JP2001278926A - 光硬化性組成物および塗膜 - Google Patents

光硬化性組成物および塗膜

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JP2001278926A
JP2001278926A JP2000097980A JP2000097980A JP2001278926A JP 2001278926 A JP2001278926 A JP 2001278926A JP 2000097980 A JP2000097980 A JP 2000097980A JP 2000097980 A JP2000097980 A JP 2000097980A JP 2001278926 A JP2001278926 A JP 2001278926A
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Chiharu Yamaguchi
千春 山口
Gunji Morino
軍二 森野
Masahisa Yamazaki
正久 山▲崎▼
Toshiro Nakayama
敏郎 中山
Hiroaki Arima
弘朗 在間
Yoshiyuki Kaizu
善行 海津
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Osaka Gas Co Ltd
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Osaka Gas Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 基材との密着性および耐久性が高く、高い親
水性を持続し、汚染抵抗性の高い強靱な塗膜を形成でき
る光硬化性組成物を提供する。 【解決手段】 光硬化性組成物は、微粒子(シリカ微粒
子などの無機微粒子など)と、重合性不飽和基((メ
タ)アクリロイル基など)を有するセルロース誘導体
と、光重合性化合物((メタ)アクリレートなど)とを
含んでいる。光硬化性組成物は、光重合開始剤や抗菌剤
及び/又は抗カビ剤を含んでいてもよい。抗菌剤及び/
又は抗カビ剤は、酸素原子、窒素原子や硫黄原子を含む
官能基を有するポリマー粒子と、前記官能基に化学的に
結合(配位)した抗菌性金属成分と、この抗菌性金属成
分に化学的に結合(配位)した抗菌性有機成分とで構成
してもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無機微粒子(シリ
カ微粒子など)および重合性不飽和基を有するセルロー
ス誘導体を含み、親水性塗膜を形成するのに有用な光硬
化性組成物(光硬化性塗料組成物、コーティング組成物
など)、およびこの組成物から形成される塗膜(高親水
性塗膜など)に関する。
【0002】
【従来の技術】建築物の外壁などのメンテナンス費を低
減させるため、低汚染性塗料、すなわち放置状態でも汚
れが付着しにくく(汚染抵抗性)、しかも付着した汚染
成分が容易に除去できる(易汚染除去性)塗料が望まれ
ている。
【0003】従来、ポリテトラフルオロエチレン(PT
FE)が親水性及び疎水性の汚染成分の付着を防止でき
ることに着目して、塗料を構成する高分子化合物にフッ
素成分を導入したフッ素樹脂系塗料が知られている。こ
の塗料では、しかし、実際のフッ素成分導入樹脂は、P
TFEのように高度の撥水、撥油性を備えていないた
め、塗膜の低汚染性を高いレベルで長期に渡り持続させ
ることが困難である。
【0004】近年、塗膜表面を高親水性にすることによ
り低汚染性が持続することが見出され、親油性塗料に親
水性添加剤を添加した塗料、親水性樹脂を主成分として
塗膜表面に親水性を付与した塗料などの有機系塗料、水
ガラス、ゾル−ゲル法により得られる無機高分子を主成
分とする無機系塗料などが開発されている。
【0005】しかし、上記有機系塗料では、塗膜表面を
高度に親水化できないため塗膜の低汚染性はさほど高く
なく、持続性も低い。また、上記無機系塗料の場合、有
機系基材との密着性に劣り、塗膜が脆いという問題点が
ある。さらに、抗菌性や抗菌・抗カビ性を備えていない
ため、高湿度化や水周りでは、微生物の繁殖を抑制又は
防止できず、汚染を増大する場合がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、高い親水性を持続できるとともに、汚染抵抗性の高
い塗膜を形成できる光硬化性組成物を提供することにあ
る。
【0007】本発明の他の目的は、基材との密着性およ
び耐久性が高く、強靱な塗膜を形成できる光硬化性組成
物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を達成するため鋭意検討の結果、無機微粒子、重合性不
飽和基を有するセルロース誘導体、光重合性化合物およ
び光重合性開始剤を含む光硬化性塗料組成物を用いて塗
膜を形成すると、高度な親水性表面を有するとともに、
耐水性および耐磨耗性の高い塗膜が得られることを見出
し、本発明を完成させた。
【0009】すなわち、本発明の光硬化性組成物は、微
粒子(親水性微粒子など)と、重合性不飽和基を有する
セルロース誘導体と、光重合性化合物とを含む。光硬化
性組成物は、さらに光重合開始剤を含有していてもよ
い。さらに、光硬化性組成物は、無機微粒子と、重合性
不飽和基を有するセルロース誘導体と、(メタ)アクリ
レート(二官能性又は多官能性(メタ)アクリレートな
ど)及びビニル化合物(ビニルエーテル類、ビニルピロ
リドンなど)から選択された光重合性化合物と、光重合
開始剤とで構成してもよい。前記セルロース誘導体は、
(メタ)アクリロイル基を有するセルロースエーテル類
であってもよい。さらに、光硬化性組成物は、さらに、
抗菌剤及び/又は抗カビ剤を含有していてもよい。この
抗菌剤及び/又は抗カビ剤は、少なくとも抗菌性金属成
分を含む抗菌性ポリマー粒子であってもよい。
【0010】このような光硬化性組成物を用いると、種
々の用途で利用できる低汚染性塗膜が得られる。そのた
め、本発明は、前記光硬化性組成物により形成された塗
膜も開示する。
【0011】
【発明の実施の形態】[微粒子]微粒子としては、有機
又は無機微粒子が使用できる。微粒子は疎水性であって
もよいが、低汚染性塗膜又は親水性塗膜を形成するため
には、親水性微粒子を用いるのが有利である。親水性微
粒子は、コーティングや化学反応などを利用して表面が
親水化処理された微粒子であってもよいが、通常、無機
微粒子で構成できる。なお、微粒子により塗膜の硬度を
高めることができるとともに、親水性微粒子により塗膜
の親水性を改善できる。
【0012】有機微粒子としては、例えば、ポリメタク
リル酸メチルなどのアクリル系樹脂粒子、ポリスチレン
などのスチレン系微粒子、酢酸ビニル系樹脂粒子、塩化
ビニル系樹脂粒子、フッ素含有樹脂粒子、シリコーン樹
脂粒子、エポキシ樹脂粒子、アミノ樹脂粒子(メラミン
樹脂粒子、グアナミン樹脂粒子など)、有機顔料などが
例示できる。これらの有機微粒子は、架橋アクリル系樹
脂、架橋スチレン系樹脂、架橋エポキシ樹脂などのよう
に架橋していてもよい。
【0013】無機微粒子としては、種々の充填剤、例え
ば、金属単体(アルミニウム、銀、銅など)、無機酸化
物(コロイダルシリカ、アエロジル、ガラスなどのシリ
カ、アルミナ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化
鉄、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウム、酸化マグネ
シウム、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコニウム、チ
タン酸鉛など)、水酸化物(水酸化カルシウム、水酸化
マグネシウム、水酸化アルミニウムなど)、炭酸塩(炭
酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウムな
ど)、硫酸鉛(硫酸バリウムなど)、リン酸塩(リン酸
カルシウム、リン酸マグネシウムなど)、ケイ酸塩(タ
ルク、マイカ、クレーなど)、カーボンブラック、無機
顔料、ホィスカーなどが例示できる。
【0014】有機微粒子と無機微粒子とはそれぞれ単独
で又は二種以上組み合わせて使用してもよく、有機微粒
子と無機微粒子とを組み合わせて使用してもよい。微粒
子の形状は、特に制限されず、例えば、球状、板状又は
扁平状、針状、柱状などであってもよい。微粒子のアス
ペクト比は、例えば、1〜1000程度であってもよ
い。
【0015】微粒子の平均粒子径は、例えば、1nm〜
100μm、好ましくは5nm〜10μm、さらに好ま
しくは5nm〜1μm程度である。平均粒子径が1nm
未満では塗膜の耐磨耗性が低下し、100μmを越える
と塗膜の表面平滑性が低下し汚れやすくなる。なお、微
粒子としては、平均粒子径2〜100nm、好ましくは
5〜50nm、さらに好ましくは7〜30nm程度の単
分散微粒子(例えば、コロイダルシリカなど)を用いて
もよい。
【0016】微粒子の使用量は、塗膜形成性成分又はポ
リマー形成成分(重合性基含有セルロース誘導体および
光重合性化合物)の総量100重量部に対して、1〜1
000重量部、好ましくは5〜4500重量部、さらに
好ましくは10〜300重量部、特に50〜250重量
