JP2001263225A - 斜板式コンプレッサ用シューの製造方法 - Google Patents

斜板式コンプレッサ用シューの製造方法

Info

Publication number
JP2001263225A
JP2001263225A JP2000075018A JP2000075018A JP2001263225A JP 2001263225 A JP2001263225 A JP 2001263225A JP 2000075018 A JP2000075018 A JP 2000075018A JP 2000075018 A JP2000075018 A JP 2000075018A JP 2001263225 A JP2001263225 A JP 2001263225A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
shoe
swash plate
hole
press
type compressor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000075018A
Other languages
English (en)
Inventor
Takayuki Kato
崇行 加藤
Hiroaki Kayukawa
浩明 粥川
Kazue Murao
和重 村尾
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Industries Corp
Original Assignee
Toyoda Automatic Loom Works Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyoda Automatic Loom Works Ltd filed Critical Toyoda Automatic Loom Works Ltd
Priority to JP2000075018A priority Critical patent/JP2001263225A/ja
Publication of JP2001263225A publication Critical patent/JP2001263225A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】コスト低減等を図ることができる油溜孔を備え
る斜板式コンプレッサ用シューの製造方法を提供する。 【解決手段】軸中央に中央孔(111)を備える円柱状
のシュー素材(110)を形成するシュー素材形成工程
と、このシュー素材をプレス型(260)を用いてプレ
ス成形することにより油溜りとなる油溜孔(211)を
中央にもつ半円球状のシューを形成するシュー形成工程
と、からなることを特徴とする斜板式コンプレッサ用シ
ューの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、空気調和装置(エ
アコンデショナ)等に用いられる斜板式コンプレッサ用
シューの製造方法に関するものであり、特に、車両用空
気調和装置(カーエアコン)に用いられる斜板式コンプ
レッサ用シューの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】室内の温度、湿度、気流、空気清浄度を
人工的に調整できるエアコンデショナ(エアコン)は、
快適な空間を提供するために不可欠である。中でも温度
調整が重要であり、エアコンによる温度調整は、冷凍機
(またはヒートポンプ)内の作動流体が冷凍サイクル
(またはヒートポンプサイクル)を行うことにより為さ
れる。そして、その作動流体を循環させるコンプレッサ
(圧縮機)が、冷凍機の中心的役割を果す。
【0003】ところで、あらゆる装置の軽薄短小化が求
められる昨今、このようなコンプレッサも軽量コンパク
ト化が求められる。特に、自動車用冷凍機の場合、燃費
の向上や車室内の設計自由度の向上等の観点から軽量コ
ンパクト化の要請が強い。本願出願人は、この要請に応
えるべく、軽量コンパクト化で高効率な斜板式コンプレ
ッサを開発し既に出願済である。参考に、本発明に係る
シュー210を用いた斜板式コンプレッサ400を図1
4に示す。この斜板式コンプレッサ400は、前端側か
らエンジンの駆動力を受けて主軸16と共に斜板19が
