JP2001263851A - 吸収冷凍機の制御方法 - Google Patents

吸収冷凍機の制御方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優先利用する熱源が選択できると共に、選択
した熱源が確実に優先利用できるようにする。 【解決手段】 制御器20の設定を温度センサ19が検
出する冷水の温度が7.0℃のときに流量制御弁V2の
開度を50%に、前記冷水の温度が6.0℃のときに流
量制御弁V2の開度を50%にすると共に、前記冷水の
温度が前記それぞれの温度から0.1℃上がる毎に開度
を10%増やし、前記冷水の温度が0.1℃下がる毎に
開度を10%減らす比例制御とすることにより、低温熱
源供給管18の温排水を優先的に利用し、低温熱源供給
管18の温排水だけでは熱量が不足するときだけ、高温
熱源供給管16の高温の水蒸気によって吸収液を加熱す
るようにした。また、前記設定温度をそれぞれ変更可能
にした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、吸収液を加熱して
冷媒蒸気を生成する熱源を二種類備えた吸収冷凍機(吸
収冷凍機を含む)に係わるものである。
【0002】
【従来の技術】天然ガスや石油などを燃焼して作る高温
と、コージェネレーション装置などから出る排熱とを利
用して吸収液を加熱し、吸収液から冷媒を蒸発分離して
冷媒蒸気と濃縮された吸収液とを生成する吸収冷凍機が
周知である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】加熱源として利用され
る排熱は、システムとしての利用用途により優先順位が
さまざまである。例えば、排熱として蒸気と温水が供給
される場合に、蒸気を優先的に使用するか、温水を優先
的に使用するか、システム毎に要求が異なる。すなわ
ち、蒸気のようにポテンシャルの高い熱源を温水よりも
優先利用したい場合があれば、高温再生器を直焚タイプ
としたために燃料よりも排熱を優先利用したい場合など
があるが、従来の吸収冷凍機は納入先の要求に応じて優
先順位を決めて製造するものであったので、排熱利用の
優先順位をその都度確認し、それに対応した制御が行え
る装置を製造していた。そのため、生産性が劣ると云っ
た問題点があった。また、選択した熱源が確実に利用で
きるようにする必要があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は上記従来技術の
課題を解決するための具体的手段として、吸収液を加熱
して冷媒蒸気を生成する熱源を二種類備え、吸収液から
加熱生成した冷媒蒸気を凝縮器で放熱凝縮させ、その凝
縮液冷媒を蒸発器で蒸発させ、蒸発器で冷媒の蒸発作用
により冷却した冷水を負荷に循環供給して冷房などの冷
却作用を行う吸収冷凍機において、蒸発器で冷却して供
給する冷水の温度設定値として異なる2値を定め、一方
の設定温度値に基づいて一方の熱源による加熱量を制御
し、他方の設定温度値に基づいて他方の熱源による加熱
量を制御するようにした第1の構成の制御方法と、
【0005】前記第1の構成の制御方法において、温度
の低い設定温度値に基づいて加熱量が制御される熱源の
熱量制御弁は、温度の高い設定温度値に基づいて加熱量
が制御される残余の熱源の熱量制御弁の開弁時に全開さ
れ、前記残余の熱源の熱量制御弁の閉弁時のみ弁開度が
絞られるようにした第2の構成の制御方法と、
【0006】前記第2または第3の構成の制御方法にお
いて、冷水の設定温度値を変更可能に設けるようにした
第3の構成の制御方法と、を提供することにより、前記
した従来技術の課題を解決するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて詳細に説明する。図1に例示した吸収冷凍機
