JP2007211972A - 液封入式防振装置 - Google Patents

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晋吾 畠山
Masaru Ogasawara
大 小笠原
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Abstract

【課題】防振特性を低下させることなく異音の発生を抑制できる液封入式防振装置を提供する。
【解決手段】第1取付け具1と、第2取付け具2と、防振基体3と、ダイヤフラム9と、仕切り体12と、オリフィス25を備える液封入式防振装置において、仕切り体12を、第2取付け具2の周壁部28の内側に設けられた環状のオリフィス形成部材16と、その内周面16Nに接着されて内周面の間を塞ぐゴム壁15と、該ゴム壁を軸芯方向Gで挟み込む一対の仕切り板17,18とで構成するとともに、オリフィス形成部材16の軸芯方向Gにおける一対の仕切り板17,18の変位量がゴム壁15によって規制されるようにした。第1液室11Aに面する仕切り板18は、第2液室11Bに面する仕切り板17よりも外形が小さい。
【選択図】図1

Description

本発明は、液封入式防振装置に関するものである。
従来、例えば下記特許文献1,2に記載されているように、第1取付け具と、筒状の第2取付け具と、前記第1取付け具と第2取付け具を連結するゴム状弾性材からなる防振基体と、前記第2取付け具に取付けられて前記防振基体との間に液体封入室を形成するゴム膜からなるダイヤフラムと、前記液体封入室を前記防振基体側の第1液室と前記ダイヤフラム側の第2液室に仕切る仕切り体と、前記第1液室と第2液室を連通させるオリフィスとを備え、前記ダイヤフラムの第1外周縁部が環状の取付け板の少なくとも内周縁部に加硫接着して、前記取付け板の第2外周縁部が前記第2取付け具の内周部に固定されている液封入式防振装置が知られている。これらの文献には、また、前記仕切り体を、前記オリフィスを形成する環状のオリフィス形成部材と、該オリフィス形成部材の内周部を塞ぐゴム壁とで構成することが開示されている。
下記特許文献3には、前記仕切り体を、弾性仕切り膜と、前記弾性仕切り膜を収容する環状のオリフィス形成部材と、前記弾性仕切り膜の変位量を膜面の両側から規制する第1格子部及び第2格子部とで構成することが開示されている。上記弾性仕切り膜を収容したオリフィス形成部材は、防振基体に形成された受止め段部と、金属製のリング円板状の挟持部材(仕切板ロアー金具と称されている)とに挟持固定されており、前記挟持部材はその外周縁部が第2取付け具の内周部にかしめ固定されている。この挟持固定状態で挟持部材は、ダイヤフラムの外周縁部側の金属製の取付け板に上方から重合し、取付け板が、第2取付け具のカップ状の底金具の上端側のフランジに上方から重合している。
この特許文献3記載の液封入式防振装置では、大振幅の低周波数振動が生じると、液体がオリフィスを通って第1液室と第2液室間を流通し、その液体流動効果によって振動を減衰させる。そして微振幅の高周波数振動が生じると、弾性仕切り膜が往復動変形することで、第1液室の液圧を吸収して振動を減衰させる。上記従来の構造によれば、弾性仕切り膜が第1格子部と第2格子部に衝突したときの衝撃が、いずれも金属材からなる挟持部材と前記取付け板を介して底金具に伝わり、底金具から車体側に伝わって車室内に異音を生じさせていた。
この問題を解消するために、第1格子部及び第2格子部に対する弾性仕切り膜のクリアランスを小さくする手段が考えられるが、この手段によれば、高周波数域での動ばね定数が大きくなり、所望の防振特性を得ることができなくなる。
