JP2001294599A - 組み換えb型肝炎ウィルス表面抗原 - Google Patents

組み換えb型肝炎ウィルス表面抗原

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JP2001294599A
JP2001294599A JP2000110947A JP2000110947A JP2001294599A JP 2001294599 A JP2001294599 A JP 2001294599A JP 2000110947 A JP2000110947 A JP 2000110947A JP 2000110947 A JP2000110947 A JP 2000110947A JP 2001294599 A JP2001294599 A JP 2001294599A
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JP
Japan
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recombinant
hbs
antigen
gene
hepatitis
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Application number
JP2000110947A
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English (en)
Inventor
Masahiro Furuya
昌弘 古谷
Akiko Tougi
彰子 東儀
Atsushi Doi
淳 土居
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アジア人、特に日本人の抗HBs抗体検出に
有効であり、安定した品質を有し、更に安価である組み
換えHBs抗原を提供する。 【解決手段】 組み換えadr型B型肝炎ウィルス表面
抗原及び組み換えadw型B型肝炎ウィルス表面抗原か
らなる組み換えB型肝炎ウィルス表面抗原。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、抗B型肝炎ウィル
ス抗体検査に使用可能で安価に提供でき得る組み換えB
型肝炎ウィルス表面抗原に関する。
【0002】
【従来の技術】B型肝炎ウィルス表面抗原(以下、HB
s抗原という)には大きく分けてadr、adw、ay
r、aywの4つのサブクラスの存在が知られており、
アジア、特に日本人から検出されるHBs抗原の70%
をadr型が占めており、残り30%はadw型であ
る。
【0003】B型肝炎ウィルス感染の検定法の一つに血
液中の抗HBs抗体を検出する方法がある。これには、
患者プール血清から精製されたHBs抗原を用いる方法
が行われているが、この方法には、抗原の品質が不安定
である、感染の危険性がある、また、高価であるといっ
た問題がある。
【0004】このため、酵母や動物細胞を宿主として生
産させた組み換えHBs抗原を用いる方法が提案された
が、従来は単一のサブクラスのHBs抗原で構成された
組み換えHBs抗原しかなく、アジア人、特に日本人の
抗HBs抗体検査では偽陰性と判断されることがあり不
向きであった。
【0005】
【本発明が解決する課題】本発明は、上記現状に鑑み、
アジア人、特に日本人の抗HBs抗体検出に有効であ
り、安定した品質を有し、更に安価である組み換えHB
s抗原を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決する手段】本発明は、組み換えadr型B
型肝炎ウィルス表面抗原及び組み換えadw型B型肝炎
ウィルス表面抗原からなる組み換えB型肝炎ウィルス表
面抗原である。以下に本発明を詳述する。
【0007】本発明の組み換えHBs抗原は、組み換え
adr型HBs抗原及び組み換えadw型HBs抗原か
らなる。本発明の組み換えHBs抗原としては、組み換
えadr型HBs抗原サブユニット及び組み換えadw
型HBs抗原サブユニットが含まれていれば特に限定さ
れず、HBs抗原S領域のみならず、S領域上流のPr
e−S1、Pre−S2領域のタンパク質を有していて
もよく、有していなくてもよい。本発明の組み換えHB
s抗原としては、ホモ組み換えadr型HBs抗原粒子
及びホモ組み換えadw型HBs抗原粒子からなる混合
物(以下、adr/wHBsという)や、組み換えad
r型HBs抗原サブユニットと組み換えadw型HBs
抗原サブユニットとから構成されるヘテロ組み換えHB
s抗原粒子(以下、adrwHBsという)等が挙げら
れる。
【0008】天然型のHBs抗原は、同一のHBs抗原
サブユニットが複数集合してなる直径約20〜25nm
の球状粒子であり、本発明の組み換えHBs抗原もホモ
又はヘテロなサブユニットが集合して類似の粒子構造を
形成する。上記ホモ組み換えadr型HBs抗原粒子
は、組み換えadr型HBs抗原サブユニットのみの集
合体からなるものであり、ホモ組み換えadw型HBs
抗原粒子は、組み換えadw型HBs抗原サブユニット
のみの集合体からなるものである。上記ヘテロ組み換え
HBs抗原粒子は、組み換えadr型HBs抗原サブユ
ニットと組み換えadw型HBs抗原サブユニットとが
混在して抗原粒子を構成してなるものである。
【0009】本発明の組み換えHBs抗原を調製する方
法としては、例えば、以下ような方法が挙げられる。ま
ず、発現ベクターのプロモーター下流に組み換えadr
型HBs抗原又は組み換えadw型HBs抗原をコード
する遺伝子を各々挿入し、発現プラスミドを得る。得ら
れた発現プラスミドにより宿主を形質転換し形質転換体
を得る。得られた形質転換体にて組み換えadr型HB
s抗原サブユニットと組み換えadw型HBs抗原サブ
ユニットを別々に発現させる。
【0010】adr/wHBsを調製する場合は、得ら
れた組み換えadr型HBs抗原サブユニットと組み換
えadw型HBs抗原サブユニットとを精製後、それら
を混合するか、又は、得られた組み換えadr型HBs
抗原サブユニットと組み換えadw型HBs抗原サブユ
ニットとを、別々に、変性剤で変性後、希釈又は透析す
ることによって、各抗原サブユニットを再構成する。各
抗原サブユニットは、再構成後、自発的に集合し抗原粒
子を形成する。
【0011】adrwHBsを調製する場合は、得られ
た組み換えadr型HBs抗原サブユニットと組み換え
adw型HBs抗原サブユニットとを変性剤で変性後、
両者を混合し、希釈又は透析することによって、各抗原
サブユニットを再構成する。
【0012】adrwHBsを発現産物として直接得る
方法としては、adr型HBs抗原サブユニット発現ユ
ニットとadw型HBs抗原サブユニット発現ユニット
とを同一発現プラスミド上で連結させ、宿主にて発現さ
せることが挙げられる。又は、互いに異なる複製領域と
薬剤耐性遺伝子を含む2種の発現ベクターに、adr型
HBs抗原サブユニット発現ユニットとadw型HBs
抗原サブユニット発現ユニットとをそれぞれ単独で挿入
し、2種の発現プラスミドを作製し、得られた2種の発
