JP2001292079A - 多重通信システムおよびその信号処理方法 - Google Patents

多重通信システムおよびその信号処理方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 直交変調回路4の入力信号レベルを制御す
る。 【解決手段】 デジタル変調回路1により生成されたデ
ジタル多重信号の信号レベルをスケーリング制御信号に
応じて制御するスケーリング回路11と、直交変調回路
4により変換されたRF信号の信号レベルを減衰制御信
号に応じて減衰する可変減衰回路12と、デジタル変調
回路1により生成されたデジタル多重信号の実効値と直
交変調回路4の所望レベルのデジタル換算値とに応じて
スケーリング制御信号を生成してスケーリング回路11
に供給すると共に、そのスケーリング制御信号に応じて
減衰制御信号を生成して可変減衰回路12に供給する制
御信号生成手段とを備えた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、多重通信システ
ムおよびその信号処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】複数のチャネルのデジタル信号を多重化
して通信する多重通信システムの通信方式には、FDM
A(周波数分割多重通信)、TDMA(時分割多重通
信)、CDMA(符号分割多重通信)等がある。図7は
従来の直接拡散CDMA基地局送信機を示す構成図であ
り、図において、1は複数のチャネルの符号化された送
信データをデータ変調および直接拡散CDMA変調し
て、同相成分であるI成分、直交成分であるQ成分の拡
散変調信号を生成し、各チャネルのI成分、Q成分毎に
多重処理を行い、I成分およびQ成分のデジタル多重信
号を生成するデジタル変調回路である。2はデジタル多
重信号に対してI成分およびQ成分毎に帯域制限を行う
デジタルフィルタ、3はI成分およびQ成分毎にアナロ
グ信号に変換して、I成分およびQ成分のアナログベー
スバンド信号を生成するD/A変換器である。4はI成
分およびQ成分のアナログベースバンド信号をRF信号
に変換する直交変調回路、5はRF信号を増幅する送信
増幅器、6は送信アンテナである。
【0003】次に動作について説明する。デジタル変調
回路1は、各チャネルの符号化された送信データをデー
タ変調によりI,Q成分に分離し、それぞれ直接拡散C
DMA変調を施す。さらに、各チャネルのI,Q拡散信
号は、デジタル変調回路1内に設けられた多重回路によ
りI成分、Q成分毎にチャネル間で加算され、I成分お
よびQ成分のデジタル多重信号として出力される。直接
拡散CDMA方式においては、各チャネル毎に送信電力
が可変であるため、デジタル変調回路1によって生成さ
れたI成分およびQ成分のデジタル多重信号は、振幅変
動を含んだ多値データとなっている。デジタルフィルタ
2は、多値データであるI成分およびQ成分のデジタル
多重信号を帯域制限し、D/A変換器3は、I成分およ
びQ成分毎にアナログ信号に変換して、I成分およびQ
成分のアナログベースバンド信号を生成する。直交変調
回路4は、I成分およびQ成分のアナログベースバンド
信号をRF信号にアップコンバートし、送信増幅器5
は、そのRF信号を増幅し、送信アンテナ6からそのR
F信号に応じて送信する。
【0004】このような従来の直接拡散CDMA基地局
送信機では、基地局の多重状態や各チャネルの電力変化
により、直交変調回路4に入力されるアナログベースバ
ンド信号の信号レベルが変動するが、直交変調回路4に
入力されるアナログベースバンド信号の信号レベルが、
その直交変調回路4の良好な特性を実現するダイナミッ
クレンジよりも過大入力である場合には、隣接チャネル
漏洩電力による周波数特性劣化などの故障を生じてしま
う。そこで、最大電力送信時においても送信波形の品質
や周波数特性を良好に保つことができるように、直交変
調回路4では、入力されるアナログベースバンド信号の
信号レベルが最大となる場合に、良好な特性を実現する
ダイナミックレンジ内での入力最大値となるように調整
されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来の直接拡散CDM
A基地局送信機は以上のように構成されているので、ア
ナログベースバンド信号の信号レベル、すなわち、デジ
タル変調回路1により生成されたデジタル多重信号のダ
イナミックレンジが直交変調回路4に要求されるダイナ
ミックレンジとなる。しかしながら、デジタル変調回路
1においては、各々可変電力となる複数のチャネルを多
重しており、その電力の変動や多重数の変動により、デ
ジタル多重信号の信号レベルの変動幅が大きく、結果と
して、アナログベースバンド信号のダイナミックレンジ
が、直交変調回路4のダイナミックレンジよりも遥かに
大きくなってしまう。そして、デジタル変調回路1にお
いて多重化された各可変電力の電力が小さい場合や、多
重数が少ない場合には、デジタル多重信号の信号レベル
が小さくなり、よって、アナログベースバンド信号が直
交変調回路4のダイナミックレンジより過小となり、直
交変調回路4により生成されるRF信号に対してキャリ
アリーク成分が支配的となり、波形品質の劣化要因とな
るなどの課題があった。
【0006】この発明は上記のような課題を解決するた
めになされたもので、基地局の多重状態や各チャネルの
電力変化によりデジタル多重信号の信号レベルが変動し
た場合においても、直交変調回路の入力信号レベルがそ
の直交変調回路のダイナミックレンジ内に収まるように
して、直交変調回路の入力信号レベルが過大入力または
過小入力となることにより生じる送信信号波形品質の劣
化を抑制すると共に、その直交変調回路の後段において
は、本来の信号レベルに補正する多重通信システムおよ
びその信号処理方法を得ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明に係る多重通信
システムは、デジタル変調手段により生成されたデジタ
ル多重信号の振幅と上記直交変調手段の信号処理に適合
する振幅範囲とに基づいてそのデジタル多重信号に対す
る振幅調整処理のスケーリング値を演算するスケーリン
グ演算手段と、上記スケーリング演算手段により演算さ
れたスケーリング値に応じて上記デジタル多重信号に振
幅調整処理を施して上記信号変換手段に入力するスケー
リング制御手段と、上記スケーリング演算手段により演
算されたスケーリング値に応じて補正制御信号を生成す
る制御信号生成手段と、その補正制御信号に基づいて上
記直交変調手段により変換されたRF信号に対して上記
スケーリング制御手段による振幅調整処理の影響を打ち
消す補正処理を施す信号補正手段とを備えたものであ
る。
【0008】この発明に係る多重通信システムは、制御
信号生成手段において、複数のチャネルの符号化された
送信データがデジタル変調手段によりそれぞれのチャネ
ルごとにデータ変調および直接拡散CDMA変調されて
生成されたデジタル多重信号の同相成分および直交成分
の振幅の実効値と直交変調手段の信号処理に適合する振
幅範囲のデジタル換算値とに基づいてスケーリング値を
演算することを備えたものである。
【0009】この発明に係る多重通信システムは、制御
信号生成手段において、スケーリング値を、S=INT
{log(D/Z)}により演算し、そのスケーリン
グ値をスケーリング制御信号としてスケーリング制御手
段に供給し、スケーリング制御手段において、スケーリ
ング制御信号が正の場合にデジタル変調手段により生成
された同相成分および直交成分のデジタル多重信号をそ
れぞれSビット分ビットシフトアップし、スケーリング
制御信号が負の場合にそれぞれSビット分ビットシフト
ダウンするものである。
【0010】この発明に係る多重通信システムは、制御
信号生成手段において、制御信号生成手段は、デジタル
換算値Dにヒステリシス特性を持たせて、デジタル変調
手段により生成された同相成分および直交成分のデジタ
ル多重信号をそれぞれSビット分ビットシフトアップま
たはSビット分ビットシフトダウンするものである。
【0011】この発明に係る多重通信システムは、制御
信号生成手段において、所定時間前に生成された補正制
御信号と現在生成された補正制御信号とに応じてRAM
P処理を施した補正制御信号を信号補正手段に供給する
