JPWO2002008443A1 - コムギ胚芽無細胞タンパク質合成システムを用いるタンパク質の一般的標識手段 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、コムギ胚芽無細胞タンパク質合成システムを利用した、セレノメチオニンによるタンパク質の標識手段、および重水素によるタンパク質の標識手段に関する。
背景技術
ゲノム計画の完了を間近に控えて、研究課題の中心が遺伝子構造解析から遺伝子機能解析へと急速に展開してきている。細胞内におけるタンパク質は、それが単独で機能しているのではなく、多種多様なタンパク質因子、核酸、低分子種や細胞膜成分等と協調して相互作用することにより機能発現し、さらに該相互作用の総和として生物学的機能が営まれているものと考えられている。ポストゲノム計画の中心課題の一つは、多種多様なタンパク質因子の複合体の構造と機能の関係を解析することである。ここから得られる成果は、構造生物学や生化学を含む基礎生物学などの研究から、その応用としての医学分野における遺伝子翻訳産物と病因との関係解明、さらには医薬の開発に至る広い分野に極めて重要な知見を提供することになると期待されている。
タンパク質の構造生物学的研究には、X線結晶解析法、NMRスペクトロスコピー法や中性子散乱法が用いられている。これらの方法を駆使するためには、それぞれ、重原子標識、同位体標識や重水素標識され且つ活性を保持したタンパク質を大量に調製することが必須である。従来のX線結晶解析法では、少なくとも2種類の結晶、すなわち天然型タンパク質の結晶と格子定数決定のためにこの結晶に重原子を侵入させた重原子標識結晶とが必要である。後者の結晶を得るには困難を伴うことが多く、このために前者の結晶化に成功しているにも拘わらず結晶構造が解明できない事例が多い。この解決方法として提案され、一部利用されている技術としてメチオニンのイオウ原子を重原子であるセレンに置換したセレノメチオニンを利用する方法がある。それは、目的とする遺伝子を培養細胞や大腸菌に導入してセレノメチオニンを含む培地中で培養することにより、該遺伝子がコードするタンパク質を発現させる遺伝子工学的手法を利用して、該タンパク質にセレノメチオニンを導入する方法である。
一方、NMRスペクトロスコピー法や中性子散乱法によるタンパク質立体構造解析および分子内における水分子の局在性分析には、タンパク質の水素原子を重水に置換することが必要である。この方法としては、目的とする遺伝子を大腸菌などの微生物に導入し、これらを重水素標識アミノ酸含有培地中で培養することにより遺伝子産物を発現させ、重水素標識タンパク質を調製する手段が用いられている。
含セレノメチオニンタンパク質は、該タンパク質から得られる1種類の結晶で構造解析が可能であるために有用であり、このことは既に実証されている。しかし、従来行われていたタンパク質のセレノメチオニン標識法には多くの欠点が存在する。それは、(1)メチオニンが細胞でタンパク質合成のみならず種々の代謝にも関与する必須アミノ酸であり、またセレンそれ自体が強い細胞毒性を示すので、培地中のメチオニンをすべてセレノメチオニンに入れ替えることはできず、そのため必要量の含セレノメチオニンタンパク質を調製するには大量培養が必要となること、(2)セレノメチオニンは高価であると同時に毒性が強いので、培養後のセレノメチオニンを高濃度に含む培地の廃棄方法に重大な問題が残されることである。
他方、タンパク質の重水素標識は、NMRスペクトロスコピー法や中性子散乱法によるタンパク質立体構造解析に必須な要件であるが、これまでは上記のように微生物の培養を利用する方法が唯一であった。この方法は、1)操作が煩雑、2)標識効率が低い、3)大量の重水素標識アミノ酸を必要とするためにコストが極めて高く、またその強い毒性により培地の廃棄方法に重大な問題が残される、などの解決しなければならない多くの欠点があった。
さらに同様の理由から、NMRスペクトロスコピー法に用いるための炭素13(13C)または窒素15(15N)で標識されたアミノ酸を含むタンパク質を調製する遺伝子工学的手法を用いた実用的な手段は開発されていない。
このような現状において、目的のタンパク質の活性を保持したままで該タンパク質分子中の所望のアミノ酸を所望のように標識化できる、効率がよく安価で且つ廃液量の少ない標識タンパク質の調製手段が待望されていた。
発明の開示
本発明の一態様は、コムギ胚芽抽出物から該胚芽抽出物に混入する胚乳を完全に除去して得た無細胞タンパク質合成用細胞抽出物中のメチオニンをセレノメチオニンに変えた後、メチオニンの代わりにセレノメチオニンを含むタンパク質合成反応液組成を使って、バッチ条件下または透析条件下で、無細胞タンパク質合成を行うことを特徴とするセレノメチオニン標識タンパク質の製造方法である。
また本発明の一態様は、上記製造方法で得たセレノメチオニン標識タンパク質である。
さらに本発明の一態様は、コムギ胚芽抽出物から該胚芽抽出物に混入する胚乳を完全に除去して得た無細胞タンパク質合成用細胞抽出物中の天然型アミノ酸を重水素標識アミノ酸に変えた後、天然型アミノ酸の代わりに重水素標識アミノ酸を含むタンパク質合成反応液組成を使って、バッチ条件下または透析条件下で、無細胞タンパク質合成を行うことを特徴とする重水素含有アミノ酸標識タンパク質の製造方法である。
さらにまた本発明の一態様は、上記製造方法で得た重水素含有アミノ酸標識タンパク質である。
発明を実施するための最良の形態
本発明に係る標識タンパク質の製造方法は、無細胞タンパク質合成システムを利用したものである。該製造方法は標識タンパク質の合成効率が高く、且つ純度が高い標識タンパク質を提供し得るという利点を有し、またこれらの利点のために廃液量が少ない。従って本発明に係る標識タンパク質の製造方法は、従来法と比較して極めて優れた方法である。
本発明において、無細胞タンパク質合成システムで用いる細胞抽出物は、コムギ胚芽抽出物、好ましくは胚乳成分の夾雑が実質的に完全に排除されているコムギ胚芽抽出物である。該コムギ胚芽抽出物は、その原料として後述する実施例1に示した方法で得ることのできる、白色を呈する小傷部分をもつ胚芽および茶や黒などの色をもつ胚芽を完全に除去した黄色の胚芽のみからなるコムギ胚芽を原料として調製したものが特に好ましい。
