JP2003073627A - 防汚塗料 - Google Patents

防汚塗料

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JP2003073627A
JP2003073627A JP2002174422A JP2002174422A JP2003073627A JP 2003073627 A JP2003073627 A JP 2003073627A JP 2002174422 A JP2002174422 A JP 2002174422A JP 2002174422 A JP2002174422 A JP 2002174422A JP 2003073627 A JP2003073627 A JP 2003073627A
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antibacterial
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polymer particles
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polymer
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Application number
JP2002174422A
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English (en)
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Chiharu Yamaguchi
千春 山口
Manabu Nakamoto
学 中本
Masahisa Yamazaki
正久 山▲崎▼
Masahiro Yamada
昌宏 山田
Hiroaki Arima
弘朗 在間
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Osaka Gas Co Ltd
Original Assignee
Osaka Gas Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 海生生物の付着に対する阻害活性が高く、環
境に対する負荷を低減できる防汚塗料を提供する。 【解決手段】 防汚塗料は、ポリマー粒子に担持された
抗菌性金属成分に、さらに、ヘテロ原子(O,N及び
S)から選択された原子を含む抗菌性有機成分を担持さ
せることにより得られた抗菌性ポリマー粒子を含んでい
る。前記抗菌性金属成分は、銀、白金、銅、亜鉛、ケイ
素、鉄などであってもよく、抗菌性有機成分は、イミダ
ゾール系化合物、チオカルバメート系化合物、有機酸系
化合物、チアゾロン系化合物、トロポロン系化合物、ピ
リジンカルボン酸又はその誘導体(ニコチン酸、ニコチ
ン酸アミド)などであってもよい。また、前記ポリマー
粒子に代えて樹脂を用い、この樹脂に抗菌性金属成分を
担持させ、さらに、抗菌性有機成分を担持させた抗菌性
樹脂を用いてもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、種々の水生生物や
海生生物(二枚貝類などの動物、藻類などの植物など)
に対して付着防止効果を有効かつ長期に発現する抗菌性
ポリマー粒子およびその製造方法、前記抗菌性ポリマー
粒子を含み、コーティング剤などとして有用で低環境負
荷性の抗菌性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】防汚塗料は、海水中の汚損生物、例え
ば、フジツボ類、ムラサキ貝類、ヒドロ虫類、カンザシ
ゴカイなどの付着生物や、アオノリ類、アオサ類などの
付着藻類、ヌメリ状物質(スライム)の着生を防ぐ塗料
として開発され、発電所、液化天然ガス(LNG)気化
器などの取水管、構造物の没水部、船底、養殖や定置漁
網などに広く使用されている。
【0003】防汚塗料には、化学的方法を利用した塗料
と物理的方法を利用した塗料とに分類できる。前者は、
付着生物の活性を低下させることにより付着を防止する
ものであり、前記生物に対する活動抑制・殺菌・忌避物
質などを防汚剤として塗料に混合した塗料である。後者
は、取水管などの表面特性を低表面張力にすることによ
り生物の付着を防止するものであり、シリコーン樹脂な
どを主剤とした塗料である。
【0004】防汚塗料に用いられる防汚剤としては、亜
酸化銅、有機錫化合物、有機窒素硫黄系化合物などが知
られている。有機錫化合物は優れた防汚性能を示すもの
の、魚類に対する毒性(蓄積性)が問題化し、1990年、
トリブチルオキシド(TBTO)、トリフェニルスズ化合物(T
PT)が特定化学物質に指定され、実質的に製造、使用、
輸入などが制限されている。その後、毒性の低い亜酸化
銅塗料や無公害型とされるシリコーン系塗料が主に用い
られるようになってきた。亜酸化銅を防汚剤として配合
してある塗料は、銅イオンを溶出することにより生物の
付着を防止するもので、加水分解型樹脂などの利用によ
り長期防汚性を高めている。しかし、長期防汚性を高め
るためには、亜酸化銅の配合量を数十%(30〜50重
量%程度)まで高める必要があり、銅を含む塗料を規制
する動きに対応できない。
【0005】シリコーン系塗料は、付着しにくく、滑り
摩擦が小さいことにより生物の付着防止作用を有する。
しかし、シリコーン単体ではその効果が小さいのでシリ
コーンに他の液状物質(ポリエチレングリコール変性シ
リコーン、流動パラフィン)を混合して付着防止性能を
向上している。この塗料では、シリコーンゴムをマトリ
ックスとし、液状物質が表面に滲出することにより液状
物質の層が形成され生物の付着を防止している。そのた
め、滲出物の溶出が将来的に問題となる可能性があると
共に、塗料のコストが非常に高い。
【0006】特開平4−318072号公報には、N−
ビニルピロリドンを共重合成分とした共重合体と、亜酸
化銅と、ロジンと、チアベンダゾールとを含む防汚塗料
組成物が開示されている。特開平4−318073号公
報には、アセトアセチル基を有するポリマーと、亜酸化
銅と、ロジンと、チアベンダゾールとを含む防汚塗料組
成物が開示されている。特開平5−1246号公報に
は、アセトアセチル基を有するポリマーと、無機銅化合
物と、チアベンダゾールとを含む防汚塗料組成物が開示
されている。特開平5−9413号公報には、無機銅化
合物と反応性を有する官能基を実質的に1個以上有する
ポリマーと、低分子量のカルボキシル基含有化合物と無
機銅化合物との混練物と、チアベンダゾールとを含む防
汚塗料組成物が開示されている。特開平7−90200
号公報には、海水により水溶化させるため、主鎖又は主
鎖末端に多価金属塩を有するポリウレタン樹脂を含む防
汚塗料用樹脂組成物が開示されている。この文献には、
前記ポリウレタン樹脂と、親水性樹脂や疎水性樹脂とを
併用してもよいこと、亜酸化銅などの防汚剤を含んでい
てもよいことも記載されている。
【0007】しかし、これらの防汚塗料を用いても、防
汚剤が早期に溶出するため、長期間に亘り高い防汚性を
維持できず、環境に対する負荷及び汚染性も大きくな
る。
【0008】特開平11−222402号公報には、金
属イオン又は金属化合物で構成された抗菌性金属成分
が、ポリマー粒子に化学的に結合して担持されている抗
菌性ポリマー粒子であって、前記ポリマー粒子が、親水
性ユニットと、酸素原子、窒素原子及びイオウ原子から
選択された少なくとも1つの原子を含み、かつ抗菌性金
属成分に対して化学的に結合可能な官能基を有するユニ
ットと、架橋ユニットとを含む架橋構造を有する親水性
ポリマーで構成されている抗菌性ポリマー粒子が開示さ
れている。特開2001−40222号公報には、金属
イオン又は金属化合物で構成された抗菌性金属成分が、
ポリマー粒子に化学的に結合して担持されている抗菌性
ポリマー粒子であって、酸素原子、窒素原子及びイオウ
原子から選択された少なくとも1つの原子を含む抗菌性
又は抗カビ性有機成分が、前記抗菌性金属成分に化学的
に結合して担持されている抗菌性ポリマー粒子が開示さ
れている。これらの文献には、抗菌性や抗カビ性を基材
に適用するため、前記抗菌性ポリマー粒子をコーティン
グ剤や塗料などに添加することも記載されている。しか
し、水生生物に対する活性については記載されていな
い。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、水中や海水中の水生生物に対する付着防止性を有効
かつ長期間に亘り持続できるとともに、環境に対する負
荷の小さな防汚塗料(又はコーティング剤)を提供する
ことにある。
【0010】本発明の他の目的は、種々の水生生物(動
物、藻類など)に対して付着防止効果を有効に発現する
防汚塗料を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決するため鋭意検討の結果、抗菌性金属成分を介し
て、抗菌性有機成分を有機高分子の担体に担持させたポ
リマー粒子を用いると、有機高分子との親和性が高く、
抗菌性金属成分及び抗菌性有機成分を高濃度で含有で
き、高い防汚活性を長期間に亘り維持できること、さら
に、抗菌性金属成分の含有量が極端に少なくても高い防
汚性が長期間に亘り発現し、低環境負荷性の水中防汚塗
料が得られることを見いだし、本発明を完成した。
【0012】すなわち、本発明の防汚塗料(又はコーテ
ィング剤)は、水生生物(貝類などの動物や藻類などの
植物など)が部材(船体、海中浸漬部材、網などの被処
理材)に付着するのを防止するために有用である。この