ものである。
【0012】この発明に係る多重通信システムの信号処
理方法は、デジタル変調手段により生成されたデジタル
多重信号の振幅と上記直交変調手段の信号処理に適合す
る振幅範囲とに基づいてそのデジタル多重信号に対する
振幅調整処理のスケーリング値を演算し、演算されたス
ケーリング値に応じて上記デジタル多重信号に振幅調整
処理を施して上記信号変換手段に入力するとともに、上
記演算されたスケーリング値に応じて補正制御信号を生
成し、その補正制御信号に基づいて上記直交変調手段に
より変換されたRF信号に対して上記振幅調整処理の影
響を打ち消す補正処理を施すものである。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の一形態を
説明する。 実施の形態1.図1はこの発明の実施の形態1による直
接拡散CDMA基地局送信機を示す構成図であり、図に
おいて、1は複数のチャネルの符号化された送信データ
をデータ変調および直接拡散CDMA変調して、同相成
分であるI成分、直交成分であるQ成分の拡散変調信号
を生成し、各チャネルのI成分、Q成分毎に多重処理を
行い、I成分およびQ成分のデジタル多重信号を生成す
るデジタル変調回路(デジタル変調手段)である。11
はデジタル変調回路1により生成されたI成分およびQ
成分のデジタル多重信号の信号レベルを後述するスケー
リング制御信号に応じてそれぞれ制御するスケーリング
回路(スケーリング制御手段)である。2はデジタル多
重信号に対してI成分およびQ成分毎に帯域制限を行う
デジタルフィルタ、3はI成分およびQ成分毎にアナロ
グ信号に変換して、I成分およびQ成分のアナログベー
スバンド信号を生成するD/A変換器(信号変換手段)
である。4はI成分およびQ成分のアナログベースバン
ド信号をRF信号に変換する直交変調回路(直交変調手
段)、12は直交変調回路4により変換されたRF信号
の信号レベルを後述する減衰制御信号に応じて減衰する
可変減衰回路(信号補正手段)である。5はRF信号を
増幅する送信増幅器、6は送信アンテナである。
【0014】13はデジタル変調回路1により生成され
たI成分およびQ成分のデジタル多重信号の実効値を演
算する実効値演算回路(スケーリング演算手段)、14
は実効値演算回路13により演算されたデジタル多重信
号の実効値と、スケーリング回路11からD/A変換器
3までを系とした直交変調回路4の所望レベルのデジタ
ル換算値とに応じてスケーリング値を演算し、スケーリ
ング制御信号としてスケーリング回路11および後述す
る減衰制御信号生成回路15に出力するスケーリング値
演算回路(スケーリング演算手段)である。15はスケ
ーリング値演算回路14から供給されたスケーリング制
御信号と可変減衰回路12の特性とに応じて減衰制御信
号を生成する減衰制御信号生成回路(制御信号生成手
段)、16はその減衰制御信号をD/A変換して可変減
衰回路12に出力するD/A変換器である。
【0015】次に動作について説明する。デジタル変調
回路1は、各チャネルの符号化された送信データをデー
タ変調によりI,Q成分に分離し、それぞれ直接拡散C
DMA変調を施す。さらに、各チャネルのI,Q拡散信
号は、デジタル変調回路1内に設けられた多重回路によ
りI成分、Q成分毎にチャネル間で加算され、I成分お
よびQ成分のデジタル多重信号として出力される。直接
拡散CDMA方式においては、各チャネル毎に送信電力
が可変であるため、デジタル変調回路1によって生成さ
れたI成分およびQ成分のデジタル多重信号は、振幅変
動を含んだ多値データとなっている。
【0016】実効値演算回路13は、デジタル変調回路
1により生成されたI成分およびQ成分のデジタル多重
信号の実効値を次式(1)により演算する。 Z={(1/T)Σ(DI+DQ)}1/2 (1) 但し、Z :デジタル多重信号の実効値 T :実効値が演算される所定時間 DI:I成分の信号レベル DQ:Q成分の信号レベル この実効値演算回路13により演算されたデジタル多重
信号の実効値は、実効値信号としてスケーリング値演算
回路14に出力される。
【0017】スケーリング値演算回路14は、実効値演
