JP2001342527A - TiNi金属間化合物板およびその製造方法 - Google Patents

TiNi金属間化合物板およびその製造方法

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JP2001342527A
JP2001342527A JP2000291063A JP2000291063A JP2001342527A JP 2001342527 A JP2001342527 A JP 2001342527A JP 2000291063 A JP2000291063 A JP 2000291063A JP 2000291063 A JP2000291063 A JP 2000291063A JP 2001342527 A JP2001342527 A JP 2001342527A
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tini
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JP2000291063A
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Takayuki Takasugi
隆幸 高杉
Hiroshi Inoue
博史 井上
Masaaki Ishio
雅昭 石尾
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Hitachi Metals Ltd
Original Assignee
Sumitomo Special Metals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 ランダム配向とならずに、良好な形状回復能
を有するTiNi金属間化合物板およびその効率的かつ
容易な製造方法を提供する。 【解決手段】 金属間化合物の主相がTiNi相となる
ようにTiからなるTi層とNiからなるNi層とが交
互に積層された積層体を圧延接合により作製する圧延接
合工程と、前記積層体を550℃以上700℃未満の温
度で加熱保持し、前記Ti層のTiと前記Ni層のNi
とを反応させてTiNi相を主相とする反応積層体を形
成するよう積層体を加圧しながら固相拡散熱処理を行
う。 【効果】板面に平行に{111}面を主面とする結晶面
が配向した集合組織を有するため、形状回復能について
板面内の異方性がなく、二次元記憶素子の素材として好
適である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、形状記憶合金材料
として好適なTiNi金属間化合物板およびその製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】TiNi金属間化合物は、形状記憶効果
を示す合金として知られており、特に繰り返し寿命、耐
食性に優れ、また応力腐食割れのおそれがないので、感
温電気接続器、温度ヒューズなどのほか、各種アクチュ
エータなどに利用されている。
【0003】アクチュエータなどに利用する場合、Ti
Ni金属間化合物の薄板が必要とされる場合がある。従
来、TiNi金属間化合物板は、溶解圧延法によって製
造することが試みられている。前記溶解圧延法は、通
常、TiNi合金を真空誘導溶解し、鋳造し、その鋳塊
に対して熱間鍛造を行った後、熱間圧延を行い、その熱
延板を焼鈍した後、所望の厚さにすべく、必要に応じて
中間焼鈍を行いながら冷間圧延を施すことによって実施
される。
【0004】また、TiNi金属間化合物線材の製造方
法として、特開昭62−120467号公報に開示され
ているように、Ti線材とNi線材とを複数本束ねて外
装材で被包し、この被包材に縮径加工を施し、拡散反応
によってTiNi相を生成させる製造方法が知られてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記溶解圧延法によ
り、TiNi金属間化合物板を作製することはある程度
可能であるが、この方法では、組成が変動しやすく、板
厚を薄くするほど冷延−焼鈍工数が増加し生産性が低下
するため、TiNi金属間化合物板の製造方法としては
実用性に乏しい。
【0006】また、前記公報に記載されたTiNi金属
間化合物の製造方法は、線材の製造方法としては好適で
あるかも知れないが、素材の被包やその縮径加工が容易
