JPH1156363A - タンパクの製造方法 - Google Patents

タンパクの製造方法

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JPH1156363A
JPH1156363A JP9222371A JP22237197A JPH1156363A JP H1156363 A JPH1156363 A JP H1156363A JP 9222371 A JP9222371 A JP 9222371A JP 22237197 A JP22237197 A JP 22237197A JP H1156363 A JPH1156363 A JP H1156363A
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JP
Japan
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sequence
dna
dna sequence
protein
terminator
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JP9222371A
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Tsuneo Yamane
恒夫 山根
Hideo Nakano
秀雄 中野
Reiko Okumura
れい子 奥村
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NIPPN Corp
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Nippon Flour Mills Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 PCRで得られたDNAから、簡便に十分な
量のタンパクを合成させることのできる、無細胞タンパ
ク合成系を用いたタンパクの製造方法を提供すること。 【解決手段】 無細胞抽出液を含む無細胞タンパク合成
系でタンパクを製造する方法において、プロモーターD
NA配列、リボソーム結合DNA配列、目的タンパクを
コードするDNA配列、及びターミネーターDNA配列
又は変異ターミネーターDNA配列を含み、かつ前記4
種のDNA配列の合計が全DNA配列の50%以上であ
る鋳型DNAを用いてタンパクを製造する方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無細胞タンパク合
成系を用いたタンパクの製造方法に関する。ここで無細
胞タンパク合成系とは、mRNAの情報を読み取ってタ
ンパクやポリペプチドを合成する無細胞翻訳系、並びに
DNAを鋳型としてRNAを合成する無細胞転写系と無
細胞翻訳系の両者を含む系の何れをも意味するものとす
る。
【0002】
【従来の技術】無細胞タンパク合成系は、生物や培養細
胞等の生きた細胞を用いる系に比べ、タンパク合成に至
るまでの操作が非常に簡便であることから、近年その需
要が高まっている。一方、PCR(ポリメラーゼチェー
ンリアクション)は大変有効かつ簡便なDNA遺伝子増
幅方法であり、この両技術を組み合わせ、プラスミドD
NAを用いずに、PCRにより得られたDNAから直接
そのDNAがコードするタンパクを容易かつ大量に合成
できる技術の開発が待たれている。PCR産物のDNA
を用いて無細胞タンパク合成を行わせる系は既に知られ
ている(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, Vol. 94, 412-4
17, 1997) 。しかしながら、従来、量的に十分なタンパ
クを合成することは難しく、タンパクの合成量を増加さ
せることが重要な課題であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の目的
は、PCRで得られたDNAから、簡便に十分な量のタ
ンパクを合成させることのできる、無細胞タンパク合成
系を用いたタンパクの製造方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
めに、本発明者らは鋭意研究を重ね、無細胞タンパク合
成に用いる鋳型DNAの3’末端側に、ターミネーター
DNA配列又は変異ターミネーターDNA配列を結合す
ることにより、タンパク合成量が顕著に増加することを
見出し、本発明を完成させるに至った。本発明は、無細
胞抽出液を含む無細胞タンパク合成系でタンパクを製造
する方法において、プロモーターDNA配列、リボソー
ム結合DNA配列、目的タンパクをコードするDNA配
