JP2001276001A - 生体情報計測装置 - Google Patents

生体情報計測装置

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JP2001276001A
JP2001276001A JP2000095700A JP2000095700A JP2001276001A JP 2001276001 A JP2001276001 A JP 2001276001A JP 2000095700 A JP2000095700 A JP 2000095700A JP 2000095700 A JP2000095700 A JP 2000095700A JP 2001276001 A JP2001276001 A JP 2001276001A
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JP2000095700A
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Takashi Ogiue
隆 荻上
Yutaka Kondo
豊 近藤
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Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生体の被測定部位へ高い密着力をもって装着
され、外光による測定誤差を防止すると同時に、手のひ
ら側の運動による測定誤差を軽減する。 【解決手段】 反射型光学センサで脈拍数を検出する脈
波センサユニットと、このセンサユニットを内蔵するハ
ウジング10と、リストバンド20とを有する腕時計型
のリストバンド20を改良する。リストバンド20は、
生体の周囲に巻回される基材21a、23aと、基材の
内側にハウジング10と図示しない手首を介して対とな
る位置もしくはその近傍に配置され、基材よりも弾性が
高い弾性材24とを有する。弾性材24は高い弾性を有
しており、生体の運動を許容する。一方基材21a、2
3aは低い弾性を有しており、生体に対する保持性能を
確保するとともに、リストバンド20と手首との間に押
圧の弱い部分を確保し、手のひら側の運動による血液の
変動を心臓側に逃がす。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、腕時計に類似した
形態を有しており、光学的に脈拍数等の生体情報を計測
することができる生体情報計測装置に係り、さらに詳し
くは、その装置を生体に固定するためのバンドの改良に
関する。
【0002】
【従来の技術】生体の脈拍数等の情報を得るため、光を
生体に照射し、反射光の変動を計測する技術がすでに実
施されている。光学的に計測するセンサユニットを指表
面や手首表面などの生体表面に押し当てて固定する技術
として、本出願人の出願にかかる特開平9−10819
1号に公開されている技術がある。この技術では、周方
向に伸縮可能な単一のサポータ状のバンドを用いる。こ
の技術は小型のセンサユニットを人間の指先に固定する
には適切である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の技術に
は次のような問題がある。
【0004】まず、指に装着できるようなセンサユニッ
トよりも大型のセンサユニットを例えば手首に装着する
場合には、センサユニットの重量を保持するための大き
な保持力がバンドに必要とされる。特に、光学的なセン
サユニットを用いる場合には、外光による測定誤差を防
止するために、センサユニットと生体表面との隙間がで
きないように高い密着性が必要である。また、手首のよ
うに捻りやすい部位においては、殊にセンサユニットと
生体表面との隙間ができやすいので、保持力が余計に必
要である。そのため、必然的に生体を圧迫する力が強く
なり、生体が高い圧迫感を感じ取るため、長時間の使用
が難しい。
【0005】また、センサユニットを手首に装着する場
合には、生体を圧迫する力が強くなることにより、セン
サユニットより先の部分、すなわち、手のひら側の運動
による血液の変動が心臓側に伝わりにくくなり、血液の
変動による測定誤差の影響が無視できなくなる。
【0006】本発明は上記の事情を考慮してなされたも
のであり、生体へ与える圧迫感を最小限としながらも、
