JP4762481B2 - 無細胞タンパク質合成用転写鋳型の設計および構築、並びにこれを用いる希釈バッチ方式コムギ胚芽無細胞タンパク質合成法 - Google Patents

無細胞タンパク質合成用転写鋳型の設計および構築、並びにこれを用いる希釈バッチ方式コムギ胚芽無細胞タンパク質合成法 Download PDF

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Description

技術分野
本発明は、無細胞タンパク質合成システムに用いる翻訳鋳型を遺伝子から合成するための転写鋳型の一般的な設計原理とその構築、およびこの転写鋳型を用いる簡便で高効率なコムギ胚芽無細胞タンパク質合成法に関する。
背景技術
ゲノム計画の完了を間近に控えて、研究課題の中心が遺伝子構造解析から遺伝子機能解析へと急速に展開してきている。細胞内におけるタンパク質は、それが単独で機能しているのではなく、多種多様なタンパク質因子、核酸、低分子種、並びに細胞膜成分等と協調して相互作用することにより機能発現し、さらに該相互作用の総和として生物学的機能が営まれているものと考えられている。
ポストゲノム計画の中心課題の一つは、多種多様なタンパク質因子の複合体の構造と機能の関係を解析することである。ここから得られる成果は、構造生物学や生化学を含む基礎生物学等の研究から、その応用としての医学分野における遺伝子翻訳産物と病因との関係解明、さらには医薬の開発および生産に至る広い分野に極めて重要な知見を提供するものと期待されている。
細胞内で効率良く進行するタンパク質合成反応を生体外で行なう方法として、これまでに例えば細胞内に備わるタンパク質翻訳装置であるリボソーム等を含む成分を生物体から抽出し、この抽出液に翻訳鋳型、基質となるアミノ酸、エネルギー源、各種イオン、緩衝液、並びにその他の有効因子を加えて試験管内でタンパク質を合成する、いわゆる無細胞タンパク質合成法等の研究が盛んに行われてきている(特開平6−98790、特開平6−225783、特開平7−194、特開平9−291、特開平7−147992)。
この無細胞タンパク質合成のための反応系、すなわち無細胞タンパク質合成系に用いるタンパク質合成用の細胞抽出液または生体組織抽出液の調製には、大腸菌、コムギ胚芽、または家兎網状赤血球等が用いられている。無細胞タンパク質合成系は、ペプチド合成速度と翻訳反応の正確性の2点において、生細胞に匹敵する性能を保持し、且つ複雑な化学反応工程や煩雑な細胞培養工程を必要としない利点を有するため、これまでその実用的なシステムの開発がなされてきた。しかし、一般的に生物体の細胞から抽出した細胞抽出液はそのタンパク質合成能が極めて不安定なためにタンパク質合成効率が低く、さらに保存中の細胞抽出液の品質低下も著しかったので、無細胞タンパク質合成系で得られる合成物の量は、放射性同位体標識等によって検出可能な程度の少量であった。そのため、無細胞タンパク質合成系は、実用的なタンパク質の生産方法としては利用できなかった。
従来の効率的な無細胞タンパク質合成法としては、Spirinらによって開発された連続式無細胞タンパク質合成法〔Spirin,A.et al.,(1993)Methods in Enzymology,217,123−142〕を挙げることができる。彼らは、目的遺伝子を組み込んだ発現プラスミドを、大腸菌、コムギ胚芽、またはウサギ網状赤血球から調製した細胞抽出液を用いた転写および翻訳共役無細胞タンパク質合成系に添加することにより、タンパク質を効率よく合成できることを示した。なかでも大腸菌抽出液を使用する転写および翻訳共役無細胞タンパク質合成系を用いた連続式無細胞タンパク質合成法では、反応系1ml当り最大で1mg前後の産物が得られることを報告している。
しかしながら、大腸菌を用いる無細胞タンパク質合成系は、目的遺伝子を組み込んた発現プラスミドを鋳型として、特に該プラスミドを環状型で用いた場合には高いタンパク質合成能を発揮するものの、直鎖プラスミドやポリメラーゼ連鎖反応(Polymerase Chain Reaction)(以下、PCRと省略する)法で構築した直鎖型転写鋳型を用いると、大腸菌抽出液に混入しているDNA分解酵素の作用により2時間程度の短時間で鋳型DNAが分解されるため、合成できるタンパク質量は従来のバッチ法と同レベルの反応系1ml当り数十μg程度に低下するという欠点がある。このように従来法で大腸菌、コムギ胚芽、またはウサギ網状赤血球等から調製された無細胞タンパク質合成用の細胞抽出液または組織抽出液には、一群の核酸分解酵素、翻訳阻害タンパク質因子、タンパク質分解酵素等が混入しており、それらの作用によりタンパク質合成反応中に翻訳反応系の失活や不活性化が生じる〔Ogasawara,T.,et al.,(1999)EMBO J.,18,6522−6531〕。このため、いずれの細胞抽出液または組織抽出液を用いるタンパク質合成系でも、合成効率が低く、得られるタンパク質量は少なかった。
最近、発明者らは、これらの無細胞タンパク質合成系の欠点を解決する方法、すなわち、▲1▼無細胞タンパク質合成用細胞抽出物製剤および無細胞タンパク質合成法(WO00/68412号公報)、▲2▼汎用性並びに高効率機能を備えた鋳型分子およびこれを利用する方法(WO01/27260号公報)を提供し、コムギ胚芽無細胞タンパク質合成系におけるタンパク質合成効率を格段に高めることに成功している。発明者らの開発したコムギ胚芽無細胞タンパク質合成系には核酸分解酵素や翻訳反応阻害因子群が含まれない〔Madin K. et al.,(2000)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,97,559−564〕(WO00/68412号公報)ので、これまで困難であった直鎖DNAを転写鋳型として用いた効率の高いタンパク質合成の実施が可能となった。
一方、上記高効率コムギ胚芽無細胞タンパク質合成系に用いる転写鋳型の調製は、従来のPCR法を利用する鋳型DNA構築法により行われている。この方法においてはプライマーとして、RNAポリメラーゼの認識および結合部位であるベクターのプロモーター部位の全域と、翻訳増幅やmRNAの安定化に寄与する構造と、これらに続いて目的とする遺伝子のORF(翻訳枠)の一部までを含むものを用いていた。このようなプライマーを用いて、目的とする遺伝子からの無細胞タンパク質合成用転写鋳型の構築が試みられてきた。このため、PCR法を用いる従来の転写鋳型の構築方法では、目的とする完全長鎖の転写鋳型の他にも、反応中に生じる非特異的なDNA増幅のために、プロモーター配列を持つ短鎖のDNA断片が蓄積する。このようなDNA断片を排除することは困難なので、上記プライマーを用いたPCR産物を転写鋳型としてRNA合成を行うと、得られる分子の大半が、非特異的な短鎖DNAの転写産物である低分子RNAとなる。これらのRNA分子の中には5′翻訳開始配列を持つRNA断片も含まれており、それらがmRNAとして認識され翻訳される結果、目的遺伝子の翻訳産物以外に多量の低分子の翻訳産物が生じ、それが目的とする翻訳産物の収量と純度の低下を招く原因となっていた。
このように、完全長のプロモーターに相補的な塩基配列を含む5′末端側プライマーを設計し、これを利用して構築した転写鋳型を用いる従来の翻訳鋳型の構築方法には、目的とする遺伝子の転写効率が極めて低く、且つノイズの高い翻訳鋳型を与えるという大きな欠点があった。
さらに、このようにして構築した転写鋳型を用いても、従来のバッチ式コムギ胚芽無細胞タンパク質合成系を用いての転写および翻訳一体型による効率的なタンパク質合成は、転写反応と翻訳反応における至適マグネシウム濃度が著しく異なることから不可能とされていた。また、転写基質の残存物である4種類のリボヌクレオシド3リン酸(4NTPs)や副生成物のピロリン酸が翻訳反応を強く阻害することも、無細胞タンパク質合成系の効率が低い原因であった。
ゲノムプロジェクトの進行に伴って、今日では多数の遺伝子構造が解明され、さらに数万種類のcDNAクローンも単離されてきている。21世紀の基礎科学や応用科学における遺伝子の機能と構造の解析、プロテオーム解析、医薬品の創製等に向けての第一歩として、まずこの膨大な遺伝子から遺伝子産物としてのタンパク質を簡便に効率良く合成する必要がある。そのための要素技術として、▲1▼高い翻訳鋳型活性を保持するmRNAの設計、▲2▼mRNA合成用の転写鋳型構築技術と、これを用いる簡便な▲3▼無細胞翻訳技術を確立することが待望されている。
発明の開示
本発明の1態様は、無細胞タンパク質合成法に用いる3′末端非翻訳配列を有する翻訳鋳型分子を作成するための転写鋳型をPCR法で作成するときに使用する3′末端側のプライマーの塩基配列であって、遺伝子をクローン化したベクターの薬剤耐性遺伝子等のマーカー遺伝子の転写ターミネーター配列と一部Oriを含む配列との間に存在する塩基配列と相補鎖を形成し得る塩基配列を含む塩基配列(1)、配列表の配列番号1に記載の塩基配列(2)、配列表の配列番号1に記載の塩基配列の主用部を含む塩基配列(3)、前記(1)〜(3)のいずれか1の塩基配列とストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能な塩基配列、またはこれらの相補的な塩基配列である。
本発明の1態様は、無細胞タンパク質合成法に用いる翻訳鋳型分子を作成するための転写鋳型をPCR法で作成するときに使用する5′末端側のプライマーの塩基配列であって、RNAポリメラーゼのプロモーター配列と部分的に相補性を有する塩基配列を含む塩基配列(4)、配列表の配列番号2若しくは配列表の配列番号3に記載の塩基配列(5)、配列表の配列番号3に記載の塩基配列を含む塩基配列(6)、前記(5)若しくは(6)の塩基配列の主用部を含む塩基配列(7)、前記(4)〜(7)のいずれか1の塩基配列とストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能な塩基配列、またはこれらのいずれか1と相補的な塩基配列である。
本発明の1態様は、無細胞タンパク質合成法に用いる翻訳鋳型分子を作成するための転写鋳型をPCR法で作成するときに使用する5′末端側のプライマーの塩基配列であって、異なる2種類の塩基配列からなる2種類のポリヌクレオチド(A)、(B)を5′末端側のプライマーとして用いてPCRにより転写鋳型を構築する方法において、該2種類のPCR用プライマーの塩基配列は、該プライマーのいずれか1種類のみで構築されるDNAからの転写が起こらないという条件を満たすものであり、該プライマーの1つはプロモーターの5′末端から少なくともプロモーター機能部位の一部分を含む塩基配列に相補的な配列を有するが、該プロモーターの3′末端側のRNAポリメラーゼ認識部位の少なくとも一部分に相補的な塩基配列をもたない塩基配列からなるポリヌクレオチド(A)であり、該プライマーの別の1つは該プロモーターの3′末端から少なくともRNAポリメラーゼ認識部位の一部分を含む塩基配列に相補的な塩基配列を有するが、該プロモーターの5′末端側の少なくともプロモーター機能部位に相補的な塩基配列をもたない塩基配列からなるポリヌクレオチド(B)であることを特徴とする転写鋳型の構築方法である。