回転し、半球状のシュー210を介してピストン21が
往復動させられ、作動流体の吸入、圧縮、吐出が行なわ
れるようになっている。また、この斜板式コンプレッサ
400は、作動流体に潤滑油を混合してミスト状の潤滑
油を各摺動部に供給することにより、それらの潤滑を確
保している。
【0004】ところが、このような潤滑システムでは、
ピストンから前方に延在する狭い空間(首部)に配設さ
れたシューとピストンや斜板との間で良好な潤滑性を保
持することが困難になる場合がある。このような状況を
改善するために、シューやシュー受座に潤滑油の導孔を
設けることが特開平9−256948号公報等に開示さ
れている。また、シュー受座側または斜板側に開口した
中空シューが実開平6−40385号公報に開示されて
いる。このシューは内部に潤滑油が保持されるようにな
っており、その内部から適宜潤滑油が供給されてシュー
と斜板との間、シューとシュー受座との間の潤滑性が確
保されるようになっている。そして、この実開平6−4
0385号公報には、その中空シューが鋼板のプレス加
工により成形されるとある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、プレス加工
で鋼板から中空シューを直接製作することが容易ではな
いにも拘らず、実開平6−40385号公報には、「中
空半球状のシューは、鋼板をプレス加工により所望形状
に打ち抜き、次いで所望形状に打ち抜いた板材に曲げ加
工を施して成形することができる。」と、記載されてい
るのみであり、具体的なシューの製造方法については、
何ら開示されていない。本発明は、このような事情に鑑
みてなされてものである。つまり、本発明は潤滑性を向
上させることができる油溜孔をもつシューを容易に製作
することができる斜板式コンプレッサ用シューの製造方
法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者は、この
課題を解決すべく鋭意研究し、試行錯誤を重ねた結果、
軸中央に中央孔を備える円柱状のシュー素材を用いてプ
レス成形することにより油溜孔をもつシューを製造する
ことを思いつき、本発明の斜板式コンプレッサ用シュー
の製造方法を開発するに至ったものである。
【0007】すなわち、本発明の斜板式コンプレッサ用
シューの製造方法は、軸中央に中央孔を備える円柱状の
シュー素材を形成するシュー素材形成工程と、プレス型
を用いて該シュー素材をプレス成形することにより油溜
りとなる油溜孔を中央にもつ半円球状のシューを形成す
るシュー形成工程と、からなることを特徴とする。
【0008】シュー形成工程前のシュー素材形成工程
で、予めシュー素材は軸中央に中央孔が形成されている
ため、次のシュー形成工程でプレス成形により中央に油
溜孔をもつ半円球状のシューの形成が容易となる。ま
た、薄い鋼板等を単にプレス成形する場合と異なり、シ
ワ等の発生が抑制され、シューの歩留りの向上や製造コ
ストの低減等を図れる。
【0009】また、プレス型が、シュー素材の中央孔に
嵌入する突出部を備えると、好適である。シュー素材の
中央孔にプレス型の突出部を嵌入してプレス成形する場
合には、形状の安定した油溜孔が確実に形成される。ま
た、中央孔のサイズがプレス型の突出部のサイズよりも
大きい場合、両者の間にできる空隙がプレス成形される
シュー素材の逃げとなり、必ずしもプレス型に素材逃げ
を設ける必要がなくなる。なお、中央孔のサイズが大き
い場合でも、プレス成形時の塑性流動により所望サイズ
の油溜孔が成形され得る。
【0010】また、シュー素材の中央孔は、貫通孔であ
ると、好適である。シュー素材の中央孔が貫通孔である
と、貫通した油溜孔をもつシューを成形する際に都合が
よい。また、プレス型が突出部を備える場合には、シュ
ー素材を載置し易くなり、好都合である。
【0011】また、シュー素材形成工程は、円管材を切
断する工程であると、好適である。円管材を切断するだ
けで貫通孔をもつシュー素材が容易に得られるので、好
都合である。
【0012】また、シュー素材形成工程は、軸中央に突
出部をもつ素材用プレス型により円柱材をプレス成形し
てシュー素材を形成する工程であると、好適である。軸
中央に突出部をもつ素材用プレス型を用いることによ
り、軸中央に中央孔をもつシュー素材を円柱材から容易
に、または低コストで成形できるので、好都合である。
こうして得られた油溜孔を備えるシューは、潤滑油の保
