JP2001267231A - 電子線描画方法およびその装置 - Google Patents
電子線描画方法およびその装置Info
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Abstract
れや集束点のずれが生じない、極度に細い線分を描画で
きる電子線描画方法とその装置を提供する。 【解決手段】 電子線の集束系および偏向系を含む電子
線集束掃引装置を用いて、試料が静止している状態で電
子線が試料台上の試料表面の特定な個所に常時集束する
ように集束系を制御し、集束系の上記制御状態の下で電
子線が試料の表面上を移動して前記図形パターンを描く
よう試料台を移動させ、その時の試料台の実際の位置を
測定し、前記図形パターンに対応する試料台の目標位置
と前記実際の位置の偏差を求め、上記偏差が常時零とな
るように偏向系を用いて試料表面上の電子線を偏向させ
る工程により、所定の図形パターンを描く。
Description
に微細な線を広い面積にわたり描画するのに適した電子
線描画方法およびこの方法を実施する装置に関する。
能材料の基板の表面に微細なパターンを作製して形成さ
れる。このパターンの所望位置に金属、絶縁物、不純物
を注入、拡散、被覆等の処理を行う。このような微細加
工技術は近年作製できるパターンが著しく微細になり、
電子の振る舞いが量子効果を呈する量子井戸構造を取り
扱うところまでになっている。このような数十ナノメー
タの領域での微細パターンの作製は電子線描画でしか達
成することができない。
常に微細なスポットを形成し、これを基板もしくは所定
のレジスト膜に当てる所謂電子線露光を行って必要なマ
スクパターンを形成する。しかし、この微細なビームを
試料面上で広い範囲に掃引して位置的に精密なパターン
を形成する場合、最大掃引範囲に制限がある。特に、電
子線の位置が電子線集束レンズ系や電子線偏向系の光軸
を外れると、所謂軸外収差が発生し、この光軸からの偏
差が大きくなるに従い収差は急激に大きくなる。この収
差は試料面の照射位置に歪みを与えるだけでなく、電子
線の集束点の大きさも歪め、電子線が光軸を外れに従い
集束点が大きくぼけ、作製すべきパターンに使用に耐え
ないぼけも与える。
パターンを作製する場合、ラスター走査であれ、ベクト
ル走査であれ、一回の照射範囲(以下フィールドと称す
る)を、例えば特定な広さの正方形とし、このフィール
ドを順繋ぎ合わせて所要な広さのパターンを形成する
(例えば、徳山巍編、「超微細加工技術」(応用物理学
シリーズ),オーム社、平成9年2月25日発行を参
照)。ここで、一般的に採用されている繋ぎ合わせ方式
によるパターン形成を図1に基づき説明する。
のフィールドAij(i = 1, 2, ..., n ; j = 1, 2,
..., m)を隙間なく配置する。それには、隣接するフィ
ールドが互いに丁度接するように、試料10を載せた試
料台(図示せず)を逐次移動させる。このような二つの
フィールドの境界αを通過するパターンは、例えば図1
bに示すよう、フィールドA22,A23の中心C22とC23
を結ぶ線上でフィールドA22側の線分軌跡L20とフィー
ルドA23側の線分軌跡L21は垂直方向(境界線BCの方
向)に生じるずれが極度に少ないか殆どないため、点B
0 で合体して一本の線として描画できる。しかし、境界
線BCの上部では軸外収差が完全に光軸の中心(C23,
C22)に対称でないため、線分L10とL11は点B1 とB
1 ′で示す位置に形成され、垂直方向にずれB1 B1 ′
が生じる。
装置には軸外収差を補償する補助装置が設けてあり、現
在主流になっているサブミクロンの領域でのパターン形
成では、隣接するフィールドの境界上でパターンに目立
つ不一致を与えていない。もっとも、試料台を移動する
場合、照射系や移動台の駆動部の予備調整、例えば識別
マーク位置の計測と位置設定の準備作業には相当な時間
を要する。
nm程度の線分を試料面上の広い範囲で描画する場合に