このように、この種の液封入式防振装置では、微振幅の高周波数振動に対しては仕切り体に設けた往復動変形する部材が変位しやすいようにしつつ、大振幅の振動入力に対しては、前記往復動変形する部材の変位を極力規制してオリフィスによる液体流動効果を発揮させる必要がある。しかも、前記往復動変形する部材がその変位量を規制する部材に対して衝突する際の衝撃が車室内に伝わらないようにすることが求められる。しかしながら、従来、これらの要求を十分に満足するものは得られていなかった。
なお、下記特許文献4には、前記仕切り体本体の中央部の開口部にゴム壁を配設して、前記ゴム壁の膜面の両側にその弾性変形を規制する一対の変位規制部材を設けて、前記一対の変位規制部材をゴム壁の中央部を貫通する連結部を介して連結した構成が開示されている。しかしながら、同文献では、仕切り体本体の下面にダイヤフラムを重合させて両者の中央部の開口部に前記ゴム壁を取り付けており、そのため、上記一対の変位規制部材のうち下側の変位規制部材は、液室ではなく空気室に面して配されている。従って、この構造では、上側の第1液室の液圧変動によるゴム壁の振動を下側の第2液室に十分に及ぼすことができず、すなわち、第1液室の振動を空気室に逃がすだけとなっているため、高周波数振動時におけるバネ定数の低減効果に劣るという問題がある。
また、特許文献4の構造では、大振幅の振動入力時におけるゴム壁の変位を前記一対の変位規制部材で規制するものであり、前記変位規制部材が仕切り体本体の開口縁を超えて外側に延在している。そのため、大振幅の振動入力時に、変位規制部材がゴム壁の縁部を介して仕切り体本体に軸方向にて当接し、変位規制部材と仕切り体本体との間でゴムが圧縮されることで、バネ定数が急激に立ち上がってしまう。また、このとき、変位規制部材から仕切り体本体への入力が大きいことから、異音の要因にもなる。
一方、下記特許文献5には、仕切り体の中央部に、上下一対の板状部と両者を連結する連結体とからなる「解除装置組立体」が開示されている。しかしながら、前記解除装置組立体が設けられた仕切り体にはゴム壁が設けられていない。すなわち、前記解除装置組立体は、剛体からなる仕切り体の中央の開口部に摺動自在に設けられたものであり、ゴム壁の中央部に該ゴム壁を軸芯方向で挟み込む一対の仕切り板を設ける構成は何ら開示されていない。
更に、下記特許文献6には、自動車用エンジンマウントとして、空気バネを構成するゴムベロースを2山となし、その山と山との間に付加重量となる中間リングを保持し、かつ前記ゴムベロースの内部を中間リングの内向きフランジを挟持する一対の固定板で2室に仕切り構成した点が開示されている。しかしながら、上記一対の固定板で挟持するゴム部分はリング状部材の内周面の間を塞ぐゴム壁に相当するものではなく、従って、前記ゴム部分の往復動変形により高周波数振動を低減することができないものである。よって、この文献にも、ゴム壁の中央部に該ゴム壁を軸芯方向で挟み込む一対の仕切り板を設ける構成は何ら開示されていない。
特開2002−310224号公報 特開2001−027278号公報 特開2004−316895号公報 英国特許出願公開第2332498号 実開平03−062244号 特開昭57−26015号公報
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、防振特性を低下させることなく異音の発生を抑制できる液封入式防振装置を提供する点にある。
本発明に係る液封入式防振装置は、
第1取付け具と、筒状の第2取付け具と、前記第1取付け具と第2取付け具を連結するゴム状弾性材からなる防振基体と、前記第2取付け具に取付けられて前記防振基体との間に液体封入室を形成するゴム膜からなるダイヤフラムと、前記液体封入室を前記防振基体側の第1液室と前記ダイヤフラム側の第2液室に仕切る仕切り体と、前記第1液室と第2液室を連通させるオリフィスと、を備えたものにおいて、
前記仕切り体は、