現プラスミドで単一の宿主を形質転換し、2種の薬剤の
存在化で両プラスミドを安定的に複製させ、同一宿主内
で両遺伝子を発現させることによってもadrwHBs
が発現産物として得られる。
【0013】上記の組み換えadr型HBs抗原又は組
み換えadw型HBs抗原遺伝子としては、感染患者か
ら分離されるB型肝炎ウイルスのゲノムDNAからクロ
ーン化したものを用いることが可能である。また、化学
合成と遺伝子工学的手法との組み合わせによって調製さ
れる合成遺伝子を使用することも可能である。
【0014】本発明の組み換えHBs抗原遺伝子を調製
する方法としては特に限定されず、例えば、PCRを用
いる方法等が挙げられ、ゲノムDNAからクロー化する
場合は、例えば、ゲノムDNAを鋳型として、適当な制
限酵素サイトを含むように一部の塩基配列を合成してP
CR用プライマーを作製し、それを用いたPCR法によ
って調製する方法等を用いることができる。
【0015】本発明の組み換えHBs抗原の調製におい
て、上記宿主としては特に限定されず、例えば、大腸菌
等の細菌、酵母、昆虫、動物細胞等が挙げられる。なか
でも、培養日数が短い点及び培養操作が簡便で、安価に
生産できる点から、細菌又は酵母が好ましい。
【0016】上記宿主として大腸菌を用いる場合、例え
ば、T7、lac、trc等のプロモーターを有する発
現ベクターに、クローン化した組み換えHBs抗原遺伝
子を挿入し、発現プラスミドを作製することができる。
【0017】上記宿主として酵母を用いる場合、酵母と
してはメタノール資化性酵母Pichia pasto
lisを用いるのが好ましい。Pichia past
olisによりHBs抗原遺伝子を発現させる方法とし
ては、酵母のアルコールオキシダーゼ遺伝子のプロモー
ター(PAOX)及びターミネーターを含む大腸菌・酵
母シャトルベクターにHBs抗原遺伝子を挿入したプラ
スミドベクターを大腸菌により調製し、得られたプラス
ミドベクターを適当な制限酵素にて一本鎖化した後、そ
れを用いて酵母を形質転換し、PAOX領域を介して、
酵母ゲノム上にHBs抗原遺伝子を挿入する方法等が挙
げられる。
【0018】また、adr型HBs抗原遺伝子又はad
w型HBs抗原遺伝子を一旦、別々のプラスミドベクタ
ーに挿入し、それぞれを一本鎖化した後に一回目の形質
転換はadrHBs遺伝子を含む断片で、2回目の形質
転換はadwHBs遺伝子を含む断片でというように形
質転換操作を更に繰り返し行うことによって、異なるサ
ブクラスの抗原遺伝子を複数同時に発現させる酵母を育
種することが可能となる。更に、形質転換操作を繰り返
したり、発現ユニットを複数有するシャトルベクターを
用いることによって発現効率を高めることができる。
【0019】発現した組み換えHBs抗原を精製する方
法としては特に限定されず、例えば、硫安分画、ゲル濾
過カラムクロマトグラフィー、イオン交換カラムクロマ
トグラフィー、疎水カラムクロマトグラフィー等の常法
により行うことができる。上記変性剤としては特に限定
されず、例えば、尿素、塩酸グアニン等が挙げられる。
変性したHBs抗原の透析は、常法に従い行うことがで
きる。
【0020】本発明の組み換えHBs抗原の調製方法に
おいては、組み換えHBs抗原に高次構造を形成させる
際に、タンパク質折り畳み因子を作用させることが好ま
しい。上記タンパク質折り畳み因子としては、タンパク
質ジスルフィド結合異性化酵素(以下、PDIとい
う)、分子シャペロン、ペプチジルプロリルシストラン
スイソメラーゼ(以下、PPIaseという)等が挙げ
られる。これらのタンパク質折り畳み因子は単独で用い
ても、2種以上を併用してもよい。
【0021】上記の種々のタンパク質折り畳み因子を作
用させる1の態様としては、本発明の組み換えHBs抗
原とタンパク質折り畳み因子とを宿主中で共発現させる
ことが挙げられる。タンパク質折り畳み因子はタンパク
質の正常な立体構造形成の効率を向上させるので、タン
パク質折り畳み因子と本発明の組み換えHBs抗原とを
宿主中で共発現させることにより、正しい構造を有する
抗原を高収率で得ることが可能となる。なお、本明細書
中において、共発現とは2種以上の遺伝子を宿主中で発
現させることを意味する。
【0022】上記宿主として大腸菌を使用する場合、例
えば、クローン化した組み換えHBs抗原遺伝子をpB
R系のT7プロモーター等を有する発現ベクターに挿入
してHBs抗原発現プラスミドを作製し、一方、pBR
系ベクターと共存可能であるpACYCベクター等に、
T7プロモーター、ターミネーター等とともにPID遺
伝子、PPIase遺伝子、シャペロン遺伝子等のタン
パク質折り畳み因子の遺伝子を導入する。HBs遺伝子
発現プラスミド及びタンパク質折り畳み因子の遺伝子発
現プラスミドに、互いに異なる任意の薬剤耐性遺伝子を
導入することによって、2種の発現プラスミドを大腸菌
内で維持させることが可能となる。
【0023】上記の種々のタンパク質折り畳み因子を作
用させる他の態様としては、変性剤で変性させた本発明
の組み換えHBs抗原を再構成させる際に、上記の種々
のタンパク質折り畳み因子を共存させることが挙げられ
る。本発明の組み換えHBs抗原を再構成させる際に上
記の種々のタンパク質折り畳み因子を共存させることに
よって再構成の効率を向上させることができる。本発明
の組み換えHBs抗原とタンパク質折り畳み因子とを共
存させる方法としては、例えば、透析を行う際に、本発
明の組み換えHBs抗原に上記タンパク質折り畳み因子
を加えることにより、上記タンパク質折り畳み因子の存
在下で本発明の組み換えHBs抗原の再構成を行うこと
等が挙げられる。
【0024】上記タンパク質ジスルフィド結合異性化酵
素は、酸化還元剤存在下でタンパク質のジスルフィド結
合の組み換えを促進する。上記タンパク質ジスルフィド
結合異性化酵素は、ほとんど全ての生物に存在し、数多
くのその遺伝子がクローン化されており、これらを利用
することが可能である。例えば、真核生物では、プロテ
ィンジサルフィドイソメラーゼがあり、バクテリアで
は、プロティンジサルフィドイソメラーゼの活性モチー
フを有するチオレドキシンであるDsbファミリーが存
在する。
【0025】上記Dsbファミリーとは、分泌タンパク
質に正しいジスルフィド結合を架けるために働く因子群
(disulfide bond formation
factor)であり、大腸菌の細胞質膜及びペリプ
ラズムには、DsbA、DsbB、DsbC、DsbD
が存在している。DsbAはジスルフィド結合導入触媒
因子、DsbBはDsbAのリサイクリング因子、Ds
bCはジスルフィド結合異性化因子、DsbDはDsb
C因子の還元因子として分類されている(曾根、伊藤
蛋白質・核酸・酵素 43 1998)。上記DsbA
は、189残基からなるペリプラズムタンパク質であ
り、チオレドキシンの酸化還元活性部位に類似した配列
を有する。精製されたDsbAは、in vitroで
様々なタンパク質のジスルフィド結合を促進する(Ak
iyama,Y.,Kamitani,S.,Kusu
kawa,N.and Ito,K.,J.Biol.