持や導通を行い得るため、摺動面間で適切な潤滑がなさ
れ、ピストンと斜板との間に介在する摺動部材として最
適である。
【0013】なお、このシューが用いられる斜板式コン
プレッサは、可変容量でも固定容量でも良く、また、片
頭型ピストンを備えるものでも両頭型ピストンを備える
ものでも良い。また、斜板式コンプレッサは、冷凍サイ
クルのみならず、熱ポンプサイクルを行うものでも良
い。さらには、斜板式コンプレッサは車両用に限らず汎
用として使用されるものでも良い。
【0014】
【発明の実施の形態】(斜板式コンプレッサ用シューの
製造方法)以下に斜板式コンプレッサ400等で用いる
ことができるシューの製造方法について、実施形態を挙
げて説明する。 (1)シュー素材形成工程 前述したように、シュー素材は軸中央に中央孔を備える
円柱状素材であり、鋼材としては炭素鋼や軸受鋼等が考
えられる。シュー素材形成工程はそのようなシュー素材
を形成する工程である。例えば、次のような実施形態が
考えられる。 図1(a)には、貫通した中央孔111を備える円筒
状のシュー素材110を示した。これは、例えば、同図
(b)に示すように、中央孔111と同径の内径をもつ
円管材101を適当な幅で切断することにより、容易に
得られる。このときの中央孔111の内径は、所望の形
状をしたシュー210の油溜孔211(図14)と同径
である必要はない。例えば、素材段階で中央孔111の
内径が大きくても、その後のシュー形成工程でプレス成
形により絞られて、シュー210として適切な内径をも
つ油溜孔211が形成され得る。逆に、中央孔111の
内径が小さくても、その後のシュー形成工程で用いるプ
レス型が中央孔111に嵌入する突出部を備える場合に
は、突出部がその中央孔111を拡径させるので、適切
な内径の油溜孔211が形成され得る。このように、中
央孔111が形成されていると、プレス成形により容易
に油溜孔211をもつシュー210を得ることができ
る。
【0015】また、図2に示す円柱材129を、環状
部122aをもつダイ122と軸中央に突出部をもつポ
ンチ123とからなる素材用プレス型120でプレス成
形して、貫通した中央孔111をもつシュー素材110
を形成しても良い(図1)。このとき円柱材129の代
りに鋳塊等を用いて中央孔111と外形(例えば、円柱
形状)との両方を同時に形成するようにしても良い。
【0016】また、図3に示すように、貫通していな
い凹陥状の中央孔131を備えたシュー素材130を形
成しても良い。このシュー素材130は、例えば、図2
に示した素材用プレス型120のポンチ123aの突出
部を低くすることにより得られる。
【0017】さらに、図4に示すように、貫通してい
ない凹陥状の中央孔141と中央孔142とを両側に備
えたシュー素材140を形成しても良い。このシュー素
材140は、例えば、図5に示すような円筒状のダイ1
52とその中に配設され軸中央に突出部をそれぞれ備え
る上ポンチ153aと下ポンチ153bとからなる素材
用プレス型150を用いて、円柱材159をプレス成形
して得られる。
【0018】この図4、5のシュー素材形成工程につい
ては、プレス型ならびにシュー自体にとり好都合な面が
ある。すなわち、まず上下のポンチ153a、153b
が円柱材159を打抜かないため、プレス型の型もちが
良いことが挙げられる。図2のように円柱材129を貫
通させる場合と較べて、プレス型120自体の衝撃が小
さいからである。一方、シュー素材140は上下から中
央孔141、142が形成されるので、シュー自体の軽
量化に寄与するとともに、両孔間の間隔143が形成さ
れ、これはシュー自体の強度を保つのに役立つ。このこ
とについては図8において後述する。
【0019】なお、シュー素材は適宜面取りを施して
おくと良い。例えば、シューの半球側を面取りしておく
と良い。最終的なシュー形状に近いほど、プレス成形が
容易になるからである。
【0020】(2)シュー形成工程 シュー形成工程は、中央孔をもつシュー素材をプレス成
形することにより、油溜りとなる油溜孔を中央にもつ半
円球状のシューを形成する工程である。また、シュー素
材形成工程で得られたシュー素材の中央孔に嵌入(また
は挿入)する突出部を備えるプレス型を用いてシュー素
材をプレス成形すると、油溜りとなる油溜孔を中央にも
つ半円球状のシューを歩留り良く形成できる。例えば、