タンパク質をセレノメチオニン標識するときは、コムギ胚芽抽出物中のメチオニンをセレノメチオニンに置換する。置換の方法は、具体的には後述する実施例に記載する。例えば、予めメチオニンを除いてセレノメチオニンを添加した20種類のアミノ酸混合液(19種類のアミノ酸とセレノメチオニンとを含む溶液)を含む抽出用溶液を用いてまずコムギ胚芽から抽出物を調製する。または従来どおりの20種類全てのアミノ酸を含む抽出用溶液を用いてコムギ胚芽から抽出物を調製してもよい。次いでこの胚芽抽出物のゲルろ過を、メチオニンを除いた19種類のアミノ酸にセレノメチオニンを追加した20種類のアミノ酸を含む溶液を用いて行い、メチオニンの代わりにセレノメチオニンを含むコムギ胚芽抽出物を調製する。
タンパク質を重水素標識するときは、コムギ胚芽抽出物中の天然型アミノ酸を重水素標識アミノ酸に置換する。置換の方法は、具体的には後述する実施例に記載する。例えば、標識したい天然型アミノ酸を予め除きその代わりに重水素標識した当該アミノ酸を添加した抽出用溶液、または20種類の重水素標識アミノ酸混合液を含む抽出用溶液を用いてコムギ胚芽から抽出物を調製する。次いでこのコムギ胚芽抽出物のゲルろ過を、目的とする重水素標識アミノ酸を含む溶液または20種類の重水素標識アミノ酸混合液を含む溶液で平衡化したゲルろ過カラムで行い、抽出物中のアミノ酸のうち目的とするアミノ酸または20種類のすべてのアミノ酸を重水素標識アミノ酸と交換したコムギ胚芽抽出物を調製する。
本発明において使用するタンパク質合成反応液組成は、セレノメチオニン標識タンパク質を得るときには、従来既知の無細胞タンパク質合成系(無細胞タンパク質合成のための反応系)で使用される組成においてメチオニンをセレノメチオニンに置き換えたものであり得る。例えば、該反応液は、容量の24%のコムギ胚芽抽出液(濃度は、200A260nm units/ml)に対して、1,000units/ml リボヌクレアーゼ阻害剤(RNAsin)、30mM Hepes−KOH、pH7.6、95mM 酢酸カリウム、2.65mM 酢酸マグネシウム、2.85mM ジチオスレイトール、0.5mg/ml クレアチンキナーゼ、1.2mM アデノシン三リン酸(ATP)、0.25mM グアノシン三リン酸(GTP)、16mM クレアチンリン酸、0.380mM スペルミジン、メチオニンの代わりにセレノメチオニンを含む20種類のL型アミノ酸(各0.3mM)、0.05% NP−40等を加えてなる。
また、重水素標識タンパク質を得るときは、上記同様に従来既知の無細胞タンパク質合成系で使用される組成において、標識したい天然型アミノ酸を重水素標識した当該アミノ酸に、または20種類のアミノ酸全てを重水素標識アミノ酸に置き換えたものを用いればよい。
このタンパク質合成反応溶液に、目的のタンパク質をコードするmRNAを添加してタンパク質合成を行う。mRNAは自体公知の方法で調製したものが使用できるが、本発明においては、タンパク質合成の翻訳鋳型となるmRNAの合成を行うために、遠藤が構築した汎用性のあるプラスミド(pEU)を利用した(図4を参照)。このプラスミドは、▲1▼プロモーター機能を担持した塩基配列と、▲2▼その下流にあたる領域に少なくともアルファルファモザイクウイルス(AMV)リーダー配列、タバコモザイクウイルス(TMV)RNAの5’末端非翻訳配列(5’UTR)に存在するオメガ(Omega)(Ω)配列、配列表の配列番号1若しくは2若しくは3に記載の塩基配列、またはこれらの配列と70%以上の相同性を有し且つCAP構造が存在するmRNAの翻訳開始活性と比較して約70%以上の翻訳開始活性を有するmRNAを与えうる塩基配列の、転写鋳型となる塩基配列と、▲3▼その下流にあたる領域に複数の制限酵素切断部位と、▲4▼ORF(Open Reading Frame)の終止コドンの下流にあたる領域に少なくとも500塩基以上からなる3’末端非翻訳配列(3’UTR)とが配置されていることを特徴とする無細胞タンパク質合成系において鋳型として用いるプラスミドである。このプラスミドから転写されたmRNAは、その5’末端非翻訳配列にAMVリーダー配列、TMVΩ配列、または配列表の配列番号1若しくは2若しくは3に記載の塩基配列を有し、且つ長い3’末端非翻訳配列を有するため、安定で且つ翻訳効率が高い。配列表の配列番号1若しくは2若しくは3に記載の塩基配列は、5’末端非翻訳配列として用いるためにAMVリーダー配列およびTMVΩ配列に基づいて設計して得たポリヌクレオチドである。
このプラスミドを環状型のままで用いると、該プラスミドには特別な転写終結部位を挿入していないので、転写産物であるmRNAは種々の分子サイズのmRNAとして合成される。転写終結部位を規定するターミネーター機能を担持する配列をプロモーター領域の上流に配置し、転写産物の分子サイズを一定にすることもできる。また、このプラスミドを転写反応に先だって制限酵素で切断して開環し、直鎖型プラスミドとして用いてもよい。
本発明において翻訳鋳型として用いるmRNAは、上記プラスミドを利用して調製したものであってもよいし、また自体公知の方法を用いて得たものであってもよい。
安定で且つ翻訳効率の高いmRNAとして、その5’末端側に上記AMVリーダー配列やTMVΩ配列、または次のようなウイルスが持つ5’末端非翻訳配列(5’UTR)が配置されたmRNAを使用することが好ましい;タバコエチウイルス(Tobacco Etch Virus)(ETV)〔Niepel,M.and Gallie,D.R.(1999)J.Virol.,73,9080−9088〕〔Kawarasaki,Y.,et al.,(2000)Biotechnol.Prog.,16,517−521〕、タバコベインモトリングウイルス(Tobacco Vein Mottling Virus)、ポテトウイルス(Potato Virus)プラムポックスウイルス(Plum Pox Virus)。また、下記のウイルスの5’末端に存在するインターナルリボゾーマルエントリーサイト(IRES)配列も、上記5’末端非翻訳配列として使用可能である;エンセファロミィオカルディティスウイルス(Encephalomyocarditis Virus)、セイラーズムリンエンセファロミィオカルディティスウイルス(Theiler’s Murine Encephalomyocarditis Virus)、口蹄疫ウイルス(Foot−and−Mouth Virus)、クラシカル豚熱ウイルス(Classical Swine Fever Virus)、ボバインヴァイラルダイアリアウイルス(Bovine Viral Diarrhea Virus)、C型肝炎ウイルス(Hepatitis C Virus)。
