JP2001286551A - 白血球選択除去フィルター材の製造方法 - Google Patents

白血球選択除去フィルター材の製造方法

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JP2001286551A
JP2001286551A JP2000106890A JP2000106890A JP2001286551A JP 2001286551 A JP2001286551 A JP 2001286551A JP 2000106890 A JP2000106890 A JP 2000106890A JP 2000106890 A JP2000106890 A JP 2000106890A JP 2001286551 A JP2001286551 A JP 2001286551A
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leukocytes
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JP2000106890A
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Tatsuya Fukuda
達也 福田
Norio Inama
徳生 稲摩
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Asahi Medical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】赤血球、血小板、血漿成分及び白血球を含む全
血製剤から、赤血球、血小板及び血漿成分の損失を極め
て少なく抑えつつ、白血球を選択的に、かつ効率よく除
去するため白血球除去フィルター材の製造方法の提供。 【解決手段】表面に非イオン性親水基と塩基性官能基を
有するフィルター材を20℃以上120℃未満の水溶液
で処理することを特徴とする白血球選択除去フィルター
材の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、血液に代表される
細胞浮遊液から白血球を選択的に除去する白血球選択除
去フィルター材の製造方法、及び該方法によって製造さ
れた白血球選択除去フィルター材に関する。特に、赤血
球、血小板、血漿成分及び白血球を含む全血製剤から、
赤血球、血小板及び血漿成分の損失を極めて少なく抑え
つつ、白血球を選択的に、かつ効率よく除去するための
白血球選択除去フィルター材の製造方法及び該方法によ
って製造されたフィルター材に関する。
【0002】
【従来の技術】近年の輸血医学の進歩により、受血者が
必要とする成分のみを輸血する、いわゆる成分輸血が一
般的に行われている。成分輸血には、受血者が必要とす
る血液成分の種類により、赤血球輸血、血小板輸血、血
漿輪血などがあり、これらの輸血に用いられる血液成分
製剤には、濃厚赤血球製剤、濃厚血小板製剤、血漿製剤
などがある。また、血液製剤中に含まれている混入白血
球を除去してから血液製剤を輸血する、いわゆる白血球
除去輸血が普及してきている。これは、輸血に伴う頭
痛、吐き気、悪寒、非溶血性発熱反応、アロ抗原感作、
ウィルス感染、輸血後GVHDなどの副作用が、主として輸
血に用いられた血液製剤中に混入している白血球が原因
で引き起こされることが明らかにされたためである。
【0003】血液製剤から白血球を除去する方法とし
て、繊維素材や連続気孔を有する多孔質体などのろ材を
用いて白血球を除去するフィルター法がある。フィルタ
ー法は、白血球除去能に優れ、操作が簡便であり、また
コストが安いことなどの利点を有するため現在最も普及
した方法となっている。
【0004】白血球除去フィルターの中でも、血小板を
通過させ、白血球のみを選択的に除去するフィルター材
が、WO87/05812号、特開平1−249063
号公報に開示されている。WO87/05812号に
は、非イオン性親水基と塩基性含窒素官能基を有するポ
リマーを溶解した溶液中に不織布を浸し、乾燥空気で乾
燥させる方法が記載されており、特開平1−24906
3号では、(メタ)アクリル酸とヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレートを放射線グラフト法により、不織布の
表面に導入する方法が記載されている。上述した方法に
よって製造されたフィルター材は、フィルター材表面へ
の血小板の粘着を抑制する効果を有しているが、高価な
