JP2001266324A - 磁気ヘッドスライダとその製造方法 - Google Patents

磁気ヘッドスライダとその製造方法

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JP2001266324A
JP2001266324A JP2000107149A JP2000107149A JP2001266324A JP 2001266324 A JP2001266324 A JP 2001266324A JP 2000107149 A JP2000107149 A JP 2000107149A JP 2000107149 A JP2000107149 A JP 2000107149A JP 2001266324 A JP2001266324 A JP 2001266324A
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carbon film
magnetic head
film
slider
magnetic
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Application number
JP2000107149A
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English (en)
Inventor
Tomoo Otsuka
智雄 大塚
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Alps Alpine Co Ltd
Original Assignee
Alps Electric Co Ltd
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Publication date
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Priority to US09/749,961 priority patent/US6728069B2/en
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Priority to US10/447,692 priority patent/US6717772B2/en
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 製造効率を良好としたうえで、スライダ本体
の媒体対向面やレールに設けられた突起の耐磨耗性を向
上できるとともにスライダ本体に設けられた磁気ヘッド
コアの腐食を防止できる磁気ヘッドスライダの提供。 【解決手段】 スライダ本体10内に磁気ヘッドコアが
設けられ、スライダ本体10の磁気ディスク71側の媒
体対向面に浮力発生のためのレールが形成され、磁気デ
ィスク71に対して浮上走行して磁気情報の書き込みあ
るいは読み出しを行うものであって、スライダ本体10
の媒体対向面に設けられた各サイドレール12の表面上
に接着層61を介して耐腐食性を有する第1のカーボン
膜62が設けられ、第1のカーボン膜62上に中間膜6
3と第2のカーボン膜64が交互に形成されてなる突起
17、18が設けられ、第2のカーボン膜64のうち少
なくとも最外層の第2のカーボン膜64は耐磨耗性を有
することを特徴とする磁気ヘッドスライダS。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気記録媒体上を
微小間隔で浮上して磁気情報の記録再生を行う磁気ヘッ
ドスライダとその製造方法に係わり、特に、製造効率を
良好としたうえで、スライダ本体の媒体対向面やレール
に設けられた突起の耐磨耗性を向上できるとともにスラ
イダ本体に設けられた磁気ヘッドコアの腐食を防止でき
るようにした技術に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、コンピュータ用の磁気記録装置に
おいて、図9に示すような磁気ディスク装置が知られて
いる。この磁気ディスク装置は、回転自在に設けられた
円盤状の磁気ディスク81上に磁気ヘッドスライダ82
が対向配置された構成であり、磁気ヘッドスライダ82
は3角形状のバネ板83を介して支持アーム84により
支持されていて、支持アーム84の回動中心部84aを
中心とする回動操作により磁気ヘッドスライダ82が磁
気ディスク81の直径方向の所望の位置に移動できるよ
うに構成されている。
【0003】図9に示す構成の磁気ディスク装置におい
て、磁気ディスク81が停止している場合、磁気ヘッド
スライダ82の底面は磁気ヘッドスライダ82を支持す
るバネ板83の付勢力によって磁気ディスク81に軽く
押し付けられており、磁気ディスク81が回転されてい
る場合は、回転に伴って生じる空気の流れを利用して磁
気ヘッドスライダ82は磁気ディスク81上を所定の高
さで浮上走行するように構成され、磁気ディスク81の
回転が停止されると浮上走行していた磁気ヘッドスライ
ダ82は再び磁気ディスク81に接触して停止される
が、前記の浮上走行時に磁気ディスク81の磁気記録層
に対して磁気情報の読み書きがなされるように構成され
ており、この一連の作動状況は通常CSS(コンタクト
スタートストップ)と称されている。
【0004】図10乃至図12従来から広く使用されて
いる2レール型の磁気ヘッドスライダ82を示す図であ
る。図10は磁気ヘッドスライダ82の浮上走行状態を
示す側面図ており、図11は静姿勢の状態を示す側面図
であり、図12は、この磁気ヘッドスライダ82のサイ
ドレール86の長さ方向に沿った断面の拡大図である。
この磁気ヘッドスライダ82の底面には、中央部に1本
の溝(図示略)を形成してその両側にサイドレール8
6、86が形成され、各サイドレール86の先端下面側
(磁気ディスク81の回転方向上流側)には、傾斜面8
6aが形成されていて、この傾斜面86aを介して図1
0の矢印Aに示すように空気が流入することで磁気ヘッ
ドスライダ82のサイドレール86の底面が正圧発生部
となって磁気ヘッドスライダ82が浮上走行するように
なっている。また、図10の2点鎖線で示すようにサイ
ドレール86の底面に負圧溝86bを形成し、この負圧
溝86bで発生させた負圧と前記サイドレール86、8
6で発生させた正圧を均衡させることにより浮上走行性
の安定化を図った磁気ヘッドの構成も知られている。ま
た、各サイドレール86の表面には、図12に示すよう
にSiからなる密着層91が形成され、さらにこの密着
層91上に第1のカーボン膜92が形成されている。
【0005】図10は磁気ヘッドスライダ82を側面側
から見た状態を示すが、磁気ヘッドスライダ82が浮上
