酸ジイソプロピル、
リン酸モノオクチル、リン酸ジオクチル、リン酸モノデ
シル、リン酸ジデシル、メタリン酸、オルトリン酸、ピ
ロリン酸、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン
酸トリブチル、リン酸トリオクチル、リン酸トリブトキ
シエチル、トリス・クロロエチルホスフェート、トリフ
ェニルホスフェート、トリクレジルホスフェートなどの
リン酸系化合物などを挙げることができる。
【0079】化合物〔B〕がポリ酸無水物である場合の
硬化触媒としては、例えば、テトラエチルアンモニウム
ブロマイド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テ
トラエチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアン
モニウムフルオライド、テトラブチルホスフォニウムブ
ロマイド、トリフェニルベンジルホスフォニウムクロラ
イドなどの4級塩触媒;トリエチルアミン、トリブチル
アミンなどのアミン類などを挙げることができる。
【0080】本発明方法において、上塗塗料中に必要に
応じて配合される顔料としては、チタン白、カーボンブ
ラック、ベンガラ、チタン黄などの無機着色顔料;キナ
クリドンレッド、アゾレッド、フタロシアニンブルー、
フタロシアニングリーン、有機黄色顔料などの有機着色
顔料;アルミニウム粉、光輝性マイカ粉などの光輝性顔
料などの着色顔料:シリカ粉末、炭酸カルシウム、硫酸
バリウム、マイカ、クレー、タルクなどの体質顔料;カ
ルシウムイオン交換シリカ、リン酸塩系防錆顔料、クロ
ム酸塩系顔料などの防錆顔料などを挙げることができ
る。
【0081】塗装金属板の製造:本発明方法において
は、前記長尺状の金属板上に形成された硬化プライマー
塗膜の上に、上記上塗塗料を塗装し焼付けることによっ
て塗装金属板を製造する。
【0082】上記上塗塗料は、ロールコート法、スプレ
ー塗装法、刷毛塗り法、静電塗装法、浸漬法、電着塗装
法、カーテン塗装法、ローラー塗装法などの公知の塗装
方法により塗装し、乾燥させることにより本発明の塗装
金属板を得ることができる。上記塗装方法のうち、なか
でもロールコート法、カーテン塗装法を好適に使用する
ことができる。上塗塗膜の膜厚は、特に限定されるもの
ではないが、通常5〜30μm、好ましくは10〜22
μmの範囲内が好適である。塗膜の乾燥は、使用する樹
脂の種類などに応じて適宜設定すればよいが、コイルコ
ーティング法などによって塗装したものを連続的に焼付
ける場合には、通常、素材到達最高温度が160〜25
0℃、好ましくは180〜230℃となる条件で15〜
60秒間焼付けられる。バッチ式で焼付ける場合には、
例えば、雰囲気温度80〜140℃で10〜30分間焼
付けることによっても行うことができる。
【0083】本発明の、上記上塗塗膜を形成した塗装金
属板は、塗膜外観や、密着性、耐溶剤性などに優れた塗
膜性能を示すことができる。
【0084】本発明の塗装金属板は、例えば、住宅の屋
根、壁、シャッター、ガレージなどの建築材料;家電製
品、自動車、鋼製家具、厨房器具などに好適に使用する
ことができる。
【0085】
【実施例】以下、実施例を示し本発明をさらに具体的に
説明する。
【0086】以下、「部」及び「%」は、いずれも重量
基準によるものとする。
【0087】ポリエステルの合成 合成例1 攪拌機、精留塔、温度計を具備した反応槽に、エチレン
グリコール31部、1,3−ブタンジオール27部、無
