JP2001291437A - 耐火ケーブル - Google Patents

耐火ケーブル

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JP2001291437A
JP2001291437A JP2000104387A JP2000104387A JP2001291437A JP 2001291437 A JP2001291437 A JP 2001291437A JP 2000104387 A JP2000104387 A JP 2000104387A JP 2000104387 A JP2000104387 A JP 2000104387A JP 2001291437 A JP2001291437 A JP 2001291437A
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English (en)
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Shigeru Suhara
茂 須原
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Yazaki Corp
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Yazaki Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 火災等による耐火ケーブルの燃焼時耐火ケー
ブルの被覆材等が酸素不足によって不完全燃焼すること
を防止して導電性炭化物質の発生を抑制し、燃焼時の熱
によって耐火層に亀裂(割れ)が生じることがあって
も、この亀裂に導電性炭化物質が入り込むのを抑制し、
安定した耐火性能が確保できるようする。 【解決手段】 導体10の上に酸素発生化合物を配合し
てなるシリコーン重合体組成物からなる耐火層11を形
成し、該耐火層11の上に耐火補強層12を被覆し、該
耐火補強層12の上に絶縁体13を被覆してなる耐火絶
縁線心14の上に、又は該耐火絶縁線心14を複数本撚
り合わせた上にシース15を施して構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、火災等によって耐
火電線が高熱や火炎に晒され燃焼した場合、適性な、し
かも安定した耐火性能が確保することのできる耐火ケー
ブルに関する。
【0002】
【従来の技術】多数の人が集合する劇場、デパート等に
おいては、火災等が発生した場合、場内の人を安全に非
常口に案内するために、非常口案内灯などの避難誘導灯
など、避難が完了する程度の一定の時間点灯させておく
ことが要求されている。そこで耐火対象物等における消
火設備、警報設備、避難設備の配線に用いられる耐火ケ
ーブルに関しては、社団法人日本電線工業会が自主的に
独自の耐火ケーブル等に関する認定基準を設け、その性
能、構造および材料等の品質の確保を図っている。この
ように耐火ケーブルは、火災が発生して、直後に、ケー
ブルの異常が原因で電力の供給が停止してしまうような
ことがなく、火災時でも一定の時間、電力を供給するこ
とができるケーブルである。
【0003】従来の耐火ケーブルは、図2に示す如き構
成を有している。すなわち、軟銅線によって構成される
導体1の上には、シリコーンゴムに酸化チタン(又はカ
ーボンブラック)とホウ酸亜鉛と粉末マイカとを配合し
てなるゴム組成物を架橋して得た耐火ゴム層2が形成さ
れており、この耐火ゴム層2の上には、集成マイカシー
トで構成される耐火補強層3が形成されている。この耐
火補強層3の上には、絶縁体4が被覆されており、この
絶縁体4の上にシース5が被覆され、耐火ケーブル6が
提案されている(例えば、特開平11−213771号
公報)。
【0004】この耐火電線は、火災時に直接火炎に晒さ
れると、火炎による熱によってシリコーンゴムに酸化チ
タン(又はカーボンブラック)とホウ酸亜鉛と粉末マイ
カとを配合してなるゴム組成物を架橋して得た耐火ゴム
層がセラミック化し、火炎から電線を保護し、導体間で
絶縁破壊を起こしてショートするのを防止している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
