JP2001266667A - 酸化物超電導導体及びその製造装置並びに製造方法 - Google Patents

酸化物超電導導体及びその製造装置並びに製造方法

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JP2001266667A JP2000085240A JP2000085240A JP2001266667A JP 2001266667 A JP2001266667 A JP 2001266667A JP 2000085240 A JP2000085240 A JP 2000085240A JP 2000085240 A JP2000085240 A JP 2000085240A JP 2001266667 A JP2001266667 A JP 2001266667A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、ガス供給部毎に原料の種類や温
度、酸素分圧を任意に制御できる構成とすることで、結
晶配向性に優れた臨界電流密度の高い酸化物超電導導体
を製造することができる技術の提供を目的とする。 【解決手段】 本発明は、基材表面に酸化物超電導層を
堆積させるCVD反応を行うリアクタ31と、リアクタ
31に原料ガスを供給する原料ガス供給手段54と、前
記リアクタ内のガスを排気するガス排気手段80と、こ
れらを制御する制御手段82とが備えられてなり、前記
リアクタ31が、基材導入部34と、反応生成室35
A、35B、35Cと、基材導出部36とに区画され、
これら隔壁に基材通過孔39が形成されて前記リアクタ
の内部に基材導入部と複数の反応生成室と基材導出部3
6とを通過する基材搬送領域Rが形成され、直列配置さ
れた各反応生成室が独自に温度制御自在に構成されてな
ることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は銀の基材上に化学気
相蒸着法(CVD法)を用いて結晶配向性の良好な酸化
物超電導層を形成する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、電力ケーブル、マグネット、
エネルギー貯蔵、発電機、医療機器、磁気シールド機
器、電流リード等の用途として、酸化物超電導層の利用
が計画されており、その製造方法の中でも、化学気相蒸
着法(CVD法)が有望視されている。
【0003】このCVD法は、スパッタなどの物理的気
相堆積法や真空蒸着法等の他の気相法に比べて、基材形
状の制約が少なく、大面積の基材に高速で薄膜形成が可
能な手段として知られている。ところが、前述のCVD
法にあっては、原料ガスの仕込み組成や供給速度、キャ
リアガスの種類や反応ガスの供給量、あるいは、反応リ
アクタの構造に起因する成膜室でのガスの流れの制御な
ど、他の成膜法には見られない独特の制御パラメータを
数多く有しているがために、CVD法を用いて良質な酸
化物超電導層を形成するための条件の最適化が難しいと
いう欠点があった。
【0004】そして、この種の酸化物超電導体は、結晶
の配向性が乱れると、臨界電流密度が著しく低下するこ
とが知られているとともに、結晶の特定の方向に電気を
流し易く、特定の方向に電気を流しにくいという異方性
を有しているので、酸化物超電導層を通電用に使用する
ためには、酸化物超電導層の結晶構造を整え、その上に
結晶構造の特定の方向を通電方向に揃える必要がある。
換言すると、基材上に酸化物超電導層を形成する場合、
酸化物超電導層の2軸配向(面内配向)を実現する必要
がある。そのためには、基材の格子定数を酸化物超電導
材料の格子定数に近付ける必要があるとともに、基材表
面の結晶性が擬似単結晶的に揃っている必要がある。
【0005】このような要望から、酸化物超電導層形成
用の基材として、面内配向させたYSZ(イットリウム
安定化ジルコニア)の中間層をハステロイ基材(Ni合
金基材)上に形成した複合基材、圧延と熱処理によって
集合組織を形成した銀からなるテープ基材、圧延と熱処
理により集合組織を形成し、更に、酸化物中間層を形成
したNi合金テープ基材などが検討されている。前述の
基材上に酸化物超電導層を形成する場合、基材構成材料
と酸化物超電導材料との反応性が低いことが重要な要素
であり、更に基材上に形成した酸化物超電導層に通電し
ている際に常電導状態に転移することを防止して超電導
特性を安定化するための安定化材の複合についても検討
する必要がある。
【0006】これらの技術背景において、銀の基材は酸
化物超電導層との反応性が小さいことで知られており、
基材上に酸化物超電導層を直接成膜できる唯一の金属材
料として知られており、銀自身が非磁性で低抵抗な特徴
も有し、銀の基材に安定化材の性能を兼ね備えさせるこ
とができることから、銀の基材を用いることでコンパク
トな構造の酸化物超電導線材を実現することが可能であ
ると考えられている。また、圧延と熱処理により集合組
織を形成した銀テープ基材として、基材の表面に結晶の
(100)面を、基材長手方向に結晶の<100>方向
を優先的に備えた立方体集合組織を有するAg{100}
<001>なる基材が開発されており、基材表面積の90
%以上にわたり、この結晶方位で揃えられた高品質な基
材を用いることが可能となってきている。
【0007】ところで、本発明者が実験したところ、上
述の如きAg{100}<001>集合組織を有する基材上
に、先のCVD法によってY1Ba2Cu3Xなる組成の
超電導層を合成した場合、基材面内で2種類の配向成分
が混在した超電導層となってしまうことを知見してい
る。これら2種類の配向成分とは、銀基材の結晶の<1
00>軸に対し、Y1Ba2Cu3Xなる組成の超電導層
の<100>軸を平行とする、cube-on-cubeと称するこ
とができる成分と、この成分に対してY1Ba2Cu3
7-Xなる組成の超電導層の<100>軸を45度回転さ
せたdiagonal-on-cubeと称することができる成分の2種
類の配向成分であると考えることができる。
【0008】以下にこの実験の概要を説明する。図12
はこの実験に用いたCVD装置の概略構成を示すもの
で、このCVD装置Gは、筒形の横長のリアクタ1と、
このリアクタ1の上部中央に立設されたピラミッド型の
中空のガス供給部2と、このガス供給部2の外部に接続
された気化器3と、この気化器3に接続されたポンプP
および原料溶液収納タンク5と、前記リアクタ1の底部
に形成された排気ユニット6と、この排気ユニット6に
接続された排気筒7と、前記リアクタ1の周囲部に設け
られた加熱ヒータ8と、前記リアクタ1の一方の端部に
接続された基材巻取装置9とを主体として構成されてい
る。そして、前記リアクタ1の他方の端部に形成された
導入口からテープ状の基材10をリアクタ1の内部に導
入できるように構成され、この基材10を前記ガス供給
部2の下方領域を通過させた時に吹き付けた反応ガスに
より酸化物超電導層を基材10上に形成し、その後に巻
取装置9に巻き取ることができるように構成されてい
る。
【0009】図12に示すCVD装置Gを用い、基材と
して、厚さ0.05mm、幅3mm、長さ100cmの
銀テープ(Ag{100}<001>集合組織の基材)を用
い、基材移動速度1.0m/h、合成温度800℃、原
料仕込み組成比をY:Ba:Cu=1.0:2.7:3.
