JPH10264204A - ポリアセタール樹脂成形品及びその成形方法 - Google Patents

ポリアセタール樹脂成形品及びその成形方法

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JPH10264204A
JPH10264204A JP7359397A JP7359397A JPH10264204A JP H10264204 A JPH10264204 A JP H10264204A JP 7359397 A JP7359397 A JP 7359397A JP 7359397 A JP7359397 A JP 7359397A JP H10264204 A JPH10264204 A JP H10264204A
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heat
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Norihiko Furuya
紀彦 古谷
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 摩耗特性、耐候性、加熱エージング特性に優
れ、寸法精度が良く、フローマーク、ウエルドライン、
ヘジテイションマークなどの外観不良の少ないポリアセ
タール樹脂成形品を提供する。 【解決手段】 成形品外表面の表層部に最大厚みが50
μm以下であるスキン層を有することを特徴とするポリ
アセタール樹脂成形品とする。該成形品は金属からなる
金型のキャビティ面の一部又は全体に0.5mm以下の
厚さである耐熱性重合体による断熱層を有する金型を用
いることにより得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリアセタール樹脂
成形品及びその成形方法に関するものである。さらに詳
しくは、摩耗特性、耐候性、加熱エージング特性に優
れ、寸法精度が良く、フローマーク、ウエルドライン、
ヘジテイションマークなどの外観不良の少ないポリアセ
タール樹脂成形品及びその成形方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂成形品は、自動車、一般機
械、精密機械、電気、電子、一般工業部品などの各分野
において、幅広い用途に用いられている。そして、大量
生産が可能であり、成形性が良く、軽量でしかも錆びな
いという理由から、熱可塑性樹脂成形品の需要は、年々
増加の傾向にある。その中にあって、ポリアセタール樹
脂は機構部品を中心に利用されることが多く、近年は、
寸法精度、表面外観の向上の要求が高くなってきた。
【0003】しかし、ポリアセタール樹脂は一般的に固
化速度が早いため、成形品の表面にフローマークなどと
呼ばれる外観不良が発生しやすい。また、中空射出成形
などにより得られる中空成形品においては、ヘジテイシ
ョンマークなどと呼ばれる外観不良の発生が顕著で、こ
れの解決のためには成形条件の設定や金型構造に工夫が
必要であった。また、成形品に発生するフローマークや
ウエルドラインは、製品の強度低下の原因となるため、
製品や金型を設計する段階から対策が必要であった。
【0004】また、ポリアセタール樹脂成形品を摺動部
分を有する機構部品に用いる場合、通常は摺動回数の増
加とともに樹脂の摩耗が進行する。この摩耗の進行を鈍
化させるために、摺動部分にグリスなどの潤滑剤を塗布
することが行われてきた。近年では、潤滑剤を塗布する
行程を省略することを目的に、潤滑処方を施したポリア
セタール樹脂を用いることが一般的になってきた。しか
し、使用される環境によっては、潤滑剤を塗布する行程
を完全に省略できないケースもあり、摩耗特性の更なる
改善が必要である場合が発生している。
【0005】一方、ポリアセタール樹脂を金型のキャビ
ティ内へ射出することにより得られる成形品において
は、キャビティ形状の再現性や、金型転写性、成形品の
表面外観を向上するため、樹脂温度や金型温度を高くす
る、射出圧力を高くするなどの成形条件を選ぶことによ
りある程度達成されてきた。しかし、樹脂温度を高くす
ることは樹脂の分解を促し、成形品表面にシルバー(ま
たは銀条痕)と呼ばれる外観不良が発生する恐れがあ
る。また、樹脂から発生した分解ガスが金型を浸食した
り、金型キャビティ内にモールドデポジットとして付着
するなど、金型や成形作業の環境に悪影響を与える恐れ
があった。
【0006】金型温度を高く設定する場合には、成形サ
イクルが長くなることが避けられず、これは生産性の低
下を意味する。高い射出圧力で樹脂をキャビティ中に射
出した場合には、バリが発生するなど、金型に与えるダ
メージが大きくなる。これは、金型寿命を短くする恐れ
があるため好ましくない。また、樹脂の充填時に発生す
るせん断発熱が大きくなるため、実際の樹脂温度が高く
なる。これは、樹脂温度を高く設定したときと同様の不
具合が生じる恐れがある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、耐候性、耐
摩耗性、加熱エージング特性に優れ、寸法精度が良く、
フローマーク、ウエルドライン、ヘジテイションマーク
などの外観不良の少ないポリアセタール樹脂成形品及び
その成形方法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の問題を解決するた
めの本発明によるポリアセタール樹脂成形品は、外表面
の表層部に最大厚みが50μm以下であるスキン層を有
することを特徴とするものである。以下に本発明を詳細
に説明する。
【0009】本発明による外表面のスキン層の厚さが5
0μm以下であるポリアセタール樹脂成形品は、通常の
成形品と比較して、耐候性、耐摩耗性、加熱エージング
特性が優れるといった特徴を持つ。本発明において『成
形品の外表面』とは、成形行程中に、型キャビティ内に
射出された溶融状態の樹脂が、金型のキャビティ面に接
した面を指すものである。図1にポリアセタール樹脂成
形品の例を示す。
【0010】本発明において『スキン層』とは、結晶性
樹脂成形品の表層部に見られる、非晶質及び/又は結晶
化度の低い球晶質により構成されている層を指すもので
ある。図1に示したポリアセタール樹脂成形品の、結晶
状態を図2に示す。本発明によるポリアセタール樹脂成
形品が中空部を有する場合、該中空部と樹脂部の境界面
が『成形品の内表面』である。図3に内部に中空部を有
するポリアセタール樹脂成形品の例を、図4に図3で示
した中空成形品の断面を示す。また、図4に示したA部
の結晶状態を図5(a)に、図4に示したB部の結晶状
態を図5(b)にそれぞれ示す。
【0011】また、通常、成形品の成形行程完了後には
ゲート部において、製品となる部分と、製品としては不
要であるランナー部やスプルー部などを切断するが、こ
の製品側の切断面は本発明において、『外表面』『内表
面』に含まない。本発明において『成形品』とは、熱可
塑性樹脂により形成された最小単位の製品を指す。具体
的には、電気・電子分野製品の機構部品、内装部品、外
装部品、自動車内外装部品、工業部品、サニタリー用品
などが挙げられる。
【0012】電気・電子製品とは、コンピューター、プ
リンター、コピー機やFAXなどに代表されるOA機器
のほか、VTR、テレビ、オーディオ機器や、洗濯機、
乾燥機、掃除機、冷蔵庫、電話機、アイロン、電子レン
ジ、オーブントースター、食器洗い機、食器乾燥機、布
団乾燥機、電子蚊取り機、電話機、加湿器、除湿器、エ
アコン、扇風機、冷風機、電子ゲーム機器、電動玩具、
時計など家電製品などを指す。
【0013】電気・電子製品の機構部品とは一般的に、
回転運動、直線運動をすることによりその機能を発する
部品と、それらの周辺部品を指す。具体的には、各種の
ギア(ピニオン、ヘリカル、ラックなどを含む)、プー
リー、カム、コロ、スライダー、クラッチ、ドラム、リ
ール、トレー、ヒンジ類、ローラー類、アーム類、軸及
び軸受けなどなどとこれらに関連する部品を指す。ま