防汚塗料は、金属イオン又は金属化合物で構成された抗
菌性金属成分が、ポリマー粒子に化学的に結合して担持
されており、酸素原子、窒素原子及びイオウ原子から選
択された少なくとも1つの原子を含む抗菌性有機成分
が、前記抗菌性金属成分に化学的に結合して担持されて
いる抗菌性ポリマー粒子を含む。前記ポリマー粒子は、
酸素原子、窒素原子、及びイオウ原子から選択された少
なくとも1つの原子を含み、かつ抗菌性金属成分に対し
て化学的に結合可能な官能基を有するユニットと、架橋
ユニットとを含む架橋構造を有するポリマーで構成して
もよい。この架橋構造を有するポリマーは、親水性ユニ
ットと、官能基(カルボキシル基、ピリジル基、メルカ
プト基、チオカルバメート基及びジチオカルバメート基
から選択された少なくとも1つの官能基)を含み、かつ
抗菌性金属成分に対して化学的に結合可能な官能基を有
するユニットと、架橋ユニットとを含む親水性高分子ゲ
ルで構成してもよい。前記ポリマー粒子の平均粒子径
は、例えば、5nm〜30μm程度であってもよい。
【0013】前記抗菌性金属成分は、例えば、銀、白
金、銅、亜鉛、ニッケル、コバルト、モリブデン、クロ
ム、ケイ素、鉄などから選択された少なくとも1つの金
属成分で構成でき、抗菌性金属成分の担持量は、例え
ば、金属換算で、全体の0.01〜70重量%程度であ
ってもよい。前記抗菌性有機成分は、通常、酸素原子、
窒素原子、及びイオウ原子から選択された少なくとも1
つの原子を含み、かつ抗菌性金属成分に対して化学的に
結合可能な官能基を有する。このような抗菌性有機成分
としては、チアゾリル基、チアゾリニル基、チアジアゾ
リニル基、チオカルバメート基、ジチオカルバメート
基、カルボキシル基、チアゾロン環、トロポロン環、ピ
リジル基などを有する化合物、例えば、イミダゾール系
化合物、チオカルバメート系化合物、ジチオカルバメー
ト系化合物、有機酸系化合物、チアゾロン系化合物、ト
ロポロン系化合物、ピリジン系化合物などが例示でき
る。
【0014】より具体的には、前記抗菌性ポリマー粒子
は、酸素含有官能基、窒素含有官能基又はイオウ含有官
能基を有し、かつ平均粒子径5nm〜30μmのポリマ
ー粒子と、このポリマー粒子の前記官能基に対して化学
結合して担持され、かつ銀又は銅から選択された抗菌性
金属成分と、この抗菌性金属成分に担持された有機抗菌
性成分とで構成でき、この有機抗菌成分は、チアゾリル
基を有するイミダゾール系化合物、チオカルバメート系
化合物、ジチオカルバメート系化合物、カルボン酸系化
合物、チアゾロン系化合物、トロポロン系化合物、ピリ
ジン系化合物などであってもよい。前記ポリマー粒子
は、窒素含有親水性ユニット、酸素含有官能基、窒素含
有官能基又はイオウ含有官能基を有するユニット、及び
架橋ユニットを有する親水性ポリマー粒子であってもよ
い。
【0015】前記抗菌性ポリマー粒子は、ポリマー粒子
を、金属イオン又は金属化合物で構成された抗菌性金属
成分と、酸素原子、窒素原子及びイオウ原子から選択さ
れた少なくとも1つの原子を含む抗菌性有機成分とで処
理することにより製造できる。
【0016】本発明は、金属イオン又は金属化合物で構
成された抗菌性金属成分が、ポリマー粒子に化学的に結
合して担持されており、酸素原子、窒素原子及びイオウ
原子から選択された少なくとも1つの原子を含む抗菌性
有機成分が、前記抗菌性金属成分に化学的に結合して担
持されている抗菌性ポリマー粒子であって、前記抗菌性
有機成分が、ピリジンカルボン酸又はその誘導体で構成
されている抗菌性ポリマー粒子も含む。さらに、本発明
は、金属イオン又は金属化合物で構成された抗菌性金属
成分が、樹脂に化学的に結合して担持されている抗菌性
樹脂であって、酸素原子、窒素原子及びイオウ原子から
選択された少なくとも1つの原子を含む抗菌性有機成分
が、前記抗菌性金属成分に化学的に結合して担持されて
いる抗菌性樹脂も含む。この抗菌性樹脂は、被膜形成能
を有する塗料用樹脂であってもよく、加水分解性を有す
る樹脂であってもよい。
【0017】本発明の防汚塗料は、前記抗菌性ポリマー
粒子及び/又は抗菌性樹脂と必要より樹脂(バインダー
樹脂など)とを混合することにより調製できる。本発明
には、前記抗菌性ポリマー粒子及び/又は抗菌性樹脂を
被処理材に適用し、この被処理材に対する水生生物の付
着を防止する方法も含まれる。
【0018】本明細書において、「抗菌性」とは水生生
物の付着に対する阻害活性を有することを意味し、抗菌
性金属成分の「担持」とは、抗菌性が発現する限り、抗
菌性金属成分がポリマー粒子の表面及び/又は内部に保
持されていることを意味し、抗菌性有機成分の「担持」
とは、抗菌性有機成分が抗菌性金属成分に保持されてい
ることを意味する。「化学結合」「化学的結合」とは、
塩形成などのイオン結合および配位結合の双方を含む意
味に用い、単に「配位」という場合がある。なお、「非
架橋親水性ポリマー」および「架橋構造を有する親水性
ポリマー」を単に「親水性ポリマー」と総称する場合が
ある。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の防汚塗料は、水生生物の
付着を防止するための塗料であって、抗菌性ポリマー粒
子及び/又は抗菌性樹脂を含んでいる。
【0020】[抗菌性ポリマー粒子]抗菌性ポリマー粒
子は、ポリマー粒子と、このポリマー粒子に化学的に結
合して担持された抗菌性金属成分(金属イオン又は金属
化合物で構成され、かつ水生生物の付着に対して阻害活
性を有する金属成分)と、この抗菌性金属成分に化学的
に結合して担持された抗菌性有機成分(酸素原子、窒素
原子及びイオウ原子から選択された少なくとも1つの原
子を含み、かつ水生生物の付着に対して阻害活性を有す
る有機成分)とで構成されている。このような抗菌性ポ
リマー粒子において、抗菌性有機成分がピリジンカルボ
ン酸又はその誘導体である抗菌性ポリマー粒子は、新規
なポリマー粒子である。
【0021】[ポリマー粒子]担体として機能するポリ
マー粒子は、抗菌性金属成分を担持可能なポリマーで構
成されており、合成高分子、天然高分子のいずれであっ
てもよい。抗菌性金属成分をポリマー粒子に化学的に結
合させる上で、ポリマー粒子を構成するポリマーは前記
抗菌性金属成分を配位可能な官能基を有しているのが好
ましい。前記ポリマーは、疎水性ポリマーであってもよ
いが、好ましくは親水性ポリマーである。ポリマー粒子
を親水性ポリマーで構成すると、その親水性の程度など
を制御することなどにより、高湿度条件下においても、
抗菌性を有効に発現させることができる。
【0022】前記ポリマーは、溶剤に対して可溶な非架
橋ポリマーであってもよいが、溶剤に対して難溶又は不
溶のポリマー粒子を構成するため、架橋構造を有するの
が好ましい。
【0023】ポリマー粒子は、親水性及び/又は疎水性
ユニット(好ましくは少なくとも親水性ユニット)と、
酸素原子、窒素原子およびイオウ原子から選択された少
なくとも1つの原子を含み、かつ抗菌性金属成分に対し
て化学的に結合可能な官能基(特に配位性基)を有する
配位性ユニットと、架橋ユニットとで構成されている。
なお、親水性ポリマー粒子において、親水性ユニットと
官能基を有する配位性ユニットは同種又は異なっていて
もよい。
【0024】親水性ユニットとしては、種々の親水性フ
ラグメントやセグメントが利用でき、例えば、カルボキ
シル基含有ユニット[(メタ)アクリル酸、無水マレイ
ン酸などのカルボキシル基又は酸無水物基含有モノマー
で形成されたユニット]、ヒドロキシル基含有ユニット
[ポリ酢酸ビニルの加水分解により生成するビニルアル
コールユニット、ヒドロキシC2-3アルキル(メタ)ア
クリレートなどのヒドロキシル基含有モノマーで形成さ
れたユニット]、エーテル基含有ユニット[ビニルC
1-4アルキルエーテル、ポリエチレングリコールモノ又
はジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールな
どのエーテル基含有モノマーで形成されたユニット]、
窒素含有ユニット[ビニルピロリドン、ビニルピリジ
ン、(メタ)アクリルアミド、メチロール(メタ)アク
リルアミド、N,N−ジアルキルアミノアルキル(メ
タ)アクリレートなどの窒素含有モノマーで形成された
ユニット]などが例示できる。親水性ポリマーは、異な
る複数の親水性ユニットを有していてもよく、親水性ユ
ニットは必要により塩を形成してもよい。
【0025】好ましい親水性ユニットには、水溶性ポリ
マーを形成し、かつ疎水性樹脂に対して親和性を有する
親水性ユニットが含まれ、このような親水性ユニットと
しては、窒素原子(特にアミド基又はN−置換アミド
基)を含むユニット(例えば、(メタ)アクリルアミ
ド、N−置換(メタ)アクリルアミドなどで形成される
親水性ユニット)などが例示できる。N−置換(メタ)
アクリルアミドとしては、例えば、N−メチル(メタ)
アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、
N−ブチル(メタ)アクリルアミドなどのN−C1-6
ルキル(メタ)アクリルアミド、N−C1-6アシル(メ
タ)アクリルアミドなどが例示できる。なお、親水性ユ
ニットをN−ブチルアクリルアミドなどのN−C1-6
ルキル(メタ)アクリルアミドで形成すると、ポリマー
粒子に感温性も付与できる。
【0026】配位性ユニットにおいて、酸素原子を含む
官能基(特に配位性基)としては、例えば、カルボキシ
ル基又はその誘導体基(酸ハライド基、酸無水物基な
ど)、ヒドロキシル基、アシル基(ホルミル、アセチル
基などのC1-4アシル基など)、カルボニル基、アセチ
ルアセトン構造を含むポリカルボニル基、エーテル基、