列、及びターミネーターDNA配列又は変異ターミネー
ターDNA配列を含み、かつ前記4種のDNA配列の合
計が全DNA配列の50%以上である鋳型DNAを用い
てタンパクを製造する方法である。本発明において、プ
ロモーターDNA配列は、mRNA合成時にRNAポリ
メラーゼが最初に結合するDNA配列であり、リボソー
ム結合DNA配列は、タンパク合成の際に、リボソーム
(タンパク合成をつかさどる複合体)が結合する部位の
DNA配列であり、ターミネーターDNA配列又は変異
ターミネーターDNA配列は、RNAポリメラーゼによ
るmRNAの合成を停止させる配列(転写終結配列)で
ある。本発明においては、前記4種のDNA配列をこの
順に結合し、その合計が全DNA配列の50%以上であ
る鋳型DNAを用いることが必要である。前記4種のD
NA配列の合計が全DNA配列の50%未満では、タン
パク合成に必要なDNA部分以外に、タンパク合成に直
接関係の無いDNA配列を合成し、結合する必要があ
り、DNAの製造コストがかかり、タンパクの合成効率
も低下する。本発明に使用する無細胞抽出液としては、
小麦胚芽抽出液、大腸菌細胞抽出液、ウサギ網状赤血球
抽出液等があげられる。
【0005】以下本発明に使用する無細胞抽出液の調製
から無細胞タンパク合成系におけるタンパク合成活性の
測定までの各段階について詳細に説明する。 i.無細胞抽出液の調製 無細胞抽出液の調製は、用いる材料に応じて異なるが、
通常のいかなる方法を用いても良い。 ii.無細胞タンパク合成反応 反応液には、無細胞抽出液の他、目的とするタンパクを
コードするDNA、RNA、RNAポリメラーゼ、タン
パクの構成アミノ酸、緩衝剤、ATP、GTP等のエネ
ルギー源、クレアチンホスフェート、クレアチンホスフ
ォキナーゼ、フォスフォエノールピルビン酸、ピルビン
酸キナーゼ等のATP再生系、ジチオスレイトール(D
TT)、スペルミン、スペルミジン等の安定化剤、RN
ase阻害剤を適量加える。反応は、用いる無細胞抽出
液及び目的とするタンパクの種類等により最適の温度で
行われ、一般に20〜40℃が適当である。
【0006】タンパク合成に用いられるアミノ酸配列の
情報は、mRNAの形でタンパク合成系にもたらされ
る。このmRNAは鋳型DNAからRNAポリメラーゼ
による転写反応で合成される。RNAポリメラーゼは、
まずその種類に特異的なプロモーター配列をDNA上に
見出しその部分に結合し、続いてRNAの合成を開始す
る。RNAの合成は、DNA配列が無くなった部分で自
然に終了する(run−off)か、RNAポリメラー
ゼの種類に特異的なターミネーター配列が現れた時点で
終了する。従来主として用いられてきたプラスミドDN
Aを鋳型として用いる方法においては、run−off
法とターミネーター配列を用いる方法とで、タンパク合
成の効率に差が無かった。このため、より簡便なrun
−off法が主に用いられてきた。しかし、PCR産物
DNAを鋳型に用いた場合、run−off法を用いた
タンパク合成の効率が、プラスミドを用いた時と比較し
て劣るという現象が見られた。このため、その原因を解
析し、タンパク合成の効率を上げるため研究を進めた。
その結果、目的とするタンパクをコードする鋳型DNA
の配列の後(3’末端側)にターミネーターDNA配列
又は変異ターミネーターDNA配列を連結するととも
に、プロモーターDNA配列、リボソーム結合DNA配
列、目的タンパクをコードするDNA配列、及びターミ
ネーターDNA配列又は変異ターミネーターDNA配列
の合計が全DNA配列の50%以上である鋳型DNAを
用いてタンパクを製造することにより、タンパク合成活
性が顕著に高まることが確認された。本発明においてタ
ンパク合成量(タンパク合成活性)が増加する原因はま
だ明らかにされていないが、RNAポリメラーゼによっ
て作られたmRNAが安定化している、mRNAの合成
量が増加している、mRNAの高次構造がタンパク合成
系で有効に機能している、等の原因が推定される。
【0007】本発明に使用されるRNAポリメラーゼ
は、通常用いられるいかなる配列のものでも良い。しか
し、タンパク合成反応液中での活性や、RNAポリメラ
ーゼ自体の入手のし易さを考慮すると、T7、T3、S
P6等のウイルス由来のRNAポリメラーゼが望まし
い。また本発明に使用されるターミネーターDNA配列
又は変異ターミネーターDNA配列は、RNAポリメラ
ーゼの転写反応を停止させ、合成されたRNAをDNA
から遊離させる機能を有するものであればいずれのDN
A配列も使用できる。通常は、転写反応に使用するRN
Aポリメラーゼに固有のターミネーターDNA配列を使
用することが望ましい。しかし、RNAポリメラーゼに
固有のターミネーターDNA配列の一部の塩基を置換、