走行している場合は、傾斜面86aを介して空気が磁気
ヘッドスライダ82の底面側に流れ込み、更に負圧溝8
6bを形成した場合は磁気ヘッド後部側に負圧が発生し
ているので、磁気ヘッドスライダ82は図10に示すよ
うに空気の流入側を上に持ち上げた状態で微小角度傾斜
しながら浮上走行しており、一般にこの傾斜角度はピッ
チ角(通常100μRad程度)と称されている。
【0006】このような構成の磁気ヘッドスライダ82
にあっては、磁気ディスク81の起動時(立ち上がり
時)と停止時(立ち下がり時)に磁気ディスクに摺接す
る。そこで、磁気ディスク面の摩耗や消耗を防止するた
めに、磁気ディスク81の記録層の上に保護膜を形成し
たり、さらに、この保護膜上に潤滑層を形成している。
上記のような構成の磁気ヘッドスライダ82において
は、磁気記録の面から見ると浮上時には磁気ヘッドスラ
イダ82の磁気ギャップGが磁気ディスク81の磁気記
録層にできるだけ接近した方が有利であるので、磁気ヘ
ッドスライダ82の浮上走行時の高さをできる限り低く
することが望ましく、また、近年、磁気ディスク装置の
高記録密度化及び小型化に伴って、磁気ヘッドスライダ
82の浮上量(磁気ヘッドスライダ82と磁気ディスク
81とのスペーシング量)をさらに小さくする傾向にあ
る。浮上量を小さくしようとする場合には、浮上状態の
磁気ヘッドスライダ82と、磁気ディスク81との接触
を回避するために磁気ディスク81の表面粗さをできる
だけ小さくする必要がある。
【0007】しかし、磁気ディスク81の起動時あるい
は停止時においては、磁気ディスク81の表面が平滑に
なるほど磁気ディスク81と磁気ヘッドスライダ82と
の接触面積が大きくなってスライダ82と磁気ディスク
81との吸着が生じ易く、吸着トルクが高くなり、磁気
ディスク81を回転させるモータの始動時の負荷が大き
くなったり、また、磁気ディスク81の回転起動の際に
支持アーム84やスライダ82に設けられた磁気ヘッド
素子や磁気ディスク記録層が破損し易くなるため、これ
を防止するために各サイドレール86の上記空気流の流
入側寄りと、空気流の流出側寄りにそれぞれ突起89、
89を密着層および第1のカーボン膜を介して設けて磁
気ディスク81との接触面積を小さくしている。各突起
89は、Siからなる中間膜93と、この上に形成され
た第2のカーボン膜94から構成されている。第1と第
2のカーボン膜92、94は、通常、製造効率等の問題
から同じ材質のカーボン膜が使用されている。
【0008】上記のような構成の従来の磁気ヘッドスラ
イダの製造例を以下に述べる。まず、磁気ヘッドコア9
0が形成されたAl23TiCからなる板状体の磁気デ
ィスク側の媒体対向面上にSiからなる接着層91、第
1のカーボン膜92、Siからなる中間膜93、第2の
カーボン膜94をスパッタ法により形成する。ついで、
接着層91と第1のカーボン膜92と中間膜93と第2
のカーボン膜94の積層膜をパターニングして上記媒体
対向面にサイドレール86、86とこれの間の溝を形成
する。ここで形成された各サイドレール86の表面に
は、上記の積層膜が残っており、サイドレール86,8
6の間の溝の表面は、上記板状体が露出している。この
後、各サイドレール86上の中間膜93と第2のカーボ
ン膜94をパターニングして、突起89を形成すると、
図10乃至図12に示すような磁気ヘッドスライダ82
が得られる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
な構成の従来の磁気ヘッドスライダにおいては、磁気デ
ィスク81の起動時と停止時に図11に示すように突起
89が磁気ディスク81と摺動する際の摩擦により摩耗
し易いため、突起89を設けた効果が低下してしまうと
いう問題があった。そこで、第1、第2のカーボン膜9
2、94をなす材料として耐磨耗性が良好なダイヤモン
ドライクカーボンを用いることが考えられている。しか
しながらダイヤモンドライクカーボンは、緻密度および
密着度が低いため、第1のカーボン膜92の材料として
用いると、耐腐食性が悪く、スライダ本体に設けられた
磁気ヘッドコアの劣化が起こるという問題があった。
【0010】本発明は前記事情に鑑みてなされたもので
あり、製造効率を良好としたうえで、スライダ本体の媒
体対向面やレールに設けられた突起の耐磨耗性を向上で
きるとともにスライダ本体に設けられた磁気ヘッドコア
の腐食を防止できる磁気ヘッドスライダを提供すること
を課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の磁気ヘッドスラ
イダは前記課題を解決するために、板状のスライダ本体
内に磁気ヘッドコアが設けられ、前記スライダ本体の磁
気ディスク側の媒体対向面に浮力発生のためのレールが
形成され、磁気ディスクに対して浮上走行して磁気情報
の書き込みあるいは読み出しを行う磁気ヘッドスライダ
であって、前記スライダ本体の媒体対向面およびレール
のうち少なくともレールの表面上に接着層を介して耐腐
食性を有する第1のカーボン膜が設けられ、該第1のカ
ーボン膜上に中間膜と第2のカーボン膜が交互に形成さ
れてなる突起が設けられ、前記突起を構成する第2のカ
ーボン膜のうち少なくとも最外層の第2のカーボン膜
は、耐磨耗性を有することを特徴とする。
【0012】このような構成の磁気ヘッドスライダによ
れば、上記突起の最表面に耐磨耗性を有する第2のカー
ボン膜が形成されているので、磁気ディスクの起動時と
停止時に上記突起が磁気ディスクと摺動しても摩耗しに
くく、上記突起の耐摩耗性を著しく向上でき、さらにま
た、前記スライダ本体の媒体対向面およびレールのうち
少なくともレールの表面が耐腐食性を有する第1のカー
ボン膜で覆われているので、スライダ本体に設けられた
磁気ヘッドコアが腐食により劣化するのを防止できる。
また、上記のように突起の耐磨耗性が著しく向上するの
で、上記スライダと上記磁気ディスクとの接触面積が増
大するのを防止でき、スライダと磁気ディスクとの吸着
力が高くなることに起因して磁気ヘッドコアに設けられ
た磁気ヘッド素子や磁気ディスクの記録層等が磁気ディ
スクの回転起動の際に破損することも防止できる。さら
に、上記のような特性を有する第1、第2のカーボン膜
は、ECRCVD法(Electron Cyclotron Resonance C
hemical Vapor Deposition)により形成する際、成膜装
置内に供給する反応ガス(炭素を含むガス)の種類を変
更したり、基板バイアスを調整することにより、異なる
特性を有するカーボン膜を効率良く製造できる。従って
本発明の磁気ヘッドスライダによれば、製造効率を良好
としたうえで、スライダ本体の媒体対向面やレールに設
