JP2001281202A - バイオセンサおよびその製造方法 - Google Patents
バイオセンサおよびその製造方法Info
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Abstract
が容易に溶解し、迅速に高精度の測定が可能なバイオセ
ンサを提供する。 【解決手段】 反応層を形成する材料を昇華性を有する
物質からなる溶媒に溶解し、その溶液を反応層形成位置
に配置し、これを凍結した後、減圧下において前記凍結
された溶液の固形物中の溶媒を昇華させて除去する方法
によって反応層を形成する。この方法を採ることによ
り、反応層の表面積が大きく、試料液に溶解しやすくな
り、迅速な測定が可能となる。
Description
について、迅速、高精度、かつ簡便に定量することがで
きるバイオセンサ、特にその反応層の形成方法に関す
る。
液の希釈や攪拌などを行うことなく簡易に定量する方式
として、次のようなバイオセンサが提案されている(特
開平2−062952号公報)。このバイオセンサは、
絶縁性の基板上にスクリーン印刷等の方法で測定極、対
極および参照極からなる電極系を形成し、この電極系上
に、親水性高分子と酸化還元酵素および電子メディエー
タを含む酵素反応層を形成したものである。この酵素反
応層には、必要に応じて緩衝剤が加えられる。このよう
にして作製されたバイオセンサの酵素反応層上に、基質
を含む試料液を滴下すると、酵素反応層が溶解して、酵
素と基質が反応し、さらに電子メディエータが還元され
る。酵素反応終了後、この還元された電子メディエータ
を電気化学的に酸化する酸化電流値から試料液中の基質
濃度を求めることができる。
ンサについて説明する。グルコースの定量方法として
は、グルコースオキシダーゼと酸素電極または過酸化水
素電極とを組み合せた方式が一般に知られている。グル
コースオキシダーゼは、酸素を電子メディエータとして
基質であるβ−D−グルコースをD−グルコノ−δ−ラ
クトンに選択的に酸化する。この反応にともない酸素は
過酸化水素に還元される。このときの酸素消費量を酸素
電極によって測定するか、または過酸化水素の生成量を
白金電極等を用いた過酸化水素電極によって測定するこ
とにより、グルコースの定量が行われる。しかし、上記
の方法では、測定対象によっては溶存酸素濃度の影響を
大きく受け、また酸素のない条件下では測定が不可能と
なる。そこで、酸素を電子メディエータとして用いず、
フェリシアン化カリウム、フェロセン誘導体、キノン誘
導体などの金属錯体や有機化合物を電子メディエータと
して用いるタイプのグルコースセンサが開発されてい
る。
生じた電子メディエータの還元体を電極で酸化し、その
酸化電流値からグルコース濃度を求めることができる。
このようなバイオセンサは、測定対象物質を基質とする
酵素を用いることで、様々な物質に対する測定が原理的
には可能である。例えば、酸化還元酵素にコレステロー
ルオキシダーゼまたはコレステロールデヒドロゲナーゼ
およびコレステロールエステラーゼを用いれば、各種医
療機関で診断指針に用いられる血清中コレステロール値
を測定することができる。コレステロールエステラーゼ
の酵素反応の進行は非常に遅いので、適切な界面活性剤
を添加することにより、コレステロールエステラーゼの
活性を向上させ、全体の反応に要する時間を短縮するこ
とができる。
ディエータの一つであるフェリシアン化カリウムを単独
または他の反応層構成成分とともに溶媒に溶解し、この
溶液を基板の反応層形成位置に滴下し、温風乾燥して層
を形成すると、フェリシアン化カリウムは、長手方向の
大きさが1mm以上の針状になって析出する。そのた
め、得られる反応層の形状を不均一なものとし、センサ
の測定精度を悪化させる原因になっていた。また、コレ
ステロールセンサにおいては、反応層は、グルコースセ
ンサに比べて酵素を高濃度に含むため、反応層形成用液
を温風乾燥などにより反応層を形成した場合、試料液へ