水トリメリット酸19.4部、イソフタル酸49.8
部、テレフタル酸29.5部及びジブチル錫ジオキシド
0.2部を仕込み、不活性ガスを吹き込みながら精留塔
温度が110℃を超えないように昇温しながらエステル
化反応を行い理論縮合水量の2/3が留出したところで
一旦冷却した。ついでイソフタル酸33.2部、テレフ
タル酸36.9部を追加した後、250℃まで昇温しエ
ステル化反応を行ってポリエステルaを得た。ポリエス
テルaは、水酸基価141mgKOH/gを有し、数平
均分子量は1,600であった。
【0088】合成例2〜4 合成例1において、配合組成を下記表1に示すとおりに
変更する以外は合成例1と同様に合成を行い各ポリエス
テルを得た。得られた各ポリエステルの水酸基価及び数
平均分子量を下記表1に示す。
【0089】
【表1】
【0090】ポリオルトエステルの製造 製造例1 撹拌機、冷却器、温度制御装置及び溶剤回収装置を備え
た反応装置に、オルトギ酸メチル424部、2−ブチル
−2−エチル−1,3−プロパンジオール640部、ペ
ンタエリスリトール136部及び90%ギ酸水溶液4部
を仕込み、アルコール交換反応により生成するメタノー
ルを留去しながら約85℃に1時間保持した。その後、
2時間かけて190℃まで昇温して365部のメタノー
ルを回収し、無色透明で液状のポリオルトエステル(A
−1)を得た。得られたポリオルトエステルは、ガード
ナー粘度X+ 、重量平均分子量1,540であった。
【0091】製造例2〜5 製造例1において、配合する原料組成を下記表2に示す
とおりとする以外は製造例1と同様に反応を行い、各ポ
リオルトエステルを得た。
【0092】
【表2】
【0093】上塗塗料の調製 調製例1 製造例1で得たポリオルトエステル(A−1)30部、
「ベッコライトM−6301−45」(大日本インキ化
学工業(株)製、固形分約45%オイルフリーポリエス
テル溶液、樹脂の数平均分子量が約5,000、樹脂の
水酸基価が約45mgKOH/g)122.2部(固形
分量で55部)、「サイメル303」(三井サイテック
(株)製、メチルエーテル化メラミン樹脂)15部、
「キャタリスト600」(三井サイテック(株)製、7
0%芳香族スルホン酸溶液1.0部(有効成分量0.7
部)及びチタン白100部を配合し、混合溶剤[スワゾ
ール1500(注1)/シクロヘキサノン/3−メトキ
シブチルアセテート=50/25/25]を加えて混
合、分散を行い、ついで上記混合溶剤を加えて粘度約1
00秒(フォードカップ#4/25℃、以下同様)に調
整して上塗塗料を得た。(注1)スワゾール1500:
コスモ石油社製、高沸点芳香族炭化水素系溶剤。
【0094】調製例2〜10 調製例1において、配合組成を後記表3に示すとおりと
する以外は調製例1と同様に行い、粘度約100秒の各
上塗塗料を得た。表3における配合量は固形分量、又は
溶剤を除く有効成分量による表示とした。また、調製例
8〜10で得た上塗塗料は比較例用のものである。
【0095】下記表3において、(註)はそれぞれ下記
の意味を有する。 (*1)デスモデュールBL3175:住友バイエルウ
レタン社製、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシ
アヌレート体の溶液、固形分約75%。 (*2)ネイキュア5225:米国、キング・インダス
トリイズ社製、ドデシルベンゼンスルホン酸のアミン中
和溶液、有効成分量は25%。 (*3)タケネートTK−1:武田薬品工業(株)製、
有機錫系硬化触媒、固形分10%。