算回路13により供給された実効値信号を入力し、その
デジタル多重信号の実効値と、スケーリング回路11か
らD/A変換器3までを系とした直交変調回路4の所望
レベルのデジタル換算値とに応じてスケーリング値を次
式(2)により演算する。 S=D/Z (2) 但し、S:スケーリング値 D:デジタル換算値 このスケーリング値演算回路14により演算されたスケ
ーリング値は、スケーリング制御信号としてスケーリン
グ回路11および減衰制御信号生成回路15に出力され
る。
【0018】スケーリング回路11は、スケーリング値
演算回路14により供給されたスケーリング制御信号を
入力し、デジタル変調回路1により生成されたI成分お
よびQ成分のデジタル多重信号の信号レベルをそのスケ
ーリング値に応じてそれぞれ制御する。スケーリング値
を用いて、スケーリング処理を行ったデジタル多重信号
のI成分、Q成分は、それぞれ次式(3)で与えられ
る。 DI=DI×S DQ=DQ×S (3) 但し、DI:スケーリング処理後のI成分の信号レベ
ル DQ:スケーリング処理後のQ成分の信号レベル このように、デジタル変調回路1により生成されたI成
分およびQ成分のデジタル多重信号に、スケーリング値
を乗じるスケーリング処理を行うことによって、スケー
リング回路11から出力されるI成分およびQ成分のデ
ジタル多重信号の信号レベルは、直交変調回路4のダイ
ナミックレンジに収まる適切な信号レベルとなる。
【0019】また、スケーリング値演算回路14では、
スケーリング値を式(2)により演算したが、スケーリ
ング値演算回路14において、次式(4)によりスケー
リング値を演算すれば、スケーリング回路11における
スケーリング処理をビットシフト処理によって行うこと
ができる。 S=INT{log(D/Z)} (4) 但し、INT:整数値をとる関数 この場合、スケーリング回路11では、スケーリング値
が正の場合にデジタル変調回路1により生成されたI成
分およびQ成分のデジタル多重信号をそれぞれSビット
分ビットシフトアップし、スケーリング制御信号が負の
場合にそれぞれSビット分ビットシフトダウンすること
により、スケーリング処理を行うことができる。
【0020】デジタルフィルタ2は、スケーリング回路
11から出力されるI成分およびQ成分のデジタル多重
信号を帯域制限し、D/A変換器3は、I成分およびQ
成分毎にアナログ信号に変換して、I成分およびQ成分
のアナログベースバンド信号を生成する。直交変調回路
4は、I成分およびQ成分のアナログベースバンド信号
をRF信号にアップコンバートする。
【0021】減衰制御信号生成回路15は、スケーリン
グ値演算回路14から供給されたスケーリング制御信号
と可変減衰回路12の特性とに応じて減衰制御信号を生
成する。図2は可変減衰回路の特性を示す特性図であ
り、スケーリング値がSであった場合に、減衰制御電圧
は、可変減衰回路12の基準動作点からlog
10(S)[dB]のポイントVATTと求められる。
減衰制御信号生成回路15には、図2に示したような可
変減衰回路12の特性がデータテーブルとして記憶され
ており、スケーリング回路11により制御されたことに
よる直交変調回路4により変換されるRF信号への影響
を打ち消すような減衰制御信号を、スケーリング値の入
力に応じて生成する。D/A変換器16は、その減衰制
御信号をD/A変換して可変減衰回路12に出力する。
【0022】可変減衰回路12は、直交変調回路4によ
り変換されたRF信号の信号レベルをD/A変換器16
から供給された減衰制御信号に応じて減衰し、スケーリ
ング回路11により制御されたことによる直交変調回路
4により変換されるRF信号への影響を打ち消し、本来
の信号レベルへの補正を行う。送信増幅器5は、その可
変減衰回路12により補正されたRF信号を増幅し、送
信アンテナ6からそのRF信号に応じて送信する。
【0023】以上のように、この実施の形態1によれ
ば、デジタル多重信号の信号レベルから直交変調回路4
の適切な入力レベルとなるスケーリング値を算出し、そ
のスケーリング値を用いてデジタル多重信号の信号レベ
ルを制御すると共に、直交変調回路4の後段においてそ
のスケーリング値に応じて本来の信号レベルへの補正を
