JP2001287244A - 二層成形品及びその成形方法 - Google Patents

二層成形品及びその成形方法

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JP2001287244A
JP2001287244A JP2000102919A JP2000102919A JP2001287244A JP 2001287244 A JP2001287244 A JP 2001287244A JP 2000102919 A JP2000102919 A JP 2000102919A JP 2000102919 A JP2000102919 A JP 2000102919A JP 2001287244 A JP2001287244 A JP 2001287244A
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Japan
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layer
resin
mold
thickness
molding
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JP2000102919A
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English (en)
Inventor
Masami Watanabe
正海 渡辺
Fumiyoshi Takano
文好 高野
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Asahi Kasei Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Corp
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Publication date
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  • Moulds For Moulding Plastics Or The Like (AREA)
  • Injection Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 意匠面を形成する肉厚が薄く且つ外観に優れ
た表面層と、リサイクル材を用いて形成された裏面層と
を一体成形してなる二層成形品を提供する。 【解決手段】 意匠面側内面に、熱伝導率が0.01c
al/cm・sec・℃以下の耐熱樹脂からなる厚さが
10μm以上の断熱層を被覆した射出成形用金型を用
い、裏面層樹脂を該金型内に射出した後、該金型を寸開
し、金型と裏面層樹脂との間に表面樹脂を射出し、成形
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面層(成形品の
意匠面を形成する層)と裏面層(成形品の裏面層)とを
一体成形してなる合成樹脂製の二層成形品とその成形方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、2種類の合成樹脂材料を異なる二
つのシリンダーで可塑化し、単一のスプルーまたはラン
ナーを介して両者を同時にまたは逐次金型内に射出充填
し、コア層と該コア層を被うスキン層とを有する二層成
形品を成形するサンドイッチ成形が知られている。この
サンドイッチ成形は、金型内に単一の溶融樹脂材料を射
出充填し、金型内で冷却・固化することによって成形品
を得ている通常の射出成形では対応しきれない多種多様
の機能を有する成形品を成形できる利点がある。
【0003】一方、近年環境問題が深刻になるに伴い、
合成樹脂成形品のリサイクルが重要な社会的課題となっ
てきている。
【0004】しかしながら、リサイクル材を用いて新た
に成形品を成形する場合、完全に除去できなかったゴミ
などの付着物や塗膜などの異物によって成形品表面に外
観上の不良が発生しやすい問題がある。この問題の解決
法の一つとして、特開平6−143278号公報には、
金型内面に断熱層を有する金型を用いたリサイクル材の
成形方法が提案されている。この方法を用いれば、塗膜
片などが成形品表面へ露出するのを防ぐことができる
が、新しい成形品の要求色に合わせるためには再塗装が
必要となったり、回収樹脂への着色工程が必要となると
いった問題が生じている。さらに、成形品表面に異物が
露出はしないが、表面から1μm以内の層に異物が存在
する場合があり、使用材料の色によっては、これが透け
て見えたり、強度的な問題を発生させる可能性もある。
【0005】また、リサイクル材を使用する場合の問題
を解決する別の手法として、リサイクル材をコア層とし
て使用する上記サンドイッチ成形が古くより提案され、
一部実用化に向けて検討が行われている。このサンドイ
ッチ成形では、スキン層を形成する合成樹脂材料にはバ
ージン材(リサイクル材ではない新しい材料)を用いる
ため、リサイクル材による外観不良の問題を解決でき、
