JPH10175222A - 断熱層被覆金型の製法及び該金型を用いた合成樹脂の成形法 - Google Patents

断熱層被覆金型の製法及び該金型を用いた合成樹脂の成形法

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JPH10175222A
JPH10175222A JP34120696A JP34120696A JPH10175222A JP H10175222 A JPH10175222 A JP H10175222A JP 34120696 A JP34120696 A JP 34120696A JP 34120696 A JP34120696 A JP 34120696A JP H10175222 A JPH10175222 A JP H10175222A
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mold
heat
insulating layer
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heat insulating
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JP34120696A
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Inventor
Hiroshi Kataoka
紘 片岡
Isao Umei
勇雄 梅井
Motoo Noguchi
始男 野口
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金型の型表面に均一な厚みの断熱層を有する
断熱層被覆金型の製法を提供する。 【解決手段】 金属からなる主金型の型キャビティを構
成する型表面に、断熱材溶液及び/又は断熱材前駆体溶
液を塗布して断熱層を被覆する断熱層被覆金型の製造方
法において、40℃以上で、且つ上記溶液を構成する主
溶剤の沸点から20℃を減じた温度以下に主金型を加熱
した状態で上記溶液を塗布して所定厚みの断熱層を形成
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は合成樹脂成形用の金
型の製法に関する。更に詳しくは、合成樹脂の射出成
形、ブロー成形、真空成形、圧縮成形等に用いる断熱層
被覆金型の製法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、合成樹脂の射出成形品やブロー成
形品等に塗装等の後加工を省略する要求が強くなってき
た。製造コストの低下、塗装時の溶剤蒸発等による環境
破壊の低減、成形品のリサイクルを容易にする等のた
め、塗装を無くしたいという希望が極めて強い。
【0003】熱可塑性樹脂を金型キャビティへ射出して
成形するに際し、成形品に型表面の形状状態の付与にお
ける再現性を良くし、成形品の外観を良くするには、通
常、樹脂温度や金型温度を高くしたり、射出圧力を高く
する等の成形条件を選ぶことによりある程度達成でき
る。これらの要因の中で最も大きな影響があるのは金型
温度であり、金型温度を高くする程好ましい。しかし、
金型温度を高くすると、可塑化された樹脂の冷却固化に
必要な冷却時間が長くなり成形能率が下がることから、
金型温度を高くすることなく型表面の再現性を良くし、
又金型温度を高くしても必要な冷却時間が長くならない
方法が要求されている。金型に加熱用、冷却用の孔をそ
れぞれとりつけておき交互に熱媒、冷媒を流して金型の
加熱、冷却を繰り返す方法も行われているが、この方法
は熱の消費量も多く、冷却時間が長くなる。
【0004】金型キャビティを形成する型表面を熱伝導
率の小さい物質、すなわち断熱層で被覆した金型につい
てはWO 93/06980等で開示されており、更
に、断熱材としてポリイミド前駆体溶液を型表面に塗布
し、次いでイミド化して断熱層を形成することが示され
ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】生産性が良く、型表面
再現性が良い成形品を成形する方法として、断熱層被覆
金型を用いて成形する方法は最も良好な方法である。金
型の表面に断熱層を被覆する方法は各種あるが、断熱材
を型表面に塗布する方法は良好な方法である。しかしな
がら、断熱材溶液などを全型表面に均一に塗布すること
は極めて困難であった。例えば、主金型の固定側を1個
以上の金型入れ子で構成する場合、各金型入れ子は別々
に断熱材を塗布して断熱層を形成した後、金型に組み立
てる方法がとられる。その場合、各金型入れ子間で、又
は金型入れ子と固定側主金型の間で、合わせ部に段差が
生じ、該金型で射出成形を行うと、良好な成形品が得ら
れないという問題がある。即ち、各金型入れ子の型面端
には断熱材塗料の表面張力の作用で均一厚みに断熱層
が被覆されず、型面端部の断熱層厚みが薄くなり、これ
を解決することが要求されている。
【0006】この問題点を図1と図2を用いて説明す
る。図1は金型入れ子1の型表面2に断熱層3を均一に
被覆した本発明が目的とする断熱層被覆金型である。図
2は金型入れ子1の型表面2に断熱材を塗布し、加熱し
て断熱層3を形成すると、断熱材溶液等の表面張力等の
作用により金型入れ子端部4に薄肉の断熱層5が発生
し、場合により型面端部より若干内部に入った位置に厚
肉の断熱層6が発生する(2−1)。この断熱層を切削
及び/又は研磨して平滑状にすると、型面端部の断熱層
5が薄肉の断熱層になり(2−2)、図1に示す断熱層
被覆金型は得られない。この断熱層被覆金型入れ子を射
出成形に使用すると、型面端部の断熱層5の部分の成形
品表面が膨れた形状になる。断熱材を通常の方法で塗布
することにより断熱層を形成すればこの不良が発生する
ことから、その解決が要求されている。
【0007】