クラウンエーテル基、カテコール構造を含む芳香族ポリ
ヒドロキシル基、サリチル酸構造を含む芳香族ヒドロキ
シカルボニル基、フタル酸構造を含むポリカルボン酸
基、エポキシ基、酸素含有複素環基(フリル基、クロマ
ニル基など)などが例示できる。
【0027】疎水性ユニットとしては、例えば、(メ
タ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリロニ
トリルなどの(メタ)アクリル系モノマー、スチレン、
ジビニルベンゼンなどの芳香族ビニルモノマー、酢酸ビ
ニルなどのビニルエステル系モノマー、塩化ビニル、塩
化ビニリデンなどのハロゲン含有モノマー、エチレン、
プロピレンなどのオレフィンなどで形成されたユニット
などが例示できる。
【0028】窒素原子を含む官能基(特に配位性基)と
しては、例えば、アミノ基、モノ又はジアルキルアミノ
基(モノC1-4アルキルアミノ基、ジC1-4アルキルアミ
ノ基など)、イミノ基、アゾ基、アミジノ基、ヒドラジ
ノ基、ヒドラゾノ基、シアノ基、窒素含有複素環基(ピ
ロリル基、イミダゾリル基、ピリジル基、ビピリジル
基、ピロリル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、キ
ノリル基、ベンズイミダゾリル基、フェナンスロリル基
など)、アザクラウンエーテル基などが例示できる。窒
素含有官能基として、アミノ基、イミノ基を利用する場
合が多く、窒素含有官能基は、ピリジル基などの複素環
基であってもよい。
【0029】イオウ原子を含む官能基(特に配位性基)
としては、メルカプト基(チオール基)、チオキソ基、
チエニル基、チオアセチル基、アルキルチオニル基、チ
オカルバモイル基(チオカルバメート基)、ジチオカル
バメート基、スルホニル基、チオカルボキシル基、スル
ホン酸基(スルホ基)、スルフィン酸基(スルフィノ
基)、チオ尿素基(チオウレイド基)、チオクラウンエ
ーテル基、チオエーテル基、複素環基(チオフェニル基
など)などが例示できる。
【0030】ポリマー粒子は、酸素原子、窒素原子、イ
オウ原子などから選択された複数の原子を有する官能
基、例えば、酸素原子および窒素原子を含む官能基を有
していてもよい。このような官能基としては、例えば、
ニトロ基、ウレイド基、アミノヒドロキシエチル基のよ
うなアミノアルコール基、アミノフェノール基、キノリ
ノ基、イミジノ酢酸基のようなアミノポリカルボン酸
基、オキシム基、アミドオキシム基、複素環基(モルホ
リノ基、モルホリニル基など)などが例示できる。
【0031】上記官能基は複数組み合わせることができ
る。官能基の種類によって金属イオン又は金属化合物と
の結合の強さが異なるので、種類の異なる官能基を複数
組み合わせて用いることにより、ポリマー粒子からの抗
菌性金属成分の放出、ひいては抗菌性有機成分の放出を
制御できる。
【0032】官能基の種類は抗菌性金属成分の種類に応
じて選択できる。好ましい官能基には、酸素含有官能基
[例えば、カルボキシル基など]、窒素含有官能基[例
えば、窒素含有複素環基(イミダゾリル基、ピリジル
基、ビピリジル基など)など]、イオウ含有官能基[チ
オール基、チオウレイド基、チオカルバメート基、ジチ
オカルバメート基など]が含まれる。このような官能基
と、抗菌性金属成分(例えば、銅成分など)とを組合わ
せると、錯体を有効に形成できる。
【0033】親水性ポリマー粒子に架橋構造を導入する
ための架橋ユニットは、自己架橋ポリマー粒子(例え
ば、熱硬化性樹脂の硬化又は架橋粒子など)などのよう
に縮合性基又はフラグメントで構成してもよく、架橋剤
で構成してもよい。架橋ポリマー粒子は耐熱性が高く、
焼き付け塗料などのように、高温(例えば、300℃程
度)に晒されても高い耐性を示す。
【0034】架橋ユニットを構成する架橋剤としては、
重合性不飽和単量体を原料とするポリマー(ビニル重合
型ポリマー)では、通常、多官能重合性単量体[ジビニ
ルベンゼン、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エ
チレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレン
グリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコ
ールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール
ジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ
(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ又は
テトラ(メタ)アクリレートなど]が使用される。
【0035】縮合又は付加反応性単量体を原料とする親
水性ポリマー(縮合型又は付加縮合型ポリマー)では、
架橋剤として、ポリマーの官能基に対して2以上の反応
性官能基を有する化合物が使用できる。
【0036】親水性ポリマーが複数のカルボキシル基又
は酸無水物基を有する場合、架橋剤として、例えば、多
価金属イオン(マグネシウムイオン、アルミニウムイオ
ン、ジルコニウムイオンなど);ポリイソシアネート;
ポリアミン;複数のエポキシ基を有するエポキシ化合
物;ビスオキサゾリン化合物などが挙げられる。
【0037】親水性ポリマーがヒドロキシル基を有する
場合、架橋剤として、例えば、ポリイソシアネート;多
価カルボン酸又はその反応性誘導体(酸ハライド、酸無
水物);加水分解性シリル基を有する化合物(ジクロロ
ジメチルシラン、ジクロロテトラメチルジシロキサン、
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン
など);複数のメチロール基又はアルコキシメチル基を
有する化合物(尿素樹脂、メラミン樹脂など);ビスオ
キサゾリン化合物などが挙げられる。
【0038】親水性ポリマーがアミノ基、アミド基など
を有する場合、例えば、ポリイソシアネート;多価カル
ボン酸又はその反応性誘導体;加水分解性シリル基を有
する化合物;複数のエポキシ基を有するエポキシ化合
物;ビスオキサゾリン化合物などが架橋剤として使用で
きる。
【0039】親水性ポリマー粒子の架橋度は、例えば、
架橋ユニット(又は架橋剤)の含有量換算で、0.1〜
30重量%、好ましくは0.5〜20重量%、より好ま
しくは1〜10重量%程度である。
【0040】架橋構造を有する親水性ポリマー粒子に
は、(i)親水性を有する前記配位性ユニット(例えば、
前記カルボキシル基、窒素含有複素環基などの窒素含有
基、メルカプト基などを含むモノマーで形成されたユニ
ット)と、架橋ユニット(例えば、多官能重合性単量体
などの架橋性モノマーや架橋剤で形成されるユニット)
との共重合体又は共縮合体、(ii)前記親水性ユニット
((メタ)アクリルアミド、N−置換(メタ)アクリル
アミドなどのモノマーで形成されたユニット)と、前記
配位性ユニット(例えば、前記カルボキシル基、窒素含
有官能基、メルカプト基などを含むモノマーで形成され
たユニット)と、架橋ユニット(例えば、多官能重合性
単量体などで形成されるユニット)との共重合体又は共
縮合体が含まれる。
【0041】これらのポリマー粒子(好ましくは親水性
ポリマー粒子)は、さらに共重合ユニットとして、例え
ば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル,(メタ)ア
クリロニトリルなどの(メタ)アクリル系モノマー、ス
チレン,ジビニルベンゼンなどの芳香族ビニルモノマ
ー、酢酸ビニルなどのビニルエステル系モノマー、塩化
ビニル,塩化ビニリデンなどのハロゲン含有モノマー、
エチレン,プロピレンなどのオレフィンなどで形成され
たユニットを含んでいてもよく、必要であれば、さらに
変性してもよい。親水性ユニット又は親水性ポリマー粒
子に疎水性共重合ユニット(例えば、メタクリル酸メチ
ル、スチレン、ジビニルベンゼンなどによる疎水性ユニ
ット)を導入することにより、抗菌剤の溶出性などを制
御することができる。
【0042】好ましい親水性ポリマー粒子は、親水性高
分子ゲル[例えば、配位性ユニットを有する架橋重合体
(架橋ポリアクリル酸、架橋ポリビニルピリジンな
ど)、アクリルアミドユニットと配位性ユニットを有す
る架橋重合体(架橋構造を有するアクリルアミド−(メ
タ)アクリル酸共重合体、架橋構造を有するアクリルア
ミド−ビニルピリジン共重合体、架橋構造を有するアク
リルアミド−メルカプトメチル置換スチレン共重合体、
架橋構造を有するアクリルアミド−(メタ)アクリル酸
−ビニルピリジン共重合体など)]で構成できる。
【0043】ポリマー粒子は、他のポリマー(例えば、
親水性ポリマー)を含んでいてもよい。他の親水性ポリ
マーとしては、例えば、ポリオキシアルキレングリコー
ル(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコー
ルなどのポリオキシC2-4アルキレングリコールな
ど)、アクリル系重合体[ポリ(メタ)アクリル酸又は
その塩、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重
合体、アクリル酸−ビニルアルコール共重合体など]、
スチレン系重合体(スチレン−無水マレイン酸共重合
体、ポリスチレンスルホン酸又はその塩など)、酢酸ビ
ニル系重合体[酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸共重合
体、酢酸ビニル−アクリル酸メチル共重合体、エチレン