本発明の1態様は、ポリヌクレオチド(B)の塩基配列に、さらに続けてGA若しくはGAA配列を挿入し、その下流に、mRNAの翻訳増幅を与える塩基配列と、さらに、翻訳開始コドンATG、または目的とする遺伝子のORF(翻訳枠)の一部の若しくはORFを含まないORF上流の塩基配列に相補的な塩基配列とを連結した塩基配列からなるポリヌクレオチドを用いる前記の転写鋳型の構築方法である。
本発明の1態様は、ポリヌクレオチドの翻訳部の開始コドンとORFとの間に、ヒスチジンタグやGST(グルタチオンS−トランスフェラーゼ)、myb等のタグまたはエピトープ合成用の塩基配列を組み込むことを特徴とする前記の転写鋳型の構築方法である。
本発明の1態様は、無細胞タンパク質合成法に用いる翻訳鋳型分子を作成するための転写鋳型をPCR法により作成する方法において、該転写鋳型の5′末端側のプライマーとして、配列表の配列番号2に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチド;配列表の配列番号3に記載の塩基配列にタバコモザイクウイルス由来のオメガ配列と翻訳開始コドンであるATGを連結した塩基配列からなるポリヌクレオチド;および配列表の配列番号5に記載の塩基配列に翻訳開始コドンであるATGと、これに続いて転写目的である遺伝子固有のORFの5′末端側塩基配列とを連結した塩基配列からなるポリヌクレオチド;とを用い、該転写鋳型の3′末端側のプライマーとして、配列表の配列番号1に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドを用いることを特徴とする転写鋳型の構築方法である。
本発明の1態様は、転写鋳型をPCR法で作成するためのプライマーセットであって、5′末端側プライマーとして、プロモーターの5′末端から少なくともプロモーター機能部位の一部分を含む塩基配列に相補的な配列を有するが、該プロモーターの3′末端側のRNAポリメラーゼ認識部位の少なくとも一部分に相補的な塩基配列をもたない塩基配列からなるポリヌクレオチド(A)、該プロモーターの3′末端から少なくともRNAポリメラーゼ認識部位の一部分を含む塩基配列に相補的な塩基配列を有するが、該プロモーターの5′末端側の少なくともプロモーター機能部位に相補的な塩基配列をもたない塩基配列からなるポリヌクレオチド(B)、およびポリヌクレオチド(B)にアニーリングできる塩基配列に続いて翻訳開始コドンATG、または目的とする遺伝子のORF(翻訳枠)の一部の若しくはORFを含まないORF上流の塩基配列に相補的な塩基配列を連結してなるポリヌクレオチド(C)と、3′末端側プライマーとして遺伝子をクローン化したベクターの薬剤耐性遺伝子等のマーカー遺伝子の転写ターミネーター配列と一部Oriを含む間に存在する塩基配列と相補鎖を形成し得る塩基配列を含むポリヌクレオチドと、を含むプライマーセットである。
本発明の1態様は、ポリヌクレオチド(B)が、プロモーターの3′末端から少なくともRNAポリメラーゼ認識部位の一部分を含む塩基配列に相補的な塩基配列を有するが、該プロモーターの5′末端側の少なくともプロモーター機能部位に相補的な塩基配列をもたない塩基配列に続いて、GA若しくはGAA配列を挿入し、その下流にさらにmRNAの翻訳増幅を与える配列を連結し、さらに、翻訳開始コドンATG、または目的とする遺伝子のORFを含まないORF上流(5′末端側)の塩基配列に相補的な配列を連結した塩基配列からなるポリヌクレオチドである前記のプライマーセットである。
本発明の1態様は、配列表の配列番号2に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチド;配列表の配列番号3に記載の塩基配列にタバコモザイクウイルス由来のオメガ配列と翻訳開始コドンであるATGを連結した塩基配列からなるポリヌクレオチド;および配列表の配列番号5に記載の塩基配列に翻訳開始コドンであるATGとこれに続いて転写目的である遺伝子固有のORFの5′末端側塩基配列とを連結した塩基配列からなるポリヌクレオチド;とを5′末端側のプライマーとして含み、配列表の配列番号1に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドを3′末端側のプライマーとして含み、無細胞タンパク質合成法に用いる翻訳鋳型分子を構築するための転写鋳型をPCRにより作成するためのプライマーセットである。
本発明の1態様は、無細胞タンパク質合成法に用いる高効率mRNA合成用の転写鋳型であって、前記いずれかの構築方法で作成された転写鋳型である。
本発明の1態様は、無細胞タンパク質合成法に用いる高効率mRNA合成用の転写鋳型であって、前記いずれかのプライマーセットを用いてPCRにより合成された転写鋳型である。
本発明の1態様は、前記いずれかの構築方法で作成された転写鋳型または前記いずれかの転写鋳型から転写されたmRNAを翻訳鋳型として用いる無細胞タンパク質合成法である。
本発明の1態様は、mRNAを合成後にゲルろ過により精製する前記の無細胞タンパク質合成法である。
本発明の1態様は、前記いずれかの構築方法で転写鋳型を作成し転写用溶液により転写反応を行った後に、無細胞タンパク質合成用反応溶液を添加して、添加後の反応溶液中の少なくともマグネシウム濃度を翻訳至適濃度に低下し、同時に該反応溶液中の転写基質および転写副生物の濃度を低下し、翻訳反応の持続時間を延長することを特徴とする転写および翻訳連続型希釈方式の無細胞タンパク質合成法である。
本発明の1態様は、前記いずれかの構築方法で転写鋳型を作成し、無細胞タンパク質合成用反応溶液により転写反応を行った後に、希釈溶液を添加して希釈し、当該反応溶液中の少なくともマグネシウム濃度を翻訳至適濃度に低下し、同時に該反応溶液中の転写基質および転写副生物の濃度を低下し、翻訳反応の持続時間を延長することを特徴とする転写および翻訳一体型希釈方式の無細胞タンパク質合成法である。
本発明の1態様は、反応容器中にcDNAを添加し、前記いずれかの転写鋳型の構築方法を実施して該反応容器中で転写鋳型を作成し、RNAポリメラーゼと4種類のリボヌクレオシド3リン酸を含む転写用溶液により転写反応を行った後、無細胞タンパク質合成用反応溶液をさらに添加して、反応溶液中の少なくともマグネシウム濃度を翻訳至適濃度に低下し、翻訳反応を行うことを特徴とする転写および翻訳連続型希釈方式の無細胞タンパク質合成法である。
本発明の1態様は、反応容器中にcDNAを添加し、前記いずれかの転写鋳型の構築方法を実施して該反応容器中で転写鋳型を作成し、RNAポリメラーゼと4種類のリボヌクレオシド3リン酸を含む無細胞タンパク質合成用反応溶液を加えて転写反応を行った後、希釈溶液を添加して希釈し、当該合成溶液中の少なくともマグネシウム濃度を翻訳至適濃度に低下し、翻訳反応を行うことを特徴とする転写および翻訳一体型希釈方式の無細胞タンパク質合成法である。
本発明の1態様は、マグネシウム濃度を翻訳至適濃度に低下し、マグネシウム濃度を約1mMから約6mMに低下する前記いずれかの無細胞タンパク質合成法である。
本発明の1態様は、転写反応を約30℃〜約45℃で実施し、且つ翻訳反応を約20℃〜約30℃で実施することを特徴とする前記いずれかの無細胞タンパク質合成法である。
本発明の1態様は、コムギ胚芽抽出物を用いることを特徴とする前記いずれかの無細胞タンパク質合成法である。
発明を実施するための最良の形態
これまでに開発されている無細胞タンパク質合成系のなかでも、コムギ胚芽抽出物を利用したものは、大腸菌抽出物を用いたものに比べて特に核酸分解酵素活性が低く、さらに翻訳活性が安定で且つ高い特性を持っているため〔Madin K.et al.,(2000)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,97,559−564〕、プラスミドを鋳型とした転写および翻訳一体型方式で高効率のタンパク質合成が可能である(WO00/68412号公報)。
以下、本発明を、コムギ胚芽無細胞タンパク質合成系および該合成系において機能し得る転写鋳型の設計法と構築法を例として説明するが、本発明の基本原理はここに示した方法に限定されるものではなく、他の微生物や動物細胞由来の細胞抽出物を用いた無細胞タンパク質合成系およびそれに用いる転写鋳型の設計と構築にも応用できる。
(転写鋳型の構築に用いるプライマーの構造)
発明者らは、既に安定化され且つ効率化されたコムギ胚芽抽出液を用いる無細胞タンパク質合成系を用いて、高翻訳鋳型活性に必要なmRNAの5′および3′末端非翻訳構造を開発し、特許出願している(WO01/27260号公報)。特に、長鎖の3′末端非翻訳構造をmRNAに付加することが無細胞タンパク質合成反応の効率を高めるのに極めて有効であることを明らかにしている。
(1)3′末端側プライマーの構築
翻訳鋳型活性を増強するのに有効であって、且つ出来るだけ短い3′末端非翻訳構造を有するmRNAの転写鋳型をPCR法により構築するため、モデル遺伝子としてクラゲのグリーン蛍光タンパク質(Green Fluorescent Protein)(GFP)遺伝子を組み込んだプラスミド〔図1の(a)参照〕を鋳型としてPCRを実施した。
PCR法によるGFP遺伝子の転写鋳型増幅用の5′末端側プライマーには、
Figure 0004762481
の塩基配列からなるポリヌクレオチドを使用した。
3′末端側プライマーは、下記の3種類のプライマー(図1を参照)を使用して比較した。プライマーIII(配列表の配列番号1)は、薬剤耐性マーカー遺伝子(図1中ではAmp)の転写ターミネーター配列とDNA複製開始塩基配列(Ori)との間に存在する塩基配列と相補鎖を形成し得る塩基配列であり、プライマーIおよびIIは参考配列である。
Figure 0004762481
検討の結果、プライマーIIIが転写鋳型構築用の3′末端側プライマーとして最適であり、高い翻訳鋳型活性を有するmRNAを得るための好適な転写鋳型を与え得ることを見出した。