Chem.,267,1992)。上記DsbCは、シ
ステイン4個をもつぺリプリズムタンパク質で、2量体
として存在する(Missiakas,D.,Gero
gopoulos,C.,Raina,S.,EMBO
J.,13,1994)。精製されたDsbCタンパ
ク質には、高いジスルフィド結合異性活性が認められて
いる(Zapun,A.,Missiakas,D.,
Raina,S.and Crreighton,T.
E.,Biochemistry,34,1995)。
【0026】上記タンパク質ジスルフィド結合異性化酵
素遺伝子を調製する方法としては、上記HBs抗原遺伝
子の調製方法として例示した方法等が挙げられる。例え
ば、ゲノムDNAを鋳型として、適当な制限酵素サイト
を含むように一部の塩基配列を合成してPCR用プライ
マーを作製し、それを用いたPCR法によって調製する
ことができる。
【0027】上記タンパク質ジスルフィド結合異性化酵
素遺伝子の塩基配列としては、例えば、哺乳類由来のP
DIがEdman,J.S.,Ellis,L.,Bl
acher,R.W.ZRoth,R.A.and R
utter,W.J.,Nature,317,198
5等に報告されている。
【0028】上記PPIaseとは、プロリン残基のN
末端側ペプチド結合の回転を促進する作用を有する酵素
である。上記PPIaseは、ほとんど全ての生物に存
在し、その遺伝子の数多くのものがクローン化されてい
るので、これらを利用することが可能である。ゲノム解
析の結果から、古細菌は、1つの生物で1種又は2種の
PPIaseしか有していないことがわかっているのに
対して、大腸菌では少なくとも7種類のPPIaseを
有するので、古細菌由来のPPIaseは、種々のタン
パク質の折り畳み反応に適応できるものと推測できる。
従って、本発明の組み換え型HBs抗原の調製方法にお
いては、古細菌由来のPPIase遺伝子が好ましい。
【0029】上記古細菌としては特に限定されず、例え
ば、スルホロバス(Sulfolobus)属、デスル
ホロコッカス(Desulfurococcus)属、
ピロディクティム(Pyrodictium)属、サー
モフィラス(Thermofilum)属、サーモプロ
テウス(Thermoproteus)属、ピロバキュ
ラム(Pyrobaculm)属、ピロコッカス(Py
rococcus)属、メサノバクテリウム(Meth
anobacterium)属、メタノコッカス(Me
thanococcus)属、メサノピラス(Meth
anopyrus)属、メサノサーマス(Methan
othermus)属、アーキアブロブス(Archa
eoglobus)属、ハロバクテリウム(Halob
acterium)属、メサノプラナス(Methan
oplanus)属、メサノスピリラム(Methan
ospirillum)属、メサノサルシア(Meth
anosarcina)属等が挙げられる。上記古細菌
由来のPPIaseのなかでも、メタノコッカス属であ
るメタノコッカス・サーモリソトロフィカス(Meth
anococcus themolithotroph
icus)及びメタノコッカス・ボルタエ(Metha
nococcus voltae)由来のPPIase
は、他のPPIaseが有するペプチジルプロリンシス
−トランス異性化作用及びポリペプチド鎖の折り畳み作
用だけでなく、シャペロニン様のタンパク質の不可逆的
凝集抑制作用も併せ持ち、組み換えHBs抗原を安定化
する効果が大きいので好ましい。
【0030】上記PPIase遺伝子を調製する方法と
しては、上記HBs抗原遺伝子の調製方法として例示し
た方法等が挙げられる。例えば、上記古細菌由来のPP
Iase遺伝子として、メタノコッカス・サーモリソト
ロフィカス(Methanococuus therm
olithotrophicus:ATCC3509
7)由来のものを使用する場合、そのDNA配列は特開
平10−91号公報に記載されており、それを利用する
ことができる。また、工業技術院生命工学工業技術研究
所にFERM P−15622として寄託されているプ
ラスミドpUFKC1を鋳型として、適当な制限酵素サ
イトを含むように一部の塩基配列を合成してPCR用プ
ライマーを作製し、それを用いたPCR法によって、メ
タノコッカス・サーモリソトロフィカス由来PPIas
e遺伝子を得ることもできる。
【0031】上記分子シャペロンは、熱ショックタンパ
ク質の一種であり、細胞が温度変化等の様々な環境スト
レスに曝された際に生産され、ATP存在下、タンパク
質の折り畳みや安定化に関与することが知られている。
上記分子シャペロンとしては、バクテリア型のGrou
pI型、並びに、真核生物及び古細菌型のGroupI
I型シャペロンが知れられているが、GroupI型シ
ャペロンであるGroELは別の因子であるGroES
の助けを必要とする。一方、GroupII型のなかで
も古細菌由来の分子シャペロンは、GroES分子がな
くても充分にその機能を発現することができる(Fur
utani et al.,1998,J.Biol.