さらにスキン層を構成するバージン材によって、強度、
物性的にもある程度安定した成形品を得ることが可能と
なる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら従来のサ
ンドイッチ成形による二層成形品では、コア層を外側の
スキン層樹脂で被覆するため、成形品自体の肉厚が厚く
なる傾向にある。特に、意匠面側のスキン層の肉厚は樹
脂の流動性が不足することから成形が困難であった。ま
た、樹脂の流動性を補うために、多点ゲートで成形する
方法も考えられるが、その分、ウエルドラインが多発
し、外観に優れた成形品を得ることが困難であった。そ
のため、意匠面側のスキン層の肉厚が3mm以下で外観
が良好な成形品が得られていないのが現状であった。
【0007】この問題はリサイクル材を用いてコア層を
形成する場合についても同様である。上記したように、
サンドイッチ成形ではスキン層で成形品全面を覆うた
め、且つスキン層の肉厚制御が困難なため、コア層樹脂
にリサイクル材を用いる場合、該コア層樹脂が成形品全
体に占める割合は20〜30容量%程度が限界であり、
リサイクル材の利用率を大きくできない問題がある。
【0008】本発明は、このような従来の問題点に鑑み
てなされたもので、その課題は、意匠面側に、肉厚が薄
く且つ良好な外観の樹脂層を有する二層成形品の成形方
法を提供することにある。特に、本発明は、上記意匠面
側の樹脂層を薄くすることで、裏面側の樹脂層の占有割
合を増やし、該裏面側樹脂層をリサイクル材で構成した
場合のリサイクル材の利用率を大きく改善することを第
2の課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】従来の射出成形において
薄いスキン層を形成しにくく、コア層の占有割合を大き
くできない原因の一つとして、スキン層を形成する溶融
樹脂が金型内面に接触すると同時に急速に冷却固化する
ため、スキン層の肉厚を薄くするのに限界があることが
考えられる。本発明は、本発明者等の上記知見に基づい
てなされたものである。
【0010】即ち、本発明の第一は、成形品の意匠面を
形成する表面層と該表面層と一体成形された裏面層とを
有し、表面層の肉厚が3mm以下である合成樹脂製の二
層成形品の成形方法であって、少なくとも意匠面側内面
が熱伝導率が0.42W/m・℃以下の耐熱樹脂からな
る厚さ10μm以上の断熱層で被覆された射出成形用金
型を用い、該金型内に裏面層樹脂を射出後、該金型を寸
開して表面層樹脂を射出し、表面層と裏面層からなる二
層成形品を成形することを特徴とする二層成形品の成形
方法である。
【0011】上記本発明の成形方法は、裏面層樹脂とし
てガラス繊維補強樹脂または補強ゴム添加樹脂を用いる
こと、裏面層樹脂としてリサイクル材を用いること、金
型の断熱層の厚さが30μm以上であり、意匠面側の表
面層を1mm以下の肉厚に成形すること、をその好まし
い態様として含むものである。
【0012】また、本発明の第二は、成形品の意匠面を
形成する表面層と該表面層と一体成形された裏面層とを
有する合成樹脂製の二層成形品であり、表面層の肉厚が
3mm以下であり、上記本発明第一の成形方法により成
形されたことを特徴とする二層成形品である。
【0013】上記本発明は、裏面層がガラス繊維補強樹
脂または補強ゴム添加樹脂を用いて形成されているこ
と、裏面層がリサイクル材を用いて形成されているこ
と、表面層の厚さが1mm以下であること、をその好ま
しい態様として含むものである。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明では、二層成形品の成形に
おいて、金型内面の少なくとも意匠面側に熱伝導率が
0.42W/m・℃以下の耐熱樹脂からなる厚さ10μ
m以上の断熱層を有する射出成形用金型を用いる。
【0015】金型本体の構成材料の具体例としては、鉄
または鉄を50重量%以上含有する鋼材、アルミニウム
またはアルミニウムを50重量%以上含有する合金、亜
鉛合金、銅合金、例えばベリリウム銅合金等、一般に合
成樹脂の成形用金型に使用されている金属を挙げること
ができる。特に鋼材が最も良好に使用できる。
【0016】金型本体の内面は、後述する断熱層との密
着性を高めるため、クロムメッキ及び/またはニッケル
メッキで被覆されていることが好ましい。
【0017】本発明の成形方法においては、用いる金型
の少なくとも意匠面側内面に断熱層が設けられているた
め、金型内に射出された溶融樹脂が該断熱層に接触する
と、その断熱作用により通常の金型に比べて冷却固化が
遅れ、流動状態が長く保たれる。結果として、表面層の
形成速度が遅くなるため、該表面層をより薄く制御する
ことが可能となる。また、リサイクル材で裏面層を形成
する場合のリサイクル材の利用率アップが可能となる。
さらには、通常の射出成形で問題となるウエルドライン
等による外観不良等をも同時に解消できる。また、表面
層樹脂と裏面層樹脂との冷却速度の差異による成形品反
りが大幅に低減される。
【0018】前記のように、断熱層は、熱伝導率が0.