前記第2取付け具の周壁部との間に前記オリフィスが形成される環状のオリフィス形成部材と、
前記オリフィス形成部材の内周面に外周部が接着されて前記内周面の間を塞ぐゴム壁と、
前記ゴム壁の径方向中央部を貫通する連結体を介して互いに連結し、前記ゴム壁を前記ゴム壁の軸芯方向で挟み込む一対の仕切り板とからなり、
前記一対の仕切り板は、一方の仕切り板が前記第1液室の室壁の一部を構成し、他方の仕切り板が前記第2液室の室壁の一部を構成して、前記オリフィス形成部材の軸芯方向における前記一対の仕切り板の変位量が前記ゴム壁によって規制されるように構成されているものである。
上記構成によれば、一対の仕切り板の変位量がオリフィス形成部材の内周面の間に設けられたゴム壁によって規制されるので、大振幅の振動入力に対して一対の仕切り体の変位量を制限しながら、高周波の振動を吸収するための所望の防振特性を得ることができる。すなわち、大振幅の振動が生じたとき、液体がオリフィスを通って第1液室と第2液室間を流通し、その液体流動効果によって振動を減衰させることができる。そして、微振幅の高周波数振動が生じると、一対の仕切り板が一体となって往復動することで、第1液室の液圧を吸収して振動を減衰させることができる。そのとき、一対の仕切り板が第1液室と第2液室にそれぞれ面していることから、第1液室の液圧変動を第2液室に対して十分に及ぼすことができ、第1液室と第2液室の両室での共振効果が得られるので、振動低減効果に優れる。
また、上記構成によれば、一対の仕切り板と、オリフィス形成部材等の硬質の他部材との間には、ゴム壁が介在しているから、大振幅時や高周波の振動を吸収する際に一対の仕切り板がゴム壁に衝突しても、その衝撃はゴム壁で吸収される。その結果、前記衝撃が第2取付け具や第1取付け具に伝わりにくくなる。
本発明において、各仕切り板の外周縁が、前記ゴム壁の外周縁及び前記オリフィス形成部材の内周面よりも径方向内方側で終端していると、大振幅の振動入力時に、バネ定数をゆるやかに立ち上げることができ、異音を抑制することができる。また、仕切り板が受ける力は、ゴム壁を介して実質的に剪断方向のみの力としてオリフィス形成部材に伝達するので、オリフィス形成部材への入力が小さい。
この場合に、前記第1液室に面する前記一方の仕切り板が、前記第2液室に面する前記他方の仕切り板よりも外形が小さく形成されていると、次の作用効果が奏される。すなわち、上記のように構成した場合、一対の仕切り板に対する変位規制効果は、第1液室の加圧変位時で小さく、負圧変位時で大きくなる。一方、仕切り板にかかる力は、一般に、第1液室の負圧変位時よりも加圧変位時の方が大きいので、加圧変位時の方が異音を生じやすい。そのため、異音が生じやすい加圧変位時には変位規制効果を小さくして異音の低減効果を高めることができ、逆に、負圧変位時には変位規制効果を大きくして防振特性(即ち、オリフィスの液体流動効果)を良くすることができる。
また、上記の場合に、前記ゴム壁につき、径方向外方側ほど肉厚が漸次厚くなるように形成されていると、一対の仕切り板の変位規制効果に優れる。
本発明において、各仕切り板は、径方向中央側の連結用の第1仕切り板部と、前記第1仕切り板部の径方向外方側に位置して、前記ゴム壁を挟み込む第2仕切り板部と、前記第2仕切り板部の径方向外方側に位置して、前記ゴム壁に対して隙間を空けて対向する第3仕切り板部とからなり、前記第3仕切り板部のゴム壁側を向く板面と、前記板面に対向する前記ゴム壁の壁面とが、それぞれ径方向外方側ほど前記ゴム壁の軸芯方向外方側に位置するテーパ面に形成されて、前記隙間が前記オリフィス形成部材の径方向外方側ほど広くなるように構成されていると、次の作用効果が奏される。すなわち、ゴム壁と第3仕切り板部との前記隙間によって防振特性をチューニングすることができ、また、該隙間を径方向外方側ほど広く構成することにより、ゴム壁の壁面で仕切り板の板面を柔らかく変位規制することができ、衝撃を生じにくくすることができる。