血小板のロスをさらに低減させるフィルター材の開発が
強く望まれていた。
【0005】また、特開2000−51346号公報に
は、血液凝固の抑制、血栓の形成抑制、補体活性化抑制
などの血液適合性を付与した塩化ビニルチューブや血液
バッグ等の医療用高分子材料を製造する方法が開示され
ている。この方法は、ヘパリン等の血液適合性材料を塩
化ビニルチューブ等の高分子材料に塗布した後、20℃
から135℃の温度範囲で洗浄する方法である。特開2
000−51346号公報における洗浄の目的は、高分
子材料やこれに含まれている溶出性添加剤によって血液
適合性材料を塗布した高分子材料の表面が覆われないよ
うにすることであり、血小板を通過させ、白血球のみを
除去するという白血球選択除去の選択性を向上させる目
的でははなく、かかる効果を示唆するような記載も全く
ない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、血液
に代表される細胞浮遊液から白血球のみを選択的に除去
する白血球選択除去フィルター材の製造方法及びその方
法によって製造されたフィルター材を提供することにあ
る。特に、赤血球、血小板、血漿成分及び白血球を含む
全血製剤から、赤血球、血小板及び血漿成分の損失を極
めて少なく抑えつつ、白血球を選択的に、かつ効率よく
除去するための白血球選択除去フィルター材の製造方法
及びその方法によって製造されたフィルター材を提供す
ることにある。本発明はまた、溶出物が少ない、安全性
に優れた白血球選択除去フィルター材の製造方法及びそ
の方法によって製造されたフィルター材を提供すること
にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意研究した結果、表面に非イオン性
親水基と塩基性官能基とを有するフィルター材を20℃
以上120℃未満の水溶液で処理することで、かかる課
題が解決できることを見出した。本発明者らは、上述し
た、極めて簡便な水溶液処理を施すことのみによって、
驚くべきことに良好な白血球除去能を維持しつつ、血小
板通過率を格段に向上させることに成功し、本発明を完
成するに至ったものである。
【0008】即ち、本発明は適切な温度の水溶液の中
に、非イオン性親水基と塩基性官能基を表面に有するフ
ィルター材を浸漬する工程を経て製造することを特徴と
する白血球選択除去フィルター材の製造方法、及びかか
る方法によって製造された白血球選択除去フィルター材
に関するものである。
【0009】水溶液処理による血小板通過率向上の詳細
メカニズムは不明であるが、フィルター材表面の分子配
向の変化や、ポリマーコーティングでフィルター材表面
を改質した場合には、ポリマーによる基材の被覆率向上
が考えられる。分子配向説を支持する実験事実として、
例えば、非イオン性親水基を有する2−ヒドロキシエチ
ルメタクリレート(以下、HEMAと略する)と塩基性
官能基を有するジメチルアミノエチルメタクリレート
(以下、DMと略する)からなるランダムコポリマー
(以下、HM−3と略す。ポリマー中のDM含量は3モ
ル%)でコーティングした不織布に、表面張力が90d
yn/cmの水酸化ナトリウム水溶液を滴下すると、そ
の液体の湿潤時間は約3分であったのに対し、水溶液処
理を施した後に同様の操作を行うと、わずか30秒で湿
潤したことが挙げられる。
【0010】また、基材としてポリエチレンテレフタレ
ート製不織布を用い、これに上述のHM−3でコーティ
ングしたフィルター材についてTOF−SIMS(Ti
meof Flight Secondary Ion
Mass Spectroscopy)測定を行った
ところ、水溶液処理していない場合には、基材不織布由
来のフラグメントイオンのピーク(質量(m)と電荷
(z)の比(m/z)=104)が観測されたのに対
し、水溶液処理した場合には、基材不織布由来のフラグ
メントイオンのピークが観測されなかった。このこと
は、水溶液処理によって、ポリマーの被覆率向上の可能
性を示唆していると考えられる。このようなフィルター
材表面の分子配向変化及び/またはポリマー被覆率の向
上によって、血小板通過率が著しく向上したと考えられ
る。
【0011】また、本発明の水溶液処理によって、溶出
物が極めて少なく、安全性を高める効果が奏されること
も見出した。特に、この効果は、ポリマーをコーティン
グ等でフィルター材の基材表面に物理的に導入した場合
に顕著に認められた。おそらく該ポリマーに含まれてい
る比較的溶出性の高い低分子ポリマーや未反応の残存モ
