JPH06204127A - 荷電粒子ビーム露光装置の熱補償用電流の決定方法 - Google Patents

荷電粒子ビーム露光装置の熱補償用電流の決定方法

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JPH06204127A
JPH06204127A JP133593A JP133593A JPH06204127A JP H06204127 A JPH06204127 A JP H06204127A JP 133593 A JP133593 A JP 133593A JP 133593 A JP133593 A JP 133593A JP H06204127 A JPH06204127 A JP H06204127A
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current
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thermal compensation
particle beam
drift amount
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JP133593A
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Nobuyuki Yasutake
信幸 安武
Hidenori Takenaka
秀則 竹中
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Fujitsu Ltd
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Fujitsu Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 熱補償コイルの補償電流を正確に決定し、電
磁偏向コイルの発熱に起因する電子ビームの位置ドリフ
トを小さくし、位置合わせ精度を向上させる。 【構成】 電磁偏向手段近傍に配置される複数の部分熱
補償手段を有し熱補償用電流により駆動される熱補償手
段と、電磁偏向手段に供給する駆動電流に対応して荷電
粒子ビームの照射位置のずれを補正するために熱補償用
電流を制御する制御回路と、を有する荷電粒子ビーム露
光装置の熱補償用電流の決定方法であって、各部分熱補
償手段に供給される熱補償用電流をそれぞれ独立に変化
させて、その時の荷電粒子ビームのドリフト量を測定し
ドリフト量マップを作成するドリフト量測定工程と、得
られた複数のドリフト量のうち最小のドリフト量に対応
する熱補償用電流の組合わせを各部分熱補償手段に供給
する熱補償用電流の組合わせとして決定する熱補償電流
決定工程と、を備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、荷電粒子ビーム露光装
置の熱補償用電流の決定方法に関する。微細なLSIパ
ターンを描画する装置として電子ビーム露光装置が使用
されている。近年のLSIにはより微細なパターンが要
求されており、電子ビーム露光装置は微細なLSIパタ
ーンを高速に精度よく露光することができ、高信頼度で
あることが望まれている。
【0002】電子ビーム露光装置の位置精度に影響を与
える要因には各種あるが、その中でも、電子ビームを偏
向する電磁偏向コイルの発熱による影響が大きな問題と
なっている。このため、電磁偏向コイルの発熱による電
子ビームの位置ずれを出来るだけ小さくすることが求め
られている。
【0003】
【従来の技術】電子ビーム露光装置は、通常、矩形ある
いは任意のパターン形状に成形した電子ビームを用いて
被露光対象物上にパターンを描く装置である。
【0004】このビーム露光装置において、電子ビーム
を偏向するには電磁偏向と静電偏向があり、電磁偏向は
偏向速度は早くないが大きく偏向できるという特徴を有
する。このため、大きく偏向する必要がある場合には、
一般に、電磁偏向が用いらている。
【0005】また、一度に大面積を露光する電子ビーム