本発明において、前記ダイヤフラムの第1外周縁部が環状の取付け板の少なくとも内周縁部に加硫接着して、前記取付け板の第2外周縁部が前記第2取付け具の内周部に固定されており、前記取付け板の内周縁部に、前記オリフィス形成部材の軸芯方向内方側に立ち上がる筒状の立上がり壁が連設され、前記ダイヤフラムの第1外周縁部は、前記立上がり壁を覆う状態に前記取付け板の内周縁部に加硫接着され、前記立上がり壁が前記オリフィス形成部材の一端部に内嵌するとともに、前記立上がり壁の付け根側の取付け板部分と、前記防振基体に形成された受止め段部とで前記オリフィス形成部材が挟持固定されて、前記取付け板部分と前記オリフィス形成部材の一端部との間、及び、前記取付け板の立上がり壁の外周面と前記オリフィス形成部材の一端部の内周面との間に、前記ダイヤフラムの第1外周縁部のゴム部分が介在していると、次の作用効果が奏される。
すなわち、筒状の立上がり壁がオリフィス形成部材の一端部に内嵌するから、オリフィス形成部材をその径方向で位置決めすることができる。また、前記取付け板部分とオリフィス形成部材の一端部との間、及び、前記取付け板の立上がり壁の外周面と前記オリフィス形成部材の一端部の内周面との間に、ダイヤフラムの第1外周縁部のゴム部分が介在しているから、仮に、前記衝撃がオリフィス形成部材に伝わったとしても、この衝撃を前記ゴム部分で吸収できて、衝撃が取付け板及び第2取付け具を介して車体側に伝わるのを防止することができる。さらに、防振基体に形成された受止め段部と共にオリフィス形成部材を挟持固定するための金属製のリング円板状の挟持部材を省くことができ、部品点数を少なくできて構造を簡素化でき軽量化できる。
本発明によれば、防振特性を低下させることなく異音の発生を抑制できる液封入式防振装置を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係る液封入式防振装置100の縦断面図である。この防振装置100は、自動車のエンジンに取付けられる第1取付け金具1と、エンジンの下方の車体フレームに取付けられる筒状の第2取付け金具2と、これらを連結するゴム状弾性材からなる防振基体3と、ストッパ金具40と、ストッパ金具40を覆うゴムカバー41とを備えている。
第1取付け金具1は上向きの第1取付けボルト6Aを備えている。第2取付け金具2は、防振基体3が加硫成形される筒状金具4とカップ状の底金具5とからなり、底金具5の中央部に下向きの第2取付けボルト6Bが突設されている。防振基体3は円錐台形状に形成され、その上端面が第1取付け金具1に、下端部が、筒状金具4の上広がり状の上端開口部にそれぞれ加硫接着している。この防振基体3の下端部に、筒状金具4の内周面を覆うゴム膜状のシール壁部7が連なっている。
第2取付け金具2に、防振基体3の下面との間に液体封入室8を形成するゴム膜からなる部分球状のダイヤフラム9が取付けられ、液体封入室8に液体が封入されている。ダイヤフラム9は底金具5に覆われている。液体封入室8を防振基体3側の第1液室11Aとダイヤフラム9側の第2液室11Bに仕切る仕切り体12が設けられ、第1液室11Aと第2液室11Bを連通させるオリフィス25が設けられている。
仕切り体12は、第2取付け金具2の円筒状の周壁部28の内側に設けられた円環状のオリフィス形成部材16と、オリフィス形成部材16の内周面16Nに外周部15Gが加硫接着して前記内周面16Nの間を塞ぐゴム壁15と、ゴム壁15の径方向中央部15Tを貫通する連結体(後述の第1凸部48)を介して互いに連結し、ゴム壁15をゴム壁15の軸芯方向Gで挟み込む上下一対の仕切り板17,18とからなる。