ノマーが水溶液処理によって、除去されたためと考えら
れる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に、本発明についてさらに詳
細に記述する。本発明でいう水溶液による処理とは、フ
ィルター材を水溶液に浸漬することをいう。水溶液処理
を行う際の温度は20℃以上120℃未満、より好まし
くは40℃以上110℃未満、更に好ましくは50℃以
上95℃未満で行うことが相応しい。水溶液の温度が2
0℃未満であると血小板通過率の向上が小さくなるため
好ましくなく、120℃以上であると熱収縮によってフ
ィルター材の構造が変化し、血小板通過率を低下させ、
また水溶液による処理の危険性が高まるため好ましくな
い。
【0013】水溶液による処理時間は10秒以上60分
未満、好ましくは1分以上40分未満、更に3分以上3
0分未満であることが望ましい。処理時間が10秒未満
であると血小板回収率の向上が見られず、60分を超え
ると生産性が低下してしまうばかりか、ポリマーコーテ
ィングでフィルター材表面を改質した場合には、ポリマ
ーの脱落が起こりやすくなり、その結果、血小板回収率
が低下するため好ましくない。
【0014】本発明の水溶液としては、水、あるいは水
に無機塩やフィルター材を収縮させる等の悪影響を及ぼ
さず水と任意に混和しうる適切な有機溶媒を加えた水溶
液を使うことができる。この中でも経済性、取扱い性及
び安全性に優れる等の理由により、水単独であることが
望ましい。添加しうる無機塩は、塩化ナトリウム、塩化
カルシウム、炭酸ナトリウムであり、混和しうる有機溶
剤は、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピル
アルコール等のアルコール類である。
【0015】また、水溶液のpHは4以上9未満である
ことが良い。pHが4未満であると塩基性官能基を含む
ポリマーは水溶液中に溶出しやすくなるため相応しくな
く、pHが9以上であると、ポリエステル等の基材を用
いた場合に加水分解を起こしやすくなるため相応しくな
い。より好ましくは5以上8未満、更には6以上7.5
未満のpHである。また、その水溶液による処理は大気
圧から3気圧の気圧下で行うことが望ましい。
【0016】本発明の水溶液処理は、所定の長さに切断
したフィルター材を水溶液が入っている槽の中に含浸さ
せて所定時間処理する、いわゆるバッチ方式でも良い
し、水溶液槽の中に反物状のフィルター材を連続的に入
れて処理する、いわゆる連続方式でも良い。このような
処理を行っている際に、水溶液の槽を攪拌し、処理効率
を高める工夫を施しても良い。
【0017】水処理後のフィルター材の乾燥は、真空乾
燥、熱風乾燥、あるいはドラム乾燥等の様々な方法によ
って行うことができる。この中でも、生産性に優れ、か
つ取扱い性と安全性が高い熱風乾燥が好ましく、5m/
秒以上30m/秒未満、好ましくは10m/秒以上20
m/秒未満の風速で30℃以上90℃未満の熱風を1分
以上360分未満、好ましくは3分以上20分未満、フ
ィルター材に当てて乾燥させるのが良い。また、水溶液
で処理した後に、フィルター材をアルコール等の適切な
揮発性有機溶剤に入れ、低い乾燥温度で短時間乾燥して
も良い。上述したことからも明らかなように、本発明の
水溶液処理は極めて簡便で、大量にフィルター材を製造
することも可能な、優れた方法である。
【0018】次に、本発明のフィルター材について、詳
細に説明する。本発明の非イオン性親水基とは、極めて
イオン化し難く、親水性の高い形態の構造を有する官能
基を言う。非イオン性親水基をフィルター材表面に導入
するとフィルター材が血液と接触したときに濡れ易くな
るため、血液の片流れを防止する効果があり、この結
果、フィルター材における血液の流れ面積が増加し、白
血球除去能向上にも寄与することができる。また、本発
明の塩基性官能基とは、正の荷電を有する官能基を言
う。塩基性官能基は正の荷電を有しているため、生理的
条件下で負に荷電している白血球を静電的な相互作用に
よって吸着する効果がある。
【0019】本発明の非イオン性親水基としては、ヒド
ロキシル基、エチレンオキシド鎖、アミド基などを挙げ
ることができ、塩基性官能基としては、第一級アミノ
基、第二級アミノ基、第三級アミノ基、4級アンモニウ
ム基、およびピリジル基、イミダゾール基などの含窒素
芳香族等を挙げることができる。
【0020】また、フィルター材表面積あたりの塩基性
官能基密度は、0.1μeq/m2以上100μeq/
2未満、好ましくは1μeq/m2以上50μeq/m