無細胞タンパク質合成法に用いる翻訳鋳型分子の3′末端非翻訳配列の転写鋳型となる塩基配列を、PCR法を用いて合成するための3′末端側プライマーとしては、上記配列表の配列番号1に記載の塩基配列からなるプライマーIIIが好ましいものとして挙げることができるが、これに限定されるものではなく、遺伝子をクローン化したベクターの薬剤耐性遺伝子等のマーカー遺伝子の転写ターミネーター配列とDNA複製開始塩基配列(Ori)を一部含む配列との間に存在する塩基配列、例えば個々のベクター固有の塩基配列、と相補鎖を形成し得る塩基配列を含む塩基配列からなるプライマーであればよく、特定の塩基配列を有するものではない。例えば、配列表の配列番号1に記載の塩基配列の主用部を含む塩基配列、これらの塩基配列とストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能な塩基配列、またはこれらの相補的塩基配列からなるプライマーであってもよい。ここで、「ストリンジェントな条件下でハイブリタイズする」とは、例えば、6×SSC、0.5%SDSおよび50%ホルムアミドの溶液中で42℃にて加温した後、0.1×SSC、0.5%SDSの溶液中で68℃にて洗浄する条件でも依然として陽性のハイブリタイズシグナルが観察されることを意味し、例えばMolecular Cloning:A Laboratory Manual(コールドスプリングハーバーラボラトリー,1989)等に記載の方法によってこの様な塩基配列を得ることができる。
本発明に係る上記3′末端側プライマーを用いれば、翻訳鋳型活性を増強するのに有効であり且つ出来るだけ短い3′末端非翻訳構造を有するmRNAの転写鋳型が、PCR法で簡便に得られる。PCR法で長鎖DNAを増幅することはその反応の性質上一般的に困難を伴う場合が多く、そのために従来困難であった長鎖非翻訳領域が付加されたmRNAの転写鋳型をPCR法で構築することが、本発明により可能となった。
(2)PCR法による従来方式の5′末端側プライマーを用いる転写鋳型の設計および構築
モデル遺伝子として、ネズミ肝臓由来の3種類のcDNA(それぞれ18kDa、25kDa、44kDaのタンパク質をコードするもの)と、GFP(27kDaのタンパク質)をコードするcDNAを、それぞれプラスミドpUC19にクローン化したものを利用した。
1段階目のPCRには5′末端側プライマーとして、タバコモザイクウイルスのオメガ(Ω)配列由来の塩基配列(5′ACATTCTACAACTACA3′;配列表の配列番号5)を有する下記プライマー3を使用した。以下に示す塩基配列中で下線部のATGはORFの開始コドンであり、Xは遺伝子固有のORFの5′末端側塩基配列を意味する。ここでは遺伝子固有のORFの5′末端側塩基配列として上記各cDNAの5′末端から連続した19個のヌクレオチドからなる塩基配列を用いたが、Xの数は約13個〜約30個であればよい。
Figure 0004762481
PCR用の3′末端側プライマーとしては上記mRNA3転写用のプライマーIII(配列表の配列番号1)を用いた。
2段階目のPCRには5′末端側プライマーとして、RNAポリメラーゼのプロモーター塩基配列の全域に対応する下記プライマー1と、
Figure 0004762481
この塩基配列に続いてオメガ配列および遺伝子固有のORFの5′末端側塩基配列(XXXXXXXXXXXXXXXXXXX、19塩基)を含む以下の配列(プライマー2)を使用した。ここでは遺伝子固有のORFの5′末端側塩基配列として上記各cDNAの5′末端から連続した19個のヌクレオチドからなる塩基配列を用いたが、Xの数は約13個〜約30個でよい。
Figure 0004762481
PCR用3′末端側プライマーとしては、上記mRNA3転写用のプライマーIII(配列表の配列番号1)の塩基配列を基本としてプロモーター配列上で3塩基ずらして設計し作成した下記のプライマーIV(配列表の配列番号4)を用いた。
Figure 0004762481
(3)プロモーター配列分断型プライマーを用いる転写鋳型の設計および構築
バックグラウンドの低い転写鋳型の設計および構築には、5′末端側プライマーとして、RNAポリメラーゼのプロモーター配列とそれぞれ部分的に相補性を有する2種類の異なる塩基配列からなるプライマーを設計して用いた。該プライマーの一方はプロモーターの5′末端から少なくともプロモーター機能部位の一部分を含む塩基配列に相補的な配列を有するがプロモーターの3′末端側のRNAポリメラーゼ認識部位の少なくとも一部分に相補的な塩基配列をもたない塩基配列からなるポリヌクレオチド(A)、例えば下記プライマー▲1▼であり、他方はプロモーターの3′末端から少なくともRNAポリメラーゼ認識部位の一部分を含む塩基配列に相補的な塩基配列を有するがプロモーターの5′末端側の少なくともプロモーター機能部位に相補的な塩基配列をもたない塩基配列からなるポリヌクレオチド(B)、例えば下記プライマー▲2▼である。すなわち、上記2種類のプライマーはそれぞれ、プロモーター塩基配列の別の一部分の塩基配列に相補的な塩基配列を有するプロモーター配列分断型のプライマーである。当該2種類のプロモーター配列分断型プライマーは、これらの両方を用いてPCRにより構築されたDNAからは転写がなされるが、該プライマーのいずれか1種類のみで構築されたDNAからの転写が起こらないという特徴を有する。ここで例示したプロモーター配列分断型プライマー▲1▼および▲2▼はSP6プロモーター配列分断型のプライマーであるが、本発明に係るプロモーター分断型のプライマーはこれらに限らず、様々な種類のプロモーターについて、それらの塩基配列に基づき作成可能である。
Figure 0004762481
(下線部はSP6プロモーターの5′末端側との相補配列であるが
、3′末端側との相補配列であるATAを欠く)。
Figure 0004762481
(下線部はSP6プロモーターの3′末端側との相補配列であるが
、5′末端側との相補配列であるATTTAを欠く)
にオメガ配列(71塩基)とさらにクローン化した遺伝子由来の
ATGが続いてなる。
プライマー▲3▼:上記プライマー3と同じ。
モデル遺伝子として、3種類のネズミ肝臓由来のcDNAと、GFPをコードするcDNAをそれぞれpUC19にクローン化したものを利用した。1段階目のPCRには、5′末端側プライマーとして、オメガ配列由来の塩基配列である5′ACATTCTACAACTACA3′(配列表の配列番号5)に続いて目的とする遺伝子の翻訳開始コドンATGから始まる22塩基のORFの5′末端部との相補配列を含むプライマー(全長38塩基)、3′末端側プライマーとしてはmRNA3転写用のプライマーIII(配列表の配列番号1)を用いた。また、2段階目のPCRには、5′末端側プライマーとしてプライマー▲1▼および▲2▼を、3′末端側プライマーとしては上記プライマーIV(配列表の配列番号4)を用いた(プライマーのモル比は▲1▼:▲2▼:IV=100:1:100である)。PCRは、必ずしも2段階に分けて行う必要はなく、全ての工程を1段階で実施しても本発明の本質は何ら変わるものではない。
上記従来方式の5′末端側プライマーを用いて構築した転写鋳型と、上記本発明に係るプロモーター分断型の5′末端側プライマーを用いて構築した転写鋳型とについて、翻訳鋳型の合成効率、および無細胞タンパク質合成の効率を比較したところ、プロモーター分断型プライマーを用いた方がいずれの効率も高かった。
プライマー▲1▼および▲2▼のようなプロモーター配列分断型のプライマーは、転写反応後に目的とするサイズのmRNAを単離しなくとも、無細胞タンパク質合成系に使用できる、5′末端非翻訳配列を有する翻訳活性の高いmRNAの翻訳鋳型を、PCR法により構築するために有用である。すなわち、プロモーター配列分断型プライマーを用いてPCR法で得られた転写鋳型から転写したmRNAには、従来型のプライマーを用いて得たmRNAに混入する非特異的に生ずる短鎖mRNAがほとんど含まれない。非特異的短鎖mRNAは無細胞タンパク質合成法において、目的とするタンパク質の強力な合成阻害剤として作用して、合成収量を著しく低下させる原因となるが、本発明に係る翻訳鋳型を使用すれば該短鎖mRNAの影響がないため、無細胞タンパク質合成を効率良く行うことができる。また、プロモーター配列分断型プライマーを用いてPCR法で得られた転写鋳型から転写したmRNAは、合成後に目的とするサイズのmRNAを単離することなく無細胞タンパク質合成系に使用できるので、該mRNAの合成および該mRNAからのタンパク質合成を簡便に行うことができる。
上記無細胞タンパク質合成法に用いる翻訳鋳型分子合成用の転写鋳型となるDNA塩基配列を構築するための5′末端側PCR用プライマーの塩基配列は、RNAポリメラーゼのプロモーター配列と部分的に相補性を有する塩基配列を含む塩基配列、配列表の配列番号2または配列表の配列番号3に記載の塩基配列、配列表の配列番号3に記載の塩基配列を含む塩基配列、これらの塩基配列の主用部を含む塩基配列、これらの塩基配列とストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能な塩基配列、またはこれらの相補的塩基配列でありうる。
本発明に係る上記5′末端側プライマーを用いれば、バックグラウンドとなる転写産物量が最小限に抑制される転写鋳型がPCR法により簡便に得られる。上記5′末端側プライマーを用いて転写鋳型を構築するときは、例えば上記5′末端側のPCR用プライマーの塩基配列である異なる塩基配列からなる2種類のプライマーを使用すればよい。また、3′末端側プライマーとしては、本発明に係る上記3′末端側プライマーを用いるのが好ましい。
ここで、上記2種類の5′末端側プライマーは、いずれか1種類のプライマーのみで構築されるDNAからの転写が起こらないという条件を満たすものであり、該プライマーの1つはプロモーターの5′末端から少なくともプロモーター機能部位の一部分を含む塩基配列に相補的な配列を有するが、プロモーターの3′末端側のRNAポリメラーゼ認識部位の少なくとも一部分に相補的な塩基配列をもたない塩基配列からなるポリヌクレオチド(A)であり、該プライマーの別の1つはプロモーターの3′末端から少なくともRNAポリメラーゼ認識部位の一部分を含む塩基配列に相補的な塩基配列を有するが、プロモーターの5′末端側の少なくともプロモーター機能部位に相補的な塩基配列をもたない塩基配列からなるポリヌクレオチド(B)であることが好ましい。
さらに、上記ポリヌクレオチド(B)は、その塩基配列にさらに続けてGA若しくはGAA配列が挿入され、その下流にmRNAの翻訳増幅を与える配列と、さらに、翻訳開始コドンATG、または目的とする遺伝子のORF(翻訳枠)の一部の若しくはORFを含まないORF上流(5′末端側)の塩基配列に相補的な配列、を連結した塩基配列からなるポリヌクレオチドであってもよい。mRNAの翻訳増幅を与える塩基配列は、例えばタバコモザイクウイルスのオメガ配列やアルファルファモザイクウイルスのリーダー配列由来の塩基配列(AMV)、これらを直列に結合させたAMV−オメガ配列、またはオメガ配列由来の29塩基オメガ配列等が例示されるが、これらに限らず、翻訳増幅を与え得る塩基配列であればよい。