【課題を解決しようとする手段】本発明者らはこれらの
問題点を解決するため、断熱層で被覆した金型の製法に
ついて検討を行い、本発明に至った。すなわち本発明は
以下のとおりである。 1. 金属からなる主金型の型キャビティを構成する型
表面に、断熱材溶液及び/又は断熱材前駆体溶液を塗布
して断熱層を被覆する断熱層被覆金型の製造方法におい
て、40℃以上で、且つ上記溶液を構成する主溶剤の沸
点から20℃を減じた温度以下に主金型を加熱した状態
で上記溶液を塗布することを特徴とする断熱層被覆金型
の製法。 2. 金属からなる主金型の型キャビティを構成する型
表面に、断熱材溶液及び/又は断熱材前駆体溶液を塗布
して断熱層を被覆する断熱層被覆金型の製造方法におい
て、40℃以上で、且つ上記溶液を構成する主溶剤の沸
点から20℃を減じた温度以下に主金型を加熱した状態
で塗布することと、非加熱状態で塗布することを併用す
ることを特徴とする断熱層被覆金型の製法。 3. 主金型の加熱を45℃以上で、且つ主溶剤の沸点
から30℃を減じた温度以下にした状態で塗布する上記
1又は2の断熱層被覆金型の製法。 4. 上記1、2又は3の断熱層被覆金型の製法によっ
て形成された断熱層を切削及び/又は研磨により、型面
端部まで所定の均一厚みにする断熱層被覆金型の製法。 5. 40℃以上で、且つ上記溶液を構成する主溶剤の
沸点から20℃を減じた温度以下に主金型を加熱した状
態で断熱材溶液及び/又は断熱材前駆体溶液を塗布する
ことで、型表面の端部付近に厚肉の断熱層を形成し、次
いで上記4の断熱層被覆金型の製法で型面端部まで所定
の均一厚みの断熱層を有する金型を製造する断熱層被覆
金型の製法。 6. 溶液を塗布中、及び/又は塗布後の主金型を、主
金型に接する塗膜の裏面側温度が塗膜の表面側温度と同
等又は高く保持するように加熱する上記1、2、3、4
又は5の断熱層被覆金型の製法。 7. 主金型を加熱ブロックの上にのせて加熱する上記
1、2、3、4、5又は6の断熱層被覆金型の製法。 8. 上記1、2、3、4、5、6又は7の断熱層被覆
金型の製法によって形成された断熱層上に該断熱層厚み
の1/3以下の薄肉の金属層を被覆する断熱層被覆金型
の製法。 9. 上記1、2、3、4、5、6、7又は8の断熱層
被覆金型の製法で製造された金型を用いて合成樹脂を成
形する合成樹脂の成形法。
【0008】以下に本発明について詳しく説明する。本
発明の金型を用いて成形される合成樹脂は一般の射出成
形やブロー成形に使用できる熱可塑性樹脂であり、ポリ
エチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリス
チレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、ゴム強
化ポリスチレン、ABS樹脂等のスチレン系樹脂、ポリ
アミド、ポリエステル、ポリカーボネート、メタクリル
樹脂、塩化ビニール樹脂等である。合成樹脂には1〜6
重量%の樹脂強化物が含有させることもできる。樹脂
強化物とは各種ゴム、ガラス繊維、カーボン繊維等の各
種繊維、タルク、炭酸カルシウム、カオリン等の無機粉
末等である。特に良好に使用できるのはゴム強化合成樹
脂であり、その中で更に良好に使用できるのはゴム強化
スチレン系樹脂である。
【0009】本発明の金型で成形される良好な成形品は
弱電機器、電子機器、事務機器等のハウジング、各種自
動車部品、各種日用品、各種工業部品等の一般に使用さ
れる合成樹脂射出成形品である。特に好ましくは、ウエ
ルドラインが多い電子機器、電気機器、事務機器のハウ
ジングで、特に抜き勾配が小さいためにに割り型を使用
する筺型ハウジングである。断熱層被覆金型では一般の
金型に比較して抜き勾配を大きくする必要がある。しか
し、機能上あるいはデザイン上抜き勾配を大きくできな
い場合が多く、この様な筺型ハウジングを多点ゲートで
射出成形する場合に良好に使用できる。更に、本発明の
金型で成形される良好な成形品には外観が要求される各
種ブロー成形品も含まれる。
【0010】本発明に述べる金属からなる主金型とは、
鉄又は鉄を主成分とする鋼材、アルミニウム、又はアル
ミニウムを主成分とする合金、ZAS等の亜鉛合金、ベ
リリウム−銅合金等の一般に合成樹脂の成形に使用され
ている金属金型を包含する。特に鋼材から成る金型が良
好に使用できる。これらの金属からなる主金型の型キャ
ビティを構成する型表面は硬質クロムやニッケル等でメ
ッキされていることが好ましい。
【0011】本発明で断熱層に用いる断熱材とは、成形
される合成樹脂の成形温度より高い軟化温度を有する重
合体であり、好ましくはガラス転移温度が140℃以
上、より好ましくは160℃以上、特に好ましくは20
0℃以上、及び/又は融点が200℃以上、更に好まし
くは250℃以上の耐熱性重合体である。重合体の熱伝
導率は一般に0.0001〜0.002cal/cm・
sec・℃であり、金属より大幅に小さい。又、重合体
の破断伸度は5%以上、好ましくは10%以上の靭性の
ある重合体が好ましい。破断伸度の測定法はASTMD
638に準じて行い、測定時の引っ張り速度は5mm/
分である。
【0012】本発明で断熱材として良好に使用できる重
合体は、主鎖に芳香環を有する耐熱性重合体であり、例
えば、有機溶剤に溶解する各種非結晶性耐熱重合体、各
種ポリイミド等が良好に使用できる。非結晶性耐熱性重
合体としては、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、
ポリエーテルイミド等が良好に使用でき、特にポリエー
テルスルホンは良好に使用できる。これらの非結晶性耐
熱性重合体には必要に応じてカーボン繊維等の充填材を
配合することにより熱膨張係数を低下させて本発明の断
熱材として使用することもできる。ポリイミドは各種あ
るが、直鎖型高分子量ポリイミド、ポリアミドイミド、
一部架橋型のポリイミドが良好に使用できる。一般に直