42W/m・℃以下で厚みが10μm以上である。断熱
層の熱伝導率が0.42W/m・℃を超える場合、或い
は、厚みが10μm未満である場合には、必要な断熱効
果が得にくい。表面層の肉厚を1mm以下とごく薄く形
成する場合には、かかる断熱層の厚さは30μm以上と
することが望ましい。また、断熱層が厚すぎると成形品
の冷却効率が悪くなって成形効率が低下するため、断熱
効果と成形品の冷却効率の観点から、好ましい断熱層の
厚さは70〜1000μmであり、最適には100〜2
00μmである。
【0019】断熱層を構成する耐熱樹脂とは、ガラス転
移温度が150℃以上の樹脂である。具体例としては、
主鎖に芳香族環を有するポリイミド、ポリスルホン、ポ
リエーテルスルホン、ポリアリルスルホン、ポリアリレ
ート、ポリフェニレンエーテル等の芳香族系重合体やエ
ポキシ系樹脂を挙げることができる。断熱層を構成する
耐熱樹脂は、耐久性を高めるため、ガラス転移温度が1
90℃以上の樹脂であることが好ましい。
【0020】本発明で用いる射出成形用金型を容易に得
られるようにする上で、耐熱樹脂の溶液または前駆体溶
液を金型本体の内面に塗布することで断熱層を形成でき
ることが好ましい。従って、耐熱樹脂としては、溶液と
なる非結晶性芳香族重合体、或いはポリアミック酸等の
前駆体溶液から構成されるポリイミドが良好に使用され
る。ここで述べるポリイミドとは、ピロメリット酸(P
MDA)系ポリイミド、ビフェニルテトラカルボン酸系
ポリイミド、トリメリット酸を用いたポリアミドイミ
ド、ビスマレイミド系樹脂(ビスマレイミド/トリイジ
ン系等)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸系ポリイミ
ド、アセチレン末端ポリイミド、熱可塑性ポリイミド等
である。
【0021】特に好適な耐熱樹脂としては、直鎖型熱硬
化性ポリイミドが挙げられる。直鎖型熱硬化性ポリイミ
ドの前駆体溶液を金型本体の内面に塗布し加熱すること
で容易に直鎖型熱硬化性ポリイミドの断熱層を形成する
ことができる。この前駆体溶液の塗布に際しては、粘
度、表面張力、チキソトロピー性等を調整するための添
加物を加えたり、金型本体との密着性を高めるための添
加剤を加えることができる。断熱層を形成するのに適し
た直鎖型熱硬化性ポリイミドの前駆体溶液の具体例とし
ては、例えば東レ社製「トレニース#3000」を挙げ
ることができる。
【0022】断熱層に好適なポリイミド以外の芳香族系
重合体としては、ポリスルホン、ポリエーテルスルホ
ン、ポリアリルスルホン、ポリアリレート、ポリフェニ
レンエーテル、ポリベンゾイミダゾール等を挙げること
ができる。また、これらの他、ポリフェニル、ポリ−m
−フェノキシレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリ
ベンジル、ポリフェネチル、ポリ−p−キシレン、ポリ
テレフタールアミド、ポリスルファニルジベンザミド、
ポリヒドラジド、ポリオキサミド、フェノールフタレイ
ンポリマー、ハイドロキノンポリエステル、ポリヒドロ
キシ安息香酸、ポリベンゾチアゾール、ポリキノキザリ
ン、ポリフェニレントリアゾール、ポリジチアゾール、
ポリオキサジアゾール、ポリアミジン、パイロライズド
ポリアクリロニトリル、ポリ(ビニルイソシアネート)
ラダーポリマー、エポキシ系樹脂等から選択することも
できる。
【0023】これらの重合体について、溶剤への溶解を
良くする目的で分子量を小さくしたり、共重合体とする
こともできる。
【0024】金型内面の少なくとも意匠面側を被覆する
断熱層と金型との密着力は強いほど望ましい。合成樹脂
材料の射出成形時に簡単に剥離しないようにする上で、
金型内面に垂直方向に20mm/分の速度で断熱層を引
っ張った時の剥離強度が200g/10mm幅以上の密
着力を有することが好ましく、より好ましくは400g
/10mm幅以上であり、最適には1000g/10m
m幅以上である。
【0025】金型本体と断熱層間の密着力を上げるため
