JP2001271128A - NiAl金属間化合物板の製造方法 - Google Patents

NiAl金属間化合物板の製造方法

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JP2001271128A
JP2001271128A JP2000086430A JP2000086430A JP2001271128A JP 2001271128 A JP2001271128 A JP 2001271128A JP 2000086430 A JP2000086430 A JP 2000086430A JP 2000086430 A JP2000086430 A JP 2000086430A JP 2001271128 A JP2001271128 A JP 2001271128A
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Takayuki Takasugi
隆幸 高杉
Hiroshi Inoue
博史 井上
Masaaki Ishio
雅昭 石尾
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Hitachi Metals Ltd
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Sumitomo Special Metals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 工業的生産方法として実用性に優れたNiA
l金属間化合物板の製造方法を提供する。 【解決手段】 本発明のNiAl金属間化合物板の製造
方法は、金属間化合物の主相がNiAlとなるようにN
iからなるNi層とAlからなるAl層とが交互に積層
された積層体を圧延接合により作製する圧延接合工程
と、連続的あるいは間欠的に加圧しながらAlの融点未
満の温度に加熱保持し前記Ni層のNiと前記Al層の
Alとを反応させてAl3Ni2を生成させ、未反応のN
iからなる残存Ni層と前記Al3Ni2を主相とするA
3Ni2層とが積層された反応積層体を形成する第1固
相拡散熱処理と、前記反応積層体を加熱保持してNiA
lを主相とする金属間化合物板を形成する第2固相拡散
熱処理とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、機能性および構造
用材料として好適なNiAl金属間化合物板の製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】B2型金属間化合物であるNiAlは、
1638℃の高融点を有することから耐熱・耐酸化材料
として期待されている。また、熱伝導度、電気伝導度が
ともに高く、さらに形状記憶効果を始め防振効果および
磁気特性等を有することから、種々の機能性材料として
注目されている。
【0003】NiAl金属間化合物板の製造法として、
NiAl合金をアーク溶解または誘導溶解し、鋳造し、
その鋳塊を圧延する溶解圧延法の適用が試みられている
が、NiAl合金は延性に乏しいため、その製造方法は
未だ実験段階に止まっており、現在のところ工業的生産
可能な実用性のあるNiAl金属間化合物板は得られて
いない。
【0004】また、NiAl金属間化合物の製造方法と
して、Ni粉末とAl粉末との混合粉末を製品形状に近
似した形状に圧粉成形して固相拡散によって焼結する粉
末冶金法も試みられているが、生産性に劣り、そもそも
大面積の板材の製造には適さない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、溶解圧
延法も粉末冶金法も、NiAl金属間化合物板を工業的
に製造するには不適当であり、実用段階に至っていな
い。
【0006】なお、特開平7−54068号公報には、
Ni箔とTi箔とを交互に積層した積層体を圧下し、こ
の圧下積層材に固相拡散熱処理、液相拡散熱処理を施し
てNi−Ti金属間化合物板を製造する方法が記載され
ているが、前記公報には高融点のNiと低融点のAlと
を素材としてNiAl金属間化合物板を製造する点につ
