JP2001271882A - 防振装置 - Google Patents

防振装置

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JP2001271882A
JP2001271882A JP2000085130A JP2000085130A JP2001271882A JP 2001271882 A JP2001271882 A JP 2001271882A JP 2000085130 A JP2000085130 A JP 2000085130A JP 2000085130 A JP2000085130 A JP 2000085130A JP 2001271882 A JP2001271882 A JP 2001271882A
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vibration
auxiliary elastic
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auxiliary
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JP2000085130A
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Yoshihiro Nakagawa
善博 中川
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Sumitomo Riko Co Ltd
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Sumitomo Riko Co Ltd
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60GVEHICLE SUSPENSION ARRANGEMENTS
    • B60G2204/00Indexing codes related to suspensions per se or to auxiliary parts
    • B60G2204/40Auxiliary suspension parts; Adjustment of suspensions
    • B60G2204/41Elastic mounts, e.g. bushings
    • B60G2204/4104Bushings having modified rigidity in particular directions

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  • Springs (AREA)
  • Arrangement Or Mounting Of Propulsion Units For Vehicles (AREA)
  • Vehicle Body Suspensions (AREA)
  • Vibration Prevention Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 主弾性体にすぐりを有する防振装置におい
て、目的とする振動吸収特性およびストッパー特性を得
るための設計の自由度の高い防振装置を提供する。 【解決手段】 振動源側の部材と振動を受ける側の部材
とを弾性連結する防振装置を、振動源側の部材および振
動を受ける側の部材のいずれか一方に連結される軸部材
10と、振動源側の部材および振動を受ける側の部材の
他方に連結され軸部材10と略同軸的にかつ内側面21
が軸部材10の外側面12と距離を隔てて配置された外
筒20と、軸部材10の外側面12と外筒20の内側面
21との間に介装され軸方向の少なくとも一端に開口す
る空間として形成されたすぐり31a、31bを有する
主弾性体30と、主弾性体30の軸方向端よりすぐり3
1a、31b内に挿入され補助的弾性体として機能する
挿入部41を有し、挿入部41の材質の異なる2以上の
補助弾性部材40とを備えてなるように構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、振動を発生する機
器、部品等を付設、懸架等する際に用いる防振装置、例
えば、自動車に装備されるサスペンションマウント、エ
ンジンマウント等として好適に使用される防振装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】振動を発生する機器、部品等を付設、懸
架等する際に、取り付けられる機器、部品等にその振動
が伝達しないように、振動源となる機器、部品等と振動
を受ける機器、部品等との間に、これらを弾性連結して
その振動を吸収する防振装置が、好んで用いられる。例
えば、自動車の分野においては、この防振装置は、その
用途、形状等に応じ、サスペンションアームブッシュ、
サスペンションマウント、エンジンマウント等と呼称さ
れている。
【0003】このような防振装置は、一般に、軸部材
と、その軸部材に同軸的に配置された外筒と、その軸部
材と外筒との間に介装される弾性体とから構成されてお
り、軸部材が振動源となる機器、部品等および振動を受
ける機器、部品等のいずれか一方に連結され、外筒が他
方に連結されて、伝達する振動を吸収するように機能す
る。軸直角方向(軸方向に直角な方向を意味する。ここ
で、軸方向とは、軸部材の軸方向であり、防振装置の軸
方向と略同一方向であるため、本明細書では便宜的に防
振装置におけるこの方向のことも軸方向と称することに
する。)の特定の向きの振動吸収特性を改善するため、
弾性体に軸方向に挿通する空間あるいは軸方向の一端に
開口する空間(以下、「すぐり」という)を設け、その
すぐりの存在する向きにおいて防振装置自体のバネ定数
を小さくするといった構成を採用する防振装置も存在す
る。ところが、すぐりを設ける上記態様の防振装置で
は、その方向においては小さな振動を効率的に吸収でき
るものの、大きな振動、つまり、軸部材と外筒との軸直
角方向の大きな相対変位を伴う振動に対して弾性体が大
きく変形することになり、防振装置自体の耐久性が問題
となっている。
【0004】小振動の吸収特性と耐久性の両立を図るた
め、従来から、例えば特開平5−10359号公報に示
すような、すぐり内部に補助的に機能する弾性体を挿入
させて構成するといった態様の防振装置が考えられてい
る。この装置の概略を図10に示す。図10(a)は、
防振装置を構成する防振装置本体1およびそれに組み込