次のような実施形態を考えることができる。なお、上述
したように、プレス型が突出部を備える必要は必ずしも
ないでの、適宜参照する図面において、この突出部を破
線で示した。
【0021】貫通した油溜孔211等を形成する場
合、図6に示すようなプレス型260を用いて、シュー
素材110をプレス成形すれば良い。このプレス型26
0は、半球凹部262bをもつダイ262と、その半球
凹部262bと略同径の外径をもつ低い環状凹部263
bとを備えるポンチ263とからなる。なお、プレス型
に突出部を設ける場合には、プレス型260に替えて、
環状凹部263bの中央から突出した突出部263aを
備えるポンチ263’とダイ262とからなるプレス型
260’をもちいれば良い。このポンチ263’の突出
部263aは、シューの油溜孔の形状と略同形状とする
と良い。例えば、シュー素材110の中央孔111が油
溜孔の内径により大きくても、その中央孔111がポン
チ263’の突出部263aに嵌入させてプレス成形さ
れると、適切な形状の油溜孔をもつシューがシュー素材
110の塑性流動等により形成される。また、中央孔が
貫通していないシュー素材130等にプレス型260’
を用いて貫通した油溜孔をもつシューをプレス成形によ
り得ても良い。なお、ダイ262とポンチ263、26
3’とは、少なくともそのいずれか一方が押圧移動すれ
ば良い。
【0022】次に、図8に示すような油溜孔281と
油溜孔282とを両側に備えるシュー280を形成する
場合には、図7に示すようなプレス型270を用いてシ
ュー素材140をプレス成形しても良い。このプレス型
270は、半球凹部272bを備えるダイ272と、そ
の半球凹部272bと略同径の低い環状凹部273bと
を備えるポンチ273とからなる。プレス型に突出部を
設ける場合には、ダイ272とポンチ273との軸中央
から突出部272a、273aがそれぞれ突出したダイ
272’とポンチ273’とからなるプレス型270’
を用いると良い。これらの突出部272a、273a
も、同様に、シュー280の油溜孔281、282の形
状と略同形状とすると良い。なお、図8のように油溜孔
281と油溜孔282とが独立している必要はなく、図
7に示したプレス型270’を用いてプレス成形した際
に油溜孔が貫通しても良い。さらに、突出部272aと
突出部273aとの両方が設けられている場合に限ら
ず、いずれか一方のみでも良い。
【0023】さて、前述したように、図4に示すシュー
素材140と同様に、上下に中央孔を形成している素材
を図8のように上下に油溜孔281、282を形成する
場合においては、次の形態にすると有利である。すなわ
ち、シューの強度は、隔壁283の存在自体で十分とな
るが、シューの軽量化と貯油性とを考察すれば、シュー
高さhと隔壁厚さtとの関係は、t/h<1/2とする
ことが望ましい。
【0024】(3)一連の工程 上述したシュー素材形成工程とシュー形成工程とを適宜
に組合わせた本発明に係る一連の工程について、図9〜
12を用いて説明する。 第1実施形態 図9に示すように、円柱材を切断して(同図a)、シュ
ーの原材とし(同図b)、この原材を円柱状のポンチと
円筒状のダイからなる素材用プレス型を用いて荷重P1
でプレス成形して(同図c)、一端にのみ開孔した中央
孔をもつ円筒状のシュー素材(同図d)を得る(シュー
素材形成工程)。次に、このシュー素材を半球凹部をも
つポンチと環状凹部をもつダイからなるプレス型(成形
用プレス型)に中央孔を半球凹部側に向けて載置し荷重
P2でプレス成形する(同図e、f)と、半球部に開孔
する油溜孔をもつ中空シュー(同図g)が形成される
(シュー形成工程)。なお、成形用プレス型に突出部
(破線)を設けると、より確実に油溜孔が形成される。
【0025】第2実施形態 図10に示すように、円柱材を切断して(同図a)、シ
ューの原材とし(同図b)、この原材を半球凸状のポン
チと半球凹部をもつダイからなる素材用プレス型を用い
て荷重P1でプレス成形して(同図c)、一端にのみ開
孔した中央孔をもつ下部が半球状のシュー素材(同図
d)を得る(シュー素材形成工程)。次に、このシュー
素材を半球凹部をもつダイと環状凹部をもつポンチから
なる(成形用)プレス型に中央孔を環状凹部側に向けて
載置し荷重P2でプレス成形する(同図f、g)と、平
面部に開孔した油溜孔をもつ中空シュー(同図h)が形