生体の被測定部位へ高い密着性をもって装着することが
可能であるうえ、手のひら側の運動の影響を最小限化し
た生体情報測定装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明に係る生体情報計測装置は、生体の検出部位
に光を照射する発光体と、前記発光体が照射した光に係
る前記生体からの反射光を受光して受光量に応じた生体
情報信号を生成する受光体と、前記発光体および受光体
を支持する支持体と、前記支持体に連結され、前記検出
部位の付近の前記生体の周囲に巻回されて、前記支持体
を前記生体に固定するバンドとを備える生体情報計測装
置において、前記バンドは、生体の周囲に巻回される基
材と、前記基材の内側に、生体を介して前記支持体と対
となる位置もしくはその近傍に配置され、前記基材より
も弾性が高い弾性材とを有することを特徴とする。
【0008】本発明に係る装置においては、バンドの基
材が支持体とともに生体の周囲に巻回されることによっ
て、装置は生体に取り付けられる。弾性が低い基材によ
り生体に対する保持機能を確保することができると同時
に、前記基材の内側に、生体を介して前記支持体と対と
なる位置もしくはその近傍に配置された弾性材により生
体のひねりなどの運動が許容される。加えて、リストバ
ンドの弾性材が配置されていない部位では、弾性材と比
較して手首Wに押し付けられる力が弱くなる。この部分
により、手のひら側の運動による血液の変動を、心臓側
に逃がすことができる。従って、生体へ与える圧迫感を
最小限としながらも、生体の被測定部位へ高い密着性を
もって装着することが可能であり、同時に、手のひら側
の運動による血液の変動を逃がすことにより、生体情報
計測装置の計測精度が向上する。
【0009】前記弾性材はポリウレタンゴムから製造さ
れているとともに、前記基材に対して着脱自在に取り付
けられているようにしてもよい。
【0010】ポリウレタンゴムは安価であるので装置の
製造コストを低減することが可能である。また、弾性材
は基材に比べて劣化したり伸びたりして、生体に対する
保持力が弱まると考えられる。装置の使用を繰り返すこ
とによりこの懸念は増大する。しかし、弾性材を基材に
対して着脱自在にしたことにより、必要に応じて弾性材
を簡単に交換することができる。また、生体に接触する
弾性材は汚れやすいが、汚れた場合にも簡単に交換する
ことができる。
【0011】また、前記弾性材は、前記基材に周方向に
可動となるように取り付けられているようにしてもよ
い。
【0012】弾性材が可動となることにより、被験者が
弾性材をハウジングを最も安定させる位置に配置するこ
とが可能となる。また、被験者が弾性材を生体が圧迫感
を受けにくい部位に移動させることも可能となる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の様
々な実施形態について説明する。
【0014】A.装置の概略 図1に示すように、本発明に係る実施形態の生体情報計
測装置は、腕時計型であって、各種の電気部品または電
子部品を内蔵したハウジング(支持体)10と、ハウジ
ング10に連結され人間の腕に巻回されてハウジング1
0を腕に固定するリストバンド20とを備える。
【0015】この実施形態におけるリストバンド20
は、二つのバンド片21、23を有する。バンド片21
は、その一端においてハウジング10の上端に連結され
ており、他端には公知の形式でバックル26とタング2
7が取り付けられている。図2に示すように、バンド片
21とハウジング10の連結方式は、バネ棒25を用い
た公知のものである。
【0016】図1に戻り、他のバンド片23は、その一
端においてハウジング10の下端に連結されている。そ
の連結方式は図2に示して上記したものと同様である。
バンド片23には、その長手方向に沿って等間隔に複数
の小孔28が形成されている。バンド片23はバックル
26に挿入され、いずれかの小孔28にタング27を通
すことにより、この生体情報計測装置は人間の腕に固定
され、ハウジング10の裏面が手首の甲に密着する。そ
して、タング27を通す小孔28を選択することによ
り、装置の周長が調節される。このリストバンド20の
詳細については後述する。
【0017】図3にハウジング10の断面を示す。同図
に示すように、ハウジング10は、表側に配置された外