た、これらは複数の機能を有する部品でも良い。例え
ば、多段歯車、カム一体型ギア、ギア一体型ローラー、
VTR機器のテープカートリッジのローディング機構部
に見られる側板などである。
【0014】電気・電子製品の内装部品とは、電気・電
子製品の外側に露出していない部品であり、コネクタ
ー、結束バンド、ターミナルなどが挙げられる。電気・
電子製品の外装部品とは、電気・電子製品の外側に露出
している部品であり、具体的には、スイッチ、ツマミ、
外板部品の接続部品、コネクター類などが挙げられる。
【0015】自動車内外装部品とは、車の内外に取り付
けられるドアハンドル、シフトノブ、アシストグリッ
プ、セレクトレバー、スイッチ、ツマミ、バックル、ガ
ラス窓の昇降機構部品、スルーアンカー、シートとその
機構部品、バックミラーとその機構部品、接続部品など
を指す。工業部品とは、タンク体、チューブ、ストッパ
ー、キャップ、ペダル、ジョイント、シャワーハンド
ル、チェーン、ネジ、コネクター、ハンドル、スイッ
チ、ファスナー、バックル、鍵、サッシ、クレセント
鍵、取っ手、戸車、ペン先、医療器具をはじめ、廊下、
階段、玄関、ベランダなどといった家屋内外に設置ある
いは、家屋内外で使用される部品などを指す。
【0016】サニタリー用品とは、風呂場、洗面所、便
所、台所、洗濯機などの水周り用品に代表される部品及
び/又は、衛生性が要求される樹脂成形品を指す。具体
的には、シャワーヘッド、シャワーハンドル、蛇口、手
摺り、タオル掛け、フック、ドア、パイプ、グレーチン
グなどである。また、パイプ形状の成形品の製法として
は中空射出成形が好ましい。これは、中空射出成形によ
り、構造の簡単な金型による大量生産が可能であるこ
と、複数の湾局部を有する形状を成形1サイクルで製造
することが可能であるためである。これに関しては特開
平7−164467号公報に開示されている。特に、耐
薬品性が要求されるパイプ形状では、該パイプの内表面
の表層にはスキン層が存在しないと、耐薬品性が向上す
るので好ましい。
【0017】本発明において『ポリアセタール樹脂』と
は、ポリアセタール樹脂を主成分とするポリアセタール
系樹脂であり、ポリアセタール樹脂単独、または50重
量%以上のポリアセタールを含むポリアセタール樹脂と
他の樹脂を混合物を指す。本発明におけるポリアセター
ル樹脂には、通常使用する添加剤、例えば、酸化防止
剤、難燃化剤、離型剤、滑剤、耐熱安定剤、耐候性安定
剤、防錆剤、充填材、着色剤などを必要に応じて、1種
類以上添加することができる。
【0018】また、融点が150〜161℃であるポリ
アセタール樹脂により製造された中空部を有する成形品
は、表面外観性、金型転写性に特に優れているため好ま
しい。融点が150〜161℃であるポリアセタール系
樹脂を得る方法としては、コポリマー分子鎖中のオキシ
アルキレン単位の比率を大きくする方法、ブロックコポ
リマーの異種成分を増やす方法などが挙げられる。中で
も、コポリマー分子鎖の1、3−ジオキソラン由来のオ
キシエチレン単位の比率を大きくする方法が最も効果的
である。
【0019】本発明でいう融点とは、示差走査熱量測定
装置(パーキンエルマー社製DSC7型)を用いて測定
した値である。ポリアセタール系樹脂は200℃に加熱
したプレス機でフィルム状に成形したものから5mg切
り出して測定に用いる。測定条件は、30℃から200
℃に320℃/分で上昇し、2分間保持した後、130
℃まで10℃/10分で降温し、さらに130℃から
2.5℃/分で昇温する。最後に昇温する際に、結晶化
に伴う吸熱ピークが観測されるが、このときのピークト
ップ温度を融点とする。
【0020】また、本発明におけるポリアセタール樹脂
には、耐熱性、機械的強度を向上させる目的で、必要に
応じて無機及び/又は有機系の充填材を配合することが
できる。好適な充填材としては、ガラス繊維、炭素繊
維、金属繊維、アラミド繊維、チタン酸カリウム、アス
ベスト、炭化ケイ素、セラミック、窒化ケイ素、硫酸バ
リウム、硫酸カルシウム、カオリン、クレー、パイロフ
ィライト、ベントナイト、セリサイト、ゼオライト、マ
イカ、雲母、ネフェリンシナイト、タルク、アタルパル
ジャイト、ウオラストナイト、スラグ繊維、フェライ
ト、ケイ素、カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネ
シウム、ドロマイト、酸化亜鉛、石膏、ガラスビーズ、
ガラスパウダー、ガラスバルーン、石英、石英ガラス、
アルミナなどの充填強化材を挙げることができ、これら
は中空形状であってもよい。また、これらの強化充填材
は、2種類以上を併用することも可能である。また、必
要に応じて、シラン系、チタン系などのカップリング剤
で予備処理して使用することができる。
【0021】また、充填材として、炭素繊維、金属繊
維、黒鉛のうちの1種類以上を選択することにより結晶
性樹脂の電気抵抗値を下げることができる。これは、埃
などの小さな粉体が、ポリアセタール樹脂成形品に静電
気によって付着することを防止できるため、好適であ
る。上記ポリアセタール樹脂と混合して用いることので
きる他の樹脂としては、ポリアセタール樹脂と相溶可能
であれば特に制限はなく、例えば、ポリエチレン、ポリ
プロピレン、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリ塩化ビニ
ル、ポリアミド、ポリカーボネート、変性ポリフェニレ
ンエーテル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレ
ンテレフタレート、ポリフェニレンスルフィド、ポリイ
ミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリア
リレート、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、
ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマー、ポリテト
ラフルオロエチレン、熱可塑性エラストマー、ポリ四フ
ッ化エチレン、ポリビニルアルコールなどを挙げること
ができる。
【0022】ポリアセタール樹脂と他の樹脂の混合組成
物を用いる場合、ポリアセタール樹脂の含有量は、50
重量%以上であることが必要で、好ましくは70重量%
以上である。ポリアセタール樹脂の含量が50重量%未
満であると、エンジニアリング樹脂としてのポリアセタ
ール樹脂の特性を得ることが困難になるため、好ましく
ない。
【0023】また、本発明による内部に中空部を有する
ポリアセタール樹脂成形品において、該中空部は巣(ボ
イド)や発泡剤により形成されるものではなく、中空射
出成形法により得られるものである。また、該中空部は
密閉系であっても良いが、成形品内部に閉じこめられた
ガスにより成形品が内部から破壊したり、成形品に膨れ
現象が発生する恐れがあるため、少なくともひとつの外
気との連通口を有することが好ましい。
【0024】本発明によるポリアセタール樹脂中空射出
成形品において、好適な中空率は1〜80%であり、さ
らに好ましくは2〜50%である。中空率が80%を越
える中空成形品は、製品の肉厚が極端に薄くなり、製品
の強度低下を招くために好ましくない。また、中空率が
80%以上であると、キャビティ内に充填された樹脂の
量が少ないため、製品内に中空部を形成するために注入
する加圧流体が薄肉部から製品外に流出しやすい状態に
あり、目的の形状の中空成形品を得ることが困難である
ために好ましくない。
【0025】また、中空率が2%より低い中空成形品
は、加圧流体による効果が薄くなり、本発明の目的であ
る寸法精度の向上、寸法精度の確保が困難である。尚、
中空率とは次式で定義される。 中空率(%)={(V×ρ−M)/(V×ρ)}×10
0 ただし、上式においてVは中空部を同じ樹脂で埋めたと
きの体積、ρは用いた樹脂の比重、Mは中空成形品の質
量である。
【0026】本発明において『中空射出成形法』とは、