ではない板材の製造方法としては実用的であるとは言え
ない。また、前記公報には、拡散反応を900〜110
0℃で行った実施例が記載されているが、本発明者の実
験によると、Ti板とNi板とを圧延接合した積層体を
用いて前記温度範囲にて加熱保持するだけでは、空隙
(ボイド)の発生が著しく、またTi層とNi層との熱
膨張差のために層間で剥離し、所期のTiNi相からな
る金属間化合物板を作製することはできなかった。
【0007】なお、特開平7−54068号公報には、
Ni箔とTi箔とを交互に積層した積層体を圧下し、こ
の圧下積層材に固相拡散熱処理、液相拡散熱処理を施し
てNi−Ti金属間化合物板を製造する方法が記載され
ているが、熱処理が複雑で、厳密な温度制御が必要であ
るため、生産効率が低いという問題がある。また、製造
の過程で液相を生成させるため、結晶粒が粗大化しやす
く、また結晶粒が三次元方向でランダム配向となりやす
いので、良好な機械的性質、形状回復能が得られ難い。
【0008】本発明はかかる問題に鑑みなされたもので
あり、TiNi金属間化合物板を容易かつ効率よく製造
することができる製造方法および結晶粒がランダム配向
ではなく、良好な形状回復能を有するTiNi金属間化
合物板を提供することを目的とする。この目的は下記の
発明によって達成される。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明のTiNi金属間
化合物板の製造方法は、請求項1に記載したように、金
属間化合物の主相がTiNi相となるようにTiからな
るTi層とNiからなるNi層とが交互に積層された積
層体を圧延接合により作製する圧延接合工程と、前記積
層体を550℃以上700℃未満の温度で加熱保持し前
記Ti層のTiと前記Ni層のNiとを反応させてTi
Ni相を主相とする反応積層体を形成する固相拡散熱処
理とを備える。
【0010】この発明によると、圧延接合により積層体
を作製するので、通常の圧延設備により表面積の大きい
板状の積層材を容易に得ることができ、引いては固相拡
散熱処理を施すことで大面積のTiNi金属間化合物板
を容易に製造することができる。また、本発明の固相拡
散熱処理は、550℃以上700℃未満の温度で加熱保
持するので、カーケンドール効果に起因するボイドの生
成およびTi層とNi層との熱膨張差を抑制して、層間
剥離を防止して拡散反応を促進することができる。ま
た、結晶粒の粗大化を抑制することができ、機械的性質
を向上させることができる。さらに、積層体の製作時に
形成されたTi層およびNi層の集合組織が基となっ
て、固相拡散熱処理によって生成したTiNi相に、板
面に平行に{111}面を主面とする集合組織が形成さ
れるため、板面内の異方性を発現することなく、ランダ
ム配向の結晶組織に比して良好な形状回復能を得ること
ができる。このため、本発明によると、TiNi相を主
相とし、機械的性質が良好で、面内異方性のない形状回
復能の良好なTiNi金属間化合物板を容易に効率よく
製造することができ、工業的生産方法として好適であ
る。
【0011】また、前記固相拡散熱処理の際には、請求
項2に記載したように、前記積層体を加圧した状態で加
熱保持するのがよい。積層体をわずかな圧力によって加
圧するだけで、ボイドの生成をより抑制することができ
るとともに拡散反応を促進させることができる。このた
め、TiNi金属間化合物板の品質を向上させることが
できる。
【0012】また、請求項3に記載したように、前記反
応積層体を710℃以上955℃未満の温度で加熱保持
して前記反応積層体中の中間反応生成物をTiNi相に
変態させる反応促進熱処理をさらに備えることができ
る。前記反応積層体は、TiNi相が主相である組織を
有するが、保持温度、保持時間によってはNi3Tiや
Ti2Niのような中間生成物が微量生成する場合があ
る。前記反応積層体は、ほぼTiNi単相となっている
ので、高温で加熱保持してもカーケンドール効果による
ボイドや熱膨張差を生じるおそれがないので710℃以
上955℃未満の高温で保持することにより、中間反応
生成物を容易にTiNi相に変化させることができる。
このような理由から高品質のTiNi金属間化合物板を
容易に得ることができる。
【0013】また、請求項4に記載したように、前記積
層体を中心層に対してTi層あるいはNi層が厚さ方向
に対称に配置された奇数層からなる構造とすることで、
TiとNiとの熱膨張率差に起因した熱変形を防止する
