JP3194539B2 - 電子ビーム露光装置及び露光方法 - Google Patents

電子ビーム露光装置及び露光方法

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JP3194539B2
JP3194539B2 JP17555292A JP17555292A JP3194539B2 JP 3194539 B2 JP3194539 B2 JP 3194539B2 JP 17555292 A JP17555292 A JP 17555292A JP 17555292 A JP17555292 A JP 17555292A JP 3194539 B2 JP3194539 B2 JP 3194539B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電子ビーム露光装置及び
露光方法に係り、特に対物レンズ中にステージを配置
し、ステージ連続移動方式で露光する電子ビーム露光装
置及び露光方法に関する。
【0002】近年ますます、ICの集積度と機能が向上
して計算機、通信、機械制御等広く産業全般に渡る技術
進歩の核技術としての役割が期待されている。
【0003】ICは2年から3年で4倍の高集積化を達
成しており、例えばDRAMでは1M,4M,16M,
64M,256M,1Gとその集積化が進んでいる。
【0004】このような高集積化はひとえに、微細加工
技術の進歩によっており、光技術は0.2μmの微細加
工が可能になる如く進歩を続けているが、焦点深度の確
保、0.1μm以下の精度の確保などが困難になりつつ
ある。
【0005】電子ビーム露光においては、0.05μm
以下の微細加工が、0.02μm以下の位置合わせ精度
で実現出来るが、これまで、スループットが低くてLS
Iの量産には使用出来ないであろうと考えられてきた。
これは、一筆書きの電子ビームについての議論であっ
て、スループットを上げるための、物理的・技術的なネ
ックに視点をあて、原因を解明し、真剣に検討した結果
ではなく、単に現在の市販装置の生産性に鑑みて判断さ
れているに過ぎない。
【0006】しかし、近年、本発明者らによる、ブロッ
ク露光や、ブランキングアパーチャーアレー方式の発明
により、1cm2 /1sec程度のスループットが期待
出来るようになった。微細さ、位置合わせ精度、クイッ
クターンアラウンド、信頼性のどれをとっても、他のリ
ソグラフィ手段の追随出来ない利点がある。この電子ビ
ーム露光においては、一層の高解像度化、位置合わせ精
度の向上が必要とされている。
【0007】
【従来の技術】従来、電子ビーム露光においては、ステ
ップアンドリピートでステージを移動して、ステージが
静止してから露光を行う方法が行われていた。しかし、
露光時の描画精度の向上、高スループットを実現するた
め、ステージを移動させながら描画するステージ連続移
動方法が行われるようになった。
【0008】このステージ連続移動方法では、ステージ
の移動時間を長くせずに、電子ビームの偏向量を小さく
できる。このため、電子ビームのボケが小さくなり、解
像度を上げることができ、且つ、高スループットを実現
できる。
【0009】しかし、ステージ連続移動方法では、ステ
ージの移動に伴い、対物レンズの漏洩磁束によりステー
ジに渦電流が発生し、この渦電流による磁界がビームを
偏向する。このため、渦電流によるビームの偏向を補正
することが必要である。
【0010】本出願人は、先に、特開昭64−7372
1号にて、ステージの速度に比例したビーム位置ずれの
補正を行う方法を提案した。図13は、本出願人が特開
昭64−73721号にて提案した、電子ビーム露光装
置の構成図を示す。同図は、露光装置における、渦電流
によるビーム偏向の補正システムを示している。図13
中、201はステージ、202は対物レンズ、203は
デフレクタを示す。
【0011】渦電流によるビーム偏向の補正値δX、δ
Yは下記の式にて表せる。
【0012】 δX=GX ・VX +RX ・VY δY=GY ・VY +RY ・VX 上記の式にて、VX 、VY はステージの速度を示し、G
X 、RX 、GY 、RYは実験的に求められた比例係数を
示す。図13のメモリ206には、上記式、の比例係
数、GX 、RX 、GY 、RY を保持している。
【0013】露光時には、中央処理装置(CPU)20
4がステージ201の位置と速度をステージ駆動ユニッ
ト205からの信号でモニタし、メモリ206から比例
係数、GX 、RX 、GY 、RY を読み込み、上記式によ
りビーム偏向の補正値δX、δYを算出する。この補正
値δX、δYを、D/A AMP207を介してデフレ
クタ203に加え、ビームを正しい位置に補正する。
【0014】この従来装置により、高スループットを維
持して、0.05μm以下の微細加工が、0.01μm
以下の位置合わせ精度で実現できた。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】近年、電子ビーム露光
装置においては、微細加工の一層の高精度化が必要とさ
れてきている。このため、対物レンズの中にステージを
配置する方法が考えられている。
【0016】対物レンズの中にステージを配置する方法
では、ウェハーに露光する電子ビームをシャープに収束
できる。また、ビームの収束半角が大きくとれるので、
大電流のビーム(〜5μA)においてもクーロン斥力に
よるボケが少ない。このため、微細加工の一層の高精度
化に有利である。
【0017】しかし、対物レンズの中にステージを配置
する場合、ウェハーの位置においての磁界は、ビーム軸
の方向に2000ガウス程度存在する。このため、ステ
ージのホルダ、その他の機構部に使用された微小な金属
片やメッキに流れる渦電流により発生する磁界のビーム
軸成分は、50〜100ミリガウス程度の大きさに達す