部程度である。
【0017】[重合性不飽和基を有するセルロース誘導
体]重合性不飽和基を有するセルロース誘導体を用いる
と、塗膜に強靱性などの機械的特性を有効に付与できる
とともに、前記微粒子(特に無機微粒子などの親水性微
粒子)に対する親和性又は密着性を改善できる。
【0018】セルロース誘導体には、ヒドロキシル基を
有するセルロース誘導体、例えば、セルロースエステル
類(例えば、セルロースアセテート、セルロースブチレ
ート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテー
トプロピオネート、セルロースアセテートブチレートな
どの有機酸エステル;硝酸セルロース、硫酸セルロー
ス、リン酸セルロースなどの無機酸エステルなど)、セ
ルロースエーテル類(例えば、メチルセルロース、エチ
ルセルロース、プロピルセルロースなどのC1-10アルキ
ルセルロース;ベンジルセルロースなどのアラルキルセ
ルロース;ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプ
ロピルセルロースなどのヒドロキシC2-4アルキルセル
ロース;メチルヒドロキシエチルセルロース、エチルヒ
ドロキシプロピルセルロースなどのC1-4アルキルヒド
ロキシC2-4アルキルセルロース;カルボキシメチルセ
ルロース;メチルカルボキシメチルセルロース、エチル
カルボキシメチルセルロースなどのC1-4アルキルカル
ボキシメチルセルロースなど)などが含まれる。このよ
うなセルロース誘導体は、通常、水及び有機溶媒可溶性
であり、特に水溶性又は水性溶媒可溶性である。これら
のセルロース誘導体は単独で又は2種以上で使用でき
る。好ましいセルロース誘導体は、セルロースエーテル
類である。
【0019】セルロース誘導体の平均置換度は、セルロ
ース誘導体の種類に応じて、例えば、0.5〜2.9、
好ましくは0.7〜2.7(例えば、1〜2)程度の範
囲から選択できる。セルロース誘導体としてセルロース
エーテル類を用いる場合、平均エーテル化度は、例え
ば、30〜90%、好ましくは40〜85%(例えば、
50〜80%)程度であってもよく、2重量%水溶液の
粘度(20℃、B型粘度計)は、0.003〜4Pa・
s(3〜4000cps)程度であってもよい。セルロ
ース誘導体の平均重合度は、例えば、10〜1000、
好ましくは50〜900、さらに好ましくは100〜8
00程度から選択される。
【0020】セルロース誘導体は重合性不飽和基を有し
ている。重合性不飽和基は、アリル基などであってもよ
いが、通常、光重合性の高い(メタ)アクリロイル基
(すなわち、アクリロイル基及び/又はメタクリロイル
基)又はビニル基である。
【0021】重合性不飽和基を有するセルロース誘導体
は、親水性を高めるため、通常、ヒドロキシル基を有し
ている。ヒドロキシル基濃度は、親水性を損なわない範
囲で、重合性不飽和基の導入量によりコントロールでき
る。重合性不飽和基の導入量は、例えば、セルロース誘
導体の残存ヒドロキシル基の1〜90モル%程度の広い
範囲から選択でき、通常、1〜60モル%、好ましくは
10〜50モル%、さらに好ましくは20〜40モル%
程度である。重合性不飽和基の導入量が少なすぎると塗
膜の耐水性、耐磨耗性が低下し、多すぎると塗膜の親水
性が低下する。
【0022】前記重合性不飽和基を有するセルロース誘
導体の分子量(ポリスチレン換算)は、例えば、1×1
3〜100×104、好ましくは2×103〜50×1
4、さらに好ましくは5×103〜30×104程度で
ある。
【0023】重合性不飽和基は、セルロース誘導体中の
ヒドロキシル基と、ヒドロキシル基に対する反応性基を
有する重合性不飽和化合物(例えば、カルボン酸、酸無
水物、酸ハライド、イソシアネート化合物)とを反応さ
せることにより得ることができる。前記重合性不飽和化
合物としては、例えば、重合性カルボン酸又はその反応
性誘導体[(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ク
ロライド、無水マレイン酸、フマル酸など]、遊離のイ
ソシアネート基を有する重合性化合物[ポリイソシアネ
ート(トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシ
アネートなど)とヒドロキシル基含有(メタ)アクリレ
ート(ヒドロキシC2-4アルキル(メタ)アクリレート
など)との反応生成物など]などが例示できる。
【0024】重合性不飽和化合物の使用量は、セルロー
ス誘導体のヒドロキシル基に対して重合性不飽和化合物
の反応性基の割合が、前者/後者=1/0.01〜1/
1.2(モル比)、好ましくは1/0.1〜1/1(モ
ル比)程度の範囲から選択できる。反応は、溶媒の存在
下又は非存在下、通常のエステル化反応に準じて行うこ
とができる。
【0025】重合性不飽和基を有するセルロース誘導体
の使用量は、例えば、微粒子100重量部に対して、1
0〜10000重量部、好ましくは30〜5000重量
部(例えば、50〜4000重量部)、さらに好ましく
は50〜1000重量部(例えば、100〜1000重
量部)程度である。重合性不飽和基を有するセルロース
誘導体の使用量が少なすぎると塗膜が脆くなり、多すぎ
ると塗膜の親水性が低下する。
【0026】[光重合性化合物]本発明の光重合性組成
物は、硬化特性を改善し、塗膜特性をコントロールする
ため、光重合性化合物を含有している。光重合性化合物
としては、室温で液体又は固体の光重合性モノマー又は
オリゴマー、好ましくは親水性モノマー又はオリゴマー
が使用できる。光重合性モノマーと光重合性オリゴマー
とは組み合わせて使用してもよい。なお、オリゴマーの
重合度(オリゴマーの基本構成単位の繰り返し数)は、
2〜50(例えば、3〜50)、好ましくは5〜30、
さらに好ましくは5〜10程度であってもよい。光重合
性化合物としては、単官能性化合物、二官能性化合物お
よび多官能性化合物が使用でき、通常、少なくとも二官
能性化合物及び/又は多官能性化合物が使用される。
【0027】単官能性化合物には、例えば、(メタ)ア
クリレート[C1-18アルキル(メタ)アクリレート(例
えば、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシ
ル(メタ)アクリレートなど)、シクロヘキシル(メ
タ)アクリレート、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリ
レート(例えば、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アク
リレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリ
レート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリ
レートなど)、グリシジル(メタ)アクリレート、ジア
ルキルアミノエチル(メタ)アクリレートなど〕、ビニ
ル化合物[例えば、ビニルエーテル類(メチルビニルエ
ーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテ
ル、イソブチルビニルエーテルなどのアルキルビニルエ
ーテル、シクロヘキシルビニルエーテルなどのシクロア
ルキルビニルエーテルなど)、ビニルエステル(酢酸ビ
ニル、プロピオン酸ビニルなど)、窒素含有複素環式ビ
ニル化合物(N−ビニルピロリドンなど)など]などが
含まれる。
【0028】二官能性化合物には、例えば、アルキレン
グリコールジ(メタ)アクリレート[例えば、エチレン
グリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコ
ールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオール
ジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ
(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メ
タ)アクリレートなど]、ポリオキシアルキレングリコ
ールジ(メタ)アクリレート[例えば、ジエチレングリ
コールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコー
ルジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ
(メタ)アクリレートなど]、トリメチロールプロパン
ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのC2-4
ルキレンオキシド付加体のジ(メタ)アクリレート、2
官能エポキシ樹脂の(メタ)アクリル酸付加体(所謂、
エポキシ(メタ)アクリレート)などが含まれる。
【0029】多官能性化合物としては、例えば、トリメ
チロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエ
リスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリス
リトールテトラ(メタ)アクリレート、トリス((メ