また、安定で且つ翻訳効率の高いmRNAを構築するために、その3’末端側に配置する非翻訳配列として、例えばトマトブッシースタントウイルス(Tomato Bushy Stunt Virus)〔Wu,B and White,K.D.,(1999)J.Virol.,73,8982−8988〕のものを使用することができる。
さらにまた、サテライトタバコネクロシスウイルス(Satellite Tobacco Necrosis Virus)〔Timmer,R.,et al.,(1993)J.Biol.Chem.268,9504−9510〕およびバーレイイエロードウォーフルテオウイルス(Barley Yellow Dwarf Luteo Virus)〔Guo,L.,et al.,(2001)Molecular Cell 7,1103−1109〕では、5’末端非翻訳配列と3’末端非翻訳配列の相互作用により効率的な翻訳反応が行われることが知られており、目的とするmRNAの構築にこれらの5’末端非翻訳配列と3’末端非翻訳配列を使用してもよい。
また、ランダム配列のRNAプールから、既報〔Owens,G.C.,et al.,(2001)Proc.Natl.Acad.sci.98,1471−1476〕〔Venkatesan,A.and Dasgupta,A.,(2001)Mol.Cell.Biol.21,2826−2837〕に記載の方法に従って効率のよい翻訳機能を持った配列をスクリーニングして得て、その配列をmRNAの構築に利用することも可能である。また、これら文献に記載の塩基配列をmRNAの5’末端非翻訳配列または3’末端非翻訳配列として利用することもできる。
また、mRNAを構築するときに鋳型として用いるDNAは環状のプラスミドDNAに限らず、PCRで増幅した直鎖状の二重鎖DNAも使用できる。この場合、転写反応のプロモーターにはT7RNAポリメラーゼのものを用い、それに続きETVの5’非翻訳領域、目的とするタンパク質の遺伝子と最後にT7RNAポリメラーゼターミネーター配列を配置した遺伝子をT7RNAポリメラーゼで転写し、mRNAを調製してもよいし、調製後引き続き無細胞タンパク合成系にて反応させてもよい。
本発明においてタンパク質合成は、上記方法で調製したコムギ胚芽抽出物およびタンパク質合成反応液を用いて、無細胞タンパク質合成法により行う。当該無細胞タンパク質合成は、従来通りバッチ式で行うことができる。また、目的の遺伝子を挿入した上記プラスミドを用いて、mRNA合成(転写)とタンパク質合成(翻訳)とを連続して同一容器内で行うことが可能な透析法や限外ろ過膜を利用した一体型無細胞タンパク質合成システムで行うこともできる。以下に一体型無細胞タンパク質合成システムとバッチ式による無細胞タンパク質合成法とについて説明する。
バッチ式無細胞タンパク質合成法は、mRNA合成反応を行って得られたmRNAを、無細胞タンパク質合成反応に加え、反応を開始してから該反応が終了するまでの1回の反応によるタンパク質合成を意味する。mRNA合成は自体公知の方法を用いて得ることができるし、上記プラスミドを利用して合成してもよい。タンパク質合成は、コムギ胚芽抽出物を利用した無細胞タンパク質合成に関する遠藤の既報告〔Endo,Y.et al.,(1992)J.Biotech.,25,221−230〕〔Proc.Natl.Acad.Sci.USA,97,559〜564(2000)〕に記載の方法に準じて行なうことができる。
一方、一体型透析式無細胞タンパク質合成システムでは、上記プラスミドに目的の遺伝子を挿入し、これを環状型のまま、または直鎖型にしてRNA合成反応液に添加し、摂氏23〜37度好ましくは摂氏30度で5分程度好ましくは10分間の予備反応を行う。この予備反応段階は所望により省略してもよいが、この予備反応段階で鋳型DNAのプロモーター領域にRNAポリメラーゼが結合して転写開始反応が効率的に進行するために次の保温段階におけるmRNA合成量が増加して、その結果翻訳反応段階におけるタンパク質の合成量が増加するので、好適には行った方がよい。RNA合成反応液は、鋳型DNA、4種類の基質リボヌクレオシド−5’−3リン酸、さらに必要に応じてCAP分子、RNAポリメラーゼ、スペルミジン、マグネシウムイオンおよび適当な緩衝液などからなる。具体的には、例えば80mM Hepes−KOH、pH7.6、16mM 酢酸マグネシウム、2mM スペルミジン、10mM ジチオスレイトール(DTT)、2.5mMの各ヌクレオシド−5’−3リン酸〔NTP;ATP、GTP、ウリジン−5’−3リン酸(UTP)、シチジン−5’−3リン酸(CTP)〕、リボヌクレアーゼ阻害剤(1,000units/ml)、プラスミドDNA(50μg/ml)、およびSP6 RNAポリメラーゼ(3,000units/ml)からなるRNA合成反応液を用いることができる。なお5’末端にCAP構造を有するRNAを合成する場合は、この溶液に5mMの7mGpppGを追加すればよい。
次に、上記プラスミドを含むRNA合成反応液と上記タンパク質合成反応液(セレノメチオニン標識タンパク質の調製にはメチオニンの代わりにセレノメチオニンを添加したものを、また重水素標識タンパク質の調製には天然型アミノ酸の代わりに重水素標識アミノ酸を含むもの)を混合する。この混液を透析膜チューブに移した後、これを予め準備しておいたタンパク質合成用透析外液(上記メチオニンの代わりにセレノメチオニンを添加したもの、または重水素標識タンパク質の調製には天然型アミノ酸の代わりに重水素標識アミノ酸を含むもの)を満たした容器に浸す。反応を摂氏30度で約3時間静置条件下で行うことによって、まず主にmRNAが合成される。
次の段階として、反応温度を摂氏26度に低下させて、透析しながら静置条件下で反応を持続させる。この過程で透析膜内の低分子、特にmRNA合成の至適濃度に合わせて高濃度に設定しておいたATP、GTPやマグネシウムイオンの濃度が透析の進行とともに低下し、タンパク質合成反応液(前記メチオニンの代わりにセレノメチオニンを添加したもの、または、重水素標識タンパク質の調製には天然型アミノ酸の代わりに重水素標識アミノ酸を含むもの)からなる透析外液濃度に近づき、やがて透析膜内の溶液成分はタンパク質合成反応の至適濃度に達する。