鎖型高分子量ポリイミドは破断伸度が大きく強靭であ
り、耐久性に優れており特に良好に使用できる。
【0013】更に、本発明では熱膨張係数が小さいエポ
キシ樹脂、すなわち熱膨張係数が小さくなるエポキシ樹
脂と硬化剤を組み合わせたエポキシ樹脂硬化物、あるい
は各種充填材を適量配合したエポキシ樹脂等も使用でき
る。本発明では、エポキシ樹脂硬化物もエポキシ樹脂と
略称する。また、エポキシ樹脂あるいは充填材配合エポ
キシ樹脂に、更にナイロン等の強靭な熱可塑性樹脂、ゴ
ム等の強靭性を与える各種配合物を加えて強靭性を与え
た配合エポキシ樹脂は良好に使用できる。特に、エポキ
シ樹脂にポリエーテルスルホンやポリエーテルイミドを
配合して硬化したポリマーアロイは破断伸度が大きくな
り、強靭性に優れ良好に使用できる。
【0014】本発明の断熱層被覆金型は、主金型の型表
面に断熱層を被覆し、更にその表面に断熱層の厚みの1
/3以下、好ましくは1/5以下の薄肉金属層を被覆し
て使用することが好ましい。射出成形やブロー成形等で
は成形される加熱樹脂に接触する型表面は各成形毎に厳
しい冷熱サイクルにさらされる。また、従来技術では、
メッキ等で断熱層表面に形成される金属層は一般に重合
体からなる断熱層より熱膨張係数が小さく、断熱層と金
属層の熱膨張係数が大きく異なるため、その界面で応力
が繰り返し発生し、その界面で剥離が発生する。断熱層
と接する主金型及び/又は金属層の熱膨張係数と断熱層
の熱膨張係数との差を小さくすることにより、剥離を引
き起こす応力を低減することができる。本発明におい
て、断熱層と接する主金型及び/又は金属層の熱膨張係
数と断熱層の熱膨張係数の差は4×10-5/℃未満であ
ることが好ましく、更に好ましくは3×10-5/℃未満
である。一般に金属は重合体より熱膨張係数が小さく、
従って、熱膨張係数が小さい耐熱性重合体を選択するこ
とが好ましい。
【0015】ここに述べる熱膨張係数は線膨張係数であ
る。断熱層の熱膨張係数は断熱層の面方向の線膨張係数
であり、JIS K7197−1991に示される方法
で測定し、50℃と250℃の温度間の平均値、断熱層
のガラス転移温度が250℃以下の場合には、50℃と
該ガラス転移温度間の平均値で示す。すなわち、平滑な
平板状金属の上に断熱層を形成し、次いで該断熱層を剥
離し、その断熱層の50℃と250℃の間、あるいは5
0℃とガラス転移温度の間の平均熱膨張係数を測定す
る。
【0016】本発明では2層以上の断熱層からなる金型
も良好に使用できる。この場合には少なくとも断熱層に
接する主金型及び/又は金属層の熱膨張係数と断熱層の
熱膨張係数の差が小さいことが好ましく、それが4×1
-5/℃未満であることが好ましく、更に好ましくは3
×10-5/℃未満である。主金型に断熱層及び金属層を
被覆する時、あるいは、本発明金型で射出成形等を行う
時には、金属層と断熱層の界面に最も激しい応力が発生
する。この界面を形成する両層に熱膨張係数が近い物を
選択して使用することにより、発生する応力を低減でき
る。
【0017】断熱層と主金型の間、あるいは断熱層と金
属層の間の剥離の原因は熱膨張係数の差だけではない。
しかし、熱膨張係数の差が極めて大きな要因である。断
熱層と主金型及び/又は金属層との密着力が大きく、断
熱層の引っ張り弾性率が小さく、破断伸度が大きい、い
わゆるゴム状の軟質材質の断熱層であれば、熱膨張係数
の差が若干大きくても剥離は生じない。しかし、断熱層
に適した材質、すなわち、耐熱性が高く、硬度が大き
く、研磨により鏡面になりやすい等を満たす断熱材は、
一般に弾性率が大きい主鎖に芳香環を有する耐熱性硬質
合成樹脂であり、この耐熱性合成樹脂層からなる断熱層
を主金型及び/又は金属層に密着させ、剥離を起こさせ
ない様にするには、熱膨張係数の差が小さいことが好ま
しい。
【0018】金型表面を断熱層で被覆する場合、その断
熱層には種々の性能が要求される。主金型との密着性の
他に、強靭性、表面硬さ、表面を研磨した時の光沢の出
やすさ等も要求される。熱膨張係数が小さいことの他
に、これらの性能を全て満たす重合体が得られにくいこ
ともあり、その場合には2層以上の断熱層を用いること
が好ましい。特に金属層に接する断熱層はガラス転移温
度が200℃以上、好ましくは成形する合成樹脂の成形
温度以上であり、且つ破断伸度が5%以上の耐熱性で、
強靭な重合体が好ましい。
【0019】本発明に良好に使用できる主金型の金属、
及び最表面に被覆する金属層の金属、断熱層の耐熱性重
合体、及び一般の合成樹脂の熱膨張係数を表1に示す。
【0020】
【表1】
【0021】主金型及び/又は金属層の熱膨張係数が大
きくなれば、相対的に熱膨張係数の大きい断熱層が使用
できる様になる。金型材質として鋼鉄が最も多く使用さ
れているが、最近アルミニウム合金や亜鉛合金も使用さ
れる様になってきた。表2に本発明に良好に使用できる
耐熱性重合体の構造とガラス転移温度(Tg)を示す。
【0022】
【表2】
【0023】射出成形は複雑な形状の成形品を一度の成
形で得られるところに経済的価値がある。この複雑な金
型表面を耐熱性重合体で被覆し、且つ強固に密着させる
には、耐熱性重合体溶液、及び/又は耐熱性重合体前駆
体溶液を塗布し、次いで加熱して耐熱性重合体の断熱層
を形成させることが最も好ましい。従って、本発明の耐
熱性重合体、あるいは耐熱性重合体の前駆体は溶剤に溶
解できることが必要である。ポリイミドの前駆体である
ポリアミド酸の溶液を型表面に塗布し、次いで加熱キュ
アを行い型表面上にポリイミドを形成する方法は良好に
使用できる。化1にポリアミド酸からポリイミドを形成
する化学式を示す。
【0024】
【化1】
【0025】本発明の断熱層と主金型、及び/又は断熱
層と金属層との密着力は大きいことが必要であり、室温
で0.2kg/10mm巾以上が好ましく、更に好まし
くは0.3kg/10mm巾以上、最も好ましくは0.