露光装置においては、荷電粒子相互のクーロン相互作用
が問題になる。このクーロン相互作用による解像度の制
限を解決するため、光学系を短焦点化する必要が有り、
電磁偏向コイル及び静電偏向電極は電磁レンズの内側に
配置されるようになっている。しかしながら、短焦点化
は偏向器の偏向能率を低下させるため、所望の偏向量を
得ようとするためには、電磁偏向コイルに流す電流を大
きくする必要がある。
【0006】ところで、この様な電子ビーム露光装置を
使用する場合には、電磁偏向コイル内を流れる偏向電流
により、局所的な発熱が生じ、電子ビームの偏向位置及
び合焦位置が時間とともに変動し、ドリフトが生じてし
まうという問題点があった。
【0007】このドリフトの原因としては、1)アン
プ、レンズ電源の出力変化、2)電磁偏向コイルが発生
する磁束の変化に伴う金属製の周辺部品に流れる渦電
流、3)電子ビームの通過部分のチャージアップ、4)
電磁偏向コイルの位置、寸法の変動、5)電磁偏向コイ
ルの発熱に伴う電磁偏向コイル自体、ボビン、その他の
構造物の位置、寸法の変動等が挙げられる。
【0008】ここで、電磁偏向コイルに電流を流し、こ
の電磁偏向コイルにより発生した磁界内に電子ビームを
入射させ、基板上の所定の位置に電子ビームを偏向する
場合について具体的に考えてみる。
【0009】偏向信号として電磁偏向コイルに流す偏向
電流をI、電磁偏向コイルの抵抗をRとすると、電磁偏
向コイルにはI2 Rの熱が発生する。この熱の発生によ
り電磁偏向コイルおよび電磁偏向コイル近傍の物体は温
められて膨脹することとなる。
【0010】また、偏向信号、即ち、偏向電流Iが変わ
ると発熱量の変化のために電磁偏向コイルおよび電磁偏
向コイル近傍の物体は膨脹あるいは収縮し、電磁偏向コ
イルおよび電磁偏向コイル近傍の物体の位置が僅かでは
あるが変動する。
【0011】これらの結果、電子ビームを偏向する電磁
偏向コイルの位置が変動し、基板上に到達する電子ビー
ムの位置が変動することとなる。さらに、偏向コイル近
傍にある電子レンズのポールピースの透磁率が熱変動の
ため変化し、電子ビームの収束状態が変わり、基板上に
到達する電子ビームの位置が変動することとなる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】ここで、上記課題を解
決するための一方法として、電磁偏向コイルの近傍に熱
補償コイルを設ける場合を説明する。以下の説明におい
ては、X,Y方向の電磁偏向コイルの電流を各々IX
Y とし、抵抗を各々RX ,RY とする。
【0013】この時の電磁偏向コイルの発熱量Qは、 Q=IX 2 X +IY 2 Y となる。
【0014】また、無誘導巻の熱補償コイルを電磁偏向
コイルの近傍に巻き、その熱補償電流と抵抗をIC ,R
c とする。この時、次式 IX 2 X +IY 2 X +IC 2 C =A(定数) が成り立つとすれば、この式から、熱補償電流IC は、 IC = (1/RC )[A−(IX 2 X +IY 2 Y )] …(1) となる。この例は、熱補償コイルが1個の場合である。
【0015】電磁偏向コイルは、コイルの部分によって
発熱状態が異なり、実験データによれば、1個の熱補償
コイルだけで十分に補償するのは困難である。そこで、
熱補償コイルを分割し、補償を行なえば、より緻密な補
償を行うことが可能である。
【0016】例えば、熱補償コイルを2分割し、各熱補
償コイルに流す熱補償電流をIC1,IC2とすると、これ
らの熱補償電流IC1,IC2は例えば次式のようになる。 IC1=a√[d1 −(IX 2 X +IY 2 Y )] …(2) IC2=a√[d2 −(IX 2 X +IY 2 Y )] …(3) ここで、a,d1 ,d2 は定数である。
【0017】演算回路から各々並列に出力を取った場合
の例を図2に示す。図2においては、X,Y方向の電磁
偏向コイルが離れた位置にあるが、実際には熱的に結合
されている。例えば、X,Y方向の電磁偏向コイルは各
々3段、あるいは、4段よりなっている。また、円筒形
のセラミックのコイル支持ケースの上にX方向電磁偏向