る。これにより起きるビームの偏向量は、2μm〜10
μmにも達する。
【0018】従来のビーム偏向の補正方法では、渦電流
による磁界を直接測定して補正値を求めるのではなく、
ステージの速度と補正値が一定の関係にあるものとし
て、ステージの速度から間接的に補正値を求めている。
【0019】しかし、ステージ上の金属の分布は一般に
不均一で、発生する渦電流もステージ上の場所によって
異なり、不均一である。従って、ステージの速度と補正
値は必ずしも一定の関係にならない。上記のことから、
従来の、速度から間接的に補正値を求める方法では、ス
テージ上の金属部分の不均一な分布等による誤差要因が
存在する。
【0020】このため、対物レンズの中にステージを配
置し、渦電流により発生する磁界が大きく、ビームの補
正値が大きくなる場合、従来のビーム偏向の補正方法で
は、誤差要因の影響が大きくなり、必要な精度が得られ
ない。補正を行っても、0.01μmの精度でビーム位
置を整列させることは困難で、0.2μm以上のビーム
位置ずれが生じてしまう。
【0021】本発明は、上記の点に鑑みてなされたもの
で、より微細なパターンの露光ができ、且つ、位置合わ
せ精度の向上を実現できる電子ビーム露光装置及び露光
方法を提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】図1は本発明の原理構成
図を示す。請求項1の発明は、対物レンズ32の中にス
テージ35を配置し、ステージ連続移動方式でステージ
35上のウェハーWに露光を行う電子ビーム露光装置で
あって、照射中心軸6と直交する面上に照射中心軸6に
対して対称位置に配置した2個の磁界検出器USX;U
SYからなる一組の磁界検出器USX;USYを、少な
くとも二組以上有し、上記ステージ35の移動時に、ス
テージ35、及びウェハーWに流れる渦電流により発生
する磁界を検出し、検出磁界に比例した磁界信号を出力
する磁界検出手段1と、磁界検出手段1が出力する磁界
信号を平均化して、照射中心O付近の磁界を算出し、中
心磁界信号を出力する中心磁界算出手段2と、中心磁界
算出手段2が出力する中心磁界信号に基づいて、電子ビ
ーム偏向補正信号を生成する補正信号生成手段3と、電
子ビーム偏向補正信号を供給されて、電子ビーム5の偏
向補正を行うビーム偏向手段4とを有する構成とする。
【0023】請求項2の発明では、中心磁界検出手段1
は、磁界検出器USX;USYが出力する磁界信号から
対物レンズ32の磁界による成分を取り除く磁界変動分
検出手段71を有する構成とする。
【0024】請求項3の発明では、対物レンズ32は、
対物レンズ32内に搬入されたウェハーWの上面に関し
て面対称な形状のポールピース83を有する構成とす
る。
【0025】請求項4の発明は、対物レンズ32の上レ
ンズ部32U のコイル82に流れる電流と、対物レンズ
32の下レンズ部32D のコイル82に流れる電流と
を、中心磁界信号が極小になるように調整する電流調整
手段74を更に有する構成とする。
【0026】請求項5の発明では、ステージ35は、絶
縁物を基体とする導電性セラミック製の本体を有する静
電チャック97を備えた構成とする。
【0027】請求項6の発明は、対物レンズ32の中に
ステージ35を配置し、ステージ連続移動方式でステー
ジ35上のウェハーWに露光を行う電子ビーム露光方法
であって、上記ステージ35の移動時に、ステージ3
5、及びウェハーWに流れる渦電流により発生する磁界
を、照射中心軸6に対する対称位置にて検出し、検出磁
界を平均化して、照射中心O付近の磁界を求め、照射中
心O付近の磁界に基づき、電子ビーム偏向の補正値を求
め、電子ビーム偏向の補正値により、電子ビーム5の偏
向を補正する構成とする。
【0028】
【作用】請求項1の発明の、対物レンズ32中にステー
ジ35を配置した構成は、電子ビーム5の解像度を高く
する。また、渦電流による照射中心O付近の磁界を算出
して、電子ビーム偏向を補正する構成は、電子ビーム偏
向の補正を高精度化する。
【0029】請求項2の発明では、中心磁界算出手段2
の磁界変動分検出手段71が、対物レンズ32の磁界に
よる成分を除去しているため、中心磁界算出手段2は、
より精密な中心磁界を算出する。
【0030】請求項3の発明の、対物レンズ32がウェ
ハーWの上面に関して面対称な形状のポールピース83
を有する構成は、ステージ35付近の対物レンズ32の
磁界をより均一化し、ステージ35及びウエハーWに流
れる渦電流を小さくし、渦電流により発生する磁界を小
さくする。
【0031】請求項4の発明では、電流調整手段74
は、対物レンズ32の上レンズ部32 U のコイル82に
流れる電流と、対物レンズ32の下レンズ部32D のコ
イル82に流れる電流とを、中心磁界信号が極小になる
ように調整する。
【0032】請求項5の発明の、ステージ35が、絶縁
物を基体とする導電性セラミック製の本体を有する静電
チャック97を備える構成は、静電チャック97に流れ
る渦電流を小さくし、渦電流により発生する磁界を小さ
くする。
【0033】
【実施例】〔本発明の電子ビーム露光装置の全体の構
成〕以下に本発明の実施例である電子ビーム露光装置の
全体の構成について説明する。図2は本発明の第1実施
例の構成図を示す。本実施例の電子ビーム露光装置は、
ブロック露光の可能な電子ビーム露光装置で、露光部1
0は制御部50とに大きく分けられる。
【0034】先ず、露光部10について説明する。露光
部10は、電子ビームを発生し、スポット状もしくはパ
ターン状に整形し、露光対象物の所望位置に露光する部
分である。制御部50は、露光部10を制御する信号を
形成する部分である。なお、露光部10の下には露光対
象物であるウエハーWを載置するステージ35がある。
【0035】まず、露光部10について説明する。カソ
ード電極11から発生した電子は、グリッド電極12お