射出成形において溶融樹脂を金型キャビティに射出中、
或いは、射出完了後に加圧流体を樹脂中に注入すること
によって中空成形品を得る射出成形方法である。本発明
による『中空射出成形法』に用いられる加圧流体として
は、常温においてガス状または液状のものが用いられる
該加圧流体は、射出成形の温度及び圧力下で、成形に用
いる溶融樹脂と反応又は相溶しないものが好ましい。ま
た、射出成形の温度及び圧力下で、樹脂の分解やヤケを
生じないものが好ましい。例えば、窒素、炭酸ガス、空
気、ヘリウム、グリセリン、流動パラフィンなどが挙げ
られる。
【0027】通常、加圧流体として、加圧ガスが使用さ
れる。特に窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴンなどの不
活性ガスを使用することが好ましい。経済性を考慮する
と、工業的には窒素ガスが好ましい。以下に加圧ガスを
用いる中空射出成形法の一般的な例を更に説明する。加
圧ガスを用いた中空射出成形は、通常の射出成形機とガ
ス注入装置の組み合わせによって行われる。ガス注入装
置は、樹脂の射出開始後に配管を通して樹脂中にガスを
注入し、設定時間このガスを保持する装置である。これ
には注入するガスを予め高圧に圧縮し、アキュームレー
ターに蓄え、ガス注入時に配管を通して高圧ガスを導入
する方法や、一定量のガス体を計量しポンプにより連続
で送り込み加圧していく方法等が考えられるが、射出中
及び射出後の樹脂中にガス体を送り込めれば如何なる方
法も可能である。このとき、ガスの注入口はシリンダー
のノズル、金型のスプルー、ランナー、キャビティ内に
設けることが考えられる。高圧のガス体を樹脂中に注入
できればいずれの方法でも実施が可能である。
【0028】通常行われる中空射出成形法は、以下の方
法が一般的であり、本発明にも好適に用いられる。 金型キャビティ内に未充填部分が残らないように、溶
融樹脂を射出した後、成形品内に中空部を形成するため
の加圧流体を樹脂内に注入する中空射出成形方法。 金型キャビティ内に未充填部分が残る量の溶融樹脂
を、該キャビティへ射出中或いは射出した後に、成形品
内に中空部を形成するための加圧流体を樹脂内に注入
し、この加圧流体により樹脂の一部を押し出すことによ
り金型キャビティの未充填部分に樹脂を中空部を形成し
つつ到達させる中空射出成形方法。
【0029】上記の方法は『フルショット法』と呼ば
れる。溶融樹脂の成形収縮分を補う量の加圧流体により
中空部を得るため、中空率が溶融樹脂の成形収縮分とほ
ぼ同等の値となり、加圧流体による効果は少ない。そこ
で、加圧流体による効果を向上させる目的で、金型内に
補助キャビティ(補助室あるいは捨てキャビティとも称
する)を設ける方法が考案された。この補助キャビティ
は加圧流体注入時にキャビティ中の一部の樹脂を逃がす
ためのキャビティであり、特開平3−121820号公
報に開示されている。この補助キャビティの容積を調整
することにより、製品の中空率を調整することが可能で
ある。
【0030】この補助キャビティ及び、キャビティと補
助キャビティの連絡通路は、成形後に製品となる部分か
ら切断されることが多く見られる。この製品となる側の
切断面についても、本発明においては『外表面』、『内
表面』に含まない。上記の方法は『ショートショット
法』と呼ばれる。ショートショット法における中空率の
調整は、樹脂の射出量を加減することにより可能であ
る。
【0031】本発明によるポリアセタール樹脂成形品
を、加圧ガスを用いた中空射出成形法により得る場合に
は、ガスの圧力は20〜300kg/cm2であることが好ま
しく、さらに好ましくは50〜250kg/cm2の範囲であ
る。成形品の内部に、中空部を効果的に形成するために
は、20kg/cm2以上のガス圧が必要である。本発明によ
るポリアセタール樹脂成形品を、加圧ガスを用いた中空
射出成形法により得る場合、加圧ガスを樹脂中に注入開
始するタイミングは、成形機の射出動作による溶融樹脂
の射出中から射出完了10秒後までの間であることが好
ましく、さらに好ましくは射出完了5秒後までの間であ
ることである。これは、溶融樹脂の射出完了から10秒
以上経過すると、キャビティ内のポリアセタール樹脂は
徐々に冷却され、金型キャビティ面に接している面から
固化が進行し、成形品内に中空部を形成することが困難
になるためである。
【0032】本発明によるポリアセタール樹脂成形品
を、加圧ガスを用いた中空射出成形法により得る場合に
は、樹脂中に加圧ガスを注入することにより中空部を形
成するが、キャビティ内の樹脂が冷却されるまでの間、
中空部内に注入したガスの圧力を一定時間保持する必要
がある。効果的に中空部を形成するために必要な加圧ガ
スの保持時間は0〜120秒であり、さらに好ましくは
5〜60秒である。
【0033】本発明によるポリアセタール樹脂成形品
を、加圧ガスを用いた中空射出成形法により得る場合に
は、樹脂中に注入する加圧ガスの圧力及び、樹脂中に注
入した加圧ガスの圧力保持時間を調整することにより成
形品寸法の調整が容易に可能である。本発明による成形
品外表面の表層部のスキン層の最大厚みが50μm以下
であるポリアセタール樹脂成形品を得るためには、金型
キャビティ面の一部又は全体を、0.5mm以下の厚さ
である断熱層により被覆することが、樹脂温度、金型温
度を高く設定することなく成形できるので好ましい。
【0034】本発明おいて『金属からなる金型』とは、
鉄又は鉄を主成分とする鋼材、アルミニウム、又はアル
ミニウムを主成分とする合金、ZAS等の亜鉛合金、ベ
リリウム−銅合金などの一般に熱可塑性樹脂の成形に使
用されている金型に用いられる金属により構成された金
型を指す。特に鋼材からなる金型が良好に使用できる。
また、これらの金属からなる金型の断熱層と接する型表
面は、硬質クロムやニッケル等でメッキされていること
が好ましい。
【0035】金属からなる金型のキャビティを断熱層で
被覆し、その表面に射出された加熱樹脂が接触すると、
キャビティの表面は樹脂の熱を受けて昇温する。このた
め、断熱層の熱伝導率が小さいほど、また、断熱層が厚
いほど型表面温度は高くなる。本発明では金型温度を
(結晶性樹脂の軟化温度−20℃)〜室温の範囲に設定
して成形を行なうことが好ましく、さらに好ましくは
(結晶性樹脂の軟化温度−30℃)〜(室温+5℃)の
範囲で成形することである。
【0036】ここに述べる金型温度とは、金型本体の成
形時の温度を示すものである。金型温度をこれより高く
すると成形サイクル時間が長くなり、成形効率が低下す
るため好ましくない。金型温度を室温以下にすることは
金型表面に結露などが発生する恐れがあるため好ましく
ない。本発明においてポリアセタール樹脂の軟化温度と
は該樹脂が容易に変形しうる温度であり、熱変形温度
(ASTM D648 荷重18.6kg/cm2)で示す温
度とする。また、室温とは射出成形機の設置してある部
屋の温度、または、成形機周辺の温度とする。
【0037】本発明で断熱層に用いる『耐熱性重合体』
とは、成形される合成樹脂の成形温度より高い軟化温度
を有する重合体であり、好ましくはガラス転移温度が1
40℃以上、更に好ましくは160℃以上、最も好まし
くは190℃である。また、融点は200℃以上である
ことが好ましく、更に好ましくは250℃以上の耐熱性
を有する重合体である。
【0038】耐熱性重合体の熱伝導率は一般に0.00
01〜0.002cal/cm・sec・℃であり、金
属より大幅に小さい。又、該耐熱性重合体の破断伸度は
4%以上、好ましくは5%以上、更に好ましくは10%
以上の靭性のある重合体が好ましい。破断伸度の測定法
はASTMD638に準じて行い、測定時の引っ張り速
度は5mm/分である。
【0039】本発明で断熱層として良好に使用できる重
合体は、主鎖に芳香環を有する耐熱性重合体であり、例
えば、有機溶剤に溶解する各種非結晶性耐熱性重合体
や、各種ポリイミド等が良好に使用できる。非結晶性耐
熱性重合体としては、ポリスルホン、ポリエーテルスル