は、吸収液がコージェネレーション装置などから排熱と
して供給される高温(例えば175℃)の水蒸気と熱交
換すると共に、中程度の温度(例えば88℃)の温排水
とも熱交換して加熱されるように構成したものである。
【0008】図1において、1は高温再生器、2は低温
再生器、3は凝縮器、4は蒸発器、5は吸収器、6は低
温水再生器、7は低温水凝縮器、8は低温熱交換器、9
は高温熱交換器、10はドレン熱回収器、11・12は
吸収液ポンプ、13は冷媒ポンプであり、それぞれは図
示したように吸収液管と冷媒管とで配管接続され、吸収
液と冷媒がそれぞれ循環可能に構成されている。また、
蒸発器4には図示しない冷房などの冷却負荷に冷水を循
環供給するための冷水管14が通され、吸収器5、凝縮
器3、低温水凝縮器7には冷却水管15が直列に通され
ている。
【0009】また、高温再生器1とドレン熱回収器10
には、流量制御弁V1を備えた高温熱源供給管16が直
列に通され、高温再生器1においては低温水再生器6か
ら吸収液ポンプ12により供給される吸収液を高温の水
蒸気で加熱して冷媒蒸気を生成すると共に吸収液を濃縮
し、ドレン熱回収器10においては高温再生器1におけ
る加熱作用で放熱凝縮して供給される高温熱源供給管1
6のドレン水により、吸収器5から冷媒を吸収して吸収
液ポンプ11により低温水再生器6に供給されている吸
収液を加熱するように構成されている。
【0010】なお、17は高温熱源供給管16の高温再
生器1とドレン熱回収器10との間に設置されたスチー
ムトラップであり、これより下流側に高温の水蒸気が流
れ込まないようにしている。
【0011】また、低温水再生器6には流量制御弁V2
を備えた低温熱源供給管18が通され、流量制御弁V2
の開度調節によって低温水再生器6に供給する温排水の
流量が調節可能に構成され、吸収器5で冷媒を吸収して
濃度が低下し、吸収液ポンプ11によりドレン熱回収器
10を経由して供給される吸収液を加熱し、冷媒蒸気を
発生する能力が調整できるように構成されている。
【0012】上記構成の吸収冷凍機においては、冷却水
管15に冷却水を流し、高温熱源供給管16から高温蒸
気を、低温熱源供給管18から温排水をそれぞれ供給す
ると共に、吸収液ポンプ11、12および冷媒ポンプ1
3を運転すると、高温再生器1においては吸収液が高温
熱源供給管16から供給される高温の水蒸気により加熱
され、冷媒蒸気と濃縮された吸収液とが得られる。
【0013】高温再生器1で生成された高温の冷媒蒸気
は低温再生器2に入り、高温再生器1で濃縮され、高温
熱交換器9を経由して低温再生器2に入った吸収液を加
熱して放熱凝縮し、凝縮器3に入る。
【0014】低温再生器2で加熱されて吸収液から蒸発
分離した冷媒は凝縮器3へ入り、冷却水管15内を流れ
る水と熱交換して凝縮液化し、高温再生器1から供給さ
れて低温再生器2で凝縮した冷媒と一緒になって蒸発器
4に入る。
【0015】蒸発器4に入って溜まった冷媒液は、冷媒
ポンプ13により上方から散布され、冷水管14の内部
を流れる水と熱交換して蒸発し、冷水管14の内部を流
れる水を冷却する。
【0016】そして、蒸発器4で蒸発した冷媒は吸収器
5に入り、低温再生器2で加熱されて冷媒を蒸発分離
し、吸収液の濃度が一層高まった吸収液、すなわち低温
熱交換器8を経由して供給され、上方から散布される吸
収液に吸収される。
【0017】吸収器5で冷媒を吸収して濃度の薄くなっ
た吸収液は、吸収液ポンプ11の運転により低温熱交換
器8・ドレン熱回収器10を経由して低温水再生器6に
入る。
【0018】低温水再生器6に入った吸収液は、低温熱
源供給管18から供給される温排水によって加熱され、