耐火ゴム層を耐火層として用いた耐火ケーブルにあって
は、火災等による燃焼時にシリコーン重合体組成物(マ
イカ、アルミナ等の無機粉末を混合したもの)からなる
耐火層がセラミック化するが、このセラミック化した
後、燃焼時の熱によって耐火層に亀裂(割れ)が生じる
ことがある。この耐火層の亀裂(割れ)を生じた箇所に
導電性炭化物質が入り込んでしまう。この導電性炭化物
質は、電線管内で電線が高温に加熱された際、酸素不足
のために燃焼できずに溶融したシースや絶縁体(ポリエ
チレン等)から生成する炭化物質である。そして、この
導電性炭化物質は、完全に炭化する直前は、炭化物を含
んだ導電性の高い液状物となっていて、導電性を有して
いる。
【0006】燃焼時の熱によってセラミック化した耐火
層に生じる亀裂(割れ)は、セラミック化耐火層の外側
表面から導体の表面との接触面である内側表面にまで達
している。したがって、この亀裂(割れ)に導電性炭化
物質が入り込むと、亀裂(割れ)に入り込んだ導電性炭
化物質は、亀裂(割れ)内で導体に接触することにな
る。このため、セラミック化した耐火層に亀裂(割れ)
が生じ、この亀裂(割れ)に導電性炭化物質が入り込む
と、線間短絡を起こすことがあり、耐火ケーブルとして
の機能が得られないという問題がある。
【0007】さらに、亀裂(割れ)に入り込んだ導電性
炭化物質は、耐火ケーブルの被覆材等が不完全燃焼する
ことによって生じるものであるため、未だ燃焼性を有し
ている。このため、燃焼時にセラミック化した耐火層に
生じた亀裂(割れ)に導電性炭化物質が入り込むと、外
部から加えられる火炎によって、耐火層の亀裂内の導電
性炭化物質が再燃し、亀裂(割れ)が拡大し、セラミッ
ク化した耐火層が導体から剥落することがあり、耐火性
能の低下をきたしたり、安定した耐火性能が得られない
という問題を有している。
【0008】本発明は、火災等による耐火ケーブルの燃
焼時耐火ケーブルの被覆材等が酸素不足によって不完全
燃焼することを防止して導電性炭化物質の発生を抑制
し、燃焼時の熱によって耐火層に亀裂(割れ)が生じる
ことがあっても、この亀裂に導電性炭化物質が入り込む
のを抑制し、安定した耐火性能が確保でき、環境に優し
い耐火ケーブを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明に
係る耐火ケーブルは、導体の上に酸素発生化合物を配合
してなるシリコーン重合体組成物からなる耐火層を形成
し、該耐火層の上に耐火補強層を被覆し、該耐火補強層
の上に絶縁体を被覆してなる耐火絶縁線心の上に、又は
該耐火絶縁線心を複数本撚り合わせた上にシースを施し
て構成したものである。
【0010】耐火層は、酸素発生化合物を配合してなる
シリコーン重合体組成物、具体的には、シリコーンゴム
に酸化チタン(又はカーボンブラック)と粉末マイカと
を配合すると共に、酸素発生化合物を配合してなるゴム
組成物を架橋して得た耐火ゴム層である。ここにいう酸
素発生化合物というのは、一定の条件の下で酸素を発生
させる化合物(加熱すると、分解されて酸素(O)を
発生する物質)のことである。また、耐火補強層は、集
成マイカシートで構成されている。
【0011】この耐火層は、高温に晒されるとセラミッ
ク化する。セラミック化は、シリコーンゴム(ゴム状粘
弾性物質)が燃焼によって無機物(SiO)に変化す
ることで、このシリコーンゴムが無機物(SiO)に
変化しても、シリコーンゴムに配合されているマイカ粉
やアルミナ粉は変化せず、セラミック化したシリコーン
の中に分散した状態になっている。このような現象によ
り、導体の上に無機物(不燃性、非導電性)の絶縁体層
が形成され、電気絶縁性(耐火性能)が確保される。こ
のセラミック化の現象が生じている際、耐火層の上に被
覆されている絶縁体やシースは、燃焼しているか又は溶
融しており、電気絶縁物としての機能を失いつつある状
態になっている。
【0012】また、耐火層は、高温に晒されセラミック
化する際に酸素発生化合物の作用によって酸素が発生す
る。この高温に晒された耐火層は、耐火層に配合された
酸素発生化合物が過酸化カルシウム(CaO)の場合
は、 2CaO → 2Ca+O なる反応によって酸素(O)が放出され、過酸化カリ
ウム(K)の場合は、 2K→ 2KO+O なる反応によって酸素(O)が放出される。この酸素