ホン等である。これらの非結晶性耐熱性重合体にはカー
ボン繊維等の充填材を配合することにより熱膨張係数を
低下させて本発明の断熱層として使用することができ
る。ポリイミドは各種あるが、直鎖型高分子量ポリイミ
ド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、一部架橋
型のポリイミドが良好に使用できる。一般に直鎖型高分
子量ポリイミドは破断伸度が大きく強靭であり、耐久性
に優れており特に良好に使用できる。
【0040】更に、本発明においては熱膨張係数の小さ
いエポキシ樹脂、すなわち熱膨張係数が小さくなるエポ
キシ樹脂と硬化剤を組み合わせたエポキシ樹脂硬化物、
あるいは各種充填材を適量配合したエポキシ樹脂等も使
用できる(以後、エポキシ樹脂硬化物をエポキシ樹脂と
略称する)。エポキシ樹脂は一般に熱膨張係数が大き
く、金属金型との熱膨張係数の差は大きい。しかし、熱
膨張係数が小さいガラス、シリカ、タルク、クレー、ケ
イ酸ジルコニウム、ケイ酸リチウム、炭酸カルシウム、
アルミナ、マイカ等の粉体や粒子、ガラス繊維、ウイス
カー、炭素繊維のうち、1種類もしくは2種類以上を適
量、エポキシ樹脂に配合することによって、金属金型と
の熱膨張係数の差を小さくした充填材配合エポキシ樹脂
は本発明の断熱層として良好に使用できる。
【0041】また、エポキシ樹脂あるいは充填材配合エ
ポキシ樹脂に、更にナイロン等の強靭な熱可塑性樹脂、
ゴム等の強靭性を与える各種配合物を加えて強靭性を与
えた配合エポキシ樹脂は良好に使用できる。特に、エポ
キシ樹脂にポリエーテルスルホンやポリエーテルイミド
を配合して硬化したポリマーアロイは強靭性に優れるた
め良好に使用できる。
【0042】本発明における成形法において、金型キャ
ビティ面に設けられた断熱層の厚さは0.5mm以下で
あることが好ましく、さらに好ましくは0.1〜0.3
mmである。0.1mm未満の薄い断熱層では、成形品
の外観改良効果が少ないため、好ましくない。0.5m
mを越える断熱層厚さでは成形時の金型内における冷却
時間が長くなり、経済的観点から好ましくない。
【0043】金型キャビティ表面に耐熱性重合体からな
る断熱層を被覆した金型を用いて、ガラス繊維が5〜5
0重量%含有される熱可塑性樹脂を射出成形すると、型
表面の断熱層はガラス繊維により傷がつきやすい。これ
は、本発明に示す様に、表面に金属層を存在させること
により傷がつくことを防止できる上、離型性を改良でき
るため好ましい。また、長期間成形時の金型耐久性、特
に抜き勾配が小さい部分の耐久性が改良できるため好ま
しい。
【0044】本発明における成形法によって、成形品の
表面が鏡面状あるいは艶消し状の成形品を成形する場合
には、断熱層の厚さが0.5mm以下で、該断熱層に密
着金属層の厚みが断熱層の厚さの1/5以下で、且つ、
1〜50μmであることが好ましく、さらに好ましく
は、断熱層の厚さが、0.1〜0.5mmで、金属層の
厚さが断熱層厚さの1/7以下で、且つ、1〜50μm
であることである。特に好ましくは、断熱層の厚さが、
0.1〜0.3mmで、金属層の厚さが断熱層厚さの1
/10以下で、且つ、2〜40μmであることである。
【0045】本発明で使用される金型の断熱層の表面に
被覆される金属層に用いられる金属は、一般的に金属メ
ッキに用いられる金属であることが好ましく、クロム、
ニッケル、銅等の1種又は2種以上である。良好に使用
できるのは化学ニッケルメッキ、電解ニッケルメッキ、
化学銅メッキ、電解銅メッキ、電解クロムメッキ等であ
る。金属層は断熱層の表面に被覆される。断熱層と金属
層は密着していることが必要であり、断熱層に接する層
は燐含量が適当な化学ニッケルメッキ層が特に好まし
い。
【0046】本発明による金型キャビティ表面に耐熱性
重合体からなる断熱層、又は該断熱層に密着させた金属
層の表面は、鏡面状、艶消し状、しぼ状のいずれでも良
く、必要に応じて選択することができる。本発明におい
て該断熱層、又は該金属層の表面が艶消し状の場合に
は、平均厚みを各層の厚みとする。すなわち、JIS
B0601で測定した平均線の厚みを平均厚みとする。
金属層表面がしぼ状凹凸の場合には、しぼ形状を形成す
る金属層凸部の厚みを本発明の成形法に関わる断熱層被
覆金型の金属層厚みとする。本発明に良好に使用できる
しぼ形状は、革しぼ状、木目しぼ状、ヘアーライン状等
のしぼパターンである。
【0047】本発明における成形方法において、シボ状
成形品を成形する場合には、断熱層の厚みが0.1〜
0.5mmであることが好ましく、金属層の凸部の厚み
が断熱層厚みの1/7以下で、且つ、10〜40μmで
あり、シボ形状凹部の深さが5〜35μmであることが
好ましい。さらに好ましくは、断熱層の厚みが0.1〜
0.3mmであり、金属層の凸部の厚みが断熱層厚みの
1/7以下で、且つ、10〜35μmであり、しぼ形状
凹部の深さが5〜30μmである。凹部の深さが大き過
ぎると、凹部と凸部の型表面再現性に大きな差が生じる
ため好ましくない。また、凹部の深さが小さいと、しぼ
形状にする効果が小さくなる。
【0048】射出成形、中空射出成形やブロー成形など
では、成形される溶融状態の樹脂に接触する金型の表面
は各成形毎に厳しい冷熱サイクルにさらされる。また、
従来技術では、メッキ等で断熱層表面に形成される金属
層は一般に重合体からなる断熱層より熱膨張係数が小さ
く、断熱層と金属層の熱膨張係数が大きく異なるため、
その界面で応力が成形毎に繰り返し発生し、その界面で
剥離が発生する恐れがある。断熱層と接する主金型及び
/又は金属層の熱膨張係数と断熱層の熱膨張係数との差
を小さくすることにより、剥離を引き起こす応力を低減
することができる。本発明において、断熱層と接する主
金型及び/又は金属層の熱膨張係数と断熱層の熱膨張係
数の差は4×10-5/℃未満であることが好ましく、更
に好ましくは3×10-5/℃未満である。一般に金属は
重合体より熱膨張係数が小さく、従って、熱膨張係数が
小さい耐熱性重合体を選択することが好ましい。
【0049】ここで、熱膨張係数は線膨張係数を指すも
のである。断熱層の熱膨張係数は断熱層の面方向の線膨
張係数であり、JIS K7197−1991に示され
る方法で測定し、50℃と250℃の温度間の平均値、
あるいは断熱層のガラス転移温度が250℃以下の場合
には、50℃と該ガラス転移温度間の平均値で示す。す
なわち、平滑な平板状金属の上に断熱層を形成し、次い
で該断熱層を剥離し、その断熱層の50℃と250℃の
間、あるいは50℃とガラス転移温度の間の平均熱膨張
係数を測定する。
【0050】キャビティ面に断熱層、又は断熱層と金属
層を有する金型を用いて、ポリアセタール樹脂成形品を
得る場合、断熱層とキャビティの間、あるいは断熱層と
金属層の間の剥離を抑制する必要がある。この剥離の原
因は、熱膨張係数の差だけではないが、熱膨張係数の差
が極めて大きな要因である。断熱層と主金型及び/又は
金属層との密着力が大きく、断熱層の引っ張り弾性率が
小さく、破断伸度が大きい、いわゆるゴム状の軟質材質
の断熱層であれば、熱膨張係数の差が若干大きくても剥
離は生じない。しかし、断熱層に適した材質、すなわ
ち、耐熱性が高く、硬度が大きく、研磨により鏡面にな
りやすい等を満たす断熱材は、一般に弾性率が大きい主
鎖に芳香環を有する耐熱性硬質合成樹脂であり、この耐
熱性合成樹脂層を主金型及び/又は金属層に密着させ、
剥離を起こさせない様にするには、熱膨張係数の差が小
さいことが好ましい。
【0051】また、本発明の断熱層と金型、及び/又は
断熱層と金属層との間に発生する剥離の原因のひとつに
密着力不足が考えられる。従って、本発明における金型
に密着した断熱層、あるいは断熱、本発明の断熱層と金
型、及び/又は断熱層と金属層との密着力は大きいこと
が必要である。本発明における、金型に密着した断熱
層、あるいは断熱層に密着した金属層とは、一万回を越
える合成樹脂の成形で引き起こされる冷熱サイクルで剥
離が起こらないことが必要である。密着力は室温で0.