これに伴ってタンパク質合成反応が促進され、その反応速度が最大となり、タンパク質が合成される。この無細胞タンパク質合成反応は60時間以上にわたって持続し、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)を合成したとき、反応容量1ml当り4mg程度のタンパク質を得ることができた。
透析膜を利用するこのシステムには、環状型、直鎖型のいずれのプラスミドも用いることができる。しかし、合成収量とコストを考慮して、環状型プラスミドを用いることが好ましい。また翻訳開始活性を促進するCAPの存在下、非存在下のいずれの条件下でも、このシステムは実施可能である。しかし、mRNA合成に使用するCAP自身がタンパク質合成に必要な因子に強く結合してこれを阻害しタンパク質合成の効率が低くなるため、CAP非存在下で行うことが実用的である。
さらに、限外ろ過膜を利用した、mRNA合成後に引き続いて無細胞タンパク質合成を同一容器内で行う転写と翻訳とを一体化した無細胞タンパク質合成システムによっても上記同様に、タンパク質のセレノメチオニン標識および重水素含有アミノ酸標識を行うことができる。
まず、上記プラスミドを鋳型として、限外ろ過膜を備えたスピンカラムを用いた透析法でmRNAを合成する。合成反応は上記RNA合成反応液を用いて摂氏30〜37度で行い、反応時間は必要なRNA合成量に応じて決定されるが、通常の場合はおおよそ3〜5時間でよい。また、ここで用いるスピンカラムに備えられた限外ろ過フィルターの分子量カットサイズは、合成されたRNAとRNA合成のための基質や合成の副生成物などの低分子物質との分離が可能な孔径であれば特に限定されないが、5,000〜100,000であることが好ましい。それらフィルターの孔径は、10〜50オングストロームである。
反応終了後に反応容器であるスピンカラムを遠心して洗浄することにより、純化されたmRNAをフィルター上に補集する。次に、コムギ胚芽抽出物を含む上記無細胞タンパク質合成反応液を同スピンカラムに添加し、上記無細胞タンパク質合成反応液からなる透析外液(メチオニンの代わりにセレノメチオニンを含む20種類のL型アミノ酸、または天然型アミノ酸の代わりに重水素標識アミノ酸を含む20種類のL型アミノ酸を含有する)を満たした容器に浸して摂氏23度で無細胞タンパク質合成反応を開始し、静置条件下で反応させる。
このシステムにより得られるタンパク質合成収率は、透析膜を用いる前記のシステムによる収量とほぼ同程度である。また、スピンカラムのフィルター上のmRNAをフィルターのまま、前記透析膜を利用するシステムにおいて透析チューブに投入することによってもタンパク質合成が可能である。さらに本発明において、CAP構造を有するmRNAについても全く同様にその合成および精製に続いて効率的なタンパク質合成反応を行うことができる。
限外ろ過膜を利用するシステムには、環状型、直鎖型のいずれのプラスミドも用いることができ、またCAP存在下、非存在下のいずれの条件下でも、このシステムは実施可能である。5’末端にCAP構造を有するmRNAを用いる方がタンパク質合成収量は高いが、直鎖型プラスミドから合成した5’末端にCAP構造を有するmRNAと環状型プラスミドからCAP非存在下に合成したmRNAとの両者の合成収量に大きな差はなく、コストを考慮するとCAP非存在下に環状型プラスミドを用いることが好ましい。
前記2つの一体型無細胞タンパク質合成システムは、いずれもまずmRNA合成を行いその後引き続いてタンパク質合成を同一の反応容器内で行う連続式システムであり、転写・翻訳非共役システムである。これらのシステムでは、少なくともタンパク質合成反応の翻訳鋳型となるmRNA、エネルギー再生系酵素、基質(メチオニンの代わりにセレノメチオニンを含む20種類のL型アミノ酸、または天然型アミノ酸の代わりに重水素標識アミノ酸を含む20種類のL型アミノ酸)、およびエネルギー源から選ばれた1種または2種以上の要素について、反応開始後、要時にまたは継続的に追加して添加する手段を導入してもよい。これらは、極少量を継続的に添加してもよいし、一定時間ごとに添加してもよい。また、これらのシステムでは、上記無細胞タンパク質合成反応に必要な物質を、該合成反応の効率を維持するために、該合成反応の開始後に反応途中で交換する処置を導入してもよい。例えば、無細胞タンパク質合成反応液(メチオニンの代わりにセレノメチオニンを含む20種類のL型アミノ酸、または天然型アミノ酸の代わりに重水素標識アミノ酸を含む20種類のL型アミノ酸)からなる透析外液の所望の量を、継続的または断続的に交換する手段を導入できる。
さらに、これらのシステムは、上記無細胞タンパク質合成反応に必要な物質を追加添加または交換するために、必要とする物質を保存しておく手段を備えていてもよい。さらにまた、これらのシステムは、無細胞タンパク質合成反応の副生成物を該合成反応から除くための排出手段を備えていてもよい。必要とする物質や副生成物の追加、保存、交換、および/または排出のための手段は1種または2種以上を選択し、組み合わせて導入することが可能である。
また、これらのシステムにおいて、反応容器中の反応液が接する面のうち少なくとも透析手段または分子篩手段に関与する面、例えば透析膜または限外ろ過膜にタンパク質コーティングを予め施せば、タンパク質合成の効率がさらに向上する。すなわち、タンパク質を用いたコーティング処理により、mRNA転写の効率およびそれに続いて起こるタンパク質翻訳の効率を上昇させることができる。コーティングに用いるタンパク質は、アルブミンが例示されるが必ずしもこれに限定されない。また、コーティングに用いるタンパク質は、透析手段または分子篩手段に関与する面に格別に固定しておく必要はなく、タンパク質含有溶液で数回洗浄することでも効果が得られる。この方法は簡便であり好ましいがこれに限定されるものではない。例えば、透析膜をアルブミンでコーティングする場合、内液として水とアルブミンとの混合溶液を用い、外液として水を使用して数時間透析を行えばよい。むろん、内液と外液の組成が逆であってもよい。コーティング用タンパク質含有溶液の濃度は格別限定されないが、溶解飽和濃度であれば十分であり、それ以下でもよい。