発生物質からの酸素の発生は、「火災」により生じる現
象でなく、300℃前後に「加熱」することにより生じ
る現象で、絶縁体やシース材が燃焼するタイミングで効
率よく酸素を供給することができる。
【0013】この耐火ケーブルには、導体の上に耐火層
を介して絶縁体を被覆し、この絶縁体の上にシースを施
して構成した単芯ケーブルと、導体の上に耐火層を介し
て絶縁体を被覆してなる耐火絶縁線心を複数本撚り合わ
せた上にシースを施して構成した撚線ケーブルとが含ま
れる。この耐火絶縁線心を複数本撚り合わせた上にシー
スを施して構成する撚線ケーブルの場合は、ケーブルを
断面円形に保持するため、各線心間に介在物を介在させ
ることがある。この介在物は、耐火絶縁導体を2本以上
撚り合わせる際に、各耐火絶縁導体間に介在させてケー
ブルが断面略円形になるようにするためのもので、オレ
フィン系樹脂をベースに非重金属酸素発生化合物を配合
して構成されている。オレフィン系樹脂には、ポリエチ
レン、ポリプロピレン、ポリブチレン等がある。
【0014】シースは、オレフィン系樹脂に金属水和物
を混合してなる難燃化したものである。オレフィン系樹
脂には、ポリエチレン、エチレン系共重合体等があり、
金属水和物には、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニ
ウム、水酸化ジルコニウム、水酸化カリウム等がある。
これらの金属水酸化物は、1種類(例えば、水酸化マグ
ネシウム)を選択して配合することも、2種類以上(例
えば、水酸化マグネシウムと水酸化アルミニウム)選択
して配合することもある。
【0015】このように構成されるものであるから請求
項1に記載の発明によると、火災等による耐火ケーブル
の燃焼時耐火ケーブルの被覆材等が酸素不足によって不
完全燃焼することを防止して導電性炭化物質の発生を抑
制し、燃焼時の熱によって耐火層に亀裂(割れ)が生じ
ることがあっても、この亀裂に導電性炭化物質が入り込
むのを抑制し、安定した耐火性能を確保することができ
る。
【0016】請求項2に記載の発明に係る耐火ケーブル
は、シリコーン重合体組成物を、シリコーンゴムに、マ
イカ粉又はアルミナ粉と酸素発生化合物を配合して構成
したものである。耐火ケーブルの耐火層にマイカ粉又は
アルミナ粉を配合したのは、耐火層としてシリコーン重
合体のみを使用した場合、耐火性能の確保が難しいため
である。そして、シリコーン重合体組成物を、シリコー
ンゴムに、マイカ粉又はアルミナ粉と酸素発生化合物を
配合して構成すると、シリコーンゴム(ゴム状粘弾性物
質)が燃焼によって無機物(SiO)に変化するセラ
ミック化したときは、マイカ粉やアルミナ粉は変化せ
ず、セラミック化したシリコーンの中に分散した状態と
なっている。この現象によって、導体の上に無機物の絶
縁体層が形成されることになり、無機物は、燃焼もしな
ければ導電性も無いので、電気絶縁性(耐火性能)が確
保されることになる。このセラミック化する現象が生じ
ている際、絶縁体やシースは、燃焼しているか又は溶融
しており、電気絶縁物としての機能を失いつつある状態
になっている。
【0017】このように構成されるものであるから請求
項2に記載の発明によると、耐火性を持たせると共に、
火災等による耐火ケーブルの燃焼時耐火ケーブルの被覆
材等が酸素不足によって不完全燃焼することを防止して
導電性炭化物質の発生を抑制し、燃焼時の熱によって耐
火層に亀裂(割れ)が生じることがあっても、この亀裂
に導電性炭化物質が入り込むのを抑制し、安定した耐火
性能を確保することができる。
【0018】請求項3に記載の発明に係る耐火ケーブル
は、酸素発生化合物を、一定の条件下で酸素を発生させ
る化合物で構成したものである。この一定の条件という
のは、300℃前後の高温に晒すことで、この300℃
前後の高温に晒されると、酸素(O)を大気中に放出
する過酸化カリウム(K )、過酸化カルシウム
(CaO)等である。このように構成されるものであ
るから請求項3に記載の発明によると、耐火ケーブルが
300℃前後の高温に晒された際、被覆材等が不完全燃
焼するのが防止され、導電性炭化物質の発生を抑制する
ことができる。
【0019】請求項4に記載の発明に係る耐火ケーブル
は、酸素発生化合物を、過酸化カルシウム、過酸化カリ