5kgf/10mm巾以上が好ましく、さらに好ましく
は0.8kgf/10mm巾以上、最も好ましくは1k
gf/10mm巾以上である。これは密着した金属層、
あるいは金属層と断熱層を10mm巾に切り、接着面と
直角方向に20mm/分の速度で引張った時の剥離力で
ある。この剥離力は測定場所、測定回数によりかなりバ
ラツキが見られるが、最小値が大きいことが重要であ
り、安定して大きい剥離力であることが好ましい。本発
明に述べる密着力は金型の主要部の密着力の最小値であ
る。密着力を向上させるため、主金型の表面を微細な凹
凸状にしたり、各種メッキをしたり、プライマー処理を
することは適宜実施できる。プライマー処理の好ましい
例として、CO2基や、SO2基を多く含むポリイミドは
金属表面に密着しやすく、これらの密着性に優れたポリ
イミドの薄層をプライマー層として用い、この上に一般
のポリイミドを被覆する方法は良好に使用できる。
【0052】種々の成形方法により樹脂の成形品を得る
製造方法は、複雑な形状の型物が一度の成形でできるこ
とが最大の長所である。このため金型キャビティ形状は
複雑であることが一般的である。しかし、この複雑な形
状の金型キャビティ表面に、鏡面状に被覆物質を塗布す
ることは極めて困難である。このため塗布された被覆層
を後から表面研磨したり、塗布層を数値制御フライス盤
などの数値制御工作機械で削った後に表面研磨して鏡面
状に仕上げることは最も良好な方法である。
【0053】また、キャビティ面に設けられた断熱層を
覆う金属層の厚みは均一であることが好ましい。具体的
には、厚みのばらつきが±10%以下であることが好ま
しく、さらに好ましくは±5%以下である。金属層表面
がシボ状の凹凸の場合には、凸部の金属層厚み、あるい
は凹部の金属層の厚みが、それぞれ均一であることが好
ましく、それぞれの厚みのばらつきは±10%以下であ
ることが好ましく、さらに好ましくは±5%以下である
ことである。金属層厚みのばらつきが大きいと、金属層
厚みの厚い部分の型表面再現性が悪くなり、型表面再現
性が良い部分と悪い部分が同一成形品表面に現れるた
め、好ましくない。
【0054】本発明に良好に使用できる金型の金属、及
び断熱層の密着した金属層のうち、最表面に被覆する金
属、断熱層の耐熱性重合体の熱膨張係数を表1に示す。
表中、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエー
テルイミドは、カーボン繊維を配合することにより、熱
膨張係数を4×10-5/℃程度まで低下することができ
る。
【0055】金型及び/又は金属層の熱膨張係数が大き
くなれば、相対的に熱膨張係数の大きい断熱層が使用で
きる様になる。金型材質として鋼鉄が最も多く使用され
ているが、最近アルミニウム合金や亜鉛合金も使用され
るようになってきた。本発明では熱膨張係数が近ければ
近いほど好ましく、主金型に鋼鉄を使用した場合には熱
膨張係数が極めて小さい低熱膨張型ポリイミド等は良好
に使用できる。
【0056】表2に、本発明に良好に使用できる耐熱性
重合体の構造とガラス転移温度(Tg)を示す。射出成
形は複雑な形状の成形品を一度の成形で得られるところ
に経済的価値がある。この複雑な金型表面を耐熱性重合
体で被覆し、且つ強固に密着させるには、耐熱性重合体
溶液、及び/又は耐熱性重合体前駆体溶液を塗布し、次
いで加熱して耐熱性重合体の断熱層を形成させることが
最も好ましい。従って、本発明の耐熱性重合体、あるい
は耐熱性重合体の前駆体は溶剤に溶解できることが好ま
しい。ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸の溶液を
型壁面に塗布し、次いで加熱キュアを行い型壁面上にポ
リイミドを形成する方法は良好に使用できる。
【0057】ポリイミドの前駆体のポリアミド酸溶液を
型壁面に塗布し、次いで加熱キュアを行いポリイミドを
形成した場合、加熱キュア温度、及び/又は加熱キュア
雰囲気によりポリイミドのガラス転移温度や熱膨張係数
が異なる。一般に加熱キュア温度が高い程ガラス転移温
度が高くなり、又熱膨張係数が小さくなる。ポリアミド
酸は一般に250℃以上にすればほとんどイミド化が1
00%進行しポリイミドが形成されるが、ポリイミドに
なってからの分子の動きが熱膨張係数に影響を与えると
考えられている。
【0058】本発明の金属層は種々の方法で被覆できる
が、メッキにより良好に被覆される。ここに述べるメッ
キは化学メッキ(無電解メッキ)と電解メッキである。
一般には次の工程のいくつかを経てメッキされる。すな
わち、まず断熱層に接して化学メッキが行われる。前処
理→化学腐食(酸やアルカリによる化学エッチング:表
面を適度な凹凸にする)→中和→感受性化処理(合成樹
脂表面に還元力のある金属塩を吸着させて活性化を効果
あらしめる)→活性化処理(触媒作用を有するパラジウ
ム等の貴金属を樹脂表面に付与)→化学メッキ(化学ニ
ッケルメッキ、化学銅メッキ等)→電解メッキ(電解ニ
ッケルメッキ、電解銅メッキ、電解クロムメッキ等)。
【0059】化学メッキは、金属イオンを還元剤により
金属に還元析出させるものである。一般的に化学メッキ
は次の条件を満たすことが必要である。 (1)メッキ液を調整したままの状態で還元剤が自己分
解をせずに安定であること。 (2)還元反応後の生成物が沈殿を生じないこと。
【0060】(3)析出速度がpH、液温度により制御
できること。 等があげられる。化学ニッケルメッキでは還元剤に次亜
燐酸ソーダ、水素化ホウ酸等が使用され、特に次亜燐酸
ソーダが良好に使用される。上記の条件を満たすために
は、化学メッキ液中に主成分(金属塩、還元剤)以外に
補助成分(pH調整剤、緩衝剤、促進剤、安定剤、等)
が加えられる。
【0061】断熱層とメッキ層の密着力を増大させるた
め、断熱層の最表面を形成する断熱材に炭酸カルシウ
ム、酸化珪素、酸化チタン、炭酸バリウム、硫酸バリウ
ム等の無機物微粉末を配合し、化学腐食で該粉末を溶出
して表面を適度な凹凸にすることは極めて良好に使用で
きる。本発明において断熱層として最も適しているポリ
イミド層表面への金属メッキについて詳しく説明する。
ポリイミド表面への金属メッキはポリイミド表面を適度
な凹凸状にすることからはじめる。この方法としてUS
P4775449やUSP4842946等に示されて
いる様に、ポリイミド表面をアルカリで処理することに
より表面を微細凹凸にすることが一般的である。即ち、
ポリイミドはアルカリに弱く、微細凹凸状になりやす
い。そこで、ポリイミド表面層に無機物微粉末を配合し
たポリイミドを被覆し、その表面を強酸溶液でエッチン
グして表層部にある微粉末とポリイミドの一部を溶出さ
せてポリイミド層表面を適度な凹凸状にし、次いで、中
和、感受性化処理、活性化処理を経て、化学ニッケルメ
