JP5687458B2 - 金属材料の接合方法 - Google Patents

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本発明は、金属材料の接合方法に関する。より詳しくは、温度と圧力を加えて焼結を行う焼結装置を用いて金属材料を拡散接合・焼結させる方法に関する。
焼結装置により金属材料を拡散接合・焼結する場合、接合強度及び接合の信頼性を高めるために、金属材料の雰囲気温度や加圧力を高め、真空度もできるだけ高真空度で、しかも加圧時間を長く設定するのが通常である。
しかしながら、こうした方法では、加熱のための電力を多く消費する、加熱に時間がかかる、真空引きに時間がかかる、また、焼結時間も長くなる、型寿命が短くなるといった欠点がある。
そこで、できる限り金属材料(金属部材や金属粉等)の表面を清浄にし、表面が接合しやすい状態にすることで、なるべく低温であるいは低加圧力で、あるいは短時間で、拡散接合・焼結するのが理想とされている。
例えば、非特許文献1には、拡散接合の施工の要点に関して、「拡散接合においては、通常、厳格な接合面の清浄度と平滑度が要求され、表面が清浄なほど、また平滑なほど接合性が良好であり、低温、低圧力で接合できる。表面処理法としては、被接合面を機械研磨、ペーパ仕上げなどで数μm程度の粗度に仕上げ、次いで酸洗い、アセトンなどで脱脂洗浄するのが一般的である。表面処理を接合作業直前に実施するのが望ましく、処理後の時間が長いと接合面が汚染され接合性の低下を招く。一度処理した表面は再汚染を避けるため、高真空、不活性ガス雰囲気で保たれるのが普通である。」との記載がある。
また、非特許文献2には、表面改質により、積極的に表面を清浄化する技術として、例えば、「固相接合では、接合部材表面の清浄度が継手性能に大きく影響する。この表面清浄化の手段にArガス中でのグロー放電を利用したスパッタリングやArイオンビームスパッタリングが有効である。」との記載がある。
このように、拡散接合をうまく行なうには、金属部材表面の清浄度を高めることが、最も重要であるが、こうした手法の欠点は、接合・焼結の前工程が増える、手間が掛かる、そのためのコストが増す、といった点にある。
一方、拡散接合の温度条件について、非特許文献3には、「一般に接合温度は、被接合物の再結晶温度、すなわち0.4〜0.6TK(T:融点)、あるいはそれ以上とされる。」との記載がある。
これからいくと、例えば工業用純アルミニウム板の場合の拡散接合温度は、アルミニウムのT(融点)=933K(660℃)を元に計算すると、373(933×0.4)〜560(933×0.6)K、あるいはそれ以上となる。摂氏温度で述べると、100〜287℃、あるいはそれ以上となる。
同じ計算を純銅板で計算すると、銅のT(融点)は1356K(1083℃)であるので、拡散接合温度は、摂氏温度でいくと、269〜541℃、あるいはそれ以上となる。
ただ、この非特許文献3に示された拡散接合温度は、接合時間がいくら長くてもよいという前提の基に学術的に提出されたもので、一般的な商業ベースの操業条件から見ると接合温度としては非常に低い。ちなみに、工業用純アルミニウムの場合は、通常620±20℃程度での操業が多い。これは、同じ非特許文献3の図13・6に見られる実際の接合温度が893K(620℃)を見てもわかる。ただ、この温度でも、接合時間は1.8ks(30分)と長い。
銅の場合も、通常の操業条件は、750±50℃程度である。しかも、接合時間は30分以上とるのが通常である。
拡散接合温度は、接合の信頼性を高めたい、接合に要する時間を短くしたいといった観点から、高い方が望ましい。また、接合時間も長い方が、固相拡散が十分に行われるため、一般的には望ましい。
しかしながら、接合エネルギーや接合のサイクルタイムを考えると、工業的には、接合温度は低い方が望ましいし、接合時間は短い方が安上がりな工程となる。
また、接合雰囲気に関して、非特許文献3には、「接合雰囲気としては、真空(10−2〜10−4Pa)が最も多く用いられ、またアルゴンや水素雰囲気も試みられている。」との記載がある。
