JP2001284737A - レーザ半導体装置 - Google Patents

レーザ半導体装置

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JP2001284737A
JP2001284737A JP2000099863A JP2000099863A JP2001284737A JP 2001284737 A JP2001284737 A JP 2001284737A JP 2000099863 A JP2000099863 A JP 2000099863A JP 2000099863 A JP2000099863 A JP 2000099863A JP 2001284737 A JP2001284737 A JP 2001284737A
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semiconductor device
semiconductor
laser
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Takeshi Miki
剛 三樹
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Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 キャリアのバリアとなる材料を基板に対する
格子整合条件によらず選択できるレーザ半導体装置を提
供する。 【解決手段】 半導体基板101上にクラッド層11
0,108,104および活性層106を設けて構成さ
れるレーザ半導体装置に、圧縮歪みと引っ張り歪みを有
する複数の半導体層を積層して構成される超格子構造
膜、即ち、第1の半導体層1091(p型ZnTe)と
第2の半導体層1092(p型AlAsP)を積層して
構成される超格子構造膜を備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レーザ光を発振す
るレーザ装置にかかり、特に半導体を用いて構成される
レーザ半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】レーザ半導体に用いられる半導体素子で
あるレーザ半導体装置には、基板上にクラッド層と呼ば
れる比較的禁制帯幅が広い部材の層を設け、このクラッ
ド層の間に活性層とよばれるクラッド層よりも禁制帯幅
が狭い活性層を設けたものがある。クラッド層には、正
孔よりも電子が多く存在するn型のクラッド層と、電子
よりも正孔が多く存在するp型のクラッド層があり、n
型のクラッド層からは活性層に電子が注入される。ま
た、p型のクラッド層からは活性層に正孔が注入され
る。電子と正孔とは、活性層において再結合し、再結合
の過程に応じたエネルギーの光を発生する。
【0003】上記した構成のレーザ半導体装置では、ク
ラッド層の禁制帯幅と活性層の禁制帯幅との差が比較的
小さい場合、活性層に注入された電子および正孔(両者
を併せてキャリアという)がクラッド層に向かって流れ
る現象(オーバーフロー)が発生する。オーバフロー
は、レーザ半導体装置がレーザ発振する閾値電流を増加
させると共に、特性温度を低下させる。閾値電流の増加
は、レーザ半導体装置の発振効率の低下を意味し、ま
た、特性温度の低下は、環境温度変化による閾値電流の
変動が大きくなり、レーザ半導体装置の特性を不安定に
する原因になる。
【0004】キャリアのオーバーフローを起こしやすい
材料としては、GaInAs、GaInP、AlGaI
nP、GaInPといった系統の材料が挙げられる。G
aInAs、GaInP系統の材料(GaInAs/G
aInP系材料)は、光ファイバを用いた光通信システ
ムにおいて主に幹線系に用いられ、ペルチェ素子によっ
て環境温度を調整することにより閾値電流の変動を抑え
ている。
【0005】光ファイバを用いた光通信システムは、将
来的に各家庭で利用することが望まれている。各家庭光
通信システムを利用するには、光通信システムの装置構
成を小型化および低コスト化する必要がある。しかしな
がら、ペルチェ素子を備える装置構成は、当然のことな
がらペルチェ素子の分だけ大型化する上にコストがかか
り、小型化、低コスト化に不利である。
【0006】一方、AlGaInP、GaInP系統の
材料(AlGaInP/GaInP系材料)は、DVD
(Digital Versatile Disc)用
のピックアップの赤色レーザ光源(波長635〜650