タ)アクリロイルオキシ)イソシアヌレートなどが例示
できる。
【0030】光重合性オリゴマーとしては、前記エポキ
シ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリ
レート、ポリウレタン(メタ)アクリレート、シリコー
ン(メタ)アクリレートなどが例示できる。
【0031】これらの光重合性化合物は、単独でまたは
2種以上組み合わせて使用できる。光重合性化合物とし
ては、少なくとも二官能性又は多官能性(メタ)アクリ
レートを用いる場合が多い。光重合性化合物としては、
通常、(メタ)アクリレート(特に、少なくとも二官能
性又は多官能性(メタ)アクリレート)及びビニル化合
物(特にビニルエーテル類、ビニルピロリドンなど)か
ら選択された少なくとも一種の化合物が使用できる。
【0032】重合性基含有セルロース誘導体と光重合性
化合物との割合は、塗膜特性を損なわない広い範囲、例
えば、前者/後者=5/95〜95/5(重量比)程度
の範囲から適当に選択でき、通常、10/90〜90/
10(重量比)、好ましくは20/80〜80/20
(重量比)、特に30/70〜70/30(重量比)程
度である。
【0033】光重合性化合物の使用量は、例えば、微粒
子100重量部に対して、0.1〜500重量部、好ま
しくは1〜200重量部、さらに好ましくは5〜100
重量部(例えば、10〜100重量部)程度である。光
重合性化合物の使用量が少なすぎると塗膜の耐水性が低
下し、多すぎると塗膜の耐水性が低下する。
【0034】[光重合開始剤]本発明の光重合性組成物
は、光重合開始剤を含んでいてもよい。光重合開始剤と
しては、種々の化合物、例えば、ベンゾイン系、ベンゾ
フェノン系、チオキサントン系、アセトフェノン系光重
合開始剤、その他の光重合開始剤などが挙げられる。
【0035】ベンゾイン系光重合開始剤としては、例え
ば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾイ
ンエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、
ベンゾインイソブチルエーテルなどが挙げられる。ベン
ゾフェノン系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフ
ェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェ
ノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、ビス(4
−ジアルキルアミノフェニル)ケトンなどが挙げられ
る。アセトフェノン系光重合開始剤としては、例えば、
2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、ア
セトフェノンジエチルケタール、ジエトキシアセトフェ
ノン、チバ スペシャリティ ケミカルズ社製,商品名
「ダロキュアー1173」、「イルガキュアー36
9」、「イルガキュアー651」、「イルガキュアー9
07」、ベンジルなどが挙げられる。チオキサントン系
光重合開始剤、例えば、イソプロピルチオキサントン、
ジエチルチオキサントン、ジクロロチオキサントンなど
が挙げられる。その他の光重合開始剤としては、例え
ば、チバ スペシャリティ ケミカルズ社製,商品名
「イルガキュアー184」、「イルガキュア819」、
「イルガキュアー1700」、「イルガキュアー180
0」などが例示できる。これらの光重合開始剤は単独で
または2種以上組合わせて使用できる。
【0036】光重合開始剤の使用量は、光重合性化合物
(又は重合性不飽和基を有するセルロース誘導体と光重
合性化合物との総量)100重量部に対して、0.1〜
10重量部、好ましくは0.5〜5重量部、特に1〜5
重量部程度である。
【0037】[抗菌剤及び/又は抗カビ剤]本発明の光
重合性組成物は、耐汚染性を向上させるため、抗菌剤及
び/又は抗カビ剤を含有していてもよい。なお、抗カビ
剤は防カビ剤と同義に用い、抗菌剤及び/又は抗カビ剤
は、抗菌・防カビ剤も含むものとする。抗菌剤及び/又
は抗カビ剤は、ピリドンカルボン酸系抗菌剤、抗真菌剤
などの有機抗菌成分であってもよいが、抗菌活性を持続
させるためには無機抗菌成分であるのが好ましい。好ま
しい抗菌剤及び/又は抗カビ剤には、少なくとも抗菌性
金属成分、特に、金属イオン又は金属化合物で構成され
た抗菌性金属成分が含まれる。
【0038】前記抗菌性金属成分は、無機又は有機担体
(ゼオライト、シリカゲル、アルミナ、活性炭などの無
機単体、ポリマー粒子など)に坦持して使用してもよ
い。なお、樹脂などとの親和性を改善するためには、抗
菌剤(特に抗菌性金属成分)はポリマー粒子に坦持(特
に化学的に結合して担持)するのが好ましい。すなわ
ち、抗菌剤及び/又は抗カビ剤は、金属イオン又は金属
化合物で構成された抗菌性金属成分と、この抗菌性金属
成分が化学的に結合して担持されたポリマー粒子とで構
成された抗菌性ポリマー粒子であるのが好ましい。この
場合、ポリマー粒子は、抗菌性金属成分に対して化学的
に結合させるため、通常、酸素原子、窒素原子及び硫黄
原子から選択された少なくとも1つの原子を含んでい
る。特に、前記抗菌剤及び/又は抗カビ剤は、酸素原
子、窒素原子および硫黄原子から選択された少なくとも
一つの原子を含み、かつ抗菌性金属成分に対して化学的
に結合可能な官能基を有するユニットと、架橋ユニット
とを含む架橋構造を有するポリマーで構成されている抗
菌性ポリマー粒子で構成されている。
【0039】さらに、抗菌性有機成分を前記抗菌性金属
成分に化学的に結合して担持することにより抗菌および
抗カビ活性を改善するのが好ましい。前記抗菌性有機成
分は、抗菌性金属成分に化学的に結合して坦持させるた
め、通常、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子から選択さ
れた少なくとも1つの原子を含んでいる。
【0040】以下に、「抗菌剤及び/又は抗カビ剤」に
ついて詳細に説明する。なお、本明細書において、抗菌
剤及び/又は抗カビ剤を単に「抗菌剤」と称する場合が
ある。抗菌剤(抗菌性金属成分など)の「担持」とは、
抗菌性が発現する限り、抗菌剤(抗菌性金属成分など)
が担体(ポリマー粒子など)の表面及び/又は内部に保
持されていることを意味し、抗菌性有機成分の「担持」
とは、抗菌性有機成分が抗菌性金属成分に保持されてい
ることを意味する。「化学結合」「化学的結合」とは、
イオン結合および配位結合の双方を含む意味に用い、単
に「配位」という場合がある。なお、「非架橋親水性ポ
リマー」および「架橋構造を有する親水性ポリマー」を
単に「親水性ポリマー」と総称する場合がある。
【0041】(ポリマー粒子)担体として機能するポリ
マー粒子は、抗菌剤(特に抗菌性金属成分)を担持可能
なポリマー(合成高分子、天然高分子、包接化合物な
ど)で構成されている。好ましいポリマーは合成高分子
である。
【0042】ポリマー粒子を構成する合成高分子として
は、熱可塑性樹脂[例えば、オレフィン系樹脂(変性オ
レフィン系樹脂を含む)、スチレン系樹脂(ポリスチレ
ン、AS樹脂、ABS樹脂など)、アクリル系樹脂、ポ
リビニルアルコール、酢酸ビニル系樹脂、ビニルエーテ
ル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、ポリエステル(共重合ポ
リエステル樹脂を含む)、ポリアミド(共重合ポリアミ
ド樹脂を含む)、熱可塑性ポリウレタン、ポリカーボネ
ート、ポリアミノ酸など]、熱硬化性又は架橋性樹脂
[不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、
ビニルエステル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、
熱硬化性ポリウレタン、フェノール樹脂、アミノ樹脂
(尿素樹脂,グアナミン樹脂,メラミン樹脂など)、ポ
リシランなど]が例示できる。天然高分子としては、例
えば、セルロース、部分疎水化(例えばアセチル化)セ
ルロース、デンプン、キチン、キトサン、ゼラチン、ポ
リペプチド、ポリヌクレオチドなどが例示できる。包接
化合物としては、例えば、シクロデキストリン、クラウ
ンエーテル誘導体、シクロファン誘導体などが例示でき
る。これらのポリマーは、単独で又は二種以上組み合わ
せて使用できる。
【0043】抗菌性金属成分をポリマー粒子に化学的に
結合させる上で、ポリマー粒子を構成するポリマーは前
記抗菌性金属成分を配位可能な官能基を有しているのが
好ましい。前記ポリマーは、疎水性ポリマーであっても
よいが、好ましくは親水性ポリマーである。ポリマー粒
子を親水性ポリマーで構成すると、その親水性の程度な
どを制御することなどにより、高湿度条件下において
も、抗菌性を有効に発現させることができる。
【0044】前記ポリマーは、溶剤に対して可溶な非架
橋ポリマーであってもよいが、溶剤に対して難溶又は不
溶のポリマー粒子を構成するため、架橋構造を有するの
が好ましい。
【0045】ポリマー粒子は、親水性及び/又は疎水性
ユニット(好ましくは少なくとも親水性ユニット)と、
ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子及びイオウ原子から