成される(シュー形成工程)。なお、シュー形成工程を
容易にすべく、シュー素材をダイに載置した後で、中央
孔の開孔周縁を均等に押圧する絞り工程を追加しても良
い(同図e)。この場合も、成形用プレス型に突出部
(破線)を設けると、より確実に油溜孔が形成される。
【0026】第3実施形態 図11に示すように、円柱材を切断して(同図a)、シ
ューの原材とし(同図b)、この原材を円柱状のポンチ
と円筒部をもつダイとからなる第1素材用プレス型を用
いて荷重P1でプレス成形して一端にのみ開孔した有底
円筒状のシュー予備素材(同図c)を得る。そして、突
出部を軸中央下向きに備えた孔ポンチとその突出部の逃
げを軸中央にもつ孔ダイとからなる第2素材用プレス型
を用いて、シュー予備素材の底部に貫通孔を打ち抜いて
設け(同図d)、両端に大小の中央孔をもつ有底円筒状
のシュー素材(同図e)を得る(シュー素材形成工程)
次に、このシュー素材を半球凹部をもつポンチと環状凹
部をもつダイからなるプレス型(成形用プレス型)に中
央孔を半球凹部側に向けて載置し荷重P2でプレス成形
する(同図f、g)と、半球状部と平面部との両方に開
孔した油溜孔をもつ中空シュー(同図h)が形成される
(シュー形成工程)。なお、この場合も成形用プレス型
に突出部(破線)を設けると、より確実に油溜孔が形成
される。
【0027】第4実施形態 図12に示すように、円管材を切断して(同図a)、シ
ュー素材(同図b)とした(シュー素材形成工程)。次
に、このシュー素材を半球凹部をもつポンチと環状凹部
をもつダイからなるプレス型(成形用プレス型)に載置
し荷重P2でプレス成形する(同図c、d)と、半球状
部と平面部との両方に開孔した油溜孔をもつ中空シュー
(同図e)が形成される(シュー形成工程)。なお、こ
の場合も成形用プレス型に突出部(破線)を設けると、
より確実に油溜孔が形成される。
【0028】(その他) 本発明に係るシュー素材形成工程やシュー形成工程
は、冷間加工に限らず、熱間加工でも良い。冷間加工に
よればシューの製造に際して工程を削減でき、熱間加工
によればプレス成形が容易になる。
【0029】図13に示すようなプレス型300を用
いてシュー素材170をプレス成形しても良い。このプ
レス型300は、軸中央に挿通孔312aが形成された
半球凹部312bをもつダイ312と、この半球凹部3
12bと略同径の低い環状凹部313bとその中央に形
成された挿通孔313aとを備えるポンチ313と、挿
通孔312aと挿通孔313aとを貫く軸状部材314
とからなる。この軸状部材314が本発明に係るプレス
型の突出部となる。なお、プレス成形は、その軸状部材
314にシュー素材170を挿通させた後、その軸状部
材314に沿ってダイ312とポンチ313とを相対移
動させてシュー素材170を押圧成形して行い得る。こ
のプレス型300によりプレス成形を行うと、貫通した
油溜孔が確実に形成される。なお、シュー素材170
は、シュー素材110と同様に軸中央に貫通した中央孔
を備えると共に、シューの半球状側が面取されている。
【0030】シュー素材の半球側のみならず、反対側
を面取りしても良い。また、面取りの代りに適当な曲率
で丸めても良い。また、面取り等を中央孔の端部で行っ
ても良い。また、上述のプレス型や素材用プレス型に素
材の逃げ部を適宜設けても良い。もっとも、中央孔を油
溜孔に対して大きめに設定しているときは、その中央孔
部分が素材の逃げとなり得る。
【0031】本発明に係るシュー形成工程後に研削工
程や研磨工程等を追加して、シューの摺動面を仕上げて
も良い。さらに、耐摩耗性等の向上を図るべく、表面処
理工程を行っても良い。なお、中空シューの場合、中空
内の油溜や油溜孔の内部は潤滑油を保持するだけである
ため、例えば、それらの内表面に凹凸等があっても特に
問題ではない。
【0032】シューの材料は、鉄鋼材料に限らず、ピ
ストンや斜板との摺動性を考慮して適切な材料に置換で
きる。 (斜板式コンプレッサ)上述の本発明に係るシューを組
付けた斜板式コンプレッサ400を図14に示す。この
斜板式コンプレッサ400は、片頭型ピストン21と斜
板19とを組合わせた可変容量式コンプレッサ(圧縮
機)である。
【0033】斜板式コンプレッサ400は、エンジンか
らの駆動力が前端に設けたプーリ(図示せず)から入力
されて回転する主軸16と、この主軸16の後方を支持
