JP2001288528A - 坩 堝 - Google Patents
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 坩堝の高寿命化を図る。
【解決手段】 結合相形成成分として、Co:1〜9重
量%を含有し、且つ、残部が主体相形成成分としてのW
および不可避不純物から成る組成を有する焼結合金で坩
堝を作製する。このように、W基焼結合金の結合相形成
成分中に、銅族元素と溶解し難く、且つ坩堝に侵入した
銅族元素を坩堝外へ押し出す効果があるCoを添加する
ことで、坩堝への銅族元素の侵入を抑制でき、溶融銅の
熱膨張による坩堝の割れが防止できる。従って、銅族元
素蒸発用の坩堝として使用した場合でも高寿命を得るこ
とができる。
量%を含有し、且つ、残部が主体相形成成分としてのW
および不可避不純物から成る組成を有する焼結合金で坩
堝を作製する。このように、W基焼結合金の結合相形成
成分中に、銅族元素と溶解し難く、且つ坩堝に侵入した
銅族元素を坩堝外へ押し出す効果があるCoを添加する
ことで、坩堝への銅族元素の侵入を抑制でき、溶融銅の
熱膨張による坩堝の割れが防止できる。従って、銅族元
素蒸発用の坩堝として使用した場合でも高寿命を得るこ
とができる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、真空蒸着やイオン
プレーティング法により薄膜蒸着する際等に、特に、銅
族元素(Cu、Ag、Au)等の溶融や蒸発の際に使用
して好適な坩堝に関するものである。
プレーティング法により薄膜蒸着する際等に、特に、銅
族元素(Cu、Ag、Au)等の溶融や蒸発の際に使用
して好適な坩堝に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、合金や物質を溶融、あるいは
蒸発させる場合に使用する高熱に耐え得る金属製の容器
として、しばしば純タングステン製の坩堝が使用されて
いた。
蒸発させる場合に使用する高熱に耐え得る金属製の容器
として、しばしば純タングステン製の坩堝が使用されて
いた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】純タングステンは融点
が高く溶融し難いといった利点は有るが、一方では上記
したような銅族元素の蒸発用坩堝として使用した場合、
坩堝に粒界や微小欠陥部分が存在すると、その粒界や微
小欠陥部分に溶融した銅族元素が侵入し、その熱膨張に
よって割れや浸食を進行させ、坩堝の寿命を短くすると
いった欠点が有った。
が高く溶融し難いといった利点は有るが、一方では上記
したような銅族元素の蒸発用坩堝として使用した場合、
坩堝に粒界や微小欠陥部分が存在すると、その粒界や微
小欠陥部分に溶融した銅族元素が侵入し、その熱膨張に
よって割れや浸食を進行させ、坩堝の寿命を短くすると
いった欠点が有った。
【0004】本発明は、上記した純タングステン製坩堝
の欠点を解消し、溶融した銅族元素の坩堝への侵入を抑
制することにより高寿命化を図った坩堝を提供すること
を目的としている。
の欠点を解消し、溶融した銅族元素の坩堝への侵入を抑
制することにより高寿命化を図った坩堝を提供すること
を目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち、請求項1に記
載の坩堝は、結合相形成成分として、Co:1〜9重量
%を含有し、且つ、残部が主体相形成成分としてのWお
よび不可避不純物から成る組成を有する焼結合金で構成
したことを特徴としている。
載の坩堝は、結合相形成成分として、Co:1〜9重量
%を含有し、且つ、残部が主体相形成成分としてのWお
よび不可避不純物から成る組成を有する焼結合金で構成
したことを特徴としている。
【0006】また、請求項2に記載の坩堝は、前記結合
相形成成分として、Co:1〜9重量%およびNi:
0.5〜10重量%を含有することを特徴としている。