冷媒蒸気を分離して濃縮された吸収液が吸収液ポンプ1
2により高温熱交換器9を経由して高温再生器1に戻さ
れる。
【0019】低温水再生器6で生成した冷媒蒸気は低温
水凝縮器7に入り、冷却水管15を流れる冷却水に放熱
して凝縮し、凝縮器3で凝縮して供給される凝縮液と一
緒になって蒸発器4に入る。
【0020】上記のように吸収冷凍機の運転が行われる
と、蒸発器4の内部の冷水管14において冷媒の気化熱
により冷却された冷水が、冷水管14を介して図示しな
い冷却負荷に循環供給できるので、冷房運転などの冷却
運転が行える。
【0021】20は、上記のような動作機能を有する吸
収冷凍機の制御器であり、マイコンや記憶手段などを備
えて構成され、蒸発器4で冷却されて冷水管14に流れ
出た冷水の温度情報を、冷水管14の蒸発器4出口側に
設けた温度センサ19から取り込み、この冷水の蒸発器
出口側温度が変更可能な所望の温度に維持されるよう
に、流量制御弁V1とV2の開度を調節して高温熱源供
給管16および低温熱源供給管18から取り込む熱量を
調節する機能を備えている。
【0022】すなわち、冷水管14から図示しない冷却
負荷に供給する冷水の設定温度を制御器20で変更する
ことにより、流量制御弁V1とV2とは図2のように
も、図3のようにも、また図4のようにも制御される。
【0023】例えば、流量制御弁V1については温度セ
ンサ19が検出した冷水の温度が7.0℃のときに50
%の開度に、流量制御弁V2については温度センサ19
が検出した冷水の温度が6.0℃のときに50%の開度
にすると共に、前記冷水の温度が前記それぞれの温度か
ら0.1℃上がる毎に開度を10%増やし、前記冷水の
温度が0.1℃下がる毎に開度を10%減らすように比
例制御する設定とすることにより、流量制御弁V1とV
2とは図2のように制御される。
【0024】したがって、このように構成された吸収冷
凍機によれば、蒸発器4で冷却されて冷水管14から図
示しない冷却負荷に供給する冷水の温度、すなわち温度
センサ19が計測している温度が7.5℃より高いとき
には流量制御弁V1と流量制御弁V2が全開し、前記温
度が7.5℃より低く、6.5℃より高いときには流量
制御弁V2は全開し、流量制御弁V1は温度に対応した
開度に制御され、前記温度が6.5℃より低く、5.5
℃より高いときには流量制御弁V1は全閉し、流量制御
弁V2は温度に対応した開度に制御され、前記温度が
5.5℃より低いときには流量制御弁V1とV2が全閉
するので、低温熱源供給管18から供給される温排水が
優先的に利用され、冷却負荷が大きく、低温熱源供給管
18から低温水再生器6に供給する温排水だけでは熱量
が不足するときだけ、高温熱源供給管16から供給され
る高温の水蒸気によって吸収液が加熱される。
【0025】一方、前記設定温度を入れ替えたときに
は、流量制御弁V1は前記図2の流量制御弁V2のよう
に、流量制御弁V2は前記図2の流量制御弁V1のよう
に、すなわち流量制御弁V1とV2とは図3のように制
御されるので、この制御を選択したときには、高温熱源
供給管16から供給される高温の水蒸気が優先的に利用
され、冷却負荷が大きく、高温熱源供給管31から高温
再生器1とドレン熱回収器10とに供給する高温の水蒸
気だけでは熱量が不足するときだけ、低温熱源供給管1
8から供給される温排水によって吸収液が加熱される。
【0026】また、排熱の優先指定よりも蒸発器4で冷
却されて冷水管14に流れ出た冷水の温度を設定温度に
制御することを優先する場合には、温度センサ19が計
測した温度が7.0℃のときに流量制御弁V1とV2の
開度を50%に制御すると共に、前記冷水の温度が7.
0℃から0.1℃上がる毎に開度を10%増やし、0.