まれる補助弾性部材40の斜視図を示し、図10(b)
は、組み込まれた状態での防振装置の軸方向に直角な面
で切断した場合の断面を示す。
【0005】本図の防振装置は、防振装置本体1と、防
振装置本体1と別体となる補助弾性部材40とからな
る。防振装置本体1は、図示していない振動源側の部材
および振動を受ける側の部材のいずれか一方に連結され
る軸部材10と、振動源側の部材および振動を受ける側
の部材の他方に連結され軸部材10と略同軸的にかつ内
側面が軸部材10の外側面と距離を隔てて配置された外
筒20と、軸部材10の外側面と外筒20の内側面との
間に介装される主弾性体30とからなる。なお、本図の
防振装置では、軸部材10および外筒20は略円筒形状
をなしており、主弾性体30はゴムにより形成されてい
る。主弾性体30は、軸方向に挿通する空間として形成
されている4つのすぐり31を有している。このすぐり
31は、軸直角方向におけるそれぞれの方向の防振装置
のバネ定数を小さくし、小さな振動を効果的に吸収でき
るように機能するものである。
【0006】本図の防振装置の補助弾性部材40は、そ
れぞれのすぐり31内に挿入される4つの挿入部41
と、挿入部41と一体的に形成され挿入部41を保持連
結する保持部42とからなる。なお、この補助弾性部材
40もゴムにより形成されている。図10(b)から解
るように、補助弾性部材40の挿入部41がそれぞれの
すぐり31に挿入された状態では、それぞれの挿入部4
1は、外筒20の内側面に略接して存在し、主弾性体3
0の弾性部32との間に隙間60を有している。
【0007】軸直角方向に軸部材10と外筒20との間
の大きな相対変位を伴うような振動の場合、その変位方
向に応じた隙間60が消滅する、つまり、隙間60が押
しつぶされた状態で、その部分の補助弾性部材40の挿
入部41と主弾性体30の弾性部32とが当接する。当
接後は、その方向にさらに変位する場合、防振装置のバ
ネ定数が大きくなり、主弾性体30のさらなる大きな変
形を抑制するように働く。すなわち、本図の防振装置に
おいては、補助弾性部材40の挿入部41は、軸直角方
向の大きな変位に対するストッパーとして機能する。こ
の挿入部41のストッパー機能により、主弾性体30の
大きな変形が効果的に防止され、防振装置の耐久性は向
上する。
【0008】ここで、上記態様の防振装置の場合、振動
吸収特性(通常の小さな振動に対する特性)は、概ね、
主弾性体30の弾性部32の断面形態、つまり、すぐり
31の形状、数、空間断面積等と、主弾性体30の材質
とにより決定されるものとなっていた。そして、ストッ
パー特性(大きな変位を伴う振動に対する特性)は、補
助弾性部材40の挿入部41の断面形態、つまり、形
状、断面積、すぐり31に対する面積比、隙間60の間
隔等と、挿入部41の材質とにより決定されるものとな
っていた。なお、「断面」とは、本明細書においては、
特に断りのない限り軸方向に直角な面で切断した場合の
断面を意味する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従来からの上記態様の
防振装置においては、主弾性体の材質は一定であり、補
助弾性部材の材質も一定で、それぞれの挿入部の材質が
等しいものとなっている。したがって、軸直角方向の特
定の方向に対する振動吸収特性またはストッパー特性を
変更する場合、弾性体および補助弾性部材のいずれかま
たは両者の上記形態を変更することによってのみ行われ
ており、所望の振動吸収特性およびストッパー特性を得
るための設計は、その自由度に乏しいものとなってい
た。
【0010】本発明は、従来の防振装置が抱える上記問
題を解決するためになされたものであり、主弾性体にす
ぐりを有し、そのすぐりに主弾性体とは別体の弾性体を
挿入して構成される防振装置において、すぐりに挿入さ
れる弾性体の材質を異ならせる、すなわち、種々の材質
の弾性体を主弾性体のすぐり内に挿入することにより、
目的とする振動吸収特性およびストッパー特性を得るた
めの設計の自由度の高い防振装置を提供することを課題
としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の防振装置は、振
動源側の部材と振動を受ける側の部材とを弾性連結する
防振装置であって、振動源側の部材および振動を受ける
側の部材のいずれか一方に連結される軸部材と、振動源
側の部材および振動を受ける側の部材の他方に連結され
前記軸部材と略同軸的にかつ内側面が該軸部材の外側面
と距離を隔てて配置された外筒と、前記軸部材の外側面
と前記外筒の内側面との間に介装され軸方向の少なくと
も一端に開口する空間として形成されたすぐりを有する
主弾性体と、前記主弾性体の軸方向端より前記すぐり内
に挿入され補助的弾性体として機能する挿入部を有し、
該挿入部の材質の異なる2以上の補助弾性部材とを備え
てなることを特徴とする。
【0012】つまり、本発明の防振装置は、異なる材質
を有し補助的な役割を果たす複数の弾性体を、防振装置
本体の主弾性体のすぐり内に挿入させるように構成した
防振装置である。振動吸収特性およびストッパー特性の
いずれかを変更する際に、従来行われてきた主弾性体、
補助弾性部材の挿入部の形態の変更に代え、あるいはそ
れに加えて、補助弾性部材の挿入部の材質を異ならせる
といった手段を採用することにより、所望の上記特性を
得るための設計の自由度を拡大させることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の防振装置の基本
的実施形態と、その基本的実施形態を採用した上で採り
うる様々な応用的実施形態とを、詳しく説明する。な
お、上記請求項に対応するものについては、適宜、その
請求項番号を付記するものとする。
【0014】(1)本発明の防振装置の基本的実施形態
は、振動源側の部材および振動を受ける側の部材のいず
れか一方に連結される軸部材と、振動源側の部材および
振動を受ける側の部材の他方に連結され前記軸部材と略
同軸的にかつ内側面が該軸部材の外側面と距離を隔てて
配置された外筒と、前記軸部材の外側面と前記外筒の内
側面との間に介装され軸方向の少なくとも一端に開口す
る空間として形成されたすぐりを有する主弾性体と、前
記主弾性体の軸方向端より前記すぐり内に挿入され補助
的弾性体として機能する挿入部を有し、該挿入部の材質
の異なる2以上の補助弾性部材とを備えてなる形態であ
る(請求項1に対応)。
【0015】「主弾性体」は、それを形成する物質を特
に限定するものではない。一般には、ゴムが好んで用い