側ケース11と裏側に配置された裏蓋12とを有する。
外側ケース11と裏蓋12は互いに組み合わせられて固
定され、内部に各種の電気部品または電子部品を収容す
る空間を形成している。外側ケース11および裏蓋12
の素材としては、光を透過させないものが選ばれる。
【0018】ハウジング10には、脈波センサユニット
100が支持されている。脈波センサユニット100
は、反射型光学センサであって、裏蓋12の上に配置さ
れた回路基板101と、この回路基板101の裏面に実
装された発光体であるLED(Light Emitting Diode)
102と、受光体であるフォトダイオード103とを有
する。LED102から発した光は、図中の下方に向か
って進み、装着者の手首を照射する。照射光は手首の組
織や血管などによって吸収され、吸収を免れた照射光が
反射される。その反射光はフォトダイオード103によ
り受光され、フォトダイオード103は受光の強度に応
じた電気信号を発生する。
【0019】裏蓋12の中央には貫通穴が形成されてお
り、この貫通穴を覆うように透明ガラス104が固定さ
れている。透明ガラス104は、LED102とフォト
ダイオード103のために光の透過を許容すると同時
に、これらを保護する。また、透明ガラス104と、L
ED102およびフォトダイオード103の間には、光
フィルタ105が配置されている。従って、LED10
2からの照射光は光フィルタ105を通って手首を照射
し、反射光は光フィルタ105を通ってフォトダイオー
ド103に受けられる。これらのLED102、フォト
ダイオード103および透明ガラス104の配置は図4
にも示されている。
【0020】光フィルタ105は、500nm〜600
nmの波長領域の光線を透過する。すなわち、この計測
光学系の計測波長は500nm〜600nmの領域にあ
る。この範囲は、本発明者および共同研究者が見出した
手首の組織を計測対象とした場合の脈波の最も計測精度
の高い範囲である。
【0021】回路基板101の表面側には、OPアンプ
106および回路素子107が実装されている。OPア
ンプ106は、フォトダイオード103の出力する電気
信号を増幅する。回路素子107には、OPアンプ10
6およびLED102に接続される後述の抵抗107
a、107bなどが設けられている。
【0022】また、ハウジング10の内部空間には、メ
イン基板110が配置されている。メイン基板110に
は、CPU(中央演算装置)などのIC部品を含むデー
タ処理回路111が設けられている。メイン基板110
の裏側には、この生体情報計測装置の電源となる電池1
12が配置されており、この電池112はメイン基板1
10上の回路に接続されている。さらに、メイン基板1
10の表側には液晶表示装置113が配置されている。
液晶表示装置113の表側には、液晶表示装置113の
視認を可能にするとともにこれを保護する透明ガラス1
14が配置され、この透明ガラス114はハウジング1
0の外側ケース11に支持されている。液晶表示装置1
13には、脈波センサユニット100の計測結果である
脈拍数(生体情報)が表示される。
【0023】また、この実施形態では、メイン基板11
0に設けられた回路が、通常のディジタル時計と同様
に、時刻および日付をカウントする機能を有する。液晶
表示装置113は、上記の脈拍数に加えて、時刻および
日付を表示させることも可能である。図1に示す液晶表
示装置113において、「10:08」は時刻を表し、「12
7」は脈拍数を表す。図1に示すように、ハウジング1
0の外側ケース11には、時刻合わせや表示モードの切
換などを行うためのボタンスイッチ116、117が設
けられている。
【0024】図3に示すように、上記のメイン基板11
0と脈波センサユニット100は、ヒートシール115
により互いに接続されている。これにより、メイン基板
110から電力が脈波センサユニット100に供給され
ると共に、脈波センサユニット100からメイン基板1
10に脈波信号が供給される。
【0025】B.脈拍検出 図5は、脈波センサユニット100の細部を示す。同図
に示すようにLED102のアノードには正電圧+Vが
与えられ、そのカソードは抵抗107aを介して接地さ
れている。抵抗107aは電流制限抵抗として作用する
ので、所望の電流がLED102に流れるようになって
いる。
【0026】また、フォトダイオード103のカソード