nm)に使用されている。しかし、前記したように活性
層とクラッド層との禁制体幅の差が比較的小さいことか
ら、再生時の定格出力である数mWのレーザは出力でき
るものの、書込みに使用される数十mWのレーザを出力
することはできない。
【0007】ところで、半導体基板に対し、原子数個の
層でなる薄い半導体の膜(半導体薄膜)を成膜すること
によって超格子構造を設け、電子の運動を制御する技術
(Iga et al Electron.Let
t.,vol.22,pp−1008−1010,19
86)が報告されている。この超格子構造は、超格子に
よるバリア構造(Multiple Quantum
Barrier,以下、MQBと記す)と呼ばれ、通信
に用いられる波長領域が1.5μm帯のレーザなどに用
いることが報告されている(N.Ohnoki et
al.)。この報告によれば、5nmの厚さを持つAl
Asを3層、1nmの厚さを持つAlInAsを2層I
nP基板に格子整合したAlInAsで構成されたAl
As/AlInAsMQBが設けられたレーザ半導体装
置の特性温度は、122Kである。
【0008】また、Munakata et alは、
InP基板に格子整合したAlInAsの単層膜をES
L(Electron Stopper Layer)
として成膜することにより、波長領域が1.3μm帯の
レーザ半導体装置の特性が改善されることを報告してい
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、MQB
は、単層ではバリア層として動作しないような薄いバリ
ア層と井戸層との周期的なポテンシャルの繰り返しによ
り、電子の干渉をさせることにより、電子に対するバリ
アを形成している。AlAs/AlInAsMQBにお
いては、AlAs層がバリア層を構成し、AlInAs
が井戸層を構成している。このため、AlAs、AlI
nAsの厚さが設計値と異なった場合、電子に対するバ
リアとしての特性が低下し、レーザ特性のバラツキの一
因となる。ところが、MQBに設けられる半導体薄膜
は、量子効果が得られるほどに薄いために膜厚の制御が
困難である。このため、MQBを用いたレーザ半導体装
置は、量産化に不向きであるという欠点がある。
【0010】また、ESLは、MQBにおけるバリア層
と井戸層の厚さのバラツキに起因する特性の劣化を防ぐ
ことができる。ただし、基板と格子定数が異なる材料を
基板上に成膜する場合には、基板に格子定数の相違に応
じた歪が成膜中に与えられ、膜質が悪化し易く、甚だし
くはクラック等のマクロな欠陥を生ずる場合がある。E
SL中の歪量はESLの厚さに比例し、クラック等のマ
クロな欠陥を生じない臨界の膜厚(臨界膜厚)は、格子
定数の相違および成膜の条件によって変化する。
【0011】たとえば、MOCVD(Metal Or
ganic Chemical Vapor Depo
sition)によって20nmの単層膜を基板上に成
膜する場合、基板との格子不整合性は1%以内に制限さ
れる。このため、ESLに用いられる材料は選択の自由
度が低くなり、禁止帯幅が大きい材料として適切なもの
を見出すことが困難である。現在、ESLにAlInA
s膜を材料としたレーザ半導体装置では、88K以上の
特性温度を得ることが難しいとされている。
【0012】一方、禁止帯幅がより大きい材料をクラッ
ド層に用いる試みとしては、GaAs基板上に設けられ
たAlGaInP系のレーザ半導体にp型ZnTe/Z
nSe超格子クラッド層を設けた技術がある(特開平9
−135055号公報)。しかし、特開平9−1350
55号公報に記載された発明では、AlGaInP系材
料におけるZnの拡散速度が速いことから、Znがクラ
ッド層、さらには活性層にも拡散してレーザ発振の閾値
電流が変動する可能性がある。
【0013】本発明は、上記の点に鑑みてなされたもの
であって、キャリアのバリアとなる材料を基板に対する
格子整合条件によらず選択できるレーザ半導体装置を提
供することを目的とする。また、本発明は、AlGaI
nP系材料中へのZnの拡散を抑えることが可能なレー
ザ半導体装置を提供することを特徴とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】以上の課題は、以下の手
段によって解決できる。すなわち、請求項1に記載の発
明は、半導体基板上にクラッド層および活性層を設けて
構成されるレーザ半導体装置であって、前記半導体基板
上に、圧縮歪みと引っ張り歪みを有する複数の半導体層