ことができ、熱変形に起因した製造トラブルを防止して
生産性を向上させることができる。
【0014】また、本発明のTiNi金属間化合物板
は、請求項5に記載したように、TiからなるTi層と
NiからなるNi層とが交互に圧延接合により積層され
た積層体に前記Ti層のTiと前記Ni層のNiとを反
応させてTiNi相を生成させる固相拡散熱処理が施さ
れて形成されたTiNi相を主相とするTiNi金属間
化合物板であって、板面に平行に{111}面を主面と
する結晶面が配向した集合組織を有する。このTiNi
金属間化合物板によれば、Ti層とNi層とが交互に圧
延接合された積層体を基にしてTiNi単相化が行われ
るので、任意の板厚の板材を容易に得ることができる。
しかも、積層体のTi層、Ni層の圧延集合組織が基に
なって、固相拡散熱処理により板面に平行に{111}
面を主面とする結晶面が配向した集合組織を有するの
で、結晶粒がランダムに配向した板材に比して良好な形
状回復能を備えたものになり、さらに積層体の圧延方向
に限らず、板面内の全ての方向において異方性のない良
好な形状回復能を備える。このため、マイクロアクチュ
エータ等の二次元形状記憶素子の素材として好適であ
る。なお、本発明のTiNi金属間化合物板は上記請求
項1〜4に記載した製造方法によって好適に製造するこ
とができるが、製造方法としてはこれらの方法に限定さ
れるものではない。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明のTiNi金属間化
合物板の製造方法およびこの製造方法によって得られた
TiNi金属間化合物板について説明する。
【0016】本発明の製造方法を実施するには、まず、
圧延接合工程によりTiからなるTi層とNiからなる
Ni層とが交互に積層された積層体を作製する。前記圧
延接合工程は、Ti薄板とNi薄板とを適宜の枚数を重
ねて圧延接合して複数層の積層素材を得て、さらにTi
層とNi層とが交互に配置されるように前記積層素材を
適宜数重ね合わせて圧延接合する。圧延接合は冷間で行
えばよく、1回の圧延当たりの圧下率は20〜70%、
好ましくは30〜60%程度であればよい。圧延接合後
は各層の接合強度を向上させるために、積層素材あるい
はその接合材に対し、例えば600℃程度の低温で数分
〜十数分程度の拡散焼鈍を行うようにするのがよい。
【0017】前記積層体の各層の厚さは、層厚が薄すぎ
ると前記圧延接合時の拡散焼鈍あるいは後述する固相拡
散熱処理の際に燃焼反応が生じるようになるので、1μ
m 以上、好ましくは3μm 以上にするのがよい。一方、
厚すぎると後述する固相拡散熱処理に長時間を要し工業
的生産性を損なうようになるので、50μm 以下、好ま
しくは30μm 以下にするのがよい。なお、圧延接合工
程の後あるいは途中に適宜冷間圧延を施すことによっ
て、前記積層体の各層の厚さを調整することができる。
【0018】前記積層体のTi層、Ni層の各層数は任
意に設定することができるが、積層体の厚さ方向(積層
方向)における平均的な相としてTiNi相が得られる
ように設定する必要がある。また、組成に依存してマル
テンサイト変態温度が変わるので、用途に応じて組成を
設定する必要がある。一般的には、TiNi相が得られ
る平均組成としては、at%でTi:52〜47%、好ま
しくは51〜49%程度(残部Ni)である。もっと
も、前記積層体を中心層に対してTi層あるいはNi層
が厚さ方向に対称に配置された好ましくは奇数層からな
る構造とすることで、後述の固相拡散熱処理の際に熱膨
張率差に起因した反り等の熱変形を防止することができ
る。
【0019】圧延接合工程により作製された積層体に
は、次に固相拡散熱処理が施される。この固相拡散熱処
理は、700℃未満550℃以上、好ましくは680〜
600℃程度の温度で、前記積層体のTi層のTiとN
i層のNiとを反応させて、TiNi相を主体とした反
応積層体を得ることを目的とする。700℃以上の温度
では、ボイドの生成が著しくなるため反応拡散が抑制さ
れ、またTi層とNi層との熱膨張差が大きくなるため
熱変形が大きくなり、著しい場合には層間剥離が生じる
ようになる。さらに結晶粒が粗大化し、また圧延接合工
程でTi層、Ni層に形成された集合組織が大きく変化
する可能性がある。一方、550℃未満では、反応に多
大な時間を要するようになり、生産効率が低下する。保
持時間は、積層体の各層の厚さが薄い方が短時間で所定