いて記載、示唆されるところはない。
【0007】本発明はかかる問題に鑑みなされたもので
あり、工業的生産方法として実用性に優れたNiAl金
属間化合物板の製造方法を提供することを目的とする。
この目的は下記の発明によって達成される。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明のNiAl金属間
化合物板の製造方法は、請求項1に記載したように、金
属間化合物の主相がNiAlとなるようにNiからなる
Ni層とAlからなるAl層とが交互に積層された積層
体を圧延接合により作製する圧延接合工程と、連続的あ
るいは間欠的に加圧しながらAlの融点未満の温度に加
熱保持し前記Ni層のNiと前記Al層のAlとを反応
させてAl3Ni2を生成させ、未反応のNiからなる残
存Ni層と前記Al3Ni2を主相とするAl3Ni2層と
が積層された反応積層体を形成する第1固相拡散熱処理
と、前記反応積層体を加熱保持してNiAlを主相とす
る金属間化合物板を形成する第2固相拡散熱処理とを備
える。
【0009】この発明によると、圧延接合により積層体
を作製するので、通常の圧延設備により表面積の大きい
板状の積層材を容易に得ることができ、引いては第1固
相拡散熱処理、第2固相拡散熱処理を施すことで大面積
のNiAl金属間化合物板を容易に製造することができ
る。ところで、圧延接合工程において積層体の各層の接
合性を向上させるために拡散焼鈍を施した場合、Al層
のAlとNi層のNiとが反応すると Al3Niが生成
する。この際、カーケンドール効果による空隙(ボイ
ド)のほか、Ni、Alおよび Al3Niの各結晶構造
の相違に基づき、多量の空隙が発生し、著しい場合には
剥離が生じる。このため、単にAlの融点未満の温度で
固相拡散熱処理を行っても、空隙のために反応が抑制さ
れて未反応のAlが残存するようになる。残存Alがあ
ると、固相拡散熱処理の際に、残存Alが積層体から流
出して健全なNiAl金属間化合物が得られない。本発
明では、主相のAl3Ni2を生成させる第1固相拡散熱
処理の際に、連続的あるいは間欠的に加圧しながら前記
積層体をAlの融点未満の温度に加熱保持する。かかる
加圧を行うことによって、積層体中の空隙を減少させつ
つ、残存Ni層とAl3Ni2層とが積層された反応積層
体を容易に形成することができる。この反応積層体には
Alが実質的に含まれないので、第1固相拡散熱処理後
の第2固相拡散熱処理においてはAlの融点以上の高温
に加熱保持することができ、NiAl相を主相とするN
iAl金属間化合物板を容易かつ効率よく製造すること
ができる。
【0010】前記第2固相拡散熱処理として、請求項2
に記載したように、前記反応積層体を854℃未満の温
度に加熱保持してNiAlを主相とする金属間化合物板
を形成する熱処理とすることができる。この第2固相拡
散熱処理によると、加熱保持温度が854℃未満である
ため、万一反応積層体中にAl3Niが存在していて
も、そのAl3Niから液相が生成するおそれがない。
液相が生成すると金属間化合物の品質が劣化するが、こ
の第2固相拡散熱処理によれば、液相が生成するおそれ
がないため、健全なNiAl相を主相とする高品質の金
属間化合物板を製造することができる。
【0011】また、第2固相拡散熱処理として、請求項
3に記載したように、前記反応積層体を854℃未満の
温度に加熱保持して残存Ni層のNiをNi−Al系金
属間化合物に変化させる第1段熱処理と、前記第1段熱
処理に引き続いて854℃超1133℃未満の温度に加
熱保持してNiAlを主相とする金属間化合物板を形成
する第2段熱処理とを備えたものとすることができる。
この第2固相拡散熱処理によると、第1段熱処理によっ
て反応積層体中にAl 3Ni が残存するおそれがなくな
るので、第2段熱処理では高温で加熱保持することがで
きるようになる。このため、処理時間を短縮することが
でき、高品質のNiAl金属間化合物板を効率的に製造
することができ、生産性に優れる。
【0012】また、請求項4に記載したように、前記第
2固相拡散熱処理として、前記反応積層体を854℃超
1133℃未満の温度に加熱保持してNiAlを主相と