ッキを行う方法が断熱層に強固に密着したメッキを得る
方法が良好である。
【0062】断熱層に強固に密着した薄層化学ニッケル
メッキの上には各種のメッキ層を更につけることができ
る。該薄層化学ニッケルメッキの上に更につけるメッキ
の好ましい具体例を次に示す。 (1)化学ニッケルメッキ (2)電解クロムメッキ (3)電解ニッケルメッキ (4)化学銅メッキ (5)電解銅メッキ これ等のメッキから選択された少なくとも1層が被覆さ
れることが好ましい。
【0063】メッキで形成した金属層表面をしぼ状にす
る方法は種々の方法で行うことができる。エッチング法
は良好に使用できる。酸によるエッチング法は最も良好
に使用できる。金型の最表面層が電解ニッケルメッキ、
電解銅メッキ、燐含量の少ない化学ニッケルメッキ等の
酸溶液でエッチングできる金属であれば一般の金属金型
のシボ化に使用されているエッチング法と同様の方法で
シボ化ができる。すなわち、金属層表面を紫外線硬化樹
脂を用いてしぼ状にマスキングし、次いで酸エッチング
でしぼ化する方法は良好に使用できる。
【0064】本発明を図面を用いて説明する。図6〜図
8に本発明の合成樹脂成形用金型の型表面付近の断面図
を示す。図6に於いて、金属からなる主金型1の型キャ
ビティを構成する型壁面に、耐熱性重合体からなる0.
1〜0.5mm厚の断熱層2が存在し、その上に該断熱層
に密着した金属層3及び4が存在し、金属層厚みBは断
熱層厚みAの1/5以下、好ましくは1/7以下、更に
好ましくは1/10〜1/100の厚みである。金属層
は断熱層に強固に密着していることが必要であり、これ
を達成するために、金属層は2層以上の多層であること
が好ましい。好ましい層構成は、断熱層2に接する金属
層は燐含量が比較的少ない低燐化学ニッケルメッキ層か
らなる第1層3であり、その上に燐含量が比較的多い高
燐化学ニッケルメッキ層、電解ニッケルメッキ層、電解
硬質クロムメッキ層のから選択される第2層4が存在す
る金属層である。
【0065】図7に於いて、金属層が3層の場合を示
す。断熱層2に接する金属層は燐含量が比較的少ない低
燐化学ニッケルメッキ層からなる第1金属層3であり、
その上に燐含量が比較的多い高燐化学ニッケルメッキ層
からなる第2金属層4、更にその上に電解硬質クロムメ
ッキ層からなる第3金属層5が存在する3層構成の金属
層である。金属層の厚みBは断熱層厚みAの1/5以
下、好ましくは1/7以下、更に好ましくは1/10以
下の厚みである。
【0066】図8に於いて、金属層表面6がしぼ状であ
る3層金属層を示す。断熱層2に接する金属層は低燐化
学ニッケルメッキ層からなる第1金属層3であり、その
上に硫黄含有量が多い、一般に光沢ニッケルと言われて
いる電解ニッケルメッキ層、電解銅メッキ層等からなる
第2金属層4があり、該第2金属層を酸エッチングによ
りしぼ状にし、その上に耐蝕性に優れた金属層、例え
ば、燐含量の多い化学ニッケルメッキ層、あるいは電解
硬質クロムメッキ層等からなる第3金属層5をつけて本
発明の金型とする。第1金属層3と第2金属層4の間に
硫黄含有量が少ない、一般に半光沢ニッケルと言われて
いる電解ニッケルメッキ層が更に存在することが好まし
い。金属層がしぼ状の様に凹凸状の場合にはその平均厚
みを金属層厚みとする。
【0067】本発明では主金型温度を(結晶性樹脂の軟
化温度−20℃)〜室温の範囲に設定して成形を行なう
ことが好ましく、さらに好ましくは(結晶性樹脂の軟化
温度−30℃)〜(室温+5℃)の範囲で成形すること
である。ここに述べる金型温度は、断熱層と接する部分
の金型の成形時の温度を示すものである。金型温度をこ
れより高くすると成形サイクル時間が長くなり、成形効
率が低下するため好ましくない。金型温度を室温以下に
することは金型表面に結露などが発生する恐れがあるた
め好ましくない。
【0068】熱可塑性樹脂の成形においては金型温度と
成形サイクルタイムは密接に関連している。成形時の金
型温度(Td)と金型内必要冷却時間(θ)の関係は、
理論的には次式で示される。 θ=−(D2/2πα)・ln[(π/4){(Tx−
Td)/(Tc−Td)}] θ :冷却時間(sec) D :成形品の最大肉厚(cm) Tc:シリンダー温度(℃) Tx:成形品の軟化温度(℃) α :樹脂の熱拡散率 Td:金型温度(℃) 冷却時間(θ)は、成形品肉厚(D)の2乗に比例し、
(Tx−Td)値の関数である。すなわち、合成樹脂の
軟化温度から金型の温度を減じた値の関数である。この
値が小さいときは、この値の変動が冷却時間に大きな変
動を与えるが、この値が大きくなると冷却時間に与える
変動が小さくなる。
【0069】主金型に断熱層を被覆することは、成形品
肉厚を厚くして、冷却時間を長くする方向と同様の働き
をするが、一方、金型温度を下げると冷却時間を短くす
る方向へ働く。断熱層の厚みは薄肉で外観改良ができる
ことが成形サイクルタイムの面からは好ましい。本発明
では断熱層厚みを前記の極めて狭い範囲に設定すること
が外観改良と成形サイクルタイムのバランス上必要であ
る。
【0070】
【実施の形態】以下に示す実施例、比較例を行う際に
は、次の主金型、断熱層および金属層を使用した。主金
型は鋼鉄(S55C)製の射出成形用の金型である。該
金型の熱膨張係数は1.1×10-5/℃である。
【0071】断熱層として、主金型の入れ子表面をプラ
イマー処理する。その上に、ポリイミドワニス「トレニ
ース#3000」(東レ(株)製)を塗布し、160℃
で加熱し、次いでこの塗布、加熱を繰り返して所定の厚
みにし、最後に平均粒径が0.1μmの酸化チタン微粉
末を固形分比で20重量%配合し十分に混練した配合ポ
リイミドワニスの薄層を断熱層の最表面だけに被覆し、
次いで290℃に加熱してポリイミド層を形成する。該
ポリイミドの熱膨張係数は3.3×10-5/℃である。
【0072】金属層Aは、次亜燐酸ソーダを還元剤と
し、約30℃の低温、弱アルカリ状態、低速度で化学ニ
ッケルメッキを行い形成した、燐含量が少ない低燐化学
ニッケルメッキである。金属層Bは、次亜燐酸ソーダを
還元剤とし、約60℃の高温、酸性状態、高速度で化学
ニッケルメッキを行い形成した、燐含量が比較的多い中
燐化学ニッケルメッキである。
【0073】金属層Cは、硫黄含有量が多い光沢電解ニ
ッケルメッキである。金属層Dは、次亜燐酸ソーダを還
元剤とし、約60℃の高温、酸性状態、高速度で化学ニ
ッケルメッキを行い形成した、燐含量が多い高燐化学ニ
ッケルメッキである。金属層Eは、硫黄含有量が少ない
半光沢電解ニッケルメッキである。
【0074】上記の各ニッケルメッキ層の熱膨張係数
は、いずれもほぼ1.3×10-5/℃である。第1金属
層は、断熱層表面を酸溶液でエッチングを行い微細凹凸
状にし、次いで、中和→感受性化処理→活性化処理の順
