JP2001262263A - 成形性に優れたAl−Mg系Al合金板 - Google Patents

成形性に優れたAl−Mg系Al合金板

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高純度Al地金を用いることなく製造可能
で、成形性に優れたAl−Mg系Al合金板を提供す
る。 【解決手段】 本発明のAl合金板は、mass%で、M
g:3.0〜6.0%、Si:0.1〜0.6%、F
e:0.1〜1.0%、あるいはさらにCu:0.4%
以下および残部Alを本質的成分としてなる。組織中の
FeまたはSiを含んだ晶出物は、その円相当直径の平
均が2μm 以下、その平均アスペクト比が1.8以下で
あり、また平均結晶粒径は30μm 以下とされる。本発
明のAl合金板は、成形性あるいはさらに耐食性に優
れ、例えば自動車パネル材として好適に使用される。前
記Al合金板の成分としては、さらに、Mn:1.0%
以下、Cr:0.3%以下、Zr:0.3%以下、V:
0.3%以下、Ti:0.03%以下よりなる群から選
択される1種以上の成分を含有することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、成形性、あるいは
さらに耐食性に優れたAl−Mg系Al合金板に関し、
自動車パネル等の素材として好適なAl合金板に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】地球環境問題を背景に、燃費向上を目的
とした自動車の軽量化の要求が高まってきており、自動
車ボディパネル材に対しても鋼板などの鉄鋼材料に代わ
ってアルミニウム材料の適用が検討されてきている。自
動車パネル材において、冷延鋼板にかわるAl合金板と
しては、Mgを比較的多量に含むAl−Mg系Al合金
(5000系合金)が、強度、延性に優れるため注目さ
れている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
ようにDC鋳造、圧延によって製造した5000系合金
板をドアーパネル、ルーフパネル等の複雑形状部材に適
用した場合、プレス成形性が不十分であると言われてい
る。その理由は、Al合金に不可避的に存在する不純物
元素であるFe、Siの金属間化合物が晶出物として生
成し、これが成形時の破壊の起点になり、成形性を劣化
させるからである。
【0004】このようなAl−Mg系合金の成形性を改
善する手段としては、前記晶出物の生成原因となる不純
物元素であるFe、Siの含有量を極力制限すればよ
い。しかしながら、これらの不純物元素を極力制限する
には、高純度のAl地金を必要とするため、コスト高を
招来し、実用性に乏しい。
【0005】一方、特開平7−278716号公報に
は、晶出物の平均サイズを15μm 以下とすることによ
り、成形性を改善する技術が提案されているが、鋳造欠
陥や偏析、さらには粗大晶出物やアスペクト比の大きな
晶出物が不可避的に残留するため、十分な効果が得られ
ているとは言えない。
【0006】なお、特開平7−252572号公報に
は、Cuを0.5〜1.5%含有させ、不溶性化合物の
最大サイズを2μm 以下とすることで成形性の向上を図
る技術が提案されているが、多量のCuを添加するため
に耐食性が却って劣化するという問題もある。
【0007】本発明は、かかる問題に鑑みなされたもの
で、高純度Al地金を用いることなく製造可能で、成形
性に優れたAl−Mg系Al合金板を提供することを目
的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明のAl合金板は、
mass%で、 Mg:3.0〜6.0%、 Si:0.1〜0.6%、 Fe:0.1〜1.0%、 あるいはさらにCu:0.4%以下 および残部Alを本質的成分としてなり、FeまたはS
iを含んだ晶出物の円相当直径の平均が2μm 以下、前
記晶出物の平均アスペクト比が1.8以下であり、かつ
平均結晶粒径が30μm 以下である、成形性に優れたA
l−Mg系Al合金板である。
【0009】前記Al合金板の成分としては、請求項3
に記載したように、さらに、Mn:1.0%以下、C
r:0.3%以下、Zr:0.3%以下、V:0.3%