けられた突起の耐磨耗性を向上できるとともにスライダ
本体に設けられた磁気ヘッドコアの腐食を防止できる。
【0013】また、前記構成の本発明の磁気ヘッドスラ
イダにおいて、前記耐腐食性を有する第1のカーボン膜
は、水素含有量が30原子%以上のカーボン膜からな
り、前記耐磨耗性を有する第2のカーボン膜は膜硬度2
2GPa以上のカーボン膜からなるものが好適に用いら
れる。上記の水素含有量が30原子%以上の第1のカー
ボン膜は、例えば、接着層、第1のカーボン膜、中間膜
が形成されたスライダ本体の中間膜上にECRCVD法
により形成する際、成膜装置内に供給する反応ガス(炭
素を含むガス)の種類を変更したり、基板バイアスを調
整する(基板バイアスを低くする)ことにより、成膜す
ることができる。上記反応ガスとしてメタンガスを用い
ると、水素含有量が35原子%以上のカーボン膜を成膜
できる。また、上記反応ガスとしてエチレンガスを用い
る場合、基板バイアスによって水素含有量が30原子%
を越えるカーボン膜を成膜できる。このように上記スラ
イダ本体の媒体対向面およびレールのうち少なくともレ
ールの表面を覆う第1のカーボン膜中の水素含有量を高
くすることにより、膜硬度は低下するのもののアモルフ
ァス化して緻密度が増し、密着度が大きくなり剥がれに
くくなるので、上記スライダ本体に設けられた磁気ヘッ
ドコアが腐食により劣化するのを防止できる。
【0014】上記の膜硬度22GPa以上の第2のカー
ボン膜は、例えば、接着層、第1のカーボン膜、中間膜
が形成されたスライダ本体の中間膜上にECRCVD法
により形成する際、成膜装置内に供給する反応ガス(炭
素を含むガス)の種類を変更したり、基板バイアスを調
整する(基板バイアスを高くする)ことにより、カーボ
ン膜中の水素含有量を低くすることにより成膜できる。
第2のカーボン膜中の水素含有量は30原子%未満とす
ることが好ましい。このように上記突起を構成する第2
のカーボン膜中の水素含有量を低くすることにより、炭
素原子同士の結合が強くなり、硬度を高くすることがで
きる。また、第2のカーボン膜は、水素含有量が0原子
%のカーボン膜からなるものであってもよい。このよう
なカーボン膜の具体例としては、カソディックアークカ
ーボン(CAC)が挙げることができる。カソディック
アークカーボンからなる第2のカーボン膜は、例えば、
成膜装置内に接着層、第1のカーボン膜、中間膜が形成
されたスライダ本体を配置し、真空雰囲気中でグラファ
イトの塊をアーク放電することにより成膜できる。さら
に、前記構成の本発明の磁気ヘッドスライダにおいて、
前記磁気ヘッドコアは、巨大磁気抵抗効果型素子が備え
られていることが好ましい。
【0015】本発明の磁気ヘッドスライダの製造方法
は、上記課題を解決するために、磁気ヘッドコアが設け
られた板状のスライダ本体の磁気ディスク側の媒体対向
面上に、接着層と、耐腐食性を有する第1のカーボン膜
とを形成する工程と、前記第1のカーボン膜上に中間膜
と第2のカーボン膜とを交互に形成し、このとき少なく
とも最外層の第2のカーボン膜は耐磨耗性を有するもの
を形成する工程と、前記接着層と第1のカーボン膜と中
間膜と第2のカーボン膜との積層膜の少なくとも前記最
外層の第2のカーボン膜とこれの下層の中間膜をパター
ニングして突起を形成する工程とを有することを特徴と
する。このような構成の磁気ヘッドスライダの製造方法
によれば、本発明の磁気ヘッドスライダの製造に好適に
用いることができる。また、前記の構成の本発明の磁気
ヘッドスライダの製造方法において、前記耐腐食性を有
する第1のカーボン膜は、水素含有量が30原子%以上
のカーボン膜から形成し、前記耐磨耗性を有する第2の
カーボン膜は膜硬度22GPa以上のカーボン膜から形
成することが好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の磁
気ヘッドスライダの一実施形態について説明する。図1
は本発明に係る磁気ヘッドスライダの実施形態例を示す
底面図であり、図2は図1の磁気ヘッドスライダが浮上
姿勢の状態のときのII−II線断面図である。この例
の磁気ヘッドスライダSは、Al23TiCなどからな
る板状のスライダ本体10に、後述する構成の磁気ヘッ
ドコア11を備えたもので、磁気コア部分以外の部分は
全体的にはセラミックス製などの基板から構成されてな
り、図9に示す従来の磁気ヘッドスライダと同様に使用
されるものである。スライダ本体10の底面(図1では
上面であって、磁気ディスク71に対向する媒体対向
面)には、その両側縁部に位置してスライダ本体10の
前部側から後部側に至るサイドレール12が2本形成さ
れている。なお、本明細書では、図1におけるスライダ
本体10の下側をスライダ本体10の前部側と称し、こ
の前部側が一般にはスライダのリーディング側と称され
て磁気ディスク71からの空気流が流入される側10a
であり、反対に、図1におけるスライダ本体10の上側
をスライダ本体10の後部側と称し、この後部側が一般
にはスライダのトレーリング側と称されて磁気ディスク
からの空気流が流出される側10bである。
【0017】各サイドレール12は、正圧を発生させる
ために設けられたものであり、空気流の流入側10aの
端部が空気流の流出側10bの端部より幅広でこれら流
入側の端部と流出側の端部の間の中央部が幅狭に形成さ
れている。各サイドレール12の中央部には、図1の鎖
線で示したように切欠部10dが形成されていてもよ
い。両サイドレール12、12の後端部間にはアイラン
ド状のセンターレール13が形成されている。これら両
サイドレール12、12とセンターレール13の表面に
は、クラウンが形成されていることが好ましい。また、
両サイドレール12,12およびセンターレール13の
周囲にはそれぞれ段部20が形成されている。また、ス
ライダ本体10の底面には、両サイドレール12に挟ま
れた状態で負圧溝15が形成されている。この負圧溝1
5の前部側は中央部にかけて末広がりに形成されて、そ
の後部側はセンターレール13で二つに分断されて上記
中央部より幅狭に形成されている。
【0018】両サイドレール12、12およびセンター
レール13の表面上には、図2に示すようにSi、Si
C等からなる接着層61を介して耐腐食性を有する第1
のカーボン膜62が設けられている。第1のカーボン膜
62中には、水素が30原子%以上含まれているものが
好適に用いられ、好ましくは35原子%以上含まれてい
ることが好ましい。第1のカーボン膜62中の水素含有
量が30原子%未満になると、耐腐食性が悪くなり、ス
ライダ本体10に設けられた磁気ヘッドコア11が腐食
により劣化し易くなる。接着層61の厚みは、0.5n
m程度とされる。第1のカーボン膜62の厚みは、4.