0とし、THF原料溶液濃度7.3wt.%、THF原料
供給速度0.27ml/分、反応圧力5.0 Torr(=5
×133Pa)、酸素分圧値を1.25Torr(=1.25
×133Pa)として、ガス供給部2から基材10上に
原料ガスを吹き付け、移動中の基材上にY1Ba2Cu3
7-Xなる組成の酸化物超電導層を連続成膜した。ここ
で、THF(テトラヒドロフラン)原料溶液7.3wt.
%とは、Ba-ビス-2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタ
ンジオン-ビス-1,10フェナントロリン(Ba(thd)
2(phen)2)と、Y(thd)2とCu(thd)2をY:B
a:Cu=1.0:2.7:3.0のモル比で混合し、テ
トラヒドロフラン溶液に7.3wt.%になるように添加
した、酸化物超電導体製造用CVD原料溶液として著名
なものである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】以上のように得られた
酸化物超電導導体の長さ10mmの部分を取り出し、こ
の部分の酸化物超電導導体に形成された酸化物超電導層
について、Y1Ba2Cu 3X(103)のX線極点分析
を行い、その結果を図13に示し、用いた銀基材につい
てAg(220)のX線極点分析を行い、その結果を図
14に示す。図13に示すX線極点分析図から、得られ
た酸化物超電導層にあっては、Y1Ba2Cu3Xなる組
成の酸化物超電導層の(103)極点が8回対称性を示
しており、Y1Ba2Cu3Xなる組成の酸化物超電導体
の結晶が面内で2種類の結晶配向性を有していることが
明らかとなった。また、図14に示すX線極点分析図か
ら、銀基材には明瞭な4回対称性が認められており、銀
基材の結晶は{100}<001>の立方体集合組織となっ
ていることが判明した。続いて、以上のように得られた
酸化物超電導導体の臨界電流密度を4端子法により測定
したところ、液体窒素温度無磁場中(77K、0T)に
おいて、1〜4×104A/cm2となり、超電導特性と
しては不十分であることが判明した。この実験結果か
ら、銀の基材上に酸化物超電導層を形成する形式の酸化
物超電導テープにおいて、更に高い超電導特性を得るた
めには、酸化物超電導層の結晶を1種類のみ(cube-on-
cubeと称することができる成分のみ、あるいは、diagon
al-on-cubeと称することができる成分のみ)に制御する
必要があることが明らかとなった。
【0011】次に、図15は本発明者らが先に特許出願
しているCVD装置の一例を示すもので、この例のCV
D装置Hは、先のCVD装置Gを改良し、酸化物超電導
層の合成速度を向上させるとともに、酸化物超電導層の
厚さを改善できるように構成した装置である。この一例
のCVD装置Hは、図12に示すCVD装置Gと同様の
リアクタ1の中央部に3基のピラミッド型の中空のガス
供給部2A、2B、2Cを備え、ガス供給部2Aに気化
器3AとポンプPと原料溶液収納タンク5Aを接続して
設け、ガス供給部2Bに気化器3BとポンプPと原料溶
液収納タンク5Bを接続して設け、ガス供給部2Cに気
化器3CとポンプPと原料溶液収納タンク5Cを接続し
て設けた構成であり、その他の構成は図12に示すCV
D装置Gと同等の構造とされている。
【0012】図15に示すCVD装置Hを用い、基材と
して厚さ0.05mm、幅3mm、長さ100cmの銀
テープ(Ag{100}<001>集合組織の基材)を用
い、基材移動速度3.0m/h、合成温度800℃、原
料仕込み組成比をY:Ba:Cu=1.0:2.7:3.
0とし、THF原料溶液濃度7.3wt.%、THF原料
供給速度0.27ml/分、反応圧力5.0 Torr(=5
×133Pa)、1段目のガス供給部2Aの酸素分圧値
を1.35Torr(=1.35×133Pa)、2段目のガ
ス供給部2Bの酸素分圧値を1.35Torr(=1.35×
133Pa)、3段目のガス供給部2Cの酸素分圧値を
1.43Torr(=1.43×133Pa)に設定し、ガス
供給部2A、2B、2Cから基材10上に先の例と同等
の組成の原料ガスを吹き付け、移動中の基材上にY1
2Cu3Xなる組成の酸化物超電導層を連続成膜し
た。
【0013】得られた酸化物超電導導体の長さ10cm
の部分を取り出して4端子法により臨界電流密度を測定
したところ、液体窒素温度、無磁場中(77K、0T)
において、1〜4×104A/cm2となり、先の例の酸
化物超電導導体の場合と同様に超電導特性としては不十
分であることが判明した。これは、図15に示すCVD
装置Hが、高速成膜には効果があるものの、酸化物超電
導層の結晶配向性向上には寄与しないことを意味してい
るものと考えらえる。
【0014】本発明者は、先のCVD装置G、Hによっ
て製造された酸化物超電導層が、基材面内で2種類の結
晶配向性を示す原因として、両者の格子定数の不整合
(Y1Ba2Cu3Xなる組成の酸化物超電導層の結晶の
a軸が3.86Åであるのに対して、銀の結晶のa軸が
4.09Åである。)によるためであると推定してい
る。従って、銀に対してより格子定数のマッチングが良
好な酸化物超電導材料を用いることで面内配向性を1種
類(cube-on-cubeと称することができる成分、または、
diagonal-on-cubeと称することができる成分の1種類)
に制御する可能性があるものと考えている。
【0015】更に本発明者は、酸化物超電導層の合成温
度が通常800℃程度と非常に高温であり、両者の格子
不整合による影響は高温になるほど大きくなると考えら
れるため、酸化物超電導層をできる限り低温で合成する
ことで、結晶不整合の影響を小さくすることができるも
のと考えている。また、本発明者は、成膜温度を低くす
ることで面内配向性を1種類(cube-on-cubeと称するこ
とができる成分)に制御することができるという可能性
があると考えている。
【0016】本発明は前述の背景に基づいてなされたも
ので、銀の基材上に結晶配向性に優れ、臨界電流密度の
高い酸化物超電導層を備えた酸化物超電導導体を提供す
ることを目的の1つとする。本発明は前記課題を解決す
るためになされたもので、銀の基材上に結晶配向性に優
れたNd1Ba2Cu3x、Yb1Ba2Cu3x、また
は、Sm1Ba2Cu3xのいずれかの組成式の下地酸化
物超電導層を備え、その上に上部酸化物超電導層を備え
た臨界電流密度の高い酸化物超電導導体を提供すること
を目的の1つとする。
【0017】本発明は前記課題を解決するためになされ
たもので、本発明者が先に提供している反応生成室を複
数備えた酸化物超電導層の製造装置を改良し、反応生成
室毎に原料の種類や温度を任意に制御できる構成とする
ことで、結晶配向性に優れた臨界電流密度の高い酸化物
超電導導体を製造することができる装置の提供を目的の
1つとする。また、本発明の方法は、銀の基材上に結晶
配向性に優れ、臨界電流密度の高い酸化物超電導層を備
えた酸化物超電導導体の製造方法を提供することを目的