Chem.,273,28399−28407)ので、
古細菌由来のものを用いることが好ましい。
【0032】上記古細菌としては特に限定されず、例え
ば、スルホロバス(Sulfolobus)属、デスル
ホロコッカス(Desulfurococcus)属、
ピロディクティム(Pyrodictium)属、サー
モフィラス(Thermofilum)属、サーモプロ
テウス(Thermoproteus)属、ピロバキュ
ラム(Pyrobaculm)属、ピロコッカス(Py
rococcus)属、メサノバクテリウム(Meth
anobacterium)属、メタノコッカス(Me
thanococcus)属、メサノピラス(Meth
anopyrus)属、メサノサーマス(Methan
othermus)属、アーキアブロブス(Archa
eoglobus)属、ハロバクテリウム(Halob
acterium)属、メサノプラナス(Methan
oplanus)属、メサノスピリラム(Methan
ospirillum)属、メサノサルシア(Meth
anosarcina)属等が挙げられる。
【0033】上記分子シャペロン遺伝子を調製する方法
としては、上記HBs抗原遺伝子の調製方法として例示
した方法等が挙げられる。例えば、上記古細菌由来のシ
ャペロン遺伝子として、上記メタノコッカス属のメタノ
コッカス・サーモリソトロフィカス(Methanoc
ocuus thermolithotrophicu
s:ATCC35097)由来のものを使用する場合、
「Furutani,M.et al.,J.Bio
l.Chem.,1998,273,28399」に記
載のDNA塩基配列を利用することができる。
【0034】また、上記古細菌メタノコッカス・サーモ
リソトロフィカスについては、工業技術院生命工学工業
技術研究所に寄託番号FERM P―16438として
寄託されているプラスミドpETTSIを鋳型として、
適当な制限酵素サイトを含むように一部の塩基配列を合
成してPCR用プライマーを作製し、それを用いたPC
R法によって、メタノコッカス・サーモリソトロフィカ
ス由来シャペロン遺伝子を得ることもできる。
【0035】
【実施例】以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説
明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるもの
ではない。
【0036】実施例1 配列番号1に示されるadr型HBs抗原S領域をコー
ドする遺伝子をNdeI−BamHIで切断後、同制限
酵素処理が施されたT7プロモーターを有する発現ベク
ターに導入し、pTrHBを作製した。配列番号2に示
されるadw型HBs抗原S領域をコードする遺伝子を
NdeI−BamHIで切断後、同制限酵素処理が施さ
れたT7プロモーターを有する発現ベクターに導入し、
pTwHBを作製した。pTwHBをBglII−Ba
mHI処理することによってadw型HBs遺伝子の発
現ユニットを切り出し、回収した。これと、BamHI
処理及び、大腸菌由来アルカリフォスファターゼ(BA
P)による脱リン酸化処理が施されたpTrHBをリガ
ーゼによって連結することによって両サブユニット遺伝
子を同時に発現させる発現ベクターpTrwHBを作製
した。
【0037】一方、大腸菌DsbA遺伝子を含有するT
7プロモーター系の発現ベクターpTDAをBglII
−BamHI処理することによって本酵素遺伝子発現系
を切り出し、回収した。これと、BglII処理及び、
大腸菌由来アルカリフォスファターゼによる脱リン酸化
処理が施されたpTrwHBをリガーゼによって連結さ
せることによって、adr型HBs遺伝子、adw型H
Bs遺伝子及びDsbA遺伝子を同時に発現させる発現
ベクターpTrwHBDAを作製した。
【0038】発現ベクターpTrwHBDAを保持する
大腸菌をカルベニシリン(100μg/ml)を含む2
XYT培地(トリプトン20g、酵母エキス8g、Na
Cl5g/L)にてOD600nmが0.6−1.0ま
で37℃で培養した後、0.1mMIPTGを添加する
ことによって発現を誘導した。IPTG添加後、更に4
時間培養を行い、菌体を回収した。
【0039】大腸菌を回収後、超音波破砕によって破砕
し、上清を回収した。上清に35%飽和硫安を添加し、
4℃で3時間放置した後、遠心分離によって沈殿画分を
回収する。沈殿画分を20%硫安を含む、50mMK2
/Kリン酸緩衝液(pH7.5)に溶解後、フェニルセ
ファロース担体による疎水クロマトグラフィーによって
分離した。各画分について「HBs抗原測定用EIAキ
ット、エンザイグノストHBsAgmonoclona
l」(ヘキスト・ベーリングダイアグノティック社)を
用いるEIAによってHBsの存在する画分を回収し
た。回収したHBs画分をSDS−PAGEによる分析
を行った結果、ほぼ純粋なHBsタンパク質であること
が判明した。
【0040】本実施例で得られた組み換えadrwHB
s抗原が固相化された96穴プレートを用いてB型肝炎
感染患者抗体陽性血清50件体について抗HBs抗体検
査を行った。検査結果を表1に示す。組み換え型adr
wHBs抗原によって100%の確率で抗HBs抗体が
検出可能であった。50件体B型肝炎感染患者抗体陽性
血清は患者プール血清から精製された固相化HBs抗原
を用いるEIAによって陽性であったものを用いた。こ
のことから、本発明によって得られる組み換えadrw
HBs抗原は、診断薬として患者由来HBs抗原と同レ
ベルの性能を示すことがわかった。
【0041】実施例2 古細菌メタノコッカス・サーモリソトロフィックス由来
ペプチジルプロリルシストランスイソメラーゼ遺伝子
(Furutani et al.J.Bacteri
ol.1998,190,388−394)を含有する
T7プロモーター系の発現ベクターpTMtCpnをB
glII−BamHI処理することによってPPIas
e遺伝子発現系を切り出し、回収した。これと、Bam
HI処理及び、大腸菌由来アルカリフォスファターゼ
(BAP)による脱リン酸化処理が施された実施例1で
得られたpTrwHBDAをリガーゼによって連結する
ことによって両サブユニット、DsbA及びPPIas
e遺伝子を同時に発現させる発現ベクターpTrwHB
DAFKを作製した。
【0042】得られた発現ベクターpTrwHBDAF
Kを保持する大腸菌を実施例1と同様にして培養し、菌
体を回収した。大腸菌を回収後、実施例1と同様にして
HBsの存在する画分を回収した。回収したHBs画分
をSDS−PAGEによる分析を行った結果、ほぼ純粋
なHBsタンパク質であることが判明した。可溶性画分
でのHBsの発現量は実施例1での発現ベクターpTr
wHBDAを用いる場合より上昇した。
【0043】本実施例で得られた組み換えadrwHB
s抗原が固相化された96穴プレートを用いてB型肝炎
感染患者抗体陽性血清50件体について抗HBs抗体検
査を行った。検査結果を表1に示す。組み換え型adr
wHBs抗原によって100%の確率で抗HBs抗体が
検出可能であった。50件体B型肝炎感染患者抗体陽性