のTiNi相が得られるが、概ね前記温度範囲では10
〜200hr程度とすればよい。保持温度が低く、また
保持時間が短い場合には、組織の一部に中間反応生成物
のNi3TiおよびTi2Niが生成する場合があるが、
体積率で3%程度以下の微量は許容される。
【0020】前記固相拡散熱処理の際に積層体を2〜1
0kPaのわずかな圧力で板厚方向に加圧することによ
り、ボイドの生成および熱変形を効果的に抑制すること
ができ、また反応を促進して中間反応生成物の生成を抑
制することができる。また、前記固相拡散熱処理はアル
ゴンガス等の不活性ガス中で実施可能であるが、酸化防
止のためは真空雰囲気中で行うことが好ましい。なお、
アルゴンガス等を導入する場合、一旦真空引きを行って
から導入することが好ましい。
【0021】前記反応積層体は、TiNi単相あるいは
場合によっては微量の中間反応生成物を含むTiNi金
属間化合物板を構成するものであり、結晶粒が細かく、
しかも形状回復能について面内異方性を発現しないTi
Ni結晶の{111}面が板面に平行に形成される傾向
があるため、板面に平行に{111}面あるいはこの面
に対してわずかな傾きを持つ結晶面(例えば{554}
面)を有する、{111}面を主面とする集合組織が形
成される。このため、当初の積層体の圧延方向などの特
定方向に異方性が生じず、板面内の全方向(二次元方
向)の形状記憶特性に優れる。
【0022】前記反応積層体中の中間生成物を無くして
完全なTiNi単相組織を得るには、前記固相拡散熱処
理を前記保持温度、保持時間の範囲内で高温領域で長時
間保持を行えばよいが、高温長時間の保持を行うほどボ
イドの生成量が増える傾向がある。ボイド量の生成を抑
制して完全なTiNi単相組織を得るには、固相拡散熱
処理の保持温度を好ましくは680〜600℃程度、保
持時間を好ましくは20〜100hr程度として固相拡
散熱処理を行った後、反応積層体に710℃以上955
℃未満の温度で10〜50hr程度保持する反応促進熱
処理を施すことができる。この処理によって、前記反応
積層体中の中間反応生成物をTiNi相に確実容易に変
化させることができる。反応積層体は、固相拡散熱処理
によりほぼTiNi相になっているので、710℃以上
の高温加熱を行っても、ボイド、熱変形のような問題は
生じない。もっとも、710℃未満では反応促進は不十
分であり、一方955℃を超えると液相が生成して結晶
の配向が著しく損なわれるので、加熱保持温度は、71
0℃以上955℃未満、好ましくは730〜800℃程
度の温度に設定するのがよい。この反応促進熱処理も、
固相拡散熱処理と同様、アルゴンガス等の不活性ガス中
で実施可能であるが、酸化防止のためは真空雰囲気中で
行うことが好ましい。
【0023】前記固相拡散熱処理あるいはさらに反応促
進熱処理が施されて得られたTiNi金属間化合物板に
は、通常、Ms点の安定化のために400〜500℃の
温度で数十min 〜数hr程度保持する時効処理が施され
る。これによって、Ms点の変動が防止され、形状記憶
特性が向上する。
【0024】以下、実施例によって本発明をさらに説明
するが、本発明はかかる実施例によって限定的に解釈さ
れるものではない。
【0025】
【実施例】〔実施例1〕 (1) 圧延接合工程 純Ti板と純Ni板の表面を金属ブラシを用いて粗く削
った後、削った面どうしを重ね合わせて圧下率50%に
て冷間圧延を行い、その後、Ti層とNi層とが圧接さ
れた複合材に600℃、10分間の拡散焼鈍を施し、両
層が密着した2層素材を得た。この2層素材をTi層と
Ni層とが交互に重なるように3枚重ね合わせて圧延接
合し、拡散焼鈍することで6層素材を得た。最終的にT
i層とNi層とが交互に重ね合わされた18層材(板厚
1.5mm)を作製し、この18層材を68%の圧下率に
て冷間圧延を施して、Ti層の平均厚さが33μm 、N
i層の平均厚さが21μm の積層体を得た。この際、積
層体の平均組成が50at%Ti−50at%Niとなるよ
うにTi板、Ni板の板厚をTi板:1.2mm、Ni
板:0.75mmとした。
【0026】(2) 固相拡散熱処理 前記18層の積層体を、真空中で650℃にて100h
r保持した。この熱処理によって得られた反応積層体に
対して、光学顕微鏡による観察、EPMAによる組成分
析、X線回折による生成相の同定を行った。その結果、
反応積層体(TiNi金属間化合物板)にはごく少量の
Ni3Tiが認められたがほぼTiNi相からなること
がわかった。