の1つとする。本発明の方法は、銀の基材上に結晶配向
性に優れたNd1Ba2Cu3x、Yb 1Ba2Cu3x
または、Sm1Ba2Cu3xのいずれかの組成式の下地
酸化物超電導層を備え、その上に、上部酸化物超電導層
を備えた臨界電流密度の高い酸化物超電導導体の製造方
法を提供することを目的の1つとする。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明は、銀からなる基
材上に、X線極点分析図における4回対称性を示す2軸
配向されたNd1Ba2Cu3x、Yb1Ba2Cu3x
または、Sm1Ba2Cu3xのいずれかの組成で示され
るものを主体とする下地酸化物超電導層が形成され、こ
の下地酸化物超電導層上に1層以上の上部酸化物超電導
層が積層されてなることを特徴とする。
【0019】本発明において、前記基材をAg{10
0}<001>集合組織を有するものとすることがで
き、本発明において、前記上部酸化物超電導層として、
RE1Ba2Cu3xなる組成(ただし、REは、Y、L
a、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、T
b、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luの中から選択
される1種または2種以上を示す)で示される希土類酸
化物系の超電導層とすることができる。
【0020】本発明の製造装置は、酸化物超電導体の原
料ガスを化学反応させて移動中の基材表面に酸化物超電
導層とするリアクタと、該リアクタの原料ガス供給手段
と、前記リアクタ内のガス排気手段と、制御手段とが備
えられてなる酸化物超電導体の製造装置において、前記
リアクタが、基材導入部と、反応生成室と、基材導出部
とにそれぞれ隔壁を介して区画され、該反応生成室が複
数設けられ、これら隔壁に基材通過孔が形成されてリア
クタの内部に基材搬送領域が形成されるとともに、前記
直列配置された各反応生成室が独自に温度制御自在に構
成されてなることを特徴とする。
【0021】本発明の製造装置において、前記反応生成
室が3段以上に形成され、1段目の反応生成室が600
℃〜730℃の温度範囲に制御自在とされるとともに、
前記2段目の反応生成室が750℃〜800℃の温度範
囲に制御自在とされてなる構成を採用できる。
【0022】本発明の製造方法は、酸化物超電導体の原
料ガスをリアクタ内で化学反応させて移動中の基材表面
に酸化物超電導層として堆積させる製造方法において、
原料ガスを化学反応させる反応生成室を複数設けたリア
クタと銀の基材を用い、この基材上に前記リアクタの第
1段目の反応生成室において600〜730℃の温度範
囲で行う低温成膜処理で下地酸化物超電導層を形成した
後、前記リアクタの第2段目以降の反応生成室において
750〜800℃の温度範囲で行う高温成膜処理で上部
酸化物超電導層を形成することを特徴とする。本発明の
製造方法において、 前記下地酸化物超電導層としてN
1Ba2Cu 3x、Yb1Ba2Cu3x、または、Sm
1Ba2Cu3xのいずれかの組成を主体とする酸化物超
電導層を用いることができる。
【0023】本発明の製造方法において、前記上部酸化
物超電導層として、RE1Ba2Cu 3xなる組成(ただ
しREは、Y、La、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、
Dy、Ho、Er、Tm、Ybの中から選択される1種
または2種以上を示す)で示される希土類酸化物系の超
電導層を用いることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の一
実施形態について説明する。図1は本発明に係る酸化物
超電導体の製造装置の一例を示すもので、この例の製造
装置は、略同等の構造を有する図2ないし図5にも示す
3つのCVD反応装置30が組み込まれたリアクタ31
を有し、これらのCVD反応装置30内においてテープ
状の基材上に酸化物超電導層を形成できるようになって
いる。なお、本実施形態では3つのCVD反応装置30
を設けた例について説明するが、本発明の目的を達成す
るためには、CVD反応装置30をリアクタ31に2つ
以上設けることが必要である。この例の図1ないし図5
に示す製造装置は、横長の両端を閉じた筒型の石英製の
リアクタ31を有し、このリアクタ31は、隔壁32、
37、37、37、37、33により図2、3の各々の
左側から順に基材導入部34と、反応生成室35A、3
5B、35Cと、基材導出部36に区画されているとと
もに、これらの反応生成室35A、35B、35Cの間
には、個々に境界室38が区画されている。なお、リア
クタ31を構成する材料は、石英に限らずステンレス鋼
などの耐食性に優れた金属であっても良い。また、本実
施形態では基材導入部34側から順に、第1段目の反応
生成室35A、第2段目の反応生成室35B、第3段目
の反応生成室35Cというように区別して呼称する。
【0025】前記隔壁32、37、37、37、37、
33の下部中央には、図2および図3と図5に示すよう
に長尺のテープ状の基材Tが通過可能な通過孔39がそ
れぞれ形成されていて、リアクタ31の内部には、その
中心部を長さ方向に横切る形で基材搬送領域Rが形成さ
れている。更に、基材導入部34にはテープ状の基材T
を導入するための導入孔が形成されるとともに、基材導
出部36には基材Tを導出するための導出孔が形成さ
れ、導入孔と導出孔の周縁部には、基材Tを通過させて
いる状態で各孔の隙間を閉じて基材導入部34と基材導
出部36を気密状態に保持する封止機構(図示略)が設
けられている。
【0026】前記各反応生成室35A、35B、35C
の天井部には、図1と図2に示すように角錐台型のガス
拡散部40が取り付けられ、更にガス拡散部40の天井
壁44には供給管53が接続され、供給管53の先端部
には、スリットノズル53aが設けられている。また、
各ガス拡散部40の底面が矩形状の開口部とされ、この
開口部を介して各ガス拡散部40が反応生成室35Aま
たは反応生成室35Bまたは反応生成室35Cに連通さ
れている。前記境界室38の天井部には、遮断ガス供給
手段38Bが供給管38Aを介し接続され、供給管38
Aにおいて境界室38側の先端部には遮断ガス噴出部3
8aが形成されていて、アルゴンガス等の遮断ガスが遮
断ガス噴出部38aから境界室38に供給されるように
なっている。
【0027】一方、反応生成室35A、35B、35C
および境界室38の下方には、図3に示すように前記基
材搬送領域Rの長さ方向に沿って各反応生成室35およ
び境界室38を貫通するように排気室70が設けられて
いる。この排気室70の上部には図2、図3、図4に示
すように基材搬送領域Rに通されたテープ状の基材Tの
長さ方向に沿って細長い長方形状のガス排気孔70a、
70aが各反応生成室35と境界室38を貫通するよう
にそれぞれ形成されており、このガス排気孔70a、7
0aには、図3、図4に示すように、隔壁32、37、