コイルが巻いてあり、さらに、X方向電磁偏向コイルの
光軸に対し、90゜回転した位置にY方向電磁偏向コイ
ルが巻いてある。
【0018】上記(2)、(3)式において、IX =I
Y =0の時、 IC1=a√d1C2=a√d2 である。この値は定数であるから、最適値を決定する必
要がある。
【0019】最適値を決定する方法として、まずIC1
C2の値をある値に設定し、電子ビームを偏向してドリ
フトを測定し、さらにIC1あるいはIC2の一方のみを適
宜変化させて、電子ビームのドリフトが一番小さくなる
ときのIC1、IC2を最適値とする方法がある。
【0020】上記最適値決定方法は、試行錯誤的に最適
値を求めているため、熱補償コイルに流す電流値を正確
に決定出来ないといった課題が生じていた。そのため、
電磁偏向コイルの発熱による電子ビームの位置ドリフト
のためLSIの位置合わせ精度は悪くなり、得られる製
品の信頼度が低くなってしまう等の問題を生じていた。
【0021】そこで本発明の目的は、熱補償コイルの補
償電流を正確に決定し、電子ビーム露光装置における電
磁偏向コイルの発熱に起因する電子ビームの位置ドリフ
トを小さくし、位置合わせ精度を向上させることができ
る電子ビーム露光装置の熱補償電流の決定方法を提供す
ることにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、第1の発明は、荷電粒子ビームを偏向して対象物上
の所望の位置に照射するための電磁偏向手段と、前記電
磁偏向手段近傍に配置される複数の部分熱補償手段を有
し熱補償用電流により駆動される熱補償手段と、前記電
磁偏向手段に供給する駆動電流に対応して前記荷電粒子
ビームの照射位置のずれを補正するために前記熱補償用
電流を制御する制御回路と、を有する荷電粒子ビーム露
光装置の熱補償用電流の決定方法であって、前記各部分
熱補償手段に供給される熱補償用電流をそれぞれ独立に
変化させて、その時の前記荷電粒子ビームのドリフト量
を測定しドリフト量マップを作成するドリフト量測定工
程と、前記得られたドリフト量マップを用いて、得られ
た複数のドリフト量のうち最小の前記ドリフト量に対応
する熱補償用電流の組合わせを前記各部分熱補償手段に
供給する熱補償用電流の組合わせとして決定する熱補償
電流決定工程と、を備えて構成する。
【0023】また、第2の発明は、荷電粒子ビームを偏
向して対象物上の所望の位置に照射するための電磁偏向
手段と、前記電磁偏向手段近傍に配置される複数の部分
熱補償手段を有し熱補償用電流により駆動される熱補償
手段と、前記電磁偏向手段に供給する駆動電流に対応し
て前記荷電粒子ビームの照射位置のずれを補正するため
に前記熱補償用電流を制御する制御回路と、を有する荷
電粒子ビーム露光装置の熱補償用電流の決定方法であっ
て、前記電磁偏向手段により、予め定めた複数の所定位
置に前記荷電粒子ビームを予め定めた所定時間偏向位置
を保持する偏向保持工程を含み、それぞれの偏向保持位
置ごとに、前記各部分熱補償手段に供給される熱補償用
電流をそれぞれ独立に変化させて、偏向位置保持後の前
記荷電粒子ビームのドリフト量を測定して複数のドリフ
ト量マップを作成するドリフト量測定工程と、前記得ら
れた複数のドリフト量マップを用いて、同一の熱補償用
電流の組合わせ毎にドリフト量の平均値を求める平均ド
リフト量演算工程と、前記得られた複数のドリフト量の
平均値のうち最小の平均値を有する前記ドリフト量に対
応する熱補償用電流の組合わせを前記各部分熱補償手段
に供給する熱補償用電流の組合わせとして決定する熱補
償電流決定工程と、を備えて構成する。
【0024】
【作用】第1の発明によれば、ドリフト量測定工程は、
各部分熱補償手段に供給される熱補償用電流をそれぞれ
独立に変化させて、その時の前記荷電粒子ビームのドリ
フト量を測定しドリフト量マップを作成する。
【0025】この結果、熱補償電流決定工程は、得られ
たドリフト量マップを用いて、得られた複数のドリフト
量のうち最小の前記ドリフト量に対応する熱補償用電流
の組合わせを前記各部分熱補償手段に供給する熱補償用
電流の組合わせとして決定する。