【0096】調製例1〜10で得た上塗塗料について下
記ポットライフの試験を行った。その試験結果を下記表
3に示す。
【0097】ポットライフ:粘度約100秒(フォード
カップ#4/25℃)に粘度調整した各上塗塗料を30
℃の室内にて30日間貯蔵し、貯蔵前の粘度に対する貯
蔵後の粘度の変化率(%)から下記基準に基づいて評価
した。 ○:変化率が20%以下、 △:変化率が20%を超え、50%以下、 ×:変化率が50%を超える。
【0098】
【表3】
【0099】塗装金属板の製造 実施例1 厚さ0.35mmの溶融亜鉛メッキ鋼板に、関西ペイン
ト(株)製のエポキシ樹脂系プライマー塗料である「K
Pカラー8416プライマー」を乾燥膜厚が約5μmと
なるように塗装し、素材到達温度(PMT)が200℃
となる条件で30秒間焼付けた。ついで冷却後、このプ
ライマー塗膜上に前記調製例1で得た上塗塗料を乾燥膜
厚が約18μmとなるように塗装し、素材到達温度(P
MT)が160℃となる条件で50秒間焼付けて塗装金
属板を得た。
【0100】実施例2〜7及び比較例1〜3 実施例1において、使用する上塗塗料の種類及び焼付け
条件を後記表4に示すとおりとする以外は実施例1と同
様に行い各塗装金属板を得た。
【0101】実施例8〜11 実施例1において、素材として、厚さ0.35mmの溶
融亜鉛メッキ鋼板のかわりに後記表4に示す素材を使用
し、上塗塗料種を調製例3で得た上塗塗料に変更する以
外は実施例1と同様に行い、各塗装金属板を得た。
【0102】比較例4〜7 実施例1において、素材として、厚さ0.35mmの溶
融亜鉛メッキ鋼板のかわりに後記表4に示す素材を使用
し、上塗塗料種を調製例8で得た上塗塗料に変更する以
外は実施例1と同様に行い、各塗装金属板を得た。
【0103】後記表4において、各素材種の略号は、そ
れぞれ下記の意味を有する。
【0104】5%AL−Zn:厚さ0.35mmのアル
ミニウム含量が約5%のアルミニウム−亜鉛合金メッキ
鋼板、 55%AL−Zn:厚さ0.35mmのアルミニウム含
量が約55%のアルミニウム−亜鉛合金メッキ鋼板、 ALメッキ鋼板:厚さ0.5mmのアルミニウムメッキ
鋼板、 AL板:厚さ0.5mmのアルミニウム板。
【0105】上記実施例1〜11及び比較例1〜7で得
た各塗装金属板について下記試験方法に基いて各種試験
を行った。その試験結果を後記表4に示す。
【0106】試験方法 塗面外観:塗面(30cm×30cm)の外観を肉眼で
観察した。塗面に、ハジキ、凹み、曇りなどの塗面異常
の認められないものを良好(○)とした。
【0107】光沢:JIS K−5400 7.6(1
990)に規定の60度鏡面光沢度に従い、60度鏡面
反射率を測定した。
【0108】鉛筆硬度:塗装板の塗膜について、JIS
K−5400 8.4.2(1990)に規定する鉛
筆引っかき試験を行い、すり傷による評価を行った。
【0109】密着性:JIS K−5400 8.5.
2(1990)碁盤目−テ−プ法に準じて、試験板の塗
膜表面にカッターナイフで素地に到達するように、直交
する縦横11本ずつの平行な直線を1mm間隔で引い
て、1mm×1mmのマス目を100個作成した。その
表面にセロハン粘着テ−プを密着させ、テ−プを急激に
剥離した際のマス目の剥れ程度を観察し下記基準で評価
した。 ○:塗膜の剥離が全く認められない △:塗膜が剥離したが、マス目は60個以上残存 ×:塗膜がかなり剥離し、マス目の残存数は60個未
満。
【0110】耐衝撃性:JIS K−5400 8.