5kg/10mm巾以上である。これは密着した金属
層、あるいは金属層と断熱層を10mm巾に切り、接着
面と直角方向に20mm/分の速度で引張った時の剥離
力である。この剥離力は測定場所、測定回数によりかな
りバラツキが見られるが、最小値が大きいことが重要で
あり、安定して大きい剥離力であることが好ましい。本
発明に述べる密着力は金型の主要部の密着力の最小値で
ある。密着力を向上させるため、主金型の表面を微細な
凹凸状にしたり、各種メッキをしたり、プライマー処理
をすることは適宜実施できる。プライマー処理の好まし
い例として、CO2 基や、SO2 基を多く含むポリイミ
ドは金属金型表面に密着しやすく、これらの密着性に優
れたポリイミドの薄層をプライマー層として用い、この
上に一般のポリイミドを被覆する方法は良好に使用でき
る。
【0026】射出成形は複雑な形状の型物が一度の成形
でできることが最大の長所であり、そのため金型キャビ
ティは一般に複雑な形状をしている。しかし、この複雑
な形状の金型キャビティ表面に鏡面状に被覆物質を塗布
することは極めて困難でり、そのため塗布された被覆層
を後から表面研磨したり、塗布層を数値制御フライス盤
などの数値制御工作機械で削つた後に表面研磨して鏡面
状に仕上げることは最も良好な方法である。
【0027】本発明では、断熱層の全厚みは0.05m
m〜2mmの狭い範囲内で適度に選択される。更に好ま
しくは、射出成形においては0.1mmから0.5mm
であり、ブロー成形では0.3mmから1mmである。
0.05mm未満の薄い断熱層では、成形品の外観改良
効果が少ない。2mmを越える断熱層厚みでは金型内冷
却時間が長くなる。
【0028】金型に断熱層を被覆することは、成形品肉
厚を厚くして、冷却時間を長くする方向と同様の働きを
するが、一方、金型温度を下げると冷却時間を短くする
方向へ働く。断熱層の厚みは薄肉で外観改良ができるこ
とが成形サイクルタイムの面からは好ましい。金属から
なる主金型表面を断熱層で被覆し、その表面に射出され
た加熱樹脂が接触すると、型表面は樹脂の熱を受けて昇
温する。断熱層の熱伝導率が小さいほど、また、断熱層
が厚いほど型表面温度は高くなる。
【0029】本発明では断熱層被覆金型が次の方法でつ
くられる。即ち、金属からなる主金型の型キャビティを
構成する型表面に、断熱材溶液及び/又は断熱材前駆体
溶液を塗布して断熱層を被覆する方法において、40℃
以上で、且つこれらの溶液を構成する主溶剤の沸点から
20℃を減じた温度以下に主金型を加熱した状態で溶液
を塗布し、次いで加熱し、更にこの塗布、加熱を繰り返
して所定厚みの断熱層を形成する断熱層被覆金型の形成
法である。好ましくは45℃以上で、且つ主溶剤の沸点
から30℃を減じた温度以下に、更に好ましくは50℃
以上で、且つ主溶剤の沸点から40℃を減じた温度以下
に主金型を加熱した状態で溶液を塗布する。
【0030】主金型を加熱した状態で塗布することと、
非加熱状態で塗布することを併用することも必要に応じ
て使用できる。ここに述べられる非加熱状態とは、本発
明に述べる加熱を行わない状態であり、一般の大気温度
(0℃〜35℃)の状態を示す。非加熱状態で塗布する
と塗膜のレベリング性が良くなる。特に主金型を加熱し
た状態で塗膜の大部分を塗布し、最後に非加熱状態で薄
肉の塗膜を被覆することは良好に使用できる。主金型を
加熱状態での塗布と非加熱状態での塗布を組み合わせる
ことは特に好ましい。ここで、薄肉とは、加熱状態での
一回の塗布で塗布する塗膜厚みの1/2以下の塗膜厚み
をいう。
【0031】従来、主金型に断熱層を被覆するには、非
加熱状態で断熱材溶液及び/又は断熱材前駆体溶液をス
プレー塗布、刷毛塗布等で被覆されてきた。本発明では
主金型を40℃以上で、且つこれらの溶液を構成する主
溶剤の沸点から20℃を減じた温度以下に加熱して塗布
する。40℃未満では加熱効果が小さく、沸点から20
℃を減じた温度を越えると、溶液が発泡等を起こし易く
なる。45℃以上で主溶剤の沸点から30℃を減じた温
度以下が好ましく、50℃以上で主溶剤の沸点から40
℃を減じた温度が特に好ましい。塗布法はスプレー塗布
法、刷毛塗布法等が使用できるが、特にスプレー塗布法
と刷毛塗布法を組み合わせて使用することが好ましい。
【0032】本発明に述べる溶液を構成する主溶剤と
は、溶液が2種以上の混合溶剤から成る場合、その溶剤
の10重量%以上を占める溶剤であり、主溶剤の沸点と
は主溶剤の中の最も低い沸点を有する溶剤の沸点であ
る。そして、最も低い沸点を有する溶剤が好ましくは2
0重量%以上、更に好ましくは30重量%以上、特に好
ましくは40重量%以上を占めることが、本発明におい
て効果が大きい。
【0033】主金型を加熱して塗布を行うことにより本
発明の効果が得られるのは、塗料が加熱された型表面に
接触すると同時に溶剤の蒸発が起こり、塗料濃度が上が
り、塗料の垂れ、流動が阻害されて、金型の型面端部付
近、角部付近の塗膜厚みの均一性が保たれるためと推定