には正電圧+Vが与えられ、アノードはOPアンプ10
6の負入力端子に接続されている。OPアンプ106の
出力信号は、抵抗107bを介して負入力端子にフィー
ドバックされている。このOPアンプ106の入力イン
ピーダンスは極めて高く、かつゲインも大きい。
【0027】また、OPアンプ106の正入力端子は接
地されているから、フォトダイオード103のアノード
はグランドにイマジナリーショートされる。したがっ
て、フォトダイオード103は、逆バイアスされ、光が
そこに入射すると、光量に応じた電流が流れる。この電
流は入射光が強いほど大きい。OPアンプ106と抵抗
107bは、フォトダイオード103からの電流を電圧
に変換するとともに増幅する。すなわち、OPアンプ1
06の出力信号Vmは、入射光の光量に応じて変動す
る。
【0028】図6を参照して脈波センサユニット100
の原理を説明する。図において、Tは検出対象生体の表
皮であり、Cは毛細血管および細動脈である。表皮Tか
ら血管Cまでの間には、生体組織が形成されている。そ
して、血管Cの内部には血液が流れている。
【0029】LED102から照射された光の一部は、
生体の組織や血液中のヘモグロビンによって吸収され、
また、他の一部は、生体の組織によって反射され、その
反射光がフォトダイオード103によって受光される。
フォトダイオード103は受光量に応じて電気信号を出
力する。したがって、フォトダイオード103の出力信
号には、生体の組織による吸収と血液中のヘモグロビン
による吸収が反映されている。
【0030】図7は、人の血管部分に外部から光を照射
したときの吸光度の経時的変動を示す図であり、I2は
組織による吸光成分、I3は静脈血による吸光成分、I
4は動脈血による吸光成分である。組織による吸光成分
I2は組織濃度が変化しないため、一定である。また、
静脈血による吸光成分I3も一定である。これは、静脈
には脈動がなく、濃度変化がないためである。
【0031】図8に示すように、心臓から送り出された
血液の脈動に係る血圧は、一般に心臓に近い血管ほど高
くて変動も大きく、静脈では低くて変動もない。従っ
て、フォトダイオード103の出力電流は、動脈の脈動
に応じて変動する。そこで、フォトダイオード103の
出力を増幅したOPアンプ106の出力信号Vmを脈波
信号とみなすことができる。
【0032】図9は、メイン基板110のデータ処理回
路111の機能ブロック図である。脈波センサユニット
100で生成された脈波信号Vmは脈波信号変換部12
0に供給され、脈波信号変換部120は脈波信号Vmを
アナログ信号からデジタル信号(脈波データMD)に変
換する。脈波データMDは、RAM(ランダムアクセス
メモリ)等で構成される記憶部121に転送され、記憶
部121は所定期間の脈波データMDを記憶する。
【0033】記憶部121からは一定の周期で脈波デー
タMDが読み出され、読み出された脈波データMDは周
波数解析部122に転送される。周波数解析部122は
脈波データMDに周波数解析を施して、脈波解析データ
MKDを生成する。周波数解析の手法としては、各種の
ものがあるが、この例にあっては短い演算時間で解析で
きるようにFFT(高速フーリエ変換)が用いられてい
る。
【0034】次に、脈波解析データMKDは脈拍数演算
部123に供給され、脈拍数演算部123は脈波解析デ
ータMKDに基づいて脈拍数HRを算出する。この算出
において、脈拍数演算部123は脈拍解析データMKD
のスペクトラム強度のピークを特定し、ピークとピーク
の間の時間に基づいて周波数Fhを算定する。周波数F
hは脈波信号Vmの基本波周波数であるから、脈拍数演
算部123は、次式により1分間当たりの脈拍回数であ
る脈拍数HRを算出する。
【0035】HR=60Fh なお、脈波信号VmのSN比が十分高い場合には、周波
数解析によらず、単純に脈波信号Vmを波形整形し矩形
波に変換して、当該矩形波の周期を求め、脈拍数HRを
表示するようにしてもよい。
【0036】こうして算出された脈拍数HRは、液晶表
示装置113に表示されるようになっている。被験者の
脈拍はこのようにして知ることができる。
【0037】C.リストバンドの詳細 この生体情報計測装置を被験者の手首に巻き付けるリス
トバンド20は、上記のように2つのバンド片21、2
3から構成されている。図1に示すように、バンド片2