オリフィス形成部材16は、第2取付け金具2の周壁部28との間、より詳細には該周壁部28の内周面を覆うシール壁部7との間に、前記オリフィス25を形成する部材であり、該周壁部28の内周に嵌着されている。これにより、オリフィス25はオリフィス形成部材16の周方向Pに沿うように形成されている(図6,図7参照)。オリフィス形成部材16には複数のリブ90が設けられている。
ゴム壁15は、円板状をなしており、その外周部15Gが、オリフィス形成部材16の円筒状の本体16Hの内周面16Nに加硫接着されている(図3参照)。
上記一対の仕切り板17,18は、一方の仕切り板18が第1液室11Aの室壁の一部を構成し(即ち、第1液室11Aに面して配されており)、他方の仕切り板17が第2液室11Bの室壁の一部を構成している(即ち、第2液室11Bに面して配されている)。そして、オリフィス形成部材16の軸芯方向G(ゴム壁15の軸芯方向Gと同一方向である)における一対の仕切り板17,18の変位量がゴム壁15によって規制されるように構成されている。
各仕切り板17,18の外周縁17G,18Gは、ゴム壁15の外周縁及びオリフィス形成部材16の内周面16Nよりも径方向内方側で終端している(図3参照)。すなわち、図2に示すように、この例では、ゴム壁15の外周縁とオリフィス形成部材16の内周面16Nとは両者の接合面としてオリフィス形成部材16の径方向Kにおける位置が一致しているため、仕切り板17,18の外径D1,D2が、前記接合面(即ち内周面16N)の直径D0よりも小さく設定されており、平面視において仕切り板17,18がゴム壁15よりも外形が小さく形成されている(図6参照)。また、この例では、第1液室11Aに面する仕切り板18が、第2液室11Bに面する仕切り板17よりも外形が小さく形成されている(仕切り板18の外径D1<仕切り板17の外径D2)。
図8に示すように各仕切り板17,18は、径方向中央側の連結用の第1仕切り板部51と、この第1仕切り板部51の径方向外方側に位置して、ゴム壁15を挟み込む第2仕切り板部52と、この第2仕切り板部52の径方向外方側に位置して、ゴム壁15に対して隙間S(図3参照)を空けて対向する第3仕切り板部53とからなる。そして、第3仕切り板部53のゴム壁15側を向く板面53Cと、この板面53Cに対向するゴム壁15の壁面15Cとが、それぞれ径方向外方側ほどゴム壁15の軸芯方向外方側に位置するテーパ面に形成されて、前記隙間Sがオリフィス形成部材16の径方向外方側ほどなだらかに広くなるように構成されている。なお、前記仕切り体12の縦断面において、前記テーパ面は、緩やかに曲がる曲線状に設定されている。また、ゴム壁15の軸芯Oと仕切り板17,18の軸芯Oとは一致している。
これにより、ゴム壁15は、径方向外方側ほど肉厚が漸次厚くなるように形成されている。詳細には、ゴム壁15には、その中央部15Tに、前記連結体を圧入させる取付け孔60が貫通形成されており、取付け孔60周りの表裏両側の壁面15K(図8参照)が、ゴム壁15の軸芯Oと直交するストレート面に形成されている。そして、この取付け孔周りの壁面15Kが上記テーパ面状の壁面15Cになだらかに接続されており、これにより、ゴム壁15は、中央部の取付け孔60周りから上記一対の仕切り板17,18の外周縁部17G,18Gを越える範囲まで、径方向外方側ほど肉厚が漸次厚くなるように形成されている。
前記連結体は、一方の仕切り板18の第1仕切り板部51に突設された円筒状の第1凸部48からなる。この第1凸部48は、ゴム壁15の取付け孔60に圧入され、第1凸部48の環状に形成された先端部48Aが、他方の仕切り板17の第1仕切り板部51に形成された嵌合部61に嵌合して固着されている。嵌合部61は、環状の第1溝61Aと、第1溝61Aの径方向内方側から突出する第2凸部61Bとからなり、前記取付け孔60に第1凸部48が圧入し、第1凸部48の先端部48Aの中空部71に第2凸部61Bが内嵌している。これにより、一対の仕切り板17,18同士が確実に連結されている。なお、一対の仕切り板17,18はそれぞれ樹脂材で形成され、前記第1凸部48と嵌合部61とは超音波溶着により固着している。