すると共に主軸16に平行にかつ環状に5気筒設けられ
たシリンダ12aを備えるシリンダブロック12と、そ
れぞれのシリンダ12a内に嵌入されて往復動可能な片
頭型ピストン21と、それらの片頭型ピストン21の頂
面に対向しシリンダブロック12の後端側に配設され各
シリンダ12aの内部と連通可能に区画された吸入室1
3aと吐出室13bとを備えるリアハウジング25と、
シリンダブロック12とリアハウジング25との間にバ
ルブプレート14を心材として介在し吸入室13aから
シリンダ12aの内部への作動流体の吸入のみを許容す
る吸入弁14aと、シリンダブロック12とリアハウジ
ング25との間にバルブプレート14を心材として介在
しシリンダ12aの内部から吐出室13bへの作動流体
の吐出のみを許容する吐出弁14bと、主軸16と一体
的に回転して片頭型ピストン21を往復動させ得ると共
にラグプレート18との間に設けられたヒンジ機構部2
0を介して傾斜角度を変更して片頭型ピストン21のス
トロークを変更させ得る斜板19と、主軸16の前方を
支持すると共にシリンダブロック12との間で斜板を収
納するクランク室15を形成するフロントハウジング1
1とを基本的な構成とする。
【0034】そして、片頭型ピストン21の頭部21a
から前端側に延出した首部21cの前後両側には半球凹
部をもつシュー受座21bが形成されている。このシュ
ー受座21bと斜板19との間には、本発明に係る軸中
央に油溜孔211を備える半球状のシュー210が両側
に介在している。そして、シュー210の半球側がシュ
ー受座21bとの間で滑らかに摺動可能であり、シュー
210の平面側が斜板19との間で滑らかに摺動可能で
ある。この介在する半球状のシュー210により斜板1
9の回転運動は片頭型ピストン21の往復運動に変換さ
れる。ここで、シュー210が斜板19および片頭型ピ
ストン21と直接接触し、かつシュー210は半球状で
あるため、斜板式コンプレッサ400は軸方向に非常に
コンパクトなものとなっている。
【0035】ところで、本発明に係るシュー210は軸
中央に油溜孔211を備えるため、潤滑油の供給補助が
行え、様々な運転状況で安定した摺動性を確保できる。
特に、自動車の始動開始時等の潤滑油が欠乏している状
況下で有効である。また、図14に示したシュー210
の油溜孔211は貫通孔であるため、片頭型ピストン2
1のシュー受座21bと斜板19の表面との両方に適切
に潤滑油を供給できるので好ましい。また、潤滑油量に
偏在が生じても、その油溜孔211を通じて一方から他
方に潤滑油が導かれるから、その油溜孔211が潤滑油
の導孔としての役割を果す場合もある。このように、シ
ュー210は油溜孔211を備えることにより、片頭型
ピストン21と斜板19との間で安定した摺動性を確保
し得る。
【0036】なお、図14は油溜孔211が貫通孔の場
合を示したが、これに限らず、油溜孔はシュー受座21
b側若しくは斜板19側にのみに開孔した凹陥状でも良
い。いずれか一方の摺動性を向上させれば良い場合もあ
るからである。例えば、シュー受座21bとシュー21
0との間の滑り速度は、それらの揺動範囲が狭いため小
さいことも多いが、斜板19とシュー210との間の滑
り速度は、周速の大きな斜板19外周側で両者が摺動し
ているため、滑り速度は大きくなる傾向にある。従っ
て、斜板19の油溜孔211を斜板19側に開孔したも
のとすると、それらの間で安定した潤滑性を確保でき
る。
【0037】もっとも、摺動性は滑り速度、面圧、両者
間の表面性状等に関係し、一概にどちらの摺動性が厳し
いか否かを決められるものではない。また、ブローバイ
ガスや斜板19の巻上げるミスト等による潤滑油の供給
がどのように行われるかも一概に決定できるものではな
い。従って、現実の斜板式コンプレッサの特性に応じて
油溜孔211の開孔位置を定めれば良い。
【0038】
【発明の効果】本発明の斜板式コンプレッサ用シューの
製造方法によれば、シュー形成工程前のシュー素材形成
工程で予めシュー素材の軸中央に中央孔が形成されてい
るため、油溜孔を備えるシューをプレス成形により容易
に形成できる。また、油溜孔を備えるシューの製造に関
して、コスト低減や歩留り向上等を図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るシュー素材の一実施形態を示す図