する金属間化合物板を形成する熱処理とすることができ
る。この熱処理は、高温で加熱保持するためにNiAl
相への反応時間が短くて済み、生産性に優れる。もちろ
ん、反応積層体中にAl3Ni が残存していると、液相
が生じるが、ごく微量であれば実用上問題はない。
【0013】また、請求項5に記載したように、前記積
層体を奇数層からなる積層構造とし、中心層に対してN
i層あるいはAl層を対称に配置された構造とすること
で、NiとAlとの熱膨張率差に起因した熱変形を防止
することができ、熱変形に起因した製造トラブルを防止
して生産性を向上させることができる。この場合、最外
層をNi層とすることで、すべてのAl層はNi層によ
って挟持された状態となるので、第1固相拡散熱処理の
際に全Al層のAlを無理なく反応させてAl 3Ni や
Al3Ni2を生成させることができ、未反応Alの残存
を防止することができる。また、万一、未反応のAlが
残存しても、高温熱処理の際にその流出を防止すること
ができ、所期のNiAl金属間化合物板の製造歩留まり
を向上させることができる。同様に第2固相拡散熱処理
の際に、万一、 Al3Niが残存しても、その流出を防
止することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の製造方法を実施するに
は、まず、圧延接合工程によりNiからなるNi層とA
lからなるAl層とが交互に積層された積層体を作製す
る。前記圧延接合工程は、Ni薄板とAl薄板とを適宜
の枚数を重ねて圧延接合して複数層の積層素材を得て、
さらにNi層とAl層とが交互に配置されるように前記
積層素材を適宜数重ね合わせて圧延接合するものであ
る。圧延接合は、冷間で行えばよく、1回の圧延当たり
の圧下率は20〜60%、好ましくは25〜50%程度
で行えばよい。圧延接合後は各層の接合強度を向上させ
るために、積層素材あるいはその接合材を大気中あるい
はアルゴンガス等の不活性ガス雰囲気中でAlの融点以
下の温度、例えば600℃程度で数分〜十数分程度の拡
散焼鈍を行うようにするのがよい。
【0015】前記積層体の各層の厚さは、層厚が薄すぎ
ると前記圧延接合時の拡散焼鈍あるいは後述する固相拡
散熱処理の際に燃焼反応が生じるようになるので、目標
平均層厚として2μm 以上、好ましくは5μm 以上にす
るのがよい。一方、厚すぎると後述する固相拡散熱処理
に長時間を要し、工業的生産性を損なうようになるの
で、目標平均層厚として50μm 以下、好ましくは30
μm 以下にするのがよい。なお、圧延接合工程の途中あ
るいは後に適宜冷間圧延を施すことによって、前記積層
体の各層の厚さを調整することができる。
【0016】前記積層体のNi層、Al層の各層数は任
意に設定することができるが、積層体の厚さ方向(積層
方向)において、NiAl単相組織が得られるようにN
i、Al組成を設定する必要がある。NiAl単相組織
が得られる平均組成としては、at%でNi:45〜58
%程度、好ましくは47〜53%程度(残部Al)であ
る。
【0017】もっとも、前記積層体の層数は、好ましく
は奇数とし、最外層にNi層が来るようにするのがよ
い。このように、中心層を中心として厚さ方向に対称に
Ni層、Al層を配置することで、後述の固相拡散熱処
理の際に熱膨張率差に起因した反り等の熱変形を防止す
ることができる。また、Al層は必ずNi層に挟持され
るので後述の第1固相拡散熱処理の際にNiと容易確実
に反応するようになり、未反応のAlの残存を防止する
ことができる。また、万一、未反応のAlが残存して
も、高温熱処理の際にその流出を防止することができ
る。
【0018】圧延接合工程により作製された積層体は、
次に第1固相拡散熱処理が施される。この第1固相拡散
熱処理は、Alの融点未満の温度、好ましくは630〜
500℃、より好ましくは620〜550℃程度の温度
で、40min 〜5hr程度保持して、前記積層体のNi
層のNiとAl層のAlとを反応させて、基本的にAl
が無くなるまでAl3Ni2を主相とするAlリッチなN
i−Al系金属間化合物を生成させる処理である。第1
固相拡散熱処理によって、残存NiからなるNi層と、