または、前述の5′末端側プライマーとして、上記ポリヌクレオチド(A)と、上記ポリヌクレオチド(B)に加えて、ポリヌクレオチド(B)にアニーリングできる塩基配列に続いて翻訳開始コドンATG、または目的とする遺伝子のORFの一部の若しくはORFを含まないORF上流(5′末端側)の塩基配列に相補的な塩基配列、を連結してなるポリヌクレオチド(C)を含む3種類のポリヌクレオチドを用いることもできる。目的とする遺伝子のORF(翻訳枠)の一部は、該ORFの5′末端から連続した約13塩基〜約30塩基からなる塩基配列である。ここで、ポリヌクレオチド(B)は、プロモーターの3′末端から少なくともRNAポリメラーゼ認識部位の一部分を含む塩基配列に相補的な塩基配列を有するが、該プロモーターの5′末端側の少なくともプロモーター機能部位に相補的な塩基配列をもたない塩基配列に続いて、GA若しくはGAA配列が挿入され、その下流にさらにmRNAの翻訳増幅を与える配列を連結し、さらに、翻訳開始コドンATG、または目的とする遺伝子のORFの一部の若しくはORFを含まないORF上流(5′末端側)の塩基配列に相補的な配列を連結した塩基配列からなるポリヌクレオチドでもよい。
また、上記5′末端側プライマーの翻訳部の開始コドンとORFとの間に、ヒスチジンタグ、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)、若しくはmyb等のタグまたはエピトープ合成用の塩基配列を組み込むことができる。このようなプライマーを用いて作成した転写鋳型を用いると、最終的に得られる翻訳産物には上記タグまたはエピトープが、該翻訳産物の精製用若しくはマーカー用等として付加される。
上記2種類のプライマーの組合せ、または上記3種類のプライマーの組合せは、様々な遺伝子についてその転写鋳型を作成するための、汎用性ある5′末端側プライマーとして使用できる。以下、プライマーの組合せをプライマーセットという。さらに、上記プライマーセットに加えて、3′末端側プライマーとして、遺伝子をクローン化したベクターのマーカー遺伝子、例えば薬剤耐性遺伝子等の転写ターミネーター配列と一部Oriを含む配列との間に存在する塩基配列と相補鎖を形成し得る塩基配列からなるポリヌクレオチドを組み合わせたプライマーセットは、様々な遺伝子についてその転写鋳型をPCRにより作成するための、汎用性ある有用なプライマーセットとして使用できる。
(転写および翻訳一体型希釈方式タンパク質合成法並びに転写および翻訳連続型希釈方式タンパク質合成法)
上記本発明に係るプライマーを用いてPCR法で得られる転写鋳型を利用すれば、簡便且つ高効率なタンパク質合成が可能になる。例えば、上記の原理と方法で構築した転写鋳型を用いて合成したmRNAを翻訳鋳型として用い、タンパク質合成に充分な量のコムギ胚芽抽出液を含む無細胞タンパク質合成用反応溶液に加えて無細胞タンパク質合成を行うと、従来の転写鋳型を用いて合成したmRNAによるタンパク質合成に比べ、合成反応が長時間持続することができる。該転写鋳型からのmRNAの合成には、公知の転写反応を利用できる。無細胞タンパク質合成法も、既知の方法に準じて行えばよい〔Madin K.et al.,(2000)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,97,559−564〕(WO00/68412号公報)。また、合成したmRNAをゲルろ過等の方法で精製して用いれば、さらにタンパク質の合成効率を上げることができる。
さらに、本発明に係るプライマーを用いてPCR法で得られる転写鋳型を、既に報告されている転写および翻訳一体型による無細胞タンパク質合成法(WO00/68412号公報)と組み合わせてタンパク質合成を行えば、別途転写して作成したmRNAを無細胞タンパク質合成系に添加する煩雑性が回避できる。該転写鋳型を用いた転写および翻訳一体型コムギ胚芽無細胞タンパク質合成法では、まず転写反応を転写反応に適した条件下で行う。好ましくは転写反応を約30℃〜約45℃、より好ましくは約35℃〜約40℃、で行なう。その後、反応溶液に適当な希釈溶液を添加することにより翻訳反応に適した条件にした後に、タンパク質合成を行う。翻訳反応の温度は目的とするタンパク質に応じてその翻訳に適した温度が選択されるが、好ましくは約20℃〜約30℃である。また、希釈溶液は、翻訳反応に必要なエネルギー源やアミノ酸類等を加えた翻訳反応に適したバッファーであればよく、当該反応溶液中の少なくともマグネシウム濃度が、翻訳至適濃度、好ましくは約1mM〜約6mMに低減されるように、適当な容量加える。希釈溶液の添加により、同時に当該反応溶液に含まれていた転写基質や転写副生物の濃度を低下させることができる。この結果、タンパク質合成反応の持続時間を延長させることが可能になり、合成効率が向上する。
具体的には、例えば、転写および翻訳一体型希釈方式無細胞タンパク質合成法は、まず容量の48%容の小麦胚芽抽出液(濃度は、200A260nm units/ml)を含み次のような終濃度の組成〔1,000units/ml リボヌクレアーゼ阻害剤(RNAsin)、30mM HEPES−KOH(pH7.6)、95mM 酢酸カリウム、16mM 酢酸マグネシウム、2.85mM ジチオスレイトール、0.5mg/ml クレアチンキナーゼ、2.5mM ATP、2.5mM GTP、2.5mM UTP、2.5mM CTP、1500ユニット/mlのSP6 RNAポリメラーゼ、16mMクレアチンリン酸、1.48mM スペルミジン、20種類のL型アミノ酸(各0.3mM)、25μg/mlの転写鋳型であるDNA〕からなる反応溶液を調製して30℃で3時間、転写反応を行う。その後、反応液を希釈溶液で希釈する。希釈溶液は、例えば、30mM HEPES−KOH(pH7.6)、95mM 酢酸カリウム、0.4mM 酢酸マグネシウム、2.85mM ジチオスレイトール、0.94mM ATP、0.25mM GTP、16mM クレアチンリン酸、0.380mM スペルミジン、20種類のL型アミノ酸(各0.3mM)からなる。この希釈によって、主な成分の濃度は以下の通りとなる。すなわち、小麦胚芽抽出液は原液の8%(原液濃度は、200A260nm units/ml)、30mM HEPES−KOH(pH7.6)、95mM 酢酸カリウム、3mM 酢酸マグネシウム、1.2mM ATP等である。なお、GTP、UTP、CTPに関しては、転写反応での消費量が不明なので、希釈後の各濃度は特に計算しない。
上記転写および翻訳一体型希釈方式無細胞タンパク質合成法では、翻訳反応に必要な細胞抽出物であるコムギ胚芽抽出物を、反応溶液中に最初から添加しているため、該抽出物は転写反応時にも存在している。該抽出物は、反応溶液中に最初から添加する必要はなく、mRNA合成後に希釈溶液を加えるとき、終濃度が翻訳反応に適した濃度になるように、希釈溶液と同時にまたは希釈溶液に混合して無細胞タンパク質合成系に添加してもよい。この方法を、ここでは転写および翻訳連続式希釈方式無細胞タンパク質合成法とよぶ。
転写および翻訳一体型または転写および翻訳連続型の希釈方式無細胞タンパク質合成法は、複雑な操作を含まず簡便であり、さらにPCR法で構築した転写鋳型を直接用いて、無細胞系での効率の高いタンパク質合成を可能にする。また、目的とする遺伝子産物をヒスチジンタグやグルタチオンS−トランスフェラーゼとの融合タンパク質として合成すれば、これらに対応するリガンドの固定化物を用いることによって遺伝子産物の精製を効率良く行うことができる。
例えば、図11に示すように、すべての遺伝子に共通して利用可能な上記本発明に係る汎用性を有するプライマーセット(5′末端側の3種類と3′末端側の1種類)を使用して、一度に多種類のタンパク質を転写および翻訳一体型または転写および翻訳連続型の希釈方式無細胞タンパク質合成法により簡便に且つ効率良く合成することができる。
まず反応容器にcDNAを加える。このとき、反応容器として例えば96ウエルタイタープレート等の市販のマルチウエルタイタープレートを用いて各ウエル毎に別種のタンパク質をコードするcDNAを加えることにより、多種類のタンパク質を一度に合成することができる。このように、マルチウエルタイタープレートの各ウエルに別種のcDNAを加えたものは、cDNAライブラリーとして使用できる。cDNAライブラリーは市販のものを用いてもよい。上記cDNAライブラリーに上記プライマーセットを添加してPCRを行う。その結果、転写鋳型が形成される。
その後、転写および翻訳一体型希釈方式タンパク質合成法を実施するときは、各反応容器中にRNAポリメラーゼ、4NTPs、コムギ胚芽抽出物等を含む無細胞タンパク質合成用反応溶液(例えば後述の実施例5を参照)を加えて、温度を約30℃〜約45℃、好ましくは約35℃〜約40℃に保持し、転写反応を所望の時間行う。その後、希釈溶液を添加して、マグネシウム濃度を翻訳反応の至適濃度にまで低減した後、温度を約20℃〜約30℃に維持して翻訳反応を行う。その結果、翻訳産物であるタンパク質が得られる。
転写鋳型作成後に転写および翻訳連続型希釈方式タンパク質合成法を実施するときは、各反応容器中にRNAポリメラーゼ、4NTPs等を含む転写用溶液(例えば後述の実施例4を参照)を加えて、温度を約30℃〜約45℃、好ましくは約35℃〜約40℃に保持し、転写反応を所望の時間行う。その後、コムギ胚芽抽出物等を含む無細胞タンパク質合成用反応溶液(例えば実施例4を参照)加えて、温度を約20℃〜約30℃に維持し、翻訳反応を行う。
また、上記のように転写用溶液中で転写反応を所望の時間行った後に、翻訳鋳型が形成された転写反応後の溶液を、予め上記の無細胞タンパク質合成用反応溶液を添加しておいた別の反応容器、例えばマルチウエルタイタープレート中に、該転写反応後の溶液を下層とし、該無細胞タンパク質合成用反応溶液が上層となるように、静かに重層して、無細胞タンパク質合成反応を行うこともできる。この方法では、上層と下層との間に形成された界面で両層の溶液中に含まれている物質の拡散が起こり、徐々に上層と下層が混ざり合う。そのため、連続的に翻訳反応が徐々に進行し、タンパク質合成を長時間に亘って行うことができる。