図6,図7に示すように、オリフィス25の周方向Pの端部45を形成するための縦壁42がオリフィス形成部材16に設けられ、オリフィス形成部材16に、オリフィス25と第1液室11Aを連通させる第1開口31と、オリフィス25と第2液室11Bを連通させる第2開口35とが形成されている。
図1,4に示すように、前記ダイヤフラム9の第1外周縁部14が円環状の取付け板13の内周縁部13Nに加硫接着して、取付け板13の第2外周縁部13Gが第2取付け金具2の内周部2Nに固定されている。詳しくは、取付け板13の第2外周縁部13Gと底金具5の上端部とを筒状金具4の下端部で包み込むようにこれら三者を一体にかしめ固定してある。
図5に示すように、前記取付け板13の内周縁部13Nに、オリフィス形成部材16の軸芯方向内方側G1に立ち上がる円筒状の立上がり壁29が連設され、ダイヤフラム9の第1外周縁部14は、立上がり壁29を覆う状態に取付け板13の内周縁部13Nに加硫接着している。そして、立上がり壁29がオリフィス形成部材16の一端部16Aに内嵌するとともに、立上がり壁29の付け根側の取付け板部分32と、防振基体3に形成された受止め段部33(図1参照)とでオリフィス形成部材16が挟持固定されて、取付け板部分32とオリフィス形成部材16の一端部16Aとの間、及び、前記立上がり壁29の外周面29Gとオリフィス形成部材16の一端部16Aの内周面16Nとの間に、ダイヤフラム9の第1外周縁部14のゴム部分34が介在している。
前記ダイヤフラム9の第1外周縁部14は、立上がり壁29と取付け板部分32とで形成される角部36の凸側の面36Nを覆う状態に取付け板13の内周縁部13Nに加硫接着している。角部36の凸側の面36Nは縦断面円弧状に形成され、振動の入力に伴って、ダイヤフラム9の第1外周縁部14側が縦断面円弧状の角部36の周りに上下揺動自在に構成されている。
以上よりなる本実施形態の液封入式防振装置100では、大振幅の低周波数振動が生じたとき、一対の仕切り板17,18の変位量がゴム壁15によって規制されるので、液体をオリフィス25を通って第1液室11Aと第2液室11B間で流通させることができ、その液体流動効果によって振動を減衰させることができる。その際、各仕切り板17,18の外形がゴム壁15よりも小さく、オリフィス形成部材16の内周面16Nとの間に、ゴム壁15のみで剛体のない領域が確保されているので、大振幅振動の入力により、仕切り板17,18が受ける力は、ゴム壁15を介して実質的に剪断方向のみの力としてオリフィス形成部材16に伝達するので、オリフィス形成部材16への入力が小さく、また、バネ定数をゆるやかに立ち上げることができる。しかも、仕切り板17,18よりも径方向外方側のゴム壁15部分で肉厚が大に設定されているので、仕切り板17,18の変位規制効果に優れる。
一方、微振幅の高周波数振動が生じたときには、一対の仕切り板17,18は、ゴム壁15によってその変位が規制されずに、両仕切り板17,18が一体となって往復動できることから、第1液室11Aの液圧を吸収して振動を減衰させることができる。そのとき、一対の仕切り板17,18が第1液室11Aと第2液室11Bにそれぞれ面していることから、第1液室11Aの液圧変動を第2液室11Bに対して十分に及ぼすことができ、第1液室11Aと第2液室11Bの両室での共振効果が得られるので、振動低減効果に優れる。