Al3Ni2相を主相とするAl3Ni2層とが積層した反
応積層体が得られる。
【0019】ところで、前記圧延接合工程において各層
接合強度向上のため前記拡散焼鈍を施した場合にAl層
のAlとNi層のNiとが反応すると Al3Niが生成
する。この際、カーケンドール効果による空隙(ボイ
ド)のほか、Ni、AlおよびAl3Niの各結晶構造
の相違に基づき、多量の空隙が発生し、著しい場合には
層の剥離をも招来する。このため、本発明では、第1固
相拡散熱処理の際に、積層体中の空隙を排除すべく、積
層体を連続的あるいは間欠的に加圧する。これによって
空隙が排除され、Al3Ni2の生成反応が促進される。
前記第1固相拡散熱処理の際の加圧方法としては、圧延
による圧下のほか、圧縮荷重を常時付加するようにして
もよい。圧延方法としては、熱処理の途中に積層体に圧
下率が数%ないし十数%程度の軽圧下の圧延を数回以
上、好ましくは数分ないし数十分間隔で付与すればよ
い。なお、圧下率(%)は(板厚減少量)/(初期板
厚)×100を意味する。一方、圧縮荷重の付加方法と
しては、積層体に10〜70MPa程度の圧縮応力を加
熱保持の間、常時付加するようにすればよい。もっと
も、圧延による圧下を行うと、前記空隙を効率よく減少
させることができ、反応を促進することができる。
【0020】次に、前記第1固相拡散熱処理によって得
られた反応積層体に対して、その組織をNiAl単相組
織にするために第2固相拡散熱処理を施す。この第2固
相拡散熱処理として、前記反応積層体を854℃未満、
好ましくは830℃以下の温度に加熱保持して前記残存
Ni層のNiと前記Al3Ni2層のAl3Ni2を主相と
する金属間化合物とを反応させてNiAlを主相とする
金属間化合物板を形成する熱処理(この第2固相拡散熱
処理を低温固相拡散熱処理と呼ぶ。)を採ることができ
る。
【0021】この熱処理の特徴は、図1のNi−Al二
元系状態図中に記したT1線から理解されるように、反
応積層体中に万一Al3Ni が残存していても、液相を
生じさせることなくNiAl単相組織の金属間化合物板
を得ることができる点にある。この熱処理によると、液
相が生じるおそれがないので、健全で高品質の金属間化
合物板を得ることができる。
【0022】前記低温固相拡散熱処理の加熱保持は、真
空中で行うよりも大気中あるいはアルゴンガス等の不活
性ガス雰囲気中で行うことが望ましい。というのは、真
空中で行うよりも大気中あるいはアルゴンガス等の不活
性ガス雰囲気中で行う方が空隙が減少するからである。
また、固相拡散による反応効率を考慮すると、700℃
以上、より好ましくは750℃以上に設定することが望
ましい。また、加熱保持時間は、120hr程度以上と
すればよい。
【0023】第2固相拡散熱処理として、前記低温固相
拡散熱処理を行うと、加熱保持温度が低いため、NiA
l単相組織を得るには長時間を要する。処理時間を短縮
するには、反応積層体を854℃未満の加熱保持する第
1段熱処理と、この第1段熱処理に引き続いて、図1の
T2線で示すように、854℃超1133℃未満、好ま
しくは900℃以上1100℃以下の温度に加熱保持す
る第2段熱処理とを備えた2段階固相拡散熱処理を施す
せばよい。第1段熱処理後の反応積層体は、Al3Ni
が残存するおそれがないため、第2段熱処理として85
4℃超の温度に加熱しても液相は生じない。もっとも、
1133℃を超えると、Al3Ni2相から液相が生じの
で1133℃未満に止めておく必要がある。前記第1段
熱処理の加熱温度は、低温固相拡散熱処理と同様、85
4℃未満、好ましくは830℃以下、700℃以上、よ
り好ましくは750℃以上とすればよいが、加熱保持時
間は20〜60hr程度でよい。また、第2段熱処理の
加熱保持時間も15〜50hr程度の短時間でよい。こ
の熱処理によって、高品質の金属間化合物板を効率よく
製造することができる。なお、加熱保持雰囲気は、低温
固相拡散熱処理と同様、大気中あるいは不活性ガス雰囲
気中で行うことが望ましい。
【0024】他の第2固相拡散熱処理として、反応積層
体に対して、854℃未満の温度で加熱保持することな
く、いきなり前記第2段熱処理と同じように854℃超