【0026】従って、熱補償手段が複数の部分熱補償手
段に分割されている場合でも正確に各部分熱補償手段に
流すべき熱補償電流を決定することができる。また、第
2の発明によれば、ドリフト量測定工程は、偏向保持工
程において、電磁偏向手段により、予め定めた複数の所
定位置に前記荷電粒子ビームを予め定めた所定時間偏向
位置を保持し、それぞれの偏向保持位置ごとに、各部分
熱補償手段に供給される熱補償用電流をそれぞれ独立に
変化させて、偏向位置保持後の前記荷電粒子ビームのド
リフト量を測定して複数のドリフト量マップを作成す
る。
【0027】また、平均ドリフト量演算工程は、得られ
た複数のドリフト量マップを用いて、同一の熱補償用電
流の組合わせ毎にドリフト量の平均値を求める。この結
果、熱補償電流決定工程は、得られた複数のドリフト量
の平均値のうち最小の平均値を有するドリフト量に対応
する熱補償用電流の組合わせを各部分熱補償手段に供給
する熱補償用電流の組合わせとして決定する。
【0028】従って、第1の発明の作用に加えて、電磁
偏向手段で荷電粒子ビームを偏向する象限により荷電粒
子ビームのドリフト量が異なることまで考慮して熱補償
手段を構成する部分熱補償手段のそれぞれに流す熱補償
電流を容易かつ正確に決定することができる。
【0029】
【実施例】次に図面を参照して本発明の好適な実施例を
説明する。図1に電子ビーム露光装置の主要部の構成図
を示す。
【0030】電子ビーム露光装置1において、レンズコ
イル2は鉄ヨーク3と磁気的に結合しており、鉄ヨーク
3の先端部にはフェライト等で構成されたポールピース
4が磁気的に結合している。レンズコイル2にはコイル
支持板5が内挿されており、コイル支持板5の外周側に
は電磁偏向コイル6が取付けられ、さらに外周側には電
磁偏向コイル6の近傍に熱補償コイル7が取付けられて
いる。
【0031】熱補償コイル7は、電流を流すことによっ
てジュール熱を発生し、熱補償を行なう。図2に電子ビ
ーム露光装置の制御系の主要部の構成ブロックを示す。
【0032】電子ビーム露光装置1は、電子ビーム露光
装置1全体を制御するCPU10と、このCPU10の
制御下で所望のX方向及びY方向の露光パターンデータ
を生成し出力するパターンジェネレータ11と、X方向
露光パターンデータのディジタル/アナログ(以下、D
/Aという。)変換を行ない、X方向アナログ露光信号
として出力するX方向D/Aコンバータ12と、Y方向
露光パターンデータのD/A変換を行ない、Y方向アナ
ログ露光信号として出力するY方向D/Aコンバータ1
3と、X方向アナログ信号を増幅して偏向制御信号VX
として出力する第1増幅器14と、Y方向アナログ露光
信号を増幅して偏向制御信号VY として出力する第2増
幅器15と、X方向電磁偏向コイル6Xの熱補償を行な
うX方向熱補償コイル7Xと、Y方向電磁偏向コイル6
Yの熱補償を行なうY方向熱補償コイル7Yと、X方向
D/Aコンバータ12を介して得られるX方向露光パタ
ーンデータ及びY方向D/Aコンバータ13を介して得
られるY方向露光パターンデータに基づいてX方向熱補
償コイル7Xに流す第1熱補償用電流IC1及びY方向熱
補償コイル7Yに流す第2熱補償用電流IC2を演算する
ととともに、各熱補償コイル7X、7Yに供給する演算
回路16と、を備えて構成されている。
【0033】ここで、詳細な動作を説明するに先立っ
て、熱補償用電流の決定方法の原理を説明する。(I )第1の原理説明 例えば、第1、第2熱補償電流IC1,IC2の値を各々横
軸と縦軸にとり、第1、第2熱補償電流IC1,IC2の値
のある組合わせに相当するある座標点(IC1X
C2Y )における電子ビームのドリフトの量を測定し、
ドリフト量が一番小さくなる座標点、すなわち、ドリフ
ト量が最小の第1、第2熱補償電流IC1,IC2の値の組
合わせを決定する。
【0034】具体的には、次のように行なう。まず、第
1、第2熱補償電流IC1,IC2の値を各々横軸と縦軸に
とり、第1熱補償用電流IC1及び第2熱補償用電流IC2
の値の組合わせをある値=(IC1X 、IC2Y )に設定す