を積層して構成される超格子構造膜を備えたことを特徴
とするものである。
【0015】このように構成することにより、複数の半
導体層の間で歪みが相殺されることにより基板と格子整
合する超格子構造膜を構成することができる。
【0016】請求項2に記載の発明は、前記超格子構造
膜が、前記クラッド層の内部に設けられることを特徴と
するものである。
【0017】このように構成することにより、キャリア
が活性層からクラッド層へオーバーフローすることをク
ラッド層の内部で防ぐことができる。このため、半導体
装置の層構造によらず超格子構造膜を設けることができ
る。
【0018】請求項3に記載の発明は、さらに、前記活
性層と前記クラッド層との間にガイド層を備え、前記超
格子構造膜は、前記ガイド層、または前記ガイド層と前
記クラッド層との境界面に設けられることを特徴とする
ものである。
【0019】このように構成することにより、半導体装
置における超格子構造膜の設計の自由度をより高めるこ
とができる。
【0020】また、請求項4に記載の発明は、前記クラ
ッド層がp型クラッド層であり、かつ、前記超格子構造
膜は、Znを含むIIB族からVIB族に属する化合物を含
む第1の半導体層を、Asを含むIIIB族からVB族に
属する化合物を含む第2の半導体層で挟む構成を有して
いることを特徴とするものである。
【0021】このように構成することにより、クラッド
層中の不純物がドーピングされた領域、および活性層で
のZnの拡散を制御することができる。
【0022】また、請求項5に記載の発明は、前記第1
の半導体層がZnTeであって、前記第2の半導体層が
AlAsであることを特徴とするものである。
【0023】このように構成することにより、InP基
板に対して比較的格子不整合の少ない(4%)材料によ
り超格子構造膜を形成することができる。
【0024】また、請求項6に記載の発明は、前記第1
の半導体層がZnTeであって、前記第2の半導体層が
AlxGa1-xAsであることを特徴とするものである。
【0025】このように構成することにより、クラッド
層中の不純物がドーピングされた領域、および活性層で
のZnの拡散を制御することができる。
【0026】また、請求項7に記載の発明は、前記第2
の半導体層が、不純物の注入がなされていないアンドー
ピング層であることを特徴とするものである。
【0027】このように構成することにより、第2の半
導体層(AlxGa1-xAs)のZn濃度を低下すること
ができる。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、実
施の形態1、実施の形態2の順に説明する。 (実施の形態1)図1は、本発明の実施の形態1のレー
ザ半導体装置を説明するための図である。図1(a)
は、実施の形態1のレーザ半導体装置の主要な層を示し
た断面図であり、(b)は、(a)中の超格子構造を持
った半導体膜(超格子構造膜)を拡大して示す図であ
る。なお、図1に示したレーザ半導体装置は、絶縁膜ス
トライプ型レーザとして構成されたものである。また、
図1(a)に示した層構造は、SCH(Separat
e Confinement Heterostruc
ture)と呼ばれる構造である。
【0029】実施の形態1のレーザ半導体装置は、半導
体基板上にクラッド層および活性層を設けて構成される
レーザ半導体装置であって、半導体基板上に、圧縮歪み
と引っ張り歪みを有する複数の半導体層を積層して構成
されるバリア層を備えている。
【0030】すなわち、実施の形態1のレーザ半導体装
置は、基板102の裏面(図中の下面)にn型電極10
1を備え、表面には下から順にバッファ層103、下部
クラッド層104、光ガイド層105、活性層106、
光ガイド層107、上部クラッド層108、超格子構造
膜であるバリア層109、上部クラッド層110、コン
タクト層111および絶縁膜層112、p型電極113
が形成されている。
【0031】基板102はGaAs基板であり、例えば
(001)面から(111)A方向に8度傾いた面方位
のものを用いることができる。バッファ層103はn型
のGaAs層(0.1μm)である。下部クラッド層1
04は、n型のAl0.35Ga 0.25In0.5P層(1.5
μm)、光ガイド層105は、n型のAl0.35Ga0.2 5
In0.5P層(100nm)である。また、活性層10
6は、Ga0.65In0.45P層(10nm)、光ガイド層
107は、p型のAl0.25Ga0.25In0.5Pである