1133℃未満、好ましくは900℃以上1100℃以
下の温度に加熱保持し、その後冷却する熱処理を適用す
ることができる(この第2固相拡散熱処理を高温固相拡
散熱処理と呼ぶ。)。加熱保持時間は20〜70hr程
度でよい。加熱保持雰囲気は、前記低温固相拡散熱処
理、2段階固相拡散熱処理と同様、大気中あるいは不活
性ガス雰囲気下で行うことが望ましい。
【0025】この高温固相拡散熱処理を行うと、反応積
層体中に Al3Niが残存している場合、局部的に液相
が生じる可能性があるが、高温で加熱保持するためにN
iAl相への反応時間が短くて済み、生産性に優れる。
【0026】以下、実施例によって本発明をさらに説明
するが、本発明はかかる実施例によって限定的に解釈さ
れるものではない。
【0027】
【実施例】〔実施例1〕 (1) 圧延接合工程 純Ni板と純Al板の表面を金属ブラシを用いて粗く削
った後、削った面どうしを重ね合わせて圧下率35%に
て冷間圧延を行い、その後、Ni層とAl層とが圧接さ
れた複合材を大気中で600℃、15分間の拡散焼鈍を
行い、両層が密着した2層素材を得た。この2層素材を
Ni層とAl層とが交互に重なるように3枚重ね合わせ
て圧延接合し、拡散焼鈍することで6層素材を得た。同
様にしてNi層とAl層とが交互に積層された3層素材
を得て、前記2層素材2枚と3層素材とから7層素材を
得た。さらにこれらの素材からNi層とAl層とが交互
に積層された18層素材、19層素材を得て、これらを
組み合わせて最終的にNi層とAl層とが交互に重ね合
わされ、両最外層にNi層が配置された55層からなる
積層体を作製した。その際、積層体の平均組成がNi−
50at%Alとなるように板厚をNi板:0.17mm、
Al板:0.25mmとした。前記55層の積層体の板厚
は0.93mmであり、Ni層、Al層の目標平均厚さ
は、それぞれ14μm 、20μm とした。なお、この積
層体を作製する過程においても反応相(Al3Ni) が
層状に生成し、多量のボイドが観察された。
【0028】(2) 第1固相拡散熱処理 前記55層の積層体に対して、600℃で合計約2.5
hr加熱保持した。この際、図2に示すように、圧下率
10〜3%の熱間圧延を30分間隔で5回行った。各圧
延に要した時間は数秒であった。この熱処理によって得
られた反応積層体の断面組織を光学顕微鏡により観察し
た。その結果を図4に示す。図4より、ボイド(図4中
の黒点部)が少量認められるが、積層体の場合に比して
著しく減少していた。EPMAによる分析から図4中の
白色部はNiであり、灰色部はほぼAl3Ni2であるこ
とが確認された。また、Alは完全に反応しており、組
織中に認められなかった。
【0029】(3) 第2固相拡散熱処理(2段階固相拡散
熱処理) 第1段熱処理 前記反応積層体を大気中にて800℃で50hr保持後
冷却した。この熱処理によって得られた反応積層体の断
面組織を光学顕微鏡により観察した。その結果を図5に
示す。図5より、少量のボイド、Niが観察され、また
EPMA分析により組織中には Al3Ni2、Ni3
l、NiAlからなる反応相が観察された。
【0030】第2段熱処理 第1段熱処理に引き続いて、図3に示すように、反応積
層体を大気中で1000℃にて20hr保持し、その後
800℃まで炉冷し、800℃から空冷した。この熱処
理によって得られた金属間化合物板のミクロ的断面組織
を光学顕微鏡により観察した。その結果を図6に示す。
図6より、組織中に微量のボイドが観察されるものの、
EPMA分析の結果、Ni相は完全に消失し反応相はN
iAlだけとなることが判った。しかし、ボイドの周辺
に組成の異なる部分がわずかに見られた。
【0031】〔実施例2〕前記実施例1と同様にして、
55層の積層体を作製し、この積層体に第1固相拡散熱
処理を施して反応積層体を作製し、その後、反応積層体
を大気中で、1000℃にて30hr保持後、空冷し
た。得られた金属間化合物板を光学顕微鏡観察、EPM
A分析を行ったところ、微量のボイドを含むほぼNiA
l単相組織が得られた。
【0032】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、通常の圧延