2未満、更に15μeq/m2以上40μeq/m2未満
であることが望ましい。塩基性官能基の密度が0.1μ
eq/m2未満であると血小板とともに白血球も粘着し
にくくなる傾向にあるため相応しくなく、100μeq
/m2を超えると血小板が粘着しやすくなる傾向にある
ため相応しくない。
【0021】なお、フィルター材表面における塩基性官
能基の密度の測定は、公知の測定技術、即ち、オージエ
電子分光法(AES)、二次イオン質量分析法(SIM
S)、電子プローブ微小部分析法(EPMA)、X線光
電子分光法(XPS)、多重全反射赤外線分光計を用い
る赤外線吸光光度法(ATR−IR)などの表面分析技
術によって測定することができる。ポリマーコーティン
グ等によってフィルター材の表面に塩基性官能基を導入
した場合には、フィルター材の表面部分を適切な溶剤で
抽出し、その抽出成分に含まれる塩基性官能基の密度を
核磁気共鳴スペクトル(NMR)で求めるのが良い。フ
ィルター材の表面積当たりの塩基性官能基密度は、上述
した何れかの方法でフィルター材の単位重量当たりの塩
基性官能基密度(μeq/g)を求め、BET法で測定
したフィルター材の比表面積(m 2/g)で除すること
によって求めることができる。
【0022】フィルター材表面への非イオン性親水基及
び塩基性官能基の導入方法として、放射線グラフトやプ
ラズマグラフト等のグラフト法、あるいはポリマーによ
るコーティング法が挙げられる。この中でも、操作が簡
便で、製造性に優れることから、コーティング法が好ま
しい。コーティング法に用いることのできるポリマー
は、ビニル基等の重合性官能基を有するモノマーより通
常のラジカル重合、アニオン重合等によって合成するこ
とができる。また、2種またはそれ以上の複数種の異種
モノマーをランダム共重合、ブロック共重合させて合成
することもできる。
【0023】コーティング用ポリマーを合成しうるモノ
マーとして、例えば、非イオン性親水基を有するヒドロ
キシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレ
ングリコール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル
アミド等が挙げられ、塩基性官能基を有するジアルキル
アミノエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリ
ル酸誘導体等を挙げることができる。
【0024】本発明に用いることのできるフィルター材
の形態として、織布、網布、不織布等の繊維状媒体、連
続開放気孔を有するスポンジ状多孔質体や多孔膜等が挙
げられる。この中でも製造性に優れることから不織布で
あることが好ましい。
【0025】さらに、バブルポイント法によって測定し
て得られる平均孔径は2μm以上20μm未満のフィル
ター材であることが好ましい。平均孔径とは、例えばコ
ールターエレクトロニクス社製コールターRポロメータ
ーを使用し、約50mgの試料を用いて測定した値(ミ
ーン・フロー・ポアサイズ:MFP)である。平均孔径
が2μm未満であると全血製剤が流れ難くなるので好ま
しくなく、20μmを超えると白血球除去能が低下する
傾向にあるため好ましくない。より好ましい平均孔径の
範囲は3μm以上15μm未満であり、5μm以上12
μm未満が更に好ましい。
【0026】また、フィルター材の形態が繊維状媒体で
ある場合、その平均繊維径は、0.3μm以上3.0μ
m未満であることが好ましく、更に0.5μm以上1.
8μm未満であることが好ましい。平均繊維径が0.3
μm未満の場合には、全血製剤をろ過する際の圧力損失
が高すぎて実用的でない恐れがあり、3.0μm以上で
あると白血球除去能が低下する恐れがあるため好ましく
ない。なお、フィルター材の平均繊維径は、次の方法に
よって測定する。即ち、フィルター材そのものから実質
的に均一と認められる部分をサンプリングし、走査型電
子顕微鏡などを用いて写真に撮り、繊維軸に対して直角
方向の繊維の幅を50点以上、好ましくは100点以上
測定し、得られた個々の繊維径の値の総和を測定数で除
することによって平均繊維径を求めることとする。
【0027】フィルター材の基材の素材は、血液や血球
細胞成分にダメージを与えにくいものであれば如何なる
材質のものも使用できる。具体的には、ポリウレタン、
ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリスチ
レン、ポリアクリロニトリル、セルロース、セルロース