37、37、37、33の基材搬送領域Rの両側下端部
が貫通状態とされている。
【0028】また、排気室70の下部には複数本(図面
では10本)の排気管70bの一端がそれぞれ接続され
ており、一方、これら複数本の排気管70bの他端は真
空ポンプ71を備えた圧力調整装置72に接続されてい
る。また、図3または図4に示すようにこれら複数本の
排気管70bのうちの複数本(図面では4本)の排気管
70bの排気口70c、70eは、基材搬送領域Rに通
されたテープ状の基材Tの長さ方向に沿って設けられて
おり、排気口70cは基材搬送領域Rにおいて隔壁32
の上流側(図4では左側)と隔壁33の下流側(図4で
は右側)に位置され、排気口70eは境界室38の中央
下部に位置されている。即ち、基材搬送領域Rに沿って
上流側から順に排気口70c、70e、70e、70c
の順に配列されている。
【0029】次に、前記複数本の排気管70bのうち、
残り(図面では6本)の排気管70bの排気口70fは
基材搬送領域Rの幅方向両側に並ぶように配置されてい
る。前記複数本の排気管70bには、前記ガスの排気量
を調整するためのバルブ(流量調整機構)70dがそれ
ぞれ設けられている。従って、ガス排気孔70a、70
aが形成された排気室70と、排気口70c、70e、
70fを有する複数本の排気管70b・・・と、バルブ7
0dと、真空ポン プ71と、圧力調整装置72によっ
てガス排気機構(手段)80が構成される。このような
構成のガス排気手段80によれば、CVD反応装置30
の内部の原料ガス、酸素ガス、不活性ガス、および遮断
ガスなどのガスをガス排気孔70a、70aから排気室
70、排気口70c、70e、70f、排気管70bを
経て速やかに排出できるように構成されている。
【0030】前記CVD反応装置30の外部には、図1
に示すように、第1段目から第3段目までの3つの反応
生成室35A、35B、35Cを覆う外部加熱ヒータ4
7が設けられているとともに、外部加熱ヒータ47の内
側に、第1段目から第3段目までの反応生成室35A、
35B、35Cに対応するように、内部加熱ヒータ47
A、47B、47Cが順に設置されている。更に、先の
外部加熱ヒータ47への通電制御とは別個に各内部加熱
ヒータ47A、47B、47Cに通電制御できるように
個々に電源に接続されていて、各内部加熱ヒータ47
A、47B、47Cへの通電量を制御することで第1段
目の反応生成室35Aと第2段目の反応生成室35Bと
第3段目の反応生成室35Cの温度を独自に制御できる
ように構成されている。例えば、外部加熱ヒータ47の
全体に通電してCVD反応装置30の全体を所定の加熱
した上で、更に内部加熱ヒータ47A、47B、47C
に独自に通電する際、例えば、内部加熱ヒータ47Aの
みへの通電量を他の内部加熱ヒータ47B、47Cへの
通電量よりも低く設定することで、第1段目の反応生成
室35の温度よりも第2段目と第3段目の反応生成室4
7B、47Cの温度を高く設定することができるように
構成されている。
【0031】さらに、前記CVD反応装置30の外部に
おいて、基材導入部34が不活性ガス供給源51Aに、
また、基材導出部36が酸素ガス供給源51Bにそれぞ
れ接続されている。また、各ガス拡散部40の天井壁4
4に接続された供給管53には、図1に示すように気化
器55とポンプPを介して原料溶液収納容器50が接続
され、更に供給管53に酸素ガス等のキャリアガス供給
手段52が接続され、これらにより原料ガス供給手段5
4が構成されていて、原料溶液を気化器55にてミスト
状の気化ガスとすることで供給管53を介して各反応生
成室35に必要量の原料ガスを送ることができるように
構成されている。
【0032】前記構成において、原料ガスの気化器55
は、球状の胴部55aと、胴部55aの天井部分を貫通
して設けられた針状のニードル管57を具備して構成さ
れ、ニードル管57の先端部から胴部55aの内部に原
料溶液をミスト状に吹き出すことで原料ガスを生成でき
るように構成されている。
【0033】更に、リアクタ31の基材導出部36の外
側には、リアクタ31内の基材搬送領域Rを通過するテ
ープ状の基材38を巻き取るためのテンションドラム7
3と巻取ドラム74をケース75Aの内部に収容した基
材搬送機構75が設けられている。また、基材導入部3
4の外側には、テープ状の基材38をリアクタ31に供
給するためのテンションドラム76と送出ドラム77と
をケース78Bの内部に収容した基材搬送機構78が設
けられている。これらのケース75A、78Aは、リア
クタ31の内部の減圧状態を崩さないように、リアクタ
31の基材導入部34、基材導出部36にそれぞれ気密
に接続されている。
【0034】また、リアクタ31の基材搬送領域R内に
は原料ガスや酸素ガスなどのガスの流れを測定する流量
計(図示略)が取り付けられ、前記流量計および前記バ
ルブ70dに制御手段82が電気的に接続されている。
この制御手段82は、前記流量計の計測結果に基づいて
各バルブ70dを調整し、リアクタ31内を移動中のテ
ープ状の基材38の長さ方向及び幅方向への原料ガスや
酸素ガスなどのガスの流れ状態を制御できるとともに、
遮断ガス供給手段38Bに接続され、該境界室38に供
給される遮断ガスの流れ状態を制御できるようになって
いる。
【0035】更に、前記制御手段82は、原料ガス供給
手段54のキャリアガス供給手段52にも電気的に接続
されることにより、前記基材搬送領域R内の流量計の計
測結果に基づいてキャリアガスの供給量を調整し、供給
管53を介してCVD反応装置30へ送る酸素ガス量も
調整できるようになっている。以上の構成から、前述の
反応生成室35A、35B、35Cが内部加熱ヒータ4
7A、47B、47Cにより別個に温度制御自在に構成
されるとともに、反応生成室35A、35B、35Cが
先の3つの気化器55とキャリアガス供給手段52に個
々に接続されているので、それらの内部に供給される原
料ガスの種類や酸素ガス分圧も個々に調整できるように
構成されている。
【0036】次に前記のように構成されたCVD反応装
置30を備えた酸化物超電導導体の製造装置を用いてテ
ープ状の基材T上に酸化物超電導層を形成し、図6に示
すような基材T上に下地酸化物超電導層85Aと上部酸
化物超電導層85Bとを有する酸化物超電導体85を製
造する場合について説明する。図1に示す製造装置を用
いて酸化物超電導体を製造するには、まず、テープ状の
基材Tと原料溶液を用意する。
【0037】この基材Tは、長尺のものを用いることが
できるが、特に、銀のテープ基材であり、基材表面に
(100)面を、基材長手方向に<001>を優先的に
揃えた立方体集合組織を有するAg{100}<001
>と称されるものを用いることができる。このAg{1
00}<001>テープ基材は、例えば、特開平07−
192546号特許明細書、特開平08−190816
号特許明細書、特願平11−111080号特許明細書
等に開示されているものである。この基材Tは、先の特