ウムのいずれかで構成したものである。過酸化カリウム
(K)は、金属カリウムの液体アンモニア溶液
に、−50℃で溶液が無色になるまで徐々に酸素を通ず
るか、または水酸化カリウムと過酸化水素の当量混合物
の水溶液を、真空中で濃硫酸上で蒸発させる(二水和
物)と得られる橙色粉末で、加熱によってKOとO
に分解する性質を有するものである。このように構成さ
れるものであるから請求項4に記載の発明によると、導
電性炭化物質を非重金属酸素発生化合物によって構成す
ることができる。
【0020】請求項5に記載の発明に係る耐火ケーブル
は、シリコーン重合体組成物の組成を、シリコーンゴム
100重量部に対し、マイカ粉又はアルミナ粉を50〜
300重量部、酸素発生化合物を5〜100重量部配合
したものである。マイカ粉又はアルミナ粉の配合量をシ
リコーンゴム100重量部に対して50〜300重量部
としたのは、マイカ粉又はアルミナ粉の配合量が50重
量部を下回ると、十分な耐火性の効果を得ることができ
ないからであり、マイカ粉又はアルミナ粉の配合量を3
00重量部以下としたのは、マイカ粉又はアルミナ粉を
300重量部を超えて配合しても耐火性の効果が飛躍的
に向上するわけではなく、マイカ粉又はアルミナ粉を3
00重量部を超えて配合して得られる効果に対して、コ
ストアップや加工性の低下が著しく、実用的でないため
である。
【0021】また、酸素発生化合物をシリコーンゴム1
00重量部に対して5〜100重量部としたのは、酸素
発生化合物の配合量が5重量部を下回ると、酸素発生の
効果がほとんど得られないからであり、酸素発生化合物
の配合量を100重量部以下としたのは、100重量部
を超えて配合しても、得られる効果に対し、コストアッ
プや加工性の低下が著しく、実用的でないためである。
また、性能・コスト・加工性等を全て考慮した場合は、
シリコーンゴム100重量部に対して20〜50重量部
配合するのが最も効果的な配合量である。
【0022】このように構成されるものであるから請求
項5に記載の発明によると、火災等による耐火ケーブル
の燃焼時耐火ケーブルの被覆材等が酸素不足によって不
完全燃焼することを防止して導電性炭化物質の発生を抑
制し、燃焼時の熱によって耐火層に亀裂(割れ)が生じ
ることがあっても、この亀裂に導電性炭化物質が入り込
むのを抑制し、安定した耐火性能を確保することができ
る。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る耐火ケーブル
の実施の形態について説明する。図1には、本発明に係
る耐火ケーブルの一実施の形態が示されている。
【0024】図1において、10は軟銅線によって構成
される導体で、この導体10の上には耐火層11が形成
されており、この耐火層11の上には耐火補強層12が
形成されている。そして、この耐火補強層12の上に
は、絶縁体13が被覆されており、耐火絶縁線心14が
形成されている。この耐火絶縁線心14の上には、シー
ス15が被覆され、耐火ケーブル16が構成されてい
る。また、図示していないが耐火絶縁線心14を複数本
撚り合わせ、介在物を介在させるか又は介在物を介在さ
せないで、この上にシース15を施して構成する耐火ケ
ーブルもある。
【0025】また、耐火層11は、シリコーンゴムにマ
イカ粉又はアルミナ粉と、一定の条件下で酸素を発生さ
せる化合物である酸素発生化合物を配合して構成したも
のである。この一定の条件というのは、例えば300℃
前後の高温に晒すことである。この酸素発生化合物は、
過酸化カルシウム、過酸化カリウムのいずれかを用いて
いる。そして、このシリコーンゴム、マイカ粉又はアル
ミナ粉、酸素発生化合物のそれぞれの配合割合は、シリ
コーンゴム100重量部に対し、マイカ粉又はアルミナ
粉を50〜300重量部の範囲で、酸素発生化合物を5
〜100重量部の範囲で任意に設定した配合量としたも
のである。また、耐火補強層12は、集成マイカシート
で構成されている。この集成マイカシートは、例えば、
ポリエチレン、ポリプロピレン等のフィルムからなる裏
打材に軟質集成マイカを貼り合わせて構成したものであ
る。
【0026】絶縁体13は、可燃性を有するポリオレフ
ィンで構成されている。このポリオレフィンには、ポリ
エチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン等がある。こ
の絶縁体13の上にシース14が被覆され耐火ケーブル
16が構成されている。このシース14は、オレフィン
系樹脂に金属水和物を混合して難燃化したものである。
オレフィン系樹脂には、ポリエチレン、エチレン系共重
合体等があり、金属水和物には、水酸化マグネシウム、
水酸化アルミニウム、水酸化ジルコニウム、水酸化カリ
ウム等がある。これらの金属水酸化物は、1種類(例え
ば、水酸化マグネシウム)を選択して配合することも、
2種類以上(例えば、水酸化マグネシウムと水酸化アル
ミニウム)選択して配合することもできる。
【0027】このように構成される耐火ケーブル16
は、火災時に直接火炎に晒されると、火炎による熱によ
って加熱され、例えば300℃前後の高温に達すると、
耐火層11を構成するシリコーンゴムに配合された酸素
発生化合物(過酸化カルシウム、過酸化カリウム等)か
ら酸素が発生する。このとき、シリコーンゴムはセラミ
ック化する現象が生じ、絶縁体やシースは、燃焼してい
るか又は溶融しており、電気絶縁物としての機能を失い
つつある状態になっている。このように、シリコーンゴ
ムに配合された酸素発生化合物(過酸化カルシウム、過
酸化カリウム等)から酸素が発生すると、この酸素は、
燃焼している絶縁体やシースに供給され、絶縁体やシー
スの燃焼に寄与し、絶縁体やシースが酸素不足によって
不完全燃焼することを防止して導電性炭化物質の発生を
抑制することになる。したがって、燃焼時の熱によって
耐火層に亀裂(割れ)が生じることがあっても、この亀
裂に導電性炭化物質が入り込むことがないので、安定し
た耐火性能を確保することができる。
【0028】
【実施例】以下、本発明に係る耐火ケーブルの耐火層を
構成する樹脂組成物の具体的実施例について従来例と比
較して説明する。 実施例1 実施例1は、シリコーン重合体100重量部に対して、
マイカ粉又はアルミナ粉を100重量部、過酸化カルシ
ウムを5重量部を配合して構成したものである。
【0029】実施例2 実施例2は、シリコーン重合体100重量部に対して、
マイカ粉又はアルミナ粉を100重量部、過酸化カルシ
ウムを10重量部を合して構成したものである。
【0030】実施例3 実施例3は、シリコーン重合体100重量部に対して、
マイカ粉又はアルミナ粉を100重量部、過酸化カルシ
ウムを50重量部を配合して構成したものである。
【0031】実施例4 実施例4は、シリコーン重合体100重量部に対して、
マイカ粉又はアルミナ粉を100重量部、過酸化カルシ
ウムを50重量部を配合して構成したものである。
【0032】実施例5 実施例5は、シリコーン重合体100重量部に対して、
マイカ粉又はアルミナ粉を200重量部、過酸化カルシ
ウムを50重量部を配合して構成したものである。
【0033】実施例6 実施例6は、シリコーン重合体100重量部に対して、
マイカ粉又はアルミナ粉を100重量部、過酸化カリウ
ムを50重量部を配合して構成したものである。
【0034】従来例1 従来例1は、シリコーン重合体100重量部に対して、
マイカ粉又はアルミナ粉を100重量部を配合して構成
したものである。
【0035】従来例2 従来例2は、シリコーン重合体100重量部に対して、
マイカ粉又はアルミナ粉を200重量部を配合して構成
したものである。
【0036】また、これらの実施例1〜実施例6、従来
例1〜2に基づく樹脂組成物に基づいて耐火ケーブル
(完成品)を製作し、その一部(1.3m以上の長さ)
を採って試料とし、JCMA試第1010号に準ずる絶
縁電線試験方法によって、耐火性能試験を行った。
【0037】そして、そのときの耐火性能、亀裂発生の
有無、導電性炭化物量について測定した。
【0038】その比較結果が表1に示してある。
【0039】
【表1】 表1において、耐火性能の評価の内、『○』は、耐火試
験合格のもので、『△』は、耐火試験に不合格となるこ
とがあるものである。
【0040】また、亀裂発生の有無については、試験後
の試料(耐火層)を目視することにより、その有無を確
認している。そして、この亀裂の発生は、耐火層とし
て、燃焼時にセラミック化するシリコーン重合体組成物
(他の耐火性配合物が、マイカ粉やアルミナ粉のみの場