また、本実施形態によれば、一対の仕切り板17,18と、オリフィス形成部材16との間に、ゴム壁15が介在しているから、大振幅時や高周波の振動を吸収する際に一対の仕切り板17,18がゴム壁15に衝突しても、その衝撃がゴム壁15で吸収される。その結果、前記衝撃が第2取付け金具2や第1取付け金具1に伝わりにくくなる。しかも、オリフィス形成部材16自身も、弾性体であるシール壁部7や受止め段部33及びダイヤフラム9のゴム部分34を介して第2取付け金具2に固定されているので、仮に、前記衝撃がオリフィス形成部材16に伝わったとしても、この衝撃をこれらの弾性体部分で吸収できて、衝撃が車体側に伝わるのを防止することができる。
以上より、本実施形態であると、微振幅の高周波数振動に対しては仕切り板17,18が変位しやすいようにしつつ、大振幅の振動入力に対しては仕切り板17,18の変位を極力規制してオリフィス25による液体流動効果を発揮させることができ、しかも、仕切り板17,18がゴム壁15に衝突する際の衝撃を車室内に伝わらないようにすることができる。
また、本実施形態であると、第1液室11A側の仕切り板18が第2液室11B側の仕切り板17よりも小さく形成されているので、一対の仕切り板17,18は、下方(即ち、第2液室11B側)への変位に対して、上方(即ち、第1液室11A側)への変位がより制限される。一般に、大振幅の振動入力時において、一対の仕切り板17,18にかかる力は、該一対の仕切り板17,18が上方に変位しようとする第1液室11Aの負圧変位時よりも、下方に変位しようとする加圧変位時の方が大きく、よって、加圧変位時の方が異音を生じやすい。そのため、上記のように構成すれば、異音が生じやすい加圧変位時には、変位規制効果を小さくして異音の低減効果を高めることができる。逆に、加圧変位時よりも異音が生じにくい負圧変位時には、変位規制効果を大きくして、防振特性、即ちオリフィスの液体流動効果を高めることができる。よって、防振特性と異音対策との両立が図られる。
また、例えば、防振基体側の受止め段部と共にオリフィス形成部材を挟持固定する専用の挟持部材を設け、この挟持部材に第2液室側への開口を設けた構造では、前記周方向におけるオリフィスの長さを決める目的で、オリフィス形成部材を挟持部材に対して前記周方向で位置決めするといった手間のかかる作業が必要になる。これに対し、本実施形態のように、オリフィス25の周方向Pの端部45を形成するための縦壁42と、オリフィス25と第2液室11Bを連通させる第2開口35とをオリフィス形成部材16に設ければ、周方向Pにおけるオリフィス25の長さがオリフィス形成部材16だけで決まるので、上記の作業が不要になって作業性を向上させることができる。
また、ダイヤフラム9の第1外周縁部14を、取付け板13の縦断面円弧状の角部36の凸側の面36Nを覆う状態に加硫接着したので、ダイヤフラム9の第1外周縁部14側を振動の入力に伴って縦断面円弧状の前記角部36の周りに揺動させることができ、ダイヤフラム9の第1外周縁部14の一部分に力が集中する不具合を回避できて、ダイヤフラム9の耐久性を良くすることができる。
実施形態に係る液封入式防振装置の縦断面図 同上の防振装置の仕切り体及びダイヤフラムの縦断面図 同仕切り体の縦断面図 同ダイヤフラムの縦断面図 同上の仕切り体とダイヤフラムの連結構造の縦断面図 同仕切り体の平面図 図6のF視図 上記仕切り体の分解縦断面図
符号の説明
1…第1取付け具(第1取付け金具)
2…第2取付け具(第2取付け金具)、2N…内周部
3…防振基体
8…液体封入室
9…ダイヤフラム
11A…第1液室
11B…第2液室
12…仕切り体
13…取付け板、13N…内周縁部、13G…第2外周縁部
14…第1外周縁部
15…ゴム壁、15C…壁面、15G…外周部、15T…径方向中央部
16…オリフィス形成部材、16A…一端部、16N…内周面
17…仕切り板(他方の仕切り板)
18…仕切り板(一方の仕切り板)