よびアノード電極13によって引出される。これらの電
極11,12,13が電子ビーム発生源14を構成す
る。
【0036】電子ビーム発生源14から発生した電子ビ
ームは、たとえば矩形状開口を有する第1のスリット1
5によって整形され、電子ビームを集束する第1の電子
レンズ16を通過し、透過マスク20上のビーム照射位
置を修正偏向するためのスリットデフレクタ17に入射
する。スリットデフレクタ17は、修正偏向信号S1に
よって制御される。
【0037】電子ビームを所望のパターンに整形するた
めに、矩形開口や所定パターンのブロックパターン開口
等の複数の透過孔を有する透過マスク(ステンシルマス
ク)20を用いる。
【0038】スリットデフレクタ17を通過した電子ビ
ームは、対向して設けられた第2の電子レンズ18、第
3の電子レンズ19、これらの電子レンズ間に水平方向
に移動可能に装着された透過マスク20、透過マスク2
0の上および下に配置され、それぞれ位置情報P1〜P
4に応じて、電子ビームを偏向し、透過マスク20上の
透過孔の1つを選択する第1〜第4の偏向器21〜24
を含む電子ビーム整形部を通って所望パターンに整形さ
れる。
【0039】整形された電子ビームは、ブランキング信
号SBを印加されるブランキング電極25によって遮
断、もしくは通過される。ブランキング電極25を通過
した電子ビームは、第4の電子レンズ26、アパーチャ
27、リフォーカスコイル28、第5の電子レンズ29
によって調整され、フォーカスコイル30に入射する。
フォーカスコイル30は、電子ビームをウエハーW上に
フォーカスさせる機能を有する。また、スティグコイル
31は、非点収差を修正する。
【0040】電子ビームは、さらに対物レンズである第
6の電子レンズ32、露光位置信号S2,S3に応じて
ウエハーW上の位置決めを行なうメインデフレクタ3
3、および静電偏向器であるサブデフレクタ34によっ
てその位置を制御され、ウエハーW上の所望位置に照射
される。
【0041】なお、ウエハーWは、XY方向に移動可能
なステージ35に載置され、移動される。また、露光部
10には、さらに第1〜第4のアラインメントコイル3
6,37,38,39が設けられている。
【0042】また、対物レンズ32のコイルに流れる電
流を調整する電流調整回路74が設けられている。ま
た、後述する、補正値の算出のための比例係数を求める
ための、走査顕微鏡(SEM)デフレクタ41とSEM
制御回路42が設けられている。
【0043】次に、制御部50について説明する。制御
部50は、メモリ51、CPU52を有する。集積回路
装置の設計データは、メモリ51に記憶され、CPU5
2によって読み出され、処理される。CPU52は、そ
の他電子ビーム露光装置全体を制御する。
【0044】インターフェース53は、CPU52によ
って取り込まれた描画情報、たとえばパターンを描画す
べきウェハーW上の描画位置情報、および透過マスク2
0のマスク情報等の各種情報等を転送する。データメモ
リ54は、インターフェース53から転送された描画パ
ターン情報およびマスク情報を記憶保持する。
【0045】パターン制御コントローラ55は、データ
メモリ54から描画パターン情報およびマスク情報を受
け、それらに従って透過マスクの透過孔の1つを指定
し、その指定透過孔の透過マスク上での位置を示す位置
信号P1〜P4を発生する。また、描画すべきパターン
形状と指定透過孔形状との形状差に応じた補正値Hを演
算する処理を含む各種処理を行なう。
【0046】デジタル・アナログ変換器機能および増幅
器機能を有するアンプ部56は、補正値Hを受け、修正
偏向信号S1を生成する。マスク移動機構57は、パタ
ーン制御コントローラ55からの信号に従い、必要に応
じて透過マスク20を移動させる。
【0047】ブランキング制御回路58は、パターン制
御コントローラ55からの信号に応じて、デジタル・ア
ナログ変換器機能、および増幅器機能を有するアンプ部
59を制御し、ブランキング信号SBを発生させる。
【0048】シーケンスコントローラ60は、インター
フェイス53から描画位置情報を受け、描画処理シーケ
ンスを制御する。ステージ移動機構61は、シーケンス
コントローラ60からの信号に応じて、必要に応じてス
テージ35を移動させる。
【0049】このステージ35の移動は、レーザ干渉計
62によって検出され、偏向制御回路63に供給され
る。偏向制御回路63は、ウェハW上の露光位置を演算
し、露光位置信号S2,S3を発生するアンプ部64,
65に信号を供給すると共に、シーケンスコントローラ
60にも信号を供給する。なお、アンプ部64,65
は、それぞれデジタル・アナログ変換器機能、および増
幅器機能を有する。
【0050】電子ビーム露光においては、電磁偏向器で
あるメインデフレクタ33によって2〜10mm□の偏
向フィールドをビーム偏向し、静電偏向器であるサブデ
フレクタ34によって、100μm□程度のサブフィー
ルドを偏向する。
【0051】パターンデータは、CPU52によってメ
モリ51から読み出され、データメモリ54に転送さ
れ、ここに蓄積される。データメモリ54から読み出さ
れたパターンデータによって、パターン制御コントロー
ラ55はパターンを各ショットごとに分解する。
【0052】各ショットに分解されたパターンデータ
は、メインデフレクタ33用のデータ、サブデフレクタ
34用のデータ、スリットデフレクタ17用のデータ、
ブランキング信号SB等に分離され、電子ビームを偏向
制御する。
【0053】磁界検出手段1は、磁界検出器USX,U
SY,DSX,DSYから構成され、中心磁界算出手段
2は、磁界変動分検出回路71、及び中心磁界演算回路
72から構成される。また、補正信号生成手段3は、補
正信号算出回路73、及びアンプ部65から構成され
る。また、サブデフレクタ34がビーム偏向手段4であ
る。