【0027】〔実施例2〕実施例1で作製した18層の
積層体を用いて、その上面にセラミック板を介して重り
を載せ、積層体を板厚方向に3.7kPa加圧しながら
実施例1と同様の加熱保持条件にて固相拡散熱処理を行
った。前記セラミック板は重りと積層体との反応を防止
するためのものである。その結果、反応積層体中のボイ
ドは減少し、EPMA分析からほぼTiNi単相の健全
な組織が得られた。
【0028】前記反応積層体からなるTiNi金属間化
合物板に対して、安定した形状記憶特性を得るために、
450℃−1hrの時効処理を施した。この金属間化合
物板の光学顕微鏡による断面組織写真を図1に示す。図
1より明らかなように、ごく少量のNi3Ti (白くて
細長い部分)が認められるものの、組織はほぼTiNi
単相組織になっている。また、この金属間化合物板をD
SC( DifferentialScanning Calorimeter、示差走査
熱量計)により熱分析した結果、As(オーステナイト
開始温度)=27℃、Af(オーステナイト終了温度)
=48℃であり、明瞭な形状記憶効果も確認できた。
【0029】〔実施例3〕実施例1と同条件で反応積層
体を作製した後、引き続いて真空中で750℃−30h
rの反応促進熱処理を行った。この処理によって得られ
たTiNi金属間化合物板の組織を観察した結果、ボイ
ド量は実施例1と同等であったが、EPMA分析からほ
ぼ完全にTiNi単相組織となっていた。また、この試
料に450℃−1hrの時効処理を施したところ、As
=29℃、Af=50℃が得られると共に明瞭な形状記
憶効果も確認できた。
【0030】〔実施例4〕実施例1と同様にして作製し
た板厚1.5mmの18層材を圧下率90%にて冷間圧延
し、これによって得られた積層体を真空中で680℃に
て20hr保持する固相拡散熱処理を行った。この際、
積層体を板厚方向に約5kPaで加圧した。圧延接合後
の18層材および冷間圧延後の積層体の断面を光学顕微
鏡観察(倍率400)したところ、18層材ではTi層
とNi層はほとんど平行に配列していた。冷延後は、部
位によっては層厚さが多少変動するものの、各層の平行
状態はほぼ保持されていた。積層体の全厚は152μm
であり、Ti層およびNi層の平均厚さは各々10.5
μm 、6.5μm と比較的薄いものであった。このた
め、TiNi相への固相拡散熱処理時間を前記のとおり
20hrと比較的短く設定した。
【0031】固相拡散熱処理によって得られた反応積層
体(TiNi金属間化合物板)の組織を光学顕微鏡観察
(倍率400)したところ、ボイドはほとんど観察され
なかった。また、EPMA分析から大部分がTiNi相
であることが確認されたが、ごく少量のNi3Ti やT
2Ni が局所的に認められた。
【0032】次に、前記TiNi金属間化合物板から圧
延方向(18層材の圧延方向)に沿って幅4mmの短冊状
試験片を採取し、この試験片を用いて形状回復試験を行
い、形状記憶特性を評価した。この試験は、前記試験片
を5℃の冷水中にて直径2〜8mmの種々の丸棒の外周面
に沿って180度巻き付けて種々の歪(ひずみ)を付与
し、その曲率半径から歪量を測定した後、この屈曲した
試験片を100℃の沸騰水中に浸漬して形状を回復さ
せ、回復後の試験片を前記冷水中に浸漬して、同温度に
おける歪量を測定し、下記式より回復歪を求めるもので
あり、求められた回復歪により形状記憶特性を評価し
た。 回復歪=付与した歪量(弾性歪を含まない)−回復後の
残留歪量 回復歪の測定結果を図2に示す。横軸は冷水中で付与し
た当初の歪量(付与歪)である。同図より、当初付与し
た歪量が大きいほど、大きな回復歪が得られることが確
かめられた。なお、あまり大きな歪を付与すると、すべ
り変形が顕著に生じ大きな永久歪が残存するため、形状
回復能は低下するが、この実施例では同図のように4%
程度までは回復能の低下傾向は認められなかった。
【0033】さらに、前記TiNi金属間化合物板を用
いて、形状回復能の面内異方性を調べた。TiNi金属
間化合物板から幅4mmの短冊状試験片を圧延方向を0度
として0〜90度にわたって種々の方向に沿って採取
し、前記形状回復試験と同様にして回復歪を調べた。こ
の場合、当初の付与歪は約2.7%とした。その結果を
図3に示す。同図より、試験片の採取方向にかかわら
ず、ほぼ一様な回復歪が得られることがわかる。すなわ
ち、本発明方法によって製造したTiNi金属間化合物
板では、板面内の各方向において形状回復能の異方性は