の溶解が遅く、応答性を悪化させたりする原因となって
いた。本発明は、上記課題に鑑み、高精度で、かつ高濃
度域における基質の応答性が優れたバイオセンサを提供
することを目的とする。
化カリウムのように水溶液からの乾燥により結晶として
析出するなどの試薬あるいは高濃度の酵素を含む反応層
を形成するには、当該反応層を形成する材料を昇華性を
有する物質からなる溶媒に溶解し、その溶液を反応層形
成位置に配置し、これを凍結した後、減圧下において前
記凍結された溶液の固形物中の溶媒を昇華させて除去す
る方法を採ることにより、表面積が大きく、試料液に溶
解しやすい反応層が得られることを見いだしたことに基
づくものである。本発明は、絶縁性の基板、前記基板上
に設けられた測定極と対極を有する電極系、および少な
くとも酸化還元酵素と電子メディエータを含む反応試薬
系を具備し、前記反応試薬系を構成する試薬が前記電極
系上またはその近傍に、単独または複数の反応層として
形成されたバイオセンサの製造方法であって、前記試薬
系中の特定の少なくとも1種の試薬を含む反応層を形成
する工程が、 1)当該特定の反応層を形成する試薬を、昇華性を有す
る物質からなる溶媒に溶解する工程、 2)得られた溶液を前記反応層の形成位置に配置する工
程、 3)前記溶液を凍結する工程、および 4)減圧下において前記凍結された溶液の固形物中の溶
媒を昇華させて除去する工程からなるバイオセンサの製
造方法を提供する。
の反応層は、前記反応試薬系を構成する試薬のすべてを
含む。本発明の他の好ましい態様において、複数の反応
層を有し、そのうちの特定の反応層のみが前記試薬系中
の特定の少なくとも1種の試薬を含む。本発明のさらに
他の好ましい態様において、前記試薬系中の特定の少な
くとも1種の試薬が、複数層に積層された反応層の最上
層のみに含まれ、前記複数層に積層された反応層を形成
する工程が、前記最上層を除きその下層までを形成する
工程、昇華性を有する物質からなる溶媒に前記特定の試
薬を溶解し、その溶液を前記工程で形成された層上に配
置する工程、前記溶液を凍結する工程、および減圧下に
おいて前記凍結された溶液の固形物中の溶媒を昇華させ
て除去する工程からなる。
の間に試料液を前記電極系へ導く試料液供給路を形成す
るカバー部材を有し、前記反応層が前記試料液供給路に
露出するように形成され、かつ反応層の少なくとも1つ
が前記カバー部材側に形成されていることが好ましい。
前記反応層の少なくとも最下層が親水性高分子を含むこ
とが好ましい。本発明の他の好ましい態様において、前
記酸化還元酵素がコレステロールの酸化反応を触媒する
酵素であり、前記電子メディエータが前記酵素を含む層
とは異なる層に含まれている。本発明のさらに他の好ま
しい態様において、前記酸化還元酵素がコレステロール
の酸化反応を触媒する酵素であり、前記酵素を含む層が
さらに界面活性剤を含む。本発明の好ましい態様におい
て、前記特定の試薬が、酸化還元酵素および電子メディ
エータのフェリシアン化カリウムの少なくとも一方であ
る。
板上に設けられた測定極と対極を有する電極系、および
少なくとも酸化還元酵素と電子メディエータを含む反応
試薬系を具備し、前記反応試薬系を構成する試薬が前記
電極系上またはその近傍に、単独または複数の反応層と
して形成されたバイオセンサの製造方法であって、前記
反応層を形成する工程が、昇華性を有する物質からなる
溶媒に溶解した前記試薬の溶液を前記反応層の形成位置
に配置する工程、前記溶液を凍結する工程、および減圧
下において前記凍結された溶液の固形物中の溶媒を昇華
させて除去する工程からなることを特徴とするバイオセ
ンサの製造方法に関する。
けられた測定極と対極を有する電極系、および少なくと
も酸化還元酵素と電子メディエータを含む反応試薬系を
具備し、前記反応試薬系を構成する試薬が前記電極系上
またはその近傍に、複数の反応層として形成され、かつ
そのうちの特定の反応層のみが前記試薬系中の特定の少