行うようにしたので、直交変調回路4の入力信号レベル
が過大入力である場合に生じる隣接チャネル漏洩電力に
よる周波数特性劣化や、過小入力である場合に生じるR
F信号のキャリアリーク成分が支配的になるなどの波形
品質劣化を防ぐことができる。また、スケーリング値演
算回路14において、式(4)によりスケーリング値を
演算すれば、スケーリング回路11におけるスケーリン
グ処理をビットシフト処理によって容易に行うことがで
きる。
【0024】実施の形態2.この実施の形態2は、スケ
ーリング値演算回路14において、スケーリング値の変
化領域にヒステリシス特性を持たせて演算したスケーリ
ング値をスケーリング制御信号として出力するものであ
る。
【0025】次に動作について説明する。実施の形態1
で説明したように、スケーリング値演算回路14におい
て、式(4)によりスケーリング値を演算すれば、スケ
ーリング回路11におけるスケーリング処理をビットシ
フト処理によって容易に行うことができる。しかしなが
ら、スケーリング値の変化点の付近でデジタル多重信号
の実効値が増減を繰り返した場合、スケーリング値が頻
繁に変化して、スケーリング回路11におけるビットシ
フト処理、および減衰制御信号生成回路15における減
衰制御信号の生成を頻繁に行わなければならなくなる。
図3はそのスケーリング値演算回路の作用を示す説明図
であり、図において、Hはビットシフト閾値の近辺でデ
ジタル多重信号の実効値が増加した後に減少する様子を
表している。デジタル多重信号の実効値がHに示される
ように推移する場合、ビットシフト処理はデジタル多重
信号の実効値が増加し閾値を超える際にビットシフトダ
ウン処理を行い、デジタル多重信号の実効値が減少しビ
ットシフト閾値を超える際にビットシフトアップ処理を
行わなくてはならない。
【0026】図4はこの発明の実施の形態2による直接
拡散CDMA基地局送信機のスケーリング値演算回路の
作用を示す説明図であり、図において、ビットシフトダ
ウン用のビットシフト閾値Aと、ビットシフトアップ用
のビットシフト閾値Bを設けている。Iはデジタル多重
信号の実効値が増加する様子を表しており、この場合、
ビットシフト閾値Aを超える際にビットシフトダウン処
理を行う。また、Jはデジタル多重信号の実効値が減少
する様子を表しており、この場合、ビットシフト閾値B
を超える際にビットシフトアップ処理を行う。図3と同
様なデジタル多重信号の実効値の推移を表したものがH
である。デジタル多重信号の実効値がHに従い増加し、
ビットシフト閾値Aを超える場合、ビットシフトダウン
処理を行うが、デジタル多重信号の実効値が減少し、ビ
ットシフト閾値Aを超えた時点ではビットシフトアップ
処理を行わず、ビットシフト閾値Bを超えるまではビッ
トシフトアップ処理を行わずにすむ。したがって、スケ
ーリング値の変化点の付近でデジタル多重信号の実効値
が増減を繰り返した場合でも、スケーリング値が頻繁に
変化することなく、スケーリング回路11におけるビッ
トシフト処理、および減衰制御信号生成回路15におけ
る減衰制御信号の生成を頻繁に行わなくてもすむ。
【0027】以上のように、この実施の形態2によれ
ば、スケーリング値演算回路14において、スケーリン
グ値の変化領域にヒステリシス特性を持たせて演算した
スケーリング値をスケーリング制御信号として出力する
ようにしたので、スケーリング値の変化点の付近でデジ
タル多重信号の実効値が増減を繰り返した場合でも、ス
ケーリング値が頻繁に変化することなく、スケーリング
回路11におけるビットシフト処理、および減衰制御信
号生成回路15における減衰制御信号の生成を頻繁に行
わなくてもすみ、動作の安定性を向上させることができ
る。
【0028】実施の形態3.図5はこの発明の実施の形
態3による直接拡散CDMA基地局送信機を示す構成図
であり、図において、21は現在生成された減衰制御信
号を保持するレジスタ、22は所定時間前に生成された
減衰制御信号を保持するレジスタ、23はRAMP係数
を保持するレジスタ、24はレジスタ21,22に保持
された減衰制御信号に応じて、レジスタ23に保持され
たRAMP係数に基づいたRAMP処理を施し、D/A