さらに、特許文献1にも、拡散接合時の真空度に関する記載がある。この中では、真空度100Paでの例が見られる。この100Paは、拡散接合時の真空度としては、最も低真空度での実施例と思われる。
以上、拡散接合時の真空度に関して述べたが、工業的には、真空引きに要する時間や真空装置のコスト等を考慮し、ほぼ1Pa程度、あるいはそれ以下の真空度での接合が多いと考えられる。
社団法人溶接学会編、「溶接・接合便覧」、丸善株式会社、平成7年4月5日第2刷、p.1157 社団法人溶接学会編、「溶接・接合便覧」、丸善株式会社、平成7年4月5日第2刷、p.825 社団法人溶接学会編、「溶接・接合便覧」、丸善株式会社、平成7年4月5日第2刷、p.467−468
特願2009−165615
以上に述べたような前処理工程は、接合・焼結の前処理のための付加装置が必要となることや、その工程のために余分なコストがかかるといった欠点がある。
あるいは、真空度も低真空度の方がコストがかからないし、加熱温度も低い方がエネルギーが少なくて済む。
本発明は、このような従来の前処理工程が有していた問題を解決しようとするものであり、前処理工程を不要としたうえで、しかも、低温度、低真空度での接合・焼結を実現しようとするものである。
請求項1に係る発明の金属材料の接合方法は、焼結装置を用いた金属材料の接合方法において、前記焼結装置の焼結型内を所定の温度まで昇温させて、前記焼結型内の炭素と酸素の反応により生じた一酸化炭素の還元力で前記金属材料の表面の酸化膜を取り除いた後、前記金属材料を加圧して拡散接合・焼結させる方法であって、前記金属材料の接合部に突起を設け、前記接合部に隙間を形成した状態で前記焼結型内を所定の温度まで昇温させた後、前記金属材料を加圧して前記突起を押し潰しながら拡散接合・焼結させることを特徴とする。
請求項2に係る発明の金属材料の接合方法は、焼結装置を用いた金属材料の接合方法において、前記焼結装置の焼結型内を所定の温度まで昇温させて、前記焼結型内の炭素と酸素の反応により生じた一酸化炭素の還元力で前記金属材料の表面の酸化膜を取り除いた後、前記金属材料を加圧して拡散接合・焼結させる方法であって、前記焼結型の型材の一部に空洞を設けたことを特徴とする。
請求項3に係る発明の金属材料の接合方法は、焼結装置を用いた金属材料の接合方法において、前記焼結装置の焼結型内を所定の温度まで昇温させて、前記焼結型内の炭素と酸素の反応により生じた一酸化炭素の還元力で前記金属材料の表面の酸化膜を取り除いた後、前記金属材料を加圧して拡散接合・焼結させる方法であって、前記金属材料の接合部に粉末を塗布し、前記粉末により前記接合部に隙間を形成した状態で前記焼結型内を所定の温度まで昇温させた後、前記金属材料を加圧して拡散接合・焼結させることを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の金属材料の接合方法において、前記金属材料がアルミニウムであって、接合部に少なくともアルミニウム粉末を含む粉末を塗布することを特徴とする。
本発明によれば、まず焼結型内を所定の温度まで昇温させて、焼結型内の炭素と酸素の反応により生じた一酸化炭素の還元力で金属材料の表面の酸化膜を取り除くことで、金属材料表面の清浄度を高めることができる。そして清浄度を高めた状態で金属材料を加圧して拡散接合・焼結させることで、接合強度を高めることができる。従って、金属材料表面の清浄度を高めるための前処理工程が不要であり、また、低温度、低真空度での接合・焼結を実現することができる。
本発明によれば、金属材料の接合部に突起を設け、接合部に隙間を形成した状態で焼結型内を所定の温度まで昇温させることで、接合部の隙間の残存空気中の酸素を焼結型内の炭素と反応させることができる。従って、金属材料表面の清浄度を効果的に高めることができる。また、金属材料の突起は加圧により押し潰されるので、拡散接合の妨げにはならない。