血清は患者プール血清から精製された固相化HBs抗原
を用いるEIAによって陽性であったものを用いた。こ
のことから、本発明によって得られる組み換えadrw
HBs抗原は、診断薬として患者由来HBs抗原と同レ
ベルの性能を示すことがわかった。
【0044】実施例3 配列番号1に示されるadr型HBs抗原S領域をコー
ドする遺伝子をNdeI−BamHIで切断後、同制限
酵素処理が施されたT7プロモーターを有する発現ベク
ターに導入し、pTrHBを作製した。大腸菌DsbA
遺伝子を含有するT7プロモーター系の発現ベクターp
TMtFKをBglII−BamHI処理することによ
って本酵素遺伝子発現系を切り出し、回収した。これ
と、BglII処理及び、大腸菌由来アルカリフォスフ
ァターゼによる脱リン酸化処理が施されたpTrHBを
リガーゼによって連結させることによって、adr型H
Bs遺伝子及び、DsbA遺伝子を同時に発現させる発
現ベクターpTrHBDAを作製した。
【0045】配列番号2に示されるadw型HBs抗原
S領域をコードする遺伝子をNdeI−BamHIで切
断後、同制限酵素処理が施されたT7プロモーターを有
する発現ベクターに導入し、pTwHBを作製した。大
腸菌DsbA遺伝子を含有するT7プロモーター系の発
現ベクターpTMtFKをBglII−BamHI処理
することによって本酵素遺伝子発現系を切り出し、回収
した。これと、BglII処理及び、大腸菌由来アルカ
リフォスファターゼによる脱リン酸化処理が施されたp
TrHBをリガーゼによって連結させることによって、
adw型HBs遺伝子及び、DsbA遺伝子を同時に発
現させる発現ベクターpTwHBDAを作製した。
【0046】得られた発現ベクターpTrHBDAを保
持する大腸菌を実施例1と同様にして培養し、菌体を回
収した。大腸菌を回収後、実施例1と同様にしてHBs
の存在する画分を回収した。回収したHBs画分をSD
S−PAGEによる分析を行った結果、ほぼ純粋なad
rHBsタンパク質であることが判明した。
【0047】得られた発現ベクターpTwHBDAを保
持する大腸菌も、また、実施例1と同様にして培養し、
菌体を回収した。大腸菌を回収後、実施例1と同様にし
てHBsの存在する画分を回収した。回収したHBs画
分をSDS−PAGEによる分析を行った結果、ほぼ純
粋なadwHBsタンパク質であることが判明した。
【0048】このようにして得られた、組み換え型ad
rHBs及びadwHBsを2:1で混合し、adr/
wHBs抗原とした。本実施例で得られる、組み換えa
dr/wHBs抗原が固相化された96穴プレートを用
いてB型肝炎感染患者抗体陽性血清50件体について抗
HBs抗体検査を行った。検査結果を表1に示す。組み
換え型adr/wHBs抗原によって100%の確率で
抗HBs抗体が検出可能であった。50件体B型肝炎感
染患者抗体陽性血清は患者プール血清から精製された固
相化HBs抗原を用いるEIAによって陽性であったも
のを用いた。このことから、本発明によって得られる組
み換えadr/wHBs抗原は、診断薬として患者由来
HBs抗原と同レベルの性能を示すことがわかった。
【0049】実施例4 酵母・大腸菌シャトルベクターpAO815(インビト
ロジェン社)のEcoRI切断部位にadrHBs遺伝
子が導入されたベクターpArHBsを構築した。本プ
ラスミドを大量回収後、BglII−BamHIによっ
て切断し、adrHBs遺伝子発現ユニットを電気泳動
によって分離回収した。回収された発現ユニット断片を
リガーゼによる連結反応を行った後、BglII−Ba
mHIにように切断を行い、Head to Tail
で発現ユニットが3つ連結した約6.5Kbの遺伝子を
得た。これを電気永動で分離回収後、BamHI処理及
びBAP処理が施されたpArHBsに導入し、adr
HBs遺伝子発現ユニットが一方向に4回連結したベク
ターpA4rHBsを得た。
【0050】一方、酵母・大腸菌シャトルベクターpA
O815のEcoRI切断部位にadwHBs遺伝子が
導入されたベクターpAwHBsを構築した。本プラス
ミドを大量回収後、BglII−BamHIによって切
断し、adwHBs遺伝子発現ユニットを電気泳動しよ
って分離回収した。回収された発現ユニット断片をリガ
ーゼによる連結反応を行った後、BglII−BamH
Iにようる切断を行い、Head to Tailで発
現ユニットが3つ連結した約6.5Kbの遺伝子を得
た。これを電気永動で分離回収後、BamHI処理及び
BAP処理が施されたpAwHBsに導入し、adwH
Bs遺伝子発現ユニットが一方向に4回連結したベクタ
ーpA4wHBsを得た。
【0051】このように構築されたpA4wHBsを大
量調製後、BglII−BamHI切断し、4回繰り返
される約9.5KbのadwHBs遺伝子発現ユニット
を電気泳動によって分離回収した。これを、BamHI
処理及びBAP処理が施されたpAr4HBsに導入
し、adrHBs遺伝子発現ユニット及びadwHBs
遺伝子発現ユニットがともに一方向に4回連結したベク
ターpA4rwHBsを得た。
【0052】構築されたベクターpA4rwHBsを大
量調製し、SacIによる切断によって一本鎖とした。
得られた一本鎖pA4rwHBsをメタノール資化性酵
母Pichia pastorisGS115株に形質
転換を行いヒスチジンを含まない完全合成培地にてクロ
ーンを選択した。生育したクローンP.pastori
sGS4rwHBをMD培地(1.34%Yeast
nitrogenbase,4X10−5Bioti
n,2%dextrose)にて培養後、ゲノムを回収
し、ゲノムをBglII−BamHIで完全消化した
後、ジオキシゲニン標識されたadwHBs遺伝子をプ
ローブとして用いるサザンハイブリダイゼーションによ
って、約18〜19kDaの単一遺伝子バンドが強く検
出された。これによって、adrHBs遺伝子発現ユニ
ット及びadwHBs遺伝子発現ユニットがともに一方
向に4回連結した領域がゲノムに取り込まれていること
が確認できた。
【0053】P.pastorisGS4rwHB株を
MGY培地(1.34%Yeastnitrogenb
ase,1%Glycerol,4X10−5Biot
in)にてOD600nmが2.0になるまで30℃で
培養した後、MM培地(1.34%Yeast nit
rogenbase,4X10−5Biotoin,
0.5%Methanol)にて30℃で培養を5日間
行った。MMに移植してから、毎日最終濃度0.5%の
メタノールを培地に添加した。
【0054】培養終了後、25mlの培養液から菌体を
遠心分離で回収し、菌体を3mlのK2/Kリン酸緩衝
液(pH7.5)にけん濁し、約同量の酸処理されたガ
ラスビーズを添加し、振とうすることによて菌体を破砕
した。遠心分離によって上清を回収し、上清を2mg/
ml濃度にK2/Kリン酸緩衝液(pH7.5)で希釈
した後、35%飽和硫安を添加し、4℃で5時間放置し
た。塩析後、遠心分離によって沈殿を回収し、20%飽
和硫安を含む50mMK2/Kリン酸緩衝液(pH7.