に、金型本体側の金属面と断熱層の間にプライマー層を
介在させることが好ましい。このプライマー層として
は、金型本体側の金属面と断熱層の両者に対して密着力
が優れ、しかも耐熱性に優れた材料が選択される。断熱
層として熱硬化性ポリイミドを用いる場合、金型本体側
の金属面とこの熱硬化性ポリイミドの両者に対して密着
力に優れ、しかも耐熱性に優れることから、熱可塑性ポ
リイミドや加熱によって軟化する熱硬化性ポリイミド等
が好ましい。
【0026】上記プライマー層の付設は、熱可塑性ポリ
イミド或いは熱硬化性ポリイミド前駆体溶液を金型本体
内面に塗布し、加熱してポリイミド層を形成することで
行うことができる。プライマー層の厚みは0.5〜20
μmであることが好ましく、特に1〜10μmが適して
いる。プライマー層が薄すぎると上記密着力の向上が小
さく、また過剰に厚くすると、該プライマー層の耐熱温
度が断熱層の耐熱温度より低い場合は、断熱層及びプラ
イマー層全体としての耐熱性が低下しやすくなる。プラ
イマー層を形成するのに適したポリイミド前駆体として
は、三井化学社製「LARC−TPI」や、ユニチカ製
「Uイミド」等を挙げることができる。
【0027】断熱層の表面には、断熱層の保護並びに表
面平滑性を向上させるために、メッキ処理を施したり、
高硬度のトップコート層を設けておくこともできる。
【0028】本発明の二層成形品は、表面層の肉厚が3
mm以下の成形品であり、好ましくは肉厚が1mm以
下、望ましくは0.3〜1mmとなるように成形する。
尚、当該肉厚には、リブやボスは含まれていない。ま
た、裏面層と表面層を合わせた成形品の肉厚としては、
一般的な樹脂成形品の肉厚である1〜2.5mmのもの
を、本発明では良好に成形することができるが、本発明
はこれに限定されるものではなく、厚い裏面層とごく薄
い表面層を有し、成形品の肉厚としてはかなり厚いもの
であっても好ましく成形することができる。
【0029】本発明において、二層成形品の成形に用い
る裏面層樹脂、表面層樹脂とは、一般の熱可塑性合成樹
脂成形材料をいう。例えば、ポリスチレンや、ハイイン
パクトポリスチレン(HIPS)、ミディアムインパク
トポリスチレンのようなゴム補強スチレン系樹脂、スチ
レン−アクリロニトリル共重合体(SAN樹脂)、アク
リロニトリル−ブチルアクリレートラバー−スチレン共
重合体(AAS樹脂)、アクリロニトリル−エチレンプ
ロピルラバー−スチレン共重合体(AES)、アクリロ
ニトリル−塩化ポリエチレン−スチレン共重合体(AC
S)、変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE)、A
BS樹脂(例えば、アクリロニトリル−ブタジエン−ス
チレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチ
レン−α−メチルスチレン共重合体、アクリロニトリル
−メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合
体)等のスチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレート
(PMMA)等のアクリル系樹脂、低密度ポリエチレン
(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリ
プロピレン(PP)等のオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビ
ニル、ポリ塩化ビニリデン等の塩化ビニル系樹脂、エチ
レン−塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−塩
化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂、ポリエチレン
テレフタレート(PETP、PET)、ポリブチレンテ
レフタレート(PBTP、PBT)等のポリエステル系
樹脂、ポリカーボネート(PC)、変性ポリカーボネー