本発明によれば、金属材料がアルミニウムである場合に、接合部に少なくともアルミニウム粉末を含む粉末を塗布することで、より接合強度を高めることができる。
本発明によれば、焼結型の型材の一部に空洞を設けることで、空洞部分の残存空気中の酸素を焼結型内の炭素と反応させて、金属材料表面の清浄度を高めることができる。
以上のように、本発明によれば、特別の前処理工程が不要で、且つ、強力な真空装置を必要としない、また電力エネルギーが少なくなるという効果を発揮することができる。
通常の通電焼結装置の主要部を示す縦断面図である。 多軸通電焼結装置の主要部を示す斜視図である。 本発明の実施形態に係る金属材料の接合方法における通電焼結装置内部を示す縦断面図である。 通電焼結装置内部を示す横断面図である。 複数組の金属材料を配置した状態の通電焼結装置内部を示す横断面図である。 従来例に係る金属材料の接合方法における通電焼結装置内部を示す縦断面図である。 実施例1におけるテストピースを示す図である。 実施例1における型内の接合温度(拡散接合温度)と引張強さ(破断荷重)の関係を示す図である。 実施例2におけるテストピースを示す図である。 実施例2における焼結炉内の真空度と引張強さ(剥離強度)の関係を示す図である。 突起形状の一例を示す図である。 突起形状の一例を示す図である。 突起形状の一例を示す図である。 突起形状の一例を示す図である。 通常の通電焼結装置の昇温曲線と加圧曲線(銅)を示す図である。 多軸通電焼結装置の昇温曲線と加圧曲線(銅)を示す図である。 実施例3におけるテストピースを示す図である。 実施例3における引張強さを示す図である。 多軸通電焼結装置の昇温曲線と加圧曲線(アルミ)を示す図である。 アルミ板接合部の金属組織(Al−12vol%Siを塗布した場合)を示す図である。
以下、図1〜図20を参照して、本発明の実施形態に係る金属材料の接合方法について説明する。
まず、金属材料を拡散接合するために用いる通電焼結装置のうち、通常用いられる通電焼結装置について説明する。図1は、通常の通電焼結装置を示したものである。図1に示す通常の通電焼結装置は、上プラテン1A、下プラテン1B、タイバー2A,2B、上パンチ3A、下パンチ3B、上型5A、下型5B、外型・外周型6から構成されている。そして、上下軸に通電し、型5A,5B,6と、接合したい金属材料(被焼結体・被接合体7)とを加熱しながら、上下軸で加圧も同時に行い(加圧力4A,4B)、拡散接合・焼結を行なうものである。なお図1では、真空容器の記載を省略している。
この通常の通電焼結装置の加熱・加圧曲腺は図15に示すようなものが標準的である。つまり、加圧は、昇温を開始すると同時にほぼ一定の圧力まで上昇させ、その後はほぼ一定の圧力を保持するものである。
この理由は、図1に示したように、上下のパンチ3A,3Bが通電軸も兼ねているためで、昇温のために通電電流を一定に維持しようとすれば、常に被焼結体・被接合体7を押さえておかなければならないことに起因している。
次に、本実施形態に係る金属材料の接合方法に用いるものとして好適な通電焼結装置である、多軸通電焼結装置について説明する。図2は、複数の軸を持つ多軸通電焼結装置を示したものである。これは、例えば特許第4226674号公報に記載されたもので、上パンチ3A、下パンチ3B、上型5A、下型5B、外型・外周型6、及び4つの通電軸10A,10B,12A,12Bから構成されている。そして、前後と左右方向の通電軸10A,10B,12A,12Bで通電し(電流11A,11B,13A,13B)、型と接合したい金属材料とを加熱しながら、上下軸で加圧を行い、拡散接合・焼結を行なうものである。なお図2では、真空容器の記載を省略している。
この多軸通電焼結装置では、上下のパンチ3A,3Bと通電軸10A,10B,12A,12Bとが分離されているため、加圧と通電は独立して制御できる特徴がある。そのため、図16に示すような先加熱・後加圧曲線を選ぶことが可能である。