3.2(1990)デュポン式耐衝撃性試験に準じて、
落錘重量500g、撃芯の尖端直径1/2インチ、落錘
高さ50cmの条件にて塗装板の塗面の衝撃を与えた。
ついで衝撃を加えた部分にセロハン粘着テープを貼着
し、瞬時にテープを剥がしたときの塗膜の剥がれ程度を
下記基準で評価した。 ○:塗面に剥がれが認められない △:塗面にわずかの剥がれが認められる ×:塗面にかなりの剥がれが認められる。
【0111】耐溶剤性:20℃の室内においてメチルエ
チルケトンをしみ込ませたガーゼにて塗面に約4Kg/
cm2の荷重をかけて約5cmの長さの間を往復させ
た。プライマ−塗膜が見えるまでの往復回数により下記
基準に基づいて評価した。 ○:往復回数が50回以上 △:往復回数が30回以上で50回未満 ×:往復回数が30回未満。
【0112】耐食性:各塗装板を70×150mmの大
きさに切断した後、裏面及び切断面を防錆塗料にてシー
ルした。シールした塗装板のほぼ中央部に素地に到達す
るクロスカットを入れ、塩水噴霧試験に供した。塩水噴
霧試験は、JIS Z−2371に準じて行い塩水噴霧
試験時間を500時間とし、クロスカット部の平均のフ
クレ幅を、それぞれ目視にて下記基準により評価した。 ◎:クロスカット部にフクレが認められない ○:カット傷からの片側の平均フクレ幅が1mm未満で
ある △:カット傷からの片側の平均フクレ幅が1mm以上で
5mm未満である ×:カット傷からの片側の平均フクレ幅が5mm以上で
ある。
【0113】
【表4】
【0114】
【表5】
【0115】
【発明の効果】本発明の製造方法においては、上塗塗料
として塗料の貯蔵安定性が良好で、しかも焼付け温度の
低いものを使用できるため、塗装ラインにおける省エネ
ルギーを図ることができる。また、上塗塗料の貯蔵安定
性を向上させるためにアルコールを添加する必要がない
ため塗料塗膜を焼付ける際の耐ワキ性も良好である。
【0116】本発明の製造方法によって得られる塗装金
属板は、塗膜外観、塗膜性能などに優れたものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 161/20 C09D 161/20 163/00 163/00 171/08 171/08 175/08 175/08 (72)発明者 会田 陽彦 神奈川県平塚市東八幡4丁目17番1号 関 西ペイント株式会社内 Fターム(参考) 4D075 AE17 BB26Y BB26Z CA13 CA33 DA03 DB02 DB04 DB05 DB07 DC01 DC10 DC11 DC18 DC38 EA07 EA41 EB20 EB22 EB32 EB33 EB35 EB38 EB42 EB45 EB52 EB55 EB56 4F100 AB01A AB03A AB18A AK25C AK41B AK41C AK53B BA03 BA07 BA10A BA10C CA02C EH71A 4J038 CC022 CD092 CF022 CG062 CG142 CG162 DA142 DA162 DA172 DB032 DB052 DB062 DB112 DB152 DB222 DB262 DD042 DF011 DG131 DG271 DG281 DG291 DG301 DL032 FA212 GA03 GA06 GA08 GA15 JA75 JC32 KA03 MA14 NA26 PA14 PA19 4K044 AA02 AA03 AA06 AB02 BA06 BA10 BA15 BA17 BA21 BB04 BC04 CA02 CA11 CA16 CA18 CA53 CA62

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 長尺状の金属板上にプライマー塗料を塗
    装し硬化させてプライマー塗膜を形成した後、連続的に
    移送される該金属板のプライマー塗膜上に下記の上塗塗
    料を塗装し焼付けることを特徴とする塗装金属板の製造
    方法。上塗塗料 〔A〕(a)下記式(1) 【化1】 式中、R1 は水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル
    基を表し、3個のR2 は 同一又は異なって、それぞれ
    炭素原子数1〜4のアルキル基を表す、で示されるオル
    トエステル、 (b)α−グリコール及びβ−グリコールから選ばれる
    少なくとも1種のグリコール 化合物、及び (c)1分子中に少なくとも2個の水酸基を有する上記
    (b)以外の水酸基含有化合物、を反応させてなるポリ
    オルトエステルと、 〔B〕水酸基と反応性を有する基を1分子中に少なくと
    も2個有する化合物、を含有する上塗塗料。
  2. 【請求項2】 プライマー塗料が、エポキシ樹脂系プラ
    イマー、ポリエステル樹脂系プライマー又はエポキシ変
    性ポリエステル樹脂系プライマーである請求項1記載の
    製造方法。
  3. 【請求項3】 オルトエステル(a)が、オルトギ酸メ
    チル、オルトギ酸エチル、オルト酢酸メチル及びオルト
    酢酸エチルから選ばれる少なくとも1種の化合物である
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 水酸基含有化合物(c)が、分子量90
    〜3,000の範囲内にあり、かつ水酸基価が60〜
    1,850の範囲内にあることを特徴とする請求項1〜
    3のいずれか一項に記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 水酸基含有化合物(c)中の水酸基が、