1℃下がる毎に開度を10%減らすように比例制御する
設定を選択すると、流量制御弁V1とV2とは図4のよ
うに制御される。
【0027】また、図5に示したように、高温再生器1
の他に、ガスバーナ1Aを備えた高温再生器1Xを設け
ると共に、図1の吸収冷凍機が備えていた低温水再生器
6、低温水凝縮器7を省略し、したがって低温熱源供給
管18も省略し、ドレン熱回収器10を低温熱交換器8
と高温熱交換器9との間に設けるように構成した吸収冷
凍機の流量制御弁V1と、ガスバーナ1Aに設けた燃料
制御弁V3とを、前記図3に示した流量制御弁V1、V
2のように制御しても良い。
【0028】上記構成の吸収冷凍機によれば、制御器2
0による設定温度の変更により、優先利用する熱源の選
択が自在に行えるので、納入先毎に制御方法を変更する
必要がなく、したがって生産性が顕著に改善される。し
かも、温度センサ19が計測する冷水の出口温度だけ
で、流量制御弁V1、V2(または燃料制御弁V3)を
制御して取り込む熱量を制御するので、制御がシンプル
である。
【0029】また、図2、図3のように流量制御弁V
1、V2(または燃料制御弁V3)を制御することによ
り、優先利用を決めた排熱の優先利用が確実に行える。
【0030】なお、本発明は上記実施形態に限定される
ものではないので、特許請求の範囲に記載の趣旨から逸
脱しない範囲で各種の変形実施が可能である。
【0031】例えば、流量制御弁V1、V2(または燃
料制御弁V3)は、図2、図3および図3のように比例
制御により開度を調整する他、PID制御により負荷変
動に速やかに、且つ、オーバーシュートしないように対
応することもできる。
【0032】また、吸収冷凍機としては、吸収器5で冷
媒を吸収した吸収液が高温再生器1と低温再生器2にパ
ラレルに供給されるものであっても良いし、吸収器5か
ら低温再生器2、高温再生器1の順に供給されるものな
どであっても良い。
【0033】また、高温熱源としては高温蒸気、高温
水、高温排ガスなどが利用でき、低温熱源としては温排
水、低圧蒸気などが利用できる。
【0034】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、設
定温度の変更により、優先利用する熱源の選択が自在に
行えるので、納入先毎に制御方法を変更する必要がな
く、したがって生産性が顕著に改善される。しかも、冷
水の出口温度だけで、流量制御弁V1、V2(または燃
料制御弁V3)を制御するので、制御がシンプルであ
る。
【0035】また、図2、図3のように流量制御弁V
1、V2(または燃料制御弁V3)を制御することによ
り、優先利用を決めた排熱の優先利用が確実に行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】装置構成を示す説明図である。
【図2】弁の制御例を示す説明図である。
【図3】弁の他の制御例を示す説明図である。
【図4】弁の他の制御例を示す説明図である。
【図5】他の装置構成を示す説明図である。
【符号の説明】
1 高温再生器 2 低温再生器 3 凝縮器 4 蒸発器 5 吸収器 6 低温水再生器 7 低温水凝縮器 8 低温熱交換器 9 高温熱交換器 10 ドレン熱回収器 11・12 吸収液ポンプ 13 冷媒ポンプ 14 冷水管 15 冷却水管 16 高温熱源供給管 17 スチームトラップ 18 低温熱源供給管 19 温度センサ 20 制御器 V1、V2 流量制御弁 V3 燃料制御弁
フロントページの続き (72)発明者 古川 雅裕 大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号 三 洋電機株式会社内 Fターム(参考) 3L093 AA01 BB14 BB23 BB24 BB26 DD08 EE17 GG02 HH11 JJ02 KK03

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 吸収液を加熱して冷媒蒸気を生成する熱
    源を二種類備え、吸収液から加熱生成した冷媒蒸気を凝
    縮器で放熱凝縮させ、その凝縮液冷媒を蒸発器で蒸発さ
    せ、蒸発器で冷媒の蒸発作用により冷却した冷水を負荷
    に循環供給して冷房などの冷却作用を行う吸収冷凍機に
    おいて、蒸発器で冷却して供給する冷水の温度設定値と
    して異なる2値を定め、一方の設定温度値に基づいて一
    方の熱源による加熱量を制御し、他方の設定温度値に基
    づいて他方の熱源による加熱量を制御することを特徴と
    する吸収冷凍機の制御方法。
  2. 【請求項2】 温度の低い設定温度値に基づいて加熱量
    が制御される熱源の熱量制御弁は、温度の高い設定温度
    値に基づいて加熱量が制御される残余の熱源の熱量制御
    弁の開弁時に全開され、前記残余の熱源の熱量制御弁の
    閉弁時のみ弁開度が絞られることを特徴とする吸収冷凍
    機の制御方法。
  3. 【請求項3】 冷水の設定温度値が変更可能に設けられ
    たことを特徴とする請求項1または2記載の吸収冷凍機
    の制御方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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