られ、本発明の防振装置においても成形性、振動吸収能
力等を考慮して、種々のゴムを用いることができる。ま
た、「主弾性体」はそのすべてが弾性物質で形成される
態様のものだけでなく、全体として弾性体であればよ
く、例えば、特定方向の振動吸収能力を他の方向のそれ
と異ならせる等の目的で、弾性を有しない金属、樹脂、
あるいは液体等の流体をその中に介在させる態様のもの
であってもよい。「補助弾性部材」は、少なくとも主弾
性体のすぐり内に挿入される「挿入部」が弾性体であれ
ばよく、その「挿入部」は、主弾性体と同様に、それを
形成する物質を特に限定するものではなく、同様に種々
のゴムを用いることができる。また、同様に全体として
弾性体であればよく、金属、樹脂等を介在させるもので
あってもよい。
【0016】「挿入部の材質」とは、主に、挿入部を形
成する弾性体の硬さ、つまり、その弾性体のもつ弾性係
数の違いを意味する。例えば、挿入部を形成する弾性物
質がゴムである場合には、製造の際の材料配合のを相違
させる等の方法によって、その材質を変更させることが
できる。また、「挿入部の材質の異なる2以上の補助弾
性部材」とは、防振装置の構成部材となる2以上のすべ
ての補助弾性部材の有するすべての挿入部が、2種以上
の材質のものに区分されることを意味する。すなわち、
例えば、1以上の挿入部を有する2以上の補助弾性部材
が存在する場合に、それぞれの補助弾性部材が有する挿
入部はすべて同じ材質であり、かつ、補助弾性部材ごと
に挿入部が異なる材質であるような態様とすることもで
き、また、2以上の挿入部を有する補助弾性部材が存在
する場合に、その1つの補助弾性部材の有するそれぞれ
の挿入部が異なる材質であるような態様とすることもで
きる。
【0017】また、主弾性体が有する「すぐり」とは、
主弾性体に形成された軸方向の少なくとも一端に開口す
る空間であるが、これは、軸方向に貫通する空間、つま
り、貫通穴として形成された態様のものであってもよ
く、また、軸方向に貫通しない、つまり、軸方向の一端
部から主弾性体の途中までの穴あるいは凹所として形成
された態様のものであってもよい。そして、「すぐり」
は、その数を限定するものでなく、1つあるいは2以上
であってもよい。「すぐり」と補助弾性部材の「挿入
部」との数量関係についても、特に限定はなく、1つの
すぐりに1つの挿入部が挿入されている態様、1つのす
ぐりに2以上の挿入部が挿入されている態様、あるい
は、挿入部が挿入されていないすぐりが存在する態様
等、種々の態様を選択することができる。
【0018】さらにまた、すぐり内の挿入部の挿入代、
つまり、挿入部の軸方向の長さについては、すぐりの軸
方向の長さの全域にわたって挿入されるような長さであ
ってもよく、また、挿入される一端からすぐりの軸方向
長さの中間部にまでしか達しない長さであってもよい。
すなわち、補助弾性部材の挿入部は、すぐりの全長にわ
たって挿入されてもよく、その途中までしか挿入されな
いものであってもよい。途中までしか挿入されない態様
を採用する場合、材質の変更だけでなく、挿入部の挿入
長さを変更することによっても、軸直角方向におけるそ
の挿入部の存在する方向の防振装置の特性を容易に変更
することができる。
【0019】所望の振動吸収特性、ストッパー特性を得
るための設計の自由度の拡大という本発明の防振装置の
上記利点は、この基本的実施形態においても充分に期待
できる。軸直角方向の特定の方向の特性を他の方向の特
性と異ならせるために、主弾性体のすぐりを含んだ断面
形状、すぐりに挿入される補助弾性部材の挿入部の断面
形状等をその方向ごとに相違させるという従来からの手
段を採用しようとする場合、その手段が防振装置の機構
上制約を受ける場合等にあっては、挿入部の材質の相違
という手段は、特に効果的な手段となる。また、軸直角
方向の特定の方向の特性が他の方向の特性と異なる防振
装置を製造する場合、上記手段によれば、補助弾性部材
を除く防振装置本体の構成を変更せずに、比較的製造の
容易な補助弾性部材のみを変更することにより、その防
振装置が用いられる部位、用途に応じた振動吸収特性、
ストッパー特性を得ることができ、製造工程における対
応に関しても、迅速性、容易性、安価性を担保された対
応を可能にする。
【0020】(2)本発明の防振装置では、上述した基
本的実施形態を採用した上で、挿入部のすぐり内での存
在状態、特に、防振装置断面における挿入部と主弾性体
との隙間の有無について、以下の実施形態を選択して採
用できる。
【0021】その一つの実施形態は、挿入部がすぐり内
に挿入された状態において、その挿入部の軸部材側およ
び外筒側のすくなくともいずれかが主弾性体に当接して
いない態様の実施形態である。つまり、軸直角方向に隙
間を存在させて挿入部が挿入されている態様の実施形態
である。この態様のものは、主に、ストッパー特性の変
更のための自由度を拡大させるのに好適な実施形態とな
る。
【0022】軸直角方向に隙間を有する場合、本防振装
置が軸直角方向の小さな振動を受けている間は、その隙
間の存在より、防振装置自体のその方向のバネ定数は小
さく、その振動を効果的に吸収することができる。この
隙間を押しつぶす程の相対変位を伴う大きな軸直角方向
の大きな振動を受けたときは、そこに存在する補助弾性
部材の挿入部がその変位を規制するストッパーとして機
能する。本防振装置の場合、材質の異なる挿入部を有し
ているため、いわゆるストッパータッチ後の防振装置の
バネ定数が、その方向に存在する挿入部の材質によって
異なるものとなる。したがって、このように作用するこ
とで、軸直角方向に隙間を存在させて挿入部が挿入され
ている態様の本実施形態では、軸直角方向の特定の方向
のストッパー特性を他の方向のそれと異ならせる際の設
計が、よりフレキシブルに行えることになる。
【0023】また、もう一つの実施形態は、すぐり内に
挿入部が挿入された状態において、その挿入部の軸部材
側および外筒側のいずれもが主弾性体に当接している態
様の実施形態である。つまり、軸直角方向に隙間を存在
させずに挿入部が挿入されている態様の実施形態であ
る。この態様のものは、主に、振動吸収特性の変更のた
めの自由度を拡大させるのに好適な実施形態となる。
【0024】軸直角方向に隙間を有しない場合、通常の
小さな振動を本防振装置が受けているときでも、主弾性
体と補助弾性部材の挿入部とが湊合してその振動を吸収
する。本防振装置の場合、材質の異なる挿入部を有して
いるため、通常の小さな振動を吸収する際の防振装置の
バネ定数が、その方向に存在する挿入部の材質によって