なお、本発明においては、コムギ胚芽抽出物を使用して前記の一体型またはバッチ式無細胞タンパク質合成を行う場合、タンパク質合成反応は反応液を撹拌することのない静置条件下で行うことが好ましい。
実施例
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
実施例1
グリーン蛍光タンパク質(GFP)およびジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)のセレノメチオニンによる標識を、コムギ胚芽抽出物を用いた無細胞タンパク質合成法により行った。
コムギ胚芽抽出物の調製および該コムギ胚芽抽出物を用いた無細胞タンパク質合成法は既報(Endo,Y.et al.(1992)J.Biotech.,25,221−230)(Proc.Natl.Acad.Sci.USA(2000),97,559〜564)に準じて行った。
まず、コムギ胚芽をジョンストンらの方法(Johnston,F.B.et al.(1957)Nature,179,160−161)を改良した方法で得た。まず、北海道産のチホクコムギ種子(未消毒)を1分間に100gの割合でミル(Fritsch社製Rotor Speed Mill pulverisette 14型)に添加し、回転数8,000rpmで種子を温和に破砕した。これを再度6,000rpmで破砕し、篩で粗胚芽画分(メッシュサイズ0.71mm〜1.00mm)を得た後、該胚芽画分に混在する種皮などの不純物をポリエチレン板などの静電気帯電体を用いて吸着除去した。
さらに胚芽粒子を篩と静電気帯電体を用いて、小粒(0.71mm〜0.85mm)、中粒(0.85mm〜1mm)、軽粒(0.85mm〜1mmで且つ軽量)の3画分に分別し、最後に肉眼による分別を行って黄色の胚芽を採取した。小粒画分が最も高いタンパク質合成活性を示した。軽粒は、種子破砕時に胚芽に生じた小傷胚芽が浮選操作中に破壊が進行したものであると推察される。次に、このようにして得た黄色の胚芽からなる試料からコムギ胚乳成分を完全に除去するため、ガーゼに得られたコムギ胚芽を入れて冷却しながら冷蒸留水(DDW)で洗浄した後に非イオン性界面活性剤であるNP−40の0.5%溶液に懸濁し、超音波洗浄器を用いて洗浄液が白濁しなくなるまで洗浄を繰り返した。蒸留水の存在下に再度1回の超音波洗浄後、吸引ろ過によってコムギ胚芽を収集し、それを冷蒸留水(DDW)で何度も洗浄してコムギ胚芽を純化した。かくして純化されたコムギ胚芽は、コムギ胚芽に夾雑する内因性のタンパク質合成阻害因子、トリチン、チオニン、およびリボヌクレアーゼなどが実質的に除去されたもの、すなわち実質的に胚乳成分の夾雑が無いものであった。
コムギ胚芽からの抽出物の調製は常法(Erickson,A.H.et al.(1996)Methods in Enzymol.,96,38−50)に準じた。以下の操作は摂氏4度で行う。上記純化コムギ胚芽を液体窒素で凍結して乳鉢中で粉砕し、得られた粉体1g当たり1mlのパターソンらの方法を一部改変した抽出用溶液(80mM Hepes−KOH,pH7.8、200mM 酢酸カリウム、2mM 酢酸マグネシウム、4mM 塩化カルシウム、8mM ジチオスレイトール、各0.6mMのメチオニンを除くL型アミノ酸19種類、各1μMのタンパク質分解酵素阻害剤であるFUT、E−64およびPMSFを含む)を加えて、泡が発生しないように注意しながら撹拌した。その後、30,000gで15分間遠心処理し、その上清を胚芽抽出物として回収して、予め溶液(40mM Hepes−KOH,pH7.8、100mM 酢酸カリウム、5mM 酢酸マグネシウム、4mM ジチオスレイトール、メチオニンを除くL型19種類アミノ酸にセレノメチオニンを補った20種類のアミノ酸)で平衡化しておいたセファデックスG−25カラム(Coarse)でゲルろ過を行った。または、上記抽出用溶液の代わりに、従来どおりの20種類全てのアミノ酸を含む抽出用溶液を用いて上記同様に胚芽抽出物を調製した。この場合は、ゲルろ過操作を予めメチオニンを除いた19種類のアミノ酸を含むゲルろ過溶液で平衡化したゲルろ過カラムで行い、得られたメチオニンを含まないコムギ胚芽抽出物にセレノメチオニンを補足してコムギ胚芽抽出物を調製した。試料の濃度は、170〜250A260nm(A260/A280=1.5)に調整した。
タンパク質合成反応液は、容量の24%のコムギ胚芽抽出液(濃度は、200A260nm units/ml)、1,000units/ml リボヌクレアーゼ阻害剤(RNAsin)、30mM Hepes−KOH、pH7.6、95mM 酢酸カリウム、2.65mM 酢酸マグネシウム、2.85mM ジチオスレイトール、0.5mg/ml クレアチンキナーゼ、1.2mM ATP、0.25mM GTP、16mM クレアチンリン酸、0.380mM スペルミジン、メチオニンの代わりにセレノメチオニンを含む20種類のL型アミノ酸(各0.3mM)、0.05% NP−40からなるものを用いた。
gfp mRNAまたはdhfr mRNA合成用プラスミドは、プラスミドpPSP65を基にして、SP6プロモーターまたはT7プロモーターなどのRNAポリメラーゼが結合する塩基配列を挿入し、その下流にmRNAの翻訳開始反応に重要な機能を持つAMV−Ω配列の転写鋳型となる塩基配列を挿入し、さらにその下流にgfp遺伝子またはdhfr遺伝子を導入し、3’末端にgfpまたはdhfr遺伝子由来の3’UTRとポリ(A)100をコードする配列とを挿入して作成した(図4)。このプラスミドは、ポリ(A)配列下流に導入した制限酵素部位(HindIII部位)を制限酵素HindIIIで切断して開環し、直鎖型プラスミドDNAとして用いた。
上記直鎖型プラスミドからmRNAを転写するために、反応容器は容器底部が透析フィルターからなるミクロスピンカラム(アミコン社製YM−10)を用いた。この直鎖型プラスミドDNAを含むRNA合成反応液{80mM Hepes−KOH、pH7.6、16mM 酢酸マグネシウム、2mM スペルミジン、10mM ジチオスレイトール(DTT)、2.5mMの各ヌクレオシド−5’−3リン酸〔NTP;ATP、GTP、ウリジン−5’−3リン酸(UTP)、シチジン−5’−3リン酸(CTP)〕、リボヌクレアーゼ阻害剤(1,000units/ml)、プラスミドDNA(50μg/ml)、SP6 RNAポリメラーゼ(3,000units/ml)}を摂氏37度で2時間保温することによってmRNAを合成した。なおYM−10は、牛血清アルブミンでコーティング処理して用いた。