5)に溶解後、フェニルセファロース担体による疎水ク
ロマトグラフィーによって分離した。各画分について
「HBs抗原測定用EIAキット、エンザイグノストH
BsAgmonoclonal」を用いるEIAによっ
てHBsの存在する画分を回収した。回収したHBs画
分をSDS−PAGEによる分析を行った結果、ほぼ純
粋なHBsタンパク質であることが判明した。
【0055】本実施例で得られる、組み換えadrwH
Bs抗原が固相化された96穴プレートを用いて、B型
肝炎感染患者血清50件体について抗HBs抗体検査を
行った。検査結果を表1に示す。酵母で作製した組み換
え型adrwHBs抗原によって100%の確率で抗H
Bs抗体が検出可能であった。このことから、本発明に
よって得られる組み換えadr/wHBs抗原は、診断
薬として患者由来HBs抗原と同レベルの性能を示すこ
とがわかった。
【0056】実施例5 実施例1と同様にしてadr型HBs抗原及びadw型
HBs抗原の両サブユニット遺伝子を同時に発現させる
発現ベクターpTrwHBを作製した。一方、古細菌メ
タノコッカス・サーモリソトロフィックス由来ペプチジ
ルプロリルシストランスイソメラーゼ(PPIase)
遺伝子(Furutani etal.,1998,
J.Bacteriol.,1998,190,388
−394)を含有するT7プロモーター系の発現ベクタ
ーpTMtFKをBglII−BamHI処理すること
によって本酵素遺伝子発現系を切り出し、回収した。こ
れと、BglII処理及び、大腸菌由来アルカリフォス
ファターゼによる脱リン酸化処理が施されたpTrwH
Bをリガーゼによって連結させることによって、adr
型HBs遺伝子、adw型HBs遺伝子及びPPIas
e遺伝子を同時に発現させる発現ベクターpTrwHB
FKを作製した。
【0057】得られた発現ベクターpTrwHBFKを
保持する大腸菌を実施例1と同様にして培養し、菌体を
回収した。大腸菌を回収後、実施例1と同様にしてHB
sの存在する画分を回収した。回収したHBs画分をS
DS−PAGEによる分析を行った結果、ほぼ純粋なH
Bsタンパク質であることが判明した。
【0058】本実施例で得られた組み換えadrwHB
s抗原が固相化された96穴プレートを用いてB型肝炎
感染患者抗体陽性血清50件体について抗HBs抗体検
査を行った。検査結果を表1に示す。組み換え型adr
wHBs抗原によって100%の確率で抗HBs抗体が
検出可能であった。50件体B型肝炎感染患者抗体陽性
血清は患者プール血清から精製された固相化HBs抗原
を用いるEIAによって陽性であったものを用いた。こ
のことから、本発明によって得られる組み換えadrw
HBs抗原は、診断薬として患者由来HBs抗原と同レ
ベルの性能を示すことがわかった。
【0059】実施例6 古細菌メタノコッカス・サーモリソトロフィックス由来
分子シャペロン、HSP60遺伝子(Furutani
et al.,J.Biol.Chem.,199
8,273,28399−28407)を含有するT7
プロモーター系の発現ベクターpTMtCpnをBgl
II−BamHI処理することによってHSP60遺伝
子発現系を切り出し、回収した。これと、BamHI処
理及び、大腸菌由来アルカリフォスファターゼ(BA
P)による脱リン酸化処理が施された実施例5で得られ
たpTrwHBFKをリガーゼによって連結することに
よって両サブユニット、PPIase及びHSP60遺
伝子を同時に発現させる発現ベクターpTrwHBFK
Cpnを作製した。
【0060】得られた発現ベクターpTrwHBFKC
pnを保持する大腸菌を実施例1と同様にして培養し、
菌体を回収した。大腸菌を回収後、実施例1と同様にし
てHBsの存在する画分を回収した。回収したHBs画
分をSDS−PAGEによる分析を行った結果、ほぼ純
粋なHBsタンパク質であることが判明した。可溶性画
分でのHBsの発現量は実施例5での発現ベクターpT
rwHBFKを用いる場合より上昇した。
【0061】本実施例で得られた組み換えadrwHB
s抗原が固相化された96穴プレートを用いてB型肝炎
感染患者抗体陽性血清50件体について抗HBs抗体検
査を行った。検査結果を表1に示す。組み換え型adr
wHBs抗原によって100%の確率で抗HBs抗体が
検出可能であった。50件体B型肝炎感染患者抗体陽性
血清は患者プール血清から精製された固相化HBs抗原
を用いるEIAによって陽性であったものを用いた。こ
のことから、本発明によって得られる組み換えadrw
HBs抗原は、診断薬として患者由来HBs抗原と同レ
ベルの性能を示すことがわかった。
【0062】実施例7 配列番号1に示されるadr型HBs抗原S領域をコー
ドする遺伝子をNdeI−BamHIで切断後、同制限
酵素処理が施されたT7プロモーターを有する発現ベク
ターに導入し、pTrHBを作製した。古細菌メタノコ
ッカス・サーモリソトロフィックス由来ペプチジルプロ
リルシストランスイソメラーゼ(PPIase)遺伝子
を含有するT7プロモーター系の発現ベクターpTMt
FKをBglII−BamHI処理することによって本
酵素遺伝子発現系を切り出し、回収した。これと、Bg
lII処理及び、大腸菌由来アルカリフォスファターゼ
による脱リン酸化処理が施されたpTrHBをリガーゼ
によって連結させることによって、adr型HBs遺伝
子及び、PPIase遺伝子を同時に発現させる発現ベ
クターpTrHBFKを作製した。
【0063】配列番号2に示されるadw型HBs抗原
S領域をコードする遺伝子をNdeI−BamHIで切
断後、同制限酵素処理が施されたT7プロモーターを有
する発現ベクターに導入し、pTwHBを作製した。古
細菌メタノコッカス・サーモリソトロフィックス由来ペ
プチジルプロリルシストランスイソメラーゼ(PPIa
se)遺伝子を含有するT7プロモーター系の発現ベク
ターpTMtFKをBglII−BamHI処理するこ
とによって本酵素遺伝子発現系を切り出し、回収した。
これと、BglII処理及び、大腸菌由来アルカリフォ
スファターゼによる脱リン酸化処理が施されたpTrH
Bをリガーゼによって連結させることによって、adw
型HBs遺伝子及び、PPIase遺伝子を同時に発現
させる発現ベクターpTwHBFKを作製した。
【0064】得られた発現ベクターpTrHBFKを保
持する大腸菌を実施例1と同様にして培養し、菌体を回
収した。大腸菌を回収後、実施例1と同様にしてHBs
の存在する画分を回収した。回収したHBs画分をSD
S−PAGEによる分析を行った結果、ほぼ純粋なad
rHBsタンパク質であることが判明した。
【0065】発現ベクターpTwHBFKを保持する大
腸菌も、また、実施例1と同様にして培養し、菌体を回
収した。大腸菌を回収後、実施例1と同様にしてHBs
の存在する画分を回収した。回収したHBs画分をSD
S−PAGEによる分析を行った結果、ほぼ純粋なad
wHBsタンパク質であることが判明した。
【0066】このようにして得られた、組み換え型ad
rHBs及びadwHBsを2:1で混合し、adr/