る〔但し、(X、Y)は電子ビームのX方向及びY方向
の偏向量に相当する。以下、同じ。〕。ここでIC1X
C2Y は、それぞれ第1熱補償電流IC1の実際の電流
値、第2熱補償電流IC2の実際の電流値である。
【0035】次に、電子ビームを偏向基準座標位置=
(0μm,0μm)に一定時間留置し、電磁偏向コイル
近傍の温度を安定にし、電子ビームの位置の変動が起き
ない状態とする。
【0036】その後、電子ビームを所定の座標位置に偏
向させる。この所定の座標位置としては、電磁偏向フィ
ールドコーナ座標(MX ,MY )の位置に偏向するのが
好ましいが、実際に露光を行なう最大偏向座標位置とす
ることも可能である。具体的には、当該電子ビーム露光
装置の偏向可能範囲がX方向に(―5000μm〜+5
000μm)であり、Y方向に(―5000μm〜+5
000μm)である場合には、MX =MY =5000μ
mのように設定すればよい。
【0037】次に、再び、偏向基準座標位置=(0μ
m,0μm)に電子ビームを振り戻させる。この時、実
際の電子ビームの位置は、指定した偏向基準座標位置
(0μm,0μm)から1μm程度ドリフトしている。
【0038】このドリフト量を複数の熱補償電流値の組
合わせ=(IC1X ,IC2Y )において測定し、座標全体
にわたるドリフト量のマップを完成し、電子ビームのド
リフトがより小さくなるときの熱補償電流値の組合わせ
=(IC1X ,IC2Y )を最適な第1熱補償電流IC1及び
第2熱補償電流IC2として決定する。(II)第2の原理説明 ところで、上記第1の原理説明においては、電子ビーム
のドリフト量を測定する際に、電子ビームを偏向して保
持する偏向座標位置=(5000μm,5000μm)
としていたが、実際には電子ビームを偏向して保持する
偏向座標位置=(5000μm,5000μm)にする
か、偏向座標位置=(−5000μm,−5000μ
m)にするかで電子ビームのドリフト量が最も小さくな
る熱補償電流の最適値(IC1,IC2)は異なってしま
う。
【0039】その原因は、例えば、電磁偏向器の増幅器
の熱ドリフト特性が、5000μm偏向する場合と−5
000μm偏向する場合で異なることにある。この問題
点を解決するためには、更に、次のようにすれば良い。
【0040】電子ビームを(MX ,MY )、(−MX
Y )、(MX ,−MY )、(−M X ,−MY )の各象
限に振った時の各座標点(IC1,IC2)における電子ビ
ームの位置ドリフトを測定した後、座標点(IC1
C2)において各象限の電子ビームのドリフト量を加算
平均し平均値が一番小さくなる点を探しだす。
【0041】これにより、より最適な熱補償電流の組合
わせを決定することができる。第1実施例 次に第1の原理に基づく、より具体的な実施例を図3を
参照して説明する。
【0042】以下の説明においては、IX =IY =0の
時のIC1=a√d1 、IC2=a√d 2 の値を変えてゆ
き、ドリフト量が最小になるようにIC1,IC2の値を決
定する場合について説明する。 (a) まず、IC1,IC2の値を適当なある値に設定
し、電磁偏向器の出力を偏向基準座標位置=(0μm,
0μm)に設定し、電子ビームにブランキングを掛けた
状態でコラムが熱的に安定するのを待つ。
【0043】熱的に安定したかどうかは偏向基準座標位
置=(0μm,0μm)にマークを設定しておきその位
置ずれを検出すれば良い。 (b) 次に、電子ビームを偏向座標位置=(5000
μm,5000μm)の位置に30秒間偏向しておき、
その後、再び、偏向基準座標位置=(0μm,0μm)
に電子ビームの偏向位置を指定し、偏向基準座標位置=
(0μm,0μm)の位置にあるべきマークの位置との
ずれ量を検出する。
【0044】この時の、偏向基準座標位置=(0μm,
0μm)からのずれ量が電磁偏向コイルの発熱による電
子ビームのドリフト量である。 (c) (b)の処理においてドリフト量の検出後、す
ぐに偏向座標位置=(5000μm,5000μm)に
電子ビームを偏向し30秒間留置する。その後、再び、
偏向基準座標位置=(0μm,0μm)に電子ビームの