欠失又は挿入したDNA配列であって、RNAポリメラ
ーゼの転写反応を停止させ、合成されたRNAをDNA
から遊離させる機能を有するものであればいずれのDN
A配列も本発明に使用できることは明らかであり、この
ようなターミネーターDNA配列をこの明細書において
「変異ターミネーターDNA配列」という。
【0008】以下、比較例及び実施例によって本発明を
具体的に説明する。
【実施例1及び比較例1】 大腸菌抽出液の調製 Ellmanらの方法(Methods Enzymol. 202: 301-336 (199
1))に従って、大腸菌抽出液を調製した。まず、大腸菌A
19 を8Lの培養液を含むジャーファーメンターにて37
℃で培養し、450nm の吸光度が1.1 になった時点で培養
を停止した。菌体を遠心分離により集め、バッファーに
懸濁し、フレンチプレスにて8400psi で菌を破砕した。
直ちに遠心分離して30,000xgの遠心上清(S30) を得た。
得られた上清にATP 等のエネルギー源を加えたバッファ
ーを添加し、37℃、80分ゆっくり振とうした。続いてこ
の液を4 ℃、3 時間透析し、さらに4,000xg で遠心した
上清を大腸菌抽出液として得た。
【0009】無細胞タンパク合成反応 遠藤斗志也らにより開発された方法(第69回日本生化学
会大会、発表番号4-P-1209) に従って、無細胞タンパク
合成を行なった。実施例1の反応液は、56.4mM Tr
is・HCl buffer pH 7.4、1.22mMATP、それぞれ
0.85mMのGTP、UTP、CTP、1.76mM D
TT、40mMクレアチンリン酸、0.15mg/mlクレア
チンキナーゼ、160μMアミノ酸、10m酢酸マグネ
シウム、150mM酢酸カリウム、1.0U/μ1 RN
ase阻害剤(ヒト胎盤由来)、0.17mg/ml大腸菌t
RNA、0.02mg/ml鋳型DNA、10μg/mlT7RN
Aポリメラーゼ、大腸菌抽出液0.2mlの組成からなり、
全量を1mlとした。反応は37℃で2時間おこなった。
【0010】但し、実施例1で用いた鋳型DNAは、T
7プロモーター配列、GFP(green fluorescein prot
ein:クラゲタンパク質)遺伝子配列、T7ターミネータ
ー配列を含むプラスミド pRSET-GFP1 を鋳型とし、T7
プロモーター配列を含むセンスプライマーP1とT7タ
ーミネーター配列の更に後ろの配列をもつアンチセンス
プライマーP3を用いてPCRを行って得た。また、プ
ラスミド pRSET-GFP1は、プラスミドpGFP(Clontech 社)
を制限酵素BamHI とEcoRI で処理してGFP遺伝子を
切り出し、これをプラスミドpRSETB(Invitrogen 社) の
BamHI とEcoRI部位に挿入することより製造した。プラ
スミド pRSET-GFP1 のDNA配列のうちこの実施例にお
いて鋳型として使用した部分のDNA配列を図1に示
す。ここで使用したT7プロモーター配列及びリボソー
ム結合DNA配列は以下のとおりである。 T7プロモーター配列 TAATACGACTCACTATA ATTATGCTGAGTGATAT リボソーム結合DNA配列 AAGGAG TTCCTC
【0011】比較例1の反応は、実施例1と同組成の反
応液でおこなった。また鋳型DNAは実施例1と同じプ
ラスミドを鋳型とし、T7プロモーター配列を含むセン
スプライマーP1と、T7ターミネーター配列直前のア
ンチセンスプライマーP2を用いてPCRを行って得た
短い鋳型DNAを用いた。反応1時間後に反応液の一部
をとり、GFPの合成量をGFPの発する蛍光、エクサ
イテーション395nm、エミッション509nmにて
測定して求めた。合成されたタンパクの量は、一定時間
後に合成されたGFPタンパクの発する蛍光値から、反
応時間0のバックグラウンド蛍光値を差し引いた値で表
す。
【0012】
【実施例2及び3】実施例1で示されたターミネーター
配列の有効性を確認するため、鋳型DNAの長さをそろ
え、実施例2では、T7ターミネーター配列をもつ鋳型
DNAを、実施例3では、T7ターミネーター配列の一
部(6塩基)を変化させた鋳型DNAを用いた。 大腸菌抽出液の調製と無細胞タンパク合成反応 実施例1と同様の方法で大腸菌抽出液の調製と無細胞タ
ンパク合成反応をおこなった。但し鋳型DNAは、実施
例2は実施例1と同じプラスミドを鋳型にして、T7プ
ロモーター配列を含むセンスプライマーP1と、T7タ
ーミネーター配列を含むアンチセンスプライマーP4で
PCRを行って得た。実施例3で用いた鋳型DNAは、
T7プロモーター配列を含むセンスプライマーP1と、
T7ターミネーター配列の一部(6塩基)を変化させた
配列を含むアンチセンスプライマーP5でPCRを行っ