許出願に開示された製造方法により得られるが、一例を
略記すると、純度99.99%以上の銀の塊を220℃
に保ったまま複数回、例えば5回程度圧延処理して目的
の厚さまで加工してテープを得た後、800℃で2時間
程度アニールして得ることができる。
【0038】次に酸化物超電導体をCVD反応により生
成させるための原料溶液は、酸化物超電導体を構成する
各元素の金属錯体を溶媒中に分散させたものが好まし
い。具体的には、Y1Ba2Cu3xなる組成で広く知ら
れるYBaCuO系の酸化物超電導層を形成する場合
は、Ba-ビス-2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジ
オン-ビス-1,10-フェナントロリン(Ba(thd)
2(phen)2)と、Y(thd)2 と、Cu(th
d)2などを使用することができ、他にはY-ビス-2,2,
6,6-テト ラメチル-3,5-ヘプタンジオナート(Y(DP
M)3)と、Ba(DPM)2と、Cu(DPM)2など
を用いることができる。
【0039】なお、酸化物超電導層には、YBaCuO
系の他に、RE1Ba2Cu3xなる組成式で示される
(ただし、REは、La、Pr、Nd、Sm、Eu、G
d、Dy、Ho、Er、Tm、Ybの中から選択される
1種または2種以上の希土類元素を示す)希土類系超電
導層を適宜用いることができる。ここで例えば、YBa
CuO系以外の酸化物超電導層を製造する場合には、必
要な組成系に応じて、トリフェニルビスマス(II
I)、ビス(ジピバロイメタナト)ストロンチウム(I
I)、ビス(ジピバロイメタナト)カルシウム(I
I)、トリス(ジピバロイメタナト)ランタン(II
I)、などの金属錯塩を適宜用いてそれぞれの系の酸化
物超電導層の製造に供することができる。
【0040】本実施形態においては、3つの原料溶液収
容容器50に収納されている原料溶液が同一のものでは
なく、第1段目の反応生成室35Aに接続されている原
料溶液収納容器50にNd1Ba2Cu3xなる組成の酸
化物超電導層形成用の溶液が収納され、第2段目と第3
段目の反応生成室35B、35Cに接続されている原料
溶液収納容器50にRE1Ba2Cu3xなる組成式で示
されるいずれかの組成の酸化物超電導層形成用の溶液が
収納されている。
【0041】前記のようなテープ状の基材Tを用意した
ならば、これを酸化物超電導体の製造装置内の基材搬送
領域Rに基材搬送機構78により基材導入部34から所
定の移動速度で送り込むとともに基材搬送機構68の巻
取ドラム74で巻き取り、更に反応生成室35A、35
B、35C内の基材Tを外部加熱ヒータ47と内部加熱
ヒータ47A、47B、47Cで個々に所定の温度に加
熱する。この加熱条件について、第1段目の反応生成室
35Aの温度を600℃〜730℃の範囲、より好まし
くは、600℃〜700℃の範囲になるように加熱し、
第2段目と第3段目の反応生成室35B、35Cの温度
を先の温度範囲よりも高い温度範囲である750℃〜8
00℃の範囲になるように加熱する。
【0042】なお、前記基材Tを送り込む前に、不活性
ガス供給源51Aから不活性ガスをパージガスとしてC
VD反応装置30内に送り込むとともに、境界室38内
に遮断ガス噴出部38aを介して遮断ガスを送り込み、
同時にCVD反応装置30の内部のガスを圧力調整装置
72でガス排気孔70a、70aから排気室70、排気
口70c、70e、70f、排気管70bを経て抜くこ
とでCVD反応装置30内の空気等の不用ガスを排除し
て内部を洗浄しておくことが好ましい。
【0043】基材TをCVD反応装置30内に送り込ん
だならば、気化器55から原料溶液のミストとキャリア
ガスを含む原料ガスを各反応生成室35A、35B、3
5Cに送る。同時にCVD反応装置30の内部のガスを
圧力調整装置72でガス排気孔70a、70aから排気
室70、排気口70c、排気管70bを経て排気する。
これにより気化器55の圧力と反応生成室35との間に
気圧差を生じさせ、この気圧差により原料溶液を気化器
55の内部に吹き込んで、原料溶液を液滴(ミスト)状
に変換し、酸素ガス等のキャリアガスと混合して原料ガ
スとしてガス拡散部40に供給することができる。
【0044】次に、CVD反応装置30の内部において
は、供給管53の出口のスリットノズル部分からガス拡
散部40に出た原料ガスが、ガス拡散部40の内面壁に
沿って拡散しながら反応生成室35A側、35B側、3
5C側に移動し、反応生成室35A、35B、35Cの
内部を通り、次いで基材Tを上から下に横切るように移
動してガス排気孔70a、70aに引き込まれるように
移動させる際に、加熱された基材38の上面側で原料ガ
スを反応させて反応生成物としての酸化物超電導層を堆
積させることができる。
【0045】ここで基材T上に反応生成物を堆積させる
ときに、制御手段82により、圧力調整装置72でガス
排気孔70a、70aから排気室70、排気口70c、
70e、70f、排気管70bを経て排気するとともに
各バルブ70dを調整して各排気管70b内のガス流れ
を調整することにより、基材搬送領域Rを移動中のテー
プ状の基材Tの長さ方向及び幅方向への原料ガスの流れ
状態を制御しながらCVD反応を行う。同時に、遮断ガ
ス供給手段38Bによって境界室38に遮断ガスを供給
して、ガス排気孔70a、70aから排気室70、排気
口70e,70f、排気管70bを経て排気することに
より反応生成室35、35どうしの反応ガスの流通を遮
断して反応生成室35内における酸素分圧等のガス状態
の独立を維持する。更に、キャリアガスの供給量を調整
して原料ガスの供給量も制御手段82により制御する。
更に加えて、外部加熱ヒータ47と内部加熱ヒータ47
Aへの通電制御によって第1段目の反応生成室35Aの
温度を600℃〜730℃の温度範囲、より好ましくは
600℃〜700℃の範囲に制御する。
【0046】また、CVD反応装置30内で反応が進行
する間に、基材搬送領域Rを移動中のテープ状の基材T
の長さ方向及び幅方向への原料ガスや酸素ガスなどのガ
スの流れ状態が変化して酸化物超電導層に悪影響を与え
る恐れが生じることがあるので、リアクタ31の基材搬
送領域R内に設けられた流量計でガスの流量変化を測定
し、この測定結果に基づいて制御手段82によって各バ
ルブ70dやキャリアガス供給手段52から供給する酸
素ガス量を調整し、ガス流れ状態が常に好ましい流れ状
態になるように制御し、これによってテープ状の基材T
の長さ方向および幅方向に対し厚さの分布や組成が均一
な酸化物超電導層を常に形成することができる。
【0047】第1段目の反応生成室35Aに到達した基
材Tの上面側には、比較的低温度の600〜730℃の
範囲の温度でNd1Ba2Cu3x、Yb1Ba2Cu
3x、または、Sm1Ba2Cu3xのいずれかの組成式
の酸化物超電導層85Aが生成され、続いて基材Tが第
2段目の反応生成室35Bと第3段目の反応生成室35
Cに到達した場合には、RE1Ba2Cu3xなる組成式
で示されるいずれかの組成の酸化物超電導層85Bが比