異なるものとなる。したがって、このような作用から、
軸直角方向に隙間を存在させずに挿入部が挿入されてい
る態様の本実施形態では、軸直角方向の特定の方向の振
動吸収特性を他の方向のそれと異ならせる際の設計が、
よりフレキシブルに行えることになる。
【0025】なお、本発明の防振装置においては、その
防振装置を構成するすべての補助弾性部材のすべての挿
入部について、上記2つの実施形態のうちのいずれかを
統一して採用する必要はなく、1つの防振装置におい
て、その両者を併用することができる。すなわち、軸直
角方向のいずれかの方向に位置する挿入部について、隙
間を存在させる上記態様を採用し、かつ、他の方向に位
置する挿入部について、隙間を存在させない上記態様を
採用することができる。
【0026】(3)さらに、本発明の防振装置では、上
述した基本的実施形態を採用した上で、上記補助弾性部
材の形態、特に、挿入部と一体的に形成された補助弾性
部材の他の部分の形態について、以下の実施形態を選択
して採用できる。
【0027】その一つは、補助弾性部材の少なくとも1
つが、2以上の挿入部を有し、かつ、その挿入部と一体
的に形成されその挿入部を主弾性体の軸方向端部の外方
で連結する連結部を有する態様の実施形態である(請求
項2に対応)。すなわち、本実施形態は、1つの補助弾
性部材が複数の挿入部を有する実施形態であって、その
挿入部が主弾性体のすぐりの外で互いに繋がるように一
体的に形成されている実施形態である。挿入部の総数が
3以上となる防振装置において、そのうちの2以上の挿
入部を一体化させることで、補助弾性部材の総数を減ら
すことができ、構成部材数が少ない比較的簡素な防振装
置となる。
【0028】また、本実施形態は2以上の挿入部が同じ
材質となる場合、特に有効な実施形態となる。それらを
一体的に形成することができ、製造コストの面でも優れ
た実施形態となる。例えば、挿入部がある材質のゴムで
形成される場合、連結部も同質のゴムで形成し、それら
を1つの成形型にて成形することができ、製造工程の簡
略化が図れる。なお、連結部の形状については、2以上
の挿入部が互いに連結されるものであれば特に限定され
るものでなく、防振装置の構造に応じた適切な形状とす
ることができる。
【0029】また、他の一つの実施形態は、補助弾性部
材の少なくとも1つが、挿入部と一体的に形成され軸部
材の端部または外筒の端部に繋止される繋止部を有する
態様の実施形態である(請求項3に対応)。本実施形態
は、補助弾性部材の挿入部のすぐりに対するあるいは主
弾性体に対する挿入位置を、軸部材あるいは外筒のいず
れかを基準に決定する態様の実施形態である。
【0030】本実施形態を採用すれば、その挿入部を正
確に位置に容易に挿入させることができる。本実施形態
を適用する補助弾性部材が複数の挿入部を有する場合で
あっても、その複数の位置関係を同時に決定することが
でき、より効果的な態様となる。また、主弾性体がゴム
からなる防振装置を製造する場合、主弾性体を加硫接着
後、補助弾性部材を防振装置本体に組み込み、その後
に、防振装置の外筒を縮径する工程に供されるときがあ
る。この際に挿入した補助弾性部材の挿入部が、すぐり
内部において位置ずれを生じる可能性がある。挿入部に
の挿入位置を軸部材あるいは外筒のいずれかを基準に決
定する本実施形態を採用する場合、縮径工程後にあって
も、すぐり内で挿入部が適正に位置し、その防振装置は
精度良く製造されることになる。なお、ここで「繋止」
とは、繋ぎ止める意味であるが、補助弾性部材の挿入部
が容易に位置ずれを生じないために、補助弾性部材は、
軸部材の端部または外筒の端部に固定される態様とする
ことがより望ましい。
【0031】さらにもう一つの実施形態は、前記補助弾
性部材の少なくとも1つが、挿入部と一体的に形成され
外筒の軸方向の一端部外方に位置し外筒の外側面より略
軸直角方向に突出する突出部を有する態様の実施形態で
ある(請求項4に対応)。本実施形態は、補助弾性部材
に、軸部材の外筒に対する軸方向の大きな相対変位があ
った場合における緩衝材としての機能を付加する態様の
実施形態である。
【0032】防振装置は、その用いられ方によって、軸
部材と外筒とが軸方向に大きな相対変位を伴う振動が加
わる場合がある。このような用途の場合、防振装置は、
例えば、軸部材端部に金属製等のストッパーを固定して
取付ける等の規制手段を設ける。このストッパーは、一
般に、その一部が外筒の外側面より軸直角方向に突出し
て外筒の軸方向端部との間に所定の空間を設けるように
取付けられる。そして、軸部材に取付けられたストッパ
ーと外筒の軸方向端部との上記空間をなくする方向に軸
部材と外筒が相対変位する場合、その変位が大きいとき
は、ストッパーと外筒の軸方向端部とが当接し、それ以
上の大きな相対変位が生じること防止する。しかし、通
常、外筒およびストッパーは弾性物質から形成されてい
ないため、両者が当接した場合は、当接部に衝撃が加わ
るばかりでなく、その当接部によって振動が伝達される
ことになる。これを防止するために、両者が当接する場
合には、その当接部に緩衝材を挟装させることが望まし
い。
【0033】本実施形態の防振装置では、補助弾性部材
の挿入部と一体的に形成された上記突出部がこの緩衝材
として機能することになる。したがって、軸方向の大き
な相対変位が生じる用途の上記ストッパーを有する防振
装置であっても、別部品としての緩衝材を必要とせず、
部品点数が減少し、簡略化されかつ製造コスト面で優れ
た防振装置となる。なお、ストッパーを取付けず、軸部
材と外筒とが軸方向に大きな相対変位の際、軸部材に連
結された振動側部材と振動を受ける側の部材とが直接当
接する態様の防振装置である場合でも、上記補助弾性部
材の突出部は緩衝材としての機能を充分に果たすことに
なる。
【0034】挿入部と一体的に形成された補助弾性部材
の他の部分に関する上記3つの実施形態は、それぞれの
実施形態を単独で行うこともでき、また、そのうちの2
以上を併用して行うこともできる。すなわち、挿入部以
外の部分、つまり、主弾性体の端部外方に位置する補助
弾性部材の部分が、上記連結部、上記繋止部、上記突出
部のいずれか2以上の機能を果たすような態様で、挿入
部と一体的に形成されている補助弾性部材を用いること
もできる。
【0035】(4)また、本発明の防振装置では、上述
した基本的実施形態を採用した上で、補助弾性部材の少
なくとも1つが、その挿入部を前記主弾性体の軸方向の
一端より挿入し、かつ、補助弾性部材の他の少なくとも
1つが、その挿入部を前記主弾性体の軸方向の他端より