3は、基材23aと、基材23aの裏面のハウジング1
0と手首Wを介して対となる位置もしくはその近傍に取
り付けられ、生体への装着時に内側に配置される弾性材
24とからなる。上述したバックル26およびタング2
7は、バンド片21の基材21aに取り付けられてお
り、小孔28はバンド片23の基材23aを貫通する。
従って、基材21a、23aおよびハウジング10が、
図10に示すように手首Wの周囲全体に巻回されて、装
置は手首Wに取り付けられる。弾性材24は基材23a
の内側のハウジング10と手首Wを介して対となる位置
もしくはその近傍に配置されて、手首Wに密着させられ
る。
【0038】内側の弾性材24は伸縮性および弾性の高
い素材から形成されている一方、外側の基材21a、2
3aは伸縮性および弾性の低い素材から形成されてい
る。例えば、弾性材24は、シリコンゴム、発泡ウレタ
ンゴムまたはポリウレタンゴムのような基材に比べて高
い弾性の材料から形成される。特に、ポリウレタンゴム
は安価であるので装置の製造コストを低減することが可
能であるため好ましい。一方、基材21a、23aは、
例えばウレタンのような低い弾性のプラスチックから均
一な密度で形成されている。これらの弾性材24および
基材21a、23aの素材としては、光学的センサであ
る脈波センサユニット100の測定誤差を抑えるため、
光を透過させないものが選ばれる。
【0039】図1において、弾性材24は、基材23a
の内側に配置されているが、これはリストバンド20の
連結位置を、基材21aを基材23aと比較して短くし
て手の甲側に近づけることにより、基材23aの自由端
が被験者の胴体の反対側を向き、生体の運動により自由
端が胴体とぶつかり、センサユニット100と手首Wと
の密着性が変動することを防止するためである。弾性材
24が生体を介してハウジング10と対となる位置もし
くはその近傍に配置されるのであれば、弾性材24は基
材21aの内側に配置されても構わない。
【0040】このように、内側に弾性材24を設けたリ
ストバンド20の効果について、図10および図11を
参照して説明する。
【0041】図11は、単一の部材からなり、周方向に
均等な伸縮性を有する従来のリストバンド30を有する
生体情報計測装置を被験者の手首Wに装着した状態を示
す。この場合には、ハウジング10およびリストバンド
30が接触している部分には、ほぼ均一な圧力がかか
る。しかし、圧力が弱いと、腕を動かした時(例えば手
首Wをひねった時)、図11の仮想線で示すように、ハ
ウジング10が手首Wから離れてしまうことがある。こ
のような場合には、脈波センサユニット100のLED
102およびフォトダイオード103と、手首との間に
隙間が生じ、外光がその隙間に侵入する。
【0042】こうなると、外光による測定誤差の影響が
無視できない。手首はねじりやすい部位であるから、被
験者が運動すれば、この問題は生じがちである。一方、
圧力が強いと、手首Wとハウジング10が離れるのは防
止できるが、必然的に生体が高い圧迫感を感じ取るた
め、長時間の使用が難しい。また、血液の変動による測
定誤差の影響も無視できない。手首より先の部位は頻繁
に動かす部位であるから、被験者が運動することによ
り、この問題は生じがちである。一方、生体情報計測装
置が手首Wを保持する圧力を弱くすると、手のひら側の
血液の変動は抑制できるが、手首Wの表面とハウジング
10が離れやすくなり、外光による測定誤差の影響が懸
念される。
【0043】図10は、上記実施形態のリストバンド2
0を有する生体情報計測装置を被験者の手首Wに装着し
た状態を示す。この場合には、基材23aの内側に配置
された弾性材24が高い弾性を有するので、手首Wのひ
ねり等の動きに追随する。また、弾性材24は、ハウジ
ング10と手首を介して対の位置にあるため、弾性材2
4の手首Wに対する反発力は、基材21a、23aを介
して、ハウジング10を手首Wに押し付ける力として、
弾性材24を基材の内側の他のどの部位に配置するより
も最も効果的にはたらく。よって、ハウジング10が手
首Wの表面から離れにくい。従って、脈波センサユニッ
ト100は外光の影響を受けにくくなり、測定誤差の発
生が抑えられる。
【0044】一方、手首Wを保持する力は、弾性が低い
基材21a、23aで確保される。換言すれば、バンド
20では、弾性が低い基材21a、23aにより手首W