以上、本発明により、これまで困難であったPCR法を利用する簡便で効率的な無細胞タンパク質合成が、コムギ胚芽高効率無細胞タンパク質合成系、本発明に係るmRNA転写鋳型構築方法、並びに転写および翻訳一体型希釈方式無細胞タンパク質合成法または転写および翻訳連続型希釈方式無細胞タンパク質合成法を利用することによって、初めて可能となった。さらに、プロモーター部位、翻訳増幅構造、およびORFの一部までを含む従来の一本鎖プライマーを用いて構築した無細胞タンパク質合成用鋳型DNAを用いると、目的遺伝子の翻訳産物以外に多量の低分子の翻訳産物が生じるので翻訳効率が低かったが、本発明によりこの欠点を解消することができた。上記プロモーター配列分断型プライマーを用いるPCR法による無細胞タンパク質合成用転写鋳型の構築原理は、コムギ胚芽抽出物を用いる無細胞タンパク質合成系にとどまらず、大腸菌等の他の細胞抽出物を使用する無細胞タンパク質合成系における鋳型設計原理としても利用できる。
本発明によれば、どのようなベクターにクローン化された遺伝子においても、その遺伝子に相補的な配列を有する5′末端側と3′末端側の固有のプライマーを準備すれば、すべての遺伝子に共通して利用可能な汎用性を有する上記プライマーセットを用いて、クローン化された任意の遺伝子に対し、簡便で高効率な無細胞タンパク質合成が可能となる。従って、本発明は、ゲノムプロジェクト完了とともにもたらされる膨大な数の遺伝子の機能解析や構造解析の基盤となる遺伝子産物(タンパク質)の生産に向けた基本的な要素技術を提供するものである。実施例
以下に実施例並びに比較例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
実施例1
転写鋳型構築用プライマーの設計と翻訳鋳型活性の高いmRNAの構築
(mRNAの3′末端非翻訳配列合成に着目した転写鋳型構築法)
翻訳鋳型活性を増強するのに有効であり且つ最も短い3′末端非翻訳構造を持つ翻訳効率の高いmRNAを得るため、PCR法を用いて転写鋳型を構築した。 PCRに用いる鋳型としては、図1の(a)に示したコムギ胚芽無細胞タンパク質合成系用のプラスミドとして開発したpEU(WO01/27260号公報)にクラゲのGFP遺伝子を常法によりクローン化したものを用いた。このプラスミドの構造は、5′末端側上流にSP6 RNAポリメラーゼのプロモーター配列、続いて翻訳開始反応配列であるタバコモザイクウイルス(TMV)のオメガ配列、続いてGFP遺伝子を連結してあり、3′末端側下流には複製開始点(Ori)、その下流にはマーカー遺伝子としてアンピシリン耐性遺伝子(Ampが組み込まれている〔図1の(a)〕。
用いた5′末端側プライマーはSP6プロモーター配列を含むプライマー(5′GCATTTAGGTGACACTATAGAA3′)であり、3′末端側プライマーは、プライマーI、II、またはIII(配列表の配列番号1)である〔図1の(a)〕。以下にそれらの配列を示す。これらのプライマーは、アマシャム−ファルマシア社に依頼して作成した。
Figure 0004762481
上記クラゲGFP遺伝子を組み込んだpEUを鋳型として、上記プライマーを使用してPCRを以下の条件で行った。
PCR用反応溶液
1× ExTaq バッファー
200μM dNTP(デオキシリボヌクレオシド3リン酸)
10nM プライマー(5′GCATTTAGGTGACACTATAGA
A3′)
10nM プライマーI、またはII、またはIII
0.025U ExTaq DNAポリメラーゼ
50pg/μl 鋳型プラスミドDNA
PCRの反応条件
98℃で1分間

(98℃で10秒間→60℃で30秒間→72℃で5分間)を30サイクル

72℃で4分間

4℃
次に、上記で得られたPCR産物を転写鋳型として用い、SP6 RNAポリメラーゼを用いて、下記のように調製した転写用溶液を37℃で2時間反応させ、転写産物であるmRNAを得た。
転写用溶液(mRNA溶液)
Figure 0004762481
なお、ここで用いた5×バッファーの組成を以下に示す。
Figure 0004762481
図1の(b)には上記のように設計し構築した転写鋳型から転写された異なる塩基数の3′末端非翻訳配列を持つmRNA分子を模式図で示した。mRNA1はプライマーIを用いて、mRNA2はプライマーIIを用いて、mRNA3はプライマーIII(配列表の配列番号1)を用いて構築されたものである。
図中のCapとは、mRNAの5′末端に7mGpppGを付加して合成したCap付きGFPmRNAであり、mRNA2用のプライマーIIを用いて構築したため561塩基の3′末端非翻訳配列を持つ。また、同図中のCircularとは環状プラスミドを転写鋳型として構築したGFPmRNAであり、主に1,900塩基または5,900塩基からなる2種類の長鎖の3′末端非翻訳配列が含まれる。これらはWO01/27260号公報に既に開示された方法に従って作成し、それぞれ実験的対照として無細胞タンパク質合成反応に用いた。
上記構築した転写鋳型を用いて得られたmRNAの翻訳鋳型活性を、バッチ式コムギ胚芽無細胞タンパク質合成系で3時間の翻訳反応後に調べた。該翻訳反応は、Madinらの方法〔Madin K.et al.,(2000)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,97,559−564〕、およびWO00/68412号公報に記載された方法に従って実施した。また、タンパク質合成は14C−ロイシンの取り込みを指標として測定し、縦軸の放射能カウントは、等量の胚芽抽出液量当りで表した。その結果、図1の(c)に示すように、プライマーIII(配列表の配列番号1)を用いて構築した鋳型から転写したmRNA3(5′末端はオメガ配列、3′末端に1,896塩基の非翻訳配列を持つGFPmRNA)が高い翻訳効率を示し、その効率は、Cap付きmRNAや、Circularプラスミドから転写した長鎖の3′末端非翻訳配列を持つmRNAに匹敵することが判明した。
すなわち、コムギ胚芽無細胞タンパク質合成系に用いるmRNAに3′末端非翻訳配列を付加するための転写鋳型となるDNA塩基配列の構築には、例えばプライマーIII(配列表の配列番号1)の塩基配列のような、遺伝子をクローン化したベクターのアンピシリン耐性遺伝子の転写ターミネーター配列とOri間に存在する塩基配列と相補鎖を形成し得る塩基配列をプライマーとして設計して用いる方法が有効であることが明らかになった。
比較例1
転写鋳型構築用プライマーの設計と転写鋳型のPCRによる構築
(従来法による転写鋳型構築法)
5′および3′末端非翻訳構造を有するmRNAの転写鋳型をPCR法により得るため、PCRに用いるプライマーを設計し構築した。
mRNAの5′末端非翻訳構造としては、既にWO01/27260号公報に開示したように、アルファルファモザイクウイルス(AMV)由来の塩基配列、タバコモザイクウイルス(TMV)のオメガ配列、これらを直列に結合させたAMV−オメガ配列、さらには、オメガ配列を短く削った29塩基オメガ配列をmRNAに付加することが、無細胞タンパク質合成反応の効率上昇に極めて有効である。ここでは、これらの5′末端非翻訳構造の中からTMVオメガ配列を5′末端非翻訳配列として選んで用いた。3′末端非翻訳配列としては上記実施例1に示した1,896塩基からなる配列を用いた(図1を参照)。
まず、転写鋳型の5′末端配列構築法として繁用されている3種類のプライマーを用いる従来のPCR法について検討した(図2)。図2の(a)にはここで試みたPCR法の概略について、目的とするタンパク質をコードする遺伝子が組み込まれたプラスミドの構造、5′末端配列構築用の3種類のプライマー(プライマー1、2、3)と3′末端配列構築用のプライマーIIIを模式図で示した。プライマー1、2、および3の塩基配列を以下に示す。プライマー3の塩基配列中、Xは目的の遺伝子固有のORFの5′末端側塩基配列を意味する。プライマーIIIは、実施例1で使用したものと同一である。これらのプライマーは、実施例1と同様の方法で作成した。
Figure 0004762481
転写鋳型構築用の鋳型としては、pUC19にcDNAライブラリーから選んだ遺伝子を組み込んだプラスミドを用いた。プラスミドには、ネズミ肝臓由来の3種類のcDNAおよびGFP遺伝子(翻訳産物の分子量は25kDa、18kDa、44kDa、および27kDa)をそれぞれ実施例1と同様の方法で組み込んだ。上記プライマーを用いPCRを実施例1と同様に行い、得られたPCR産物を転写鋳型として実施例1と同様に実験的に転写反応を2時間行い、転写産物を得た。
図2の(b)には、従来のPCR法で得られる主な増幅産物と非特異的に生ずる短鎖DNA副産物を、また(c)には該増幅産物をそのまま転写鋳型として用いて合成される転写産物を模式的に示す。図2の(c)中で、(1)に示すmRNAは完全長のmRNAであり完全長の翻訳産物を与えることができ、(2)に示すmRNAは低分子翻訳産物を与え、(3)に示すmRNAはオメガ配列を欠くため翻訳鋳型活性はない。転写反応における生化学的特性から考えると、合成されるRNA分子の大多数は、DNA鎖長の短いPCR産物由来であると予想される。
図3には、上記転写産物について常法によりアガロースゲル電気泳動を行った結果を示す。各レーンは、3種類のcDNAまたはGFP遺伝子(翻訳産物の分子量は25kDa、18kDa、44kDa、および27kDa)をそれぞれ組み込んだ鋳型プラスミドから作成した転写鋳型を用いて得た転写産物、すなわちmRNAを示す。また、アステリスクは、完全長の転写産物を示す。図3から分かるように、ORFが大きい遺伝子ほどその転写効率が低いこと、さらにこの方法で転写される産物の大半は低分子RNAであることから、PCR法によって非特異的に生ずる短鎖DNA分子種はプロモーター配列を含んでいる。このことは、上記図2の(b)および(c)に基づく予測とよく一致する結果であった。
次に、上記それぞれの転写産物から目的とするサイズのmRNAを単離することなく、転写産物を脱塩後にコムギ胚芽無細胞タンパク質合成系に添加して3時間反応させて翻訳産物を得、それを常法に従ってオートラジオグラフィーに付して検出した〔Endo,Y.et al.,(1992)J.Biotech.,25,221−230〕〔Madin K.et al.,(2000)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,97,559−564〕。翻訳反応は、前記〔Madin K.et al.,(2000)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,97,559−564〕、およびWO00/68412号公報に記載された方法に従って実施した。その結果を図4に示す。図4中にアステリスクで示したように、それぞれのmRNA量に対応した少量の翻訳産物が確認できた。翻訳産物の中で、転写産物量の多い18kDaタンパク質(図3を参照)の合成量が高いものの、大半の翻訳産物が図4中矢印で示したSDS−ポリアクリルアミドゲルの低分子領域に分離される低分子であった。このことは、低分子の転写産物中には、5′末端の翻訳開始増強構造であるオメガ配列とORFの5′末端側の一部とを保持するが、ORFの3′末端側を欠いたmRNAの含量が高いことを示す。これらのmRNA断片は翻訳開始因子と強い親和性を持つことから、目的タンパク質の強力な合成阻害剤として作用し、合成収量を著しく低下させる原因となる。