変換器16に出力するRAMP信号生成回路である。そ
の他の構成は、図1と同一であるのでその重複する説明
を省略する。
【0029】次に動作について説明する。図6はこの発
明の実施の形態3による直接拡散CDMA基地局送信機
の作用を示す説明図であり、この図6と図5に示した構
成図を参照しながら説明する。レジスタ21には、時刻
tで減衰制御信号生成回路15により生成された減衰制
御信号Lが保持され、レジスタ22には、時刻t−1で
減衰制御信号生成回路15により生成された減衰制御信
号Mが保持されている。RAMP信号生成回路24は、
レジスタ21に保持された減衰制御信号Lからレジスタ
22に保持された減衰制御信号Mを差し引き、その差分
にレジスタ23に保持されたRAMP係数を乗じてRA
MP処理Nを施し、さらに、減衰制御信号Mを加えた減
衰制御信号をD/A変換器16に出力する。この時、レ
ジスタ21に保持された減衰制御信号Lをレジスタ22
に保持させる。
【0030】以上のように、この実施の形態3によれ
ば、減衰制御信号生成回路15により生成された減衰制
御信号の変化を滑らかにしてD/A変換器16に出力す
ることができ、減衰制御信号の急激な変化による周波数
特性の劣化を防ぐことができる。
【0031】なお、上記各実施の形態においては、多重
通信システムとして直接拡散CDMA基地局送信機を例
にとって説明したが、この発明の適用範囲は上記実施の
形態に限定するものではない。例えば同じCDMA方式
の周波数ホッピング方式や赤外線を利用したもの、ある
いはFDMA方式、TDMA方式の多重通信システムに
も適用可能である。また、基地局送信機のみならず移動
局送信機にも適用可能である。
【0032】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば、デジ
タル変調手段により生成されたデジタル多重信号の振幅
と上記直交変調手段の信号処理に適合する振幅範囲とに
基づいてそのデジタル多重信号に対する振幅調整処理の
スケーリング値を演算するスケーリング演算手段と、上
記スケーリング演算手段により演算されたスケーリング
値に応じて上記デジタル多重信号に振幅調整処理を施し
て上記信号変換手段に入力するスケーリング制御手段
と、上記スケーリング演算手段により演算されたスケー
リング値に応じて補正制御信号を生成する制御信号生成
手段と、その補正制御信号に基づいて上記直交変調手段
により変換されたRF信号に対して上記スケーリング制
御手段による振幅調整処理の影響を打ち消す補正処理を
施す信号補正手段とを備えるように構成したので、直交
変調手段の入力信号レベルが過大入力である場合に生じ
る隣接チャネル漏洩電力による周波数特性劣化や、過小
入力である場合に生じるRF信号のキャリアリーク成分
が支配的になるなどの波形品質劣化を防ぐことができる
と共に、スケーリング制御手段により制御されたことに
よる直交変調手段により変換されるRF信号への影響を
打ち消し、本来の信号レベルへの補正を行うことができ
る効果が得られる。
【0033】また、この発明によれば、制御信号生成手
段において、複数のチャネルの符号化された送信データ
がデジタル変調手段によりそれぞれのチャネルごとにデ
ータ変調および直接拡散CDMA変調されて生成された
デジタル多重信号の同相成分および直交成分の振幅の実
効値と直交変調手段の信号処理に適合する振幅範囲のデ
ジタル換算値とに基づいてスケーリング値を演算するこ
とを備えるように構成したので、直接拡散CDMA方式
の多重通信において、直交変調手段の入力信号レベルが
過大入力である場合に生じる隣接チャネル漏洩電力によ
る周波数特性劣化や、過小入力である場合に生じるRF
信号のキャリアリーク成分が支配的になるなどの波形品
質劣化を防ぐことができると共に、スケーリング制御手
段により制御されたことによる直交変調手段により変換
されるRF信号への影響を打ち消し、本来の信号レベル
への補正を行うことができる効果が得られる。
【0034】さらに、この発明によれば、制御信号生成
手段において、スケーリング値を、S=INT{log
(D/Z)}により演算し、そのスケーリング値をス
ケーリング制御信号としてスケーリング制御手段に供給