挿入する態様の実施形態を採用することができる(請求
項5に対応)。つまり、本実施形態は、主弾性体の軸方
向の両端側より、補助弾性部材の挿入部をすぐり内に挿
入させる態様の実施形態である。
【0036】補助弾性部材が数多くある場合、または、
その挿入部が数多くある場合、すべての補助弾性部材の
挿入部を主弾性体の軸方向の一端部側より挿入したとき
には、補助弾性部材の軸方向の端部での処置が煩雑、複
雑なものとなる。例えば、すべての補助弾性部材を軸部
材の端部あるいは外筒の端部に繋止するという上記実施
形態を採用する場合等において、その繋止に対する処置
を防振装置の軸方向の両端に分散して行うことができ、
防振装置の構造が単純化される等の利点を有する。
【0037】また、補助弾性部材の突出部が軸方向の大
きな相対変位に対する緩衝材として機能する上記実施形
態を採用する場合、本実施形態を併用することで、軸方
向の両端側に緩衝材として機能する突出部を配設するこ
とができ、別体となる緩衝材を両端とも必要とせず、さ
らに構成部品点数の少ない、より簡略化されかつ製造コ
ストの安価な防振装置となる。
【0038】さらに、両端から挿入される2つの挿入部
が、同じ周方向および同じ軸直角方向に存在する態様、
つまり、それぞれの挿入部が向かい合うように挿入され
ている態様を採用する場合、本実施形態を併用するとき
には、挿入部が向かい合う位置に両端から挿入されてい
ることで、1つ1つの挿入部の長さを短くすることがで
き、補助弾性部材に関する設計の自由度をより拡大する
ことができる。
【0039】(5)次に、より具体的な実施形態につい
て説明する。本発明の防振装置は、上記基本的実施形態
を採用した上で、前記主弾性体は、軸直角断面において
前記軸部材を中心とする周方向に中心角で90度以上と
なるように延びかつ軸方向に貫通する空間として形成さ
れ前記軸部材を挟んで対向する1対のすぐりを有し、そ
れぞれの該すぐりは、前記補助弾性体の前記挿入部が挿
入される2つの挿入空間を有し、4つの該挿入空間は、
軸直角断面において前記軸部材を中心とする略同一周内
であって互いに中心角で略90度となるように位置し、
前記補助弾性部材は、それぞれ別体となる第1補助弾性
部材および第2補助弾性部材の2つから構成され、前記
第1補助弾性部材は、互いに同じ材質となる2つの挿入
部および該挿入部と一体的に形成され該挿入部を前記主
弾性体の軸方向端部の外方で連結する連結部を有し、か
つ、前記軸部材の端部または前記外筒の端部に固定さ
れ、前記第2補助弾性部材は、前記第1補助弾性部材の
挿入部とは異なる材質であって互いに同じ材質となる2
つの挿入部および該挿入部と一体的に形成され該挿入部
を前記主弾性体の軸方向端部の外方で連結する連結部を
有し、かつ、前記軸部材の端部または前記外筒の端部に
固定され、前記第1補助弾性部材の2つの挿入部は、前
記4つの挿入空間のうち前記軸部材を挟んで対向する2
つの挿入空間にそれぞれ挿入され、かつ、前記第2の補
助弾性部材の2つの挿入部は、前記4つの挿入空間のう
ち前記軸部材を挟んで対向する他の2つの挿入空間にそ
れぞれ挿入されているような態様で実施することができ
る(請求項6に対応)。
【0040】本態様の防振装置は、軸直角方向の90度
異なる方向の振動吸収特性、ストッパー特性を異ならせ
るための実施形態である。本態様の防振装置では、軸直
角断面において周方向に比較的大きな空間長を持つ貫通
すぐりを採用し、そのすぐりの周方向の略4等配の位置
に補助弾性部材の挿入部が挿入される挿入空間を形成し
ている。そして、軸部材を挟んで対向する位置の2つの
挿入空間に挿入される挿入部の材質をそれぞれ同じと
し、かつ、それらと中心角で略90度ずれた2つの挿入
空間に挿入される挿入部の材質を互いに異ならせること
で、容易に、軸方向の直行する方向の特性を異ならせる
ことを可能にしている。なお、本実施態様におけるそれ
ぞれの構成要素の特徴により得られる利点は、上記応用
的実施形態で説明したそれぞれの利点と同じであり、こ
こでの説明は省略する。
【0041】なお、本実施形態においても、補助弾性部
材の軸方向の端部での処置が煩雑、複雑なものとなるの
を防止できるといった理由等から、前記第1補助弾性部
材の挿入部は、前記主弾性体の軸方向の一端より挿入さ
れ、かつ、前記第2補助弾性部材の挿入部は、該主弾性
体の軸方向の他端より挿入されている態様にて実施する
ことが可能である(請求項7に対応)。
【0042】(6)以上、本発明の防振装置の基本的実
施形態および応用的実施形態について、様々な態様のも
のを説明したが、上述した実施形態は一例にすぎず、本
発明の防振装置は、上記実施形態を始めとして、上述の
様々な態様を適宜組み合わせて採用することができ、さ
らには、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施
した種々の態様で実施することができる。
【0043】
【実施例】以下に、上記実施形態に基づく、詳しくは、
上記のより具体的態様での実施形態に基づく本発明の防
振装置の実施例について、自動車のサスペンション装置
を構成するトレーリングアームに用いられる防振ブッシ
ュ(以下、上記記載と整合させるため、「防振装置」と
いう)を例にとって、図を参照しつつ説明する。なお、
以下の実施例は一例として示したにすぎず、したがっ
て、本発明の防振装置は、以下の実施例に決して限定さ
れるものではない。
【0044】〈第1実施例〉第1実施例となる防振装置
に関する図であって、防振装置本体を軸方向から見た図
を図1に、補助弾性部材を図2(図2(a)を正面図と
した場合、図2(b)は側面図)に、防振装置(防振装
置本体に補助弾性部材を組付けた状態)を軸方向から見
た片側断面図を図3に、図3におけるA−A断面を図4
に、それぞれ示す。
【0045】本実施例の防振装置は、防振装置本体1
と、それと別体となる同一形状の2つの補助弾性部材4
0、40’とから構成される。防振装置本体1は、略円
筒状をなす金属製の軸部材10と、軸部材10と略同軸
的にかつ内側面21が軸部材10の外側面12と距離を
隔てて配置された円筒形状をなす金属製の外筒20と、
軸部材10の外側面12と外筒20の内側面21との間
に介装され、軸方向両端に開口する空間つまり貫通穴と
して形成された2つのすぐり31a、31bを有するゴ
ムからなる主弾性体30とからなる。なお、軸部材10
は、図示していない振動源側の部材および振動を受ける
側の部材のいずれか一方に、内側面11で区画される取
付孔にボルトを挿通させかつそのボルトに螺合するナッ