実施例2
高効率転写鋳型構築用プライマーの設計とPCRによる高効率転写鋳型の構築
(転写鋳型のRNAポリメラーゼプロモーター配列に着目した転写鋳型構築法) 比較例1に示した従来法に基づくプライマーの設計方法では、転写反応後に目的とするサイズのmRNAを単離せずに無細胞タンパク質合成系に使用可能な5′末端非翻訳配列を有する翻訳活性の高いmRNAの転写鋳型をPCR法により構築するための有効なプライマーは得られない。そこで、RNAポリメラーゼの性質を充分に活用する原理、すなわち、RNAポリメラーゼは完全な塩基配列からなるプロモーター構造を認識するが不完全な塩基配列からなるものを認識しないという事実をに基づいて、この有効なプライマーを設計して作成し、さらに該プライマーを用いた転写鋳型の構築方法を実施した(図5)。
図5の(a)にはここで試みたPCR法に用いた目的とするタンパク質をコードする遺伝子が組み込まれたプラスミドの構造、5′末端配列構築用の3種類のプライマー(プライマー▲1▼、▲2▼、および▲3▼)と3′末端配列構築用のプライマーIIIを模式図で示した。各プライマーの塩基配列を以下に示す。これらのプライマーは、実施例1と同様の方法で作成した。ここで設計したプライマー▲1▼はプロモーターの5′末端から少なくともプロモーター機能部位の一部分を含む塩基配列に相補的な配列を有するが、該プロモーターの3′末端側のRNAポリメラーゼ認識部位の少なくとも一部分に相補的な塩基配列をもたないものであり、プライマー▲2▼は該プロモーターの3′末端から少なくともRNAポリメラーゼ認識部位の一部分を含む塩基配列に相補的な塩基配列を有するが、該プロモーターの5′末端側の少なくともプロモーター機能部位に相補的な塩基配列をもたないものである。すなわち、プライマー▲1▼および▲2▼はプロモーター配列分断型プライマーである。プライマー▲3▼は上記プライマー3と同一であり、プライマーIIIは、実施例1で使用したものと同一である。また、ここではPCRを2段階で行ったため、3′末端側非翻訳配列構築用プライマーとして、さらにプライマーIV(配列表の配列番号4)を合成して使用した。プライマーIVは上記プライマーIII(配列表の配列番号1)の塩基配列を基本として、プラスミド中で3塩基ずらして設計したもので、下記塩基配列で示される。また、下記のプライマー配列中でXはプラスミドに組み込んだ遺伝子固有のORFの5′末端側配列を意味する。
Figure 0004762481
これらのプライマーを用いて増幅される主なPCR産物の模式図を図5の(b)に示した。図5の(b)中の(2)および(3)に示すDNAはRNAポリメラーゼによる認識が極めて低いために、事実上RNA合成が行われないことが予測された。また、このように設計されたプライマーを用いて構築される転写鋳型は図5の(c)となることが期待できる。
これらのプライマーを使用して、転写鋳型の構築を行った。まず、転写鋳型構築用の鋳型として、pUC19にcDNAライブラリーから選んだ遺伝子を組み込んだ比較例1と同じプラスミドを用いた。上記プライマーを使用して2段階のPCR法により下記の条件で転写鋳型を作成した。PCR法には、ポリメラーゼとして宝社製のExTaq DNAポリメラーゼを使用した。
1段階目のPCR用混合物(終濃度)
1× ExTaq バッファー
200μM dNTP(デオキシリボヌクレオシド3リン酸)
10nM プライマー▲3▼
10nM プライマーIII
0.025U ExTaq DNAポリメラーゼ
50pg/μl 鋳型プラスミドDNA
2段階目のPCR用混合物(終濃度)
1× ExTaq バッファー
200μM dNTP
100nM プライマー▲1▼
100nM プライマーIV
1nM プライマー▲2▼
0.025U ExTaq DNAポリメラーゼ
0.05μl 1段階目のPCR産物
PCRの反応条件
(1段階目および2段階目のPCRとも同じ条件で実施した。)
98℃で1分間

(98℃で10秒間→60℃で30秒間→72℃で5分間)を30サイクル

72℃で4分間

4℃
次に、上記で得られたPCR産物を転写鋳型として用い、SP6 RNAポリメラーゼを用いて、下記のように調製した転写用溶液を37℃で2時間反応させ、転写産物であるmRNAを得た。
転写用溶液(mRNA溶液)
Figure 0004762481
なお、ここで用いた5×バッファーの組成は、実施例1で使用したものと同じである。
図6に、得られた転写産物のアガロースゲル電気泳動による分析結果を示した。低分子転写産物の存在は見られず、各遺伝子からの転写産物として予想される移動度を持ったRNAが合成されていることが確認できた。
これらのmRNA標品を脱塩し、翻訳鋳型としてバッチ式コムギ胚芽無細胞タンパク質合成系に添加してタンパク質合成を行った。合成反応は、〔Madin K.et al.,(2000)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,97,559−564〕、およびWO00/68412号公報に記載の方法に従い実施した。26℃で3時間のタンパク質合成反応後のオートラジオグラフィーによる分析結果を図7に示した。
図4と図7を比較すると、転写鋳型により明確な差が認められる。すなわち、本発明に係る方法で設計および構築した転写鋳型を用いた場合、従来法で構築したものに比べ、低分子の翻訳産物の合成は見られず、いずれのタンパク質も効率良く合成されていることが確認できた。
さらに、上記のように設計および構築したプライマーを使用してPCRで得た転写鋳型を用い、無細胞タンパク質合成をWO00/68412号公報に記載の透析膜を用いる透析法に従い24時間行った。各反応液の1μlをSDS−ゲル電気泳動し、タンパク質をクマシーブリリアントブルー染色した。その結果を図8に示す。図中アステリスクはそれぞれの遺伝子から合成されたタンパク質バンドを示す。染色バンドのパターンからいずれのタンパク質も高い効率で合成されたことが確認できた。バンドの染色強度の測定によると、反応液1ml当り、25kDaのタンパク質は0.5mg、18kDaのタンパク質は3.2mg、44kDaのタンパク質は1.2mg、27kDaは1.3mgの合成量であった。
実施例3
(PCR法により構築した転写鋳型を用いる希釈方式コムギ胚芽無細胞タンパク質合成法)
実施例2の透析膜を利用した連続式無細胞タンパク質合成法は効率が高い反面、操作が煩雑であった。そこでより簡便な方法として、従来のバッチ式無細胞タンパク質合成反応を、低濃度の胚芽抽出液を含む無細胞タンパク質合成用反応溶液中で実施した。
この方法では、従来既知のバッチ方式無細胞タンパク質合成系で使用される組成の反応溶液を使用した〔Madin K.et al.,(2000)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,97,559−564〕。まず、反応溶液として、容量の48%容の小麦胚芽抽出液(濃度は、200A260nm units/ml)を含む次のような終濃度の組成、1,000units/ml リボヌクレアーゼ阻害剤(RNAsin)、30mM HEPES−KOH(pH7.6)、95mM 酢酸カリウム、2.65mM 酢酸マグネシウム、2.85mM ジチオスレイトール、0.5mg/ml クレアチンキナーゼ、1.2mM ATP、0.25mM GTP、16mM クレアチンリン酸、0.380mM スペルミジン、20種類のL型アミノ酸(各0.3mM)、600μg/mlのGFPをコードするmRNAからなる反応溶液を調製した。該mRNAは、上記実施例2に記載したプロモーター配列分断型プライマーを用いて実施例2に記載したのと同一の方法でPCRにより得られた転写鋳型から転写されたmRNAであり、5′末端にオメガ配列を有するがCAP構造を持たず、1896塩基の3′末端非翻訳配列を担持する。上記反応溶液を26℃で15分間前保温(プレインキュベーション)した後に、5倍量の希釈溶液〔30mM HEPES−KOH(pH7.6)、95mM 酢酸カリウム、2.65mM 酢酸マグネシウム、2.85mM ジチオスレイトール、1.2mM ATP、0.25mM GTP、16mM クレアチンリン酸、0.380mM スペルミジン、20種類のL型アミノ酸(各0.3mM)〕を添加することによって希釈した(希釈方式)。
なお、タンパク質合成をアミノ酸の取り込みを指標として測定するときは、希釈溶液に1ml当たり4μCiの14C−ロイシンを添加したものを用いた。希釈後、再び26℃でタンパク質合成反応を開始した。その結果を図9の(a)に示した。縦軸の放射能カウントは、等量の胚芽抽出液量当りで表した。14C−ロイシンのタンパク質への取り込み、すなわちタンパク質合成反応は、従来のバッチ方式(●−●)では1時間で反応が停止したが、本発明に係る希釈方式(○−○)においては、9時間に亘って合成反応が持続し、従来のバッチ方式に比べて約8倍量のタンパク質が合成できた。また、得られたタンパク質をオートラジオグラフィーに付し、その結果を図9の(b)に示した。図中、左側レーンは分子量マーカーを、矢印は合成産物であるGFPを示す。オートラジオグラムでも、希釈方式では9時間に亘って合成反応が持続することが明らかに示された。さらに、その移動度から合成産物が完全長のタンパク質として合成され、反応液中に蓄積していることも明らかになった。
ここに示した希釈方式の無細胞タンパク質合成法は複雑な操作を含まず、PCRで構築した転写鋳型を用いて高効率の無細胞タンパク質合成を可能にした。
実施例4
(PCRで構築した転写鋳型を用いる転写および翻訳連続型希釈方式コムギ胚芽無細胞タンパク質合成法)
実施例3の希釈方式コムギ胚芽無細胞タンパク質合成法は翻訳効率が高い反面、別途転写したmRNAを無細胞タンパク質合成系に添加しなければならないという煩雑性を伴う。そこで、従来の転写系および翻訳系と希釈方式とを組み合わせた、新規な転写および翻訳連続型希釈方式無細胞タンパク質合成法を実施した。