(100nm)。上部クラッド層108は、p型のAl
0.35Ga0.15In0. 5P層(0.2μm)である。上部
クラッド層110は、p型のAl0.35Ga0.1 5In0.5
P層(1.3μm)である。コンタクト層111は、p
型のGaAs層(0.3μm)であり、電流注入部分以
外はエッチングにより除去されている。絶縁膜層112
には、SiO2を用いている。
【0032】実施の形態1のバリア層109は、上部ク
ラッド層108、上部クラッド層110の間、つまり、
上部クラッド層108と上部クラッド層110層とで構
成される上部クラッド層全体の内部に設けられている。
また、バリア層109は、図1(b)に示すように、Z
nを含むIIB族からVIB族に属する化合物を含む第1の
半導体層1091を、Asを含むIIIB族からVB族に
属する化合物を含む第2の半導体層1092で挟む構成
を有している。なお、実施の形態1では、第1の半導体
層1091を2nm厚のp型ZnTe膜とし、第2の半
導体層1092を2nm厚のp型AlAsP膜としてい
る。
【0033】バリア層109のうちの第1の半導体層1
091であるZnTeは圧縮方向の歪を有する。一方、
第2の半導体層1092であるAlAsPは、引っ張り
方向の歪を有する。圧縮方向、引っ張り方向といったそ
れぞれ歪方向の異なる2種類の半導体膜を臨界膜圧以内
の厚さに交互に形成されたことにより、圧縮方向の歪と
引っ張り方向の歪とが互いに相殺され、臨界膜厚を越え
るバリア層の形成が可能となる。
【0034】したがって、実施の形態1は、基板102
に対する歪が小さいバリア層109を基板102上に成
膜することができ、トータル膜厚20nm(第1の半導
体層1091、第2の半導体層1092をそれぞれ5層
ずつ設けた場合)のバリア層109を形成することがで
きる。また、このように基板102との格子整合に起因
する超格子構造中の歪みを緩和できる層構造の組み合わ
せを以降、歪補償型超格子層ともいう。
【0035】図2は、以上説明した歪補償型超格子層の
エネルギーバンドを説明する図である。図2では、特に
問題となる電子のクラッド層へのオーバーフローを説明
するため、伝導帯のバンド図を示している。従来のSC
H構造では、活性層106に注入された電子は上部クラ
ッド層108(エネルギーレベルをEcで示す)との伝
導帯オフセットにより活性層に閉じこめられている。し
かし、AlGaInP系赤色半導体レーザーにおいて
は、活性層106のGa0.65In0.45P層と上部クラッ
ド層108のp型のAl0.35Ga0.15In0.5P層の伝
導帯オフセットが小さく、高注入密度下では、電子のあ
ふれ出しが顕著となる。
【0036】電子のあふれ出しを防ぐため、本実施の形
態では、クラッド層中にAlAsP/ZnTe超格子よ
りなるバリア層109を設けた。バリア層109は、図
中に示すように、第1の半導体層1091であるZnT
e(光ガイド層105とのエネルギーギャップΔEcと
して示す)、第2の半導体層1092であるAlAsP
のいずれもがp型のAl0.35Ga0.15In0.5P層であ
る上部クラッド層108より伝導帯オフセットが大きな
材料であるため、より効果的に電子を活性層中に閉じこ
めることができる。
【0037】以上のように、実施の形態1のレーザ半導
体装置は、格子不整合に関わらずバリア層に用いられる
材料を選択することができる。このため、バリア層選択
の自由度が増す。また、充分なキャリアの閉じこめ効果
が上げられる厚さまでバリア層を厚くすることができ、
より効果的にキャリアのオーバーフローを防止できるバ
リア層を形成することができる。また、実施の形態1で
述べたバリア層109は、MQBで用いられる超格子構
造膜のように量子効果の発現を必要とするものではな
く、膜厚のバラツキによるレーザ特性への影響が少な
い。
【0038】また、Asを含むIIIB族〜VB族の化合
物半導体層内部でのZnの拡散が比較的緩やかであるこ
とから、実施の形態1のレーザ半導体装置は、第1の半
導体層1091であるZnTeを第2の半導体層109
2であるAlAsPで挟み、Znが上部クラッド層10
8、上部クラッド層110に拡散することを防ぐことが
できる。
【0039】なお、本発明は、以上述べた実施の形態1
の構成に限定されるものではない。すなわち、第2の半
導体層1092であるAlAsPの代わりに、たとえ
ば、AlGaAsのようなAlxGa1-xAsを用いても
良い。このように構成した場合には、AlxGa1-xAs