以下、Ti:0.03%以下よりなる群から選択される
1種以上の成分を含有することができる。
【0010】〔発明の詳細な説明〕本発明者は、従来不
純物扱いされてきたFe、Siが結晶粒微細化効果を有
する点に着目し、さらに前記元素を含む故に不可避的に
生成した晶出物については、その形態を精緻に制御する
ことで成形性が向上するのではないかとの着想に基づき
鋭意研究した結果、本発明を完成するに至った。
【0011】すなわち、特開平7−278716号公報
に記載されているように、晶出物の平均サイズを問題に
するだけでは成形性の向上に限界があり、本発明者が詳
細に調査した結果、晶出物の円相当直径の平均が2μm
を超え、前記晶出物の平均アスペクト比(晶出物の圧延
方向の長さL1と板厚方向の長さL2との比L1/L
2)が1.8を超える領域の晶出物を抑制するととも
に、平均結晶粒径を30μm 以下とすることによって顕
著な特性向上効果が得られることが見出された。
【0012】晶出物の微細化については、前記公報の技
術では、鋼片厚みを1〜10mmに連続鋳造し、10℃/s
ec以上の冷却速度にて冷却することで晶出物の微細化を
図っているが、このような鋼片厚みでは、熱間圧延時に
圧下率が十分に取れないので、鋳造欠陥、偏析が板材に
残留するようになり、冷却速度を単純に速くするだけで
は十分良好な特性が得難い。
【0013】この点、本発明では、後述の実施例によっ
て明らかなように、冷却速度を速めるだけでなく、鋼塊
の厚さをある程度以上として、鋳塊組織の健全化を図り
ながら、さらに鋳塊組織での晶出物の分布の制御と圧延
条件の制御によって従来不可避的に残存していた粗大な
晶出物、アスペクト比の大きい晶出物を排除することに
成功したものである。特に、鋳塊をある程度の厚さに鋳
造し、鋳塊組織を板厚中心方向に伸びた柱状晶に制御す
ることは晶出物の微細化、アスペクト比の低減に非常に
効果的であることが見い出された。すなわち、鋳塊をあ
る程度の厚さとすることで、粒界に晶出した晶出物を表
面部から板厚中心方向に列状に並ばせることができ、こ
れによって後工程の熱間圧延、冷間圧延によって晶出物
を容易に微細に砕くことができるのである。
【0014】上記知見によってなされた本発明のAl合
金板は、mass%で、 Mg:3.0〜6.0%、 Si:0.1〜0.6%、 Fe:0.1〜1.0%、 あるいはさらにCu:0.4%以下 および残部Alを本質的成分としてなり、FeまたはS
iを含んだ晶出物の円相当直径の平均(以下、平均晶出
物径という。)が2μm 以下、前記晶出物の平均アスペ
クト比が1.8以下であり、かつ平均結晶粒径が30μ
m 以下とされたものである。
【0015】まず、本発明のAl合金板の成分限定理由
を説明する。 Mg:3.0〜6.0% MgはAlマトリックス中に固溶して強度を向上させ、
また延性を確保するために添加される。3.0%未満で
はかかる作用が過少であり、一方6.0%を超えると熱
間加工性が低下し、熱間圧延が著しく困難になるほか、
固液共存域が拡大し、鋳造も困難になり、生産性が著し
く低下するようになる。
【0016】Si:0.1〜0.6% Fe:0.1〜1.0% Si、Feは、Mg−Si系、Al−Fe−Si系など
の晶出物を生成し、結晶粒微細化効果を有するので、各
々0.1%以上を添加する。一方、Si0.6%超、F
e1.0%超では、晶出物が粗大化し、これが鋳造後の
圧延等によっても微細化せず、残存した粗大晶出物が破
壊の起点となり、成形性を劣化させる。また、SiがM
2Si として晶出すると、Alマトリックス中に固溶
するMg量が減少し、強度、靭性が劣化するようになる
ので、この点からもSiは0.6%以下に止められる。
本発明では、Si、Feの結晶粒微細化効果を利用する
ため、Si、Feを積極的に添加するが、その付随的効
果として、不可避的にFeを多量に含んだ安価なAl地
金やスクラップ材を利用することができ、低コスト化に
寄与することができる。
【0017】Cu:0.4%以下 Cuは、成形性を向上させる作用を有するが、過剰な添
加は耐食性を劣化させる。本発明では、主に耐食性の確
保の見地から0.4%以下に止める。本発明では、Cu
の添加量が低く、成形性の向上に寄与するCu量が少な
いが、後述する特定の組織条件を満足させることによっ