相形成成分として、Co:1〜9重量%およびNi:
0.5〜10重量%を含有することを特徴としている。
【0007】また、請求項3に記載の坩堝は、前記結合
相形成成分として、Co:1〜9重量%、Ni:0.5
〜10重量%およびFe:0.5〜5重量%を含有する
ことを特徴としている。
相形成成分として、Co:1〜9重量%、Ni:0.5
〜10重量%およびFe:0.5〜5重量%を含有する
ことを特徴としている。
【0008】また、請求項4に記載の坩堝は、前記結合
相形成成分として、さらに、Mo:0.5〜5重量%を
含有することを特徴としている。
相形成成分として、さらに、Mo:0.5〜5重量%を
含有することを特徴としている。
【0009】以上、請求項1〜請求項4に記載のよう
に、W主体+Coを基本組成とした焼結合金で坩堝を製
造すると、溶融した銅族元素が坩堝の粒界や微小欠陥部
分に侵入するのを抑制できる。これにより、従来の純タ
ングステン製の坩堝で問題となった、坩堝内に侵入した
溶融銅族元素の浸食による破損が防止でき、坩堝の高寿
命化を実現することができる。
に、W主体+Coを基本組成とした焼結合金で坩堝を製
造すると、溶融した銅族元素が坩堝の粒界や微小欠陥部
分に侵入するのを抑制できる。これにより、従来の純タ
ングステン製の坩堝で問題となった、坩堝内に侵入した
溶融銅族元素の浸食による破損が防止でき、坩堝の高寿
命化を実現することができる。
【0010】ここで、W基焼結合金の成分組成を上記請
求項1〜請求項4のように限定した理由を説明する。 (1)Co Co成分には、銅族元素が坩堝へ侵入するのを抑制する
効果があり、不可欠であるが、その含有量が1重量%未
満では、溶融銅の侵入を抑制し難く、一方、9重量%を
超えると銅族元素の溶湯時にCo成分の溶出量が増加し
て不都合であるため、本発明ではその含有量を1〜9重
量%と定めた。 (2)Ni Ni成分は、強度を向上し坩堝の割れを防止する効果が
あり、必要に応じて含有されるが、その含有量が0.5
重量%未満では強度の改善効果が得られず、一方、含有
量が10重量%を超えると銅族元素の溶湯時にNi成分
の溶出量が増加して不都合であるため、本発明ではその
含有量を0.5〜10重量%と定めた。 (3)Fe Fe成分には、強度を向上し坩堝の割れを防止する効果
があり、必要に応じて含有されるが、その含有量が0.
5重量%未満では強度の改善効果が得られず、一方、5
重量%を超えると銅族元素の溶湯時にFe成分の溶出量
が増加して不都合であるため、本発明では、その含有量
を0.5〜5重量%と定めた。 (4)Mo Mo成分には、耐熱衝撃性を向上し坩堝の割れを防止す
る効果があり、必要に応じて含有されるが、その含有量
が0.5重量%未満では所望の耐熱衝撃効果が得られ
ず、一方、5重量%を超えると坩堝としての充分な強度
が得られなくなるため、本発明では、その含有量を0.
5〜5重量%と定めた。 (5)W Wは耐熱性に優れ、熱伝導度も高く、且つ、銅族元素に
溶解し難い性質があり、坩堝としての特性を得るため不
可欠である。
求項1〜請求項4のように限定した理由を説明する。 (1)Co Co成分には、銅族元素が坩堝へ侵入するのを抑制する
効果があり、不可欠であるが、その含有量が1重量%未
満では、溶融銅の侵入を抑制し難く、一方、9重量%を
超えると銅族元素の溶湯時にCo成分の溶出量が増加し
て不都合であるため、本発明ではその含有量を1〜9重
量%と定めた。 (2)Ni Ni成分は、強度を向上し坩堝の割れを防止する効果が
あり、必要に応じて含有されるが、その含有量が0.5
重量%未満では強度の改善効果が得られず、一方、含有
量が10重量%を超えると銅族元素の溶湯時にNi成分
の溶出量が増加して不都合であるため、本発明ではその
含有量を0.5〜10重量%と定めた。 (3)Fe Fe成分には、強度を向上し坩堝の割れを防止する効果
があり、必要に応じて含有されるが、その含有量が0.