される。塗料中の溶剤を蒸発させて塗料を高濃度にする
ため、溶剤をより多く蒸発させる方法として、塗膜が極
力薄肉の時に蒸発させることが好ましい。塗膜中の溶剤
の蒸発量は、スプレー塗布された直後の薄肉塗膜からの
蒸発が最も効率的である。スプレー塗布されて一定の厚
みになった塗膜を後で加熱する場合より、本発明法の塗
布法の場合の溶剤蒸発量は多くなり、塗膜厚みの均一性
が良くなる。スプレー塗布で型表面に吹き付けられた塗
料は直ちに溶剤蒸発でより高濃度になり、塗料の垂れの
防止、型面端部の被覆等の点で極めて有効である。更に
本発明では塗布された塗膜の溶剤の蒸発量が多くなるた
め、一回の塗布工程で厚塗りが可能になり、断熱層形成
に要する日数が短縮できる。
【0034】更に本発明は形成した断熱層を切削及び/
又は研磨により、型面端部まで所定の均一厚みの断熱層
を形成する断熱層被覆金型の形成法である。更に本発明
は型面端部付近に断熱層を選択的により多く塗布して、
型表面の端部付近に厚肉の断熱層を形成し、次いで研削
及び/又は研磨により型面端部まで所定の均一厚みの断
熱層を形成することができる。すなわち、型面端部付近
に塗布し、次いで型面一般部に塗布する方法、この逆で
塗布する方法、更にこれを繰り返す方法等で断熱層を形
成する。ここに述べる型面端部とは、金型、金型入れ
子、割り型等の端部まで断熱層が被覆されている型表面
の端部をいい、該端部で断熱層は鋭角に曲がっている
か、断熱層は終わっている。
【0035】本発明では主金型を加熱した状態で塗布す
ることにより主金型表面の吸着水分等が減少し、塗膜の
密着力が向上する効果も得られる。更に本発明は、断熱
材溶液及び/又は断熱材前駆体溶液の塗布中及び/又は
塗布後の主金型を、主金型に接する塗膜の裏面側温度が
塗膜の表面側温度と同等、又は高く保持するように加熱
する断熱層被覆金型の製法である。すなわち主金型に塗
布した断熱材溶液及び/又は断熱材前駆体溶液から効率
良く溶剤を蒸発させるには、主金型に接する塗膜の裏面
側から加熱して裏面側から断熱材溶液及び/又は断熱材
前駆体溶液の溶剤濃度を低くし、塗膜の表面側の固化を
遅らせて表面からの溶剤蒸発を促進することが好まし
い。固化した塗膜の溶剤バリヤー性が大きい断熱材の場
合にはこの効果は大きい。主金型の加熱方法の最も一般
的な方法は、主金型を加熱炉に入れる方法である。加熱
炉に主金型を入れると全金型表面から加熱が行われる。
従って、加熱炉のみで主金型表面の塗膜を加熱すると、
主金型に接する塗膜の裏面側温度が塗膜の表面側温度よ
り低い状態を保持しつつ加熱される場合が多い。本発明
はこの様な状態をさけて加熱することであり、主金型に
接する塗膜の裏面側温度が塗膜の表面側温度と同等又は
高く保持するように加熱する断熱層被覆金型の製法であ
る。
【0036】更に本発明は断熱材溶液及び/又は断熱材
前駆体溶液を塗布した主金型を加熱ブロックの上にのせ
て加熱する断熱層被覆金型の製法である。加熱ブロック
の上にのせて主金型を加熱することは主金型の加熱法と
して簡便で経済的であり、更に上記の主金型に接する塗
膜の裏面温度が塗膜の表面温度より高く保持しつつ加熱
できる。ここに述べる加熱ブロックとは、熱伝導率が大
きい各種金属を加熱したブロックであり、鋼鉄、アルミ
ニウム、銅等の金属、あるいはそれら金属をふくむ合金
等のブロックに熱媒を流したり、電気ヒーターを組み込
むことにより加熱したブロックである。
【0037】更に本発明は上記の断熱層上に断熱層厚み
の1/3以下の薄肉の金属層を被覆する、金属層で被覆
した断熱層被覆金型の製法である。金属層は種々の方法
で被覆できるが、メッキにより良好に被覆される。ここ
に述べるメッキは化学メッキと電解メッキである。一般
には次の工程のいくつかを経てメッキされる。すなわ
ち、まず断熱層に接して化学メッキが行われる。
【0038】前処理(バリ取り、樹脂)→化学腐食(酸
やアルカリによる化学エッチング:表面を適度な凹凸に
する)→中和→感受性化処理(合成樹脂表面に還元力の
ある金属塩を吸着させて活性化を効果あらしめる)→活
性化処理(触媒作用を有するパラジウム等の貴金属を樹
脂表面に付与)→化学メッキ(化学ニッケルメッキ、化
学銅メッキ等)→電解メッキ(電解ニッケルメッキ、電
解銅メッキ、電解クロムメッキ等)等の工程でメッキ層
が形成される(詳細は「プラスチックのメッキ」呂茂辰
著、昭和49年、日刊工業新聞社刊等を参照)。化学腐
食により表面を適度な凹凸にするため、断熱層の最表面
層は微粉末状金属酸化物等のエッチング助剤を配合した
断熱層とすることが好ましい。
【0039】本発明を図を用いて説明する。図3は本発
明の断熱層被覆金型の形成工程の一つを示す。図3にお
いて、硬質クロムメッキ8された主金型7を、40℃以
上で、且つ溶液を構成する主溶剤の沸点から20℃を減
じた温度以下に主金型を加熱した状態で、断熱材溶液及
び/又は断熱材前駆体溶液を塗布し、次いで必要に応じ
て主溶剤の沸点以上に加熱し、更にこの塗布、加熱を繰