アセテートなどを挙げることができる。この中でも、ポ
リウレタンまたはポリエステルであることがより好まし
い。
【0028】本発明で言う全血製剤とは、ACD(アシ
ッドサイトレートデキストローズ)やCPD(サイトレ
ート・フォスフェート・デキストローズ)等の抗凝固剤
を含む、採血後3日以内、好ましくは1日以内の血液製
剤である。また、血小板の通過率をより高めるために、
採血後の全血製剤は室温で保存されるのが好ましい。通
常、このような全血製剤の保存は軟質ポリ塩化ビニルバ
ッグ等が好適に用いられている。
【0029】本発明で好適に用いられるフィルター材
は、0.1g/cm3以上0.3g/cm3未満、好まし
くは0.17g/cm3以上0.25g/cm3未満の嵩
密度である。ここで言う嵩密度とは、フィルター材の重
量をその体積(フィルター材の面積×ろ材厚み)で除し
た値である。嵩密度が0.1g/cm3未満であると、
白血球除去能が低下する恐れがあり、0.3g/cm3
を超えると血液の流れが極端に低下する恐れがあるため
好ましくない。
【0030】本発明の製造方法によって得た白血球選択
除去フィルター材を用いて白血球のみを選択的に除去し
た全血製剤を得た後、公知の遠心法によって、白血球が
除去された赤血球製剤、血小板製剤、及び血漿製剤の3
成分を調整することができる。
【0031】以下実施例に基づき本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例にのみ限定
されるものではない。
【実施例】
【実施例1】平均繊維径が1.2μmのポリエチレンテ
レフタレート製不織布(40g/m 2目付、厚み0.2
4mm、幅150mm)を15mの長さで切り出した。
HM−3をエタノールに溶解させて得た5g/dl濃度
のポリマー液を用い、下記の方法により連続的にコーテ
ィングした。まず、不織布を40℃に加温したポリマー
液に入れ、さらに0.13mmの隙間のロール間に導布す
ることでニップし、さらに長さ140mm×幅3mmの
スリット状の穴を有するサクション装置で吸引後、巻き
取った。この時のライン速度は3m/分とした。巻き取
ったコーティング後の不織布を帯状に広げ、室温下で1
6時間、自然乾燥させた。
【0032】帯状のコーティング後の不織布を1m間隔
で折り曲げ、その間にポリプロピレン製のメッシュを入
れることで不織布同士が接着するのを防止した後、pHが
6.9で60℃の熱水を蓄えた槽の中に20分間漬け
た。このような水溶液処理が終わった不織布を、40℃
の熱風乾燥機の中に入れ、15m/秒の風速で3時間乾
燥させた。かくして得られたフィルター材を切り出し、
直径30mmのホルダーに4枚重ねて充填することで全
血製剤をろ過するフィルターを作成した。なお、フィル
ター材の平均孔径は8μmであり、フィルター材表面の
塩基性官能基蜜度は17μeq/m2であった。作製したフ
ィルターの、全血製剤が流れ得る有効ろ過面積は4.9
cm2であり、フィルター材の充填密度は0.18g/cm
3であった。
【0033】HM−3ポリマーは通常のラジカル重合に
よって合成した。即ち、エタノール中のモノマー濃度を
1モル/Lとし、開始剤としてアゾビスイソブチロニト
リル(AIBN)を1/200モル/Lの存在下、60
℃で8時間重合反応を行った。抗凝固剤としてCPDを
用い、採血後室温で5時間保存した全血製剤(6mL)
を、上記のフィルターで、2.7mL/分の一定流速で
ろ過した。なお、全血製剤の量(mL)とは、天秤等で
全血製剤の重量(g)を測定した後に、その値を1.0
5(全血製剤の比重)で除して求めた。
【0034】白血球除去能の測定は、次の方法により行
った。ろ過前の全血製剤中の白血球濃度は、チュルク液
で白血球を染色後、光学顕微鏡を用いて測定した。ろ過
後の全血製剤中の白血球濃度は、アクリジンオレンジ液
で漏れてきた白血球を染色し、蛍光顕微鏡を用いて測定
した。かくして得られたろ過前及びろ過後の白血球濃度
より、次式により、白血球除去能を求めた。 白血球除去能=−Log(ろ過後の白血球濃度/ろ過前
の白血球濃度)
【0035】血小板通過率は、ろ過前及びろ過後の血小
板濃度を多項目自動血球計数装置(Sysmex社製、
K−4500)を用いて測定し、次式により求めた。 血小板通過率=(ろ過後血小板濃度/ろ過前血小板濃
度)×100(%) 以上の結果、白血球除去能は2.1、血小板通過率は8
4%であった。また、ろ過前後の赤血球濃度及び血漿蛋
白濃度に有意差は見られなかった。
【0036】次に、基材不織布由来のオリゴマー等の溶