【0054】磁界検出器USX,USY,DSX,DS
Yは、ステージ35の移動時に、ステージ35、及びウ
エハーWに流れる渦電流により発生する磁界を検出し、
磁界信号として出力する。
【0055】磁界変動分検出回路71は、磁界検出器U
SX,USY,DSX,DSYから供給される磁界信号
から対物レンズ32の磁界の成分を除去し、ステージ3
5の移動により発生する磁界の成分のみを取り出す。中
心磁界演算回路72は、磁界変動分検出回路71から供
給される信号を基に、照射中心O付近の磁界を演算して
中心磁界信号を出力する。
【0056】補正信号算出回路73は中心磁界演算回路
72から供給される中心磁界信号を基に電子ビーム偏向
の補正値を算出し、電子ビーム偏向補正信号をアンプ部
65に供給する。アンプ部65は、補正信号算出回路7
3から供給された電子ビーム偏向補正信号に基づき補正
をした露光位置信号S3を出力し、サブデフレクタ34
に供給する。これにより、ステージ35の移動時に、ス
テージ35、及びウエハーWに流れる渦電流により発生
する磁界により偏向された電子ビームを、本来の正しい
位置に補正する。
【0057】〔第1実施例の要部について〕以下に電子
ビーム偏向の補正を行う本実施例の要部について説明す
る。図3は本発明の第1実施例の要部の説明図を示す。
図3において、対物レンズ32は、上レンズ部32U
下レンズ部32D とからなり、イマージョンレンズを構
成している。上レンズ部32U と下レンズ部32D は同
一形状のポールピース83を有し、ステージ35に載せ
たウエハーWの上面(ウエハーWの金属薄膜面)に対し
て面対称に配置してある。
【0058】対物レンズ32の中にステージ35を配置
しているので、ウェハーWに露光する電子ビーム5をシ
ャープに収束でき、球面収差と色収差が極端に小さくで
きる。また、電子ビーム5の収束半角が大きくとれるの
で、大電流の電子ビーム(〜5μA)においてもクーロ
ン斥力によるボケが少ない。このため、微細加工の一層
の高精度化ができる。
【0059】また、上記の上レンズ部32U のポールピ
ース83と下レンズ部32D のポールピース83の対称
性から、対物レンズ32の磁束はウエハーWと垂直に交
わり、ウエハーWの位置で最大となる。このため、ステ
ージ35の移動時にステージ35、及びウエハーWの金
属薄膜に流れる渦電流が極小化され、渦電流により発生
する磁界も極小化される。従って、電子ビーム偏向の補
正量を小さくでき、電子ビーム5の位置合わせ精度を向
上させることができる。
【0060】また、上レンズ部32U のコイル82、及
び下レンズ部32D のコイル82の電流は、電流調整回
路74により、ステージ35のウェハーW上の磁界が最
も均一になるように調整される。実際には、ステージ3
5移動時に、後述する中心磁界信号が極小になるように
コイル82の電流を調整する。
【0061】この電流の調整により、対物レンズ32の
磁界は、最も均一で最適な状態に設定される。従って、
電子ビーム偏向の補正値を最も小さい状態に設定でき、
電子ビーム5の位置合わせ精度を向上させることができ
る。
【0062】〔ウエハーW上の照射中心O付近の磁界を
求める原理〕ウェハーW上の照射中心Oに磁界検出器を
配置すれば、照射中心Oの磁界を検出することができ
る。しかし、この配置は、電子ビーム5の露光を妨害し
てしまいできない。そこで、以下に説明するように、照
射中心Oの周囲の箇所で磁界を測定し、その結果から照
射中心Oの磁界を求めている。
【0063】以下に、ウエハーW上の照射中心O付近の
磁界を求める原理について説明する。図4はステージ3
5、及びウエハーWの渦電流により発生した磁界を検出
するための磁界検出器USX,USY,DSX,DSY
の配置を示す。磁界検出器としては、例えば、ホール素
子を用いる。
【0064】図4(A)はステージ35の上部で、上レ
ンズ部32U のポールピース83付近に配置したUSX
1 〜USX4 、USY1 〜USY4 の配置を示し、図4
(B)はステージ35の下部で、下レンズ部32D のポ
ールピース83付近に配置したDSX1 〜DSX4 、D
SY1 〜DSY4 の配置を示す。図4はステージ35の
上方から見た図である。
【0065】USX1 〜USX4 、DSX1 〜DSX4
は図4のX方向の磁界を検出する向きに配置し、USY
1 〜USY4 、DSY1 〜DSY4 は、図4のY方向の
磁界を検出する向きに配置してある。
【0066】図4に示すように、USX1 とUSX3
USY1 とUSY3 は、照射中心軸6と直交する面上に
あり、Y軸方向と平行な軸上、照射中心軸6上の点O1
に対して対称な位置に配置してある。なお、USX1
USX3 、USY1 、USY 3 は点O1 より等距離sの
位置に配置してある。
【0067】また、USX2 とUSX4 、USY2 とU
SY4 は、照射中心軸6と直交する面上にあり、X軸方
向と平行な軸上、照射中心軸6上の点O1 に対して対称
な位置に配置してある。なお、USX2 、USX4 、U
SY2 、USY4 は点O1 より等距離sの位置に配置し
てある。
【0068】同様に、DSX1 とDSX3 、DSY1
DSY3 は、照射中心軸6と直交する面上にあり、Y軸
方向と平行な軸上、照射中心軸6上の点O2 に対して対
称な位置に配置してある。なお、DSX1 、DSX3
DSY1 、DSY3 は、点O 2 より等距離sの位置に配
置してある。
【0069】また、DSX2 とDSX4 、DSY2 とD
SY4 は照射中心軸6と直交する面上にあり、X軸方向
と平行な軸上、照射中心軸6上の点O2 に対して対称な
位置に配置してある。なお、DSX2 、DSX4 、DS
2 、DSY4 は点O2 より等距離sの位置に配置して
ある。
【0070】ここで、照射中心Oの磁界HX Y は下記
式で表せる。