偏向位置を指定し、偏向基準座標位置=(0μm,0μ
m)にあるマークの位置と電子ビームの詳細値とのずれ
量を検出する。
【0045】以後、(b)で説明した測定を測定時刻を
変えて繰返すと、例えば、時刻t1、t2 、t3 におけ
る電磁偏向コイルの発熱による電子ビームのドリフト量
の測定が行なえる。 (d) 次に、熱補償電流IC1、IC2の値の組合わせを
変更して、上記(a)〜(c)の測定(処理)を繰り返
す。
【0046】熱補償電流IC1,IC2の値の組合わせの設
定は、例えば、図3に示すように、熱補償電流IC1,I
C2を各々横軸,縦軸にとりメッシュの交点に相当する組
合わせに設定すれば良い。図3において各交点でのX,
Y方向の電子ビームのドリフト量を(ΔXm,n ,ΔY
m,n )とする。ここで、mは第1熱補償電流IC1の値、
nは第2熱補償電流IC2の値を示す。
【0047】上記(a)〜(d)の測定結果をまとめる
と、変更座標位置=(5000μm,5000μm)に
電子ビームを偏向後、ある測定開始時刻t0 後の時刻t
1 、t2 、t3 における電子ビームのドリフト量のマッ
プとして得られる。
【0048】実際の露光においては、例えば、上記
(a)〜(d)の測定結果が時刻t1 =1分、時刻t2
=2分、時刻t3 =3分であり、3分おきにマーク検出
を行い位置合わせを行う場合には、3分後の電子ビーム
のドリフト量(ΔXm,n ,ΔYm, n )のマップである時
刻t3 の測定結果であるマップから(ΔXm,n ,ΔY
m,n)が最も小さくなる時の熱補償電流IC1,IC2の値
を決定する。
【0049】以上の説明のように、本第1実施例によれ
ば、実際の露光において検定を行なう必要がある時間に
合せて、対応するマップから最も電子ビームのドリフト
量が小さくなるように熱補償電流を的確に求めることが
可能となり、より精度の高い露光を行なうことができ
る。第2実施例 次に第2の原理に基づく第2実施例を具体的に説明す
る。
【0050】上記第1実施例においては、電子ビームド
リフト量の測定に際し、特定の偏向座標位置、すなわ
ち、上記第1実施例では偏向座標位置=(5000μ
m,5000μm)に電子ビームを偏向したときのマッ
プのみを用いて熱補償電流IC1、IC2を決定していた
が、本第2実施例は、複数の偏向座標位置に電子ビーム
を偏向した場合に得られる複数のマップを用いて最適な
熱補償電流を決定する場合の実施例である。
【0051】まず、上記第2の原理を用いて本第2実施
例を実施すべき理由についてより詳細に説明する。例え
ば、電子ビームを第1の偏向座標位置=(5000μ
m,5000μm)に偏向して測定した時の電子ビーム
のドリフト量(ΔXm,n ,ΔYm,n )のマップと、電子
ビームを第2の偏向座標位置=(−5000μm,−5
000μm)に偏向して測定した時の電子ビームのドリ
フト量(ΔX’m,n ,ΔY’m,n )のマップとは、明ら
かに異なっている。
【0052】ところで、理論的には電磁偏向コイルの発
熱の大きさは電流の向きには依存しないはずである。電
子ビームを第1の偏向座標位置=(5000μm,50
00μm)に偏向して測定した時の電子ビームのドリフ
ト量(ΔXm,n ,ΔYm,n )のマップと電子ビームを第
2の偏向座標位置=(−5000μm,−5000μ
m)に偏向して測定した時の電子ビームのドリフト量
(ΔX’m,n ,ΔY’m,n)のマップとが異なるのは、
例えば、電子偏向アンプの特性が正負偏向方向で異なる
等、他の原因によるものと考えられる。
【0053】そこで、これらの特性の差も含めて熱補償
を行うことが好ましいと考えられるのである。次に図4
及び図5を参照して動作を説明する。
【0054】上記第1実施例と同様に(a)〜(d)の
測定を行ない、その測定結果をまとめると、電子ビーム
を第1の偏向座標位置=(5000μm,5000μ
m)に偏向後、ある時間後における電子ビームのドリフ
ト量の第1のマップが得られる。
【0055】同様にして、電子ビームを第2の偏向座標
位置=(−5000μm,5000μm)、第3の偏向
座標位置=(−5000μm,−5000μm)、第3