次に、本実施形態に係る金属材料の接合方法について詳細に説明する。図3は、本実施形態に係る金属材料の接合方法における通電焼結装置内部を示す縦断面図であり、図4は、横断面図である。
図3及び図4において、外型・外周型6の内側には、上黒鉛型5A、下黒鉛型5B、右サイド黒鉛型8A、左サイド黒鉛型8B、前サイド黒鉛型9A、後サイド黒鉛型9Bがセットされており、これらの黒鉛型に囲まれた空間に被焼結体・被接合体である金属板7A,7Bが配置されている。
上側の金属板7Aには、複数(4箇所)の突起14が設けられている。一方、下側の金属板7Bには、突起が設けられていない。そして、金属板7Aに設けられた突起が金属板7Bと接するように、金属板7A,7Bを重ね合わせて接合部としてある。この金属板7A,7Bの接合部においては、突起14の存在によって隙間15が形成されている。なお、突起は隙間15が形成されるものであれば、下側の金属板7Bに設けてもよいし、上側と下側の両方の金属板に設けてもよい。
また、突起14の形状としては、図11に示すポンチ成形の突起20A、図12に示す曲げ成形の突起20B、図13に示す押出し成形の突起20C、図14に示すノッチ状の突起20Dなど、様々な形状とすることができる。
また、黒鉛型内に配置する被焼結体・被接合体である金属板は、1組でなくともよく、例えば図5に示すように、複数組(図5では3組)を配置して、多数組を同時に接合するようにしてもよい。その場合、各組の間には仕切り用黒鉛型16を配置する。
なお、図6は、従来例に係る金属材料の接合方法における通電焼結装置内部を示す縦断面図であり、図3に示したような隙間15を設けないで、金属板同士を重ね合わせた状態で、型内にセットした状態を示す。通常用いられる金属板の拡散接合・焼結には、このセッティング方法が使われている。
上記図3及び図4の状態で、先ず簡単に真空引きし、その後、多軸通電焼結装置の通電軸10A,10B及び12A,12Bに交互に電流を流し、型と金属板7A,7Bを加熱する。そして所望の温度に上昇すれば、加圧軸(上下のパンチ3A,3B)を作動させて金属板7A,7B同士を圧着し、拡散接合・焼結する。
本実施形態に係る金属材料の接合方法は、通電焼結工程で用いられる黒鉛型内の炭素と焼結型内に残る空気中の酸素との化学反応を利用し、その結果生じた活性な発生期のCO(一酸化炭素)ガスにより、被接合・被焼結材の金属板の表面の酸化膜を還元し、拡散接合・焼結温度を低下させるものである。
そのため、焼結型内の真空度をそれほど高真空にすることなく、ある程度のレベルに留め、その状態で接合・焼結を行うことができる。
また、金属板の接合したい部分の近傍に隙間を設けることで、その部分に積極的に空気を残存させることができる。
さらには、その接合効果の向上により、低温での拡散接合・焼結を可能とするものである。
図7は、実施例1におけるテストピースを示す図である。実施例1におけるテストピースは、幅20mm、厚さ0.8mmの銅板2枚を、接合部が10mmとなるように重ね合わせたものである。このテストピースを2組用意し、一方のテストピース(a)には接合部に隙間0.3mmが生じるように突起を設け、他方のテストピース(b)は接合部に隙間が生じないように密着させた。
実施例1においては、真空度を100Pa、金属板の加圧力を50MPaとし、テストピース(a),(b)のそれぞれについて、拡散接合・焼結温度(ピーク時の温度)を変えながら測定した。また昇温曲線と加圧曲線は図16に示すようなカーブを描くように、所定の拡散接合・焼結温度まで昇温させた後に、金属板を加圧するようにした。なお、拡散結合・焼結温度(ピーク時の温度)は図16に示す温度とは異なる。
図8は、実施例1における型内の接合温度(拡散接合温度)と引張強さ(破断荷重)の関係を示す図である。図8に示すように、通常は金属板の表面が酸化されると考えられる真空度(100Pa)でも、十分な引張強さが得られている。しかも、600℃という低温でも十分に接合している。一般的に銅板の拡散接合・焼結は750℃程度が使用されるが、むしろそれよりも低温度の600℃の方がより引張強度が高くなっている。