に対する保持性能を確保することができると同時に、基
材23aの内側に配置された弾性材24により手首Wの
ひねりなどの運動が許容される。
【0045】加えて、リストバンド20の弾性材24が
配置されていない部位、特に弾性材24の近傍の部位で
は、弾性の低い基材21a、23aは、弾性材24の部
分と比較して手首Wに押し付けられる力が弱くなるか、
手首Wに押し付けられない。この部分が存在することに
より、手のひら側の血液は、生体情報計測装置により手
のひら側にせき止められることがなくなり、手のひら側
の運動による血液の変動を心臓側に逃がすことができ、
測定誤差の影響を小さくすることができる。従って、手
のひら側の運動による測定誤差の影響を小さくしながら
も、手首Wの被測定部位へ高い密着性をもって装着する
ことが可能であり、生体情報計測装置の計測精度が向上
する。
【0046】D.弾性材の取付方法 バンド片21、23において、基材21a、23aに対
して弾性材24を取り付ける方式としては、例えば、接
着剤による接着がある。ただし、以下に説明する様々な
方式にしたがい、弾性材を基材に対して着脱自在に取り
付けると好ましい。弾性材は基材に比べて劣化したり伸
びたりして、生体に対する保持力が弱まると考えられ、
装置の使用を繰り返すことによりこの懸念は増大する。
しかし、弾性材を基材に対して着脱自在にすることによ
り、必要に応じて弾性材を簡単に交換することができ
る。また、生体に接触する弾性材は汚れやすいが、汚れ
た場合にも簡単に交換することができる。
【0047】図12は弾性材を基材に対して取り付ける
一つの方式を示す。この方式では、平坦な基材23aに
貫通する多数の小孔40が形成されている一方、弾性材
24の基材との接合面には多数の突起41が形成されて
いる。円Aで囲った断面図に示すように、突起41は先
端部が広がったキノコ形である。基材23aと弾性材2
4が互いに重ね合わせられると、各突起41は小孔40
に嵌め合わせられ、一旦嵌められると、広がった先端部
により小孔40から容易には脱落しないようにされてい
る。ただし、一定以上の力を加えることにより、基材2
3aと弾性材24は互いに分離することができる。逆
に、弾性材に小孔を形成し、基材に突起を形成してもよ
い。
【0048】図13および図14は弾性材を基材に対し
て取り付ける他の方式を示す。この方式では、弾性材2
4の内側の面に、突部42が形成されている。突部42
が形成されていない部分を薄肉部43とする。弾性材2
4の外側の面は平坦であり、平坦な基材23aに重ね合
わせられる。そしてU字形のクリップ44により基材2
3aおよび弾性材24は挟まれて固定される。具体的に
は、各クリップ44の一辺は薄肉部43に接触し、他辺
は基材23aの外面に接触するようにしてクリップ44
はバンド片23の幅方向に滑らせられる。クリップ44
で挟まれることにより基材23aと弾性材24は互いに
分離しない。しかしクリップ44を逆方向に滑らせなが
ら除去することにより、基材23aと弾性材24は互い
に分離することができる。突部は複数形成してもよい
し、突部を設けなくてもよい。
【0049】図15は、弾性材を基材に取り付ける他の
方式を示す。この方式では、バンド片23の基材23a
を弾性材24aに挿入するようになっている。図15に
示すように、弾性材24aは、突部50と、突部50に
一体に成形された湾曲部51を備える。弾性材24の基
材23aに接する面は平坦であり、平坦な基材23aに
重ね合わせられる。この実施形態では、湾曲部51は突
部50の両端に配置されているが、少なくとも一つの湾
曲部51が設けられていればその機能は満たされる。湾
曲部51は突部50と共同して中空なシース52を形作
る。
【0050】図16に示すように、これらのシース52
に基材23aは挿入される。これにより、弾性材24a
の突部50は基材23aの内側に配置されて、手首Wへ
の装着時に手首Wに密着する。このようにして挿入され
た後は、弾性材24aは、自身の弾性により基材23a
から分離しない。ただし、一定以上の力を加えることに
より、基材23aから弾性材24aは分離することがで
きる。
【0051】図17は、弾性材を基材に対して取り付け
る他の方式を示す。この方式では、バンド片23の基材
23aに周方向の長穴53があいている。一方、弾性材