wHBs抗原とした。本実施例で得られた組み換えad
r/wHBs抗原が固相化された96穴プレートを用い
てB型肝炎感染患者抗体陽性血清50件体について抗H
Bs抗体検査を行った。検査結果を表1に示す。組み換
え型adr/wHBs抗原によって100%の確率で抗
HBs抗体が検出可能であった。50件体B型肝炎感染
患者抗体陽性血清は患者プール血清から精製された固相
化HBs抗原を用いるEIAによって陽性であったもの
を用いた。このことから、本発明によって得られる組み
換えadr/wHBs抗原は、診断薬として患者由来H
Bs抗原と同レベルの性能を示すことがわかった。
【0067】比較例1 実施例4で調製されたpA4rHB由来HBs遺伝子発
現系が導入された酵母での発現産物が固相化された96
穴プレートを用いてB型肝炎感染患者抗体陽性血清50
件体について抗HBs抗体検査を行った。検査結果を表
1に示す。adrHBsのみを用いると94%の確率で
抗HBs抗体が検出可能であったが、偽陰性が出現する
ことがわかった。
【0068】比較例2 実施例4で調製されたpA4wHB由来HBs遺伝子発
現系が導入された酵母での発現産物が固相化された96
穴プレートを用いてB型肝炎感染患者抗体陽性血清50
件体について抗HBs抗体検査を行った。検査結果を表
1に示す。adwHBsのみを用いると88%の確率で
抗HBs抗体が検出可能であったが、adrHBを用い
る場合より偽陰性が出現しやすくなることがわかった。
【0069】
【表1】
【0070】表1に記載の結果より、実施例の組み換え
HBs抗原は陽性の血清全てと反応したが、比較例1及
び2では、反応しない血清があり、adr型又はadw
型のいずれかの抗原のみを用いた抗体検査では偽陰性が
出現することが示された。
【0071】
【発明の効果】本発明は、上述の構成よりなり、アジア
人、特に日本人の抗HBs抗体検出に有効であり、安定
した品質を有し、更に安価である組み換えHBs抗原を
提供することができる。
【0072】
【配列表】 <110> 積水化学工業株式会社 SEKISUI CHEMICAL CO., LTD. <120> 組み換えB型肝炎ウイルス表面抗原 <130> 00P00735 <160> 2 <210> 1 <211> 678 <212> DNA <213> Type B hepatitis virus <220> <221> CDS <222> 1..678 <400> 1 atg gaa aac act act tct ggt ttc ctg ggt ccg ctg ctg gta ctg cag 48 Met Glu Asn Thr Thr Ser Gly Phe Leu Gly Pro Leu Leu Val Leu Gln 1 5 10 15 gca ggt ttc ttc ctg ctg aca cgt atc ctc aca att cca cag tct ctg 96 Ala Gly Phe Phe Leu Leu Thr Arg Ile Leu Thr Ile Pro Gln Ser Leu 20 25 30 gac tct tgg tgg act tct ctc aat ttt ctg ggt ggt gca ccg act tgc 144 Asp Ser Trp Trp Thr Ser Leu Asn Phe Leu Gly Gly Ala Pro Thr Cys 35 40 45 cct ggc caa aat tct cag tcc cca acc tcc aat cac tct cca acc tct 192 Pro Gly Gln Asn Ser Gln Ser Pro Thr Ser Asn His Ser Pro Thr Ser 50 55 60 tgc cct cca att tgc cct ggc tat cgc tgg atg tgc ctg cgt cgt ttt 240 Cys Pro Pro Ile Cys Pro Gly Tyr Arg Trp Met Cys Leu Arg Arg Phe 65 70 75 80 atc att ttc ctc ttc atc ctg ctg ctg tgc ctc atc ttc ctg ctg gtt 288 Ile Ile Phe Leu Phe Ile Leu Leu Leu Cys Leu Ile Phe Leu Leu Val 85 90 95 ctt ctg gac tac caa ggt atg ctg cca gtt tgc cct ctg ctt cca ggt 336 Leu Leu Asp Tyr Gln Gly Met Leu Pro Val Cys Pro Leu Leu Pro Gly 100 105 110 aca tct acc acc agc act ggt cca tgc aag acc tgc act att cct gct 384 Thr Ser Thr Thr Ser Thr Gly Pro Cys Lys Thr Cys Thr Ile Pro Ala 115 120 125 caa ggt acc tct atg ttt ccg tct tgc tgc tgc aca aaa cct tct gac 432 Gln Gly Thr Ser Met Phe Pro Ser Cys Cys Cys Thr Lys Pro Ser Asp 130 135 140 ggt aac tgc act tgc att ccg atc cca tct tcc tgg gct ttc gca cgt 480 Gly Asn Cys Thr Cys Ile Pro Ile Pro Ser Ser Trp Ala Phe Ala Arg 145 150 155 160 ttc ctg tgg gag tgg gcc tct gtc cgt ttc tcc tgg ctc tct ctg ctg 528 Phe Leu Trp Glu Trp Ala Ser Val Arg Phe Ser Trp Leu Ser Leu Leu 165 170 175 gtg cca ttt gtt cag tgg ttc gta ggt ctg tct ccg act gtt tgg ctg 576 Val Pro Phe Val Gln Trp Phe Val Gly Leu Ser Pro Thr Val Trp Leu 180 185 190 tct gtt att tgg atg atg tgg tat tgg ggt cca tct ctg tac aac atc 624 Ser Val Ile Trp Met Met Trp Tyr Trp Gly Pro Ser Leu Tyr Asn Ile 195 200 205 ctg tct ccg ttt ctg cct ctg ctg cca att ttc ttc tgc ctt tgg gta 672 Leu Ser Pro Phe Leu Pro Leu Leu Pro Ile Phe Phe Cys Leu Trp Val 210 215 220 tac att 678 Tyr Ile 