て成形性を向上させることに成功したものである。
【0018】本発明のAl合金板は、上記Mg、Si、
Fe、あるいはさらにCu、および残部Alを本質的成
分としてなり、残部不可避的不純物よりなるほか、本発
明のAl合金板の特性をさらに向上させる元素として下
記元素群の内から1種以上を添加することができる。
【0019】Mn:1.0%以下、Cr:0.3%以
下、Zr:0.3%以下、V:0.3%以下、Ti:
0.03%以下これらの元素は、結晶粒微細化効果を有
し、成形性の向上に効果がある。各元素の上限を超える
と、粗大な化合物を形成し、これが破壊の起点となり、
成形性を劣化させる。なおTiは鋳造時の微細化能もあ
り、その上限を超えると鋳塊の柱状晶形成が妨げられ、
晶出物分断効果が劣化する。より好ましくは、Mn:
0.6%以下、Cr:0.2%以下、Zr:0.2%以
下、V:0.2%以下、Ti:0.01%以下とするの
がよい。
【0020】次に、本発明のAl合金板の組織について
説明する。本発明では、FeまたはSiを含んだ晶出物
の平均晶出物径が2μm 以下、前記晶出物の平均アスペ
クト比が1.8以下であり、かつ平均結晶粒径が30μ
m以下とされる。
【0021】晶出物の形態は、単に平均粒子径が小さく
とも、大きな粒子径、アスペクト比の晶出物があると、
それが破壊の起点となるため、合金板の成形性に大きな
影響を及ぼす。このため、本発明では、晶出物の形態に
つき、その平均晶出物径を2μm 以下、前記晶出物の平
均アスペクト比を1.8以下、好ましくは1.5以下に
制限する。前記平均晶出物径が2μm を超えると、破壊
の起点になりやすい。また平均晶出物径が2μm 以下で
もアスペクト比が1.8を超えて大きいと応力集中が生
じやすくなり、そのような晶出物はやはり破壊の起点に
なりやすく、成形性が低下するようになる。
【0022】また、結晶粒径も、後述の実施例から明ら
かなように、成形性を大きく左右することが分かった。
このため、本発明では晶出物の形態のみならず結晶粒径
についても制限を加える。すなわち、平均結晶粒径が3
0μm を超えると、成形性の劣化が顕著になるため、本
発明では平均結晶粒径を30μm 以下、好ましくは20
μm 以下とする。これらの組織条件によって、Cu量を
少なくしても良好な成形性が確保される。
【0023】本発明のAl−Mg系Al合金板は、鋳造
後、熱間圧延、中間焼鈍、冷間圧延、最終焼鈍の工程を
経て製造される。もっとも、所定の組織を得ることがで
きるように下記の点に留意することが望ましい。
【0024】鋳造時の凝固速度は高いほど、鋳塊での晶
出物を微細にすることができるが、鋳塊における欠陥、
偏析を抑えておくことが晶出物の微細化に有効であるた
め、鋳塊の中心部の冷却速度は高すぎないようにするこ
とが好ましい。冷却速度が高すぎると、凝固収縮に対す
る溶湯の供給が不足し、欠陥が生成しやすくなる。従っ
て、晶出物の微細化と鋳造段階での欠陥、偏析の抑制と
のバランスを考慮して、鋳塊板厚中心部における冷却速
度を1〜5℃/secとすることが望ましい。
【0025】また、鋳塊幅方向における冷却速度のばら
つきを±30%以内、好ましくは±20%以内に抑える
ことが望ましい。冷却速度の遅い部分があると、その部
分が最終凝固部になり、欠陥、偏析が集中し、その部位
の特性、特に後工程である圧延工程における加工特性を
劣化させ、粗大晶出物やアスペクト比の大きい晶出物が
残存する要因となる。
【0026】晶出物が所定サイズに分断され、均一に分
散した健全な組織を得るためには、凝固時の組織を柱状
晶にすることが望ましいことが明らかになった。その理
由は、凝固時の組織を柱状晶にすることで、表層部から
板厚中心方向に結晶粒が細長く伸びた組織形態が得ら
れ、これによって結晶粒界に晶出した晶出物が表層部か
ら板厚中心方向に列状に並ぶようになり、後工程の熱間
圧延、冷間圧延の際に、比較的高い圧下率で圧延を行う
ことにより、晶出物が効果的に微細に分断されるからで
ある。このため、鋳塊厚みは好ましくは15mm以上、
より好ましくは25mm以上とするのがよい。
【0027】上記のような鋳塊板厚中心部の冷却速度、
鋳塊厚みを実現する鋳造プロセスとしては、厚さ15〜
35mmの鋳造片を製造する、双ベルト式または双ブロ