トにて締結させることで連結される。また、外筒20
は、図示していない振動源側の部材および振動を受ける
側の部材の他方に、外側面22を嵌挿することで連結さ
れている。
【0046】さらに詳しく防振装置本体1を説明すれ
ば、軸部材10は、主弾性体30から突出する軸方向の
両端が径の小さな小径部13として形成されおり、主弾
性体30内に埋没する軸方向の中央部が大径部14とし
て形成され、軸直角方向の大きな相対変位の際、ストッ
パータッチ後のバネ定数を大きくするように機能する。
また、軸部材10は、両端の小径部13にそれぞれ突起
15を有する。この突起15については、後でも説明す
るが、補助弾性部材40、40’を組付ける際、補助弾
性部材40、40’の周方向の位置を決定する機能を有
する。
【0047】主弾性体30のすぐり31a、31bは、
断面において、両者とも同じ特殊な異形状をなし、それ
ぞれが軸中心に対して回転対称の位置関係で位置し、そ
れぞれその周囲が主弾性体30の弾性部32つまりゴム
からなる実体部によって囲まれている。この断面の異形
状は、軸直角方向の様々な異なる方向の振動吸収特性を
微妙に異ならせるように機能する。また、すぐり31
a、31bは、それぞれ、後に説明する補助弾性部材4
0の挿入部が挿入される断面略四角形状をなす同じ大き
さの挿入空間33を2つ有し、2つのすぐりの挿入空間
33は、そのすべてが、同一の周の4等配の位置に存在
している。
【0048】本実施例の防振装置において、2つの補助
弾性部材40、40’は、断面において同じ略四角形状
をなし、それぞれ、防振装置本体1の主弾性体30の有
するすぐり31a、31bに挿入されて補助的弾性体と
して機能する2つの挿入部41a、41b、41’a、
41’b(以下、総称する場合は単に「41」とする)
と、それぞれの挿入部41と一体的に形成された略円環
状の保持部42、42’とからなる。
【0049】補助弾性部材40、40’は、それぞれの
挿入部41が略円環状の保持部42、42’の2等配に
位置に保持部42、42’の円環平面に垂直になるよう
に形成されている。挿入部41の断面形状は、組み込ま
れた状態において、その周方向の幅が、主弾性体30の
すぐり31a、31bの有する挿入空間33の周方向の
幅と略同じ幅であり、その軸直角方向の幅が、挿入空間
33の軸直角方向の幅より小さくなるように形成されて
いる。そして、補助弾性部材40、40’は組み込まれ
た状態において、それぞれの挿入部41の軸中心側に、
挿入部41と主弾性体30の弾性部32とによって区画
される隙間60が存在するように形成されている。
【0050】保持部42、42’は、補助弾性部材4
0、40’が防振装置本体1に組み込まれた状態にあっ
ては主弾性体30の軸方向端部の外方に位置する。そし
て、その円環状の全体が連結部43となって、それぞれ
の挿入部41を連結するように機能し、また、円環の内
周部が繋止部43となって、軸部材10の小径部12に
嵌合されることで補助弾性部材40、40’が軸部材1
0の端部に繋止される。これにより、補助弾性部材4
0、40’は、防振装置本体1からは容易に離脱しない
ものとなっている。さらに、保持部42、42’には、
軸部材10の突起15に嵌合する凹部45、45’が設
けられており、これらが嵌合するように補助弾性部材4
0、40’が防振装置本体1に組付けられることによ
り、補助弾性部材40、40’の挿入部41のそれぞれ
の周方向の位置が容易に決定される。
【0051】本実施例の防振装置の場合、補助弾性部材
40、40’は、それぞれの挿入部41が主弾性体30
の軸方向の異なる端面から挿入されるように、防振装置
本体1の軸方向の異なる端部側より組み込まれている。
これにより、軸方向の両端部において、それぞれの補助
弾性部材40、40’互いに干渉することなく、煩雑な
端部処置となることを防止している。
【0052】本実施例の防振装置においては、補助弾性
部材40、40’は互いに異なる材質のゴムから形成さ
れている。詳しくは、補助弾性部材40は、補助弾性部
材40’よりも硬質なゴムから形成されている。したが
って、挿入部41a、41bと挿入部41’a、41’
bとは互いに異なる材質、つまり、挿入部41a、41
bは挿入部41’a、41’bより硬質である。また、
補助弾性部材40、40’は、その形状が同一であるこ
とから、製造する際に、同じ成形型を用い、ゴム配合を
異ならせることによって、異なる材質の挿入部を有する
補助弾性部材を容易にかつ低コストに製造できる。
【0053】本実施例の防振装置の作用について説明す
る。図3におけるP1−P1’あるいはP2−P2’の
軸直角方向のいずれか一方向からの往復振動を想定すれ
ば、その振動が、通常の小さな振動である場合、主弾性
体30の変形により、その振動を吸収する。すぐり31
a、31bの作用により主弾性体30のいずれの方向に
対してもそのバネ定数は小さく、効果的にその小さな振
動が吸収されることになる。この場合、P1−P1’の
方向の往復振動であっても、P2−P2’の方向の往復
振動であっても、主弾性体30の断面形状の対称性か
ら、その振動吸収特性は異ならない。
【0054】ここで、P1若しくはP1’またはP2若
しくはP2’のいずれかの方向から大きな力が加わり、
軸部材10と外筒20とが軸直角方向に大きな相対変位
を生じる場合、その方向に対応する補助弾性部材40あ
るいは補助弾性部材40’のそれぞれの挿入部41の軸
中心側に存在する隙間60が押しつぶされ、挿入部41
と主弾性体30の弾性部32とが当接する(ストッパー
タッチ)。そして、さらにその相対変位が大きくなる場
合、主弾性体30と挿入部41との変形が相俟って、つ
まり主弾性体30と挿入部41の弾性力が湊合して、そ
の大きな相対変位に対応する。
【0055】本実施例の防振装置の場合、補助弾性部材
40の挿入部41a、41bは補助弾性部材40’の挿
入部41’a、41’bよりも硬質であることから、P
1若しくはP1’方向のストッパータッチ後のバネ定数
はP2若しくはP2’方向のバネ定数より大きく、同じ
力に対する軸部材10と外筒20との相対変位は、P1
若しくはP1’方向のほうがP2若しくはP2’方向よ
り小さくなる。したがって、本実施例の防振装置では、
主弾性体30等の他の構成の変更せずに、挿入部41の
材質のみを異ならせることにより、軸直角方向の異なる
方向のストッパー特性を変更することが可能となる。
【0056】〈第2実施例〉本実施例の防振装置は、補
助弾性部材の形態が上記第1実施例の防振装置と相違す