設備を用いて、実用性に優れたNiAl金属間化合物板
を容易かつ効率的に製造することができ、工業的製造方
法として優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】Ni−Al二元系状態図である。
【図2】実施例1の第1固相拡散熱処理における積層体
の加圧状態を示す温度−時間線図である。
【図3】実施例1の第2固相拡散熱処理(2段階固相拡
散熱処理)を示す温度−時間線図である。
【図4】実施例1の第1固相拡散熱処理後の反応積層体
の断面組織を示す図面代用光学顕微鏡写真である。
【図5】実施例1の第2固相拡散熱処理の第1段熱処理
後の反応積層体の断面組織を示す図面代用光学顕微鏡写
真である。
【図6】実施例1の第2固相拡散熱処理の第2段熱処理
後の金属間化合物板の断面組織を示す図面代用光学顕微
鏡写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22F 1/00 682 C22F 1/00 682 683 683 684 684C 685 685Z 686 686B C22K 1:00 C22K 1:00

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属間化合物の主相がNiAlとなるよ
    うにNiからなるNi層とAlからなるAl層とが交互
    に積層された積層体を圧延接合により作製する圧延接合
    工程と、 連続的あるいは間欠的に加圧しながらAlの融点未満の
    温度に加熱保持し前記Ni層のNiと前記Al層のAl
    とを反応させてAl3Ni2を生成させ、未反応のNiか
    らなる残存Ni層と前記Al3Ni2を主相とするAl3
    Ni2層とが積層された反応積層体を形成する第1固相
    拡散熱処理と、 前記反応積層体を加熱保持してNiAlを主相とする金
    属間化合物板を形成する第2固相拡散熱処理とを備えた
    NiAl金属間化合物板の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記第2固相拡散熱処理は、前記反応積
    層体を854℃未満の温度に加熱保持してNiAlを主
    相とする金属間化合物板を形成する請求項1に記載した
    NiAl金属間化合物板の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記第2固相拡散熱処理は、前記反応積
    層体を854℃未満の温度に加熱保持して残存Ni層の
    NiをNi−Al系金属間化合物に変化させる第1段熱
    処理と、前記第1段熱処理に引き続いて854℃超11
    33℃未満の温度に加熱保持してNiAlを主相とする
    金属間化合物板を形成する第2段熱処理とを備えた請求
    項1に記載したNiAl金属間化合物板の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記第2固相拡散熱処理は、前記反応積
    層体を854℃超1133℃未満の温度に加熱保持して
    NiAlを主相とする金属間化合物板を形成する請求項
    1に記載したNiAl金属間化合物板の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記積層体は、奇数層からなり、中心層
    に対してNi層あるいはAl層が対称に配置された請求
    項1〜4のいずれか1項に記載したNiAl金属間化合
    物板の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN103057203A (zh) * 2013-01-24 2013-04-24 哈尔滨工业大学 一种层状NiAl材料及其制备方法
JP2018152499A (ja) * 2017-03-14 2018-09-27 三菱マテリアル株式会社 熱電変換モジュール及びその製造方法

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