−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコールなど]、
セルロース誘導体(メチルセルロース、ヒドロキシエチ
ルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロ
キシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセル
ロースなどのセルロースエーテルなど)、親水性天然高
分子又はその誘導体(アルギン酸又はその塩、アラビア
ゴム、ゼラチン、カゼイン、デキストリンなど)、カチ
オン性重合体(ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリ
ドンなど)などが挙げられる。
【0044】これらの他のポリマー(例えば、親水性ポ
リマー)のうち、粒子径の制御、結合性及び低環境負荷
性(生分解性など)の点から、ヒドロキシル基などの官
能基を有する天然物由来の親水性ポリマー、例えば、ヒ
ドロキシプロピルセルロースなどのヒドロキシC2-4
ルキルセルロースなどが好ましい。他のポリマー(例え
ば、親水性ポリマー)の割合は、前記ポリマー粒子10
0重量部に対して、1〜100重量部、好ましくは5〜
70重量部、さらに好ましくは10〜50重量部程度で
ある。
【0045】ポリマー粒子の官能基(配位性ユニット)
の濃度は、抗菌性金属成分の担持量に応じて選択でき、
例えば、ポリマー粒子1g当たり、0.01〜10ミリ
モル、好ましくは0.05〜7ミリモル、さらに好まし
くは0.1〜5ミリモル程度である。なお、配位性ユニ
ットを有するモノマーの使用量は、ポリマー粒子を構成
するモノマーの総量に対して、例えば、5〜100重量
%、好ましくは10〜100重量%、さらに好ましくは
25〜100重量%程度の範囲から選択できる。
【0046】抗菌成分(特に、抗菌性金属成分)の抗菌
活性を有効に発現させるため、ポリマー粒子は多孔質で
あってもよい。多孔質粒子の比表面積は、例えば、10
〜1000m2/g、好ましくは50〜1000m2
g、さらに好ましくは100〜1000m2/g程度で
ある。
【0047】粒子状ポリマーの形状は、球状、板状、棒
状、花弁状などのいずれであってもよい。ポリマー粒子
の平均粒子径は、乾燥状態で、例えば、1nm〜100
μm程度の範囲から選択でき、通常、5nm〜30μm
(例えば、5nm〜10μm)、好ましくは5nm〜1
μm(例えば、10nm〜0.7μm)、より好ましく
は15nm〜0.5μm(例えば、20nm〜0.3μ
m)程度であり、25nm〜0.1μm程度であっても
よい。
【0048】ポリマー粒子の粒径は用途に応じて選択で
きるが、ナノサイズのポリマー粒子を用いると、樹脂組
成物における分散性、透明性、樹脂組成物中の抗菌性金
属成分及び抗菌性有機成分の含有量を高めることがで
き、少ない添加量で高い抗菌性を発現できる。
【0049】[抗菌性金属成分]ポリマー粒子には、水
又は海水と接触する種々の各種部材への水生生物の付着
に対して阻害活性を有する抗菌性金属成分が化学結合し
て担持されている。特に、抗菌性金属成分は、前記官能
基(酸素原子、窒素原子、イオウ原子などを含む官能
基)を介して、ポリマー粒子(特に親水性ポリマー粒
子)に化学結合している。
【0050】抗菌性金属成分は、抗菌性を有する金属イ
オンおよび金属化合物で構成でき、これらの抗菌性金属
成分は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。抗
菌性を有する金属イオンとしては、例えば、銀イオン
(銀(I)または(II)イオン)、白金イオン、銅イオン、
亜鉛イオン、ニッケルイオン、コバルトイオン、モリブ
デンイオン、クロムイオンおよび鉄イオンが挙げられ
る。好ましい抗菌性金属イオンは、銀(I)イオン、銅イ
オンおよび亜鉛イオン、特に銅イオンである。
【0051】抗菌性を有する金属化合物としては、銀、
白金、銅、亜鉛、ニッケル、コバルト、モリブデン、ク
ロム、鉄およびケイ素から選択された少なくとも一種の
金属化合物が例示でき、通常、前記ポリマーの官能基に
対して反応性又は配位性の金属化合物が使用できる。前
記金属化合物は金属錯体であってもよく、この金属錯体
は、アニオン性、カチオン性又は中性のいずれであって
もよい。アニオン性錯体の場合、対カチオンは、抗菌性
を有する第四級アンモニウム(フェニルジメチルアルキ
ルアンモニウム、ジデシルジメチルアンモニウム、セチ
ルトリメチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム
など)であるのが好ましい。
【0052】銀化合物を例にとって説明すると、好まし
い金属化合物には、例えば、ハロゲン化銀(AgCl,
AgBrなど)、ハロゲン酸塩や過ハロゲン酸塩(Ag
ClO4,AgClO3,AgBrO3,AgIO3
ど)、無機酸塩(硫酸銀,硝酸銀、炭酸銀など)、有機
酸塩(酢酸銀,シュウ酸銀など)、錯体(ジシアノ錯
体,ジチオスルファイト錯体,ジアンミン錯体,ジクロ
ロ錯体など)が含まれる。銅化合物についても上記銀化
合物に対応する化合物が例示できる。
【0053】前記抗菌性金属成分(銅成分など)は、前
記ポリマーの官能基に対して配位し、錯体(チオール錯
体,チオウレイド錯体,ピリジル錯体,ビピリジル錯
体,フェナントロリル錯体,ヒスチジル錯体など)を形
成してもよい。ポリマーの官能基に対して配位可能な抗
菌性金属成分を用いると、抗菌性金属成分の含有量を増
大でき、抗菌活性を長期間に亘り持続できる。
【0054】抗菌性金属成分の担持量は、抗菌性を損な
わない範囲であればよく、例えば、金属換算で、親水性
ポリマー粒子の全重量の0.01〜70重量%、好まし
くは0.1〜50重量%、より好ましくは1〜40重量
%、特に5〜30重量%程度である。
【0055】[抗菌性有機成分]本発明の抗菌性ポリマ
ー粒子は、水又は海水と接触する種々の部材への水生生
物の付着を阻害する活性を有する抗菌性有機成分が、前
記抗菌性金属成分に化学的結合により担持されている。
すなわち、抗菌性有機成分は、抗菌性金属成分を介して
ポリマー粒子に担持されている。
【0056】抗菌性有機成分としては、酸素原子、窒素
原子及びイオウ原子から選択された少なくとも1つの原
子を含み、かつ前記抗菌性金属成分に担持可能(化学的
に結合可能)である限り、特に制限されず、水生生物の
付着に対して阻害活性を有する種々の活性成分(抗菌性
又は抗カビ性有機化合物など)が使用できる。前記抗菌
性有機成分において、抗菌性金属成分に坦持可能な官能
基としては、前記ポリマー粒子の配位性ユニットで説明
した種々の官能基(酸素原子、窒素原子及びイオウ原子
から選択された少なくとも1つの原子を有する官能基)
が例示できる。好ましい官能基には、窒素含有官能基
[アミノ基、イミノ基、複素環基(ピリジル基、イミダ
ゾリル基、イミダゾリニル基、イミダゾリジニル基、ト
リアゾリル基など)]、硫黄含有官能基[チオール基、
チオキソ基、チオアセチル基、チオウレイド基、チオカ
ルバメート基、ジチオカルバメート基、複素環基(チア
ゾリル基、チアゾリニル基、チアジアゾリニル基な
ど)]、酸素含有官能基(カルボキシル基、カルボニル
又はケトン基、ヒドロキシル基、アセチル基などのアシ
ル基、エーテル基など)、及び酸素原子、窒素原子及び
イオウ原子から選択された異種の複数の原子を有する官
能基、例えば、窒素原子及び硫黄原子を含む官能基(チ
オカルバメート基、ジチオカルバメート基、スルホンア
ミド基)などが含まれる。より具体的には、例えば、硫
黄含有官能基(チオール基、チオキソ基、チオアセチル
基など)、酸素含有官能基(カルボキシル基、カルボニ
ル基、トロポロン環基など)、硫黄及び窒素含有官能基
(チアゾリル基、チアゾリニル基、チアジアゾリニル
基、チオカルバメート基、ジチオカルバメート基、チア
ゾロン環基など)などが例示できる。
【0057】抗菌性有機化合物(天然物質を含む有機系
抗菌剤)としては、例えば、p−アミノベンゼンスルホ
ンアミド骨格を有する化合物(スルファメチアゾール、
スルファメトキサゾール、スルフィソミジン、スルファ
モノメトキシンなど)、ピリドンカルボン酸骨格を有す
る化合物(ナリジクス酸、ピロミド酸、ピペミド酸な
ど;ノルフロキサシン、エノキサシンなどのニューキノ
ロンなど)、ピリジン骨格を有する化合物、ヒバ油など
が挙げられる。ピリジン骨格を有する化合物には、例え
ば、ピリジンカルボン酸(ピコリン酸、ニコチン酸、イ
ソニコチン酸など)又はその誘導体が含まれ、ピリジン
カルボン酸誘導体としては、例えば、アミド類(ピコリ
ン酸アミド、ニコチン酸アミド、イソニコチン酸アミド
などのアミド類、2−クロロニコチン酸、6−クロロニ
コチン酸アミド、2,6−ジクロロニコチン酸アミド、
2−クロロイソニコチン酸などのハロゲン置換体な
ど)、シアノピリジン類(2−,3−又は4−シアノピ
リジン、2−クロロ−3−シアノピリジン、6−クロロ
−3−シアノピリジン、2−クロロ−4−シアノピリジ
ンなどのハロゲン置換体など)、アミノピリジン類(2
−,3−又は4−アミノピリジン、2−クロロ−3−ア
ミノピリジン、6−クロロ−3−アミノピリジン、2−
クロロ−4−アミノピリジンなどのハロゲン置換体な
ど)、アルデヒド類(2−,3−又は4−アルデヒドピ
リジンなど)などが例示できる。
【0058】抗カビ性有機化合物(天然物質を含む有機
系抗カビ剤)としては、例えば、チオカルバメート系又
はジチオカルバメート系化合物[トルナフテート、トル
シクラート、ザーラム(テトラメチルチウラムジスルフ
ィド)、ファーバム、ジラム、ジネブ、マンネブ、ポリ
カルバメートなど]、アリルアミン系化合物(ブテナフ