また図8は、銅板と銅板の間に隙間を設けた方(突起あり)が、隙間を設けない方(突起なし)よりも、引張強さが向上することも示している。この理由としては、次のような反応が起こっているのではないかと考えている。
+2C→2CO
CO+CuO→Cu+CO
つまり、型内の温度が上昇するに連れて黒鉛型(C)と残存空気中の酸素(O)とが反応し一酸化炭素(CO)を生成し、その発生期の一酸化炭素が銅(Cu)板表面の酸化銅(CuO)を還元するといった一連の反応が生じるためと推測している。
従って、銅板同士の間に残存空気がある方(突起あり)が、銅板同士の間に残存空気がない方(突起なし)に比べて、強度が高くなっているのである。
図9は、実施例2におけるテストピースを示す図である。実施例2におけるテストピースは、幅10mm、厚さ0.8mmの銅板2枚を、接合部が12mmとなるように重ね合わせたものである。このテストピース(a)には接合部に隙間0.3mmが生じるように突起を設けた。
実施例2においては、金属板の加圧力を50MPaとし、拡散接合・焼結温度(ピーク時の温度)400℃,500℃,550℃,600℃のそれぞれについて、焼結型内の真空度を変えながら測定した。また昇温曲線と加圧曲線は図16に示すようなカーブを描くように、所定の拡散接合・焼結温度まで昇温させた後に、金属板を加圧するようにした。なお、拡散結合・焼結温度(ピーク時の温度)は図16に示す温度とは異なる。
図10は、実施例2における焼結型内の真空度と引張強さ(剥離強度)の関係を示す図である。この図10は、真空度をあまりよくしない方がむしろ接合強度が高いことを示している。つまり、このデータでは、真空度10Pa前後が最も高強度となっている。
また図10によれば、真空度が100Paよりも悪くなると、引張強度も悪くなる。これは、雰囲気の酸素が過剰となり、むしろ銅板の表面の酸化が進むために銅の拡散が妨げられ、強度低下が起こったものと考えられる。
以上、実施例1及び実施例2によれば、拡散接合させたい銅板の接合部近傍に隙間を設け、その部分に適量の残存空気を配置することで、拡散接合・焼結が効率的に行なえることがわかった。
次に、アルミ材料の接合については、どうなるのか試験を行った。一般的には、アルミ板の拡散接合・焼結は、銅などよりも非常に難しいとされている。
図17は、実施例3におけるテストピースを示す図である。実施例3におけるテストピースは、幅10mm、厚さ0.8mmのアルミ板2枚を、接合部が5mmとなるように重ね合わせたものである。このテストピースを3組用意し、1組目のテストピース(a)は、接合部に隙間0.3mmが生じるように突起を設け、さらに接合部にアルミ粉末(粒径5μm程度)とシリコン粉末(粒径30μm以下)とを塗布した。塗布厚みは約70μmである。また2組目のテストピース(b)には、接合部に突起を設けずに、アルミ粉末(粒径5μm程度)とシリコン粉末(粒径30μm以下)とを塗布した。さらに3組目のテストピース(c)は接合部を直当てとした。
実施例3においては、真空度を100Pa、金属板の加圧力を20MPa、拡散接合・焼結温度(ピーク時の温度)を470℃とし、テストピース(a),(b),(c)のそれぞれについて、アルミ粉末に対するシリコン粉末の量(vol%)を変えながら測定した。また昇温曲線と加圧曲線は図19に示すようなカーブを描くように、所定の拡散接合・焼結温度まで昇温させた後に、金属板を加圧するようにした。
得られた引張強度データを図18に示す。この図18の結果から、図17に示したテストピースのうち、1組目(a)の接合部に隙間0.3mmが生じるように突起を設け、さらに接合部にアルミ粉末(粒径5μm程度)とシリコン粉末(粒径30μm以下)とを塗布した場合が、最も引張強度が高いことがわかる。
次いで、2組目(b)の突起は設けていないが、接合部にアルミ粉末(粒径5μm程度)とシリコン粉末(粒径30μm以下)介在させてアルミ板を接合した場合の引張強度が高い。最も引張強度が低かったのは、3組目(C)の板と板を直接重ねた場合で、ほとんど接合できていなかった。