5nm程度とされる。
【0019】各サイドレール12上には、上記接着層6
1、第1のカーボン膜62を介して第1、第2の突起1
7、18が形成されている。第1の突起17は空気流の
流入側寄りに設けられており、第2の突起18は空気流
の流出側寄りに設けられている。これら第1と第2の突
起17、18は、図2に示すようにSi、SiC等から
なる中間膜63と第2のカーボン膜64が交互に(図面
では中間膜63と第2のカーボン膜64がそれぞれ1層
ずつ)形成されてなるものである。中間膜63は、第1
のカーボン膜62側に設けられており、突起を形成する
際にエッチングストッパーとして機能するものである。
各突起17、18の最表面に位置する第2のカーボン膜
64は、耐磨耗性を有しており、膜硬度22GPa以上
のカーボン膜から構成されている。
【0020】ここでの膜硬度は、押込み硬さ試験機を用
い荷重に対する押し込み深さを深さを測定し、下記式
(1)により求めたものである。押込み試験機に備えら
れた測定圧子としては、図5に示すような開き角(α)
65°のダイヤモンド三角錐圧子を用いた。なお、図5
中、Apは、投影面積を示す。 膜硬度(H)=P/As≒37.962×10-3×P/h2 ・・・(1) (式中、Pは荷重、hは押し込み深さ、Asは変位hに
対する三角錐圧子の表面積である。) 膜硬度22GPa以上のカーボン膜の具体例としては、
水素含有量が30原子%未満のカーボン膜が用いられ、
好ましくは水素含有量が27原子%のカーボン膜が用い
られる。さらに好ましくは水素含有量が0原子%のカソ
ディックアークカーボン(CAC)が用いられる。
【0021】第1の突起17は、横断面円状のものであ
る。第2の突起18は、横断面楕円状のものであり、長
軸がサイドレール12の長さ方向に配置されている。第
1、第2の突起17、18の高さは、磁気ヘッドスライ
ダSの浮上量が25nmで、第2の突起18と磁気ギャ
ップGとの距離が300μmの場合、35nm以上とさ
れるが、スライダ本体10は浮上時には100μRad
程度傾斜しているので磁気ヘッドコア11に近い方の突
起18は高すぎると、浮上時に突起18の方が磁気ギャ
ップGより磁気ディスク71に近づいてしまうため、す
なわち、磁気ギャップGと磁気ディスク71との距離が
遠くなるため不利になってしまう。また、第1、第2の
突起17、18を構成する中間膜62の厚みは4nm程
度とされ、耐磨耗性を有する第2のカーボン膜64の厚
みは31nm程度とされる。このような第1と第2の突
起17、18の表面には、クラウンが形成されているこ
とが好ましい。
【0022】次に、スライダ本体10の後端部側中央に
形成された磁気ヘッドコア11の構造について説明す
る。この例で示す磁気ヘッドコア11は、図3と図4に
断面構造を示すような複合型磁気ヘッドコアであり、ス
ライダ本体10の後分部側端面(トレーリング側端面)
に、MRヘッド(読出ヘッド)h1と、インダクティブ
ヘッド(書込ヘッド)h2とが順に積層されて構成され
ている。MRヘッドh1は、磁気抵抗効果を利用してデ
ィスクなどの記録媒体からの漏れ磁束を検出し、磁気信
号を読み取るものである。図3と図4に示すようにMR
ヘッドh1は、スライダ本体10の後端部に形成された
センダスト(Fe-Al-Si)等の磁性合金からなる下
部シールド層33上に、アルミナ(Al23)などの非
磁性材料により形成された下部ギャップ層34が設けら
れ、この下部ギャップ層34上に、巨大磁気抵抗効果材
料膜(巨大磁気抵抗効果型素子)35が積層されてい
る。
【0023】巨大磁気抵抗効果材料膜35の両側には、
この膜にバイアス磁界を与えるハードバイアス層や検出
電流を与える電極層41などが形成され、更にその上に
は、上部ギャップ層が形成され、その上に上部シールド
層が形成されており、この上部シールド層は、その上に
設けられるインダクティブヘッドh2の下部コア層45
と兼用にされている。
【0024】インダクティブヘッドh2は、下部コア層
45の上に、ギャップ層44が形成され、その上に平面
的に螺旋状となるようにパターン化されたコイル層46
が形成され、コイル層46は絶縁材料層47に囲まれて
いる。絶縁材料層47の上に形成された上部コア層48
は、その先端部48aをABS面31bにて下部コア層
45に微小間隙をあけて対向し、その基端部48bを下
部コア層45と磁気的に接続させて設けられている。ま
た、上部コア層48の上にはアルミナなどからなる保護
層49が設けられている。インダクティブヘッドh2で
は、コイル層46に記録電流が与えられ、コイル層46
からコア層に記録磁界が与えられる。そして、磁気ギャ
ップGの部分での下部コア層45と上部コア層48の先
端部からの漏れ磁界により磁気ディスクなどの磁気記録
媒体に磁気信号を記録することができる。
【0025】巨大磁気抵抗効果材料膜35は、フリー強
磁性層と非磁性層とピン止め強磁性層と反強磁性層を積
層して断面台形状の積層体が形成されてなるものであ
る。上記フリー強磁性層、ピン止め強磁性層は、いずれ
も強磁性体の薄膜からなるが、具体的にはNi-Fe合
金、Co-Fe合金、Ni-Co合金、Co、Ni-Fe-
Co合金な どからなる。また、上記フリー強磁性層を
Co層から、あるいはNi-Fe合金層から、あるいは
Co層とNi-Fe合金層の積層構造、あるいはCo−
Fe合 金層とNi−Fe合金層との積層構造から構成
することもできる。なお、Co層とNi-Fe合金層と
の2層構造とする場合は、上記非磁性層側に薄いCo層
を 配置する構造とすることが好ましい。またCo−F
e合金層とNi−Fe合金層の2層構造とする場合は上
記非磁性層側に薄いCo−Fe合金層を配置することが
好ましい。
【0026】これは、上記非磁性層を上記フリー強磁性
層、上記ピン止め強磁性層で挟む構造の巨大磁気抵抗効
果発生機構にあっては、CoとCuの界面で伝導電子の
スピン依存散乱の効果が大きいこと、および、上記フリ