【0071】 HX =A+B・X+C・Y+D・(X2 −Y2 )+E・X・Y −− 第4項と第5項は、磁界の方程式から出るものである。
磁界検出器USX1 の位置でのX方向の磁界UX1 は、
式で、X=0,Y=sとおけるので、下記の式で表せ
る。
【0072】UX1 =A+C・s−D・s2 磁界検出器USX3 の位置でのX方向の磁界UX3 は、
式で、X=0,Y=−sとおけるので、下記の式で表
せる。
【0073】UX3 =A−C・s−D・s2 従って、UX1 +UX3 は、下記の式で表せる。
【0074】UX1 +UX3 =2・A−2・D・s2 同様にして、磁界検出器USX2 の位置でのX方向の磁
界をUX2 とし、磁界検出器USX4 の位置でのX方向
の磁界をUX4 とすると、UX2 +UX4 は、下記の式
で表せる。
【0075】UX2 +UX4 =2・A+2・D・s2 上記のUX1 +UX3 、UX2 +UX4 の2式から、
A、即ち、点O1 でのX方向の磁界HX U を求めると、
下記式で表せる。
【0076】 A=HX U =(UX1 +UX3 +UX2 +UX4 )/4 −− 同様にして、点O2 でのX方向の磁界HX D を求めると
下記式で表せる。
【0077】 HX D =(DX1 +DX3 +DX2 +DX4 )/4 −− 式と式から電子ビーム照射中心OでのX方向の磁界
X は、下記式で表せる。
【0078】 HX =(UX1 +UX3 +UX2 +UX4 +DX1 +DX3 +DX2 +DX4 )/8 −− Y方向の磁界もX方向の磁界と同様にして求められる。
点O1 でのY方向の磁界HY U を求めると、下記式で
表せる。
【0079】 HY U =(UY1 +UY3 +UY2 +UY4 )/4 −− 点O2 でのX方向の磁界HX D を求めると、下記式で
表せる。
【0080】 HY D =(DY1 +DY3 +DY2 +DY4 )/4 −− 式と式から電子ビーム照射中心OでのY方向の磁界
Y は、下記式で表せる。
【0081】 HY =(UY1 +UY3 +UY2 +UY4 +DY1 +DY3 +DY2 +DY4 )/8 −− 電子ビーム偏向の補正値の算出は、式、式で求まる
X U とHY U 、または、式、式で求まるHX とH
Y を基に行う。本実施例では、式、式で求まるHX
とHY を基に、電子ビーム偏向の補正値の算出を行って
いる。
【0082】図5は、ステージ35の照射中心付近の各
位置でのX方向の磁界を示す。図5で、磁界検出器US
3 の位置での磁界UX3 と、磁界検出器USX1 の位
置での磁界UX1 とを結ぶ線は、磁界検出器USX3
磁界検出器USX1 の位置を結ぶY軸と平行な線上の、
各位置でのX軸方向の磁界を示す。
【0083】また、磁界検出器USX2 の位置での磁界
UX2 と、磁界検出器USX4 の位置での磁界UX4
を結ぶ線は、磁界検出器USX2 と磁界検出器USX4
の位置を結ぶX軸と平行な線上の、各位置でのX軸方向
の磁界を示す。図5で、点O 1 の位置での磁界がHX U
となる。
【0084】〔電子ビーム偏向補正のための各回路〕次
に、磁界検出器USX1 〜USX4 、USY1 〜USY
4 、DSX1 〜DSX4 、DSY1 〜DSY4 が出力す
る磁界信号からHX 、HY を算出する、磁界変動分検出
回路71及び中心磁界演算回路72、HX 、HY から電
子ビーム偏向の補正信号を生成する補正信号算出回路7
3及びアンプ部65について説明する。
【0085】図6は磁界変動分検出回路71の一部の回
路図を示す。図6では、磁界検出器USX1 から信号を
供給されて、磁界検出器USX1 の位置での渦電流によ
る磁界UX1 に相当する磁界信号を出力する回路を示
す。なお、他の磁界検出器の位置での渦電流による磁界
UX2 〜UX4 、DX1 〜DX4 、UY1 〜UY4 、D
1 〜DY4 に相当する磁界信号を出力する回路は、図
6の回路と同様の回路で、磁界変動分検出回路71の中
にこれらの回路が含まれる。
【0086】磁界検出器USX1 の出力信号は、増幅器
101を介して差動増幅器102の一方の入力端子に供
給される。差動増幅器102の他方の入力端子には、可
変抵抗103により電源電圧+VCC、−VCCを分圧して
設定した電圧が入力される。
【0087】ステージ35が停止しているときは、磁界
検出器USX1 は、対物レンズ32の磁界のX方向成分
を検出して出力する。この対物レンズ32によるX方向
の磁界は、検出したい渦電流による磁界ではなく、UX
1 の誤差成分となる。ステージ35が停止しているとき
に、可変抵抗103を調整して、差動増幅器102の出
力電圧が0になるように設定することで、この対物レン
ズ32の磁界による成分が取り除かれる。
【0088】従って、差動増幅器102は、対物レンズ
32の磁界による成分が取り除かれた、より精度の高
い、渦電流による磁界UX1 に相当する信号を出力す
る。
【0089】図7は中心磁界演算回路72の回路図を示
す。この回路で前記式で表せるH X 、及び式で表せ
るHY を算出する。演算増幅器105と抵抗Rによる加
算回路で、渦電流による磁界信号UX1 〜UX4 は加算
後、1/4にされて、演算増幅器105の出力端子から
は、(UX1 +UX3 +UX2 +UX4 )/4の信号が
出力される。
【0090】また、演算増幅器106と抵抗Rによる加
算回路で、渦電流による磁界信号DX1 〜DX4 は加算
後、1/4にされて、演算増幅器106の出力端子から
は、(DX1 +DX3 +DX2 +DX4 )/4の信号が
出力される。
【0091】演算増幅器107と抵抗Rによる加算回路
で、演算増幅器105と演算増幅器106の出力信号が
加算されて、演算増幅器107の出力端子からは、(U
1 +UX3 +UX2 +UX4 +DX1 +DX3 +DX
2 +DX4 )/8の信号、即ち、HX に相当する信号が
が出力される。
【0092】この信号は、後述する電子ビーム偏向の補