り返し、最後に溶剤を十分に蒸発させて所定厚みの断熱
層3を形成する。主金型を加熱して塗布することによ
り、金型端部まで均一に断熱層が被覆される(3−
1)。次いで断熱層3表面をフライス盤で切削して均一
厚みとする(3−2)。次いでフライス盤切削した表面
にエッチング助剤を配合した断熱材を塗布して薄肉の配
合断熱層10を形成する(3−3)。次いで配合断熱層
10の表面にメッキ加工により、金属層11を形成する
(3−4)。金型の端面部の仕上げをおこない、型面端
部13まで均一厚みの金型表面12を有する断熱層被覆
金型を得る(3−5)。
【0040】図4は本発明の断熱層被覆金型の形成工程
の別の一つを示す。図4において、硬質クロムメッキ8
された主金型7を、40℃以上で、且つ溶液を構成する
主溶剤の沸点から20℃を減じた温度以下に主金型を加
熱した状態で、断熱材溶液及び/又は断熱材前駆体溶液
を主金型表面の端部付近に刷毛塗り等で塗布し、次いで
加熱し、必要に応じてこの操作を繰り返して厚肉の断熱
層14を端部付近に形成する(4−1)。次いで引き続
き主金型を加熱した状態で、断熱材溶液及び/又は断熱
材前駆体溶液を型表面に塗布し、次いで必要に応じて主
溶剤の沸点以上に加熱し、更にこの塗布、加熱を繰り返
し、最後に溶剤を十分に蒸発させて所定厚みの断熱層3
を形成する(4−2)。主金型を加熱して塗布すること
により、金型の型面端部まで均一に断熱層が被覆され
る。以後図3と同様な工程(4−3)〜(4−6)によ
り、良好な断熱層被覆金型が得られる。
【0041】図5は本発明法が良好に使用できるTVキ
ャビネット等の箱型の成形品の成形に使用される割り型
構造金型を示す。図5において、金型にはアングュラー
ピン16があり、型開状態では割り型15は開く構造を
している。型キャビティを構成する型表面を断熱層で被
覆した金型の、割り型15の型面端部19まで均一な断
熱層と金属層を被覆した金型を示す。この様な割り型構
造金型に本発明の方法は良好に使用できる。
【0042】図6は断熱材溶液及び/又は断熱材前駆体
溶液を塗布中、及び/又は塗布後の主金型を、主金型に
接する塗膜の裏面側温度が塗膜の表面側温度と同等又は
高く保持するように加熱する本発明の断熱層被覆金型の
製法の一方法である、主金型を加熱ブロックの上にのせ
て加熱する方法を示す。化学式1に示すポリイミド前駆
体溶液(トルエン(沸点110℃)が主溶剤)を主金型
に塗布する場合を例にとり説明を行う。図6に於いて、
加熱ブロック20には電気ヒーター21を組み込み、加
熱ブロック20を65℃に設定し、その上に主金型22
を置き、ポリイミド前駆体溶液を塗布する。ポリイミド
前駆体溶液は主金型に接して主溶剤が蒸発し、溶液濃度
が高くなった塗膜23が形成される(6−1)。ポリイ
ミド前駆体溶液は塗布と同時にその溶剤を蒸発させるた
め、塗膜の垂れの発生が極めて少なくなる。その塗布さ
れた主金型24を165℃に加熱した加熱ブロック25
の上に移して加熱し、ポリイミド前駆体が約50%イミ
ド化したポリイミド層26を形成する(6−2)。(6
−1)の工程と(6−2)の工程を繰り返して所定の厚
みの塗膜を形成する。最後に300℃に加熱した加熱ブ
ロック27の上に塗布した主金型28を置き、半イミド
化した塗膜を100%イミド化する(6−3)。図6に
示す製法は、ポリイミドの様に溶剤のバリヤー性が大き
い樹脂を断熱層にする場合に特に効果が大きい。
【0043】図7は本発明の効果の一つを示す図であ
る。図7に於いて、主金型29に直角に近いシャープエ
ッジ部31がある場合、本発明の製法で形成した断熱層
30はそのシャープエッジ部31にも密着した断熱層3
0となる(7−1)。一方従来の方法で形成した断熱層
32は、塗料の垂れが大きためシャープエッジ部が厚肉
になり、且つ塗料中の溶剤が塗膜に残り、シャープエッ
ジ部に塗膜の剥離33が発生する(7−2)。
【0044】図8は本発明の断熱層被覆金型の製法で形
成された断熱層を切削及び/又は研磨により、型面端部
まで所定の均一厚みにする方法の、特に良好に使用でき
る方法の一つを示す。図8に於いて、主金型34の端部
付近に断熱層35、エッチング助剤を配合した断熱層3
6、メッキ層37を被覆した後、その端部付近をエポキ
シ樹脂等の硬質物体38で被覆し(8−1)、次いで型
側面部をフライス盤等で機械切削して仕上げ(8−
2)、次いで被覆したエポキシ樹脂等を取り除いて本発
明が求める良好な型面端部39を有する断熱層被覆金型
を得る(8−3)。断熱層やメッキ層の密着力が低い場
合、端部付近に何も被覆しないで切削仕上げを行うと、
型面端部のメッキ層や断熱層の剥離が発生しやすく、こ
れを防ぐためにエポキシ樹脂等の硬質物体を被覆して切
削することが有効である。
【0045】本発明にはこれまで図で説明した様に型面
端部で断熱層が無くなる場合の他に、型面端部で断熱層
が急角度で曲がっている場合も含まれる。図9は型面端
部で断熱層が急角度で曲がっている場合を示す。図9に