なくとも1種の試薬を含むバイオセンサの製造方法であ
って、前記特定の反応層を形成する工程が、昇華性を有
する物質からなる溶媒に前記特定の反応層が含む試薬を
溶解し、その溶液を前記反応層の形成位置に配置する工
程、前記溶液を凍結する工程、および減圧下において前
記凍結された溶液の固形物中の溶媒を昇華させて除去す
る工程からなることを特徴とするバイオセンサの製造方
法を提供する。また、本発明は、絶縁性の基板、前記基
板上に設けられた測定極と対極を有する電極系、および
少なくとも酸化還元酵素と電子メディエータを含む反応
試薬系を具備し、前記反応試薬系を構成する試薬が前記
電極系上またはその近傍に、単独または複数の反応層と
して形成され、かつ前記試薬系中の特定の少なくとも1
種の試薬が複数層に積層された特定の反応層の最上層の
みに含まれるバイオセンサの製造方法であって、前記特
定の反応層を形成する工程が、前記最上層を除きその下
層までを形成する工程、昇華性を有する物質からなる溶
媒に前記特定の試薬を溶解し、その溶液を前記工程で形
成された層上に配置する工程、前記溶液を凍結する工
程、および減圧下において前記凍結された溶液の固形物
中の溶媒を昇華させて除去する工程からなることを特徴
とするバイオセンサの製造方法を提供する。
む、反応層または複数層に積層された反応層の最上層
を、前記特定の試薬を含む層形成材を昇華性を有する物
質に溶解し、その溶液を凍結した後、その凍結された溶
液の固形物中の溶媒を昇華させて除去することにより形
成する。この方法によると、ほぼ均一な微粉末で構成さ
れ、かつ表面積が大きい多孔質構造を有する層を得るこ
とができる。そのため、試料液による反応層の溶解性を
向上させることができ、測定に要する時間を短くするこ
とが可能となる。特に試料液中の基質濃度が高い場合に
有効である。すなわち、試料液中の基質濃度が高いと、
試料液の粘度が高く、従来の反応層では溶解しにくい
が、本発明によれば基質濃度が高い場合でも試料液への
溶解性が向上する。
子メディエータにこの方法を用いることが有効である。
電子メディエータとしては、フェリシアン化カリウムの
他、コレステロールオキシダーゼなどの酸化還元酵素と
の電子伝達能を有するレドックス化合物から選択して用
いることができる。電子メディエータの表面積を大きく
し溶解性を高めるために、電子メディエータを単独でセ
ンサに担持させることが好ましい。本発明に用いる昇華
性を有する物質からなる溶媒としては、電気化学的に不
活性であるか、自身が酸化体であり、電子メディエータ
や酵素を還元することがなく、かつこれらを変質させな
いものが好ましい。水が最も使いやすいが、電子メディ
エータの溶媒としては、例えばジメチルホルムアミド、
ジメチルスルホキシド、あるいはパラベンゾキノンなど
のキノン類などを用いることもできる。酵素の溶媒とし
ては、水またはバッファーが好ましい。ジメチルホルム
アミドの40%程度の水溶液あるいはエタノールの20
%程度の水溶液などを用いることもできる。
質とする酵素であり、グルコースを測定対象とするセン
サでは、グルコースオキシダーゼを用いる。診断指針に
用いられる血清中のコレステロール値を測定するには、
コレステロールの酸化反応を触媒する酵素コレステロー
ルオキシダーゼまたはコレステロールデヒドロゲナーゼ
とコレステロールエステルをコレステロールに変化させ
る過程を触媒する酵素コレステロールエステラーゼを用
いる。コレステロールエステラーゼの酵素反応の進行は
非常に遅いので、適切な界面活性剤を添加することによ
り、コレステロールエステラーゼの活性を向上させ、全
体の反応に要する時間を短縮することができる。
層は、親水性高分子を含む層、コレステロールの酸化反
応を触媒する酵素を含む層、界面活性剤を含む層、コレ
ステロールエステラーゼを含む層、電子メディエータを
含む層などの多層に形成してもよい。また、界面活性
剤、コレステロールの酸化反応を触媒する酵素、および
コレステロールエステラーゼは、混合層として1つの層