ィンなど)、イミダゾール系化合物[チアゾリル基、チ
アゾリニル基、チアジアゾリニル基などの置換基を有す
るイミダゾール化合物(例えば、チアゾリル基を有する
ベンズイミダゾールなど)など;クロトリマゾール、エ
コナゾール、ミコナゾール、チオコナゾール、ビホナゾ
ール、スルコナゾール、クロコナゾール、イソコナゾー
ル、オキシコナゾール、ケトコナゾールなど]及びトリ
アゾール系化合物(フルコナゾールなど)、有機酸系化
合物[デヒドロ酢酸、ソルビン酸、プロピオン酸、芳香
族カルボン酸(安息香酸、ピリドンカルボン酸系化合
物)など]、チアゾロン系化合物(1,2−ベンズイソ
チアゾリン−3−オンなど)、トロポロン系化合物(ヒ
ノキチオールなど)などが挙げられる。
【0059】特に、チアゾリル基、チアゾリニル基、及
びチアジアゾリニル基から選択された少なくとも一種の
置換基を有するイミダゾール系抗カビ剤、チオカルバメ
ート又はジチオカルバメート系抗カビ剤(例えば、ザー
ラムなど)、カルボン酸系抗カビ剤(例えば、デヒドロ
酢酸、ソルビン酸など)、チアゾロン系抗カビ剤(例え
ば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンなど)、
トロポロン系抗カビ剤(例えば、ヒノキチオールな
ど)、およびピリジン系化合物(ニコチン酸などのピリ
ジンカルボン酸、ニコチン酸アミドなどのピリジンカル
ボン酸誘導体など)、特に、チアゾリル基置換イミダゾ
ール(2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾールな
ど)を用いると、前記抗菌性金属成分に前記抗カビ剤
(抗菌性有機成分)を効率よく担持できる。
【0060】前記抗菌性有機成分は、抗菌性金属成分に
対して、酸素原子、窒素原子及びイオウ原子から選択さ
れた少なくとも1つの原子を介して結合する場合が多
い。特に、金属有機成分に対して配位し、耐菌性錯体を
形成したり、金属有機成分と塩を形成するようである。
【0061】さらに、これらの抗菌性有機成分のうち、
抗菌性(特に水生生物の付着に対する阻害活性)の点か
ら、少なくともピリジンカルボン酸又はその誘導体で構
成された抗菌性有機成分が好ましい。ピリジンカルボン
酸又はその誘導体と、他の抗菌性有機成分との割合は、
例えば、前者/後者(モル比)=100/0〜20/8
0、好ましくは100/0〜30/70、さらに好まし
くは100/0〜40/60程度である。
【0062】抗菌性有機成分と前記抗菌性金属成分(金
属換算)との割合は、例えば、前者/後者=0.1/1
〜5/1(モル比)、好ましくは0.3/1〜3/1
(モル比)程度の範囲から選択できる。例えば、抗菌性
金属成分として、抗菌性銀化合物を用いる場合、抗菌性
有機成分の割合は、抗菌性銀化合物(銀換算)1モルに
対して、0.5〜2.5モル、好ましくは0.5〜2モ
ル、さらに好ましくは0.5〜1.5モル程度である。
抗菌性有機成分と抗菌性金属成分とを組み合わせると、
抗菌性有機成分により、初期においても高い抗菌活性を
発現でき、抗菌性ポリマー粒子に水生生物の付着防止に
対する速効性を付与できるとともに、溶出を抑制しつ
つ、抗菌性金属成分により長時間に亘り、水生生物の付
着に対する阻害活性を維持できる。特に、金属成分の溶
出量が極めて少量であっても高い抗菌活性(すなわち、
水や海水と接触する部材に対する水生生物の付着防止活
性)を持続でき、環境に対する負荷を大きく低減でき
る。さらに、抗菌活性が低下しても、抗菌性金属イオン
及び抗菌性有機成分を含む水溶液に失活したポリマー粒
子を浸漬することにより、容易に再生できる。
【0063】抗菌性ポリマー粒子は、抗菌性金属成分を
介して抗菌性有機成分がポリマー粒子に担持されている
ため、抗菌活性の持続性に加えて速効性を有するととも
に、樹脂などに対する分散性も良好である。さらに、ポ
リマー粒子に対する抗菌性金属成分の担持状態(例え
ば、共重合などにより、抗菌性金属成分に対する配位性
の異なる複数の官能基のポリマー粒子への導入など)、
抗菌性金属成分に対する抗菌性有機成分の担持状態(例
えば、抗菌性有機成分と抗菌性金属成分との結合比な
ど)などをコントロールしたり、異なる官能基を有する
複数のポリマー粒子を混合したり、抗菌性金属成分に対
する結合能力の異なる複数の抗菌性有機成分を混合した
りすることにより、抗菌成分(抗菌性有機成分及び抗菌
性金属成分)の放出を制御でき、速効性ないし持続性の
抗菌剤を得ることができる。さらに、ポリマー粒子の親
水性の程度(例えば、ポリマー粒子の吸湿性や膨潤性)
などを併せてコントロールすると、周囲環境湿度などの
変化に応じて、前記抗菌成分の放出を制御することもで
きる。
【0064】[抗菌性ポリマー粒子の製造方法]抗菌性
ポリマー粒子は、前記ポリマー粒子を前記抗菌性金属成
分と抗菌性有機成分とで処理することにより調製でき
る。前記ポリマー粒子(親水性ポリマー粒子、特に架橋
親水性ポリマー粒子)は、粉砕および分級、懸濁重合、
乳化重合などの慣用の方法を利用して調製できる。架橋
親水性ポリマー粒子の代表的な調製法としては、沈殿重
合法、例えば、非水系溶媒(特に水と親水性溶媒との混
合溶媒)中、重合開始剤を用いて、配位性ユニットに対
応する単量体と、親水性ユニットに対応する単量体と、
架橋構造を形成するための架橋剤とで構成された単量体
混合物を重合する方法が例示できる。この方法では、親
水性溶媒の種類や水と親水性溶媒との割合を調整するこ
とにより、親水性ポリマー粒子の粒子径をコントロール
でき、ナノオーダーの粒子径を有する親水性ポリマー粒
子を効率よく生成させることができる。親水性溶媒とし
ては、メタノール,エタノール,イソプロパノール,ブ
タノールなどのアルコール類、アセトンなどのケトン
類、ジオキサン,テトラヒドロフランなどのエーテル類
や、これらの混合溶媒が例示できる。水と親水性溶媒と
の割合は、例えば、前者/後者=1/99〜70/30
(重量%)、好ましくは3/97〜50/50(重量
%)程度の範囲から適当に選択できる。この沈殿重合法
では、特に分散安定剤を用いることなく、生成した粒子
サイズをコントロールできるとともに、粒子の洗浄およ
び回収が容易であり、低コストで親水性ポリマー粒子を
得ることができる。
【0065】また、架橋ポリマー粒子(特に、架橋親水
性ポリマー粒子)は、抗菌性金属成分を配位可能な官能
基を含むポリマーの溶液を、貧溶媒に添加混合して媒体
中でポリマー粒子を生成させた後、架橋剤を添加して硬
化する方法、架橋剤とポリマーとの混合液を、ポリマー
に対する貧溶媒に添加混合して媒体中でポリマー粒子を
生成させた後、硬化する方法、架橋剤とポリマーとの混
合物を噴霧乾燥するスプレードライ法などによっても得
ることができる。なお、自己架橋性を有する熱硬化性樹
脂の架橋ポリマー粒子は、架橋剤を用いることなく、上
記と同様にして調製できる。
【0066】なお、抗菌性金属成分が化学結合可能な官
能基は、ポリマーの原料となる前記単量体や架橋剤に由
来してもよく、生成したポリマーに高分子反応などを利
用して導入してもよい。高分子反応を利用してポリマー
に前記官能基を導入する方法としては、例えば、キレー
ト樹脂などの金属イオン吸着性樹脂の調製方法に準じた
慣用の方法が採用できる。例えば、メルカプト基,ビピ
リジル基は、Ueyama,N ,et al .Inorg .Chem.Act
a.89,19-23(1984) に記載されている方法に準じて導
入できる。イミダゾール基の導入は、例えば、クロロメ
チル基を有するポリマーと、例えば、ヒスチジンとを反
応させることにより行うことができる。
【0067】ポリマー粒子に対する抗菌性成分の担持
は、例えば、必要によりポリマー粒子を溶媒で膨潤させ
た後、(i)ポリマー粒子を抗菌性金属成分を含む溶液に
添加混合し、抗菌性金属成分をポリマーに化学結合させ
て抗菌性金属成分をポリマー粒子に担持させ、さらにこ
のポリマー粒子を抗菌性有機成分を含む溶液に添加混合
することにより金属成分に抗菌性有機成分を担持させて
もよく、(ii)ポリマー粒子を抗菌性金属成分と抗菌性有
機成分とを含む溶液に添加混合することにより、抗菌性
金属成分を介して抗菌性有機成分をポリマー粒子に担持
させてもよい。得られた抗菌性分担持ポリマー粒子は、
必要により洗浄及び乾燥してもよい。
【0068】抗菌性ポリマー粒子は、抗菌性有機成分と
ポリマー粒子とが抗菌性金属成分を介して化学結合して
いるので、高い抗菌活性を初期から長期間に亘り発現で
きる。また、ポリマー粒子として、親水性ポリマーを用
いると、細菌や微生物が繁殖しやすい高湿度環境下で
は、吸水して粒子が膨らむため、粒子表面の抗菌性有機
成分のみならず、粒子内部の抗菌性金属成分をも放出し
やすくなり、環境応答性を備えている。特に、微粒子
(例えば、ナノサイズの粒子)では、粒子内部の抗菌性
金属成分が粒子表面に達するまでの距離が短く、しかも
粒子表面積の増大により、抗菌性有機成分のみならず、
抗菌性金属成分と細菌や微生物との接触効率を向上でき
る。さらに、抗菌性金属成分及び抗菌性有機成分を安定
に担持でき、紫外線などを照射しても変色することがな
い。
【0069】しかも、担体が有機高分子であることに加
え、抗菌性ポリマー粒子の表面には、抗菌性有機成分が
担持されているため、疎水性および親水性有機高分子の
双方に対する親和性が高く、抗菌性ポリマー粒子の分散
性が高く、透明性の高い抗菌性塗膜を形成することが可
能である。従って、本発明の抗菌性ポリマー粒子は、樹
脂(例えば、紫外線硬化性塗料や水性塗料に用いられる
樹脂など)と組み合わせて抗菌性樹脂組成物を構成する
のに有用である。
【0070】[抗菌性樹脂]本発明の抗菌性樹脂は、粒