は、上に述べたように、サブミクロン領域の軸外収差の
影響を補償したとしても、ナノメータの範囲のずれを除
去できる程度に補償装置が完成されていない。ずれの影
響を無視できる程度にするには少なくとも 1 nm 程度の
ずれまで低減させる必要がある。その外、集束点の形状
も通常円形でなく、流星状とか不規則な形状になる。こ
のような電子線の集束点の「ぼけ」も境界線の近くで充
分に修正できない。
知るために作製されるパターンの典型的な例を図2aに
示す。試料表面に電極E1,E2,E3 を設け、電極E1 と
E2またはE3 の間に幅が 10 nm程度の直線状の細線L
1 とL2 を形成する。更に、類似の細線構造は図2bに
示すような電極G1,G2,G3 の間で曲線L3 を呈するも
のや、細線L4,L5,L6 の間に結合点(ノード)Kを含
むものも考えられる。電極自体は大体 500μm × 500μ
m 程度の大きさであるが、細線の長さは数 mmから十数
mm にする。使用するフィールドは通常の電子線描画装
置の場合 10 μm × 10 μm 〜 1000 μm × 1000 μm
であるから、上記の長さの細線を作製するため前記の繋
ぎ合わせ方式を採用すると、数十回または 100回程度フ
ィールドを繋ぎ合わせる必要がある。しかし、上で詳し
く説明したように、一回の繋ぎ合わせ時に既にフィール
ドの境界で大きなずれ(横ずれ)やぼけ(電子線の集束
点の拡がり)が生じるので、このような多数回の繋ぎ合
わせを行うと使用に耐えないパターンとなる。
常時一定に維持する必要がある。描画時に細線上を移動
する電子線の速度は比較的遅い。例えば、レジスト材と
して日本ゼオン製のZEP 520を 0.15 μm の厚さで塗
布した基板の場合、電子線の加速電圧が 20 kVで、ビー
ム電流が 10 pAであると、レジストを電子露光するのに
適した電子線の速度は試料面上で 1.5 mm/s である。そ
のような一定速度をどのような図形の場合でも、つまり
図形のパターンが直線の場合でも曲線の場合でも常時維
持できる必要がある。
ィールド繋ぎ合わせ方式で生じる線分のずれや集束点の
ずれが生じない、極度に細い線分を描画できる電子線描
画方法およびこの方法を実施できる装置を提供すること
にある。
により、電子線の集束系および偏向系を含む電子線集束
掃引装置を用いて試料の表面に電子線を当てて所定の図
形パターンを描く電子線描画方法にあって、以下の過
程、 ・試料が静止している状態で電子線が試料台上の試料表
面の特定な個所に常時集束するように集束系を制御し、 ・集束系の上記制御状態の下で電子線が試料の表面上を
移動して前記図形パターンを描くよう試料台を移動さ
せ、 ・その時の試料台の実際の位置を測定し、 ・前記図形パターンに対応する試料台の目標位置と前記
実際の位置の偏差を求め、 ・上記偏差が常時零となるように偏向系を用いて試料表
面上の電子線を偏向させる、を実施することにより解決
されている。
子線の集束系および偏向系を含む電子線集束掃引装置を
用いて試料の表面に電子線を当てて所定の図形パターン
を描く電子線描画装置にあって、 ・試料10を試料表面内で互いに直交する二つの方向
X,Yに移動させる送り装置MX,MY を試料台20と、 ・試料台20の位置を測定する位置検出器SX,SY と、 ・請求項1または2の方法を実施するため電子線および
試料台20を制御する制御プログラムを保管する記憶器
32と、 ・前記プログラムに従って電子線描画処理を実行する演
算処理部30と、を備えていることにより解決されてい
る。
の範囲の従属請求項に記載されている。
る電子線描画方法とその装置を詳しく説明する。
の配置を示す。例えば電子線レジストを塗布した基板の
試料10は試料移動台20の上に固定されている。この
試料移動台20には基台(図示せず)に対して試料移動
台20を互いに直交する二つの方向X,Yにそれぞれ相
対移動させる二つの送り装置MX,MY と、その時の相対