合)を使用した耐火ケーブルの場合、ほぼ100%ある
といえる。また、導電性炭化物量については、耐火試験
後に電線管内で発生・残留した(導電性)炭化物を回収
し、重量を測定した。ケーブルサイズによって従来構成
品の発生量を「100(=多)」とし、その量が『99
〜70』を『やや多』、『69〜40』を『中』、『3
9以下』を『少』として表示してある。
【0041】表1の耐火性能において、過酸化カルシウ
ム(酸素発生化合物)の配合された実施例1〜実施例
5、過酸化カリウム(酸素発生化合物)の配合された実
施例6は、いずれも『○』で、耐火試験に不合格となる
ことがあるものが製造されることが100%ないものと
なっている。これに対し、過酸化カルシウム(酸素発生
化合物)も過酸化カリウム(酸素発生化合物)も配合さ
れていない従来例1と従来例2は、いずれも『△〜○』
で、常時、特定の割合で耐火試験に不合格となることが
あるものが製造される結果となっている。この実施例1
〜実施例6の配合組成と従来例1〜従来例2の配合組成
とを比較すると、実施例1〜実施例6は、従来例1〜従
来例2に過酸化カルシウム(酸素発生化合物)又は過酸
化カリウム(酸素発生化合物)を配合したものとなって
いる。このことから、実施例1〜実施例6が耐火性能に
おいて、いずれも『○』となっているのは、過酸化カル
シウム(酸素発生化合物)、過酸化カリウム(酸素発生
化合物)が配合されているからであるということが判
る。
【0042】また、亀裂発生の有無については、実施例
1〜実施例6、従来例1〜従来例2のいずれも『有』と
なっている。これは、耐火層として、燃焼時にセラミッ
ク化するシリコーン重合体組成物(他の耐火性配合物
が、マイカ粉やアルミナ粉のみの場合)を使用している
結果である。
【0043】さらに、導電性炭化物量については、従来
例1〜従来例2が、いずれも『多』となっているのに対
し、過酸化カルシウム(酸素発生化合物)を5重量部配
合した実施例1が『やや多』、過酸化カルシウム(酸素
発生化合物)を10重量部配合した実施例2が『中』、
過酸化カルシウム(酸素発生化合物)を50重量部配合
した実施例3が『少』、過酸化カルシウム(酸素発生化
合物)を100重量部配合した実施例4が『少』、マイ
カ粉又はアルミナ粉の配合量を他の実施例よりも多い2
00重量部配合し、過酸化カルシウム(酸素発生化合
物)を50重量部配合した実施例5が『少』、過酸化カ
リウム(酸素発生化合物)を50重量部配合した実施例
6が『少』となっている。これら実施例1〜実施例6の
導電性炭化物量の測定結果から、導電性炭化物量の発生
量に過酸化カルシウム(酸素発生化合物)、過酸化カリ
ウム(酸素発生化合物)が関係していることが判る。す
なわち、導電性炭化物量の発生量を抑制するには、過酸
化カルシウム(酸素発生化合物)又は過酸化カリウム
(酸素発生化合物)を配合することが有効であることが
判る。さらに過酸化カルシウム(酸素発生化合物)、過
酸化カリウム(酸素発生化合物)の配合量が導電性炭化
物量の発生量と深い関係を有していることも判る。すな
わち、実施例1から実施例2、実施例2から実施例3、
実施例3から実施例4と過酸化カルシウム(酸素発生化
合物)の配合量を、5重量部→10重量部→50重量部
→100重量部と増加すると、導電性炭化物量の発生量
が、『やや多』→『中』→『少』→『少』と変化してい
ることが判る。このことから過酸化カルシウム(酸素発
生化合物)又は過酸化カリウム(酸素発生化合物)の配
合量を増加すると導電性炭化物量の発生量が抑制され
る。
【0044】従来例1、従来例2の場合、耐火層は燃焼
時にセラミック化するシリコーン重合体組成物(他の耐
火性配合物が、マイカ粉やアルミナ粉のみの場合)を導
体1の直上に形成されている層で、加熱され耐火層かセ
ラミック化するときに亀裂が生じ、その隙間に絶縁体、
シースの燃焼によって生じる導電性炭化物質が入り込み
絶縁性が低下し、荷電中であるため対地間で導通を起こ
して試験に不合格(=耐火性能の低下、性能の不安定
化)を引き起こしているわけである。
【0045】ところが、実施例1〜実施例6のように導
電性炭化物量の発生量が抑制されれば、耐火層として、
燃焼時にセラミック化するシリコーン重合体組成物(他
の耐火性配合物が、マイカ粉やアルミナ粉のみの場合)
を使用した場合に生じる亀裂に、導電性炭化物量が入り