子状の担体(前記ポリマー粒子)に代えて樹脂が使用さ
れている以外、前記抗菌性ポリマー粒子と同様に構成さ
れている。すなわち、樹脂(特に酸素原子、窒素原子、
及びイオウ原子から選択された少なくとも1つの原子を
含み、かつ抗菌性金属成分に対して化学的に結合可能な
前記官能基を有するユニットで構成された樹脂)と、こ
の樹脂に化学的に結合して担持された抗菌性金属成分
(銀、銅などの金属イオン又は金属化合物)と、この抗
菌性金属成分に化学的に結合して担持され、かつ酸素原
子、窒素原子及びイオウ原子から選択された少なくとも
1つの原子を含む抗菌性有機成分とで構成されている。
樹脂としては、通常、前記ポリマー粒子において架橋剤
を使用しない非架橋ポリマー(非架橋樹脂)が使用され
る。すなわち、好ましい樹脂としては、金属成分に対し
て化学的に結合可能な官能基、例えば、酸素含有官能基
[例えば、カルボキシル基など]、窒素含有官能基[例
えば、窒素含有複素環基(イミダゾリル基、ピリジル
基、ビピリジル基など)など]、イオウ含有官能基[チ
オール基、チオウレイド基、チオカルバメート基、ジチ
オカルバメート基など]を有する樹脂が含まれる。樹脂
は、水性溶剤又は有機溶剤に対する可溶性樹脂、水性分
散型樹脂(エマルジョン型,ラテックス型樹脂)、非水
性分散型樹脂(オルガノゾルなど)であってもよい。
【0071】このような抗菌性樹脂は、抗菌性被膜を形
成するため、被膜形成能を有するのが好ましく、塗料組
成物(防汚塗料)を形成するため塗料用樹脂であるのが
好ましい。さらに、加水分解型塗料(自己研磨型又はセ
ルフポリッシング型防汚塗料)を形成するため、前記抗
菌性樹脂は、加水分解性を有するのが好ましい。加水分
解性樹脂は、例えば、前記官能基を有する樹脂(例え
ば、カルボキシル基、ピリジル基、アミド基、メルカプ
ト基などを有するビニル重合体(例えば、アクリル系重
合体))を抗菌性金属成分(銀、銅、亜鉛、ケイ素成分
など)で処理して、抗菌性金属成分を化学的に結合させ
て担持させ、次いで、酸素原子、窒素原子及びイオウ原
子から選択された少なくとも1つの原子を含む抗菌性有
機成分で処理し、抗菌性金属成分に抗菌性有機成分を化
学的に結合して担持させることにより製造できる。
【0072】[防汚塗料又はコーティング剤]防汚塗料
(又はコーティング剤)は、前記抗菌性ポリマー粒子及
び抗菌性樹脂のうち少なくとも一方の抗菌性成分を含ん
でいる。なお、抗菌性樹脂を用いる場合には、必ずしも
バインダーは必要ではないが、抗菌性ポリマー粒子は、
通常、バインダーと組み合わせて使用される。バインダ
ーとしては、熱可塑性樹脂[オレフィン系樹脂(ポリエ
チレン、ポリプロピレン、カルボキシル基,酸無水物基
やエポキシ基などで変性されたポリエチレンや変性ポリ
プロピレンなど)、アクリル系樹脂(ポリメタクリル酸
メチル,カルボキシル基含有アクリル樹脂,ヒドロキシ
ル基含有アクリル樹脂,エポキシ基含有アクリル樹脂な
ど)、スチレン系樹脂(ポリスチレン、AS樹脂、AB
S樹脂、スチレンと(メタ)アクリル系単量体との共重
合体など)、酢酸ビニル系樹脂(ポリ酢酸ビニル,エチ
レン−酢酸ビニル共重合体,酢酸ビニル−塩化ビニル共
重合体など)、ビニルアルコール系重合体(ポリビニル
アルコール,エチレン−ビニルアルコール共重合体な
ど)、塩化ビニル系樹脂(ポリ塩化ビニルなど)、ポリ
エステル樹脂(ポリアルキレンテレフタレート、ポリア
ルキレンナフタレート、共重合ポリエステル樹脂、変性
ポリエステル樹脂など)、ポリウレタン樹脂、ポリアミ
ド樹脂、塩化ゴムなどのゴム類など]、熱硬化性樹脂
[エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、不飽
和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ジアリルフ
タレート樹脂、シリコーン樹脂、アミノ樹脂(尿素樹
脂,メラミン樹脂など)など]、光硬化性樹脂[エポキ
シ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレー
ト、ポリエステル(メタ)アクリレートなどの光硬化性
オリゴマー、多官能性(メタ)アクリレート、窒素含有
モノマーなどの光硬化性モノマー]などが例示できる。
また、天然樹脂(例えば、ロジン又はその誘導体(ロジ
ンエステル、ロジン変性樹脂など)、ラック、スチラッ
クスなどの含エステル天然樹脂など)、油脂(亜麻仁油
などのグリセライド)又はその誘導体(重合亜麻仁油な
どの重合油など)などを併用してもよい。これらのバイ
ンダー成分は単独で又は二種以上組み合わせて使用でき
る。
【0073】バインダー樹脂は、水溶性樹脂や有機溶媒
可溶性樹脂であってもよい。さらに、樹脂は、水性分散
体(エマルジョン,ラテックスなど)、非水性分散体
(オルガノゾルなど)として使用できる。
【0074】防汚塗料又はコーティング剤の形態は、粉
粒体で構成された粉体コーティング剤、溶媒が水性溶媒
で構成された水性コーティング剤、溶媒が有機溶媒で構
成された溶剤型コーティング剤、紫外線硬化型塗料など
の無溶媒型コーティング剤などのいずれであってもよ
い。
【0075】抗菌性ポリマー粒子の使用量は、広い範囲
から選択でき、例えば、固形分換算で、バインダー樹脂
100重量部に対して0.01〜200重量部、好まし
くは0.1〜100重量部、さらに好ましくは0.5〜
50重量部程度である。なお、抗菌性樹脂の使用量は、
抗菌性樹脂の使用形態に応じて選択でき、例えば、抗菌
性成分として使用する場合には、上記と同様の範囲から
選択でき、バインダー樹脂として使用する場合には被膜
形成可能な範囲から選択できる。
【0076】防汚塗料又はコーティング剤は、防汚剤
(例えば、亜酸化銅、有機スズ化合物、チオカーバメー
ト類など)を含んでいてもよい。さらに、溶出促進剤と
して利用されている化合物(例えば、ロジン、ナフテン
酸銅、亜麻仁油脂肪酸銅、二塩基酸など)を併用しても
よい。さらに、防汚塗料やコーティング剤は、種々の添
加剤、例えば、安定剤(酸化防止剤,紫外線吸収剤,熱
安定剤など)、可塑剤、帯電防止剤、難燃剤、分散剤、
界面活性剤、充填剤、着色剤、粘度調整剤、防腐剤、防
黴剤、レべリング剤などを含んでいてもよい。さらに
は、非架橋樹脂をベースとする抗菌性樹脂や非架橋樹脂
をバインダー成分として用いる場合、架橋剤と組み合わ
せて熱硬化型塗料を形成してもよい。
【0077】防汚塗料(又はコーティング剤)は、前記
抗菌性ポリマー粒子及び/又は抗菌性樹脂と、必要によ
りバインダー樹脂、溶媒や添加剤などを混合することに
より調製できる。防汚塗料の調製には、慣用の装置、例
えば、分散機、混合機などが利用できる。
【0078】塗膜は、慣用のコーティング方法で塗料を
基材に塗布し、乾燥(必要により加熱硬化)又は光照射
(紫外線照射など)させることにより形成できる。
【0079】基材としては、紙、木材、プラスチック、
ガラスを含むセラミックス、金属などが利用できる。
【0080】本発明の防汚塗料又は塗料組成物を用い、
抗菌性ポリマー粒子及び/又は抗菌性樹脂を含む塗膜
(コーティング膜)を被処理材に形成すると、被処理材
の表面で高い抗菌活性を長期間に亘り有効に持続でき
る。特に、金属成分などの活性成分の溶出性を抑制しな
がら、水生生物の被処理材への付着に対する阻害活性を
長期間に亘り持続する。そのため、本発明は、前記抗菌
性ポリマー粒子及び/又は抗菌性樹脂を被処理材に適用
し、この被処理材に対する水生生物の付着を防止する方
法として有用である。
【0081】本発明において、前記抗菌性ポリマー粒子
及び抗菌性樹脂は、単独で又は塗料(又はコーティング
剤)の形態で、種々の水生付着生物、例えば、貝類(フ
ジツボ類、エボシガイ類、ムラサキイガイ、イガイな
ど)、多毛虫類(カサネカンザシなど)、苔虫類(フサ
コケムシなど)、ホヤ類、ヒドロ虫類、藻類(アオノリ
類、アオサ類)、バクテリアなどに起因して生成するス
ライムなどが部材に付着するのを有効に防止又は抑制で
きる。
【0082】なお、抗菌性ポリマー粒子や抗菌性樹脂
(抗菌剤)を塗料やコーティング剤に利用すると、抗菌
剤を高い分散安定性で均一かつ容易に分散させることが
でき、沈降分離などが生じるのを防止できる。また、少
量の抗菌剤であっても抗菌剤の活性を有効に発現でき
る。さらに、バインダーとの親和性や密着性が高いの
で、均一で機械的強度が高く、透明性の高いコーティン
グ膜を形成できる。
【0083】塗膜(抗菌層)の厚みは、用途や被処理材
の種類などに応じて選択でき、例えば、1〜500μ
m、好ましくは5〜300μm程度の範囲から適当に選
択できる。
【0084】被処理材としては、水又は海水と接触する
種々の部材、例えば、船底などの船体、ブイなどの浮遊
体、橋梁や突堤、桟橋などの構造物における支持部又は
浸漬部、冷却管、取水管などの流路形成部材、定置網、
ロープなどが例示できる。
【0085】
【発明の効果】本発明では、抗菌性金属成分及び抗菌性
有機成分を高濃度で含有でき、抗菌性成分の溶出を抑制
しつつ、初期から長期間に亘り水性生物の付着に対する
高い防止効果を発現でき、持続性が高い。また、環境に
対する負荷を大きく低減できる。そのため、種々の水性
生物(動物、藻類など)に対して付着防止効果を有効に
発現させることができる。
【0086】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定さ
れるものではない。
【0087】実施例1(銅錯体及び抗カビ剤担持ポリマ
ー粒子(AB-1)の調製) エタノール86mlおよび蒸留水6mlの混合溶媒に、
アクリルアミド4g,メチレンビスアクリルアミド2.