まず、下記に示す転写用溶液を調製した。ここで用いたPCR産物は、上記実施例2に記載したプロモーター配列分断型プライマー、およびAmpとOri間に相補性を有する3′側プライマーを用いて実施例2と同様の方法で構築した転写鋳型で、遺伝子としてはGFPを組み込んだものである。この転写用溶液を37℃で3時間保温してmRNAを合成した。
転写用溶液(mRNA溶液)
Figure 0004762481
なお、上記転写用溶液の組成中NTPsの終濃度のみを変えて2.5mMまたは1.5mMとしたものを調製し、それぞれについて転写反応を行った。また、ここで用いた5×バッファーの組成は、実施例1で使用したものと同じである。
得られたmRNA溶液は、マグネシウムイオン、ATP、GTP濃度が翻訳反応の至適濃度より高いため、無細胞タンパク質合成用のコムギ胚芽抽出物を加えるだけではこのまま連続して同一の系内で翻訳反応を行うことができない。そのため、得られたmRNA溶液25μlに、下記の無細胞タンパク質合成用の反応溶液を添加した。これにより、マグネシウムイオン濃度が翻訳反応の至適濃度、3.19mMにまで希釈され、タンパク質合成が可能となる。
反応溶液
Figure 0004762481
また、この希釈操作によって、翻訳反応を阻害する転写基質の残余成分のリボヌクレオシド3リン酸および副生物のピロリン酸濃度が1/6に低下した。この希釈操作の後に、反応温度は翻訳至適温度である26℃に設定し、保温を続けた。その結果を図10に示した。
図10の(a)にはアミノ酸の取り込みにより測定したGFP合成の結果を示した。NTPs濃度が2.5mM(中□−□)または3mM(大□−□)の転写用溶液を用いたとき、9時間に亘って合成反応が持続し、バッチ方式(●−●)に比べて約8倍量のタンパク質が合成できたことを示している。この合成効率は実施例3に示したmRNA添加型希釈方式無細胞タンパク質合成系(〇−〇)と同程度である。
さらに図10の(b)に得られたタンパク質のオートラジオグラムを示した。この図から、転写および翻訳連続型希釈方式では9時間に亘って合成反応が持続していることに加えて、その移動度から合成産物が完全長のタンパク質として合成され、反応液中に蓄積していることも確認できた。転写反応に用いたリボヌクレオチド濃度が2.5mM(中□−□)のときに、合成されるタンパク質量は最大であった。SDS−ゲル電気泳動後にクマシーブリリアントブルーによるタンパク質の染色パターンを得、GFPの染色バンド強度を測定したところ、反応液1ml当りのGFP合成量は0.82mgであった。
上記のように、プロモーター配列分断型プライマー、およびAmpとOri間に相補性を有する3′側プライマーを用いて実施例2と同様の方法で構築した転写鋳型を用いることにより、転写および翻訳連続型希釈方式コムギ胚芽無細胞タンパク質合成法が実施でき、効率がよく簡便なタンパク質合成が可能となった。
実施例5
(PCR法で構築した転写鋳型を用いる転写および翻訳一体型希釈方式コムギ胚芽無細胞タンパク質合成法)
まず、容量の48%容の小麦胚芽抽出液(濃度は、200A260nm units/ml)を含み次のような終濃度の組成〔1,000units/ml リボヌクレアーゼ阻害剤(RNAsin)、30mM HEPES−KOH(pH7.6)、95mM 酢酸カリウム、16mM 酢酸マグネシウム、2.85mM ジチオスレイトール、0.5mg/ml クレアチンキナーゼ、2.5mM ATP、2.5mM GTP、2.5mM UTP、2.5mM CTP、1500ユニット/mlのSP6RNAポリメラーゼ、16mM クレアチンリン酸、1.48mM スペルミジン、20種類のL型アミノ酸(各0.3mM)、25μg/ml DNA〕からなる反応溶液を調製した。ここで用いたDNAは、上記実施例2に記載したプロモーター配列分断型プライマー、およびAmpとOri間に相補性を有する3′末端側プライマーを用いて実施例2に記載の方法で構築した転写鋳型であり、遺伝子としてはGFPを組み込んだものである。上記反応溶液を30℃で3時間インキュベーションしてmRNAを転写した。
この合成溶液中のマグネシウムイオンの濃度、およびATPとGTP濃度は翻訳至適濃度のそれらに比べて著しく高いため、転写反応は行われるが、正常なタンパク質合成反応は進行しない。タンパク質合成反応を開始させるため、mRNA合成の後に、上記反応溶液の5倍容の希釈溶液〔30mM HEPES−KOH(pH7.6)、95mM 酢酸カリウム、0.4mM 酢酸マグネシウム、2.85mM ジチオスレイトール、0.94mM ATP、0.25mM GTP、16mM クレアチンリン酸、0.380mM スペルミジン、20種類のL型アミノ酸(各0.3mM)からなり、タンパク質合成をアミノ酸の取り込みを指標として測定する場合には、本溶液1mlに対して、4μCiの14C−ロイシンを含む〕を添加することによって、マグネシウムイオン濃度を翻訳反応の至適濃度(3.19mM)にまで低下した。この方法により、実施例4と同等のタンパク質合成が確認された。
転写および翻訳一体型または転写および翻訳連続型の希釈方式無細胞タンパク質合成法は、複雑な操作を含まず簡便であり、さらにPCR法により構築した転写鋳型を直接用いてタンパク質の無細胞系での効率の高い合成を可能にした。
産業上の利用可能性
本発明により、汎用性を有し、翻訳鋳型活性が高く、且つ構築が簡単な無細胞タンパク質合成用の転写鋳型の設計および構築が可能になり、さらに該転写鋳型を用いた簡便な無細胞タンパク質合成法が確立された。即ち、▲1▼高翻訳鋳型活性を保持するmRNAの設計、▲2▼PCR技術を基盤として翻訳効率の高いmRNAを転写するための汎用性があって転写バックグラウンドの抑制等が可能な転写鋳型を遺伝子から構築するためのプライマーの設計、▲3▼構築した無細胞タンパク質合成用転写鋳型を用いる簡便な無細胞タンパク質合成技術、が確立された。
本発明によれば、どのようなベクターにクローン化された遺伝子においても、その遺伝子に相補的な配列を有する5′末端側と3′末端側の2種類の固有のプライマーを準備すれば、すべての遺伝子に共通に利用可能な汎用性プライマー(5′末端側の3種類と3′末端側の1種類)を用いることによって、クローン化された任意の遺伝子に対して、簡便で高効率な無細胞タンパク質が可能となる。ここに説明した発明の成果は、従来の連続式無細胞タンパク質合成法のような複雑な装置や煩雑な操作を必要としない利点をも合わせ持つことから、ゲノムプロジェクト完了とともにもたらされる膨大な数の遺伝子についての機能解析や構造解析の基盤となる遺伝子産物(タンパク質)の生産に向けた基本的な要素技術を提供することになろう。特に、多検体用全自動無細胞タンパク質合成ロボット開発等、無細胞タンパク質合成システムの自動化に向けた要素技術として重要である。従って本発明は、構造生物化学や生化学を含む基礎生物学から、応用としての医薬の開発および生産に至る広い分野に極めて多大に寄与するものである。
配列表フリーテキスト
配列表の配列番号1:PCR用プライマーを構築するために設計されたポリヌクレオチド。
配列表の配列番号2:PCR用プライマーを構築するために設計されたポリヌクレオチド。
配列表の配列番号3:PCR用プライマーを構築するために設計されたポリヌクレオチド。
配列表の配列番号4:PCR用プライマーを構築するために設計されたポリヌクレオチド。
配列表の配列番号5:PCR用プライマーを構築するためにタバコモザイクウイルスオメガ配列に基づいて設計されたポリヌクレオチド。
【配列表】
Figure 0004762481
Figure 0004762481
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【図面の簡単な説明】
図1は、実施例1に於ける3′末端非翻訳配列を有する翻訳鋳型活性が高いmRNAの転写鋳型をPCRにより得るためのプライマーの設計を示す図である。(a)はORFとしてGFP遺伝子を組み込んだpUC19由来のpEUの構造と、PCR法による転写鋳型構築用プライマーを示す。(b)はSP6 RNAポリメラーゼによる転写産物を示す。(c)はこれらのmRNAを用いたバッチ式コムギ胚芽無細胞タンパク質合成系におけるタンパク質合成を14C−ロイシンの取り込みを指標として測定した結果を示す。図中のCapとは、mRNAの5′末端に7mGpppGを付加して合成したCap付きmRNAであり、Circularとは環状プラスミドを転写鋳型として構築したmRNAである。
図2は、比較例1に於ける従来法で設計した5′末端側プライマーを用いる転写鋳型の構築法と、その転写産物、およびその翻訳活性を示す。(a)は転写鋳型構築用の鋳型であるプラスミドとPCR用プライマーの模式図である。(b)は主たるPCR産物を示す。(c)はPCR産物として得られた転写鋳型からSP6RNAポリメラーゼで転写されると予想されるRNA分子種を示す模式図である。
図3は、比較例1に於ける従来法で設計した5′末端側プライマーを用いて構築した転写鋳型から得た転写産物のアガロースゲル電気泳動図である。各レーンは、3種類のcDNAまたはGFP遺伝子(図中に示すように翻訳産物の分子量は25kDa、18kDa、44kDa、および27kDa)をそれぞれ組み込んた鋳型プラスミドから作成した転写鋳型を用いて得たmRNAを示す。左側レーンは分子量マーカーである。アステリスクは完全長の転写産物を示す。
図4は、比較例1に於ける従来法で設計した5′末端側プライマーにより構築した転写鋳型から得た転写産物を用いて無細胞タンパク質合成を実施後の翻訳産物のオートラジオグラムである。各レーンは、3種類のcDNAまたはGFP遺伝子(図中に示すように翻訳産物の分子量は25kDa、18kDa、44kDa、および27kDa)をそれぞれ組み込んだ鋳型プラスミドから作成した転写鋳型を用いて得た転写産物から翻訳された翻訳産物を示す。左側レーンは分子量マーカーである。アステリスクは完全長の翻訳産物を、矢印は低分子産物を示す。
図5は、実施例2に於けるRNAポリメラーゼプロモーター配列分断型プライマーを用いる転写鋳型の構築法と、その転写産物、およびその翻訳活性を示す。(a)は転写鋳型構築用の鋳型であるプラスミドとPCR用プライマーの模式図である。(b)は主たるPCR産物を示す。(c)はPCR産物として得られた転写鋳型からSP6 RNAポリメラーゼで転写されると予想されるRNA分子種を示す模式図である。
図6は、実施例2に於けるRNAポリメラーゼプロモーター配列分断型プライマーを用いて構築した転写鋳型から得られた転写産物のアガロースゲル電気泳動図である。各レーンは、3種類のcDNAまたはGFP遺伝子(図中に示すように翻訳産物の分子量は25kDa、18kDa、44kDa、および27kDa)をそれぞれ組み込んだ鋳型プラスミドから作成した転写鋳型を用いて得たmRNAを示す。左側レーンは分子量マーカーである。