25…オリフィス
28…周壁部
29…立上がり壁、29G…外周面
32…取付け板部分
33…受止め段部
34…ゴム部分
48…連結体(凸部(第1凸部))、48A…先端部
51…第1仕切り板部
52…第2仕切り板部
53…第3仕切り板部、53C…板面
100…液封入式防振装置
G…オリフィス形成部材の軸芯方向(ゴム壁の軸芯方向)
G1…オリフィス形成部材の軸芯方向内方側
K…オリフィス形成部材の径方向
S…隙間

Claims (6)

  1. 第1取付け具と、筒状の第2取付け具と、前記第1取付け具と第2取付け具を連結するゴム状弾性材からなる防振基体と、前記第2取付け具に取付けられて前記防振基体との間に液体封入室を形成するゴム膜からなるダイヤフラムと、前記液体封入室を前記防振基体側の第1液室と前記ダイヤフラム側の第2液室に仕切る仕切り体と、前記第1液室と第2液室を連通させるオリフィスと、を備えた液封入式防振装置において、
    前記仕切り体は、
    前記第2取付け具の周壁部との間に前記オリフィスが形成される環状のオリフィス形成部材と、
    前記オリフィス形成部材の内周面に外周部が接着されて前記内周面の間を塞ぐゴム壁と、
    前記ゴム壁の径方向中央部を貫通する連結体を介して互いに連結し、前記ゴム壁を前記ゴム壁の軸芯方向で挟み込む一対の仕切り板とからなり、
    前記一対の仕切り板は、一方の仕切り板が前記第1液室の室壁の一部を構成し、他方の仕切り板が前記第2液室の室壁の一部を構成して、前記オリフィス形成部材の軸芯方向における前記一対の仕切り板の変位量が前記ゴム壁によって規制されるように構成されている液封入式防振装置。
  2. 各仕切り板の外周縁が、前記ゴム壁の外周縁及び前記オリフィス形成部材の内周面よりも径方向内方側で終端している請求項1記載の液封入式防振装置。
  3. 前記第1液室に面する前記一方の仕切り板が、前記第2液室に面する前記他方の仕切り板よりも外形が小さく形成された請求項2記載の液封入式防振装置。
  4. 前記ゴム壁は、径方向外方側ほど肉厚が漸次厚くなるように形成された請求項2記載の液封入式防振装置。
  5. 各仕切り板は、径方向中央側の連結用の第1仕切り板部と、前記第1仕切り板部の径方向外方側に位置して、前記ゴム壁を挟み込む第2仕切り板部と、前記第2仕切り板部の径方向外方側に位置して、前記ゴム壁に対して隙間を空けて対向する第3仕切り板部とからなり、
    前記第3仕切り板部のゴム壁側を向く板面と、前記板面に対向する前記ゴム壁の壁面とが、それぞれ径方向外方側ほど前記ゴム壁の軸芯方向外方側に位置するテーパ面に形成されて、前記隙間が前記オリフィス形成部材の径方向外方側ほど広くなるように構成された請求項1記載の液封入式防振装置。
  6. 前記ダイヤフラムの第1外周縁部が環状の取付け板の少なくとも内周縁部に加硫接着して、前記取付け板の第2外周縁部が前記第2取付け具の内周部に固定されており、
    前記取付け板の内周縁部に、前記オリフィス形成部材の軸芯方向内方側に立ち上がる筒状の立上がり壁が連設され、
    前記ダイヤフラムの第1外周縁部は、前記立上がり壁を覆う状態に前記取付け板の内周縁部に加硫接着され、
    前記立上がり壁が前記オリフィス形成部材の一端部に内嵌するとともに、前記立上がり壁の付け根側の取付け板部分と、前記防振基体に形成された受止め段部とで前記オリフィス形成部材が挟持固定されて、前記取付け板部分と前記オリフィス形成部材の一端部との間、及び、前記取付け板の立上がり壁の外周面と前記オリフィス形成部材の一端部の内周面との間に、前記ダイヤフラムの第1外周縁部のゴム部分が介在している請求項1記載の液封入式防振装置。
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