このようにアルミ粉末あるいはアルミ粉末とシリコン粉末両方の塗布でも、何も塗布しないものよりも引っ張り強度が出ている。これは、粉末塗布により、必然的にできた隙間部分で、アルミ表面の酸化膜を除去する一酸化炭素(CO)が生成したためと考えられる。
また、塗布したAlとSiの粉末は、合金粉末ではなくて、それぞれ別の純Al粉末と純Si粉末とを混合して使用している。また、接合後の金属組織(図20)を見た限りでは、Al粉末とSi粉末との間で共晶成分の生成は見られない。従って、アルミ板とアルミ粉末、Si粉末は純粋な拡散接合・焼結によって付着していると考えられる。
このことから、Si粉末は、バインダー的な役割を果たすものではなく、単にそこに存在していたから、そのままの形で接合部に挟み込まれているものと思われる。
従って、Si粉末に代えて、例えば、ダイヤモンド粒子とか、グラファイト粉末とか、SiC粒子のようなものであっても同じ結果がえられるものと推測する。もし絶縁基板など熱膨張率の異なる部材を一体的に接合する場合など、接合部の熱伝導率や熱膨張係数を調整したい場合は、こうした粒子を混合してもよいのは言うまでもない。
このように、金属板の拡散接合・焼結においては、その中間に隙間(空洞)を設けることで、より接合強度の高いものが得られることがわかった。それは、銅板でもアルミ板でも同様であった。また、隙間を設けるために、板に突起を設けてもよいし、金属やセラミックスの粉末等を挟んでもよい。
また、この強度が向上する現象は、板だけでなく、丸棒や角材でも同じ結果が得られることは容易に想像がつく。さらに金属粉の場合にも、上黒鉛型の降下による加圧前に昇温するようにすれば、同様の効果が期待できる。
さらに、隙間(空洞)が高温まで維持できることが重要であり、多軸通電焼結装置が、本プロセス向きの装置であることは言うまでもない。図15に示したような加熱と加圧が同時に行われた場合は、還元が十分に起こる高温に到達するまでに、加圧力により、突起が潰されてしまい、隙間が消失してしまう現象が起こる。
それに対して、図16に示す多軸通電焼結装置のように、先加熱、後加圧ができれば、高温になるまで隙間(空洞)が潰れることなく、十分に表面の酸化膜が除去できる。
以上述べたように、焼結・接合したい部分に、隙間(空洞)を設けること、また、少し空気を残してやること、さらには、先加熱・後加圧を取り入れることで、引張強度の高い信頼性に富む拡散接合・焼結が低温で可能となる。
しかも、この方法は、真空引きを適当なところで中止できることから、ポンプのエネルギーが節約でき、しかも、低温度での拡散接合・焼結が可能なことから、加熱用の電気エネルギーも大幅に節約できることとなる。
本実施形態に係る金属材料の接合方法によれば、まず焼結型内を所定の温度まで昇温させて、焼結型内の炭素と酸素の反応により生じた一酸化炭素の還元力で金属材料7の表面の酸化膜を取り除くことで、金属材料7表面の清浄度を高めることができる。そして清浄度を高めた状態で金属材料7を加圧して拡散接合・焼結させることで、接合強度を高めることができる。従って、金属材料7表面の清浄度を高めるための前処理工程が不要であり、また、低温度、低真空度での接合・焼結を実現することができる。
また、金属材料7の接合部に突起14を設け、接合部に隙間15を形成した状態で焼結型内を所定の温度まで昇温させることで、接合部の隙間15の残存空気中の酸素を焼結型内の炭素と反応させることができる。従って、金属材料7表面の清浄度を効果的に高めることができる。また、金属材料7の突起14は加圧により押し潰されるので、拡散接合の妨げにはならない。
また、金属材料7が銅である場合に、焼結型内の真空度を5Pa〜90Paの範囲内に保持することで、より接合強度を高めることができる。
また、金属材料7が銅である場合に、拡散接合・焼結温度を600℃〜650℃の範囲内にすることで、より接合強度を高めることができる。
また、金属材料7がアルミニウムである場合に、接合部に少なくともアルミニウム粉末を含む粉末を塗布することで、より接合強度を高めることができる。