出する有機物を定量するために、下記に示す溶出物試験
(過マンガン酸消費量の測定)を行った。まず、フィル
ター材を1cm×1cm程度の大きさに切断し、1.5
g計量した。このフィルター材を150mLの水の入っ
た三角フラスコに入れ、30分間煮沸した。冷却後、抽
出液をろ紙でろ過してコニカルビーカーに移し、全量が
150mLになるようにろ液に水を加え、試験液とし
た。フィルター材から抽出を行わない、いわゆるブラン
ク液を同様の操作で作成した。試験液及びブランク液か
ら10mLずつ三角フラスコに採取し、これに0.01
Nの過マンガン酸カリウム(20mL)と希硫酸(1m
L)を加え、3分間煮沸した。冷却後の液にヨウ化カリ
ウム(0.1g)を加えて密栓し、振り混ぜて10分間
放置した。さらに0.01Nのチオ硫酸ナトリウム(1
0mL)とデンプン試薬(5滴)を加え、その後、液の
色が無色になるまでチオ硫酸ナトリウムを滴下した。試
験液及びブランク液それぞれについて上記の滴定を行
い、下記の式より過マンガン酸消費量を求めた。 過マンガン酸消費量=(ブランク液での滴定量−試験液
での滴定量)(mL) このような試験を行った結果、過マンガン酸消費量は
0.1mLであった。
【0037】
【実施例2〜7、比較例1〜2】実施例1と同様の方法
でコーティングした不織布を、表1に示す条件で水溶液
処理した後、実施例1と同様の血液ろ過試験及び過マン
ガン酸諸費量の測定を行った。結果を表1に示す。
【0038】
【比較例3】水溶液処理を行わなかった以外は、実施例
1と同様のコーティングした不織布を用いて血液ろ過試
験及び過マンガン酸消費量の測定を行った。結果を表1
にまとめる。実施例1〜7,及び比較例1〜3の結果を
表1に示す。
【0039】
【表1】
【実施例8】HM−3の代わりに、HEMAとジエチル
アミノエチルメタクリレート(以下、DEと略す)から
なるポリマー(ポリマー中のDE含量は5モル%)を用
い、実施例1と同様のコーティング、水溶液処理及び乾
燥を行った。得られたフィルター材の平均孔径は8μ
m、塩基性官能基密度は28μeq/m2であった。次
に、このフィルター材4枚を実施例1と同様のホルダー
に、0.19g/cm3の充填密度で充填し、血液ろ過
試験を行った。その結果、白血球除去能(−Log)は
1.8、血小板回収率は76%であった。また、過マン
ガン酸消費量は0.3mLであった。
【実施例9】基材として平均繊維径が1.9μmのポリ
ブチレンテレフタレート製不織布(40g/m2目付、
厚み0.22mm、幅150mm)を用いた以外は実施
例1と同様の材料と操作でフィルター材を作成した。作
成したフィルター材の平均孔径は10μm、塩基性官能
基密度は27μeq/m2であり、このフィルター材の
充填密度は0.20g/cm3であった。血液ろ過試験
を行った結果、白血球除去能(−Log)は1.4、血
小板回収率は90%であった。また、過マンガン酸消費
量は0.5mLであった。
【0040】
【発明の効果】水溶液処理という極めて簡便な製造方法
によって、全血製剤から白血球除去能を低下させること
なく、血小板通過率を格段に向上することができる白血
球選択除去フィルター材を提供することができる。本発
明の白血球除去フィルター材は、赤血球、血小板、血漿
成分及び白血球を含む全血製剤から、赤血球、血小板及
び血漿成分の損失を極めて少なく抑えつつ、白血球を選
択的に、かつ効率よく除去することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4C077 AA12 AA30 BB02 CC06 KK11 KK13 KK27 LL12 MM07 MM09 NN02 PP08 PP27 4D006 GA02 HA41 KE16Q KE16R MA03 MA06 MA22 MB02 MB09 MC48 MC48X MC53 MC72 NA41 NA46 NA59 NA60 NA63 NA64 PB09 PB45 PC41

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】表面に非イオン性親水基と塩基性官能基と
    を有するフィルター材を20℃以上120℃未満の水溶
    液で処理することを特徴とする白血球選択除去フィルタ
    ー材の製造方法。
  2. 【請求項2】請求項1記載の方法で製造された白血球選
    択除去フィルター材。
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