較的高温度の750℃〜800℃の温度で生成される。
以上のように酸化物超電導層が形成された酸化物超電導
導体85は巻取ドラム74に巻き取られる。このように
して得られた酸化物超電導導体85の断面構造を図6に
示す。この例で酸化物超電導導体85は、基材Tの上に
Nd1Ba2Cu 3x、Yb1Ba2Cu3x、または、S
1Ba2Cu3xのいずれかの組成式の下地酸化物超電
導層85Aと、RE1Ba2Cu3xなる組成式で示され
るいずれかの組成の上部酸化物超電導層85Bが積層さ
れている。この上部酸化物超電導層85Bとして、例示
すると、Y1Ba2Cu3x、Nd1Ba2Cu3x、Sm
1Ba2Cu3x、Gd1Ba2Cu3x等である。
【0048】図6に示す酸化物超電導導体85であるな
らば、Ag{100}<001>集合組織を有するテー
プからなる基材Tが用いられていて、この上に、銀の格
子定数a=4.09Åに近い格子定数a=3.92Åを有
するNd1Ba2Cu3xなる組成の下地酸化物超電導層
85Aが形成されているので、下地酸化物超電導層85
AがAg{100}<001>集合組織のテープからな
る基材Tに良好な結晶整合性でもってエピタキシャル成
長されて積層されている結果、結晶配向性の良好な下地
酸化物超電導層85Aが形成されている。これは、Nd
1Ba2Cu3xなる組成の下地酸化物超電導層85Aが
格子定数a=3.92Åであって、Agの格子定数a=
4.09Åと近いので結晶整合性が良好であるという理
由と、600℃〜730℃という比較的低温度の成膜温
度を選択したことの複合効果によるものである。そし
て、この良好な結晶配向性の下地酸化物超電導層85A
上に積層されている上部酸化物超電導層85Bも下地酸
化物超電導層85Aに対してエピタキシャル成長しなが
ら生成されるので良好な結晶配向性が得られる。従って
全体として2軸配向性であり、極点図においては4回対
称性を示す結晶配向性の良好な酸化物超電導層85A、
85Bを備えた酸化物超電導導体85を得ることができ
る。
【0049】なお、以下の表1に主な酸化物超電導体の
結晶の格子定数とAgの格子定数を比較して記載してお
く。 「表1」 材料 格子定数(Å) 熱膨張係数(10-6/K) Ag a=4.09 20.6(-500℃)、22.4(-900℃) Yb1Ba2Cu3x a=3.87、b=3.80 12.7(-500℃)、15.0(-900℃) Y1Ba2Cu3x a=3.89、b=3.82 14.4(-500℃)、16.9(-900℃) Sm1Ba2Cu3x a=3.91、b=3.85 Nd1Ba2Cu3x a=3.92、b=3.88
【0050】以上のことから本実施形態の装置で製造さ
れた酸化物超電導導体85は、良好な結晶配向性を有す
る酸化物超電導層85A、85Bが積層されているの
で、臨界電流密度が高い優れた超電導特性を発揮する。
なお、Agの格子定数4.09Åに対し、Yb1Ba2
3xの組成式で示される酸化物超電導体はa=3.8
7Åであり、格子定数差が大きいのでcube-on-cubeの状
態での成膜は難しいが、逆に、diagonal-on-cubeの状態
で成膜することが可能と考えらえるので、本発明に適用
することができる。
【0051】
【実施例】「実施例1」図1に示す構造のCVD装置を
用いるとともに、幅3mm、長さ100cm、厚さ0.
05mmのAgテープ基材(Ag{100}<001>
集合組織90%を有するテープ基材)を用い、該基材の
移動速度を3.0m/時間に設定し、第1段目の反応生
成室の温度を700℃に設定し、第2段目の反応生成室
の温度を800℃に設定し、第3段目の反応生成室の温
度を800℃に設定した。次に、第1段目の反応生成室
に供給される原料ガスの溶液として、Nd:Ba:Cu
=1.0:2.7:3.0の割合で各元素を含む後述のT
HF原料溶液、 第2段目の反応生成室に供給される原
料ガスの溶液として、Y:Ba:Cu=1.0:2.7:
3.0の割合で各元素を含む後述のTHF原料溶液、第
3番目の反応生成室に供給される原料ガスの溶液とし
て、Y:Ba:Cu=1.0:2.7:3.0の割合で各
元素を含む後述のTHF原料溶液を用いた。
【0052】次に、前記THF原料溶液濃度7.3wt.
%、THF原料供給速度0.27ml/分、反応圧力5.
0 Torr(=5×133Pa)、第1段目の反応生成室
の酸素分圧値を0.55Torr(=0.55×133P
a)、第2段目の反応生成室の酸素分圧値を1.35Tor
r(=1.35×133Pa)、第3段目の反応生成室の
酸素分圧値を1.43Torr(=1.43×133Pa)と
して、各ガス供給部から基材テープ上に各原料ガスを吹
き付け、第1段目の反応生成室において移動中の基材上
にNd1Ba2Cu37-Xなる組成の下地酸化物超電導層
を成膜し、第2段目の反応生成室において移動中の基材
上にY1Ba2Cu3Xなる組成の上部酸化物超電導層を
成膜し、第3段目の反応生成室において移動中の基材上
にY1Ba2Cu3Xなる組成の上部酸化物超電導層を成
膜した。
【0053】ここで、THF(テトラヒドロフラン)原
料溶液7.3wt.%とは、Ba-ビス-2,2,6,6-テトラメ
チル-3,5-ヘプタンジオン-ビス-1,10フェナントロリン
(Ba(thd)2(phen)2)と、Y(thd)2とCu(th
d)2とをY:Ba:Cu=1.0:2.7:3.0のモル
比で混合し、テトラヒドロフラン溶液に7.3wt.%に
なるように添加した、酸化物超電導体製造用CVD原料
溶液として著名なものである。また、Nd1Ba2Cu3
7-Xなる組成の酸化物超電導層を形成する場合は、先
の組成の溶液の代わりに、(Ba(thd)2(phen)2
と、Nd(thd)2とCu(thd)2をNd:Ba:Cu=
1.0:2.7:3.0のモル比で混合したTHF原料溶
液を用いている。
【0054】得られた酸化物超電導層のNd1Ba2Cu
3X膜とY1Ba2Cu3X膜の合成面内配向性を示すX
線極点分析図を図7に示す。図7に示す分析結果では、
cube-on-cubeの成分が支配的となり、明瞭な4回対称
性、即ち、2軸配向性を得ることができた。また、この
酸化物超電導導体の約10cm部分を取り出して4端子
法により臨界電流密度を測定したところ、77K、0T
(温度77K、磁場0テスラ)の条件において1×10
-5A/cm2となり、十分に優れた臨界電流密度を有す
る酸化物超電導導体であることを確認できた。
【0055】「実施例2」図1に示す装置を用い、以下
の条件で先の実施例と同等の銀基材を用いて銀基材上に
Nd1Ba2Cu3X膜/Y1Ba2Cu3X膜/Nd1
2Cu3X膜なる3層構造の酸化物超電導層を形成し
た。 基材 Ag{100}<001>(3mmwx100cmLx0.05mmt) 基材移動速度 3.0m/時間 設定合成温度(1/2/3段目) 700℃/800℃/800℃ 原料仕込み組成比(1段目) 1.0:2.7:3.0 (2段目) 1.0:2.7:3.0 (3段目) 1.0:2.7:3.0 THF原料溶液濃度 7.3wt.% THF原料供給速度 0.27ml/分 反応圧力 5.0 Torr(=5×133Pa) 設定酸素分圧値(1/2/3段目)0.55/1.35/1.43 Torr(×133Pa )