選択された少なくとも1つの原子(特に、酸素原子、窒
素原子及びイオウ原子から選択された少なくとも1つの
原子)を含み、かつ抗菌性金属成分に対して化学的に結
合可能な官能基(特に配位性基)を有する配位性ユニッ
トと、架橋ユニットとで構成されている。なお、親水性
ポリマー粒子において、親水性ユニットと官能基を有す
る配位性ユニットは同種又は異なっていてもよい。
【0046】親水性ユニットとしては、種々の親水性フ
ラグメントやセグメントが利用でき、例えば、カルボキ
シル基含有ユニット[(メタ)アクリル酸,無水マレイ
ン酸などのカルボキシル基又は酸無水物基含有モノマー
で形成されたユニット],ヒドロキシル基含有ユニット
[酢酸ビニルの加水分解により生成するビニルアルコー
ルユニット,ヒドロキシC2-3アルキル(メタ)アクリ
レートなどのヒドロキシル基含有モノマーで形成された
ユニット]、エーテル基含有ユニット[ビニルC1-4
ルキルエーテル、ポリエチレングリコールモノ又はジ
(メタ)アクリレート,ポリエチレングリコールなどの
エーテル基含有モノマーで形成されたユニット]、窒素
含有ユニット[ビニルピロリドン,ビニルピリジン,
(メタ)アクリルアミド,メチロール(メタ)アクリル
アミド,N,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)ア
クリレートなどの窒素含有モノマーで形成されたユニッ
ト]などが例示できる。親水性ポリマーは、異なる複数
の親水性ユニットを有していてもよく、親水性ユニット
は必要により塩を形成してもよい。
【0047】好ましい親水性ユニットには、水溶性ポリ
マーを形成し、かつ疎水性樹脂に対して親和性を有する
親水性ユニットが含まれ、このような親水性ユニットと
しては、窒素原子(特にアミド基又はN−置換アミド
基)を含むユニット(例えば、(メタ)アクリルアミ
ド,N−置換(メタ)アクリルアミドなどで形成される
親水性ユニット)などが例示できる。N−置換(メタ)
アクリルアミドとしては、例えば、N−メチル(メタ)
アクリルアミド,N−エチル(メタ)アクリルアミド,
N−ブチル(メタ)アクリルアミドなどのN−C1-6
ルキル(メタ)アクリルアミド、N−C1-6アシル(メ
タ)アクリルアミドなどが例示できる。なお、親水性ユ
ニットをN−ブチルアクリルアミドなどのN−C1-6
ルキル(メタ)アクリルアミドで形成すると、ポリマー
粒子に感温性も付与できる。
【0048】配位性ユニットにおいて、酸素原子を含む
官能基(特に配位性基)としては、例えば、カルボキシ
ル基又はその誘導体基(酸ハライド基,酸無水物基な
ど)、ヒドロキシル基、アシル基(ホルミル,アセチル
基などのC1-4アシル基など)、カルボニル基、アセチ
ルアセトン構造を含むポリカルボニル基、エーテル基、
ポリエチレングリコール構造を含むポリエーテル基、ク
ラウンエーテル基、カテコール構造を含む芳香族ポリヒ
ドロキシル基、サリチル酸構造を含む芳香族ヒドロキシ
カルボニル基、フタル酸構造を含むポリカルボン酸基、
エポキシ基、酸素含有複素環基(フリル基,クロマニル
基など)などが例示できる。
【0049】窒素原子を含む官能基(特に配位性基)と
しては、例えば、アミノ基、モノ又はジアルキルアミノ
基(メチルアミノ基,エチルアミノ基などのモノC1-4
アルキルアミノ基、ジメチルアミノ基,ジエチルアミノ
基などのジC1-4アルキルアミノ基など)、アゾ基、ア
ミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、シアノ基、窒
素含有複素環基(ピロリル基,イミダゾリル基、ピリジ
ル基、ビピリジル基、ピロリル基、ピペリジニル基,ピ
ペラジニル基,キノリル基、ベンズイミダゾリル基、フ
ェナンスロリル基など)、アザクラウンエーテル基など
が例示できる。窒素含有官能基として、アミノ基,イミ
ノ基を利用する場合が多く、窒素含有官能基は、ピリジ
ル基などの複素環基であってもよい。
【0050】イオウ原子を含む官能基(特に配位性基)
としては、メルカプト基(チオール基)、チオキソ基、
チエニル基、チオアセチル基、アルキルチオニル基、チ
オカルバモイル基(チオカルバメート基)、ジチオカル
バメート基、スルホニル基、チオカルボキシル基、スル
ホン酸基(スルホ基)、スルフィン酸基(スルフィノ
基)、チオ尿素基(チオウレイド基)、チオクラウンエ
ーテル基、チオエーテル基、複素環基(チオフェニル基
など)などが例示できる。
【0051】ポリマー粒子は、酸素原子,窒素原子,イ
オウ原子などから選択された複数の原子を有する官能
基、例えば、酸素原子および窒素原子を含む官能基を有
していてもよい。このような官能基としては、例えば、
ニトロ基、アミド基、イミド基、ウレイド基、アミノヒ
ドロキシエチル基のようなアミノアルコール基、アミノ
フェノール基、キノリノ基、イミジノ酢酸基のようなア
ミノポリカルボン酸基、オキシム基、アミドオキシム
基、複素環基(モルホリノ基,モルホリニル基など)な
どが例示できる。
【0052】上記官能基は複数組み合わせることができ
る。官能基の種類によって金属イオン又は金属化合物と
の結合の強さが異なるので、種類の異なる官能基を複数
組み合わせて用いることにより、ポリマー粒子(親水性
など)からの抗菌性金属成分の放出、ひいては抗菌性有
機成分の放出を制御できる。
【0053】官能基の種類は抗菌性金属成分の種類に応
じて選択できる。好ましい官能基には、酸素含有官能基
[例えば、カルボキシル基、ポリカルボニル基、クラウ
ンエーテル基、ポリカルボン酸基など]、窒素含有官能
基[例えば、アザクラウンエーテル基、窒素含有複素環
基(イミダゾリル基、ピリジル基、ビピリジル基など)
など]、イオウ含有官能基[チオール基、チオウレイド
基、チオカルバモイル基、チオカルバメート基、ジチオ
カルバメート基など]が含まれる。このような官能基
と、抗菌性金属成分(例えば、銀成分)とを組合わせる
と、錯体を有効に形成できる。
【0054】ポリマー粒子に架橋構造を導入するための
架橋ユニットは、自己架橋ポリマー粒子(例えば、熱硬
化性樹脂の硬化又は架橋粒子など)などのように縮合性
基又はフラグメントで構成してもよく、架橋剤で構成し
てもよい。架橋ポリマー粒子は耐熱性が高く、焼き付け
塗料などのように、高温(例えば、300℃程度)に晒
されても高い耐性を示す。
【0055】架橋ユニットを構成する架橋剤としては、
重合性不飽和単量体を原料とするポリマー(ビニル重合
型ポリマー)では、通常、多官能重合性単量体[ジビニ
ルベンゼン、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エ
チレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレン
グリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコ
ールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール
ジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ
(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ又は
テトラ(メタ)アクリレートなど]が使用される。
【0056】縮合又は付加反応性単量体を原料とするポ
リマー(縮合型又は付加縮合型ポリマー)では、架橋剤
として、ポリマーの官能基に対して2以上の反応性官能
基を有する化合物が使用できる。
【0057】ポリマーが複数のカルボキシル基又は酸無
水物基を有する場合、架橋剤として、例えば、多価金属
イオン(マグネシウムイオン、アルミニウムイオン、ジ
ルコニウムイオンなど);ポリイソシアネート(トリレ
ンジイソシアネート);ポリアミン(エチレンジアミ
ン、ヒドラジン、フェニレンジアミンなど);複数のエ
ポキシ基を有するエポキシ化合物(エポキシ樹脂な
ど);ビスオキサゾリン化合物(1,3−ビス(オキサ
ゾリ−2−イル)ベンゼンなど)などが挙げられる。
【0058】ポリマーがヒドロキシル基を有する場合、
架橋剤として、例えば、ポリイソシアネート(トリレン
ジイソシアネートなど);多価カルボン酸又はその反応
性誘導体(アジピン酸、フタル酸、これらの酸ハライ
ド、無水マレイン酸、無水フタル酸などの酸無水物);
加水分解性シリル基を有する化合物(ジクロロジメチル
シラン、ジクロロテトラメチルジシロキサン、メチルト
リメトキシシラン、メチルトリエトキシシランなど);
複数のメチロール基又はアルコキシメチル基を有する化
合物(尿素樹脂,メラミン樹脂など);ビスオキサゾリ
ン化合物(1,3−ビス(オキサゾリ−2−イル)ベン
ゼンなど)などが挙げられる。
【0059】ポリマーがアミノ基、アミド基などを有す
る場合、例えば、ポリイソシアネート(トリレンジイソ
シアネートなど);多価カルボン酸又はその反応性誘導
体(アジピン酸、フタル酸、これらの酸ハライド、無水
マレイン酸、無水フタル酸などの酸無水物);加水分解
性シリル基を有する化合物(ジクロロジメチルシラン、
ジクロロテトラメチルジシロキサン、メチルトリメトキ
シシラン、メチルトリエトキシシランなど);複数のエ
ポキシ基を有するエポキシ化合物(エポキシ樹脂な
ど);ビスオキサゾリン化合物(1,3−ビス(オキサ