また、焼結装置として、焼結型内の昇温と金属材料7の加圧とを別々に行うことの可能な多軸通電焼結装置を用いることで、焼結型内の昇温と金属材料7の加圧をそれぞれ容易に制御することができる。
なお、本実施形態を変更して以下のように実施することもできる。
(1)焼結型の型材の一部に空洞を設ければ、空洞部分の残存空気中の酸素を焼結型内の炭素と反応させることができる。
(2)焼結型の型材として鋳鉄型を用いれば、鋳鉄型の中の炭素を焼結型内の酸素と反応させることができる。
(3)焼結型の型材の表面に黒鉛を塗布すれば、型の材質に関わらず、塗布した黒鉛を焼結型内の酸素と反応させることができる。
また、本実施形態では、好適な通電焼結装置として多軸通電焼結装置を用いたが、焼結型内の昇温と金属材料の加圧とを別々に行うことが可能な装置であれば、他の通電焼結装置を用いてもよい。さらに、通電焼結装置に限らず、例えばホットプレス装置等の他の焼結装置に、焼結型内の昇温と金属材料の加圧とを別々に行う制御機能を持たせるようにしてもよい。
以上のように、本実施形態に係る金属材料の接合方法によれば、特別の前処理工程が不要で、且つ、強力な真空装置を必要としない、また電力エネルギーが少なくなるという効果を発揮することができる。
1A 上プラテン
1B 下プラテン
2A タイバー
2B タイバー
3A 上パンチ
3B 下パンチ
4A 加圧力
4B 加圧力
5A 上黒鉛型
5B 下黒鉛型
6 外型・外周型
7 被焼結体・被接合体
7A 銅板(突起あり)
7B 銅板(突起なし)
7C 銅板(突起なし)
8A 右サイド黒鉛型
8B 左サイド黒鉛型
9A 前サイド黒鉛型
9B 後サイド黒鉛型
10A 通電軸(+側)
10B 通電軸(−側)
11A 電流
11B 電流
12A 通電軸(+側)
12B 通電軸(−側)
13A 電流
13B 電流
14 突起
15 隙間
16 仕切り用黒鉛型
20A ポンチ成形の突起
20B 曲げ成形の突起
20C 押出し成形の突起
20D ノッチ状の突起
30 アルミ板
31 アルミ粉末
32 シリコン粉末
40 突起

Claims (4)

  1. 焼結装置を用いた金属材料の接合方法において、
    前記焼結装置の焼結型内を所定の温度まで昇温させて、前記焼結型内の炭素と酸素の反応により生じた一酸化炭素の還元力で前記金属材料の表面の酸化膜を取り除いた後、前記金属材料を加圧して拡散接合・焼結させる方法であって、
    前記金属材料の接合部に突起を設け、前記接合部に隙間を形成した状態で前記焼結型内を所定の温度まで昇温させた後、前記金属材料を加圧して前記突起を押し潰しながら拡散接合・焼結させることを特徴とする金属材料の接合方法。
  2. 焼結装置を用いた金属材料の接合方法において、
    前記焼結装置の焼結型内を所定の温度まで昇温させて、前記焼結型内の炭素と酸素の反応により生じた一酸化炭素の還元力で前記金属材料の表面の酸化膜を取り除いた後、前記金属材料を加圧して拡散接合・焼結させる方法であって、
    前記焼結型の型材の一部に空洞を設けたことを特徴とする金属材料の接合方法。
  3. 焼結装置を用いた金属材料の接合方法において、
    前記焼結装置の焼結型内を所定の温度まで昇温させて、前記焼結型内の炭素と酸素の反応により生じた一酸化炭素の還元力で前記金属材料の表面の酸化膜を取り除いた後、前記金属材料を加圧して拡散接合・焼結させる方法であって、
    前記金属材料の接合部に粉末を塗布し、前記粉末により前記接合部に隙間を形成した状態で前記焼結型内を所定の温度まで昇温させた後、前記金属材料を加圧して拡散接合・焼結させることを特徴とする金属材料の接合方法。
  4. 前記金属材料がアルミニウムであって、接合部に少なくともアルミニウム粉末を含む粉末を塗布することを特徴とする請求項3に記載の金属材料の接合方法。
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