於いて、金型は型キャビティ40を構成するコア側主金
型42とキャビティ側主金型41からなり、型キャビテ
ィ40を構成するキャビティ側主金型の表面に断熱層4
3を被覆する。断熱層43は型面端部44で急角度で曲
がり、金型パーティング面45の表面の一部を形成して
いる。金型パーティング面に露出している部分の断熱層
46は金型入れ子47でボルト48絞めされて押さえら
れている。この様な構造にすることにより、型面端部の
断熱層の剥離を完璧に防ぐことができる。すなわち、最
も断熱層やメッキ層が剥離しやすい部分は型面端部であ
り、この型面端部をこの様な構造にすれば剥離を防ぐこ
とができる。この様な断熱層被覆金型も本発明の方法に
より良好に製作できる。
【0046】
【発明の実施の形態】次の主金型、断熱層および金属層
を使用する。 金型及び金型入れ子:鋼鉄(S55C)製の図10に示
す射出成形用の金型である。型キャビティは100mm
×100mm×2mmでサイドゲートを有する。主金型
49の型キャビティを構成する部分は図10に示す2つ
の金型入れ子50、51からなる。2つの金型入れ子5
0、51は合わせ部52で接触している。この金型入れ
子を3組用意する。各入れ子の型キャビティを構成する
表面には硬質クロムメッキを行う。 断熱材溶液(A):ポリイミドワニス(東レ(株)製
トレニース#3000商品名)を希釈した断熱材前駆体
溶液。この断熱材前駆体溶液の溶剤組成は、トルエン
44重量%、N−メチルピロリドン 28重量%、ジメ
チルアセトアミド 28重量%であり、トルエン(沸点
110℃)が最も沸点が低い溶剤である。 断熱材溶液(B):エポキシ樹脂(ジグリシジルエーテ
ルビスフェノールA)に硬化剤(ジアミノジフェニルス
ルホン)と溶剤(ジメチルアセトアミド)を配合したも
の。溶剤(ジメチルアセトアミド)の沸点は164℃で
ある。この断熱材溶液を加熱硬化した後の断熱材のガラ
ス転移温度は200℃、破断伸度は3.3%である。 エッチング助剤を配合した断熱材溶液(A):断熱材の
断熱材前駆体溶液に酸化チタンを20重量%配合したも
の。 金属層の形成:エッチング助剤を配合した断熱層表面を
クロム酸を含む強酸溶液でエッチング処理を行い、次い
で、中和→感受性化処理→活性化処理の順に処理し、次
いで次亜燐酸ソーダを還元剤とし、35℃の低温、弱ア
ルカリ状態、低速度で化学ニッケルメッキを行うことに
よって得られる、燐含有量3〜4重量%、厚みが約0.
0005mmの化学ニッケルメッキ層を形成する。更に
その表面に次亜燐酸ソーダを還元剤とし、60℃、酸性
状態で化学ニッケルメッキを行い、燐含有量が6〜7重
量%の所定厚の化学ニッケルメッキ層を形成する。
【0047】
【実施例1】図3と図6に示す方法により断熱層被覆金
型を製作する。図10において、金型入れ子50及び5
1を60℃に加熱した状態で、型表面に断熱材溶液
(A)をスプレー塗布して160℃で加熱し、次いでこ
の塗布、加熱を繰り返して最低厚み部分が0.2mm厚
に被覆する(3−1)。主金型を60℃に加熱して塗布
することにより、金型端部まで均一に断熱層が被覆され
る(3−1)。次いで断熱層3表面をフライス盤で切削
して0.2mm厚みの均一厚みとする(3−2)。次い
で室温(25℃)でフライス盤切削した表面にエッチン
グ助剤を配合した断熱材溶液(A)をスプレー塗布し、
160℃に加熱し、次いで金型全体を290℃に加熱し
てイミド化し、0.02mm厚みの配合断熱層10を最
表層とする断熱層を形成する(3−3)。次いで配合断
熱層10の表面をクロム酸を含む強酸化溶液による化学
エッチング処理により微細凹凸表面にした後、化学ニッ
ケルメッキにより金属層11を形成する(3−4)。金
型の側面部の仕上げをおこない、型面端部13まで均一
厚みの金型表面12を有する断熱層被覆入れ子金型を得
る(3−5)。
【0048】
【比較例1】金型の加熱を35℃にして実施例1と同様
に断熱層被覆を行う。その結果、型面端部まで均一な断
熱層は形成されず、図2に示す様な断熱層になる。
【0049】
【比較例2】金型の加熱を95℃にして実施例1と同様
に断熱層被覆を行う。その結果、断熱層には気泡が発生
し、良好な断熱層は形成されない。
【0050】
【実施例2】図4に示す方法により本発明が目的とする
断熱層被覆金型を製作する。まず金型端部付近に刷毛塗
りにより断熱層を形成する。次いで実施例1と同様に断
熱層被覆金型をつくる。良好な断熱層被覆金型を得る。
【0051】
【実施例3】図3と図6に示す方法に準じて断熱層被覆
金型を製作する。図10において、金型入れ子50及び
51を90℃に加熱した状態で、型表面に断熱材溶液
(B)をスプレー塗布して160℃で加熱し、次いでこ
の塗布、加熱を繰り返し、最後に主金型を170℃に加
熱して最低厚み部分が0.2mm厚の断熱層を被覆する
(3−1)。主金型を90℃に加熱して塗布することに
より、金型端部まで均一に断熱層が被覆される(3−
1)。次いで断熱層3表面をフライス盤で切削して0.