ゾリ−2−イル)ベンゼンなど)などが架橋剤として使
用できる。
【0060】ポリマー粒子の架橋度は、例えば、架橋ユ
ニット(又は架橋剤)の含有量換算で、0.1〜30重
量%、好ましくは0.5〜20重量%、より好ましくは
1〜10重量%程度である。
【0061】架橋構造を有するポリマー粒子には、(i)
親水性を有する前記配位性ユニット(例えば、前記カル
ボキシル基,窒素含有複素環基などの窒素含有基,メル
カプト基などを含むモノマーで形成されたユニット)
と、架橋ユニット(例えば、多官能重合性単量体などの
架橋性モノマーや架橋剤で形成されるユニット)との共
重合体又は共縮合体、(ii)前記親水性ユニット((メ
タ)アクリルアミド,N−置換(メタ)アクリルアミド
などのモノマーで形成されたユニット)と、前記配位性
ユニット(例えば、前記カルボキシル基,窒素含有官能
基,メルカプト基などを含むモノマーで形成されたユニ
ット)と、架橋ユニット(例えば、多官能重合性単量体
などで形成されるユニット)との共重合体又は共縮合体
が含まれる。
【0062】これらのポリマー粒子(好ましくは親水性
ポリマー粒子)は、さらに共重合ユニットとして、例え
ば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル,(メタ)ア
クリロニトリルなどの(メタ)アクリル系モノマー、ス
チレン,ジビニルベンゼンなどの芳香族ビニルモノマ
ー、酢酸ビニルなどのビニルエステル系モノマー、ポリ
塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどのハロゲン含有モ
ノマー、エチレン,プロピレンなどのオレフィンなどで
形成されたユニットを含んでいてもよく、必要であれ
ば、さらに変性してもよい。親水性ユニット又は親水性
ポリマー粒子に疎水性共重合ユニット(例えば、メタク
リル酸メチル、スチレン、ジビニルベンゼンなどによる
疎水性ユニット)を導入することにより、抗菌剤の溶出
性などを制御することができる。
【0063】好ましいポリマー粒子は、親水性高分子ゲ
ル[例えば、配位性ユニットを有する架橋重合体(架橋
ポリアクリル酸,架橋ポリビニルピリジンなど),アク
リルアミドユニットと配位性ユニットを有する架橋重合
体(架橋構造を有するアクリルアミド−(メタ)アクリ
ル酸共重合体,架橋構造を有するアクリルアミド−ビニ
ルピリジン共重合体,架橋構造を有するアクリルアミド
−メルカプトメチル置換スチレン共重合体,架橋構造を
有するアクリルアミド−(メタ)アクリル酸−ビニルピ
リジン共重合体など)]で構成できる。
【0064】ポリマー粒子の官能基(配位性ユニット)
の濃度は、抗菌性金属成分の担持量に応じて選択でき、
例えば、ポリマー粒子1g当たり、0.01〜10ミリ
モル、好ましくは0.05〜7ミリモル、さらに好まし
くは0.1〜5ミリモル程度である。なお、配位性ユニ
ットを有するモノマーの使用量は、ポリマー粒子を構成
するモノマーの総量に対して、例えば、5〜100重量
%、好ましくは10〜100重量%、さらに好ましくは
25〜100重量%程度の範囲から選択できる。
【0065】抗菌成分(特に、抗菌性金属成分)の抗菌
活性を有効に発現させるため、ポリマー粒子は多孔質で
あってもよい。多孔質粒子の比表面積は、例えば、10
〜1000m2/g、好ましくは50〜1000m2
g、さらに好ましくは100〜1000m2/g程度で
ある。
【0066】粒子状ポリマーの形状は、球状、板状、棒
状、花弁状などのいずれであってもよい。ポリマー粒子
の平均粒子径は、乾燥状態で、例えば、粒子状ポリマー
の形状は、球状、板状、棒状、花弁状などのいずれであ
ってもよい。ポリマー粒子の平均粒子径は、乾燥状態
で、例えば、1nm〜100μm程度の範囲から選択で
き、通常、5nm〜30μm(例えば、5〜10μ
m)、好ましくは5nm〜1μm(例えば、10nm〜
0.7μm)、より好ましくは15nm〜0.5μm
(例えば、20nm〜0.3μm)、通常、25nm〜
0.1μm程度である。
【0067】ポリマー粒子の粒径は用途に応じて選択で
きるが、ナノサイズのポリマー粒子を用いると、樹脂組
成物における分散性、透明性、樹脂組成物中の抗菌性金
属成分及び抗菌性有機成分の含有量を高めることがで
き、少ない添加量で高い抗菌性を発現できる。
【0068】(抗菌性金属成分)ポリマー粒子には、抗
菌性金属成分が化学結合して担持されている。特に、抗
菌性金属成分は、前記官能基(酸素原子、窒素原子、イ
オウ原子などを含む官能基)を介して、ポリマー粒子
(特に親水性ポリマー粒子)に化学結合している。
【0069】抗菌性金属成分は、抗菌性を有する金属イ
オンおよび金属化合物で構成でき、これらの抗菌性金属
成分は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。抗
菌性を有する金属イオンとしては、例えば、銀イオン
(銀(I)または(II)イオン)、白金イオン、銅イオン、
亜鉛イオン、ニッケルイオン、コバルトイオン、モリブ
デンイオンおよびクロムイオンが挙げられる。好ましい
抗菌性金属イオンは、銀(I)イオン、銅イオンおよび亜
鉛イオン、特に銀イオンである。
【0070】抗菌性を有する金属化合物としては、銀、
白金、銅、亜鉛、ニッケル、コバルト、モリブデンおよ
びクロムから選択された少なくとも一種の金属化合物が
例示でき、通常、前記ポリマーの官能基に対して反応性
又は配位性の金属化合物が使用できる。前記金属化合物
は金属錯体であってもよく、この金属錯体は、アニオン
性、カチオン性又は中性のいずれであってもよい。アニ
オン性錯体の場合、対カチオンは、抗菌性を有する第四
級アンモニウム(フェニルジメチルアルキルアンモニウ
ム、ジデシルジメチルアンモニウム、セチルトリメチル
アンモニウム、テトラメチルアンモニウムなど)である
のが好ましい。
【0071】好ましい金属化合物には、銀化合物、例え
ば、ハロゲン化銀(AgCl,AgBrなど)、ハロゲ
ン酸塩や過ハロゲン酸塩(AgClO4,AgClO3
AgBrO3,AgIO3など)、無機酸塩(硫酸銀,硝
酸銀、炭酸銀など)、有機酸塩(酢酸銀,シュウ酸銀な
ど)、錯体(ジシアノ錯体,ジチオスルファイト錯体,
ジアンミン錯体,ジクロロ錯体など)が含まれる。
【0072】前記抗菌性金属成分(銀成分など)は、前
記ポリマーの官能基に対して配位し、錯体(チオール錯
体,チオウレイド錯体,ピリジル錯体,ビピリジル錯
体,フェナントロリル錯体,ヒスチジル錯体など)を形
成してもよい。ポリマーの官能基に対して配位可能な抗
菌性金属成分を用いると、抗菌性金属成分の含有量を増
大でき、抗菌活性を長期間に亘り持続できる。
【0073】抗菌性金属成分の担持量は、抗菌性を損な
わない範囲であればよく、例えば、金属換算で、親水性
ポリマー粒子の全重量の0.01〜70重量%、好まし
くは0.1〜50重量%、より好ましくは1〜40重量
%、特に5〜30重量%程度である。
【0074】(抗菌性有機成分)本発明の抗菌性ポリマ
ー粒子は、抗菌性有機成分が、前記抗菌性金属成分に化
学的結合により担持されている。すなわち、抗菌性有機
成分は、抗菌性金属成分を介してポリマー粒子に担持さ
れている。
【0075】抗菌性有機成分には、殺菌剤や抗カビ剤に
限らず、種々の殺生物剤、有害生物忌避剤または誘引
剤、生物成長抑制剤などが含まれる。抗菌性有機成分と
しては、酸素原子、窒素原子及びイオウ原子から選択さ
れた少なくとも1つの原子を含み、かつ前記抗菌性金属
成分に担持可能(化学的に結合可能)である限り、特に
制限されず、種々の抗菌又は抗カビ性有機化合物が使用
できる。前記抗菌性有機成分において、抗菌性金属成分
に坦持可能な官能基としては、前記ポリマー粒子の配位
性ユニットで説明した種々の官能基(酸素原子、窒素原
子及びイオウ原子から選択された少なくとも1つの原子
を有する官能基)が例示できる。好ましい官能基には、
窒素含有官能基(アミノ基、イミノ基、複素環基(ピリ
ジル基、イミダゾール基、イミヂゾリル基、トリアゾー
ル基など))、硫黄含有官能基(チオール基、チオキソ
基、チオアセチル基、チオウレイド基、チオカルバメー
ト基、ジチオカルバメート基、複素環基(チアゾリル
基、チアゾリニル基、チアジアゾリニル基など)、酸素
含有官能基(カルボキシル基、カルボニル又はケトン
基、ヒドロキシル基、アセチル基などのアシル基、エー
テル基など)、及び酸素原子、窒素原子及びイオウ原子
から選択された異種の複数の原子を有する官能基、例え
ば、窒素原子及び硫黄原子を含む官能基(チオカルバメ
ート基、ジチオカルバメート基、スルホンアミド基)な
どが含まれる。より具体的には、例えば、硫黄含有官能
基(チオール基、チオキソ基、チオアセチル基など)、
酸素含有官能基(カルボキシル基、カルボニル基、トロ
ポロン環基など)、硫黄及び窒素含有官能基(チアゾリ
ル基、チアゾリニル基、チアジアゾリニル基、チオカル
バメート基、ジチオカルバメート基、チアゾロン環基な
ど)などが例示できる。
【0076】抗菌性有機化合物(有機系抗菌剤)として
は、例えば、p−アミノベンゼンスルホンアミド骨格を
有する化合物(スルファメチアゾール、スルファメトキ
サゾール、スルフィソミジン、スルファモノメトキシン
など)、ピリドンカルボン酸骨格を有する化合物(ナリ