【0056】以上の条件で製造されたNd1Ba2Cu3
X膜/Y1Ba2Cu3X膜/Nd1Ba2Cu3X膜の
X線極点分析結果から、図7に示す結果と同様に明瞭な
4回対称性を示す、cube-on-cubeの成分が主体の結果を
得ることができた。また、この試料において臨界電流密
度1×105A/cm2(77K、0T)の優れた値を得
ることができた。なお、Nd1Ba2Cu3X膜/Y1
2Cu3X膜/Nd1Ba2Cu3X膜の3層構造であ
るならば、Y1Ba2Cu3X膜が大気中の水分と反応し
易く、膜表面が容易に劣化すること、Nd1Ba2Cu3
7-X膜が大気中に放置しても安定であり、水分による
変質や劣化のないことが知られていることを考慮する
と、Y1Ba2Cu3X膜の単層構造、あるいは最外層に
1Ba2Cu3X膜を配置する構造の酸化物超電導導体
に比べて本実施例構造では大気中における長期間の保管
に有利な構造を提供できる。
【0057】「比較例1」図1に示す装置を用い、以下
の条件で先の実施例と同等の基材を用いて基材上にNd
1Ba2Cu37-Xなる組成の酸化物超電導層を形成し
た。 基材 Ag{100}<001>(3mmwx100cmLx0.05mmt) 基材移動速度 3.0m/時間 設定合成温度(1/2/3段目) 800℃/800℃/800℃ 原料仕込み組成比(1段目) 1.0:2.7:3.0 (2段目) 1.0:2.7:3.0 (3段目) 1.0:2.7:3.0 THF原料溶液濃度 7.3wt.% THF原料供給速度 0.27ml/分 反応圧力 5.0 Torr(=5×133Pa) 設定酸素分圧値(1/2/3段目)1.35/1.35/1.43Torr(×133Pa)
【0058】以上の条件で製造されたNd1Ba2Cu3
X膜のX線極点分析結果を図8に示し、銀基材のX線
極点分析結果を図9に示す。図8に示す結果から、1段
目、2段目、3段目の反応生成室の温度をいずれも80
0℃に設定して成膜すると、4回対称性を有する良好な
配向性の銀テープ基材上であっても、8回対称性を示す
配向性の悪いNd1Ba2Cu3X膜が生成されてしまう
ことが明らかである。
【0059】「比較例2」図1に示す装置を用い、以下
の条件で先の実施例と同等の基材を用いて基材上にNd
1Ba2Cu37-Xなる組成の酸化物超電導層を形成し
た。 基材 Ag{100}<001>(3mmwx100cmLx0.05mmt) 基材移動速度 3.0m/時間 設定合成温度(1/2/3段目) 760(740)℃/760(740)℃/760(740)℃ 原料仕込み組成比(1段目) 1.0:2.7:3.0 (2段目) 1.0:2.7:3.0 (3段目) 1.0:2.7:3.0 THF原料溶液濃度 7.3wt.% THF原料供給速度 0.27ml/分 反応圧力 5.0 Torr(=5×133Pa) 設定酸素分圧値(1/2/3段目)1.35/1.35/1.43Torr(×133Pa)
【0060】以上の条件において760℃の成膜温度条
件で製造されたNd1Ba2Cu3X膜のX線極点分析結
果を図10に示し、740℃の成膜温度条件で製造され
たNd1Ba2Cu3X膜のX線極点分析結果を図11に
示す。図10と図11に示す結果から、1段目、2段
目、3段目の反応生成室の温度をいずれも760℃、あ
るいはいずれも740℃に設定して成膜すると、cube-o
n-cubeの成分が支配的となり、diagonal-on-cubeの成分
による極点ピークの強度が小さくなる傾向を有すること
が、各図の矢印で示す部分のように認められた。これ
は、成膜時の温度が低くなったことで結晶の乱れる割合
が減少したためであると考えられる。
【0061】図8と図10と図11に示すX線極点分析
図のNd(103)ピークの強度から見積もられるcube
-on-cubeの成分とdiagonal-on-cubeの成分の比率を以下
に記載する。 反応生成室の合成温度 cube-on-cube : diagonal-on-cube 800℃ 1 : 0.93 760℃ 1 : 0.75 740℃ 1 : 0.68
【0062】この関係から、Ag{100}<001>
テープ基材上に合成したNd1Ba2Cu3X膜の面内配
向性は、合成温度が低いほど改善される傾向にあること
が明らかとなった。これは、AgとNd1Ba2Cu3
7-X膜との格子不整合性が低温成膜(740〜760℃
成膜)で若干緩和されたためと考えられる。
【0063】以上のことから、第1段目の反応生成室の
合成温度を740℃未満、即ち、730℃以下に設定す
ることでNd1Ba2Cu3X膜の結晶配向性を良好にす
ることができると考えられるとともに、この種のNd1
Ba2Cu3X膜の合成温度としては下限と思われる6
00℃を超える合成温度で第1段目の反応生成室で合成
するならば、cube-on-cubeの成分を主体とする結晶配向
性に優れたNd1Ba2Cu3X膜をAg{100}<0
01>テープ基材上の合成できるものと考えられる。
【0064】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、2
軸配向性を有する銀の基材上に、配向性の良好なNd1
Ba2Cu37-X、Yb1Ba2Cu3x、Y1Ba2Cu3
x、または、Sm1Ba2Cu3xのいずれかの組成式
の下地酸化物超電導層を有し、更にその上に上部酸化物
超電導層を有するので、両方の酸化物超電導をまとめた
全体として結晶配向性の良好な、臨界電流密度の高い酸
化物超電導層を具備する酸化物超電導導体を得ることが
できる。また、銀の基材がAg{100}<001>な
る集合組織を有するものであることで配向性の良好な下
地酸化物超電導層を確実に備えさせることができる。次
に、上部酸化物超電導層として、RE1Ba2Cu3x
る組成(ただし、REは、Y、La、Pr、Nd、S
m、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Tm、Ybの中か
ら選択される1種または2種以上を示す)で示される希
土類酸化物系の超電導層を用いることができ、いずれの
希土類系酸化物超電導層を選択しても下地酸化物超電導
層に対して良好に結晶配向させた酸化物超電導層を有す
る本発明構造を得ることができる。
【0065】次に、本発明において、銀の基材上に原料
ガスを反応させて酸化物超電導層を生成させる反応生成
室を複数設けた装置を用い、基材上に下地酸化物超電導
層を600〜730℃の温度範囲で生成し、その上に上
部酸化物超電導層を750〜800℃で生成させるなら
ば、銀の基材上に、2軸配向した、極点図において4回
対称性を有する結晶配向性の良好な下地酸化物超電導層
を生成させることができる。そして、その上に他の反応
生成室において上部酸化物超電導層を生成させるなら