であり、同図(a)は油溜孔が貫通孔である場合を示す
斜視図であり、同図(b)はそのシュー素材の原材であ
る円管材を示す斜視図である。
【図2】本発明に係るシュー素材形成工程で用いた素材
用プレス型の一実施形態を示す断面図である。
【図3】本発明に係るシュー素材の他の実施形態を示す
斜視図である。
【図4】本発明に係るシュー素材の他の実施形態を示す
断面図である。
【図5】本発明に係るシュー素材形成工程で用いた素材
用プレス型の他の実施形態を示す断面図である。
【図6】本発明に係るシュー形成工程で用いたプレス型
の一実施形態を示す断面図である。
【図7】本発明に係るシュー形成工程で用いたプレス型
の他の実施形態を示す断面図である。
【図8】本発明に係るシュー形成工程で形成されるシュ
ーの一実施形態を示す断面図である。
【図9】本発明の斜板式コンプレッサ用シューの製造方
法の第1実施形態を示す図である。
【図10】本発明の斜板式コンプレッサ用シューの製造
方法の第2実施形態を示す図である。
【図11】本発明の斜板式コンプレッサ用シューの製造
方法の第3実施形態を示す図である。
【図12】本発明の斜板式コンプレッサ用シューの製造
方法の第4実施形態を示す図である。
【図13】本発明に係るシュー形成工程で用いたプレス
型の他の実施形態を示す断面図である。
【図14】本発明により形成されたシューを用いた斜板
式コンプレッサの一実施形態を示す断面図である。
【符号の説明】
210、280 シュー 211、281、282 油溜孔 111、131、141、142 中央孔 110、130、140、170 シュー素
材 120、150 素材用プ
レス型 260、270、300 プレス型 263a、272a、273a、314 突出部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 村尾 和重 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式会 社豊田自動織機製作所内 Fターム(参考) 3H076 AA06 BB17 BB50 CC33 4E087 HA00

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】軸中央に中央孔を備える円柱状のシュー素
    材を形成するシュー素材形成工程と、 プレス型を用いて該シュー素材をプレス成形することに
    より油溜りとなる油溜孔を中央にもつ半円球状のシュー
    を形成するシュー形成工程と、 からなることを特徴とする斜板式コンプレッサ用シュー
    の製造方法。
  2. 【請求項2】前記プレス型は、前記シュー素材の前記中
    央孔に嵌入する突出部を備える請求項1記載の斜板式コ
    ンプレッサ用シューの製造方法。
  3. 【請求項3】前記中央孔は、貫通孔である請求項1また
    は2記載の斜板式コンプレッサ用シューの製造方法。
  4. 【請求項4】前記シュー素材形成工程は、円管材を切断
    する工程である請求項3記載の斜板式コンプレッサ用シ
    ューの製造方法。
  5. 【請求項5】前記シュー素材形成工程は、軸中央に突出
    部をもつ素材用プレス型により円柱材をプレス成形して
    前記シュー素材を形成する工程である請求項1記載の斜
    板式コンプレッサ用シューの製造方法。
JP2000075018A 2000-03-17 2000-03-17 斜板式コンプレッサ用シューの製造方法 Pending JP2001263225A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000075018A JP2001263225A (ja) 2000-03-17 2000-03-17 斜板式コンプレッサ用シューの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000075018A JP2001263225A (ja) 2000-03-17 2000-03-17 斜板式コンプレッサ用シューの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001263225A true JP2001263225A (ja) 2001-09-26

Family

ID=18592970