込むことがなく、耐火試験(耐火性能)において要求さ
れている「燃焼中、600V(×30分)の対地間耐圧
試験に合格すること」(常に600Vの荷電状態で燃焼
させて絶縁試験を行う)という項目に対しても満足する
結果を得ることができる。
【0046】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、火災等に
よる耐火ケーブルの燃焼時耐火ケーブルの被覆材等が酸
素不足によって不完全燃焼することを防止して導電性炭
化物質の発生を抑制し、燃焼時の熱によって耐火層に亀
裂(割れ)が生じることがあっても、この亀裂に導電性
炭化物質が入り込むのを抑制し、安定した耐火性能を確
保することができる。
【0047】請求項2記載の発明によれば、耐火性を持
たせると共に、火災等による耐火ケーブルの燃焼時耐火
ケーブルの被覆材等が酸素不足によって不完全燃焼する
ことを防止して導電性炭化物質の発生を抑制し、燃焼時
の熱によって耐火層に亀裂(割れ)が生じることがあっ
ても、この亀裂に導電性炭化物質が入り込むのを抑制
し、安定した耐火性能を確保することができる。
【0048】請求項3記載の発明によれば、耐火ケーブ
ルが300℃前後の高温に晒された際、被覆材等が不完
全燃焼するのが防止され、導電性炭化物質の発生を抑制
することができる。
【0049】請求項4記載の発明によれば、導電性炭化
物質を非重金属酸素発生化合物によって構成することが
できる。
【0050】請求項5記載の発明によれば、火災等によ
る耐火ケーブルの燃焼時耐火ケーブルの被覆材等が酸素
不足によって不完全燃焼することを防止して導電性炭化
物質の発生を抑制し、燃焼時の熱によって耐火層に亀裂
(割れ)が生じることがあっても、この亀裂に導電性炭
化物質が入り込むのを抑制し、安定した耐火性能を確保
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る耐火層を適用した耐火ケーブルの
実施の形態を示す断面図である。
【図2】従来の耐火ケーブルを示す断面図である。
【符号の説明】
10…………………………導体 11…………………………耐火層 12…………………………耐火補強層 13…………………………絶縁体 14…………………………耐火絶縁線心 15…………………………シース 16…………………………耐火ケーブル

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導体の上に酸素発生化合物を配合してな
    るシリコーン重合体組成物からなる耐火層を形成し、該
    耐火層の上に耐火補強層を被覆し、該耐火補強層の上に
    絶縁体を被覆してなる耐火絶縁線心の上に、又は該耐火
    絶縁線心を複数本撚り合わせた上にシースを施して構成
    したことを特徴とする耐火ケーブル。
  2. 【請求項2】 前記シリコーン重合体組成物は、シリコ
    ーンゴムに、マイカ粉又はアルミナ粉と酸素発生化合物
    を配合して構成したものである請求項1に記載の耐火ケ
    ーブル。
  3. 【請求項3】 前記酸素発生化合物は、一定の条件下で
    酸素を発生させる化合物である請求項1又は2に記載の
    耐火ケーブル。
  4. 【請求項4】 前記酸素発生化合物は、過酸化カルシウ
    ム、過酸化カリウムのいずれかである請求項1、2又は
    3に記載の耐火ケーブル。
  5. 【請求項5】 前記シリコーン重合体組成物の組成は、
    シリコーン重合体100重量部に対し、マイカ粉又はア
    ルミナ粉を50〜300重量部、酸素発生化合物を5〜
    100重量部配合したものである請求項1、2、3又は
    4に記載の耐火ケーブル。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2013054738A1 (ja) * 2011-10-11 2013-04-18 東特塗料株式会社 重層コ-トの電気絶縁電線
CN105913917A (zh) * 2016-06-02 2016-08-31 安徽龙庵电缆集团有限公司 一种硅橡胶轻型耐火舰船软电缆

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