ー強磁性層、ピン止め強磁性層を同種の材料から構成す
る方が、異種の材料から構成するよりも、伝導電子のス
ピン依存散乱以外の因子が生じる可能性が低く、より高
い磁気抵抗効果を得られることに起因している。このよ
うなことから、上記ピン止め強磁性層をCoから構成し
た場合は、上記フリー強磁性層の上記非磁性層側を所定
の厚さでCo層に置換した構造が好ましい。また、Co
層を特に区別して設けなくとも、上記フリー強磁性層の
非磁性層側にCoの多く含ませた合金状態とし、上記非
磁性層側に向かうにつれて徐々にCo濃度が薄くなるよ
うな濃度勾配層としても良い。また、上記フリー強磁性
層、ピン止め強磁性層をCo−Fe合金層から構成し、
これらフリー強磁性層、ピン止め強磁性層で上記非磁性
層を挟む構造とした場合も、Co−Fe合金層とCu層
の界面で伝導電子のスピン依存散乱の効果が大きく、伝
導電子のスピン依存散乱以外の因子が生じる可能性が低
く、より高い磁気抵抗効果が得られる。上記非磁性層
は、Cu、Cr、Au、Agなどに代表される非磁性体
からなり、2〜4nm程度の厚さに形成されている。
【0027】上記反強磁性層は、例えば、X1-Mn合金
からなることが好ましい。ここで上記組成式においてX
1は、Ru、Rh、Ir、Pd、Ptのいずれか1種ま
たは2種以上からなることが好ましい。上記X1-Mn合
金のX1が単一の金属原子である場合のX1の含有率の好
ましい範囲は、Ruは10〜45原子%、Rhは10〜
40原子%、Irは10〜40原子%、Pdは10〜2
5原子%、Ptは10〜25原子%である。なお、以上
の記載において10〜45原子%とは、10原子%以上
で45原子%以下を意味し、「〜」で表示する数値範囲
の上限下限は全て「以上」および「以下」で規定される
ものとする。上記組成範囲のMn系合金は、不規則結晶
構造を有するものであるが、この不規則結晶構造とは、
面心正方晶(fct規則格子;CuAuI構造など)のよ
うな規則的な結晶構造ではない状態を意味している。即
ち、ここで用いられるMn合金は、スパッタリングなど
により成膜された後に、上記面心正方晶などの規則的な
結晶構造(CuAuI構造など)とするための高温でか
つ長時間の加熱処理を行わないものであり、不規則結晶
構造とは、スパッタリングなどの成膜法により形成され
たままの状態、あるいはこれに通常のアニール処理が施
された状態のものである。
【0028】上記X1−Mn合金(元素X1はRu、R
h、Ir、Pd、Ptのうちのいずれか1種または2種
以上からなる。)のX1の含有率のより好ましい範囲は
1が37〜63原子%である。なお以上の記載におい
て37〜63原子%とは37原子%以上で63原子%以
下を意味し、「〜」で表示する数値範囲の上限下限は全
て「以上」および「以下」で規定されるものとする。上
記組成範囲のX1−Mn合金は、スパッタリング等の成
膜法などにより形成された状態ではX1、Mn原子の配
列順序が不規則な、面心立方格子であり、強磁性層との
境界面で交換異方性磁界はほとんど発生しないが磁界中
でアニール処理を施すことにより、面心正方格子に変態
し、強磁性層との境界面で一方向異方性の大きな交換異
方性磁界(Hex)を発生することができる。
【0029】又、上記反強磁性層はX1−Mn−X2合金
からなるものであってもよい。ここで上記組成式におい
て、X1は先に述べたようにRu、Rh、Ir、Pd、
Ptのうちの1種または2種以上からなることが好まし
い。また、X2はAu、 Ag、Mg、Al 、Si、
P、Be、B、C、Se、Ti、V、Cr、Fe、 C
o、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Y、Zn、Nb、
Mo、Hf、Ta、W、Sn、Inのうちのいずか1種
または2種以上からなることが好ましい。X1とMnの
組成比は、原子%でX1:Mn=4:6〜6:4であ
る。X2の含有率は原子%で0.2〜10原子%であ
る。
【0030】上記反強磁性層がX1−Mn−X2合金から
なる場合にも、成膜後に、磁界中でアニール処理を施す
ことにより強磁性層との境界面で一方向異方性の大きな
交換異方性磁界(Hex)を発生することができる。上記
のX1−Mn系合金あるいはX1−Mn−X2系合金から
なる反強磁性層であるならば、上記ピン止め強磁性層と
の境界面に一方向異方性の交換異方性磁界を印加するこ
とができ、ピン止め強磁性層の外部信号磁界に対する磁
化の回転をピン止めすることができる。また、上記X1
−Mn系の合金の反強磁性層であるならば、Fe−Mn
に 比べて耐食性に優れ、また温度変化に対する交換異
方性磁界(Hex)の変動が少なくなる。上記のような構
成のMRヘッドh1においては、磁気ディスク71から
の微小の漏れ磁界の有無により巨大磁気抵抗効果材料膜
35の電気抵抗が変化するので、この抵抗変化を読み取
ることで磁気ディスクの記録内容を読み取ることができ
る。
【0031】上記のような構成の磁気ヘッドスライダS
を製造するには、例えば、Al23TiCなどからなる
板状体(ウエハ)に複数の磁気ヘッドコア11を形成し
た後、上記板状体を複数の基体に切断する。なお、サイ
ドレール12、12およびセンターレール13にクラウ
ンを形成する場合には、上記基体の表面にラップ加工等
が施される。
【0032】この後、 図6のAに示すように、基体1
0cの表面上(磁気ディスク側の媒体対向面となる側の
面上)に、スパッタ法又はCVD法によりSi又はSi
Cよりなる接着層61を形成した後、ECRCVD法
(Electron Cyclotron Resonance Chemical Vapor Dep
osition)によりカーボン膜を形成する際に成膜装置内
に供給する反応ガス(炭素を含むガス)の種類を変更し
たり、あるいは基板バイアスを調整(基板バイアスを低
くする)することにより、第1のカーボン膜62を成膜
する。上記反応ガスとしてメタンガスを用いると、水素