ば、下地酸化物超電導層に対して結晶整合した状態の上
部酸化物超電導層を生成できるので、結果的に全体とし
て結晶配向性に優れた酸化物超電導層を備えた臨界電流
密度の高い酸化物超電導導体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明に係る酸化物超電導導体の製造
装置の一実施形態を示す側面略図。
【図2】 図2は図1に示す製造装置の反応生成室を示
す拡大斜視図。
【図3】 図3は図1に示す製造装置の反応生成室の断
面略図。
【図4】 図4は図1に示す製造装置の反応生成室の平
面略図。
【図5】 図5は図1に示す製造装置の反応生成室の一
部断面図。
【図6】 図6は本発明方法で得られた酸化物超電導導
体の一例を示す断面図。
【図7】 実施例で得られた酸化物超電導層のNd1
2Cu3X膜とY1Ba2Cu3X膜の合成面内配向性
を示すX線極点分析図。
【図8】 比較例1で得られた酸化物超電導層のX線極
点図。
【図9】 比較例1で得られた酸化物超電導導体におけ
るAg基材のX線極点図。
【図10】 比較例2で得られた酸化物超電導層のX線
極点図。
【図11】 比較例2で得られた酸化物超電導導体にお
けるAg基材のX線極点図。
【図12】 従来のCVD装置の第1の例を示す構成
図。
【図13】 図12に示すCVD装置で得られた酸化物
超電導層のX線極点図。
【図14】 図12に示すCVD装置で酸化物超電導導
体を製造する場合に用いた銀基材のX線極点図。
【図15】 従来のCVD装置の第2の例を示す構成
図。
【符号の説明】
31…リアクタ、54…原料ガス供給手段、80…ガス
排気手段、82…制御手段、34…基材導入部、35
A、35B、35C…反応生成室、36…基材導出部、
39…通過孔、R…基材搬送領域、T…基材、85…酸
化物超電導導体、85A…下地酸化物超電導層、85B
…上部酸化物超電導層。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 斉藤 隆 東京都江東区木場1丁目5番1号 株式会 社フジクラ内 (72)発明者 長屋 重夫 愛知県名古屋市緑区大高町字北関山20番地 の1 中部電力株式会社電力技術研究所内 Fターム(参考) 5G321 AA01 AA04 BA01 BA03 BA05 BA11 CA04 CA21 CA27 DB40 DB47

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 銀からなる基材上に、X線極点分析図に
    おける4回対称性を示す2軸配向された下地酸化物超電
    導層が形成され、この下地酸化物超電導層上に1層以上
    の上部酸化物超電導層が積層されてなり、前記下地酸化
    物超電導層が組成式Nd1Ba2Cu3x、Yb1Ba2
    3x、または、Sm1Ba2Cu3xのいずれかで示さ
    れるものを主体とする酸化物超電導層であることを特徴
    とする酸化物超電導導体。
  2. 【請求項2】 前記基材がAg{100}<001>集
    合組織を有するものであることを特徴とする請求項1記
    載の酸化物超電導導体。
  3. 【請求項3】 前記上部酸化物超電導層が、RE1Ba2
    Cu3xなる組成(ただし、REは、Y、La、Ce、
    Nd、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Tm、Y
    bの中から選択される1種または2種以上を示す)で示
    される希土類酸化物系の超電導層であることを特徴とす
    る請求項1または2に記載の酸化物超電導導体。
  4. 【請求項4】 酸化物超電導体の原料ガスを化学反応さ
    せて移動中の基材表面に酸化物超電導層として堆積させ
    るCVD反応を行うリアクタと、該リアクタに原料ガス
    を供給する原料ガス供給手段と、前記リアクタ内のガス
    を排気するガス排気手段と、これらを制御する制御手段
    とが備えられてなる酸化物超電導導体の製造装置におい
    て、 前記リアクタが、基材導入部と、反応生成室と、基材導
    出部とにそれぞれ隔壁を介して区画され、該反応生成室
    が基材の移動方向に直列に複数設けられ、これら隔壁に
    基材通過孔が形成されて前記リアクタの内部に基材導入
    部と複数の反応生成室と基材導出部とを通過する基材搬
    送領域が形成されるとともに、 前記直列配置された各反応生成室が独自に温度制御自在
    に構成されてなることを特徴とする酸化物超電導導体の
    製造装置。
  5. 【請求項5】 前記反応生成室が3段以上に形成され、
    1段目の反応生成室が600℃〜730℃の温度範囲に
    制御自在とされるとともに、前記2段目以降の反応生成
    室が750℃〜800℃の温度範囲に制御自在とされて
    なることを特徴とする請求項4記載の酸化物超電導導体
    の製造装置。
  6. 【請求項6】 酸化物超電導体の原料ガスをリアクタ内
    で化学反応させて移動中の基材表面に酸化物超電導層と
    して堆積させる酸化物超電導導体の製造方法において、 原料ガスを化学反応させる反応生成室を複数設けたリア
    クタを用いるとともに銀の基材を用い、この基材上に前
    記リアクタの第1段目の反応生成室において600〜7
    30℃の温度範囲で行う低温成膜処理で下地酸化物超電
    導層を形成した後、前記リアクタの第2段目以降の反応
    生成室において750〜800℃の温度範囲で行う高温
    成膜処理で上部酸化物超電導層を形成することを特徴と
    する酸化物超電導導体の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記下地酸化物超電導層としてNd1
    2Cu3x、Yb1Ba2Cu3x、またはSm1Ba2
    Cu3xのいずれかの組成式で示される酸化物超電導層
    を主体として用いることを特徴とする請求項6記載の酸
    化物超電導導体の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記上部酸化物超電導層として、RE1
    Ba2Cu3xなる組成(ただし、REは、Y、La、
    Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、T
    m、Ybの中から選択される1種または2種以上を示
    す)で示される希土類酸化物系の超電導層を用いること
    を特徴とする請求項6記載の酸化物超電導導体の製造方
    法。
  9. 【請求項9】 前記基材として、{100}<001>
    集合組織を有する銀のテープ基材を用いることを特徴と
    する請求項6または7に記載の酸化物超電導導体の製造
    方法。
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