ック式等の薄スラブ連鋳プロセスを用いることができ
る。また、鋳塊幅方向の冷却速度のばらつきを抑える方
法としては、ベルト連鋳法では、ベルトの変形を防止す
る必要があり、ベルトの予熱、張力付与、ベルトコーテ
ィング剤の塗布が有効である。ベルトの予熱は、ベルト
温度60℃以上、望ましくは80℃以上で実施すればよ
い。ベルトに付与する張力は、応力で5.0kgf/mm2
上とすることが好ましく、7.5kgf/mm2以上がより好
ましい。また、コーティング剤としては、断熱性のある
ものが望ましく、アルミナ系等の酸化物系離型剤が好適
である。勿論、炭素型離型剤も使用可能である。
【0028】鋳塊の熱延条件としては、鋳塊中の晶出物
の微細分断化、アスペクト比低下のために、高温域で行
うことが望ましいが、高すぎると部分溶融を起こす。従
って、熱延開始温度としては好ましくは450℃以上5
90℃以下、より好ましくは500℃以上570℃以下
とするのがよい。また、熱延時の圧下率増大も晶出物微
細分断化、アスペクト比低下に効果的であり、トータル
の圧下率を好ましくは80%以上、より好ましくは90
%以上とするのがよい。
【0029】中間焼鈍条件および冷延後の最終焼鈍に関
しては特に規定されるものではなく、通常の焼鈍方法
(連続焼鈍或いはバッチ焼鈍)で実施すれば良い。
【0030】冷延条件としては、冷間圧延時の圧下率
(冷延率)が増大するほど晶出物の微細分断化、アスペ
クト比低下に効果的である。もっとも、熱延時の圧延率
を増大させる方が晶出物の微細化には効果が大きい。一
方、冷延後あるいは最終焼鈍後の結晶粒微細化には冷延
時の圧下が効果的である。これらの効果を勘案して、冷
延時のトータルの圧下率は好ましくは60%以上、より
好ましくは70%以上とするのがよい。なお、冷延中の
中間焼鈍は必ずしも実施することを要しない。
【0031】以下、実施例によって本発明をさらに説明
するが、本発明はこれらの実施例によって制限的に解釈
されるものではない。
【0032】
【実施例】下記表1に示す組成のAl合金を溶製し、表
2に示すように、板厚中心部の冷却速度が0.5〜30
℃/secとなるように双ベルト式連続鋳造法により種々の
肉厚の移動帯板(板幅1000mm)を作製し、この帯
板に直ちに熱間圧延を施して肉厚1.5〜5mmの板材
を得た。連鋳条件については、表2中、試料No. 1〜2
0および23は鋳造時のベルト予熱温度を70℃、ベル
ト張力を7.5kgf/mm2とし、アルミナ系離型剤をベル
トに塗布した。一方、試料No. 21は双ロール連続鋳造
法で板厚8mmの板を製造し、熱間圧延を行わず、冷間圧
延のみを施して最終板厚1mmまで加工した。また、試
料No. 22は、ベルト予熱温度を40℃、ベルト張力を
2.5kgf/mm2とし、離型剤塗布なしの条件で鋳造し、
直ちに熱間圧延を施したものである。
【0033】前記熱間圧延(No. 21を除く。)は、表
2に示すように、圧延開始温度を430〜570℃と
し、圧下率を90〜75%とした。このようにして得た
熱延板に500℃で1分間の中間焼鈍を施した後、表2
に示した冷延率にて冷間圧延を行い、肉厚1mmのAl
合金板を得た。この合金板に550℃で1分間の最終焼
鈍を施して水焼き入れを行った。
【0034】このようにして作製したAl合金板試料に
ついて、光学顕微鏡観察と画像解析を行うことによって
晶出物の円相当直径およびアスペクト比を求めた。ま
た、光学顕微鏡観察で切片法によって結晶粒径を測定し
た。また、40℃、0.5molのNaCl水溶液に1
00hr浸漬後の孔食発生状況を5段階評価(AA:
優、A:良、B:可、C:劣、D:不可)し、耐食性を
評価した。また、成形性をLDH試験によって試験片の
破断時の張り出し高さを測定し、評価した。試験条件
は、直径100mm、球頭のパンチを用い、潤滑油R−
303Pの塗布、しわ押さえ力200kNの下で行っ
た。これらの調査結果を表3に示す。なお、同表中、試
料No. 1〜10は実施例、No. 11〜23は比較例であ
る。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】表3中、試料No. 12はMgが過多のた
め、試料No. 22は鋳造条件が不適切であるため、熱延
時に割れが生じた。試料No. 22と同成分系(成分No.