て得た。PCRに用いたプライマーの塩基配列を以下に
示す。
【0013】 プライマー 塩基配列 P1 CCGCGAAATT TAATACGACT C P2 TTATTGCTCA GCGGTGGCAG P3 GCCAGATCCG GATATAGTTC CTCC P4 AGCAAAAAAC CCCTCAAGAC CCGTTTAGAG GCCCCAAGGG GT P5 AGCAAAAATC GTCTCAACAA GCGTTTAGAG GCCCCAAGGG GT 結果を以下の表1に示す。
【0014】
【表1】 例 GFP合成量(相対値) 実施例1(完全長のT7ターミネーターを連結) 15 比較例1(ターミネーター連結せず) 2 実施例2(完全長のT7ターミネーターを連結) 12 実施例3(完全長のT7ターミネーターの配列の一部変化) 4.5
【0015】完全長のT7ターミネーターDNA配列を
連結した鋳型DNAを使用した実施例1のタンパク(G
FP)合成量は、T7ターミネーターDNA配列を連結
していない鋳型DNAを使用した比較例1のタンパク合
成量の7.5 倍であることがわかる。また、完全長のT7
ターミネーターDNA配列を連結した鋳型DNAを使用
した実施例2のタンパク(GFP)合成量は、T7ター
ミネーターDNA配列を連結していない鋳型DNAを使
用した比較例1のタンパク合成量の6倍であることがわ
かる。
【0016】さらに、実施例2のターミネーターDNA
配列と同じ長さで、配列の一部を変化させたもの(変異
ターミネーターDNA配列)を連結した鋳型DNAを使
用した実施例3のタンパク合成量は、実施例2の場合と
比較して低いが、T7ターミネーターDNA配列を連結
していない鋳型DNAを使用した比較例1のタンパク合
成量の4.5倍であることがわかる。上記結果は、完全
長のターミネーターDNA配列を連結した鋳型DNAを
使用することにより、タンパク合成量が顕著に増大する
こと、ターミネーターDNA配列の一部の配列を変化さ
せた変異ターミネーターDNA配列を使用するとターミ
ネーターDNA配列を連結することにより奏される効果
が減少することを示している。
【0017】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:21 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 PCR用プライマー 配列 CCGCGAAATT TAATACGACT C 21 配列番号:2 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 PCR用プライマー 配列 TTATTGCTCA GCGGTGGCAG 20 配列番号:3 配列の長さ:24 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 PCR用プライマー 配列 GCCAGATCCG GATATAGTTC CTCC 24 配列番号:4 配列の長さ:42 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 PCR用プライマー 配列 AGCAAAAAAC CCCTCAAGAC CCGTTTAGAG GCCCCAAGGG GT 42 配列番号:5 配列の長さ:42 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 PCR用プライマー 配列 AGCAAAAATC GTCTCAACAA GCGTTTAGAG GCCCCAAGGG GT 42
【図面の簡単な説明】
【図1】プラスミド pRSET-GFP1 のDNA配列のうち、
実施例において鋳型として使用した部分のDNA配列を
示す。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無細胞抽出液を含む無細胞タンパク合成
    系でタンパクを製造する方法において、プロモーターD
    NA配列、リボソーム結合DNA配列、目的タンパクを
    コードするDNA配列、及びターミネーターDNA配列
    又は変異ターミネーターDNA配列を含み、かつ前記4
    種のDNA配列の合計が全DNA配列の50%以上であ
    る鋳型DNAを用いてタンパクを製造する方法。
  2. 【請求項2】 転写に用いるRNAポリメラーゼがT7
    である、請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 無細胞抽出液が大腸菌抽出液である請求
    項1又は2記載の方法。
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