2mm厚みの均一厚みとする(3−2)。型表面を研磨
して鏡面状にする。最後に型側面部の仕上げを行い、型
面端部13まで均一厚みの金型表面12を有する断熱層
被覆入れ子金型を得る(3−5)。
【0052】
【実施例4】実施例1で製造された断熱層被覆金型を用
い、ゴム強化ポリスチレン(旭化成工業(株)製 スタ
イロン492 商品名)を、樹脂温度240℃、主金型
温度30℃で射出成形を行う。成形された射出成形品の
光沢度(JIS K7105、反射角度60度)は96
%であり、型表面再現性に優れ、二つの金型入れ子の合
わせ部も均一な外観を有する。断熱層と金属層の被覆さ
れていない金型を用いて射出成形した成形品の光沢度は
20%であり、本発明との差異は明らかである。
【0053】
【発明の効果】複数の金型材を組み合わせた金型の型表
面に均一に断熱層を形成する方法を提供する。本発明法
で製作された金型を用いて成形された成形品は優れた表
面を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が目的とする断熱層被覆金型の部分断面
の説明図である。
【図2】従来の断熱層被覆金型の製法の断面説明図であ
る。
【図3】本発明の断熱層被覆金型の製法の工程を示す説
明図である。
【図4】本発明の断熱層被覆金型の製法の工程を示す説
明図である。
【図5】本発明が良好に使用できる割り型構造金型の断
面説明図である。
【図6】本発明の断熱層被覆金型の製法の工程を示す説
明図である。
【図7】本発明により製作した断熱層被覆金型と従来法
により製作した断熱層被覆金型を示す説明図である。
【図8】本発明の断熱層被覆金型の製法の工程を示す説
明図である。
【図9】本発明法で製作した断熱層被覆金型を示す説明
図である。
【図10】本発明が良好に使用できる、実施例で使用し
た入れ子構造金型の断面図である。
【符号の説明】
1 金型入れ子 2 型表面 3 断熱層 4 型表面の端部 5 薄肉の断熱層 6 厚肉の断熱層 7 主金型 8 硬質クロムメッキ 9 主金型表面 10 エッチング助剤を配合した断熱層 11 金属層 12 断熱層被覆金型表面 13 型面端部 14 端部の厚肉断熱層 15 割り型 16 アンギュラーピン 17 型キャビティ 18 型面端部付近 19 型面端部 20 加熱ブロック 21 電気ヒーター 22 主金型 23 塗膜 24 塗膜された主金型 25 金型ブロック 26 ポリイミド層 27 金型ブロック 28 主金型 29 主金型 30 断熱層 31 シャープエッジ部 32 断熱層 33 塗膜の剥離 34 主金型 35 断熱層 36 エッチング助剤を配合した断熱層 37 メッキ層 38 硬質物体 39 型面端部 40 型キャビティ 41 キャビティ側主金型 42 コア側主金型 43 断熱層 44 型面端部 45 金型パーティング面 46 金型パーティング面に露出している部分の断熱
層 47 金型入れ子 48 ボルト 49 主金型 50 金型入れ子 51 金型入れ子 52 合わせ部

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属からなる主金型の型キャビティを構
    成する型表面に、断熱材溶液及び/又は断熱材前駆体溶
    液を塗布して断熱層を被覆する断熱層被覆金型の製造方
    法において、40℃以上で、且つ上記溶液を構成する主
    溶剤の沸点から20℃を減じた温度以下に主金型を加熱
    した状態で上記溶液を塗布することを特徴とする断熱層
    被覆金型の製法。
  2. 【請求項2】 金属からなる主金型の型キャビティを構
    成する型表面に、断熱材溶液及び/又は断熱材前駆体溶
    液を塗布して断熱層を被覆する断熱層被覆金型の製造方
    法において、40℃以上で、且つ上記溶液を構成する主
    溶剤の沸点から20℃を減じた温度以下に主金型を加熱
    した状態で塗布することと、非加熱状態で塗布すること
    を併用することを特徴とする断熱層被覆金型の製法。
  3. 【請求項3】 主金型の加熱を45℃以上で、且つ主溶
    剤の沸点から30℃を減じた温度以下にした状態で塗布
    する請求項1又は2記載の断熱層被覆金型の製法。
  4. 【請求項4】 請求項1、2又は3記載の断熱層被覆金
    型の製法によって形成された断熱層を切削及び/又は研
    磨により、型面端部まで所定の均一厚みにする断熱層被
    覆金型の製法。
  5. 【請求項5】 40℃以上で、且つ上記溶液を構成する
    主溶剤の沸点から20℃を減じた温度以下に主金型を加
    熱した状態で断熱材溶液及び/又は断熱材前駆体溶液を
    塗布することで、型表面の端部付近に厚肉の断熱層を形
    成し、次いで請求項4記載の断熱層被覆金型の製法で型
    面端部まで所定の均一厚みの断熱層を有する金型を製造
    する断熱層被覆金型の製法。
  6. 【請求項6】 溶液を塗布中、及び/又は塗布後の主金
    型を、主金型に接する塗膜の裏面側温度が塗膜の表面側
    温度と同等又は高く保持するように加熱する請求項1、
    2、3、4又は5記載の断熱層被覆金型の製法。
  7. 【請求項7】 主金型を加熱ブロックの上にのせて加熱
    する請求項1、2、3、4、5又は6記載の断熱層被覆
    金型の製法。
  8. 【請求項8】 請求項1、2、3、4、5、6又は7記
    載の断熱層被覆金型の製法によって形成された断熱層上
    に該断熱層厚みの1/3以下の薄肉の金属層を被覆する
    断熱層被覆金型の製法。
  9. 【請求項9】 請求項1、2、3、4、5、6、7又は
    8の断熱層被覆金型の製法で製造された金型を用いて合
    成樹脂を成形する合成樹脂の成形法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1704979A1 (de) * 2005-03-22 2006-09-27 ArvinMeritor GmbH Folien-Tiefzieh- oder Folien-Schäumform sowie Verfahren zum Herstellen eines Verbundbauteils
EP1704978A1 (de) * 2005-03-22 2006-09-27 ArvinMeritor GmbH Folien-Tiefzieh- oder Folien-Schäumform und deren Herstellungsverfahren sowie Verfahren zum Herstellen eines Verbundbauteils

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EP1704979A1 (de) * 2005-03-22 2006-09-27 ArvinMeritor GmbH Folien-Tiefzieh- oder Folien-Schäumform sowie Verfahren zum Herstellen eines Verbundbauteils
EP1704978A1 (de) * 2005-03-22 2006-09-27 ArvinMeritor GmbH Folien-Tiefzieh- oder Folien-Schäumform und deren Herstellungsverfahren sowie Verfahren zum Herstellen eines Verbundbauteils

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