正値の演算のためにA/D変換回路108でA/D変換
され、レジスタHX 109を介して、デジタル値である
Xとして出力される。
【0093】一方、HY も同様に算出される。演算増幅
器125と抵抗Rによる加算回路で、渦電流による磁界
信号UY1 〜UY4 は加算後、1/4にされて、演算増
幅器125の出力端子からは、(UY1 +UY3 +UY
2 +UY4 )/4の信号が出力される。
【0094】また、演算増幅器126と抵抗Rによる加
算回路で、渦電流による磁界信号DY1 〜DY4 は加算
後、1/4にされて、演算増幅器126の出力端子から
は、(DY1 +DY3 +DY2 +DY4 )/4の信号が
出力される。
【0095】演算増幅器127と抵抗Rによる加算回路
で、演算増幅器125と演算増幅器126の出力信号が
加算されて、演算増幅器127の出力端子からは、(U
1 +UY3 +UY2 +UY4 +DY1 +DY3 +DY
2 +DY4 )/8の信号、即ち、HY に相当する信号が
が出力される。
【0096】この信号は、A/D変換回路128でA/
D変換され、レジスタHY 129を介して、デジタル値
であるHY として出力される。
【0097】次に、補正信号生成手段3である補正信号
算出回路73とアンプ部65に付いて説明する。図8は
補正信号算出回路73とアンプ部65の構成図を示す。
補正信号算出回路73では、電子ビーム偏向のX方向の
補正値δX、Y方向の補正値δYを下記の式で求めてい
る。
【0098】 δX=GX ・HX +RX ・HY −− δY=GY ・HY +RY ・HX −− ここで、GX ,RX ,GY ,RY は後述する実験的方法
により求めた比例係数である。図8の掛け算回路152
は、入力端子に、GX レジスタ151から比例係数GX
を供給され、中心磁界演算回路72から信号HX を供給
され、信号GX・HX を出力端子から出力する。また、
掛け算回路154は、入力端子に、RXレジスタ153
から比例係数RX を供給され、中心磁界演算回路72か
ら信号H Y を供給され、信号RX ・HY を出力端子から
出力する。加算回路155は、掛け算回路152と掛け
算回路154から供給される上記の信号GX ・HX と信
号RX ・HY を加算して、電子ビーム偏向のX方向の補
正値である δX=GX ・HX +RX ・HY を出力する。
【0099】δYも同様にして算出される。掛け算回路
159は、入力端子に、GY レジスタ158から比例係
数GY を供給され、中心磁界演算回路72から信号HY
を供給され、信号GY ・HY を出力端子から出力する。
また、掛け算回路157は、入力端子に、RY レジスタ
156から比例係数RY を供給され、中心磁界演算回路
72から信号HX を供給され、信号RY ・HX を出力端
子から出力する。加算回路160は、掛け算回路159
と掛け算回路157から供給される上記の信号GY ・H
Y と信号RY ・HX を加算して、電子ビーム偏向のY方
向の補正値である δY=GY ・HY +RY ・HX を出
力する。
【0100】アンプ部65の加算回路161は、X方向
露光位置信号と上記の電子ビーム偏向のX方向の補正値
δXを加算して、補正したX方向露光位置信号を出力す
る。この補正したX方向露光位置信号は、D/A変換回
路162でアナログ信号に変換された後、アンプ163
を介して、サブデフレクタ34のX方向の偏向器に供給
される。
【0101】また、加算回路164は、Y方向露光位置
信号と上記の電子ビーム偏向のY方向の補正値δYを加
算して、補正したY方向露光位置信号を出力する。この
補正したY方向露光位置信号は、D/A変換回路162
でアナログ信号に変換された後、アンプ163を介し
て、サブデフレクタ34のY方向の偏向器に供給され
る。
【0102】このようにして、サブデフレクタ34に
は、ステージ35及びウエハーWに流れる渦電流により
生じた磁界による偏向分を補正した露光位置信号が供給
される。
【0103】上記のように、本実施例では、ステージ3
5及びウエハーWに流れる渦電流により生じた磁界を直
接、磁界検出器で検出し、この磁界から照射中心の磁界
を算出し、この照射中心の磁界に応じた電子ビーム偏向
の補正信号を算出して、サブデフレクタ34に供給して
いる。
【0104】このため、ステージ移動時に、電子ビーム
偏向の補正を高精度に行うことができ、ウエハーWの正
しい露光位置に正確に電子ビーム5を露光することがで
きる。本実施例では、0.005μmの高精度な位置合
わせ精度を実現できる。
【0105】〔補正値を求めるための比例定数の求め
方〕以下にδX、δYの算出式の比例係数の求め方につ
いて説明する。図9は比例係数を求める方法の説明図を
示す。図9は、図2の実施例に、支持アーム45、測定
用基板46からなる比例係数測定用の治具を取り付けた
状態での要部を示す。
【0106】測定用基板46はシリコンでできており、
上面にタンタルのテストパターン47が形成されてい
る。支持アーム45は非磁性体で、対物レンズ32の上
レンズ部32U に取付られており、脱着が可能である。
測定用基板46はステージ35と平行で、ステージ35
と近接した位置に配置してある。
【0107】43は反射電子検出器で、電子ビーム5の
反射された電子、及び電子ビーム5により生成された2
次電子を検出する。41は走査顕微鏡(SEM)デフレ
クタで、走査顕微鏡(SEM)制御回路42の制御のも
とで、電子ビーム5を走査する。
【0108】CRT44は、SEM制御回路42より、
SEMデフレクタ41による電子ビーム5の走査と同期
した信号を供給され、SEMデフレクタ41による電子
ビーム5の走査と同期して走査される。また、CRT4
4は、反射電子検出器43の出力信号を輝度制御端子に
供給される。
【0109】図10はテストパターン47とテストパタ