ジクス酸、ピロミド酸、ピペミド酸など;ノルフロキサ
シン、エノキサシンなどのニューキノロンなど)などが
挙げられる。
【0077】抗カビ性有機化合物(有機系抗カビ剤)と
しては、例えば、チオカルバメート系又はジチオカルバ
メート系化合物(トルナフテート、トルシクラート、ザ
ーラム(テトラメチルチウラムジスルフィド)、ファー
バム、ジラム、ジネブ、マンネブ、ポリカルバメートな
ど)、アリルアミン系化合物(ブテナフィンなど)、イ
ミダゾール系化合物[チアゾリル基、チアゾリニル基、
チアジアゾリニル基などの置換基を有するイミダゾール
化合物(例えば、チアゾリル基を有するベンズイミダゾ
ールなど)など;クロトリマゾール、エコナゾール、ミ
コナゾール、チオコナゾール、ビホナゾール、スルコナ
ゾール、クロコナゾール、イソコナゾール、オキシコナ
ゾール、ケトコナゾールなど]及びトリアゾール系化合
物(フルコナゾールなど)、有機酸系化合物[デヒドロ
酢酸、ソルビン酸、プロピオン酸、芳香族カルボン酸
(安息香酸、ピリドンカルボン酸系化合物)など]、チ
アゾロン系化合物(1,2−ベンズイソチアゾリン−3
−オンなど)、トロポロン系化合物(ヒノキチオールな
ど)などが挙げられる。
【0078】抗カビ剤、特に、チアゾリル基、チアゾリ
ニル基、及びチアジアゾリニル基から選択された少なく
とも一種の置換基を有するイミダゾール系抗カビ剤、チ
オカルバメート又はジチオカルバメート系抗カビ剤(例
えば、ザーラムなど)、カルボン酸系抗カビ剤(例え
ば、デヒドロ酢酸、ソルビン酸など)、チアゾロン系抗
カビ剤(例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−
オンなど)、トロポロン系抗カビ剤(例えば、ヒノキチ
オールなど)、特に、チアゾリル基置換イミダゾール
(2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾールなど)を
用いると、前記抗菌性金属成分に前記抗カビ剤を効率よ
く担持できる。
【0079】前記抗菌性有機成分は、抗菌性金属成分に
対して、酸素原子、窒素原子及びイオウ原子から選択さ
れた少なくとも1つの原子を介して結合する場合が多
い。特に、金属有機成分に対して配位し、耐菌性錯体を
形成したり、金属有機成分と塩を形成するようである。
【0080】抗菌性有機成分と前記抗菌性金属成分(金
属換算)との割合は、例えば、前者/後者=0.1/1
〜5/1(モル比)、好ましくは0.3/1〜3/1
(モル比)程度の範囲から選択できる。例えば、抗菌性
金属成分として、抗菌性銀化合物を用いる場合、抗菌性
有機成分の割合は、抗菌性銀化合物(銀換算)1モルに
対して、0.5〜2.5モル、好ましくは0.5〜2モ
ル、さらに好ましくは0.5〜1.5モル程度である。
抗菌性有機成分と抗菌性金属成分とを組み合わせると、
抗菌性有機成分により、初期においても高い抗菌活性を
発現でき、抗菌性ポリマー粒子に抗菌・抗カビ作用の速
効性を付与できるとともに、溶出を抑制しつつ、抗菌性
金属成分により長時間に亘り、抗菌・抗カビ活性を維持
できる。また、抗菌活性が低下しても、抗菌性金属イオ
ン及び抗菌性有機成分を含む水溶液に失活したポリマー
粒子を浸漬することにより、容易に再生できる。
【0081】好ましい態様において、抗菌性ポリマー粒
子は、抗菌性金属成分を介して抗菌性有機成分がポリマ
ー粒子に担持されているため、抗菌活性の持続性に加え
て速効性を有するとともに、樹脂などに対する分散性も
良好である。さらに、ポリマー粒子に対する抗菌性金属
成分の担持状態(例えば、共重合などにより、抗菌性金
属成分に対する配位性の異なる複数の官能基のポリマー
粒子への導入など)、抗菌性金属成分に対する抗菌性有
機成分の担持状態(例えば、抗菌性有機成分と抗菌性金
属成分との結合比など)などをコントロールしたり、異
なる官能基を有する複数のポリマー粒子を混合したり、
抗菌性金属成分に対する結合能力の異なる複数の抗菌性
有機成分を混合したりすることにより、抗菌成分(抗菌
性有機成分及び抗菌性金属成分)の放出を制御でき、速
効性ないし持続性の抗菌剤を得ることができる。さら
に、ポリマー粒子の親水性の程度(例えば、ポリマー粒
子の吸湿性や膨潤性)などを併せてコントロールする
と、周囲環境湿度などの変化に応じて、前記抗菌成分の
放出を制御することもできる。
【0082】(抗菌剤の製造方法)前記抗菌剤は、慣用
の担持方法、例えば、前記ポリマー粒子を前記抗菌性金
属成分(又は前記抗菌性金属成分と抗菌性有機成分)と
で処理することにより調製できる。
【0083】前記ポリマー粒子(親水性ポリマー粒子、
特に架橋親水性ポリマー粒子)は、粉砕及び分級、懸濁
重合、乳化重合などの慣用の方法を利用して調製でき
る。例えば、架橋構造を有するポリマー粒子の調製は、
重合造粒法、液中硬化法、分散造粒法などが採用でき
る。具体的に、前記架橋親水性ポリマー粒子の代表的な
調製法としては、沈殿重合法、例えば、非水系溶媒(特
に水と親水性溶媒との混合溶媒)中、重合開始剤を用い
て、配位性ユニットに対応する単量体と、親水性ユニッ
トに対応する単量体と、架橋構造を形成するための架橋
剤とで構成された単量体混合物を重合する方法が例示で
きる。この方法では、親水性溶媒の種類や水と親水性溶
媒との割合を調整することにより、親水性ポリマー粒子
の粒子径をコントロールでき、ナノオーダーの粒子径を
有する親水性ポリマー粒子を効率よく生成させることが
できる。親水性溶媒としては、メタノール,エタノー
ル,イソプロパノール,ブタノールなどのアルコール
類、アセトンなどのケトン類、ジオキサン,テトラヒド
ロフランなどのエーテル類や、これらの混合溶媒が例示
できる。水と親水性溶媒との割合は、例えば、前者/後
者=1/99〜70/30(重量%)、好ましくは3/
97〜50/50(重量%)程度の範囲から適当に選択
できる。この沈殿重合法では、特に分散安定剤を用いる
ことなく、生成した粒子サイズをコントロールできると
ともに、粒子の洗浄および回収が容易であり、低コスト
で親水性ポリマー粒子を得ることができる。
【0084】また、架橋ポリマー粒子(特に、架橋親水
性ポリマー粒子)は、抗菌性金属成分を配位可能な官能
基を含むポリマーの溶液を、貧溶媒に添加混合して媒体
中でポリマー粒子を生成させた後、架橋剤を添加して硬
化する方法、架橋剤とポリマーとの混合液を、ポリマー
に対する貧溶媒に添加混合して媒体中でポリマー粒子を
生成させた後、硬化する方法、架橋剤とポリマーとの混
合物を噴霧乾燥するスプレードライ法などによっても得
ることができる。なお、自己架橋性を有する熱硬化性樹
脂の架橋ポリマー粒子は、架橋剤を用いることなく、上
記と同様にして調製できる。
【0085】なお、抗菌性金属成分が化学結合可能な官
能基は、ポリマーの原料となる前記単量体や架橋剤に由
来してもよく、生成したポリマーに高分子反応などを利
用して導入してもよい。高分子反応を利用してポリマー
に前記官能基を導入する方法としては、例えば、キレー
ト樹脂などの金属イオン吸着性樹脂の調製方法に準じた
慣用の方法が採用できる。例えば、メルカプト基,ビピ
リジル基は、Ueyama,N ,et al .Inorg .Chem.Act
a.89,19-23(1984) に記載されている方法に準じて導
入できる。イミダゾール基の導入は、例えば、クロロメ
チル基を有するポリマーと、例えば、ヒスチジンとを反
応させることにより行うことができる。
【0086】ポリマー粒子に対する抗菌性成分の担持
は、例えば、必要によりポリマー粒子を溶媒で膨潤させ
た後、(i)ポリマー粒子を抗菌性金属成分を含む溶液に
添加混合し、抗菌性金属成分をポリマーに化学結合させ
て抗菌性金属成分をポリマー粒子に担持させ、さらにこ
のポリマー粒子を抗菌性有機成分を含む溶液に添加混合
することにより金属成分に抗菌性有機成分を担持させて
もよく、(ii)ポリマー粒子を抗菌性金属成分と抗菌性有
機成分とを含む溶液に添加混合することにより、抗菌性
金属成分を介して抗菌性有機成分をポリマー粒子に担持
させてもよい。得られた抗菌性分担持ポリマー粒子は、
必要により洗浄及び乾燥してもよい。
【0087】前記抗菌性ポリマー粒子は、抗菌性有機成
分とポリマー粒子とが抗菌性金属成分を介して化学結合
しているので、高い抗菌活性を初期から長期間に亘り発
現できる。また、ポリマー粒子として、親水性ポリマー
を用いると、細菌や微生物が繁殖しやすい高湿度環境下
では、吸水して粒子が膨らむため、粒子表面の抗菌性有
機成分のみならず、粒子内部の抗菌性金属成分をも放出
しやすくなり、環境応答性を備えている。特に、微粒子
(例えば、ナノサイズの粒子)では、粒子内部の抗菌性
金属成分が粒子表面に達するまでの距離が短く、しかも
粒子表面積の増大により、抗菌性有機成分のみならず、
抗菌性金属成分と細菌や微生物との接触効率を向上でき
る。さらに、抗菌性金属成分及び抗菌性有機成分を安定
に担持でき、紫外線などを照射しても変色することがな
い。
【0088】しかも、担体が有機高分子であることに加
え、抗菌性ポリマー粒子の表面には、抗菌性有機成分が
担持されているため、疎水性および親水性有機高分子の
双方に対する親和性が高く、抗菌性ポリマー粒子の分散
性が高く、透明性の高い抗菌性塗膜を形成することが可
能である。従って、抗菌性ポリマー粒子は、紫外線硬化