24の外側の平坦な面には、突起54が形成されてい
る。円Aで囲った断面図に示すように、突起54の断面
は、先端が広がったキノコ形である。基材23aと弾性
材24が互いに重ね合わせられると、突起54は長穴5
3に嵌め合わせられ、一旦嵌められると、広がった先端
部により長穴53から容易には脱落しないようにされて
いる。ただし、一定以上の力を加えることにより、基材
23aと弾性材24は互いに分離することができる。逆
に、弾性材に長穴を形成し、基材に突起を形成してもよ
い。
【0052】上記の実施形態では、バックル26、タン
グ27および小孔28とで周長調節機構を設けている
が、周長調節機構は、この例に限られることなく、例え
ばベルクロ(Velcro)テープや、ボタンなどを用いても
よい。
【0053】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
手のひら側の運動による測定誤差の影響を小さくしなが
らも、生体の被測定部位へ高い密着性をもって装着する
ことが可能であり、生体情報計測装置の計測精度を向上
させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係る生体情報計測装置を
示す斜視図である。
【図2】 上記生体情報計測装置におけるハウジングと
バンドとの連結部分を示す平面図である。
【図3】 上記生体情報計測装置の断面図である。
【図4】 上記生体情報計測装置の裏側を示す斜視図で
ある。
【図5】 上記生体情報計測装置の脈波センサユニット
の詳細を示す回路図である。
【図6】 上記生体情報計測装置による脈波計測原理を
示す図である。
【図7】 人の血管部分に外部から光を照射したときの
吸光度の変動を示す図である。
【図8】 人体の血圧分布を示すグラフである。
【図9】 上記脈波センサユニットの出力信号を処理す
るデータ処理回路の機能ブロック図である。
【図10】 被験者の手首に装着された上記生体情報計
測装置を示す側面図である。
【図11】 被験者の手首に装着された従来の生体情報
計測装置を示す側面図である。
【図12】 上記バンドの基材と弾性材とを取り付ける
一つの方式を表すための基材と弾性材の分解斜視図であ
る。
【図13】 上記バンドの基材と弾性材とを取り付ける
他の方式を表すための基材と弾性材の分解斜視図であ
る。
【図14】 図13の方式で基材と弾性材とが取り付け
られたバンド片を示す斜視図である。
【図15】 上記バンドの基材と弾性材とを取り付ける
他の方式を表すための基材と弾性材の分解斜視図であ
る。
【図16】 図15の方式で基材と弾性材とが取り付け
られたバンド片を示す斜視図である。
【図17】 上記バンドの基材と弾性材とを取り付ける
他の方式を表すための基材と弾性材の分解斜視図であ
る。
【符号の説明】
10…ハウジング(支持体) 20、30…リストバンド 21、23…バンド片 21a、23a…基材 24…弾性材 24a…弾性材 26…バックル(連結部材) 27…タング(連結部材) 28…小孔 50…平坦部 51…湾曲部 52…シース 100…脈波センサユニット 102…LED(発光体) 103…フォトダイオード(受光体) 110…メイン基板 111…データ処理回路 113…液晶表示装置

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生体の検出部位に光を照射する発光体
    と、 前記発光体が照射した光に係る前記生体からの反射光を
    受光して受光量に応じた生体情報信号を生成する受光体
    と、 前記発光体および前記受光体を支持する支持体と、 前記支持体に連結され、前記検出部位の付近の前記生体
    の周囲に巻回されて、前記支持体を前記生体に固定する
    バンドとを備える生体情報計測装置において、 前記バンドは、生体の周囲に巻回される基材と、 前記基材の内側に、生体を介して前記支持体と対となる
    位置もしくはその近傍に配置され、前記基材よりも弾性
    が高い弾性材とを有することを特徴とする生体情報計測
    装置。
  2. 【請求項2】 前記基材に取り付けられた前記弾性材が
    周方向に可動であることを特徴とする請求項1に記載の
    生体情報計測装置。
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