し、スケーリング制御手段において、スケーリング制御
信号が正の場合にデジタル変調手段により生成された同
相成分および直交成分のデジタル多重信号をそれぞれS
ビット分ビットシフトアップし、スケーリング制御信号
が負の場合にそれぞれSビット分ビットシフトダウンす
るように構成したので、スケーリング手段におけるスケ
ーリング処理をビットシフト処理によって容易に行うこ
とができる効果が得られる。
【0035】さらに、この発明によれば、制御信号生成
手段において、デジタル換算値Dにヒステリシス特性を
持たせて、デジタル変調手段により生成された同相成分
および直交成分のデジタル多重信号をそれぞれSビット
分ビットシフトアップまたはSビット分ビットシフトダ
ウンするように構成したので、スケーリング値の変化点
の付近でデジタル多重信号の実効値が増減を繰り返した
場合でも、スケーリング値が頻繁に変化することなく、
スケーリング制御手段におけるビットシフト処理、およ
び制御信号生成手段における補正制御信号の生成を頻繁
に行わなくてもすみ、動作の安定性を向上させることが
できる効果が得られる。
【0036】さらに、この発明によれば、制御信号生成
手段において、所定時間前に生成された補正制御信号と
現在生成された補正制御信号とに応じてRAMP処理を
施した補正制御信号を信号補正手段に供給するように構
成したので、補正制御信号の変化を滑らかにして供給す
ることができ、補正制御信号の急激な変化による周波数
特性の劣化を防ぐことができる効果が得られる。
【0037】さらに、この発明によれば、デジタル変調
手段により生成されたデジタル多重信号の振幅と上記直
交変調手段の信号処理に適合する振幅範囲とに基づいて
そのデジタル多重信号に対する振幅調整処理のスケーリ
ング値を演算し、演算されたスケーリング値に応じて上
記デジタル多重信号に振幅調整処理を施して上記信号変
換手段に入力するとともに、上記演算されたスケーリン
グ値に応じて補正制御信号を生成し、その補正制御信号
に基づいて上記直交変調手段により変換されたRF信号
に対して上記振幅調整処理の影響を打ち消す補正処理を
施すように構成したので、直交変調回路の入力信号レベ
ルが過大入力である場合に生じる隣接チャネル漏洩電力
による周波数特性劣化や、過小入力である場合に生じる
RF信号のキャリアリーク成分が支配的になるなどの波
形品質劣化を防ぐことができると共に、スケーリング値
により制御されたことによる直交変調回路により変換さ
れるRF信号への影響を打ち消し、本来の信号レベルへ
の補正を行うことができる効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1による直接拡散CD
MA基地局送信機を示す構成図である。
【図2】 可変減衰回路の特性を示す特性図である。
【図3】 スケーリング値演算回路の作用を示す説明図
である。
【図4】 この発明の実施の形態2による直接拡散CD
MA基地局送信機のスケーリング値演算回路の作用を示
す説明図である。
【図5】 この発明の実施の形態3による直接拡散CD
MA基地局送信機を示す構成図である。
【図6】 この発明の実施の形態3による直接拡散CD
MA基地局送信機の作用を示す説明図である。
【図7】 従来の直接拡散CDMA基地局送信機を示す
構成図である。
【符号の説明】
1 デジタル変調回路(デジタル変調手段)、2 デジ
タルフィルタ、3 D/A変換器(信号変換手段)、4
直交変調回路(直交変調手段)、5 送信増幅器、6
送信アンテナ、11 スケーリング回路(スケーリン
グ制御手段)、12 可変減衰回路(信号補正手段)、
13 実効値演算回路(スケーリング演算手段)、14
スケーリング値演算回路(スケーリング演算手段)、
15 減衰制御信号生成回路(制御信号生成手段)、1
6 D/A変換器、21〜23レジスタ、24 RAM
P信号生成回路。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数のデジタル信号が多重化されたデジ
    タル多重信号を信号変換手段によりアナログベースバン
    ド信号に変換し、そのアナログベースバンド信号を直交