を不純物の注入がなされていないアンドーピング層とす
ることにより、不純物のドーピングによりp型化された
クラッド層におけるZnの濃度プロファイルの制御性を
より高めることもできる。
【0040】また、バリア層は、クラッド層の内部に設
けられることに限定されるものでなく、p型の光ガイド
層107と上部クラッド層108との境界面に設けても
良い。
【0041】実施の形態1では、SCH構造による積層
構造の例を示した。さらに、本発明のレーザ半導体装置
は、量子井戸を用いた、たとえば、SQW(Singl
eQuantum Well)、DQW(Double
Quantum Well)、MQW(Multip
le Quantum Well)、といった他の構造
を用いても実施することができる。また、バリア層とな
る超格子構造膜の成膜方法、各層の厚さおよび組成など
は、以上述べた実施の形態1に限定されるものではな
く、必要に応じて変更することが可能である。
【0042】(実施の形態2)図3は、本発明の実施の
形態2のレーザ半導体装置を説明するための図である。
図3(a)は、実施の形態2のレーザ半導体装置の主要
な層を示した断面図であり、(b)は、(a)中の歪補
償型超格子層を拡大して示す図である。さらに、(c)
は、(a)中の他の歪補償型超格子層を拡大して示す図
である。なお、図3に示したレーザ半導体装置は、絶縁
膜ストライプ型レーザとして構成されたものである。ま
た、図3(a)に示した層構造は、SCH−DQW(S
eparate Confinement Heter
ostructure Double Quantum
Well)と呼ばれる構造である。
【0043】実施の形態2のレーザ半導体装置は、半導
体基板上にクラッド層および活性層を設けて構成される
レーザ半導体装置であって、圧縮歪みと引っ張り歪みを
有する複数の半導体層を積層して構成される超格子構造
膜を、実施の形態1と同様に上部クラッド層の内部に設
けている。
【0044】すなわち、実施の形態2のレーザ半導体装
置は、基板202の裏面(図中の下面)にn型電極20
1を備え、表面には下から順に下部クラッド層203、
光ガイド層204、キャリアのバリアとして機能する層
を備えた活性層205、光ガイド層206、上部クラッ
ド層207、歪補償型超格子層であるバリア層208、
上部クラッド層209、コンタクト層210および絶縁
膜層211、p型電極212が形成されている。
【0045】基板202は、n型のInP基板である。
下部クラッド層203は、n型のInP層(1.5μ
m)であり、光ガイド層204は、n型のIn0.75Ga
0.25As0.550.45(100nm)である。また、光ガ
イド層206は、不純物の注入がなされていない(ノン
ドーピング層)のIn0.75Ga0.25As0.550.45(1
00nm)である。さらに、上部クラッド層207は、
p型のInP(0.2μm)であり、バリア層208
は、p型のAlAs(4nm,6層)、p型のZnTe
(4nm,5層)で構成されている。
【0046】また、上部クラッド層209は、p型のI
nP(1.3μm)であり、コンタクト層210は、p
型のInGaAsP(0.3μm)である。絶縁膜層2
11には、SiO2を用いている。
【0047】実施の形態2のバリア層208は、実施の
形態1と同様に、上部クラッド層209と上部クラッド
層207とで構成される上部クラッド層全体の内部に設
けられている。そして、第1の半導体層2081を4n
m厚のp型ZnTe膜とし、第2の半導体層2082を
4nm厚のp型AlAs膜としている。
【0048】また、図3(c)に示した実施の形態2の
活性層205は、光ガイド層204、光ガイド層206
の中に設けられている。そして、第1の半導体層(バリ
ア層)2051であるIn0.75Ga0.25As0.550.45
(13nm)を第2の半導体層(井戸層)2052であ
るノンドープのIn0.75Ga0.25As0.550.4(10
0nm)で挟んで構成されている。
【0049】なお、本発明は、以上述べた実施の形態2
の構成に限定されるものではない。すなわち、実施の形
態2は、第1の半導体層(バリア層)2051、第2の
半導体層(井戸層)2052の構造を二重量子井戸構造
に限定するものではなく、他の井戸数の量子井戸(SQ
W、MQW)やダブルへテロ(DH)などを用いて実施
することもできる。また、各層の厚さおよび組成など
は、以上述べた実施の形態2に限定されるものではな
い。
【0050】
【発明の効果】以上説明した本発明は、以下の効果を奏