認められず、二次元形状記憶素材として有望であること
がわかる。さらに、前記TiNi金属間化合物板を用い
て、X線回折によって極点図を求め、TiNi母相の結
晶方位分布を調べたところ、厳密には{554}<22
5>方位をピークとする、{111}面が板面にほぼ平
行に配向した集合組織をもっていることが確かめられ
た。
【0034】
【発明の効果】本発明のTiNi金属間化合物板の製造
方法によれば、機械的性質、形状回復能の良好なTiN
i金属間化合物板を容易かつ効率的に製造することがで
き、工業的製造方法として優れる。また、本発明のTi
Ni金属間化合物板によれば、任意の板厚のものを容易
に製造することができ、しかも板面に平行に{111}
を主面とする集合組織が形成されるので、板面内の異方
性がなく、二次元形状記憶素材として好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2のTiNi金属間化合物板の断面組織
を示す図面代用写真である。
【図2】実施例4のTiNi金属間化合物板の形状回復
能を示すグラフであり、付与ひずみ(低温下で付与した
歪)と回復ひずみ(前記付与した歪と高温下で回復した
後の歪との差)との関係を示す。
【図3】実施例4のTiNi金属間化合物板の異方性調
査結果を示すグラフであり、圧延方向からの変位角と回
復ひずみとの関係を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22F 1/10 C22F 1/10 G // C22F 1/00 623 C22F 1/00 623 627 627 630 630L 691 691B B23K 103:14 B23K 103:14

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属間化合物の主相がTiNi相となる
    ようにTiからなるTi層とNiからなるNi層とが交
    互に積層された積層体を圧延接合により作製する圧延接
    合工程と、 前記積層体を550℃以上700℃未満の温度で加熱保
    持し、前記Ti層のTiと前記Ni層のNiとを反応さ
    せてTiNi相を主相とする反応積層体を形成する固相
    拡散熱処理とを備えたTiNi金属間化合物板の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 前記固相拡散熱処理は前記積層体を加圧
    した状態で加熱保持する請求項1に記載したTiNi金
    属間化合物板の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記反応積層体を710℃以上955℃
    未満の温度で加熱保持して前記反応積層体中の中間反応
    生成物をTiNi相に変化させる反応促進熱処理をさら
    に備えた請求項1又は2に記載したTiNi金属間化合
    物板の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記積層体は、奇数層からなり、中心層
    に対してTi層あるいはNi層が対称に配置された請求
    項1〜3のいずれか1項に記載したTiNi金属間化合
    物板の製造方法。
  5. 【請求項5】 TiからなるTi層とNiからなるNi
    層とが交互に圧延接合により積層された積層体に前記T
    i層のTiと前記Ni層のNiとを反応させてTiNi
    相を生成させる固相拡散熱処理が施されて形成されたT
    iNi相を主相とするTiNi金属間化合物板であっ
    て、板面に平行に{111}面を主面とする結晶面が配
    向した集合組織を有するTiNi金属間化合物板。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN1295367C (zh) * 2005-01-13 2007-01-17 四川大学 冷轧超薄叠层合金化制备TiNiPd形状记忆合金薄膜
CN105058914A (zh) * 2015-07-13 2015-11-18 西安建筑科技大学 一种层状Ti-Ni形状记忆复合材料及其制备方法
CN107475646A (zh) * 2017-07-03 2017-12-15 南通大学 记忆合金表面微织构的制造方法

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