ーン47のCRT44による表示画面を示す。テストパ
ターン47は、図10に示すように、十字の形状で、寸
法としては、例えば、パターン幅5μm、中心から端ま
での長さ20μmとする。
【0110】測定用基板46のシリコンと、テストパタ
ーン47とでは、電子の反射係数が異なる。このため、
電子ビーム5がテストパターン47を照射しているとき
と、テストパターン47以外の部分を照射しているとき
とで、反射電子検出器43で集められる電子の数量が異
なり、反射電子検出器43の出力信号は、この電子の数
量に応じて変化する。
【0111】従って、SEM制御回路42の制御のもと
で、SEMデフレクタ41により電子ビーム5を走査す
ると、図10に示すように、CRTの画面には、十字の
テストパターン47とテストパターン47以外の部分と
が、異なる輝度で表示される。
【0112】以下に、比例係数を求める手順について説
明する。先ず、ステージ35を停止させた状態で、SE
Mデフレクタ41により電子ビーム5を走査し、CRT
44の画面上にテストパターン47を表示させる。この
とき、電子ビーム5の走査範囲を調整し、CRT44の
画面上のテストパターン47の大きさを、電子ビーム偏
向量の測定に適切な大きさに設定する。
【0113】次に、ステージ35をX方向、又は、Y方
向に移動させると、ステージ35に流れる渦電流により
生じる磁界により電子ビーム5が偏向されて、CRT画
面上では、図10点線、47bのように表示される。電
子ビーム偏向の補正値をδX、δYとすると、渦電流に
よる偏向量は、図10に示すように、−δX、−δYと
なる。
【0114】ステージ35を、X方向、又は、Y方向に
一定速度で移動させた状態で、CRT画面上で、テスト
パターン47の表示位置が、ステージ35が停止してい
るときの位置にくるように、補正信号算出回路73のG
X レジスタ151、RX レジスタ153、GY レジスタ
158、RY レジスタ156の値を調整する。
【0115】このとき、−δXを0にするには、GX
ジスタ151とRX レジスタ153を調整し、−δYを
0にするには、GY レジスタ158、RY レジスタ15
6を調整する。この各レジスタの調整値が、比例係数G
X 、RX 、GY 、RY の値である。
【0116】なお、比例係数の求め方としては、−δ
X、−δYをCRTの画面から直接測り、渦電流による
磁界HX 、HY の値を、中心磁界演算回路72の出力値
から得て、δX、δYの算出式から求める方法も可能で
ある。
【0117】〔ステージの構成〕以下にステージ35の
構成について説明する。図11は本実施例のXYステー
ジの一例を示す。図11に示すように、イマージョンレ
ンズである対物レンズ32の上レンズ部32U 、下レン
ズ部32D の間に、Yステージ35a、Xステージ35
bを配置している。
【0118】図11において、Xステージ35bには、
ガイドレール90がY方向に配置されており、Yステー
ジ35aのローラ89がガイドレール90をはさんでい
る。ローラ89はローラ駆動部91により駆動され、こ
れによりYステージ35aがY方向に移動される。ま
た、ローラ88が、Xステージ35bの上面に接してお
り、Yステージ35aを支持している。
【0119】また、台93には、ガイドレール94がX
方向に配置されており、Xステージ35bのローラ95
がガイドレール94をはさんでいる。ローラ95はロー
ラ駆動部96により駆動され、これによりXステージ3
5bがX方向に移動される。また、ローラ92が、台9
3の上面に接しており、Xステージ35bを支持してい
る。
【0120】Yステージ35aの位置、及び速度は、レ
ーザ干渉計62から発せられるレーザのミラー87によ
る反射光を、レーザ干渉計62により測定することで把
握できる。Xステージ35bの位置、及び速度も同様に
して、レーザ干渉計62により把握できる。
【0121】また、ステージ35には、静電チャック9
7を備えている。静電チャック97の本体は、絶縁物を
基体とする導電性セラミック製のため、ステージ35移
動時に静電チャック97に生じる渦電流が小さく、電子
ビーム偏向の補正値を小さくする。従って、位置合わせ
精度を、より向上させることができる。
【0122】〔第2実施例について〕以下に本発明の第
2実施例について説明する。図12は本発明の第2実施
例の要部の説明図を示す。同図中、図3と同一構成部分
には、同一符号を付し、適宜説明を省略する。第2実施
例は、第1実施例と、対物レンズ32の構成だけが異な
り、他の部分は同一である。
【0123】図12に示すように、第2実施例では、対
物レンズ32を上レンズ部32U とフェライト製のポー
ルピース86とから構成している。このため、対物レン
ズ32を上レンズ部32U 、及び下レンズ部32D とか
ら構成している第1実施例よりも構造が簡単になる。
【0124】なお、本発明は、上記実施例のブロック露
光に限定されるものではなく、ステージ連続移動の露光
方式であれば、他の方式、例えば、ブランキングアパチ
ャーアレー方式にも同様に適用しうる。
【0125】
【発明の効果】上述の如く、請求項1の発明によれば、
電子ビームの解像度を高くし、且つ、電子ビーム偏向の
補正を高精度化するため、従来装置に比べて、より微細
なパターンの露光ができ、且つ、位置合わせ精度の向上
を実現できる等の特長を有する。
【0126】請求項2の発明によれば、中心磁界算出手
段2が、より精密な中心磁界を算出するため、より高い
位置合わせ精度を実現できる。
【0127】請求項3の発明によれば、渦電流により発
生する磁界を小さくし、電子ビーム偏向の補正値を小さ
くするため、より高い位置合わせ精度を実現できる。
【0128】請求項4の発明によれば、電流調整手段
は、対物レンズの上レンズ部のコイルに流れる電流と、
対物レンズの下レンズ部のコイルに流れる電流とを、中
心磁界信号が極小になるように調整し、電子ビーム偏向