の偏向座標位置(5000μm,−5000μm)にそ
れぞれ偏向した後、ある時間後における電子ビームのド
リフト量の第2〜第3のマップを得る。
【0056】次に、熱補償電流の組合わせ電流値が(I
C1,IC2)の時の4つの象限における各ドリフト量から
平均値を求めて、図5の総合マップを完成する。この総
合マップにおいて一番ドリフト量が小さくなる熱補償電
流値の組(IC1,IC2)が最適な熱補償電流値の組合わ
せとなる。
【0057】以上の説明のように、本第2実施例によれ
ば、電子ビームが偏向される全ての領域(象限)におい
て、最も最適と思われる熱補償電流値の組合わせを選択
することができ、電子ビーム露光装置における電磁偏向
コイルの発熱に起因する電子ビームの位置ドリフトをよ
り小さくし、位置合わせ精度をさらに向上させることが
できる。
【0058】以上の第2実施例においては、最適な熱補
償電流値の組合わせを決定するに際し、ドリフト量の単
純平均値等の平均値を用いていたが、分布をも考慮した
値を用いて判別するように構成することも可能である。
【0059】以上の各実施例の説明においては、最適な
熱補償電流値の組合わせを決定するに際し、所定の電流
値間隔でマップを作成していたが、得られたマップによ
り最適な熱補償電流値の組合わせと認められた組合わせ
が存在するマップ内の領域近傍についてさらに詳細なマ
ップを作成してより最適な組合わせを見つけるように構
成することも可能である。
【0060】また、以上の各実施例においては、熱補償
コイルを2分割する場合についてのみ述べたが、3分割
以上に分割しても、同様な方法により、最適な熱補償電
流を決定することが可能である。
【0061】
【発明の効果】以上説明したように、第1及び第2の発
明によれば、熱補償コイルに流す電流の最適値を精度良
く決定することが出来る。これにより、電磁偏向コイル
の発熱に起因する電子ビームの位置ずれが小さくなる。
従って、LSIの位置合わせ精度等が良くなり、信頼度
の良い製品を生産することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電子ビーム露光装置の主要部の構成を示す図で
ある。
【図2】電子ビーム露光装置の制御系のブロック図であ
る。
【図3】最適な熱補償電流の決定に用いるマップであ
る。
【図4】第2実施例の最適な熱補償電流の決定に用いる
マップ群である。
【図5】図4のマップ群から得られる平均値マップであ
る。
【符号の説明】 1…電子ビーム露光装置 2…レンズコイル 3…鉄ヨーク 4…ポールピース 5…コイル支持板 6…電磁偏向コイル 6X…X方向電磁偏向コイル 6Y…Y方向電磁偏向コイル 7…熱補償コイル 7X…X方向熱補償コイル 7Y…Y方向熱補償コイル 10…CPU 11…パターンジェネレータ 12…X方向D/Aコンバータ 13…Y方向D/Aコンバータ 14…第1増幅器 15…第2増幅器 16…演算回路

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 荷電粒子ビームを偏向して対象物上の所
    望の位置に照射するための電磁偏向手段と、前記電磁偏
    向手段近傍に配置される複数の部分熱補償手段を有し熱
    補償用電流により駆動される熱補償手段と、前記電磁偏
    向手段に供給する駆動電流に対応して前記荷電粒子ビー
    ムの照射位置のずれを補正するために前記熱補償用電流
    を制御する制御回路と、を有する荷電粒子ビーム露光装
    置の熱補償用電流の決定方法であって、 前記各部分熱補償手段に供給される熱補償用電流をそれ
    ぞれ独立に変化させて、その時の前記荷電粒子ビームの
    ドリフト量を測定しドリフト量マップを作成するドリフ
    ト量測定工程と、 前記得られたドリフト量マップを用いて、得られた複数
    のドリフト量のうち最小の前記ドリフト量に対応する熱
    補償用電流の組合わせを前記各部分熱補償手段に供給す
    る熱補償用電流の組合わせとして決定する熱補償電流決
    定工程と、 を備えたことを特徴とする荷電粒子ビーム露光装置の熱