にして形成してもよい。これらの反応層は、同じ構成の
ものを分割するか、構成成分を分けて複数箇所に形成す
ることができる。これらの層は、センサ内の電極系上ま
たはその近傍の位置に配置する。電極系を設けた基板に
組み合わされて基板との間に電極系に試料液を供給する
試料液供給路を形成するカバー部材を有するセンサで
は、前記試料液供給路に露出する部分や試料液供給路の
開口部などに設けることができる。いずれの位置であっ
ても、導入された試料液によって反応試薬層が容易に溶
解して電極系に到達できることが好ましい。電極を保護
し、形成される反応層の剥離を抑制するために、電極系
上に接して親水性高分子層が形成されることが好まし
い。また、電極系以外でも、反応層を形成する際の下地
として親水性高分子層が形成されるか、最下層の反応層
に親水性高分子が含まれることが好ましい。電子メディ
エータを含む層は、溶解性を高めるために、界面活性剤
と分離することが好ましい。また、保存安定性のため
に、コレステロールの酸化反応を触媒する酵素コレステ
ロールエステラーゼと分離することが好ましい。
液が反応層へ導入されるのを容易にするため、電極系上
に形成された層などを被覆するように、脂質を含む層を
形成する例がある(たとえば特開平2−062952号
公報)。本発明のコレステロールを測定するバイオセン
サでは、界面活性剤が含まれ、これが脂質と同様の役割
も果たすため、脂質層はなくてもよい。親水性高分子と
しては、水溶性セルロース誘導体、特にエチルセルロー
ス、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチル
セルロースの他、ポリビニルピロリドン、ポリビニルア
ルコール、ゼラチン、ポリアクリル酸およびその塩、デ
ンプンおよびその誘導体、無水マレイン酸の重合体およ
びその塩、ポリアクリルアミド、メタクリレート樹脂、
ポリ−2−ヒドロキシエチルメタクリレートなどを用い
ることができる。
チオグルコシド、ポリエチレングリコールモノドデシル
エーテル、コール酸ナトリウム、ドデシル−β−マルト
シド、ジュークロースモノラウレート、デオキシコール
酸ナトリウム、タウロデオキシコール酸ナトリウム、
N,N−ビス(3−D−グルコンアミドプロピル)デオ
キシコールアミドおよびポリオキシエチレン(10)オ
クチルフェニルエーテルから選択することができる。脂
質としては、使用する場合、レシチン、ホスファチジル
コリン、ホスファチジルエタノールアミン等のリン脂質
で、両親媒性脂質が好適に用いられる。また、酸化電流
の測定方法としては、測定極と対極のみの二電極方式
と、参照極を加えた三電極方式があり、三電極方式の方
がより正確な測定が可能である。
より詳細に説明する。図1は反応層を除いたバイオセン
サの分解斜視図である。1はポリエチレンテレフタレー
トからなる絶縁性の基板を示す。この基板1上に、スク
リーン印刷により銀ペーストを印刷してリード2、3を
形成してある。基板1上には、さらに樹脂バインダーを
含む導電性カーボンペーストを印刷することにより、測
定極4と対極5を含む電極系、および絶縁性ペーストを
印刷することにより絶縁層6を形成してある。絶縁層6
は、測定極4および対極5の露出部分の面積を一定と
し、かつリードを部分的に覆っている。この絶縁性基板
1に、空気孔14を備えたカバー12およびスペーサ1
1を図1中の一点鎖線で示すような位置関係をもって接
着し、コレステロールセンサを作製する。スペーサ11
には、基板1とカバー12との間に試料液供給路を形成
するためのスリット15が設けてある。13は、その試
料液供給路の開口部に相当する。
の縦断面図である。絶縁性基板1上の電極系上に、親水
性高分子層7が形成されている。この親水性高分子層7
は、親水性高分子の水溶液を滴下し、温風乾燥により形
成することができる。この親水性高分子層7の上に、反
応試薬を含む反応層8が形成されている。反応層8は、
コレステロールセンサにおいては、コレステロールオキ