の補正値を小さくするため、より高い位置合わせ精度を
実現できる。
【0129】請求項5の発明によれば、静電チャックに
流れる渦電流により発生する磁界を小さくし、電子ビー
ム偏向の補正値を小さくするため、より高い位置合わせ
精度を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理構成図である。
【図2】本発明の第1実施例の構成図である。
【図3】本発明の第1実施例の要部の説明図である。
【図4】磁界検出器の配置を示す図である。
【図5】ステージ付近での各位置でのX方向の磁界を示
す図である。
【図6】磁界変動分検出回路の一部の回路図である。
【図7】中心磁界演算回路の回路図である。
【図8】補正信号算出回路の回路図である。
【図9】比例定数を求める方法の説明図である。
【図10】テストパターンとCRTの画面の説明図であ
る。
【図11】ステージの一例を示す図である。
【図12】本発明の第2実施例の要部の説明図である。
【図13】従来装置の構成図である。
【符号の説明】
1 磁界検出手段 2 中心磁界算出手段 3 補正信号生成手段 4 ビーム偏向手段 5 電子ビーム 6 照射中心軸 32 対物レンズ 33 メインデフレクタ 34 サブデフレクタ 35 ステージ 41 SEMデフレクタ 42 SEM制御回路 43 反射電子検出器 44 CRT 45 支持アーム 46 測定基板 47 テストパターン 65 アンプ部 71 磁界変動分検出回路 72 中心磁界演算回路 73 補正信号算出回路 74 電流調整回路 81 磁性体 82 コイル 83 ポールピース 86 ポールピース 97 静電チャック
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 阿部 智彦 神奈川県川崎市中原区上小田中1015番地 富士通株式会社内 (72)発明者 西野 久泰 神奈川県川崎市中原区上小田中1015番地 富士通株式会社内 (56)参考文献 特開 昭64−73721(JP,A) 特開 昭60−74618(JP,A) 特開 昭60−10723(JP,A) 特開 昭58−103755(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 21/027 G03F 7/20 504 G03F 7/20 521

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 対物レンズ(32)の中にステージ(3
    5)を配置し、ステージ連続移動方式でステージ(3
    5)上のウェハー(W)に露光を行う電子ビーム露光装
    置であって、 照射中心軸(6)と直交する面上に該照射中心軸(6)
    に対して対称位置に配置した2個の磁界検出器(US
    X;USY)からなる一組の磁界検出器(USX;US
    Y)を、少なくとも二組以上有し、上記ステージ(3
    5)の移動時に、該ステージ(35)、及び該ウェハー
    (W)に流れる渦電流により発生する磁界を検出し、該
    検出磁界に比例した磁界信号を出力する磁界検出手段
    (1)と、 該磁界検出手段(1)が出力する該磁界信号を平均化し
    て、照射中心(O)付近の磁界を算出し、中心磁界信号
    を出力する中心磁界算出手段(2)と、 該中心磁界算出手段(2)が出力する中心磁界信号に基
    づいて、電子ビーム偏向補正信号を生成する補正信号生
    成手段(3)と、 該電子ビーム偏向補正信号を供給されて、電子ビーム
    (5)の偏向補正を行うビーム偏向手段(4)とを有す
    る構成としたことを特徴とする電子ビーム露光装置。
  2. 【請求項2】 前記中心磁界検出手段(1)は、前記磁
    界検出器(USX;USY)が出力する磁界信号から対
    物レンズ(32)の磁界による成分を取り除く磁界変動
    分検出手段(71)を有する構成としたことを特徴とす
    る請求項1記載の電子ビーム露光装置。
  3. 【請求項3】 前記対物レンズ(32)は、前記対物レ
    ンズ(32)内に搬入されたウェハー(W)の上面に関
    して面対称な形状のポールピース(83)を有する構成
    としたことを特徴とする請求項1記載の電子ビーム露光
    装置。
  4. 【請求項4】 前記対物レンズ(32)の上レンズ部
    (32U )のコイル(82)に流れる電流と、前記対物
    レンズ(32)の下レンズ部(32D )のコイル(8
    2)に流れる電流とを、前記中心磁界信号が極小になる
    ように調整する電流調整手段(74)を更に有する構成
    としたことを特徴とする請求項1記載の電子ビーム露光
    装置。
  5. 【請求項5】 前記ステージ(35)は、絶縁物を基体
    とする導電性セラミック製の本体を有する静電チャック
    (97)を備えた構成としたことを特徴とする請求項1
    記載の電子ビーム露光装置。
  6. 【請求項6】 対物レンズ(32)の中にステージ(3
    5)を配置し、ステージ連続移動方式でステージ(3
    5)上のウェハーWに露光を行う電子ビーム露光方法で
    あって、 上記ステージ(35)の移動時に、該ステージ(3
    5)、及び該ウェハー(W)に流れる渦電流により発生
    する磁界を、照射中心軸(6)に対する対称位置にて検
    出し、 該検出磁界を平均化して、照射中心(O)付近の磁界を
    求め、 該照射中心(O)付近の磁界に基づき、電子ビーム偏向
    の補正値を求め、 該電子ビーム偏向の補正値により、電子ビーム(5)の
    偏向を補正する構成としたことを特徴とする電子ビーム
    露光方法。
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