4g,4−ビニルピリジン1.6g,及びアゾビスイソ
ブチロニトリル0.05gを溶解させ、アルゴン気流
下、温度60℃で17時間重合を行った。生成した微粒
子を遠心分離により蒸留水300mlで洗浄し、ポリマ
ー粒子を得た。
【0088】得られたポリマー粒子を、硫酸銅(II)・
5水和物7.6gを含むジメチルホルムアミド160m
lに超音波分散させ、その後、室温で3時間攪拌し、さ
らに2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール(TB
I)6gを含むジメチルホルムアミド300mlを加
え、室温で4時間攪拌し、微粒子を得た。次いで、得ら
れた微粒子を蒸留水200mlとメタノール100ml
とで、順次洗浄濾過し、減圧乾燥して銅イオンとTBI
とを担持させ、抗菌性ポリマー粒子(AB-1)を得た。ポリ
マー粒子(AB-1)中の銅イオン含有量を熱分析により測定
したところ、7.9重量%であった。得られたポリマー
粒子の平均粒子径をレーザー回折・散乱法で測定したと
ころ、83nmであった。
【0089】実施例2(銅錯体及び抗カビ剤担持ポリマ
ー粒子(AB-2)の調製) エタノール86mlおよび蒸留水6mlの混合溶媒に、
アクリルアミド4.5g、メチレンビスアクリルアミド
2.4g、アクリル酸1.1g及びアゾビスイソブチロ
ニトリル0.05gを溶解させ、アルゴン気流下、温度
60℃で17時間重合を行った。生成した微粒子を遠心
分離により蒸留水300mlで洗浄し、ポリマー粒子を
得た。
【0090】次いで、実施例1と同様にして、銅イオン
とTBIとを担持させ、抗菌性ポリマー粒子(AB-2)を得
た。ポリマー粒子(AB-2)中の銅イオン含有量を熱分析に
より測定したところ、8.4重量%であった。得られた
ポリマー粒子(AB-2)の平均粒子径をレーザー回折・散乱
法で測定したところ、93nmであった。
【0091】実施例3(銅錯体及び抗カビ剤担持ポリマ
ー粒子(AB-3)の調製) エタノール86mlおよび蒸留水6mlの混合溶媒に、
アクリルアミド4g、メチレンビスアクリルアミド2
g、アクリル酸2.1ml、メタクリル酸メチル5.0
8ml、55%ジビニルベンゼン2.2ml、及びアゾ
ビスイソブチロニトリル0.1gを溶解させ、アルゴン
気流下、温度60℃で17時間重合を行った。生成した
微粒子を遠心分離により蒸留水300mlで洗浄しポリ
マー粒子を得た。
【0092】次いで、実施例1と同様にして、銅イオン
とTBIとを担持させ、抗菌性ポリマー粒子(AB-3)を得
た。ポリマー粒子(AB-3)中の銅イオン含有量を熱分析に
より測定したところ、8.8重量%であった。得られた
ポリマー粒子(AB-3)の平均粒子径をレーザー回折・散乱
法で測定したところ、86nmであった。
【0093】実施例4(銅錯体及びニコチン酸アミド担
持ポリマー粒子(AB-3NA)の調製) TBI 6gの代わりにニコチン酸アミド7.4gを用
いた以外は実施例3と同様にして、銅イオンとニコチン
酸アミドとを担持させた抗菌性ポリマー粒子(AB-3NA)を
得た。ポリマー粒子(AB-3NA)中の銅イオン含有量を熱分
析により測定したところ、10重量%であった。得られ
たポリマー粒子(AB-3NA)の平均粒子径をレーザー回折・
散乱法で測定したところ、91nmであった。
【0094】[ポリマー粒子の付着阻害活性の評価]実
施例で調製した抗菌性ポリマー粒子の付着阻害活性を、
稚貝を用いた評価系(以下、稚貝評価系)により以下の
ようにして評価した。
【0095】(1)検体 実施例で得られた抗菌性ポリマー粒子4種類[(AB-1)、
(AB-2)、(AB-3)及び(AB-3NA)]と、市販の亜酸化銅系防
汚塗料2種類 なお、市販の亜酸化銅系防汚塗料中の活性成分(亜酸化
銅を含む)の含有量は、30〜50重量%程度であると
思われる。
【0096】(2)抗菌性ポリマー粒子を含む試料混合
液の調製 前記抗菌性ポリマー粒子を固定化するため、ブチラール
樹脂(「エスレックBL−2」,積水化学工業(株))を混
合溶剤(トルエン:メタノール=1:1(重量比))に溶
解し、濃度15重量%のバインダー樹脂溶液を調製し
た。抗菌性ポリマー粒子を所定の濃度でバインダー樹脂
溶液に添加して撹拌・混和し、試料混合液を調製した。
なお、検体が固体である場合、極少量の水又はエタノー
ルに溶解した後、バインダー樹脂溶液に混合した。
【0097】(3)試験片の作製 試料混合液を濾紙(「ADVANTEC No.26」:サイズ35m
m×35mm)に塗布し、十分に乾燥後させた後、重ね
塗りした。なお、市販の亜酸化銅系防汚塗料について
は、前記バインダー樹脂溶液と混合することなく、亜酸
化銅系防汚塗料を上記濾紙に2重塗りすることにより試
験片を作製した。
【0098】(4)付着阻害活性の測定 ディスポタイプ秤量皿(ポリスチレン製 井内盛栄堂:
サイズ80mm×80mm×25mm)の中央に試験片
を置き、海水60mlを入れ、試験片の上に9匹のムラ
サキイガイの稚貝を均等(縦3×横3)に並べた。1時
間30分静置した後、容器を手動で揺らし、試験片と容
器に付着している貝の数をカウントした。一次スクリー
ニングでは、上記試験を10回(合計90匹)行った。
結果を表1および表2に示す。なお、表中の活性成分の
含有量は、固形分換算での抗菌性成分の含有量を示す。
【0099】
【表1】
【0100】
【表2】
【0101】表1および表2から、4種の抗菌剤とも高
い付着阻害活性が確認されたが、特に、抗菌性ポリマー
粒子(AB-2),(AB-3)及び(AB-3NA)に強い活性が認められ
た。また、抗菌性ポリマー粒子(AB-2),(AB-3)及び(AB-
3NA)は5重量%、1重量%の濃度でも高い付着阻害活性
を示したことから、少ない添加量で市販の亜酸化銅系防
汚塗料(濃度30〜50重量%)と同程度の稚貝付着阻
止活性を有することが確認された。
【0102】[海水中への銅溶出試験]実施例で調製し
た抗菌性ポリマー粒子4種類[(AB-1),(AB-2),(AB-3)
及び(AB-3NA)]と、市販の亜酸化銅系防汚塗料2種類と
を用い、銅の溶出量を以下のように評価した。
【0103】すなわち、抗菌性ポリマー粒子を、所定の
濃度で前記バインダー樹脂溶液(ブチラール樹脂(「エ
スレックBL−2」,積水化学工業(株))の15重量%
溶液)に添加して、ペイントシェーカーにより攪拌混合
し、試料混合液を調製した。試料混合液をバーコーター
で基材(白色のポリ塩化ビニル板:サイズ100mm×
70mm、サンドペーパーによる面荒し後、キシレンで
洗浄し、乾燥)に塗布し、十分に乾燥後、重ね塗りし
た。なお、市販の亜酸化銅系防汚塗料については、前記
バインダー樹脂溶液と混合することなく、亜酸化銅系防
汚塗料を上記基材に2重塗りすることにより試験片を作
製した。
【0104】そして、人口海水が入ったビーカーを水温
20℃の恒温槽内に設置し、水温20℃の人工海水に試
験片を浸漬し、エアーバブラーでバブリングしながら2
時間溶出テストを行った。溶出した銅の量をJIS K 0102
52.4 ICP-AES分析法に従い分析した。結果を表3に示
す。
【0105】
【表3】
【0106】抗菌性ポリマー粒子については、4サンプ
ルともに銅の溶出は分析の検出限界以下であった。この
ことから、抗菌性ポリマー粒子を用いると、溶出性が低
く、持続性が高いことが確認された。
【0107】[海水中への浸漬テスト] (1)試験フィルムの作製 抗菌性ポリマー粒子(AB-3)と抗菌性ポリマー粒子混合
物[抗菌性ポリマー粒子(AB-3):抗菌性ポリマー粒子
(AB-3NA)=1:1混合物(重量比)]とについて、海
水への銅溶出試験と同様にして、試料混合液(固形分中
の抗菌性ポリマー粒子濃度1重量%、5重量%、10重
量%)を作製し、バーコーターを用いてポリ塩化ビニル
フイルム上に乾燥後の厚さ約50μmとなるように塗布
した後、海水中に浸漬し、1年後の海生生物の付着状況
を肉眼により観察した。その結果、いずれの試験フィル
ムにも海生生物の付着はほとんど見られなかった。
【0108】[海水中の浸漬テスト2]ポンプを備えた
配管を介して海から海水を導入した試験槽に試験片(幅
3mm、長さ300mm、高さ100mm)を吊るし、
貝類(イガイ及びフジツボ)の付着状況を約1回/月の
頻度で調べ、1年後の付着状態を以下のように評価し
た。
【0109】すなわち、抗菌性ポリマー粒子(AB-3、AB
-3NA)と、抗菌性ポリマー粒子混合物[抗菌性ポリマー
粒子(AB-3):抗菌性ポリマー粒子(AB-3NA)=1:1
混合物(重量比)]とについて、試験混合液(固形分中
の抗菌性ポリマー粒子濃度1重量%、3重量%、5重量
%、7.5重量%、12重量%)を作製し、塩化ビニル
製試験片上に下塗り塗料を塗布後、試験混合液を刷毛塗
りした。比較として、下塗り塗料のみ塗装した試験片
と、市販の亜酸化銅系防汚塗料(市販塗料A,市販塗料
B)をそのまま塗布した試験片についても観察した。下
塗り塗料を塗布した試験片は最上流に、市販塗料A,市販
塗料Bを塗布した試験片は最下流に配置した。通常は、
試験槽は蓋をした状態で放置した。貝類の付着状態の評
価は、イガイ及びフジツボの付着数をカウントすること
により定量化した。1年後の評価結果を表4に示す。
【0110】
【表4】
【0111】表4の結果から明らかなように、抗菌性ポ
リマー粒子(AB-3NA)及び抗菌性ポリマー粒子混合物
は、濃度7.5重量%で市販品と同程度の高い付着阻害
活性を示しており、少ない添加量で市販品と同程度の効
果が得られた。また、抗菌性ポリマー粒子の活性成分の
含有量は、ポリマー成分も含んだ値であるため、銅含有
量は活性成分量の約1/10である。従って、環境に対
する負荷を市販品と比較して著しく低減できた。抗菌性
ポリマー粒子は、分子レベルで抗菌性金属成分や抗菌性
有機成分を担持させたナノオーダーの粒子であるため、
少ない活性成分量でも阻害活性が高く、耐久性も高いと
考えられる。
【0112】[海水中の浸漬テスト3]ポンプにより海
水を導入した試験用配管(200A×0.5m)の内面
に、塗料を塗布し、貝類の付着状況を約1回/月の頻度
で調べ、1年後の付着状態を以下のように評価した。な
お、流量は約0.5m/秒に設定した。
【0113】すなわち、抗菌性ポリマー粒子(AB-3とAB
-3NA)と抗菌性ポリマー粒子混合物[抗菌性ポリマー粒
子(AB-3):抗菌性ポリマー粒子(AB-3NA)=1:1混
合物(重量比)]とについて、試験混合液(固形分中の
抗菌性ポリマー粒子濃度7.5重量%)を作製し、下塗
り塗料を塗布後、試験混合液を刷毛塗りした。比較とし
て、下塗り塗料のみを塗装したサンプルと、市販の亜酸
化銅系防汚塗料(市販塗料A,市販塗料B)をそのまま塗
布したサンプルについても観察した。付着状態の評価
は、イガイ及びフジツボ付着状況を目視観察することに
より行った。1年経過後の評価結果を表5に示す。
【0114】
【表5】
【0115】表5の結果から明らかなように、抗菌性ポ
リマー粒子(AB-3NA)及び抗菌性ポリマー粒子混合物
は、濃度7.5重量%で市販品と同程度の付着阻害効果
が得られた。
【0116】実施例5(銅錯体及び抗カビ剤担持ポリマ
ー粒子(AB-4)の調製) エタノール86mlおよび蒸留水6mlの混合溶媒に、
アクリルアミド4g、メチレンビスアクリルアミド2.