反応終了後にこの反応容器(ミクロスピンカラム)を遠心処理した。遠心処理により、溶液中のヌクレオチド3リン酸やCAPなどの基質、副生成物のピロリン酸、イオン、および緩衝液などの低分子はフィルター孔を通して除去され、合成されたmRNAなどの高分子はフィルター上に留まる。溶液に水を加えてこの操作を数回繰り返し、合成されたmRNA画分からピロリン酸などの低分子のタンパク質合成阻害物質を完全に除き、合成されたmRNAをフィルター上に捕集した。なお、この純化操作において鋳型DNAは除去されずにフィルター上に残るが、翻訳反応に対する阻害作用は示さなかった。
mRNAは、該mRNAが捕集されたフィルターから水溶液として回収するかまたはフィルター上に捕集したままで、無細胞タンパク質合成系に使用した。
かくして得られたmRNAを、上記無細胞タンパク質合成反応液に添加してバッチ式または一体型無細胞タンパク質合成系タンパク質合成を行った。水溶液として回収したmRNAを使用するときは、上記無細胞タンパク質合成反応液に0.2μMとなるように添加した。タンパク質合成反応、すなわち翻訳反応は摂氏26度で静置反応条件下で行った。
バッチ式無細胞タンパク質合成法におけるGFPとDHFRの合成量は放射性同位体のトリクロル酢酸不溶画分への取り込みにより測定し、さらに合成されたタンパク質をオートラジオグラフィーで分析した。
透析法で大量に合成したタンパク質は、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法およびクマシーブリリアントブルー(CBB)染色法により検出した〔Endo,Y.et al.,(1992)J.Biotech.,25,221−230〕〔Proc.Natl.Acad.Sci.USA,97,559〜564(2000)〕。
GFPの精製と蛍光分光光度計を用いた発光スペクトルの分析による活性測定はDeschampsらの方法〔Deschamps,J.R.et al.,(1995)Protein Expression and Purification,6,555−558〕に準じて行った。発光スペクトル測定には島津RF−5000型蛍光光度計を用いた。DHFR活性はStanleyらの方法〔Methods.Enzymol.18,195−199(1971)〕で測定した。
その結果を以下に示す。
図1に、メチオニンをセレノメチオニンに置換したタンパク質合成反応系においてバッチ式でGFPとDHFRを合成したときのそれぞれの合成量(A)と、それぞれの合成産物をオートラジオグラフィーで分析した結果〔(B)および(C)〕を示した。図1の(B)はGFP、図1の(C)はDHFRについての結果を示し、図中のMet(メチオニン)は天然型タンパク質を、Se−met(セレノメチオニン)は含セレノメチオニンタンパク質を意味する。オートラジオグラムから明らかなように、含セレノメチオニンGFPおよび含セレノメチオニンDHFRは共にそれぞれのメチオニンを含む天然型タンパク質と同じ電気泳動移動度を示した。また、経時的にバンドが濃くなっていることから反応時間の経過とともにこれらの合成量が増加していることがわかる。図1の(A)に示したように、メチオニンをセレノメチオニンに置換した合成反応系における含セレノメチオニンGFP合成(●―●)は対照の天然型GFP合成(○―○)に比べて20−25%程度の合成量の低下が見られるものの、含セレノメチオニンGFPが効率よく合成されることが分かる。含セレノメチオニンDHFR合成(■―■)と対照の天然型DHFR合成(□―□)についても同様の結果が得られた。
一方、メチオニンおよびセレノメチオニンの両者を含まない反応系における実験では、合成反応が1時間で完全に停止した(○−−○)。この間に合成されたGFPは、セレノメチオニン存在下で4時間のバッチ式反応で合成された含セレノメチオニンGFP量の約12%に当たる。このことは、ゲルろ過操作で除去できずに胚芽抽出物中に残存していたメチオニンが反応開始後の1時間タンパク質合成に利用されたことを示している。さらにこのことは、セレノメチオニン存在下にバッチ式で合成されたGFP量の12%は含メチオニンGFPであり、88%が含セレノメチオニンGFPであることを示している。後述するように、透析式無細胞タンパク質合成システムにおける大量合成においては、含セレノメチオニンGFP合成が持続してその含有量が増加するとともに天然型GFPの混入量の割合は低下するため、現実的には無視できる微量となる。同様の知見は、DHFR遺伝子を鋳型とした含セレノメチオニンDHFR合成においても確認できた〔図1の(A)〕(□−−□)。
次に、一体型透析式無細胞タンパク質合成法を用いて、含セレノメチオニンGFPおよび含セレノメチオニンDHFRの多量合成を行い、これらの反応液からタンパク質を精製した。図2には、この方法により48時間の反応で合成し精製したGFP(A)とDHFR(B)のそれぞれの天然型(レーン2と3)および含セレノメチオニンタンパク質(レーン4と5)のSDS−アクリルアミドゲル電気泳動図を示した。図中の矢印はそれぞれのタンパク質のバンドを示す。図2から天然型および含セレノメチオニンタンパク質ともに添加した鋳型に依存して効率よく合成されていることが分かる。レーン1は対照として鋳型非存在下で反応させた反応液の電気泳動パターンである。GFP、DHFR共に一体型透析式無細胞タンパク質合成法での合成効率が高いために反応液中のこれらの産物含有量が高くなるので、常法によって簡便に精製することが可能である(レーン3および4)。図2の(B)に示したDHFRの例では、メトトレキセートをリガンドとするアフィニティークロマトグラフィー法で精製したところ、1回のクロマトグラフィー操作によって天然型と含セレノメチオニンDHFR共にその純度が100%に近い試料を調製することができた(レーン3および4)。
さらにこのレーン3および4に示した実験結果は、含セレノメチオニンDHFRが天然型DHFRと同様に、リガンドであるメトトレキセートに対して強い親和性を有することを示している。このことは、合成した含セレノメチオニンDHFRが天然型DHFRと同様の酵素活性を有することを意味しているものと考えられる。