に処理し、次いで金属層Aを化学ニッケルメッキしたも
のである。
【0075】金属表面のしぼ化は金属層Cを、感光性樹
脂の被覆、しぼ状パターンのマスキング、紫外線の照
射、洗浄、酸溶液によるエッチングの工程でしぼ化した
ものえある。射出成形する熱可塑性樹脂は、ポリアセタ
ール樹脂『テナック LA541、4010』『テナッ
ク−C 4520、GN755』(旭化成工業(株)製)
を用いて、各実施例、比較例を実施した。
【0076】成形品の表面粗さ、ウエルド部の凹部の深
さ、摩耗量を測定する際には、(株)東京精密社製 表面
粗さ測定機 サーフコム575Aを用いて行った。JI
SB 0601−1982に準じて、最大高さ『Rma
x(単位:μm)』を測定し、測定値とした。測定範囲
は、成形品の表面粗さを測定する際には、20mmとし
た。ウエルド部の凹部深さ、摩耗量の測定の際には、そ
れらの凹部をカバーできる範囲を任意に設定し、測定し
た。
【0077】
【実施例1、2】図9に示す成形品7の型キャビティを
有する金型であって、成形品形状は図9に示したとお
り、諸寸法は100mm×100mm、厚みは2mmと
し、中央に30mm×30mmの穴8が空いている。ゲ
ート9は図11に示す様にサイドゲートであり、成形品
7にはウエルドライン10が発生する。入れ子の表面に
は、硬質クロムメッキを行った。
【0078】実施例1においては、200μmの断熱層
を被覆した主金型の断熱層表面に、0.5μm厚の金属
層Aの第1金属層を被覆し、その表面に5μmの金属層
Bを被覆し、更にその表面に5μm厚の金属層Dを被覆
した入れ子を用意した。型表面は鏡面状である。この金
型を用いて熱可塑性樹脂の射出成形を行った。用いた樹
脂は『テナック−C 4520、GN755』である。
【0079】金属層と断熱層は強固に密着しており、1
万回の射出成形で剥離は発生しないことを確認した。成
形品表面にはウエルドラインの目立ちがなく、外観に優
れた成形品になる。成形品の表面粗さとウエルド部の凹
部深さを測定した結果を表3に示す。
【0080】
【実施例3】実施例1、2と同形状の成形品が成形でき
る金型であって、200μmの断熱層を被覆した主金型
の断熱層表面に、金属層Aの0.5μm厚の第1金属層
を被覆し、その表面に5μmの金属層Bを被覆し、更に
その表面に15μm厚の金属層Cを被覆し、次いで金属
層Cを10μmの深さにエッチングしてしぼ状表面と
し、更にこのしぼ状表面に2μm厚の金属層Dを被覆し
た構造の入れ子を用意した。全体の金属層の平均厚みは
15μmである。
【0081】この金型を用いて熱可塑性樹脂の射出成形
を行う。金属層と断熱層は強固に密着しており、1万回
の射出成形で剥離は発生しない。成形品はウエルドライ
ンの目立ちがなく、しぼ状表面の優れた成形品になる。
用いた樹脂は『テナック−C4520』である。成形品
の表面粗さとウエルド部の凹部深さを測定した結果を表
3に示す。
【0082】
【実施例4】実施例1、2と同形状の成形品が成形可能
である金型であって、実施例2の金属層Bの替わりに金
属層Eを使用し、実施例2と同様に射出成形を実施し
た。用いた樹脂は『テナック−C 4520』である。
金属層と断熱層は強固に密着しており、1万回の射出成
形で剥離は発生しないことを確認した。成形品はウエル
ドラインの目立ちがなく、しぼ状表面の優れた成形品に
なる。
【0083】成形品の表面粗さとウエルド部の凹部深さ
を測定した結果を表3に示す。
【0084】
【比較例1、2】実施例1、2と同形状の成形品が成形
可能である金型であって、金型表面はクロムメッキ処理
のみの、通常の金型を用いて熱可塑性樹脂の射出成形を
行った。用いた樹脂は『テナック−C 4520、GN
755』である。成形品はウエルドラインが目立ち、ま
た、表面粗さも粗い。
【0085】成形品の表面粗さとウエルド部の凹部深さ
を測定した結果を表3に示す。
【0086】
【比較例3、4】実施例1、2と同形状の成形品が成形
可能である金型であって、1mmの断熱層を被覆した主
金型の断熱層表面に、金属層Aの0.5μm厚の第1金
属層を被覆し、その表面に5μmの金属層Bを被覆し、
更にその表面に5μm厚の金属層Dを被覆する。この金
型を用いて熱可塑性樹脂の射出成形を行った。用いた樹
脂は『テナック−C 4520、GN755』である。
【0087】成形品はウエルドラインの目立ちがなく、
表面粗さも良好であるが、成形サイクルタイムが大きく
なり成形効率が劣る。成形品の表面粗さとウエルド部の
凹部深さを測定した結果を表3に示す。
【0088】
【比較例5】実施例1と同形状の成形品が成形可能であ
る金型であって、200μmの断熱層を被覆した主金型
の断熱層表面に、金属層Aの0.5μm厚の第1金属層
を被覆し、その表面に5μmの金属層Bを被覆し、更に
その表面に50μm厚の金属層Cを被覆し、次いで金属
層Cを30μmの深さにエッチングしてしぼ状表面と
し、更にこの表面に2μm厚の金属層Dを被覆する。こ
の金型を用いて熱可塑性樹脂の射出成形を行った。用い
た樹脂は『テナック−C 4520』である。
【0089】成形品はウエルドラインが目立つ成形品に
なる。成形品の表面粗さとウエルド部の凹部深さを測定
した結果を表3に示す。
【0090】
【実施例5、6】成形品形状が図10に示した形状であ
り、諸寸法は60mm×60mm、厚みは2mmとし
た。ゲート9は図10に示す様にフィルムゲートであ
る。型キャビティには、200μmの断熱層を被覆した
主金型の断熱層表面に、0.5μm厚の金属層Aの第1
金属層を被覆し、その表面に5μmの金属層Bを被覆
し、更にその表面に5μm厚の金属層Dを被覆した入れ
子とした。型表面は鏡面状である。この金型を用いて熱
可塑性樹脂の射出成形を行った。用いた樹脂は『テナッ
ク4010』『テナック−C 4520』である。
【0091】得られた成形品は、スガ試験機(株)社製
サンシャイン・スーパーロングライフ・ウエザーメー
ターにより耐候性の促進試験を行った。促進試験は、6
3℃の環境下において、成形品に紫外線を照射すること
により行う。また、照射時間の20%に相当する時間
は、成形品に対して水を噴射した。成形品をウエザーメ
ーターに収め、適時取り出し、紫外線を照射した側の表
面を観察した。
【0092】結果を表4に示す。
【0093】
【比較例6、7】実施例5、6と同形状の成形品が成形
可能である金型であって、型キャビティの表面は鏡面状
であり、通常の金型と同一の処理を施したものである。
用いた樹脂は『テナック 4010』『テナック−C
4520』である。実施例4と同様、耐候性の促進試験
を行った。結果を表4に示す。
【0094】
【実施例7、8】実施例5、6で用いた金型と同様の断
熱層と金属層を有し、表面が鏡面状である金型であっ