性塗料などの光硬化性組成物と組み合わせて抗菌性コー
ティング剤又は組成物を構成するのに有用である。
【0089】抗菌剤及び/又は抗カビ剤の含有量は、塗
膜全体又は塗膜を構成する成分(微粒子、重合性基含有
セルロース誘導体および光重合性化合物)中、0.01
〜30重量%、好ましくは0.1〜25重量%、さらに
好ましくは0.5〜20重量%(例えば、1〜20重量
%)程度であり、通常、0.5〜10重量%程度であ
る。
【0090】さらに、本発明の光重合性組成物は、慣用
の添加剤、例えば、光重合促進剤(第3級アミンな
ど)、安定剤(酸化防止剤、熱重合防止剤など)、可塑
剤、帯電防止剤、界面活性剤、難燃剤、着色剤などを含
有していてもよい。また、必要であれば、塗工性などを
コントロールするため、有機溶媒などを使用してもよ
い。
【0091】[塗膜又は被膜]本発明の光重合性組成物
(又はコーティング剤)は、基材に適用して硬化させる
ことにより低汚染性(又は耐汚染性)塗膜を形成するの
に有用である。特に、親水性又は超親水性塗膜を形成で
きるので、高湿度下(特に高温高湿下)に晒される基材
や水回りの基材に適用するのに有用である。
【0092】基材としては、特に制限されず、例えば、
紙、木材、プラスチック(成形能を有する樹脂又はポリ
マーアロイなどの樹脂組成物など)、セラミックス(コ
ンクリート、タイルなどを含む)、金属(ステンレスス
チールなど)などが例示できる。光硬化性組成物は、室
内に限らず室外の基材に対しても適用できる。
【0093】慣用のコーティング手段により、基材の表
面に光硬化性組成物を適用し、エネルギー線(紫外線、
電子線、X線など)を照射することにより硬化塗膜を形
成できる。塗膜の厚みは、特に制限されず用途に応じて
選択でき、例えば、0.1〜200μm、好ましくは1
〜100μm、さらに好ましくは2〜50μm(特に2
〜25μm)程度であってもよい。
【0094】このようにして形成された塗膜は、基材に
対する密着性が高く、高い親水性を示すとともに、耐久
性に優れ、強靱である。そのため、汚染性が低いだけで
なく、万一汚染されても容易に除去できる。さらに、抗
菌剤及び/又は抗カビ剤を含有する場合には、塗膜の親
水性が高いことと相まって、高い抗菌又は抗カビ性が発
現するので、微生物の繁殖や基材の腐食を抑制でき、衛
生性を改善できる。
【0095】
【発明の効果】本発明では、無機微粒子と特定のセルロ
ース誘導体と光重合性化合物とを組み合わせて用いるの
で、高い親水性を発現できるとともに持続でき、汚染抵
抗性の高い塗膜を形成できる。また、基材との密着性お
よび耐久性が高く、強靱な塗膜を形成できる。
【0096】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定さ
れるものではない。
【0097】実施例1 (1)重合性不飽和基を有するセルロース誘導体の調製 ヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達(株)製,
「SL」,ヒドロキシプロピル基による平均エーテル化
度53.4〜77.5%、2重量%水溶液の粘度(20
℃、B型粘度計)3〜5.9×10-3Pa・s(3.0
〜5.9cps))10gとピリジン50mlとの溶液
にメタクリロイルクロリド1gを添加して室温で一晩攪
拌した。反応液からエバポレーターで溶媒を除去し、ア
セトン/エーテルで再沈を繰り返して精製することによ
り、重合性基を導入したセルロース誘導体を得た。
【0098】(2)硬化塗膜の作製 得られた重合性不飽和基を有するセルロース誘導体1
g、紫外線硬化塗料(東亜合成(株)製、「アロニック
スUV3701」)1gおよびシリカゾル(日産化学
(株)製、メタノールシリカゾル,平均粒子径5〜20
nm,固形分30重量%)4gを混合してコーティング
組成物を得た。次いで、このコーティング組成物をガラ
ス板にフローコーティングした後、高圧水銀ランプを1
0分間照射して硬化塗膜を得た。
【0099】実施例2(抗菌性ポリマー粒子含有硬化塗
膜の作製) 実施例1で調製したコーティング組成物100重量部
に、下記の抗菌性ポリマー粒子(銀錯体担持ポリマー粒
子,特開平11−222402号公報の実施例2参照)
1重量部を添加し、実施例1と同様にして硬化塗膜を得
た。なお、上記抗菌性ポリマー粒子は次のようにして作
製した。
【0100】アクリルアミド4g(0.056モル),
メチレンビスアクリルアミド2.4g(0.0156モ
ル),および4−ビニルピリジン1.6g(0.015
2モル)の混合液を、エタノール86mlおよび水6m
lの混合溶媒に添加し、アゾビスイソブチロニトリル
0.05gを用いて、アルゴン雰囲気中、温度60℃で
17時間沈殿重合した。この反応において、温度60℃
に加熱した後、約1.5時間経過後に、重合系が白濁
し、ポリマー粒子が生成した。反応混合液を遠心分離
し、沈殿粒子を水150mlで2回洗浄した。
【0101】洗浄した沈殿粒子に、硝酸銀2.58g
(0.0152モル)と水150mlとの混合液を添加
し、室温で2時間撹拌し。混合液を遠心分離し、沈殿粒
子をメタノール150mlで2回洗浄し、減圧乾燥する
ことにより、銀錯体担持ポリマー粒子(平均粒子径約9
0〜120nm)を得た(収量8.6g(乾燥固形分換
算),水分含有量13.3重量%,銀含有量35.2重
量%)。
【0102】実施例3(抗菌・防カビ性ポリマー粒子含
有硬化塗膜の作製)実施例1で調製したコーティング組
成物100重量部に、銀錯体及び抗カビ剤を坦持した下
記の抗菌・防カビ性ポリマー粒子(1-a)1重量部を添
加し、実施例1と同様にして硬化塗膜を得た。
【0103】(抗菌・防カビ性ポリマー粒子(1-a)の
調製)エタノール86mlおよび蒸留水6mlの混合溶
媒に、アクリルアミド4g,メチレンビスアクリルアミ
ド2.4g,4−ビニルピリジン1.6g,及びアゾビ
スイソブチロニトリル0.05gを溶解させ、アルゴン
気流下、温度60℃で17時間重合を行った。生成した
微粒子を遠心分離により蒸留水300mlで洗浄し、ポ
リマー粒子を得た。
【0104】得られたポリマー粒子を、2−(4−チア
ゾリル)ベンズイミダゾール(TBI)3g及び硝酸銀
2.52gを含むジメチルホルムアミド200mlに超
音波分散させ、室温で4時間攪拌し、微粒子を得た。次
いで、得られた微粒子を蒸留水200mlとメタノール
100mlとで、順次洗浄濾過し、減圧乾燥して銀イオ
ンとTBIとを担持させたポリマー粒子(1-a)を得
た。(1-a)中の銀イオン含有量を熱分析により測定し
たところ、11重量%であった。得られたポリマー粒子
の平均粒子径をレーザー回折・散乱法で測定したとこ
ろ、84nmであった。
【0105】実施例4〜13(抗菌・防カビ性ポリマー
粒子含有硬化塗膜の作製) 実施例1で調製したコーティング組成物100重量部
に、銀錯体及び抗カビ剤を坦持した下記の抗菌・防カビ
性ポリマー粒子(1-b)〜(1-k)1重量部を添加し、実
施例1と同様にして硬化塗膜を得た。
【0106】実施例4:銀錯体及び抗カビ剤担持ポリマ
ー粒子(1-b) エタノール86mlおよび蒸留水6mlの混合溶媒に、
アクリルアミド4g、メチレンビスアクリルアミド2.
4g、N,N′−ジエチルジチオカルバミン酸(p−ビ
ニル)ベンジル1.6g及びアゾビスイソブチロニトリ
ル0.05gを溶解させ、アルゴン気流下、温度60℃
で17時間重合を行った。生成した微粒子を遠心分離に
より蒸留水300mlで洗浄し、ポリマー粒子を得た。
【0107】このポリマー粒子を水酸化ナトリウム2g
を溶解したエーテル100mlと蒸留水50mlの混合
溶媒に再分散させ、アルゴン雰囲気下、70℃で5時間
加水分解した後、ポリマー粒子を遠心分離により50%
エタノール水溶液400mlで洗浄し、1N−HClで
pH約5に調整した50%エタノール水溶液に再分散さ
せて一晩放置した。一晩放置後、遠心分離により粒子を
50%エタノール水溶液600mlで洗浄して、メルカ
プト基を有するポリマー粒子を得た。
【0108】実施例3と同様にして、銀イオンとTBI
とを担持させ、銀錯体及び抗カビ剤担持ポリマー粒子(1
-b)を得た。ポリマー粒子(1-b)中の銀イオン含有量を熱
分析により測定したところ、7重量%であった。得られ
たポリマー粒子(1-b)の平均粒子径をレーザー回折・散
乱法で測定したところ、80nmであった。
【0109】実施例5:銀錯体及び抗カビ剤担持ポリマ
ー粒子(1-c) エタノール86mlおよび蒸留水6mlの混合溶媒に、
アクリルアミド4g、メチレンビスアクリルアミド2.
4g、アクリル酸1.1g及びアゾビスイソブチロニト
リル0.05gを溶解させ、アルゴン気流下、温度60
℃で17時間重合を行った。生成した微粒子を遠心分離
により蒸留水300mlで洗浄し、ポリマー粒子を得
た。次いで、実施例3と同様にして、銀イオンとTBI
とを担持させ、銀錯体及び抗カビ剤担持ポリマー粒子(1
-c)を得た。ポリマー粒子(1-c)中の銀イオン含有量を熱
分析により測定したところ、10重量%であった。得ら
れたポリマー粒子(1-c)の平均粒子径をレーザー回折・
散乱法で測定したところ、92nmであった。
【0110】実施例6:銀錯体及び抗カビ剤担持ポリマ
ー粒子(1-d) エタノール86mlおよび蒸留水6mlの混合溶媒に、
アクリルアミド4g、メチレンビスアクリルアミド2.