する。すなわち、請求項1に記載の発明は、超格子を構
成する層の間で歪みが相殺されることにより基板と格子
整合する超格子構造膜を構成することができる。このた
め、キャリアのバリアとなる材料を基板に対する格子整
合条件によらず選択できるレーザ半導体装置を提供する
ことができる。
【0051】請求項2に記載の発明は、半導体装置の層
構造によらず超格子構造膜を設けることができ、超格子
構造膜が適用できる半導体装置の範囲を広げることがで
きる。
【0052】請求項3に記載の発明は、半導体装置にお
ける超格子構造膜の設計の自由度をより高めることがで
き、超格子構造膜が適用できる半導体装置の範囲を広げ
ることができる。
【0053】請求項4に記載の発明は、クラッド層中の
不純物がドーピングされた領域、および活性層でのZn
の拡散を制御することができる。このため、低閾値で駆
動するレーザ半導体装置を提供することができる。
【0054】請求項5に記載の発明は、InP基板に対
して比較的格子不整合の少ない(4%)材料により超格
子構造膜を形成することができる。このため、超格子構
造膜の構成を簡易化することができる。
【0055】請求項6に記載の発明は、AlGaInP
系材料中へのZnの拡散を抑えることが可能なレーザ半
導体装置を提供することができる。
【0056】請求項7に記載の発明は、p型クラッド層
におけるZn濃度プロファイルの制御性を高めることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は、本発明の実施の形態1のレーザ
半導体装置の断面図を示す図である。また、(b)は、
図1(a)中のバリア層を拡大して示す図である。
【図2】本発明の実施の形態1の超格子構造膜のエネル
ギーバンド図である。
【図3】図3(a)は、本発明の実施の形態2のレーザ
半導体装置の断面図を示す図である。また、(b)は、
図3(a)中のバリア層を拡大して示す図である。さら
に、(c)は、図3(a)中の他のバリア層を拡大して
示す図である。
【符号の説明】
101,201 n型電極 102,202 基板 103 バッファ層 104,203 下部クラッド層 105,107,204,206 光ガイド層 106,205 活性層 108,110,207 上部クラッド層 109,208 バリア層 111,210 コンタクト層 112,211 絶縁膜層 113,212 p型電極 209 上部クラッド層 1091,2081 第1の半導体層 1092,2082 第2の半導体層

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体基板上にクラッド層および活性層
    を設けて構成されるレーザ半導体装置であって、 前記半導体基板上に、圧縮歪みと引っ張り歪みを有する
    複数の半導体層を積層して構成される超格子構造膜を備
    えたことを特徴とするレーザ半導体装置。
  2. 【請求項2】 前記超格子構造膜は、前記クラッド層の
    内部に設けられることを特徴とする請求項1に記載のレ
    ーザ半導体装置。
  3. 【請求項3】 さらに、前記活性層と前記クラッド層と
    の間にガイド層を備え、前記超格子構造膜は、前記ガイ
    ド層、または前記ガイド層と前記クラッド層との境界面
    に設けられることを特徴とする請求項1に記載のレーザ
    半導体装置。
  4. 【請求項4】 前記クラッド層はp型クラッド層であ
    り、かつ、前記超格子構造膜は、Znを含むIIB族から
    VIB族に属する化合物を含む第1の半導体層を、Asを
    含むIIIB族からVB族に属する化合物を含む第2の半
    導体層で挟む構成を有していることを特徴とする請求項
    1〜3のいずれか一つに記載のレーザ半導体装置。
  5. 【請求項5】 前記第1の半導体層がZnTeであっ
    て、前記第2の半導体層がAlAsであることを特徴と
    する請求項4に記載のレーザ半導体装置。
  6. 【請求項6】 前記第1の半導体層がZnTeであっ
    て、前記第2の半導体層がAlxGa1-xAsであること
    を特徴とする請求項4に記載のレーザ半導体装置。
  7. 【請求項7】 前記第2の半導体層は、不純物の注入が
    なされていないアンドーピング層であることを特徴とす
    る請求項6に記載のレーザ半導体装置。
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