る防振装置である。本実施例の防振装置に関する図であ
って、2つの補助弾性部材のうちの一方を図5(図5
(a)を正面図とした場合、図5(b)は側面図)に、
2つの補助弾性部材のうちの他方を図6(図6(a)を
正面図とした場合、図6(b)は側面図)に、防振装置
(防振装置本体に補助弾性部材を組付けた状態)を軸方
向から見た片側断面図を図7に、図7におけるA−A断
面を図8に、それぞれ示す。
【0057】本実施例の防振装置は、防振装置本体1
と、それと別体となる異なる形状の2つの補助弾性部材
である補助弾性部材40および補助弾性部材50とから
構成される。防振装置本体1については、上記第1実施
例の防振装置とほとんど相違するところがないため、そ
の説明を省略する。なお、防振装置本体を軸方向から見
た図については、図1を参照するものとする。
【0058】本実施例の防振装置の補助弾性部材40
は、上記第1実施例のそれと略同一形状をなしている。
第1実施例の防振装置の補助弾性部材と相違するところ
は、本実施例の防振装置では、軸方向の同一端部側から
2つの補助弾性部材を組み込むことから、両者の干渉を
避けるため、保持部42と挿入部41aおよび挿入部4
1bとの交合部において逃がしとなる欠肉部46を設け
ているところである。その他の部分についての説明は省
略するが、上記第1実施例での説明を参照することがで
きる。
【0059】もう一つの補助弾性部材50は、補助弾性
部材40と同様、断面において同じ略四角形状をなし、
それぞれ、防振装置本体1の主弾性体30の有するすぐ
り31a、31bに挿入されて補助的弾性体として機能
する2つの挿入部51a、51bと、それぞれの挿入部
51a、51bと一体的に形成された略円環状の保持部
52とからなる。
【0060】補助弾性部材50は、補助弾性部材40と
同様、それぞれの挿入部51が略円環状の保持部52の
2等配の位置に保持部52の円環平面に垂直になるよう
に形成されている。挿入部51a、51bの断面形状
は、組み込まれた状態において、その周方向の幅が、主
弾性体30のすぐり31a、31bの有する挿入空間3
3の周方向の幅と略同じ幅であり、その軸直角方向の幅
が、挿入空間33の軸直角方向の幅より小さくなるよう
に形成されている。そして、補助弾性部材50は、補助
弾性部材40と同様、組み込まれた状態において、それ
ぞれの挿入部51a、51bの軸中心側に、挿入部51
a、51bと主弾性体30の弾性部32とによって区画
される隙間60が存在するように形成されている。
【0061】本実施例の防振装置の場合、補助弾性部材
50は、補助弾性部材40と軸方向の同一端部側から組
み込まれ、保持部52は、組み込まれた状態にあって
は、主弾性体30の軸方向端部の外方であって補助弾性
部材40の保持部42の外周に位置する。また、保持部
52は、その円環状の全体が連結部53となって、それ
ぞれの挿入部41を連結するように機能する。また、保
持部52の内周部には、組み込まれた状態でのもう一つ
の補助弾性部材40の挿入部41a、41bとの干渉を
避けるため、対応する位置に2つの凹所57が設けられ
ている。なお、本実施例の防振装置の場合、補助弾性部
材50は、軸方向端部において軸部材10および外筒2
0のいずれにも繋止されず、保持部52が外筒20に当
接する態様となっている。例えば、保持部52に何らか
の細工を施して繋止部を形成し、補助弾性部材50を外
筒20の軸方向の端部に繋止するものであってもよい。
【0062】本実施例の防振装置においては、第1実施
例の場合と同様、補助弾性部材40および50は互いに
異なる材質のゴムから形成されている。詳しくは、補助
弾性部材40は、補助弾性部材50よりも硬質なゴムか
ら形成されている。したがって、挿入部41a、41b
と挿入部51a、51bとは互いに異なる材質、つま
り、挿入部41a、41bは挿入部51a、51bより
硬質である。このように、挿入部の材質を異ならせるこ
とによって、第1実施例の防振装置と同様の作用を示
し、軸直角方向の異なる方向のストッパー特性を容易に
変更することが可能となる。詳しい作用等については、
第1実施例の説明を参照することができる。
【0063】本実施例の防振装置のもう一つの特徴は、
補助弾性部材50の保持部52の外周部が、組み込まれ
た状態にあって、外筒20の軸方向の一端部外方に位置
し外筒20の外側面22より略軸直角方向に突出する突
出部56として形成されていることにある。この突出部
56は、上記実施形態の項で説明したように、防振装置
の軸方向の大きな相対変位に対する緩衝材として機能す
る。この機能について、以下に、図を用いて説明する。
【0064】図9に、本実施例の防振装置を、振動源側
の部材2と振動を受ける側の部材3とに連結して取付け
た状態を示す。軸部材10は、振動を受ける側の部材3
に、内側面11で区画される取付孔に振動を受ける側の
部材3が有するボルト3aを挿通させかつそのボルト3
aに螺合するナット80にて締結させることで連結され
ている。また、外筒20は、振動源側の部材2に、外側
面22を嵌挿することで連結されている。補助弾性部材
50の突出部56は、振動源側の部材2の表面まで突出
し、その表面に当接している。また、ナット80により
締め付けられる側の軸部材10の端部において、その端
部とナット80とに挟持されて、略ワッシャ状のストッ
パー金具70が取付けられている。ストッパー金具70
は、その外周部71が軸直角方向に外筒20の外側面よ
り突出し、所定の空間を隔てて補助弾性部材50の突出
部56を挟む状態となっている。
【0065】ここで、振動源側の部材2が図の左方に大
きく変位した場合、ストッパー金具70の外周部71が
補助弾性部材50の突出部56に当接することによっ
て、その軸方向の相対変位を規制する。このような軸方
向の相対変位規制機構において、突出部56は、ストッ
パー金具70の外周部71と振動源側の部材2の表面と
の間に挟持されて、その相対変位による衝撃を和らげ、
同時に大きな変位状態にあっても、振動源側の部材2か
ら振動を受ける側の部材3へ伝達しようとする振動を効
果的に吸収できるという緩衝材としての機能を果たすこ
とになる。
【0066】最後に、上記第1実施例の防振装置と第2
実施例の防振装置とは、その防振装置本体をほぼ同じ構
成のものとなっている。その違いは、補助弾性部材の形
態にのみあると言っても過言ではない。挿入部の材質を
始めとする補助的弾性部材の態様のみを変更させること
で、種々の目的、用途等にフレキシブルに対応できる防
振装置を設計できることは、本発明の防振装置が設計の