移動量を計測するための二つの位置検出器SX,SY とが
装備されている。
Y の検出信号からその時の相対移動量を算出して、数値
演算機能を持つ中央演算部30に受け渡す。この中央演
算部30にはパターン図形を予めプログラムして保管す
る記憶部32が内蔵されている。更に、中央演算部30
にはパターン軌道の数値、制御信号等を入力でき、結果
を印字もしくはディスプレーに表示できる入出力・表示
ユニットが接続している。記憶部32に保管されている
目標軌道に従い中央演算部30は送り装置MX,MY 用の
駆動回路DRX,DRY へ駆動信号を送り、送り装置MX,
MY の動作に応じて移動台20を指定された位置へ移動
させる。その場合、位置検出器SX,SYおよび距離信号
発生回路50により求まった実際軌道と目標軌道を一致
させるような帰還回路が中央演算部30により形成され
ている。
せて掃引するため、走査電子顕微鏡の機能を有する電子
線掃引装置80が付属している。この装置自体の説明は
省くが、この発明で重要となる偏向コイルSCとブラン
キングユニットBLKのみを模式的に示す。中央演算部
30中の記憶部32に保管されている描画すべき目標軌
跡の図形プログラムに従い、中央演算部30は偏向駆動
回路60を介して電子線を偏向させる駆動信号を偏向コ
イルSCへ送り、ブランキング駆動回路70を介して電
子線を試料に照射させるかさせないかを決めるブランキ
ング駆動信号をブランキングユニットBLKへ送る。
であって、走査領域が比較的広い場合、先に詳しく説明
したフィールド繰り返し方式の難点を避けるため、図4
aに示すように電子線を対物レンズLNで絞り込み試料
10の表面の位置PB に定在させたまま、試料10の載
っている試料台20を例えば矢印AAの所要方向に移動
させる。この時の状況を図4bに従って説明する。送り
装置MX,MY を用いて中央演算部30で指定された目標
軌跡TR0 に沿って試料10を矢印AAの方向に移動さ
せると、電子線照射により試料10の表面にハッチング
を付けたパターンLa が生じる。今照射している時点を
t0 とすると、右にあるパターンLa はこの時点t0 以
前の例えば時点t1 (t1 >t0 )に照射されたもので
ある。
MY を目標軌跡プログラム通りに駆動しても、種々の事
情により実際の移動位置と指定位置の間に偏差δが生じ
る。実際の位置TR1 は位置検出器SX,SY で検知さ
れ、検出信号に基づき距離信号発生回路50で系の基準
位置(例えば集束レンズ系の光軸)に対する絶対位置と
して算出される。中央演算部30は目標位置TR0 と実
際の位置TR1 の偏差δを算出して、掃引中この偏差δ
を常時零とするように偏向コイルSCに偏向駆動信号を
送って電子線の照射位置を補正する。電子線偏向系と位
置検出系の応答速度は送り装置MX,MY の応答速度より
早いので、上に述べた帰還制御により実用上常時偏差δ
=0とする軌跡を描画することができる。なお、説明の
都合上偏差δは目標軌跡TR0 の接線方向に垂直な成分
のみで説明したが、実際には接線方向の成分も含む。
に微調整できる電動機、例えば汎用されているステッピ
ングモータ、あるいは機械的な共振を使用する共振型超
音波モータ(例えば特開平11−15530号公報)あ
るいは圧電素子で電気的な応力を発生させて移動量に変
換する非共振型超音波モータ(例えば特公平3−811
19号公報)を使用して実現できる。
の微細さに依存し、10 nm の範囲のパターンを描画する
場合には、少なくとも 1 nm の位置分解能を保証するレ
ーザー干渉計を使用すべきである。また、サブミクロン
の範囲の描画であれば、光電増分式リニヤエンコーダ等
も使用できる。
牲にしないように、通常の描画処理を行う電子線描画装
置に付加する装置として導入すれば、電子線を目標軌道
に追従させる演算処理のプログラム処理により大幅な改
造もしくは変更なしに実現できる。何れにしても、ナノ
メータ領域の描画に加えて、通常のパターンをフィール