図7は、実施例2に於けるRNAポリメラーゼプロモーター配列分断型プライマーを用いて構築した転写鋳型から得られた転写産物を用いて無細胞タンパク質合成を行った後の翻訳産物のオートラジオグラムである。各レーンは、3種類のcDNAまたはGFP遺伝子(図中に示すように翻訳産物の分子量は25kDa、18kDa、44kDa、および27kDa)をそれぞれ組み込んだ鋳型プラスミドから作成した転写鋳型を用いて得た転写産物から翻訳された翻訳産物を示す。左側レーンは分子量マーカーである。
図8は、実施例2に於けるRNAポリメラーゼプロモーター配列分断型プライマーを用いて構築した転写鋳型から転写したmRNAを用いた、透析式コムギ胚芽無細胞タンパク質合成法によるタンパク質合成を示す。各レーンは、3種類のcDNAまたはGFP遺伝子(図中に示すように翻訳産物の分子量は25kDa、18kDa、44kDa、および27kDa)をそれぞれ組み込んだ鋳型プラスミドから作成した転写鋳型を用いて得た転写産物から翻訳された翻訳産物を示す。左側レーンは分子量マーカーである。アステリスクは各転写産物を示す。
図9は、実施例3に於ける希釈方式コムギ胚芽無細胞タンパク質合成法によるタンパク質合成を示す。(a)は従来のバッチ法(●−●)と希釈法(〇−〇)における14C−ロイシンのタンパク質への取り込みの経時変化を測定したもので、縦軸の放射能カウントは等量の胚芽抽出液量当りで表した。(b)は得られたタンパク質のオートラジオグラムである。
図10は、実施例4に於ける転写および翻訳一体型希釈方式コムギ胚芽無細胞タンパク質合成法によるタンパク質合成を示す。(a)は14C−ロイシンのタンパク質への取り込みの経時変化を測定したものである。図中、小□−□、中□−□、大□−□は、転写反応段階におけるRNA合成基質濃度を示し、それぞれ1.5mM、2.5mM、3.0mMである。●−●は従来のバッチ法、〇−〇はと希釈法を示す。(b)は得られたタンパク質のオートラジオグラムである。
図11は、cDNAライブラリーからのタンパク質ライブラリー作成法の概略を示す。

Claims (16)

  1. 異なる2種類の塩基配列からなる2種類のポリヌクレオチド(A)、(B)を5′末端側のプライマーとして用いてPCRにより転写鋳型を構築する方法において、該2種類のPCR用プライマーの塩基配列は、該プライマーのいずれか1種類のみで構築されるDNAからの転写が起こらないという条件を満たすものであり、該プライマーの1つはプロモーターの5′末端から少なくともプロモーター機能部位の一部分を含む塩基配列に相補的な配列を有するが、該プロモーターの3′末端側のRNAポリメラーゼ認識部位の少なくとも一部分に相補的な塩基配列をもたない塩基配列からなるポリヌクレオチド(A)であり、該プライマーの別の1つは該プロモーターの3′末端から少なくともRNAポリメラーゼ認識部位の一部分を含む塩基配列に相補的な塩基配列を有するが、該プロモーターの5′末端側の少なくともプロモーター機能部位に相補的な塩基配列をもたない塩基配列からなるポリヌクレオチド(B)であり、並びにポリヌクレオチド(A)の3′末端側の塩基配列とポリヌクレオチド(B)の5′末端側の塩基配列が重複していることを特徴とする転写鋳型の構築方法。
  2. ポリヌクレオチド(B)の塩基配列に、さらに続けてGA若しくはGAA配列を挿入し、その下流に、mRNAの翻訳増幅を与える塩基配列と、さらに、翻訳開始コドンATG、または目的とする遺伝子のORF(翻訳枠)の一部の若しくはORFを含まないORF上流の塩基配列に相補的な塩基配列とを連結した塩基配列からなるポリヌクレオチドを用いる請求項1に記載の転写鋳型の構築方法。
  3. ポリヌクレオチドの翻訳部の開始コドンとORFとの間に、タグまたはエピトープ合成用の塩基配列を組み込むことを特徴とする請求項2に記載の転写鋳型の構築方法。
  4. 無細胞タンパク質合成法に用いる翻訳鋳型分子を作成するための転写鋳型をPCR法で作成する方法において、該転写鋳型の5′末端側のプライマーとして、配列表の配列番号2に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチド;配列表の配列番号3に記載の塩基配列にタバコモザイクウイルス由来のオメガ配列と翻訳開始コドンであるATGを連結した塩基配列からなるポリヌクレオチド;および配列表の配列番号5に記載の塩基配列に翻訳開始コドンであるATGと、これに続いて転写目的である遺伝子固有のORFの5′末端側塩基配列とを連結した塩基配列からなるポリヌクレオチド;とを用い、該転写鋳型の3′末端側のプライマーとして、配列表の配列番号1に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドを用いることを特徴とする転写鋳型の構築方法。
  5. 転写鋳型をPCR法で作成するためのプライマーセットであって、5′末端側プライマーとして、プロモーターの5′末端から少なくともプロモーター機能部位の一部分を含む塩基配列に相補的な配列を有するが該プロモーターの3′末端側のRNAポリメラーゼ認識部位の少なくとも一部分に相補的な塩基配列をもたない塩基配列からなるポリヌクレオチド(A)、該プロモーターの3′末端から少なくともRNAポリメラーゼ認識部位の一部分を含む塩基配列に相補的な塩基配列を有するが該プロモーターの5′末端側の少なくともプロモーター機能部位に相補的な塩基配列をもたない塩基配列からなるポリヌクレオチド(B)、およびポリヌクレオチド(B)にアニーリングできる塩基配列に続いて翻訳開始コドンATG、または目的とする遺伝子のORF(翻訳枠)の一部の若しくはORFを含まないORF上流の塩基配列に相補的な塩基配列を連結してなるポリヌクレオチド(C)と、3′末端側プライマーとして遺伝子をクローン化したベクターの薬剤耐性遺伝子等のマーカー遺伝子の転写ターミネーター配列と一部Oriを含む間に存在する塩基配列と相補鎖を形成し得る塩基配列を含むポリヌクレオチドと、を含むプライマーセットであって、ここで、ポリヌクレオチド(A)の3′末端側の塩基配列とポリヌクレオチド(B)の5′末端側の塩基配列が重複していることを特徴とするプライマーセット。
  6. ポリヌクレオチド(B)が、プロモーターの3′末端から少なくともRNAポリメラーゼ認識部位の一部分を含む塩基配列に相補的な塩基配列を有するが、該プロモーターの5′末端側の少なくともプロモーター機能部位に相補的な塩基配列をもたない塩基配列に続いて、GA若しくはGAA配列を挿入し、その下流にさらにmRNAの翻訳増幅を与える配列を連結し、さらに、翻訳開始コドンATG、または目的とする遺伝子のORFを含まないORF上流の塩基配列に相補的な配列を連結した塩基配列からなるポリヌクレオチドである請求項5に記載のプライマーセット。
  7. 配列表の配列番号2に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチド;配列表の配列番号3に記載の塩基配列にタバコモザイクウイルス由来のオメガ配列と翻訳開始コドンであるATGを連結した塩基配列からなるポリヌクレオチド;および配列表の配列番号5に記載の塩基配列に翻訳開始コドンであるATGとこれに続いて転写目的である遺伝子固有のORFの5′末端側塩基配列とを連結した塩基配列からなるポリヌクレオチド;とを5′末端側のプライマーとして含み、配列表の配列番号1に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドを3′末端側のプライマーとして含み、無細胞 タンパク質合成法に用いる翻訳鋳型分子を構築するための転写鋳型をPCRにより作成するためのプライマーセット。
  8. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の構築方法で作成された転写鋳型から転写されたmRNAを翻訳鋳型として用いる無細胞タンパク質合成法。
  9. mRNAを合成後にゲルろ過により精製する請求項8に記載の無細胞タンパク質合成法。
  10. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の構築方法で転写鋳型を作成し、転写用溶液により転写反応を行った後に、無細胞 タンパク質合成用反応溶液を添加して、添加後の反応溶液中の少なくともマグネシウム濃度を翻訳至適濃度に低下し、同時に該反応溶液中の転写基質および転写副生物の濃度を低下し、翻訳反応の持続時間を延長することを特徴とする転写および翻訳連続型希釈方式の無細胞タンパク質合成法。
  11. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の構築方法で転写鋳型を作成し、無細胞 タンパク質合成用反応溶液により転写反応を行った後に、希釈溶液を添加して希釈し、当該反応溶液中の少なくともマグネシウム濃度を翻訳至適濃度に低下し、同時に該反応溶液中の転写基質および転写副生物の濃度を低下し、翻訳反応の持続時間を延長することを特徴とする転写および翻訳一体型希釈方式の無細胞タンパク質合成法。
  12. 反応容器中にcDNAを添加し、請求項1〜4のいずれか1項に記載の転写鋳型の構築方法を実施して該反応容器中で転写鋳型を作成し、RNAポリメラーゼと4種類のリボヌクレオシド3リン酸を含む転写用溶液により転写反応を行った後、無細胞 タンパク質合成用反応溶液をさらに添加して、反応溶液中の少なくともマグネシウム濃度を翻訳至適濃度に低下し、翻訳反応を行うことを特徴とする転写および翻訳連続型希釈方式の無細胞タンパク質合成法。
  13. 反応容器中にcDNAを添加し、請求項1〜4のいずれか1項に記載の転写鋳型の構築方法を実施して該反応容器中で転写鋳型を作成し、RNAポリメラーゼと4種類のリボヌクレオシド3リン酸を含む無細胞 タンパク質合成用反応溶液を加えて転写反応を行った後、希釈溶液を添加して希釈し、当該合成溶液中の少なくともマグネシウム濃度を翻訳至適濃度に低下し、翻訳反応を行うことを特徴とする転写および翻訳一体型希釈方式の無細胞タンパク質合成法。
  14. マグネシウム濃度を1mMから6mMに低下する請求項10〜13のいずれか1項に記載の無細胞タンパク質合成法。
  15. 転写反応を30℃〜45℃で実施し、且つ翻訳反応を20℃〜30℃で実施することを特徴とする請求項10〜14のいずれか1項に記載の無細胞タンパク質合成法。
  16. コムギ胚芽抽出物を用いることを特徴とする請求項8〜15のいずれか1項に記載の無細胞タンパク質合成法。
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