5重量%未満では強度の改善効果が得られず、一方、5
重量%を超えると銅族元素の溶湯時にFe成分の溶出量
が増加して不都合であるため、本発明では、その含有量
を0.5〜5重量%と定めた。 (4)Mo Mo成分には、耐熱衝撃性を向上し坩堝の割れを防止す
る効果があり、必要に応じて含有されるが、その含有量
が0.5重量%未満では所望の耐熱衝撃効果が得られ
ず、一方、5重量%を超えると坩堝としての充分な強度
が得られなくなるため、本発明では、その含有量を0.
5〜5重量%と定めた。 (5)W Wは耐熱性に優れ、熱伝導度も高く、且つ、銅族元素に
溶解し難い性質があり、坩堝としての特性を得るため不
可欠である。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明のW基焼結合金を用
いた銅族元素蒸発用の坩堝を実施例により説明する。
いた銅族元素蒸発用の坩堝を実施例により説明する。
【0012】本発明に係るW基焼結合金は、結合相形成
成分としてCo:1〜9重量%を含有し、さらに、必要
に応じこの結合相形成成分に加えて、Ni:0.5〜1
0重量%、さらには、Fe:0.5〜5重量%、さらに
は、Mo:0.5〜5重量%を含有し、且つ、残部が主
体相形成成分としてのWおよび不可避不純物から成る組
成を有するW−Coを基本組成とするものである。
成分としてCo:1〜9重量%を含有し、さらに、必要
に応じこの結合相形成成分に加えて、Ni:0.5〜1
0重量%、さらには、Fe:0.5〜5重量%、さらに
は、Mo:0.5〜5重量%を含有し、且つ、残部が主
体相形成成分としてのWおよび不可避不純物から成る組
成を有するW−Coを基本組成とするものである。
【0013】
【実施例】上記範囲の含有量を有する、W−Co、W−
Co−Ni、W−Co−Ni−Fe、W−Co−Ni−
Mo、W−Co−Ni−Fe−Mo等は、例えば、原料
粉末として、1〜5μm程度の範囲内の所定の平均粒径
を有するW粉末、Co粉末、Ni粉末、Fe粉末、Mo
粉末等を用意し、これらをボールミルで約24時間混合
した後、1〜5トン/cm2の圧力でプレス成形し、得
られた成形体を、水素雰囲気中において1350〜15
50℃の雰囲気内の所定の温度で焼結することにより得
られる。さらに、必要に応じてこの焼結体を所望の形状
に加工し、図1の(a)〜(b)に示すような各種形状
の坩堝を製造することができる。
Co−Ni、W−Co−Ni−Fe、W−Co−Ni−
Mo、W−Co−Ni−Fe−Mo等は、例えば、原料
粉末として、1〜5μm程度の範囲内の所定の平均粒径
を有するW粉末、Co粉末、Ni粉末、Fe粉末、Mo
粉末等を用意し、これらをボールミルで約24時間混合
した後、1〜5トン/cm2の圧力でプレス成形し、得
られた成形体を、水素雰囲気中において1350〜15
50℃の雰囲気内の所定の温度で焼結することにより得
られる。さらに、必要に応じてこの焼結体を所望の形状
に加工し、図1の(a)〜(b)に示すような各種形状
の坩堝を製造することができる。
【0014】このように、W基焼結合金の結合相形成成
分中に、銅族元素と溶解し難く、坩堝に侵入した銅族元
素を坩堝外へ押し出す効果があるCoを添加することに
より、特に、銅族元素蒸発用の坩堝として使用した場
合、坩堝への銅族元素の侵入を防止することができるた
め、侵入した溶融銅の膨張による坩堝の割れや浸食を防
止でき、高寿命の坩堝を作製することができる。
分中に、銅族元素と溶解し難く、坩堝に侵入した銅族元
素を坩堝外へ押し出す効果があるCoを添加することに
より、特に、銅族元素蒸発用の坩堝として使用した場
合、坩堝への銅族元素の侵入を防止することができるた
め、侵入した溶融銅の膨張による坩堝の割れや浸食を防
止でき、高寿命の坩堝を作製することができる。
【0015】また、原料粉末に銅族元素であるCu、A
g、Au等を含有させると、坩堝の熱膨張係数を各銅族
元素に近づけることができるため、昇温中の各銅族元素
の膨張応力が軽減され、熱衝撃による坩堝の割れや欠け
を防止することができる。但し、Cu、Ag、Au等を
含有させることにより、その分、坩堝の融点が低下する
ため、溶湯温度を下げる必要がある。
g、Au等を含有させると、坩堝の熱膨張係数を各銅族
元素に近づけることができるため、昇温中の各銅族元素
の膨張応力が軽減され、熱衝撃による坩堝の割れや欠け
を防止することができる。但し、Cu、Ag、Au等を
含有させることにより、その分、坩堝の融点が低下する
ため、溶湯温度を下げる必要がある。
【0016】図1の坩堝を、例えば、ガラスやシリコン
ウエハーの基板上にイオンプレーティングや真空蒸着法
によって銅族元素の薄膜を形成するために使用する場合
は、坩堝内に蒸着させる銅族元素を入れて電子ビーム等