    補償用電流の決定方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の荷電粒子ビーム露光装置
    の熱補償用電流の決定方法において、 前記ドリフト量測定工程は、前記ドリフト量の測定前に
    前記電磁偏向手段により予め定めた一または複数の所定
    位置に前記荷電粒子ビームを予め定めた所定時間偏向位
    置を保持する偏向保持工程を含むことを特徴とする荷電
    粒子ビーム露光装置の熱補償用電流の決定方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2記載の荷電粒子
    ビーム露光装置の熱補償用電流の決定方法において、 前記ドリフト量測定工程は、予め定めた所定時間間隔毎
    に前記ドリフト量を測定する間隔測定工程を含むことを
    特徴とする荷電粒子ビーム露光装置の熱補償用電流の決
    定方法。
  4. 【請求項4】 荷電粒子ビームを偏向して対象物上の所
    望の位置に照射するための電磁偏向手段と、前記電磁偏
    向手段近傍に配置される複数の部分熱補償手段を有し熱
    補償用電流により駆動される熱補償手段と、前記電磁偏
    向手段に供給する駆動電流に対応して前記荷電粒子ビー
    ムの照射位置のずれを補正するために前記熱補償用電流
    を制御する制御回路と、を有する荷電粒子ビーム露光装
    置の熱補償用電流の決定方法であって、 前記電磁偏向手段により、予め定めた複数の所定位置に
    前記荷電粒子ビームを予め定めた所定時間偏向位置を保
    持する偏向保持工程を含み、それぞれの偏向保持位置ご
    とに、前記各部分熱補償手段に供給される熱補償用電流
    をそれぞれ独立に変化させて、偏向位置保持後の前記荷
    電粒子ビームのドリフト量を測定して複数のドリフト量
    マップを作成するドリフト量測定工程と、 前記得られた複数のドリフト量マップを用いて、同一の
    熱補償用電流の組合わせ毎にドリフト量の平均値を求め
    る平均ドリフト量演算工程と、 前記得られた複数のドリフト量の平均値のうち最小の平
    均値を有する前記ドリフト量に対応する熱補償用電流の
    組合わせを前記各部分熱補償手段に供給する熱補償用電
    流の組合わせとして決定する熱補償電流決定工程と、 を備えたことを特徴とする荷電粒子ビーム露光装置の熱
    補償用電流の決定方法。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の荷電粒子ビーム露光装置
    の熱補償用電流の決定方法において、 前記ドリフト量測定工程は、予め定めた所定時間間隔毎
    に前記ドリフト量を測定する間隔測定工程を含むことを
    特徴とする荷電粒子ビーム露光装置の熱補償用電流の決
    定方法。
JP133593A 1993-01-07 1993-01-07 荷電粒子ビーム露光装置の熱補償用電流の決定方法 Withdrawn JPH06204127A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09260256A (ja) * 1996-03-25 1997-10-03 Toshiba Corp 荷電ビーム露光装置
GB2405524A (en) * 2003-08-29 2005-03-02 Leica Microsys Lithography Ltd Thermal compensation in magnetic field influencing of an electron beam
US7019308B2 (en) 2004-09-01 2006-03-28 Leica Microsystems Lithography Ltd. Thermal compensation in magnetic field influencing of an electron beam

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