    変調手段によりRF信号に変換する多重通信システムに
    おいて、上記デジタル変調手段により生成されたデジタ
    ル多重信号の振幅と上記直交変調手段の信号処理に適合
    する振幅範囲とに基づいてそのデジタル多重信号に対す
    る振幅調整処理のスケーリング値を演算するスケーリン
    グ演算手段と、上記スケーリング演算手段により演算さ
    れたスケーリング値に応じて上記デジタル多重信号に振
    幅調整処理を施して上記信号変換手段に入力するスケー
    リング制御手段と、上記スケーリング演算手段により演
    算されたスケーリング値に応じて補正制御信号を生成す
    る制御信号生成手段と、その補正制御信号に基づいて上
    記直交変調手段により変換されたRF信号に対して上記
    スケーリング制御手段による振幅調整処理の影響を打ち
    消す補正処理を施す信号補正手段とを備えた多重通信シ
    ステム。
  2. 【請求項2】 制御信号生成手段は、複数のチャネルの
    符号化された送信データがデジタル変調手段によりそれ
    ぞれのチャネルごとにデータ変調および直接拡散CDM
    A変調されて生成されたデジタル多重信号の同相成分お
    よび直交成分の振幅の実効値と直交変調手段の信号処理
    に適合する振幅範囲のデジタル換算値とに基づいてスケ
    ーリング値を演算することを特徴とする請求項1記載の
    多重通信システム。
  3. 【請求項3】 制御信号生成手段は、スケーリング値
    を、 S=INT{log(D/Z)} 但し、S :スケーリング値 INT:整数値をとる関数 Z :デジタル多重信号の実効値 D :デジタル換算値 により演算し、そのスケーリング値をスケーリング制御
    信号としてスケーリング制御手段に供給し、スケーリン
    グ制御手段は、スケーリング制御信号が正の場合にデジ
    タル変調手段により生成された同相成分および直交成分
    のデジタル多重信号をそれぞれSビット分ビットシフト
    アップし、スケーリング制御信号が負の場合にデジタル
    変調手段により生成された同相成分および直交成分のデ
    ジタル多重信号をそれぞれSビット分ビットシフトダウ
    ンすることを特徴とする請求項2記載の多重通信システ
    ム。
  4. 【請求項4】 制御信号生成手段は、デジタル換算値D
    にヒステリシス特性を持たせて、デジタル変調手段によ
    り生成された同相成分および直交成分のデジタル多重信
    号をそれぞれSビット分ビットシフトアップまたはSビ
    ット分ビットシフトダウンすることを特徴とする請求項
    3記載の多重通信システム。
  5. 【請求項5】 制御信号生成手段は、所定時間前に生成
    された補正制御信号と現在生成された補正制御信号とに
    応じてRAMP処理を施した補正制御信号を信号補正手
    段に供給することを特徴とする請求項1から請求項4の
    うちのいずれか1項記載の多重通信システム。
  6. 【請求項6】 複数のデジタル信号が多重化されたデジ
    タル多重信号を信号変換手段によりアナログベースバン
    ド信号に変換し、そのアナログベースバンド信号を直交
    変調手段によりRF信号に変換する多重通信システムの
    信号処理方法において、上記デジタル変調手段により生
    成されたデジタル多重信号の振幅と上記直交変調手段の
    信号処理に適合する振幅範囲とに基づいてそのデジタル
    多重信号に対する振幅調整処理のスケーリング値を演算
    し、演算されたスケーリング値に応じて上記デジタル多
    重信号に振幅調整処理を施して上記信号変換手段に入力
    するとともに、上記演算されたスケーリング値に応じて
    補正制御信号を生成し、その補正制御信号に基づいて上
    記直交変調手段により変換されたRF信号に対して上記
    振幅調整処理の影響を打ち消す補正処理を施す多重通信
    システムの信号処理方法。
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