ド繋ぎ合わせ方式を利用する描画処理も必要な時に実行
できるからである。
料のレジストの材質、厚さ、レジストを塗布する下地
(基板)の材料に関する選定や電子の加速電圧、照射電
流密度、電子銃の輝度等にも充分な配慮が必要である。
この発明によれば、電子線を 10 nmまたはそれ以下に絞
って試料面に照射する必要がある。それには、試料面上
の電子線の集束位置が対物レンズLNの光軸上となるよ
うに照射位置を選定し、作動距離(working distance)
をできる限り短くして電子線を照射する。このような集
束偏向条件では、フィールドAの許容範囲は必然的に狭
くなる。それ故、仮に従来のフィールド繋ぎ合わせ方式
を踏襲すれば、繋ぎ合わせ回数が著しく増加し、処理時
間が増大する。しかし、この発明ではフィールドの繋ぎ
合わせを採用していないので、作動距離、言い換えれば
対物レンズLNと試料表面の間の距離を充分短くするこ
とができる。このような処置は、対物レンズLNと試料
面の間での電子線の外部電磁場による影響を少なめ、同
時に対物レンズLNの漏れ磁場によるシールド作用によ
り電子線の振れ(実質上電子線の集束点のぼけとなる)
を著しく低減するという利点もある。
線描画方法およびその装置により、フィールド繋ぎ合わ
せ方式で生じる線分のずれや集束点のずれが生じない、
極度に細い線分を描画できる。特に、送り装置と位置検
出装置が既に装備されている電子線描画装置では中央演
算処理部のプログラム対応にこの発明を簡単に実現でき
る。
を説明する模式図、(a)全体配置を示す図面、(b)
境界を拡大した図面、
す図面、
ク図、
掃引軌跡の修正を説明する模式図(b)である。
Claims (7)
- 【請求項1】 電子線の集束系および偏向系を含む電子
線集束掃引装置を用いて試料の表面に電子線を当てて所
定の図形パターンを描く電子線描画方法において、以下
の過程、 ・試料が静止している状態で電子線が試料台上の試料表
面の特定な個所に常時集束するように集束系を制御し、 ・集束系の上記制御状態の下で電子線が試料の表面上を
移動して前記図形パターンを描くよう試料台を移動さ
せ、 ・その時の試料台の実際の位置を測定し、 ・前記図形パターンに対応する試料台の目標位置と前記
実際の位置の偏差を求め、 ・上記偏差が常時零となるように偏向系を用いて試料表
面上の電子線を偏向させる、を実施することを特徴とす
る電子線描画方法。 - 【請求項2】 電子線の集束位置を対物レンズの光軸上
に選び、試料台ができる限り短い作動距離となる位置で
電子線描画を行うすることを特徴とする請求項1に記載
の電子線描画方法。 - 【請求項3】 電子線の集束系および偏向系を含む電子
線集束掃引装置を用いて試料の表面に電子線を当てて所
定の図形パターンを描く電子線描画装置において、 ・試料(10)を試料表面内で互いに直交する二つの方
向X,Yに移動させる送り装置(MX,MY )を試料台
(20)と、 ・試料台(20)の位置を測定する位置検出器(SX,S
Y )と、 ・請求項1または2の方法を実施するため電子線および
試料台を制御する制御プログラムを保管する記憶器(3
2)と、 ・前記プログラムに従って電子線描画処理を実行する演
算処理部(30)と、を備えていることを特徴とする電
子線描画装置。 - 【請求項4】 送り装置(MX,MY )はステッピングモ
ータことを特徴とする請求項3に記載の電子線描画装
置。 - 【請求項5】 送り装置(MX,MY )は共振型超音波モ
ータあるいは非共振型超音波モータであることを特徴と
する請求項3に記載の電子線描画装置。 - 【請求項6】 送り装置(MX,MY )は非共振型超音波
モータであることを特徴とする請求項3に記載の電子線
描画装置。 - 【請求項7】 位置検出器(SX,SY )はレーザー干渉
計であることを特徴とする請求項3〜6の何れか1項に
記載の電子線描画装置。
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