ト等のポリカーボネート系樹脂、ポリアミド66、ポリ
アミド6、ポリアミド46等のポリアミド系樹脂(P
A)、ポリオキシメチレンコポリマー、ポリオキシメチ
レンホモポリマー等のポリアセタール(POM)樹脂、
その他のエンジニアリング樹脂、スーパーエンジニアリ
ング樹脂、例えば、ポリエーテルスルホン(PES)、
ポリエーテルイミド(PEI)、熱可塑性ポリイミド
(TPI)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエー
テルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンサル
ファイド(PSU)等の成形材料他、セルロースアセテ
ート(CA)、セルロースアセテートブチレート(CA
B)、エチルセルロース(EC)等のセルロース誘導
体、液晶ポリマー、液晶アロマチックポリエステル等の
液晶系ポリマー、熱可塑性ポリウレタンエラストマー
(TPU)、熱可塑性スチレンブタジエンエラストマー
(SBC)、熱可塑性ポリオレフィンエラストマー(T
PO)、熱可塑性ポリエステルエラストマー(TPE
E)、熱可塑性塩化ビニルエラストマー(TPVC)、
熱可塑性ポリアミドエラストマー(TPAE)等の熱可
塑性エラストマー等の成形材料を挙げることができる。
【0030】本発明で用いる裏面層樹脂、表面層樹脂
は、上記熱可塑性合成樹脂成形材料の一種もしくはそれ
以上のブレンド体や2種類以上の熱可塑性合成樹脂成形
材料からなるポリマーアロイ材料でもよく、さらには充
填材及び/または添加材等を含有していても良い。
【0031】本発明においては、裏面層樹脂としてガラ
ス繊維やゴム等の補強材を添加した樹脂が好ましく用い
られ、また、裏面層をリサイクル材を用いて形成するこ
とが好ましく、特に、リサイクル材である合成樹脂にガ
ラス繊維やゴム等の補強材を添加して用いることが好ま
しい。
【0032】本発明では、上記のような合成樹脂成形材
料から裏面層樹脂、表面層樹脂をそれぞれ選択し、前記
した断熱層を有する金型を用い、2本のシリンダーを有
する射出成形機を用いて、それぞれのシリンダーに裏面
層樹脂と表面層樹脂を分けて供給し、先ず金型内に裏面
層樹脂を射出した後、意匠面側内面と裏面層樹脂との間
に間隙が形成されるように金型を寸開し、金型と裏面層
樹脂との間に表面層樹脂を射出し、二層成形品を成形す
る。2本のシリンダーは、ノズル先端で合流するように
一体化されたものであっても、金型に別々に接続された
ものであっても良い。
【0033】前記した断熱層を有する金型において、該
断熱層が金型の内面全面に被覆されている場合には、先
に表面層樹脂を射出し、該金型を寸開して裏面層樹脂を
射出して二層成形品を形成することも可能である。しか
しながら、本発明の如く、裏面層樹脂を射出した後に金
型を寸開して表面層樹脂を射出する場合には、裏面層の
厚さを適宜選択でき、厚い裏面層を形成して、裏面層樹
脂にリサイクル材を用いた場合の再利用率を高めること
もできる。
【0034】本発明においては、少なくとも意匠面側内
面に断熱層を被覆した金型を用いているため、金型を寸
開した際の金型と裏面層樹脂との間隙が非常に狭いもの
であっても、断熱層の断熱効果によって、表面層樹脂の
流動性が大幅に低下することなく流動するため、金型端
部まで良好にゆきわたり、肉厚が薄く、金型表面状態が
良好に転写されて外観に優れ、フローマークやウエルド
ラインのない表面層が得られる。よって、裏面層をリサ
イクル材を用いて形成する場合において、表面層の占有
割合を低減してリサイクル材の再利用率を上げることが
でき、具体的には、50容量%以上がリサイクル材で構
成された二層成形品を成形することができる。
【0035】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0036】(実施例1)以下の金型と成形材料とを用
いて成形品を成形した。
【0037】(1)金型 成形品形状(金型キャビティ形状):210×300m
m、側壁高さ20mm、成形品肉厚2.0mmの箱形形