さらに重要な点は、一体型透析式無細胞タンパク質合成法で上記のように得られた合成タンパク質中のセレノメチオニン含有量がきわめて高いことである。言い換えれば、得られる含セレノメチオニン非天然型タンパク質が高純度であるということである。図1で示したセレノメチオニン存在下における反応4時間後に合成されたGFPとDHFR中のセレノメチオニン含有量とメチオニンおよびセレノメチオニン非存在下における合成カイネティクスの結果とにより、セレノメチオニン含有量を計算することができる。バッチ式反応4時間後に合成されたタンパク質量は、反応液1ml当りGFPは0.4mg、DHFRは0.45mgであり、これらタンパク質のメチオニン残基の少なくとも約80%がセレノメチオニン(含メチオニンタンパク質の割合は最大で約20%程度)であることから、含メチオニンGFP量は、0.08mg、また、含メチオニンDHFR量は0.09mgと計算できる。一方、一体型透析式無細胞タンパク質合成系での48時間反応後の合成量は、GFPおよびDHFRそれぞれ2.8mgおよび3.1mgであった。すなわち、一体型透析式無細胞タンパク質合成系によって大量調製した含セレノメチオニンタンパク質の純度は、上述のように計算すると、GFPおよびDHFRともに97.1%であった。
このように、本発明によるセレノメチオニンのタンパク質への導入率は従来行われていた方法に比べてはるかに高い。従来利用されていたセレノメチオニンのタンパク質への導入法は大腸菌を大量培養して行うものであるが、その導入率は最大でも53%であることが報告されている〔Huber,R.E.et al.,(1967)Biochim.Biophys.Acta,141,587−599〕。従って、本発明に係る非天然型アミノ酸導入法は従来法と比較して極めて優れている。
次に、精製したこれら含セレノメチオニンタンパク質の酵素学的性質を生化学的に調べた。図2に示した精製GFP標品の一定濃度を波長395nmで励起したときの蛍光発光スペクトルを、410nmから600nmの範囲で測定し、その結果を図3に示した。図3から明らかなように、天然型である含メチオニンGFP〔図3の(A)〕と含セレノメチオニンGFP〔図3の(B)〕の蛍光発光スペクトルには差が認められない。すなわち、メチオニン残基をセレノメチオニンに置換することによるGFP活性の変化は通常の測定感度以下であると言える。
また、DHFRの酵素学的性質を調べた結果を表1にまとめた。表1から明らかなように、天然型である含メチオニンDHFR(Met−DHFR)と含セレノメチオニンDHFR(SeMet−DHFR)の酵素化学的性質を表すパラメーターである還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADPH)に対するミカエリス定数(Km)と最大速度Vmaxは、ともに両酵素の間で差は認められない。すなわち、メチオニン残基をセレノメチオニンに置換したDHFRは天然型DHFRと同等の酵素活性を保持していることが明らかとなった。
次に、タンパク質合成時にmRNA上のメチオニンコドンが指示する部位にセレノメチオニンが取り込まれたこと、すなわちタンパク質分子中の本来はメチオニン残基である部位にセレノメチオニンが導入されたことを確認する目的で、質量分析を行った。天然型タンパク質(対照)と含セレノメチオニンタンパク質の質量差から、含セレノメチオニンGFPは5.9個の原子セレンを、また含セレノメチオニンDHFRは4.8個のセレンを含むことが確認された。これらの測定値は、GFPとDHFRの各々のメチオニン残基数が6個と5個である事実とよく一致する。さらに、質量分析の分布から、これらの含セレノメチオニンタンパク質に不純物として含まれる非標識タンパク質の割合は、約2%から約4%程度で、この値は図1および図2の実験値から得た上記計算値とよく一致するものであった。
以上、本発明により含セレノメチオニンタンパク質をそのタンパク質の活性を維持したまま且つ高い効率で合成することができることを示した。このことは、上記コムギ胚芽無細胞タンパク質合成反応においては、メチオニルtRNA合成、40Sリボソーム亜粒子と翻訳開始アミノアシルtRNA(メチオニルtRNA)複合体形成、ペプチド鎖伸長反応、および翻訳終止反応に関与する因子群のいずれも、セレノメチオニンをメチオニンと同様に認識してこのアミノ酸類似化合物をタンパク質に取り込む性質を保持していることを示している。
実施例2
ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)の重水素による標識を、コムギ胚芽抽出物を用いた無細胞タンパク質合成系を利用して行った。
コムギ胚芽は実施例1に記載の方法で調製した実質的に胚乳成分の夾雑がないものを用いた。また、コムギ胚芽からの抽出物の調製は実施例1と全く同じ方法で行った。ただし、抽出用溶液およびゲルろ過に使用する溶液は、セレノメチオニンを含む20種類のL型アミノ酸の代わりに、重水素標識L型アミノ酸20種類を含む。調製した抽出物の濃度は、170−250A260nm(A260/A280=1.5)に調整した。
タンパク質合成反応液の組成は実施例1に記載したものと同じであるが、セレノメチオニンを含む20種類のL型アミノ酸の代わりに重水素標識L型アミノ酸20種類を含む。
ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)合成のためのプラスミド、mRNA合成方法、タンパク質合成方法、および合成されたタンパク質の分析は、実施例1に記載の方法と同様に行った。
その結果を以下に示す。