4g、N,N′−ジエチルジチオカルバミン酸(p−ビ
ニル)ベンジル1.6g及びアゾビスイソブチロニトリ
ル0.05gを溶解させ、アルゴン気流下、温度60℃
で17時間重合を行った。生成した微粒子を遠心分離に
より蒸留水300mlで洗浄し、ポリマー粒子を得た。
【0117】次に、このポリマー粒子を、水酸化ナトリ
ウム2gを溶解したエタノール100mlと蒸留水50
mlの混合溶媒に再分散させ、アルゴン雰囲気下、70
℃で5時間加水分解を行った後、ポリマー粒子を遠心分
離により50%エタノール水溶液400mlで洗浄し、
1NのHClでpH約5に調整した50%エタノール水
溶液に再分散させて一晩放置した。
【0118】一晩放置後、遠心分離により粒子を50%
エタノール水溶液600mlおよび蒸留水300mlで
洗浄して、メルカプト基を有するポリマー粒子を得た。
【0119】続いて、実施例1と同様にして、銅イオン
とTBIとを担持させ、抗菌性ポリマー粒子(AB-4)を得
た。(AB-4)中の銅イオン含有量を熱分析により測定した
ところ、7重量%であった。得られたポリマー粒子(AB-
4)の平均粒子径をレーザー回折・散乱法で測定したとこ
ろ、82nmであった。
【0120】なお、実施例5のポリマー粒子について、
上記実施例と同様にして、付着阻害活性の評価、海水へ
の銅成分の溶出テストおよび海水中への浸漬テストを行
ったとところ、実施例2〜4の抗菌性ポリマー粒子と同
じ結果が得られた。
【0121】実施例6(銅錯体及び抗カビ剤担持ポリマ
ー粒子(AB-5)の調製) エタノール38mlおよび蒸留水20mlの混合溶媒
に、スチレンモノマー2g、4−ビニルピリジン0.2
5g、55%ジビニルベンゼン0.3g、ベンゾイルパ
ーオキサイド0.05g、ヒドロキシプロピルセルロー
ス1gを溶解させて重合し、ポリマー粒子を得る以外、
実施例1同様にして、銅イオンとTBIとを担持させた
抗菌性ポリマー(AB-5)を得た。ポリマー粒子(AB-5)
中の銅イオン含有量を熱分析により測定したところ、
9.9重量%であった。得られたポリマー粒子(AB-5)
の平均粒径をレーザー回折・散乱法で測定したところ9
8nmであった。
【0122】なお、実施例6のポリマー粒子について、
上記実施例と同様にして、付着阻害活性の評価、海水へ
の銅成分の溶出テストおよび海水への浸漬テストを行っ
たところ、実施例3の抗菌性ポリマー粒子とほぼ同じ結
果が得られた。
【0123】実施例7(銅錯体及びニコチン酸アミド担
持ポリマー粒子(AB-5NA)の調製) エタノール38mlおよび蒸留水20mlの混合溶媒
に、スチレンモノマー2g、4−ビニルピリジン0.2
5g、55%ジビニルベンゼン0.3g、ベンゾイルパ
ーオキサイド0.05g、ヒドロキシプロピルセルロー
ス1gを溶解させて重合し、ポリマー粒子を得る以外、
実施例4同様にして、銅イオンとニコチン酸アミドを担
持させた抗菌性ポリマー(AB-5NA)を得た。ポリマー粒
子(AB-5NA)中の銅イオン含有量を熱分析により測定し
たところ、9.8重量%であった。得られたポリマー粒
子(AB-6NA)の平均粒径をレーザー回折・散乱法で測定
したところ97nmであった。
【0124】なお、実施例7のポリマー粒子について、
上記実施例と同様にして、付着阻害活性の評価、海水へ
の銅成分の溶出テストおよび海水への浸漬テストを行っ
たところ、実施例4の抗菌性ポリマー粒子とほぼ同じ結
果が得られた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08J 3/12 CEY C08J 3/12 CEYZ C09D 5/16 C09D 5/16 7/12 7/12 C09K 3/00 112 C09K 3/00 112D // C08L 33:26 C08L 33:26 (72)発明者 山▲崎▼ 正久 大阪市中央区平野町四丁目1番2号 大阪 瓦斯株式会社内 (72)発明者 山田 昌宏 大阪市中央区平野町四丁目1番2号 大阪 瓦斯株式会社内 (72)発明者 在間 弘朗 京都市下京区中堂寺南町17 株式会社関西 新技術研究所内 Fターム(参考) 4F070 AA36 DA28 DB03 DC02 DC13 4H011 AD01 BA01 BB09 BB10 BB18 BB19 BC19 DA02 DD01 DF02 DF03 DG05 DH02 DH21 4J038 BA231 CB001 CC001 CD021 CE011 CF021 CG001 DA041 DA121 DB001 DD001 DG001 DH001 DL031 KA08 KA20 MA07 MA08 MA10 PB01

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属イオン又は金属化合物で構成された
    抗菌性金属成分が、ポリマー粒子に化学的に結合して担
    持されており、酸素原子、窒素原子及びイオウ原子から
    選択された少なくとも1つの原子を含む抗菌性有機成分
    が、前記抗菌性金属成分に化学的に結合して担持されて
    いる抗菌性ポリマー粒子を含む防汚塗料。
  2. 【請求項2】 ポリマー粒子が、酸素原子、窒素原子、
    及びイオウ原子から選択された少なくとも1つの原子を
    含み、かつ抗菌性金属成分に対して化学的に結合可能な
    官能基を有するユニットと、架橋ユニットとを含む架橋
    構造を有するポリマーで構成されている請求項1記載の
    防汚塗料。
  3. 【請求項3】 架橋構造を有するポリマーが、親水性ユ
    ニットと、カルボキシル基、ピリジル基、メルカプト
    基、チオカルバメート基及びジチオカルバメート基から
    選択された少なくとも1つの官能基を含み、かつ抗菌性
    金属成分に対して化学的に結合可能な官能基を有するユ
    ニットと、架橋ユニットとを含む親水性高分子ゲルで構
    成されている請求項2記載の防汚塗料。
  4. 【請求項4】 ポリマー粒子の平均粒子径が5nm〜3
    0μmである請求項1記載の防汚塗料。
  5. 【請求項5】 抗菌性金属成分が、銀、白金、銅、亜
    鉛、ニッケル、コバルト、モリブデン、クロム、ケイ
    素、および鉄からなる群より選択される少なくとも1つ
    の金属成分である請求項1記載の防汚塗料。
  6. 【請求項6】 抗菌性金属成分の担持量が、金属換算
    で、全体の0.01〜70重量%である請求項1記載の
    防汚塗料。
  7. 【請求項7】 抗菌性有機成分が、酸素原子、窒素原
    子、及びイオウ原子から選択された少なくとも1つの原
    子を含み、かつ抗菌性金属成分に対して化学的に結合可
    能な官能基を有する請求項1記載の防汚塗料。
  8. 【請求項8】 抗菌性有機成分が、チアゾリル基、チア
    ゾリニル基、チアジアゾリニル基、チオカルバメート
    基、ジチオカルバメート基、カルボキシル基、チアゾロ
    ン環、およびトロポロン環から選択された少なくとも一
    種を有する請求項1記載の防汚塗料。
  9. 【請求項9】 抗菌性有機成分が、イミダゾール系化合
    物、チオカルバメート系化合物、ジチオカルバメート系
    化合物、有機酸系化合物、チアゾロン系化合物、および
    トロポロン系化合物から選択された少なくとも1種であ
    る請求項1記載の防汚塗料。
  10. 【請求項10】 酸素含有官能基、窒素含有官能基又は
    イオウ含有官能基を有し、かつ平均粒子径5nm〜30
    μmのポリマー粒子と、このポリマー粒子の前記官能基
    に対して化学結合して担持され、かつ銀又は銅から選択
    された抗菌性金属成分と、この抗菌性金属成分に担持さ
    れた有機抗菌性成分とで構成され、この有機抗菌成分
    が、チアゾリル基を有するイミダゾール系化合物、チオ
    カルバメート系化合物、ジチオカルバメート系化合物、
    カルボン酸系化合物、チアゾロン系化合物、およびトロ
    ポロン系化合物から選択された少なくとも一種の活性成
    分である請求項1記載の防汚塗料。
  11. 【請求項11】 ポリマー粒子が、窒素含有親水性ユニ
    ット、酸素含有官能基、窒素含有官能基又はイオウ含有
    官能基を有するユニット、及び架橋ユニットを有する親
    水性ポリマー粒子である請求項10記載の防汚塗料。
  12. 【請求項12】 金属イオン又は金属化合物で構成され
    た抗菌性金属成分が、樹脂に化学的に結合して担持され
    ている抗菌性樹脂であって、酸素原子、窒素原子及びイ
    オウ原子から選択された少なくとも1つの原子を含む抗
    菌性有機成分が、前記抗菌性金属成分に化学的に結合し
    て担持されている抗菌性樹脂。
  13. 【請求項13】 被膜形成能を有する塗料用樹脂である
    請求項12記載の抗菌性樹脂。
  14. 【請求項14】 加水分解性を有する請求項12記載の
    抗菌性樹脂。
  15. 【請求項15】 請求項1記載の抗菌性ポリマー粒子、
    又は請求項12記載の抗菌性樹脂を被処理材に適用し、
    この被処理材に対する水生生物の付着を防止する方法。
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