状成形品。
【0038】金型本体:鋼材(S55C)製金型キャ
ビ、コア表面を平滑仕上げし、さらに内面に2μm厚の
鏡面状硬質クロムメッキ処理を施した。
【0039】プライマー処理:上記金型内面にポリイミ
ドコーティング剤(ユニチカ製「Uイミド・タイプ
C」)を約2μmの厚みで塗布し加熱硬化させた。
【0040】断熱層:直鎖型ポリイミド前駆体(東レ製
ポリイミドワニス「トレニース#3000」、熱伝導
率:0.28W/m・℃)を塗布して160℃に加熱す
る操作を2度行った後、290℃に加熱してイミド化
し、ポリイミドの断熱層を40μmの厚みで鏡面状に形
成した。
【0041】トップコート層:ポリシロキサンとエポキ
シ樹脂を主成分とする溶液(東芝シリコーン製「YP−
9327」)を塗布し、150℃で加熱硬化して鏡面状
に研磨した。
【0042】(2)成形材料 裏面層樹脂/表面層樹脂(厚さ1.2mm/0.8m
m) ABS(旭化成工業製「スタイラックABS−19
1」)/ABS(旭化成工業製「スタイラックABS−
191F」)、HIPS/HIPS、PP/PP、PA
/PA(各組み合わせにおいて、表面層樹脂と裏面層樹
脂とはモノマー成分は同じであるが、物性の異なるもの
を用いた)。
【0043】上記した組み合わせでそれぞれ、表面層樹
脂、裏面層樹脂を別途溶融し、ABSは240℃に、H
IPSは220℃に、PPは230℃に、PAは270
℃にそれぞれ設定したシリンダーに溶融充填し、金型温
度60℃、射出速度0.2秒にて金型に射出した。
【0044】射出は裏面層樹脂を金型内に充填後、0.
1秒後に裏面層樹脂と金型の意匠面側内面との間隙が
0.8mmとなるように金型を寸開し、表面層樹脂を射
出充填し、成形した。得られた成形品の意匠面を目視で
観察し、光沢度をJIS K7105(反射角度60
°)で測定した。
【0045】その結果、ABS、HIPS、PP、PA
のいずれの樹脂を用いた成形品もウエルドラインやフロ
ーマークがなく、意匠面の外観に優れた成形品であっ
た。また、光沢度は100%であった。
【0046】(比較例1)金型として実施例1と同寸法
の成形品になるような金型本体で且つ金型表面は2μm
厚のクロムメッキ処理を施しただけで断熱層、トップコ
ート層を設けていない金型を用い、金型温度を70°に
設定し、実施例1で用いたABS/ABS及びHIPS
/HIPSの組み合わせを用い、表面層の厚さを0.8
mm、1.0mm及び1.5mmとした(従って裏面層
の厚さはそれぞれ1.2mm、1.0mm、0.5m
m)以外は実施例1と同様にして二層成形品を成形し
た。
【0047】得られた成形品は、表面層の厚さを0.8
mmとした場合は該表面層がショートショットになり、
表面層の厚さが1.0mmの成形品の光沢度はABS/
ABSが80%、HIPS/HIPSが70%、1.5
mmの成形品はABS/ABSが90%、HIPS/H
IPSが80%であった。また、成形品はいずれもウエ
ルドライン等の外観不良が発生し、製品価値の低いもの
しか得られなかった。
【0048】(実施例2)裏面層樹脂としてABS樹脂
100%のOA部品のリサイクル材にガラス繊維を20
重量%添加した樹脂組成物を用い、表面層樹脂としてA
BS(旭化成工業製「スタイラックABS−191
F」)を用い、表面層の厚さを0.9mm(裏面層の厚
さは1.1mm)とした以外は実施例1と同様にして二
層成形品を成形した。
【0049】得られた成形品の光沢度は100%で、意
匠面にウエルドラインやフローマーク等のない外観に優
れた成形品であった。
【0050】(実施例3)裏面層樹脂として、PS系リ
サイクル材100重量部にガラス繊維を10重量部添加
したものと、SB(スチレン−ブタジエン)ブロックポ
リマー(旭化成工業製「タフプレンR126」)を5重
量部添加したものを用い、表面層樹脂としてはHIPS
(A&Mポリスチレン製「EXG11」)を用いた以外
は、実施例2と全く同様にして二層成形品を得た。
【0051】得られた成形品の光沢度は100%で、意