シダーゼ、コレステロールエステラーゼ、界面活性剤お
よび電子メディエータを含んでいる。これらの試薬を含
む水溶液を親水性高分子層7の上に滴下し、凍結させた
後、減圧下で乾燥することにより水分を昇華させて形成
したものである。
の縦断面図である。絶縁性基板1上の電極系上に、前記
と同様にして親水性高分子層7が形成されている。この
親水性高分子層7上、およびカバー12の試料液供給路
に露出する面に、それぞれ反応層8aおよび8bが形成
されている。これらの反応層8aおよび8bは、それぞ
れの層を形成する材料の水溶液を所定の位置に滴下し、
凍結させた後、減圧下で乾燥することにより水分を昇華
させて形成したものである。コレステロールセンサにお
いては、反応層8aはコレステロールオキシダーゼ、コ
レステロールエステラーゼ、および界面活性剤を含み、
反応層8bは電子メディエータを含んでいる。他の実施
の形態においては、反応層8aはコレステロールオキシ
ダーゼ、およびコレステロールエステラーゼを含み、反
応層8bは、界面活性剤、および電子メディエータを含
んでいる。さらに他の実施の形態においては、上記の反
応層8、8a、または8bを複数の層の積層体として構
成し、その積層体の少なくとも最上層は、そこに含ませ
る試薬の水溶液の凍結、および水分の昇華による除去の
工程を経て作製する。この最上層に含める試薬には、例
えば水溶液の温風乾燥によると結晶が粗大化するフェリ
シアン化カリウムが選ばれる。反応層8bには親水性高
分子を含ませるか、親水性高分子層を形成した上に反応
層8bを形成するのが層の剥離を防ぎ好ましい。
ールセンサで、反応層8aが電子メディエータを含み、
反応層8bがコレステロールオキシダーゼ、コレステロ
ールエステラーゼ、および界面活性剤を含む。このセン
サの作製手順を以下に示す。まず、基板1の電極系上
に、カルボキシルメチルセルロースのナトリウム塩(以
下、CMCと略す)の0.5wt%水溶液を5μl滴下
し、50℃の温風乾燥器中で10分間乾燥させることに
よりCMC層7を形成した。次に、フェリシアン化カリ
ウムの1M水溶液1μlをCMC層7上に滴下し、50
℃の温風乾燥器中で10分間乾燥させることにより、フ
ェリシアン化カリウムを含む反応層8aを形成した。
ーゼ(EC1.1.3.6、以下ChODと略す)とシ
ュードモナス由来のコレステロールエステラーゼ(E
C.3.1.1.13、以下ChEと略す)を溶解した
水溶液に、界面活性剤であるポリオキシエチレン(1
0)オクチルフェニルエーテル(TritonX−10
0)を添加した。この混合水溶液を、カバー12とスペ
ーサ11を組合せたカバー部材のスリット15により形
成される凹部に2.5μl滴下し、−196℃の液体窒
素にて凍結後、梨型フラスコ内に収納して凍結乾燥器中
で3時間乾燥させることにより、4ユニット(U)のコ
レステロールオキシダーゼ、10Uのコレステロールエ
ステラーゼおよび3wt%の界面活性剤を含む反応層8
bを形成した。この層8bは、混合水溶液2.5μlを
滴下した直後の外形を保持したままの状態であり、多孔
質で非常に表面積の大きい構造を有していた。この後、
前記のカバー部材を基板に接着することにより、コレス
テロールセンサを作製した。
に、試料液として、コレステロールおよびコレステロー
ルエステルの一種であるリノール酸コレステロールを含
むコレステロール標準液1μlを試料液供給路の開口部
13より供給し、3分後に対極を基準にして測定極にア
ノード方向へ+0.5Vのパルス電圧を印加し、5秒後
の電流値を測定した。その結果を図4に示す。
ロールセンサで、反応層8aが電子メディエータを含
み、反応層8bがコレステロールオキシダーゼ、コレス
テロールエステラーゼ、界面活性剤および0.125w
t%のCMCを含む。このセンサの作製手順を以下に示
す。実施例1と同様にして、絶縁性基板1上の電極系上
にCMC層7を形成した。次に、フェリシアン化カリウ
ムを水に溶解させた水溶液を、CMC層7上に1μl滴