図5に、20種類のL型天然型アミノ酸をすべて重水素標識L型アミノ酸に置換したDHFRの一体型透析式無細胞タンパク質合成系における合成量を示した。反応開始後0、12、24、48時間目にそれぞれ1μlの反応液を採取してSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動で分離し、クマシーブリリアントブルー(CBB)染色を行って該反応液中に含まれるタンパク質を検出した。図中、矢印は生成されたDHFRのバンドを示している。このバンドの染色強度をデンシトメーターにより測定したところ、DHFRの合成が経時的にほぼ直線的に進行すること、さらに重水素標識DHFRの合成量と天然型DHFRのそれとの間に差が認められないことが判明した。このことから、コムギ胚芽無細胞タンパク質合成系を用いる本発明に係る方法が重水素標識タンパク質の合成に有効な方法であると言える。48時間合成反応を行った後に、メトトレキセートカラムを用いて精製した重水素標識DHFRの収量は、3.5mgであった。また、電気泳動における重水素標識DHFRの移動度が天然型DHFRよりも僅かながら低下していることが拡大した電気泳動図(実線部)および、その精製標品の泳動図からも確認できる。この重水素標識DHFRにみられるSDS−ポリアクリルアミドゲル上の移動度低下現象は、質量数の増加に起因するものと考えられ、重水素含有DHFRが合成されていることを直接的に示している。
次に、精製した重水素標識DHFRの酵素学的性質を実施例1と同様に生化学的に調べた。表2から明らかなように、天然型DHFRと重水素標識DHFRの酵素化学的性質を表すパラメーターであるNADPHに対するミカエリス定数(Km)とVmaxは、ともに両酵素の間で差は認められない。すなわち、重水素標識アミノ酸からなるDHFRは、天然型DHFRとほぼ同等の酵素活性を保持していることが明らかとなった。
以上の結果から、本発明により20種類のL型重水素標識アミノ酸含有タンパク質をそのタンパク質の活性を維持したまま且つ高い効率で合成することができることが確認できた。
産業上の利用可能性
本発明に係る標識タンパク質の製造方法によれば、純度が高い標識タンパク質を高い効率で製造できる。従って無細胞タンパク質合成システムを利用した本発明に係る標識タンパク質の製造方法はX線解析用の結晶標品調製手段として有用である。また、ここで記載した標識方法は、重水素含有タンパク質の調製にも同様に有用であり、さらにこの方法によって、任意のアミノ酸をそれに対応する同位体標識アミノ酸などで標識する一般的手段として利用できる。
さらに重要な点は、重水素のみならず13C、15Nなどの同位体標識タンパク質の調製に有効であり、タンパク質の構造解析に広く用いることができるものと期待できる。
このように本発明に係る標識タンパク質の製造方法は、タンパク質のX線結晶解析、核磁気共鳴解析、および中性子散乱法などによる高次構造解析用試料の調製、または同位体効果を利用するタンパク質の触媒機構の解明等に利用することができる。
配列表フリーテキスト
配列番号1:5’非翻訳領域として用いられる設計されたポリヌクレオチド
配列番号2:5’非翻訳領域として用いられる設計されたポリヌクレオチド
配列番号3:5’非翻訳領域として用いられる設計されたポリヌクレオチド
【配列表】
【図面の簡単な説明】
図1は、セレノメチオニンで標識されたグリーン蛍光タンパク質(GFP)とジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)のバッチ式無細胞タンパク質合成法による経時的な合成量を、14C−ロイシンのタンパク質への取り込み(A)と、オートラジオグラフィー〔(B)および(C)〕により調べた結果を示す。図1の(A)において●―●および■―■は、セレノメチオニンを用いて行った合成反応系における含セレノメチオニンGFP合成量および含セレノメチオニンDHFR合成量をそれぞれ示す。また、メチオニンを用いて行った合成反応系における天然型のGFP合成量およびDHFR合成量は、それぞれ〇―〇および□―□で示した。メチオニンおよびセレノメチオニンを含まない合成反応系におけるGFP合成量およびDHFR合成量はそれぞれ〇−−○および□−−□で示した。図1の(B)および(C)中で、MetまたはSe−metは、それぞれメチオニンまたはセレノメチオニンを取り込んだタンパク質を意味する。
図2は、透析式無細胞タンパク質合成法により48時間合成して精製したGFP(A)とDHFR(B)のSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動図である。図2の(A)および(B)ともに、レーン2および3は天然型タンパク質を、レーン4および5は含セレノメチオニンタンパク質の泳動結果である。また、レーン2および4は合成反応後の溶液そのものの、レーン3および5は該溶液から精製したそれぞれのタンパク質の泳動結果を示す。レーン1は、対照としてタンパク質翻訳鋳型非存在下で合成反応を行った結果を示す。図中、矢印は生成されたタンパク質のバンドを示し、MMは分子量マーカーを意味する。
図3は、精製した含セレノメチオニンGFPの蛍光発光スペクトルを示した図である。
図4は、汎用性のある無細胞タンパク質合成用鋳型分子合成プラスミド(pEU1)の構成を示す模式図である。
図5は、透析式無細胞タンパク質合成法により合成された重水素標識DHFRと、48時間合成後に精製したDHFRの電気泳動図である。図中、矢印は生成されたタンパク質のバンドを、各数字は反応時間を示す。また、”Natural amino acid”および”Natural”は天然型アミノ酸を使ったときの、”Deuterated amino acid”および”Deuterated”は重水素標識L型アミノ酸を使ったときのDHFR合成結果を示す。”Enlarged”は拡大電気泳動図、”Purified”は精製されたDHFRの電気泳動図である。
Claims (4)
- コムギ胚芽抽出物から該胚芽抽出物に混入する胚乳を完全に除去して得た無細胞タンパク質合成用細胞抽出物中のメチオニンをセレノメチオニンに変えた後、メチオニンの代わりにセレノメチオニンを含むタンパク質合成反応液組成を使って、バッチ条件下または透析条件下で、無細胞タンパク質合成を行うことを特徴とするセレノメチオニン標識タンパク質の製造方法。
- 請求の範囲第1項の製造方法で得たセレノメチオニン標識タンパク質。
- コムギ胚芽抽出物から該胚芽抽出物に混入する胚乳を完全に除去して得た無細胞タンパク質合成用細胞抽出物中の天然型アミノ酸を重水素標識アミノ酸に変えた後、天然型アミノ酸の代わりに重水素標識アミノ酸を含むタンパク質合成反応液組成を使って、バッチ条件下または透析条件下で無細胞タンパク質合成を行うことを特徴とする重水素含有アミノ酸標識タンパク質の製造方法。
- 請求の範囲第3項に記載の製造方法で得た重水素含有アミノ酸標識タンパク質。
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