含有量が35原子%以上のカーボン膜を成膜できる。ま
た、上記反応ガスとしてエチレンガスを用いる場合、基
板バイアスによって水素含有量が30原子%を越えるカ
ーボン膜を成膜できる。このように基体10cの表面
(磁気ディスク側の媒体対向面)を覆う第1のカーボン
膜61中の水素含有量を30原子%を越えて高くするこ
とにより、膜硬度は低下するのもののアモルファス化し
て緻密度が増し、密着度が大きくなり剥がれにくいカー
ボン膜が得られる。
【0033】ついで、上記第1のカーボン膜61の表面
上にスパッタ法又はCVD法によりSi又はSiCより
なる中間膜63を形成する。ついで、この中間膜16上
にECRCVD法によりカーボン膜を形成する際、成膜
装置内に供給する反応ガス(炭素を含むガス)の種類を
変更したり、基板バイアスを調整する(基板バイアスを
高くする)ことにより、カーボン膜中の水素含有量を3
0原子%未満と少なくして、膜硬度が22GPa以上の
第2のカーボン膜64を成膜する。このように第2のカ
ーボン膜中の水素含有量を低くすることにより、炭素原
子同士の結合が強くなり、硬度を高くすることができ
る。なお、第2のカーボン膜64をカソディックアーク
カーボンから構成する場合は、接着層61、第1のカー
ボン膜62、中間膜63が形成された基体10cを成膜
装置内に配置し、真空雰囲気中でグラファイトの塊をア
ーク放電することにより成膜する。ついで、第2のカー
ボン膜64上に第1のレジストを塗布した後に、この第
1のレジストを露光、現像することにより、図6のBに
示すようなストライプ状のレジストパターン22を形成
する。このレジストパターン22は、サイドレール1
2、12およびセンターレール13を形成する領域を覆
っている。
【0034】この後、図6のCに示すようにレジストパ
ターン22に覆われない領域にある第2のカーボン膜6
4、中間膜63、第1のカーボン膜62、接着層61、
基体10cを順次イオンミリングによるエッチングよっ
て除去する。これによりサイドレール12、12および
センターレール13が形成される。また、サイドレール
12,12間に負圧溝15が形成されるとともにスライ
ダ毎に分割するため分割用溝(図示略)が形成される。
この後にレジストパターン22を除去する。次に、第2
のカーボン膜64上に第2のレジストを塗布した後にこ
の第2のレジストを露光、現像することにより、図6の
Dに示すように、サイドレール12、12上の所定位置
に第1、第2の突起17、18と同様のパターンを有す
るレジストパターン27を形成する。
【0035】この後、第2のカーボン膜64のレジスト
パターン27に覆われていない部分を酸素プラズマによ
ってエッチングし除去する。このとき、第2のカーボン
膜64の下層の中間膜63は、エッチングストッパーと
して機能し、図6のEに示すように第2のカーボン膜6
4のみエッチングされて中間膜63はエッチングされな
い。ついで、中間膜63のレジストパターン27に覆わ
れていない部分をCF4プラズマによってエッチングし
て除去したのち、レジストパターン27を除去すると、
図6のFに示すように、第1、第2の突起17、18が
形成される。このとき、中間膜63のみエッチングされ
てこれの下層の第1のカーボン膜62はエッチングされ
ない。なお、ここで形成された第1、第2の突起17、
18の表面にラップ加工等を施してクラウンを形成して
もよい。ついで、上記分割用溝に沿って基体10cを分
割すると、図1乃至図2に示すような磁気ヘッドスライ
ダSが得られる。
【0036】前記の如く構成された磁気ヘッドスライダ
Sにあっては、CSSでもって磁気ディスク71に対し
て浮上走行し、必要に応じて磁気情報の書き込みと読み
込みを行う。従って、磁気ディスク71が停止している
状態においては、図2に示すように磁気ヘッドスライダ
Sは各サイドレール12に設けられた第2の突起18の
表面を磁気ディスク71の表面にこのスライダSに取り
付けられたバネ板の付勢力で軽く押しつけた状態で停止
している。
【0037】この状態から磁気ディスク71が回転を始
めると、磁気ディスク表面に気流が生じ、この気流がス
ライダ本体10の底面側に流入するようになる。ここ
で、この気流発生により各サイドレール12の空気流の
流入側10aの端部には揚力が発生するのでこの揚力が
上記バネ板の付勢力に打ち勝つ大きさになるとスライダ
本体10は浮上を始める。また、各サイドレール12の
空気流の流入側10aの端部を通過してスライダ本体1
0の底面側に流入した空気とサイドスライダ12、12
の間を通過した空気は負圧溝15に流入し、ここで大き
な負圧を発生するので、スライダ本体10は空気の流入
側の端部を上に持ち上げた状態で所定のピッチ角で傾斜
する。
【0038】実施形態の磁気ヘッドスライダSにあって
は、第1、第2の突起17、18の最表面に耐磨耗性を
有する第2のカーボン膜64が形成されているので、磁
気ディスク71の起動時と停止時に上記突起が磁気ディ
スク71と摺動しても摩耗しにくく、上記突起の耐摩耗
性を著しく向上でき、さらにまた、スライダ本体10の
サイドレール12、12およびセンターレール13の表
面が耐腐食性を有する第1のカーボン膜62で覆われて
いるので、スライダ本体10に設けられた磁気ヘッドコ
ア11が腐食により劣化するのを防止できる。また、上
記のように第1、第2の突起17、18の耐磨耗性が著
しく向上するので、スライダと磁気ディスクとの接触面
積が増大するのを防止でき、スライダと磁気ディスクと
の吸着力が高くなることに起因して磁気ヘッドコア11
に設けられた磁気ヘッド素子35や磁気ディスク71の
記録層等が磁気ディスクの回転起動の際に破損すること
も防止できる。
【0039】さらに、上記のような特性を有する第1、
第2のカーボン膜62、64は、ECRCVD法により
形成する際、成膜装置内に供給する反応ガス(炭素を含
むガス)の種類を変更したり、基板バイアスを調整する
ことにより、異なる特性を有するカーボン膜を効率良く