で加熱し、溶湯となって蒸発させて銅族元素を半導体基
板に蒸着させる。
ウエハーの基板上にイオンプレーティングや真空蒸着法
によって銅族元素の薄膜を形成するために使用する場合
は、坩堝内に蒸着させる銅族元素を入れて電子ビーム等
で加熱し、溶湯となって蒸発させて銅族元素を半導体基
板に蒸着させる。
【0017】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の坩堝はW
基焼結合金における結合相形成成分中にCoを添加して
構成したので、坩堝への銅族元素の侵入を抑制でき、溶
融銅の熱膨張による坩堝の割れが防止できる。従って、
銅族元素蒸発用の坩堝として使用した場合でも高寿命を
得ることができる。
基焼結合金における結合相形成成分中にCoを添加して
構成したので、坩堝への銅族元素の侵入を抑制でき、溶
融銅の熱膨張による坩堝の割れが防止できる。従って、
銅族元素蒸発用の坩堝として使用した場合でも高寿命を
得ることができる。
【図1】本発明に係る坩堝の例を示す外観図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 結合相形成成分として、Co:1〜9重
量%を含有し、且つ、残部が主体相形成成分としてのW
および不可避不純物から成る組成を有する焼結合金で構
成したことを特徴とする坩堝。 - 【請求項2】 前記結合相形成成分として、Co:1〜
9重量%およびNi:0.5〜10重量%を含有するこ
とを特徴とする請求項1に記載の坩堝。 - 【請求項3】 前記結合相形成成分として、Co:1〜
9重量%、Ni:0.5〜10重量%およびFe:0.
5〜5重量%を含有することを特徴とする請求項1また
は請求項2の何れかに記載の坩堝。 - 【請求項4】 前記結合相形成成分として、さらに、M
o:0.5〜5重量%を含有することを特徴とする請求
項1から請求項3までの何れかに記載の坩堝。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000100283A JP2001288528A (ja) | 2000-04-03 | 2000-04-03 | 坩 堝 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000100283A JP2001288528A (ja) | 2000-04-03 | 2000-04-03 | 坩 堝 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001288528A true JP2001288528A (ja) | 2001-10-19 |
Family
ID=18614507
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000100283A Pending JP2001288528A (ja) | 2000-04-03 | 2000-04-03 | 坩 堝 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001288528A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN112626405A (zh) * | 2020-12-03 | 2021-04-09 | 西南交通大学 | 一种用于析氢催化的高熵合金及其制备方法 |
CN117802378A (zh) * | 2024-02-29 | 2024-04-02 | 东北大学 | 一种具有多尺度结构的钨铜复合材料及其制备方法 |
-
2000
- 2000-04-03 JP JP2000100283A patent/JP2001288528A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN112626405A (zh) * | 2020-12-03 | 2021-04-09 | 西南交通大学 | 一种用于析氢催化的高熵合金及其制备方法 |
CN112626405B (zh) * | 2020-12-03 | 2022-04-29 | 西南交通大学 | 一种用于析氢催化的高熵合金及其制备方法 |
CN117802378A (zh) * | 2024-02-29 | 2024-04-02 | 东北大学 | 一种具有多尺度结构的钨铜复合材料及其制备方法 |
CN117802378B (zh) * | 2024-02-29 | 2024-04-30 | 东北大学 | 一种具有多尺度结构的钨铜复合材料及其制备方法 |
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