自由度の高い防振装置であることを容易に証明するもの
となる。
【0067】
【発明の効果】本発明の防振装置は、異なる材質を有し
補助的な役割を果たす複数の弾性体を、防振装置本体の
主弾性体のすぐり内に挿入させるように構成することを
主たる特徴とする防振装置である。振動吸収特性および
ストッパー特性のいずれかを変更する際に、補助弾性部
材のすぐり内に挿入される挿入部の材質を異ならせると
いった手段を採用することにより、所望の上記特性を得
るための設計の自由度を格段に拡大させることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施例の防振装置の防振装置本体を軸方
向から見た図を示す。
【図2】 第1実施例の防振装置に用いられる補助弾性
部材を示す。
【図3】 防振装置本体に補助弾性部材を組付けた状態
の第1実施例の防振装置を軸方向から見た片側断面図を
示す。
【図4】 第1実施例の防振装置の図3におけるA−A
断面を示す。
【図5】 第2実施例の防振装置に用いられる一方の補
助弾性部材を示す。
【図6】 第2実施例の防振装置に用いられる他方の補
助弾性部材を示す。
【図7】 防振装置本体に補助弾性部材を組付けた状態
の第2実施例の防振装置を軸方向から見た片側断面図を
示す。
【図8】 第2実施例の防振装置の図7におけるA−A
断面を示す。
【図9】 第2実施例の防振装置を振動源側の部材と振
動を受ける側の部材とに連結して取付けた状態の断面図
を示す。
【図10】 すぐり内部に補助的に機能する弾性体を挿
入させて構成する従来の防振装置を示す。
【符号の説明】
1:防振装置本体 2:振動源側の部材 3:振動を受ける側の部材 3a:ボルト 10:軸部材 11:内側面 12:外側面 13:小径部 14:大径部 15:突起 20:外筒 21:内側面 22:外側面 30:主弾性体 31、31a、31b:すぐり 32:弾性部 33:挿入空間 40、40’:補助弾性部材 41:挿入部 41a、41b、41’a、41’b:挿入部 42、42’:保持部 43、43’:連結部 44、44’:繋止部 45、45’:凹所 46:欠肉部 50:補助弾性部材 51a、51b:挿入部 52:保持部 53:連結部 56:突出部 57:凹所 60:隙間 70:ストッパー金具 71:外周部 80:ナット

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 振動源側の部材と振動を受ける側の部材
    とを弾性連結する防振装置であって、 振動源側の部材および振動を受ける側の部材のいずれか
    一方に連結される軸部材と、 振動源側の部材および振動を受ける側の部材の他方に連
    結され、前記軸部材と略同軸的にかつ内側面が該軸部材
    の外側面と距離を隔てて配置された外筒と、 前記軸部材の外側面と前記外筒の内側面との間に介装さ
    れ、軸方向の少なくとも一端に開口する空間として形成
    されたすぐりを有する主弾性体と、 前記主弾性体の軸方向端より前記すぐり内に挿入され補
    助的弾性体として機能する挿入部を有し、該挿入部の材
    質の異なる2以上の補助弾性部材と、 を備えてなる防振装置。
  2. 【請求項2】 前記補助弾性部材の少なくとも1つは、
    2以上の前記挿入部を有し、かつ、該挿入部と一体的に
    形成され該挿入部を前記主弾性体の軸方向端部の外方で
    連結する連結部を有する請求項1に記載の防振装置。
  3. 【請求項3】 前記補助弾性部材の少なくとも1つは、
    前記挿入部と一体的に形成され前記軸部材の端部または
    前記外筒の端部に繋止される繋止部を有する請求項1ま
    たは請求項2に記載の防振装置。
  4. 【請求項4】 前記補助弾性部材の少なくとも1つは、
    前記挿入部と一体的に形成され前記外筒の軸方向の一端
    部外方に位置し該外筒の外側面より略軸直角方向に突出
    する突出部を有する請求項1ないし請求項3のいずれか
    に記載の防振装置。
  5. 【請求項5】 前記補助弾性部材の少なくとも1つは、
    前記挿入部が前記主弾性体の軸方向の一端より挿入さ
    れ、かつ、前記補助弾性部材の他の少なくとも1つは、
    前記挿入部が前記主弾性体の軸方向の他端より挿入され
    た請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の防振装
    置。
  6. 【請求項6】 前記主弾性体は、軸直角断面において前
    記軸部材を中心とする周方向に中心角で90度以上とな
    るように延びかつ軸方向に貫通する空間として形成され
    前記軸部材を挟んで対向する1対のすぐりを有し、 それぞれの該すぐりは、前記補助弾性体の前記挿入部が
    挿入される2つの挿入空間を有し、 4つの該挿入空間は、軸直角断面において前記軸部材を
    中心とする略同一周内であって互いに中心角で略90度
    となるように位置し、 前記補助弾性部材は、それぞれ別体となる第1補助弾性
    部材および第2補助弾性部材の2つから構成され、 前記第1補助弾性部材は、互いに同じ材質となる2つの
    挿入部および該挿入部と一体的に形成され該挿入部を前
    記主弾性体の軸方向端部の外方で連結する連結部を有
    し、かつ、前記軸部材の端部または前記外筒の端部に固
    定され、 前記第2補助弾性部材は、前記第1補助弾性部材の挿入
    部とは異なる材質であって互いに同じ材質となる2つの
    挿入部および該挿入部と一体的に形成され該挿入部を前
    記主弾性体の軸方向端部の外方で連結する連結部を有
    し、かつ、前記軸部材の端部または前記外筒の端部に固
    定され、 前記第1補助弾性部材の2つの挿入部は、前記4つの挿
    入空間のうち前記軸部材を挟んで対向する2つの挿入空
    間にそれぞれ挿入され、かつ、前記第2の補助弾性部材
    の2つの挿入部は、前記4つの挿入空間のうち前記軸部
    材を挟んで対向する他の2つの挿入空間にそれぞれ挿入
    されている請求項1に記載の防振装置。
  7. 【請求項7】 前記第1補助弾性部材の挿入部は、前記
    主弾性体の軸方向の一端より挿入され、かつ、前記第2
    補助弾性部材の挿入部は、該主弾性体の軸方向の他端よ
    り挿入されている請求項6に記載の防振装置。
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