製造できる。従って実施形態の磁気ヘッドスライダSに
よれば、製造効率を良好としたうえで、スライダ本体1
0の媒体対向面やサイドレール12、12に設けられた
第1、第2の突起17、18の耐磨耗性を向上できると
ともにスライダ本体10に設けられた磁気ヘッドコア1
1の腐食を防止できる。
【0040】なお、上記の実施形態においては、サイド
レール12、12及びセンターレール13の表面に接着
層61を介して第1のカーボン膜62が形成された場合
について説明したが、スライダ本体10のレール形成部
分以外の媒体対向面上にも接着層61を介して耐腐食性
を有する第1のカーボン膜62が形成されていてもよ
く、その場合には、磁気ヘッドコア11の腐食防止効果
をより向上できる。また、上記の実施形態においては、
突起17、18を構成する中間膜63と第2のカーボン
膜64がそれぞれ1層ずつ設けられた場合について説明
したが、上記突起が中間膜63と第2のカーボン膜64
が交互に積層された多層膜(4層以上からなる積層膜)
から構成されていてもよく、その場合、少なくとも最外
層に位置する第2のカーボン膜64が耐磨耗性を有する
ものであればよい。
【0041】
【実施例】(実験例1)図1と図2に示す形状の磁気ヘ
ッドスライダを製造する際に、第1、第2の突起17、
18の最表面の第2のカーボン膜64を構成する材料を
下記のA、B、C、Dに変更したときの突起の膜硬さ及
び耐摩耗性について調べた。その結果を図7、図8に示
す。ここで作製した磁気ヘットスライダは、長方形状の
スライダ本体10の長辺部の長さ1.241mm、幅
1.0mm、負圧溝15の空気流の流入側の端部の幅
0.1mm、最大幅0.78mm、深さ(段部20の表
面からの距離)2.5μm、各サイドレール12の最大
幅0.34mm、最小幅0.08mm、高さ(段部20
の表面からの距離)0.25μm、Si接着層61の厚
み0.5nm、第1のカーボン膜の厚み4.5nm、第
1の突起17の径30mm、第2の突起18の長径75
mm、短径30mm、第1、第2の突起17、18の高
さはそれぞれ35nm、各突起を構成するSi中間膜6
3の厚みは4nm、第2のカーボン膜の厚みは31n
m、第2の突起18と磁気ギャップGとの距離を300
μmに設定した。また、スライダ本体10は、浮上時の
浮上量が25nmで、ピッチ角100μRadとなるよ
うに設置した。
【0042】上記材料Aは、図6に示す工程においてA
23TiCからなる基体10cの上にSi接着層6
1、第1のカーボン膜62を介して形成したSi中間膜
63上にECRCVD法によりカーボン膜を形成する
際、成膜装置内に供給する反応ガスとしてメタンガスを
用い、基板バイアスを110Wにすることにより作製し
たものであり、膜中の水素濃度が38原子%のものであ
る。上記材料Bは、成膜装置内に供給する反応ガスとし
てエチレンガスを用い、基板バイアスを200Wにする
以外は、上記材料Aと同様にして作製したものであり、
膜中の水素濃度が28原子%のものである。上記材料C
は、基板バイアスを400Wにする以外は、上記材料B
と同様にして作製したものであり、膜中の水素濃度が2
6原子%のものである。上記材料Dは、カソディックア
ークカーボンであり、膜中の水素濃度がほぼ0原子%の
ものである。また、耐摩耗性は、通常のCSS5万回後
の突起の高さを測定することにより調べた。図8中、縦
軸の突起の摩耗量は、CSSを行う前の初期の突起の高
さと5万回CSS後の突起の高さの差である。
【0043】図7に示した結果から最表面に材料Aから
なるカーボン膜を有する突起の膜硬度Hは約20GPa
乃至約22GPaの範囲に分布しており、平均値は21
GPa付近であり、最表面に材料Bからなるカーボン膜
を有する突起の膜硬度Hは約20GPa乃至約24GP
aの範囲に分布しており、平均値は22GPa付近であ
り、最表面に材料Cからなるカーボン膜を有する突起の
膜硬度Hは約23.6GPa乃至25.8GPaの範囲
に分布しており、平均値は24.2GPa付近であり、
最表面に材料Dからなるカーボン膜を有する突起の膜硬
度Hは約28GPa乃至29.4GPaの範囲に分布し
ており、平均値は28.7GPa付近であることがわか
る。
【0044】図8に示した結果から膜硬度が約21GP
aの材料Aからなるカーボン膜を最表面に有する突起
は、摩耗量が7nm以上と大きい。これに対して膜硬度
が約22GPaの材料Bからなるカーボン膜を最表面に
有する突起は、5nm以下であり、材料Aよりも耐摩耗
性が優れていることがわかる。さらに、膜硬度が約2
4.2GPaの材料Cからなるカーボン膜を最表面に有
する突起は、摩耗量の平均値が約3.5nm、膜硬度が
28.7GPaの材料Dからなるカーボン膜を最表面に
有する突起は、摩耗量の平均値が約1.8nmであり、
耐摩耗性がより優れていることがわかる。図8の結果か
ら突起の摩耗量が実用上問題ない(吸着トルクが小さ
い)範囲の5nm以下であるものは、膜硬度が22GP
a以上の材料から構成したものであるので、スライダ本
体に形成されたレールに設ける突起の最表面のカーボン
膜を膜硬度が22GPa以上のカーボン膜から構成する
ことが有効であることを確認できる。
【0045】(実験例2)突起17、18を構成する第
2のカーボン膜64を上記材料Bから構成し、各サイド
レール12上に形成する第1のカーボン膜62中の水素
含有量を下記表1に示す範囲で変更した以外は上記実験
例1で作製したものと同様の磁気ヘッドスライダSを作
製し、潤滑剤の付着量と突起の耐磨耗性を調べた。ここ
での潤滑剤の付着量は、通常のCSS5万回後の付着量
を測定することにより調べた。また、ここでの潤滑剤と
しては、パーフロロポリエーテルを用いた。その結果を
表1に示す。表1中、潤滑剤の付着量の欄の○は潤滑剤
の付着がなかったものを表し、△は潤滑剤の付着が見ら
れたものを表し、耐磨耗性の欄の◎は突起が殆ど磨耗し
ておらず、磨耗量が磨耗量測定限界以下のものを表し、