下し、50℃の温風乾燥器中で10分間乾燥させること
によりフェリシアン化カリウムを含む層8aを形成し
た。一方、ChOD、ChE、界面活性剤およびCMC
を水に溶解させて混合水溶液を調製した。カバーとスペ
ーサを組み合わせたカバー部材のスリット15により形
成される凹部に前記混合水溶液を2.5μl滴下し、−
196℃の液体窒素にて凍結後、梨型フラスコ内に収納
して凍結乾燥器中で3時間乾燥させることにより、Ch
OD、ChE、界面活性剤およびCMCを含む反応層8
bを形成した。なお、ここに用いたフェリシアン化カリ
ウム、界面活性剤、ChODおよびChEの量は、実施
例1と同じであり、以下の実施例3、4および比較例に
おいても同じである。こうして、実施例1と同様にし
て、コレステロールセンサを作製し、試料液を供給して
から電圧を印加するまでの時間を変化させて、各試料濃
度に対する応答電流値を測定した。その結果を図4に示
す。
ロールセンサで、反応層8bが電子メディエータを含
み、反応層8aがコレステロールオキシダーゼ、コレス
テロールエステラーゼおよび界面活性剤を含む。このセ
ンサの作製手順を以下に示す。実施例1と同様にして、
絶縁性基板1上の電極系上にCMC層7を形成した。次
に、ChOD、ChEおよび、界面活性剤を水に溶解さ
せて混合水溶液を調製し、この混合水溶液2.5μlを
CMC層7上に滴下し、−135℃の液体窒素にて凍結
後、梨型フラスコ内に収容して凍結乾燥器中で3時間乾
燥させることによりChOD、ChEおよび、界面活性
剤を含む層8aを形成した。一方、フェリシアン化カリ
ウムを水に溶解させた水溶液を、カバーとスペーサを組
み合わせたカバー部材のスリット15により形成される
凹部に1μl滴下し、−196℃の液体窒素にて凍結
後、梨型フラスコ内に収納して凍結乾燥器中で3時間乾
燥させることにより、フェリシアン化カリウムを含む反
応層8bを形成した。こうして、実施例1と同様にし
て、コレステロールセンサを作製し、試料液を供給して
から電圧を印加するまでの時間を変化させて、各試料濃
度に対する応答電流値を測定した。その結果を図4に示
す。
ロールセンサで、反応層8aが電子メディエータを含
み、反応層8bがコレステロールオキシダーゼ、コレス
テロールエステラーゼおよび界面活性剤を含む。このセ
ンサの作製手順を以下に示す。実施例1と同様にして、
絶縁性基板1上の電極系上にCMC層7を形成した。次
に、フェリシアン化カリウムを水に溶解させた水溶液1
μlをCMC層7上に滴下し、−196℃の液体窒素に
て凍結後、梨型フラスコ内に収容して凍結乾燥器中で3
時間乾燥させることにより層8aを形成した。一方、C
hOD、ChEおよび、界面活性剤を水に溶解させて混
合水溶液を調製した。この混合水溶液2.5μlを、カ
バーとスペーサを組み合わせたカバー部材のスリット1
5により形成される凹部に滴下し、−135℃の液体窒
素にて凍結後、梨型フラスコ内に収納して凍結乾燥器中
で3時間乾燥させることにより、ChOD、ChEおよ
び、界面活性剤を含む層8bを形成した。こうして、実
施例1と同様にして、コレステロールセンサを作製し、
試料液を供給してから電圧を印加するまでの時間を変化
させて、各試料濃度に対する応答電流値を測定した。そ
の結果を図4に示す。
基板1上の電極系上にCMC層を形成した。次に、フェ
リシアン化カリウム、界面活性剤、ChOD、およびC
hEを水に溶解させて混合水溶液を調製した。この混合
水溶液4.5μlをCMC層上に滴下し、50℃で15
分間温風乾燥することにより、フェリシアン化カリウ
ム、界面活性剤、ChOD、およびChEを含む反応層
を形成した。こうして、実施例1と同様にして、コレス
テロールセンサを作製し、試料液を供給してから電圧を
印加するまでの時間を変化させて、各試料濃度に対する
応答電流値を測定した。その結果を図4に示す。
有する反応層を構成することができるので、反応層の溶