5)の試料No. 5とにつき、鋳造帯板(鋳塊)の幅方向
の冷却速度(板厚中心部)を測定したところ、No. 5で
は幅中央部(板端から500mm位置)では3.0℃/s
ec、1/4幅部(板端から250mm位置)では2.5
℃/secであり、幅方向の冷却速度のばらつきは小さかっ
たが、No. 22では幅中央部が3.0℃/sec、1/4幅
部が1.6℃/secであり、1/4幅部の冷却速度が幅中
央部の約53%と幅方向の冷却速度のばらつきが大きか
った。このため、No. 22では、1/4幅部にMg、F
e、Si等の合金元素の濃縮が起こり、このため加工性
が劣化したか、あるいは融点の低下を招来して部分溶融
が生じて割れが発生したものと推察された。
【0039】また、No. 11、13〜18は、成分が発
明範囲外であるため、耐食性が良好なものもあるが、概
ね成形性が劣っている。もっとも、No. 15はCu含有
量が0.6%と多いため、成形性は良好であるが、耐食
性の劣化が著しい。また、No. 19〜21および23は
発明成分を満足するが、製造条件が不適切であるため、
本発明の組織条件を満足せず、やはり成形性が低下して
いる。
【0040】これらの比較例に対して、実施例のNo. 1
〜10は、耐食性、成形性が共に優れていることが確認
された。
【0041】
【発明の効果】本発明のAl−Mg系Al合金板によれ
ば、Mg、Si、Alのほか、所定量のFeあるいはさ
らにCuを本質的成分として含み、晶出物の平均晶出物
径、平均アスペクト比および平均結晶粒径を所定の値以
下に制限したので、優れた成形性あるいはさらに耐食性
を兼ね備えることができ、これらの特性が要求される、
例えば自動車パネル等の素材として好適に使用すること
ができる。また、本発明のAl合金板は、高純度のAl
地金を用いることなく製造することができるので、製造
コストを低減することができ、アルミ材料のリサイクル
にも資することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松本 克史 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 (72)発明者 杉崎 康昭 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 mass%で、 Mg:3.0〜6.0%、 Si:0.1〜0.6%、 Fe:0.1〜1.0% および残部Alを本質的成分としてなり、FeまたはS
    iを含んだ晶出物の円相当直径の平均が2μm 以下、前
    記晶出物の平均アスペクト比が1.8以下であり、かつ
    平均結晶粒径が30μm 以下である、成形性に優れたA
    l−Mg系Al合金板。
  2. 【請求項2】 mass%で、 Mg:3.0〜6.0%、 Si:0.1〜0.6%、 Fe:0.1〜1.0%、 Cu:0.4%以下 および残部Alを本質的成分としてなり、FeまたはS
    iを含んだ晶出物の円相当直径の平均が2μm 以下、前
    記晶出物の平均アスペクト比が1.8以下であり、かつ
    平均結晶粒径が30μm 以下である、成形性に優れたA
    l−Mg系Al合金板。
  3. 【請求項3】 さらに、 Mn:1.0%以下、 Cr:0.3%以下、 Zr:0.3%以下、 V:0.3%以下、 Ti:0.03%以下 よりなる群から選択される1種以上の成分を含有する請
    求項1または2に記載したAl−Mg系Al合金板。
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