て、図11に示す形状の成形品が成形可能な金型を用意
した。この成形品は、諸寸法が12mm×120mm
で、厚さが6mmであり、中空射出成形法により中空射
出成形品を得た。実施例7、8ではショートショット法
により中空成形品を得た。これは、ヘジテイションマー
ク発生しやすい条件下で成形された各成形品のヘジティ
ションマークの深さを測定し、比較するためである。用
いた樹脂は『テナック 4010』である。
【0095】成形品の表面粗さとヘジテイションマーク
部の凹部深さを測定した。また、成形後、80℃の環境
下においてエージング処理を施し、適時寸法測定を行っ
た。寸法変化の少ない成形品ほど良好な成形品といえ
る。それぞれ、測定結果を結果を表5に示す。
【0096】
【比較例8】実施例7、8と同形状の成形品が成形可能
であって、型の表面は鏡面状であり、通常の金型と同一
の処理を施した金型を用いることより、中空射出成形品
を得た。用いた樹脂は『テナック 4010』である。
成形品の表面粗さとヘジテイションマーク部の凹部深
さ、エージング処理における寸法変化を測定した。結果
を表5に示す。
【0097】
【実施例9】実施例5、6と同様の金型で射出成形を行
った。用いた樹脂は『テナック LA541』である。
得られた平板状の射出成形品を、摩耗試験を行った。こ
の摩耗試験は、図12に示した摺動モデルにより実施し
たものである。摺動相手材はステンレス球とした。今回
用いたステンレス球は直径5mmで、ベアリングに使用さ
れる物と同一である。荷重を2kgとしたが、これは面
圧に換算すると150〜200kg/cm2に相当する。摺動
速度は30mm/minとした。摺動回数を任意に設定し、摩
耗量を測定した。結果を表6に示す。
【0098】
【比較例9】比較例6、7と同様の金型を用いて、『テ
ナック LA541』を射出成形した。実施例9と同様
の摺動試験を行った。測定結果を表6に示す。
【0099】
【表1】
【0100】
【表2】
【0101】
【表3】
【0102】
【表4】
【0103】
【表5】
【0104】
【表6】
【0105】
【発明の効果】本発明によれば、耐候性、摩耗特性、加
熱エージング特性を向上することが出来るポリアセター
ル樹脂成形品が得られ、本発明の成形方法である断熱層
被覆金型を使用して、合成樹脂の射出成形や中空射出成
形、ブロー成形を行うことにより、外観良好な成形品を
容易に得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のポリアセタール樹脂成形品の例を示す
説明図である。
【図2】本発明のポリアセタール樹脂成形品の結晶状態
を示す説明図である。
【図3】本発明の中空部を有するポリアセタール樹脂成
形品を示す説明図である。
【図4】本発明の中空部を有するポリアセタール樹脂成
形品の断面図を示す。
【図5】本発明の中空部を有するポリアセタール樹脂成
形品の結晶状態を示す説明図である。
【図6】鋼鉄製の金型のキャビティ面に断熱層が存在
し、さらにその上に2層の金属層が存在する金型断面を
示す断面図である。
【図7】鋼鉄製の金型のキャビティ面に断熱層が存在
し、さらにその上に3層の金属層が存在する金型断面を
示す断面図である。
【図8】鋼鉄製の金型のキャビティ面に断熱層が存在
し、さらにその上に3層の金属層が存在し、金属第2層
をエッチング処理によりシボ状とした金型断面を示す断
面図である。
【図9】実施例1〜4、比較例1〜5で用いたポリアセ
タール樹脂成形品を示す説明図である。
【図10】実施例5、6、9、比較例6、7、9で用い
たポリアセタール樹脂成形品を示す説明図である。
【図11】実施例7、8、比較例8で用いたポリアセタ
ール樹脂成形品を示す説明図である。
【図12】実施例9、比較例9で実施した摩耗試験のモ
デルを示す説明図である。
【符号の説明】
1 成形品 2 外表面 3 スキン層 4 結晶層 5 中空部 6 内表面 7 ゲート 8 連通口 9 金型 10 キャビティ面 11 断熱層 12 金属第1層 13 金属第2層 14 金属第3層 15 シボ状の金属層表面 16 穴 17 ウエルドライン 18 ヘジテイションマーク 19 相手材 20 摩耗跡

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 成形品外表面の表層部に最大厚みが50
    μm以下であるスキン層を有することを特徴とするポリ
    アセタール樹脂成形品。
  2. 【請求項2】 内部に中空部を有するポリアセタール樹
    脂成形品であって、該成形品内表面の表層部にスキン層
    を有さないことを特徴とする請求項1に記載のポリアセ
    タール樹脂成形品。
  3. 【請求項3】 中空射出成形方法によって製造されるこ
    とを特徴とする請求項2に記載のポリアセタール樹脂成
    形品。
  4. 【請求項4】 金属からなる金型のキャビティ面の一部
    又は全体に0.5mm以下の厚さである耐熱性重合体に
    よる断熱層を有する金型を用いることを特徴とする、請
    求項1から3のいずれかに記載のポリアセタール樹脂成
    形品の成形方法。
  5. 【請求項5】 金属からなる金型のキャビティ面の一部
    又は全体に0.5mm以下の厚さである耐熱性重合体に
    よる断熱層を有し、該断熱層の上に該断熱層の厚さの1
    /5以下で、かつ、1〜50μmの厚さである該断熱層
    に密着した少なくとも1つの金属層を有する断熱層被覆
    金型を用いることを特徴とする請求項1から3のいずれ
    かに記載のポリアセタール樹脂成形品の成形方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017109321A (ja) * 2015-12-14 2017-06-22 旭化成株式会社 ポリオキシメチレン樹脂成形体及びその製造方法
JP6521554B1 (ja) * 2018-06-15 2019-05-29 株式会社チャナカンパニー 衣服用ハンガー及び衣服用ハンガーの製造方法
JP2019098684A (ja) * 2017-12-06 2019-06-24 旭化成株式会社 結晶性樹脂成形体及び樹脂成形体の製造方法
WO2019239611A1 (ja) * 2018-06-15 2019-12-19 株式会社チャナカンパニー 衣服用ハンガー及び衣服用ハンガーの製造方法

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JP2019217247A (ja) * 2018-06-15 2019-12-26 株式会社チャナカンパニー 衣服用ハンガー

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