4g、N,N′−ジエチルジチオカルバミン酸(p−ビ
ニル)ベンジル1.6g及びアゾビスイソブチロニトリ
ル0.05gを溶解させ、アルゴン気流下、温度60℃
で17時間重合を行った。生成した微粒子を遠心分離に
より蒸留水300mlで洗浄し、ジチオカルバメート基
を有するポリマー粒子を得た。次いで、実施例3と同様
にして、銀イオンとTBIとを担持させ、銀錯体及び抗
カビ剤担持ポリマー粒子(1-d)を得た。ポリマー粒子(1-
d)中の銀イオン含有量を熱分析により測定したところ、
9重量%であった。得られたポリマー粒子(1-d)の平均
粒子径をレーザー回折・散乱法で測定したところ、88
nmであった。
【0111】実施例7:銅錯体及び抗カビ剤担持ポリマ
ー粒子(1-e) 実施例3で得られたピリジル基を有するポリマー粒子8
gを、TBI 3g及び硝酸銅3.70gを含むジメチ
ルホルムアミド200mlに超音波分散させ、室温で4
時間攪拌し、微粒子を得た。次いで、得られた微粒子を
蒸留水200mlとメタノール100mlとで、順次洗
浄濾過し、減圧乾燥して銅イオンとTBIとを担持させ
たポリマー粒子(1-e)を得た。ポリマー粒子(1-e)中の銅
イオン含有量を熱分析により測定したところ、9重量%
であった。得られたポリマー粒子(1-e)の平均粒子径を
レーザー回折・散乱法で測定したところ、86nmであ
った。
【0112】実施例8:銀錯体及び抗カビ剤担持ポリマ
ー粒子(1-f) 実施例3で得られたピリジル基を有するポリマー粒子8
gを、TBI 3g、硝酸銀2.58g及びデヒドロ酢
酸2.6gを含むジメチルホルムアミド200mlに超
音波分散させ、室温で4時間攪拌し、微粒子を得た。次
いで、得られた微粒子を蒸留水200mlとメタノール
100mlとで、順次洗浄濾過し、減圧乾燥して銀イオ
ンとTBIとデヒドロ酢酸とを担持させたポリマー粒子
(1-f)を得た。ポリマー粒子(1-f)中の銀イオン含有量を
熱分析により測定したところ、11重量%であった。得
られたポリマー粒子(1-f)の平均粒子径をレーザー回折
・散乱法で測定したところ、88nmであった。
【0113】実施例9:銀錯体及び抗カビ剤担持ポリマ
ー粒子(1-g) デヒドロ酢酸2.6gの代わりにソルビン酸1.7gを
用いた以外は実施例8と同様にして、銀イオンとTBI
とソルビン酸とを担持させたポリマー粒子(1-g)を得
た。ポリマー粒子(1-g)中の銀イオン含有量を熱分析に
より測定したところ、10重量%であった。得られたポ
リマー粒子(1-g)の平均粒子径をレーザー回折・散乱法
で測定したところ、86nmであった。
【0114】実施例10:銀錯体及び抗カビ剤担持ポリ
マー粒子(1-h) デヒドロ酢酸2.6gの代わりにヒノキチオール2.5
gを用いた以外は実施例8と同様にして、銀イオンとT
BIとヒノキチオールとを担持させたポリマー粒子(1-
h)を得た。ポリマー粒子(1-h)中の銀イオン含有量を熱
分析により測定したところ、10重量%であった。得ら
れたポリマー粒子(1-h)の平均粒子径をレーザー回折・
散乱法で測定したところ、86nmであった。
【0115】実施例11:銀錯体及び抗カビ剤担持ポリ
マー粒子(1-i) TBI 3gの代わりに1,2−ベンズイソチアゾリン
−3−オン2.52gを用いた以外は実施例3と同様に
して、銀イオンと1,2−ベンズイソチアゾリン−3−
オンとを担持させたポリマー粒子(1-i)を得た。ポリマ
ー粒子(1-i)中の銀イオン含有量を熱分析により測定し
たところ、11重量%であった。得られたポリマー粒子
(1-i)の平均粒子径をレーザー回折・散乱法で測定した
ところ、84nmであった。
【0116】実施例12:銀錯体及び抗カビ剤担持ポリ
マー粒子(1-j) TBI 3gの代わりにテトラメチルチウラムジスルフ
ィド3.58gを用いた以外は実施例3と同様にして、
銀イオンとテトラメチルチウラムジスルフィドとを担持
させたポリマー粒子(1-j)を得た。ポリマー粒子(1-j)中
の銀イオン含有量を熱分析により測定したところ10重
量%であった。得られたポリマー粒子(1-j)の平均粒子
径をレーザー回折・散乱法で測定したところ、86nm
であった。
【0117】実施例13:銀錯体及び抗カビ剤担持ポリ
マー粒子(1-k) エタノール86mlおよび蒸留水6mlの混合溶媒に、
アクリルアミド2.1g、メチレンビスアクリルアミド
1.0g、アクリル酸1.1g、メタクリル酸メチル
2.4g、ジビニルベンゼン1.0g及びアゾビスイソ
ブチロニトリル0.1gを溶解させ、アルゴン気流下、
温度60℃で17時間重合を行った。生成した微粒子を
遠心分離により蒸留水300mlで洗浄し、ポリマー粒
子を得た。
【0118】次いで、実施例3と同様にして、銀イオン
とTBIとを担持させ、銀錯体及び抗カビ剤担持ポリマ
ー粒子(1-k)を得た。ポリマー粒子(1-k)中の銀イオン含
有量を熱分析により測定したところ、10.3重量%で
あった。得られたポリマー粒子(1-k)の平均粒子径をレ
ーザー回折・散乱法で測定したところ、60nmであっ
た。
【0119】上記実施例で得られた硬化塗膜の耐水性に
ついて、JIS K5400 8.19に従って評価し
たところ高い耐水性が得られた。また、硬化塗膜の水に
対する接触角はいずれも10°以下であり、硬化塗膜の
鉛筆硬度はいずれも「H」であった。
【0120】次に、硬化塗膜に油性マジック(登録商
標)ペンで縦約1cm×横約1cm角で線を引き、乾燥
後、水で濡らしたガーゼで10回こすり、線の落ち具合
を観察して汚れ除去性を定性的に評価した。その結果、
線は僅かな痕跡を残すのみでほぼ除去され、高い汚れ除
去性が確認できた。
【0121】比較例1 実施例1で紫外線硬化塗料を用いることなく、実施例1
と同様にしてガラス板上に塗膜を作製した。得られた塗
膜は、水に対する接触角10〜15°で高い親水性を有
していたが、耐水性が全くなかった。
【0122】比較例2 重合性基を導入したヒドロキシプロピルセルロースを用
いることなく、実施例1と同様にしてガラス板上に塗膜
を作製した。得られた塗膜は、耐水性は良好であったが
水に対する接触角40〜50°であり親水性が低く、汚
れ除去性は全くなかった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山▲崎▼ 正久 大阪市中央区平野町四丁目1番2号 大阪 瓦斯株式会社内 (72)発明者 中山 敏郎 兵庫県伊丹市伊丹3丁目2−10−404 (72)発明者 在間 弘朗 京都市左京区北白川追分町1−4−104 (72)発明者 海津 善行 大阪府岸和田市土生町1280−6 Fターム(参考) 4J011 AC04 PA03 PA07 PA09 PA10 PA13 PA53 PB22 PB34 PB39 QA03 QA04 QA12 QA13 QA14 QA23 QA24 QB14 QB16 UA01 UA03 UA04 VA01 WA02 4J027 AH03 BA07 BA08 BA09 BA19 BA20 BA25 BA27 CA10 CA12 CA14 CA16 CA17 CA18 CD08 4J038 FA221 FA301 KA04 KA20

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 微粒子と、重合性不飽和基を有するセル
    ロース誘導体と、光重合性化合物とを含む光硬化性組成
    物。
  2. 【請求項2】 セルロース誘導体が、(メタ)アクリロ
    イル基を有するセルロースエーテル類である請求項1記
    載の光硬化性組成物。
  3. 【請求項3】 無機微粒子と、重合性不飽和基を有する
    セルロース誘導体と、(メタ)アクリレート及びビニル
    化合物から選択された光重合性化合物と、光重合開始剤
    とを含む請求項1又は2に記載の光硬化性組成物。
  4. 【請求項4】 さらに、抗菌剤及び/又は抗カビ剤を含
    有する請求項1〜3のいずれかの項に記載の光硬化性組
    成物。
  5. 【請求項5】 抗菌剤及び/又は抗カビ剤が、少なくと
    も抗菌性金属成分を含む抗菌性ポリマー粒子である請求
    項1〜4のいずれかの項に記載の光硬化性組成物。
  6. 【請求項6】 抗菌剤及び/又は抗カビ剤が、金属イオ
    ン又は金属化合物で構成された抗菌性金属成分と、この
    抗菌性金属成分が化学的に結合して担持されたポリマー
    粒子とで構成されたポリマー粒子であって、前記ポリマ
    ー粒子が酸素原子、窒素原子および硫黄原子から選択さ
    れた少なくとも一つの原子を含み、かつ抗菌性金属成分
    に対して化学的に結合可能な官能基を有するユニット
    と、架橋ユニットとを含む架橋構造を有するポリマーで
    構成されている抗菌性ポリマー粒子で構成されている請
    求項4又は5記載の光硬化性組成物。
  7. 【請求項7】 抗菌剤及び/又は抗カビ剤が、酸素原
    子、窒素原子及び硫黄原子から選択された少なくとも一
    つの原子を含む抗菌・防カビ性有機成分と、この有機成
    分が、請求項6記載の抗菌性金属成分に化学的に結合し
    て担持されているポリマー粒子とで構成されている請求
    項4〜6のいずれかの項に記載の光硬化性組成物。
  8. 【請求項8】 抗菌剤及び/又は抗カビ剤の含有量が、
    0.01〜30重量%である請求項4〜7のいずれかの
    項に記載の光硬化性組成物。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8に記載の光硬化性組成物に
    より形成された塗膜。
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