匠面にウエルドラインやフローマーク等のない外観に優
れた成形品であった。これらの成形品における再利用率
は60容量%であった。
【0052】(実施例4)金型の断熱層の厚さを0.1
mmとし、裏面層樹脂及び表面層樹脂としてABS(旭
化成工業製「スタイラックABS−191F」)を用
い、意匠面における表面層の厚さを0.5mm(裏面層
の厚さは1.5mm)とした以外は実施例1と全く同様
にして二層成形品を得た。
【0053】得られた成形品の光沢度は100%で、意
匠面にウエルドラインやフローマーク等のない外観に優
れた成形品であった。
【0054】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
意匠面にフローマークやウエルドラインといった不都合
のない外観に優れた二層成形品が容易に得られる。しか
も、表面層を薄く成形することができるため、リサイク
ル材を裏面層として用いてその利用率を向上することが
できる。そのため、外観に優れ、商品価値が極めて高
く、しかも環境に優しい成形品を提供することが可能と
なるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B29L 9:00 B29L 9:00 Fターム(参考) 4F202 AA11 AA13 AA50 AB15 AB19 AB25 AG03 AJ02 AJ03 AR12 AR20 CA11 CB01 CB26 CD30 CK11 4F206 AA11 AA13 AA50 AB15 AB19 AB25 AG03 AJ02 AJ03 AR12 JA07 JB24 JF02 JL02 JM04 JM06 JN12 JN35 JQ81

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 成形品の意匠面を形成する表面層と該表
    面層と一体成形された裏面層とを有し、表面層の肉厚が
    3mm以下である合成樹脂製の二層成形品の成形方法で
    あって、少なくとも意匠面側内面が熱伝導率が0.42
    W/m・℃以下の耐熱樹脂からなる厚さ10μm以上の
    断熱層で被覆された射出成形用金型を用い、該金型内に
    裏面層樹脂を射出後、該金型を寸開して表面層樹脂を射
    出して、裏面層と表面層を有する二層成形品を成形する
    ことを特徴とする二層成形品の成形方法。
  2. 【請求項2】 裏面層樹脂としてガラス繊維補強樹脂ま
    たは補強ゴム添加樹脂を用いる請求項1に記載の二層成
    形品の成形方法。
  3. 【請求項3】 裏面層樹脂としてリサイクル材を用いる
    請求項1または2に記載の二層成形品の成形方法。
  4. 【請求項4】 金型の断熱層の厚さが30μm以上であ
    り、表面層の肉厚を1mm以下に成形する請求項1〜3
    のいずれかに記載の二層成形品の成形方法。
  5. 【請求項5】 成形品の意匠面を形成する表面層と該表
    面層と一体成形された裏面層とを有する合成樹脂製の二
    層成形品であり、表面層の肉厚が3mm以下であり、請
    求項1〜4のいずれかに記載の二層成形品の成形方法に
    より成形されたことを特徴とする二層成形品。
  6. 【請求項6】 裏面層がガラス繊維補強樹脂または補強
    ゴム添加樹脂を用いて形成されている請求項5に記載の
    二層成形品。
  7. 【請求項7】 裏面層がリサイクル材を用いて形成され
    ている請求項5または6に記載の二層成形品。
  8. 【請求項8】 表面層の厚さが1mm以下である請求項
    5〜7のいずれかに記載の二層成形品。
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JP2011011380A (ja) * 2009-06-30 2011-01-20 Polyplastics Co 射出成形品の製造方法

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