解が速やかに行われることになり、基質濃度が高濃度域
でも応答特性の優れたバイオセンサを得ることができ
る。
を除いた分解斜視図である。
部の縦断面図である。
ンサの応答特性を示す図である。
Claims (10)
- 【請求項1】 絶縁性の基板、前記基板上に設けられた
測定極と対極を有する電極系、および少なくとも酸化還
元酵素と電子メディエータを含む反応試薬系を具備し、
前記反応試薬系を構成する試薬が前記電極系上またはそ
の近傍に、単独または複数の反応層として形成されたバ
イオセンサの製造方法であって、前記反応層を形成する
工程が、昇華性を有する物質からなる溶媒に溶解した前
記試薬の溶液を前記反応層の形成位置に配置する工程、
前記溶液を凍結する工程、および減圧下において前記凍
結された溶液の固形物中の溶媒を昇華させて除去する工
程からなることを特徴とするバイオセンサの製造方法。 - 【請求項2】 絶縁性の基板、前記基板上に設けられた
測定極と対極を有する電極系、および少なくとも酸化還
元酵素と電子メディエータを含む反応試薬系を具備し、
前記反応試薬系を構成する試薬が前記電極系上またはそ
の近傍に、複数の反応層として形成され、かつそのうち
の特定の反応層のみが前記試薬系中の特定の少なくとも
1種の試薬を含むバイオセンサの製造方法であって、前
記特定の反応層を形成する工程が、昇華性を有する物質
からなる溶媒に前記特定の反応層が含む試薬を溶解し、
その溶液を前記反応層の形成位置に配置する工程、前記
溶液を凍結する工程、および減圧下において前記凍結さ
れた溶液の固形物中の溶媒を昇華させて除去する工程か
らなることを特徴とするバイオセンサの製造方法。 - 【請求項3】 絶縁性の基板、前記基板上に設けられた
測定極と対極を有する電極系、および少なくとも酸化還
元酵素と電子メディエータを含む反応試薬系を具備し、
前記反応試薬系を構成する試薬が前記電極系上またはそ
の近傍に、単独または複数の反応層として形成され、か
つ前記試薬系中の特定の少なくとも1種の試薬が複数層
に積層された特定の反応層の最上層のみに含まれるバイ
オセンサの製造方法であって、前記特定の反応層を形成
する工程が、前記最上層を除きその下層までを形成する
工程、昇華性を有する物質からなる溶媒に前記特定の試
薬を溶解し、その溶液を前記工程で形成された層上に配
置する工程、前記溶液を凍結する工程、および減圧下に
おいて前記凍結された溶液の固形物中の溶媒を昇華させ
て除去する工程からなることを特徴とするバイオセンサ
の製造方法。 - 【請求項4】 前記基板上において基板との間に試料液
を前記電極系へ導く試料液供給路を形成するカバー部材
を有し、前記反応層が前記試料液供給路に露出するよう
に形成され、かつ反応層の少なくとも1つが前記カバー
部材側に形成されている請求項1〜3のいずれかに記載
のバイオセンサの製造方法。 - 【請求項5】 前記酸化還元酵素がコレステロールの酸
化反応を触媒する酵素であり、前記電子メディエータが
前記酵素を含む層とは異なる層に含まれている請求項2
〜4のいずれかに記載のバイオセンサの製造方法。 - 【請求項6】 前記酸化還元酵素がコレステロールの酸
化反応を触媒する酵素であり、前記酵素を含む層がさら
に界面活性剤を含む請求項2〜5のいずれかに記載のバ
イオセンサの製造方法。 - 【請求項7】 前記電子メディエータがフェリシアン化
カリウムである請求項1に記載のバイオセンサの製造方
法。 - 【請求項8】 前記特定の試薬が、酸化還元酵素および
電子メディエータのフェリシアン化カリウムの少なくと
も一方である請求項2または3に記載のバイオセンサの
製造方法。 - 【請求項9】 前記反応層の少なくとも最下層が親水性
高分子を含む請求項1〜8のいずれかに記載のバイオセ
ンサの製造方法。 - 【請求項10】 請求項1〜9のいずれかに記載のバイ
オセンサの製造方法により製造されたバイオセンサ。
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