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000075018A Pending JP2001263225A (ja) 2000-03-17 2000-03-17 斜板式コンプレッサ用シューの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001263225A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004020824A1 (ja) * 2002-08-30 2004-03-11 Taiho Kogyo Co., Ltd. 軸受体の製造方法
JP2010048156A (ja) * 2008-08-21 2010-03-04 Taiho Kogyo Co Ltd シュー
WO2012036013A1 (ja) * 2010-09-13 2012-03-22 株式会社 内藤 斜板式圧縮機用シュー
KR101181110B1 (ko) 2006-09-28 2012-09-14 한라공조주식회사 압축기 피스톤용 슈 및 그 가공방법

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004020824A1 (ja) * 2002-08-30 2004-03-11 Taiho Kogyo Co., Ltd. 軸受体の製造方法
KR101181110B1 (ko) 2006-09-28 2012-09-14 한라공조주식회사 압축기 피스톤용 슈 및 그 가공방법
JP2010048156A (ja) * 2008-08-21 2010-03-04 Taiho Kogyo Co Ltd シュー
WO2012036013A1 (ja) * 2010-09-13 2012-03-22 株式会社 内藤 斜板式圧縮機用シュー

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2009068358A (ja) 容量可変型斜板式圧縮機
US20080028927A1 (en) Variable Displacement Swash Plate Type Compressor With Smooth Inclined Moving Feature
JP2007132292A (ja) 圧縮機のクランクシャフトおよび往復動型圧縮機
EP1394411B1 (en) Swash plate type variable displacement compressor
CN1180182C (zh) 压缩机阀板
US6629823B2 (en) Compressors
JP2001263225A (ja) 斜板式コンプレッサ用シューの製造方法
JP4470148B2 (ja) 圧縮機用シュー及びその製造方法
JP3837594B2 (ja) 斜板の加工方法及びこれを用いた斜板式可変容量圧縮機
JP2004358538A (ja) ロッカーアームの製造方法
CN108644094B (zh) 活塞压缩机曲轴、活塞压缩机及制冷系统
JP2008069747A (ja) 圧縮機用シュー及びその製造方法
CN2924064Y (zh) 一种旋转斜盘式压缩机的滑履
JP2008069748A (ja) 圧縮機用シュー及びその製造方法
KR20120134859A (ko) 압축기
KR20080025347A (ko) 압축기용 슈
US20030007877A1 (en) Variable displacement compressors and methods for manufacturing such compressors
EP2770206A1 (en) Swash plate compressor
KR102341235B1 (ko) 사판식 압축기의 피스톤 엔드캡용 부품 성형 방법
KR100596159B1 (ko) 용량가변형 사판식 압축기용 피스톤 및 그 제조방법
US20020031433A1 (en) Variable displacement compressors
JP2008101560A (ja) レシプロ圧縮機の製造方法
KR100558701B1 (ko) 용량가변형 사판식 압축기용 피스톤
JP2001165046A (ja) 圧縮機
JP4363306B2 (ja) スラストニードル軸受用のレースの製造方法