○は突起の磨耗量が5nm以下と小さいものを表し、△
は突起の磨耗量が5〜10nmと大きいものを表す。
【0046】
【表1】
【0047】表1に示した結果からカーボン膜中の水素
含有量が35原子%以上のサンプルNo.1〜No.3の
ものは、潤滑剤の付着がなく、良好であることがわか
る。また、カーボン膜中の水素含有量が30原子%未満
のサンプルNo.4〜No.6のものは、突起の磨耗量が
小さく、耐磨耗性を良好とすることができるが、潤滑剤
が付着してしまうことがわかる。
【0048】
【発明の効果】以上説明したように本発明の磁気ヘッド
スライダによれば、スライダ本体の媒体対向面およびレ
ールのうち少なくともレールの表面上に接着層を介して
耐腐食性を有する第1のカーボン膜が設けられ、該第1
のカーボン膜上に中間膜と第2のカーボン膜が交互に形
成されてなる突起が設けられ、上記突起を構成する第2
のカーボン膜のうち少なくとも最外層の第2のカーボン
膜は、耐磨耗性を有するものであるので、製造効率を良
好としたうえで、スライダ本体の媒体対向面やレールに
設けられた突起の耐磨耗性を向上できるとともにスライ
ダ本体に設けられた磁気ヘッドコアの腐食を防止でき
る。また、本発明の磁気ヘッドスライダの製造方法によ
れば、上記の構成としたことにより、本発明の磁気ヘッ
ドスライダの製造に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る磁気ヘッドスライダの一実施形
態例の底面図。
【図2】 図1の磁気ヘッドスライダの浮上姿勢の状態
を示す断面図。
【図3】 本発明に係わる磁気ヘッドスライダに設けら
れた磁気ヘッドコア部の一例を示す断面図。
【図4】 本発明に係わる磁気ヘッドスライダに設けら
れた磁気ヘッドコア部の一例を示す部分断面図。
【図5】 第2のカーボン膜の膜硬度の測定に用いる圧
子の形状を示す図。
【図6】 図1乃至図2の磁気ヘッドスライダの製造方
法を工程順に示す図。
【図7】 磁気ヘッドスライダの突起の最表面のカーボ
ン膜を構成する材料の膜硬度の測定値を示す図。
【図8】 磁気ヘッドスライダの突起の最表面のカーボ
ン膜を構成する材料と突起の摩耗量を示す図。
【図9】 従来の磁気ヘッドスライダと磁気ディスクの
配置関係を示す図。
【図10】 従来の磁気ヘッドスライダの一例の浮上走
行状態を示す側面図。
【図11】 従来の磁気ヘッドスライダの静止姿勢の状
態を示す側面図。
【図12】 従来の磁気ヘッドスライダのサイドレール
の長さ方向に沿った断面の拡大図。
【符号の説明】
S・・・磁気ヘッドスライダ、10・・・スライダ本体、10
a・・・空気流の流入側、10b・・・空気流の流出側、11
・・・磁気ヘッドコア、 12・・・サイドレール、13・・・
センターレール、15・・・負圧溝、17・・・第1の突起、
18・・・第2の突起、22、27・・・レジストパターン、
35・・・巨大磁気抵抗効果材料膜(巨大磁気抵抗効果型
素子)、71・・・磁気ディスク、61・・・接着層、62・・
・第1のカーボン膜、63・・・中間膜、64・・・第2のカー
ボン膜。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G11B 21/21 101 G11B 21/21 101Q 101L

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 板状のスライダ本体内に磁気ヘッドコア
    が設けられ、前記スライダ本体の磁気ディスク側の媒体
    対向面に浮力発生のためのレールが形成され、磁気ディ
    スクに対して浮上走行して磁気情報の書き込みあるいは
    読み出しを行う磁気ヘッドスライダであって、 前記スライダ本体の媒体対向面およびレールのうち少な
    くともレールの表面上に接着層を介して耐腐食性を有す
    る第1のカーボン膜が設けられ、該第1のカーボン膜上
    に中間膜と第2のカーボン膜が交互に形成されてなる突
    起が設けられ、前記突起を構成する第2のカーボン膜の
    うち少なくとも最外層の第2のカーボン膜は、耐磨耗性
    を有することを特徴とする磁気ヘッドスライダ。
  2. 【請求項2】 前記耐腐食性を有する第1のカーボン膜
    は、水素含有量が30原子%以上のカーボン膜からな
    り、前記耐磨耗性を有する第2のカーボン膜は膜硬度2
    2GPa以上のカーボン膜からなることを特徴とする請
    求項1記載の磁気ヘッドスライダ。
  3. 【請求項3】 前記磁気ヘッドコアは、巨大磁気抵抗効
    果型素子が備えられていることを特徴とする請求項1又
    は2に記載の磁気ヘッドスライダ。
  4. 【請求項4】 磁気ヘッドコアが設けられた板状のスラ
    イダ本体の磁気ディスク側の媒体対向面上に、接着層
    と、耐腐食性を有する第1のカーボン膜とを形成する工
    程と、前記第1のカーボン膜上に中間膜と第2のカーボ
    ン膜とを交互に形成し、このとき少なくとも最外層の第
    2のカーボン膜は耐磨耗性を有するものを形成する工程
    と、前記接着層と第1のカーボン膜と中間膜と第2のカ
    ーボン膜との積層膜の少なくとも前記最外層の第2のカ
    ーボン膜とこれの下層の中間膜をパターニングして突起
    を形成する工程とを有することを特徴とする磁気ヘッド
    スライダの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記耐腐食性を有する第1のカーボン膜
    は、水素含有量が30原子%以上のカーボン膜から形成
    し、前記耐磨耗性を有する第2のカーボン膜は膜硬度2
    2GPa以上のカーボン膜から形成することを特徴とす
    る請求項4記載の磁気ヘッドスライダの製造方法。
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