    オルトエステル(a)とグリコール化合物(b)とで構
    成される5員環又は6員環のオルトエステルによってブ
    ロックされてなることを特徴とする請求項1〜4のいず
    れか一項に記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 化合物〔B〕が、ポリイソシアネート化
    合物、アミノ樹脂、エポキシ基含有化合物及びポリ酸化
    合物から選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項
    1〜5のいずれか一項に記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 上塗塗料が、さらに、10〜250mg
    KOH/gの範囲内の水酸基価及び1,000〜30,
    000の範囲内の数平均分子量を有する水酸基含有ポリ
    マー〔C〕を含有することを特徴とする請求項1〜6の
    いずれか一項に記載の製造方法。
  8. 【請求項8】 水酸基含有ポリマー〔C〕が、ポリエス
    テル樹脂、シリコーンポリエステル樹脂及びアクリル樹
    脂から選ばれる少なくとも1種のポリマーである請求項
    7記載の製造方法。
  9. 【請求項9】 上塗塗料におけるポリオルトエステル
    〔A〕、硬化剤〔B〕及び水酸基含有ポリマー〔C〕の
    配合割合が、〔A〕、〔B〕及び〔C〕成分の固形分合
    計100重量部に基いて、〔A〕成分が1〜95重量
    部、〔B〕成分が5〜40重量部、及び〔C〕成分が0
    〜89重量部の範囲内にある請求項1〜8のいずれか一
    項に記載の製造方法。
JP2000112705A 2000-04-13 2000-04-13 塗装金属板の製造方法 Pending JP2001295070A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000112705A JP2001295070A (ja) 2000-04-13 2000-04-13 塗装金属板の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000112705A JP2001295070A (ja) 2000-04-13 2000-04-13 塗装金属板の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001295070A true JP2001295070A (ja) 2001-10-26

Family

ID=18624819

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000112705A Pending JP2001295070A (ja) 2000-04-13 2000-04-13 塗装金属板の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001295070A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2011506714A (ja) ウレトジオン基含有成分を有するデュアルキュア配合物
KR100447477B1 (ko) 도료 조성물 및 이 도료 조성물로 형성된 도막을 갖는도장 금속판
EP1225172B1 (en) Polyorthoester and curable composition containing the same
JP3616996B2 (ja) 第3級カルバメート結合を有するヒドロキシ官能性ウレタン
US6458463B1 (en) Automotive bodies provided with multilayer coating film
JP5247121B2 (ja) 看板用または内装板用の塗膜形成方法および多層複合板
JP3469791B2 (ja) 塗料組成物及びこの組成物からの塗膜を有する塗装金属板
JP4766727B2 (ja) 塗料組成物及びこの組成物を用いた塗装金属板
JP2001302968A (ja) 艶消し塗料組成物
JP3522377B2 (ja) 耐汚染性に優れた塗膜を形成可能な塗料組成物
JP4750918B2 (ja) シリケート化合物の製造方法および塗料組成物
JP2002047445A (ja) 塗料組成物およびそれを用いた塗装鋼板
JPH10204375A (ja) 塗料組成物及びこれを用いた塗装金属板
JP2000007984A (ja) 塗料組成物及び塗装鋼板
JP2002035676A (ja) 塗装仕上げ方法
JP2001295070A (ja) 塗装金属板の製造方法
JP4184561B2 (ja) 塗料組成物及びこの組成物からの塗膜を有する塗装金属板
JP2024503628A (ja) t-ブチルカルバメート及びスズ触媒を用いてカルバメート官能性材料を製造するための方法
JP3522376B2 (ja) 耐汚染性に優れた塗膜を形成できる塗料組成物
JP2902725B2 (ja) 耐候性に優れた無黄変型ウレタン塗料用樹脂
JP5841412B2 (ja) 塗装体、金属用塗料組成物及びその塗装方法
JP2002212498A (ja) ユズ肌状塗膜形成用塗料組成物
JP2001163940A (ja) 硬化性組成物
JP2001163922A (ja) ポリオルトエステル及びそれを用いた硬化性組成物
JP2001151843A (ja) 硬化性組成物