225 <210> 2 <211> 678 <212> DNA <213> Type B hepatitis virus <220> <221> CDS <222> 1..678 <400> 2 atg gaa aac act act tct ggt ttc ctg ggt ccg ctg ctg gta ctg cag 48 Met Glu Asn Thr Thr Ser Gly Phe Leu Gly Pro Leu Leu Val Leu Gln 1 5 10 15 gca ggt ttc ttc ctg ctg aca cgt atc ctc aca att cca cag tct ctg 96 Ala Gly Phe Phe Leu Leu Thr Arg Ile Leu Thr Ile Pro Gln Ser Leu 20 25 30 gac tct tgg tgg act tct ctc aat ttt ctg ggt ggt gca ccg act tgc 144 Asp Ser Trp Trp Thr Ser Leu Asn Phe Leu Gly Gly Ala Pro Thr Cys 35 40 45 cct ggc caa aat tct cag tcc cca acc tcc aat cac tct cca acc tct 192 Pro Gly Gln Asn Ser Gln Ser Pro Thr Ser Asn His Ser Pro Thr Ser 50 55 60 tgc cct cca att tgc cct ggc tat cgc tgg atg tgc ctg cgt cgt ttt 240 Cys Pro Pro Ile Cys Pro Gly Tyr Arg Trp Met Cys Leu Arg Arg Phe 65 70 75 80 atc att ttc ctc ttc atc ctg ctg ctg tgc ctc atc ttc ctg ctg gtt 288 Ile Ile Phe Leu Phe Ile Leu Leu Leu Cys Leu Ile Phe Leu Leu Val 85 90 95 ctt ctg gac tac caa ggt atg ctg cca gtt tgc cct ctg ctt cca ggt 336 Leu Leu Asp Tyr Gln Gly Met Leu Pro Val Cys Pro Leu Leu Pro Gly 100 105 110 aca tct acc acc agc act ggt cca tgc aag acc tgc act att cct gct 384 Thr Ser Thr Thr Ser Thr Gly Pro Cys Lys Thr Cys Thr Ile Pro Ala 115 120 125 caa ggt acc tct atg ttt ccg tct tgc tgc tgc aca aaa cct tct gac 432 Gln Gly Thr Ser Met Phe Pro Ser Cys Cys Cys Thr Lys Pro Ser Asp 130 135 140 ggt aac tgc act tgc att ccg atc cca tct tcc tgg gct ttc gca aaa 480 Gly Asn Cys Thr Cys Ile Pro Ile Pro Ser Ser Trp Ala Phe Ala Lys 145 150 155 160 ttc ctg tgg gag tgg gcc tct gtc cgt ttc tcc tgg ctc tct ctg ctg 528 Phe Leu Trp Glu Trp Ala Ser Val Arg Phe Ser Trp Leu Ser Leu Leu 165 170 175 gtg cca ttt gtt cag tgg ttc gta ggt ctg tct ccg act gtt tgg ctg 576 Val Pro Phe Val Gln Trp Phe Val Gly Leu Ser Pro Thr Val Trp Leu 180 185 190 tct gtt att tgg atg atg tgg tat tgg ggt cca tct ctg tac aac atc 624 Ser Val Ile Trp Met Met Trp Tyr Trp Gly Pro Ser Leu Tyr Asn Ile 195 200 205 ctg tct ccg ttt ctg ccg ctg ctg cca att ttc ttc tgc ctt tgg gta 672 Leu Ser Pro Phe Leu Pro Leu Leu Pro Ile Phe Phe Cys Leu Trp Val 210 215 220 tac att 678 Tyr Ile 225
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4B024 AA14 BA33 CA03 DA06 DA12 EA04 FA02 FA15 4B064 AG33 BA14 CA02 CA06 CA19 CC24 DA15 4H045 AA11 BA10 BA41 CA02 DA86 EA53 FA73 FA74 HA05

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 組み換えadr型B型肝炎ウィルス表面
    抗原及び組み換えadw型B型肝炎ウィルス表面抗原か
    らなる組み換えB型肝炎ウィルス表面抗原。
  2. 【請求項2】 ホモ組み換えadr型B型肝炎ウィルス
    表面抗原粒子及びホモ組み換えadw型B型肝炎ウィル
    ス表面抗原粒子からなることを特徴とする請求項1記載
    の組み換えB型肝炎ウィルス表面抗原。
  3. 【請求項3】 組み換えadr型B型肝炎ウィルス表面
    抗原サブユニットと組み換えadw型B型肝炎ウィルス
    表面抗原サブユニットとから構成されるヘテロ抗原粒子
    からなることを特徴とする請求項1記載の組み換えB型
    肝炎ウィルス表面抗原。
JP2000110947A 2000-04-12 2000-04-12 組み換えb型肝炎ウィルス表面抗原 Withdrawn JP2001294599A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005023297A1 (de) * 2003-08-29 2005-03-17 Rhein Biotech Gesellschaft für neue Biotechnologische Prozesse und Produkte mbH Zusammensetzung zur prophylaxe/therapie von hbv-infektionen und hbv-vermittelten erkrankungen

Cited By (3)

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