JP6589443B2 - Al−Si−Mg系アルミニウム合金板、該合金板の製造方法及び合金板を用いた自動車用部品 - Google Patents
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Description
本発明のAl−Si−Mg系アルミニウム合金板について詳細に説明する。
本発明のAl−Si−Mg系アルミニウム合金板は、Siの含有量が3質量%〜6質量%、Mgの含有量が0.4質量%〜2.4質量%、Feの含有量が1質量%以下、残部がAl及び不可避的不純物であり、24℃での導電率が45%IACS以下のアルミニウム合金板である。
上記導電率(%IACS)は、国際標準軟銅(International Annealed Copper Standerd)の電気抵抗値、1.7241×10−8Ω・mを100とし、合金板の導電率を相対比(%)で表示したものである。
したがって、導電率はアルミニウム合金板の耐力及び伸びの代用評価とすることができる。高純度アルミニウムの電気抵抗を増加させる添加元素の影響を表1に示す。
Al−Si−Mg系アルミニウム合金板の導電率が45%IACS以下であることで、固溶体を多く含み、アルミニウムの結晶形が多く保たれているため、110MPa〜200MPaの耐力と、24%〜50%の伸びを有する。
本発明においては、ケイ素(Si)の含有量3〜6質量%と上記マグネシウムの含有量とが相俟って、アルミニウム合金板の耐力及び引張強さ、伸びを向上させることができる。マグネシウムの含有量が0.4質量%未満では、耐力及び引張強さの向上が認められないことがあり、2.4質量%を超えると、24%以上の伸びが得られず成形性が低下することがある。
アルミニウム合金板が銅を含有することで耐力及び引張強さ、伸びを向上させることができる。Cuの含有量が1.2質量%を超えると、24%以上の伸びが得られず成形性が低下することがあり、また耐食性が低下することがある。
なお、銅は、銅線やダイカスト部品等から混入することが多い。
本発明のAl−Si−Mg系アルミニウム合金板の製造方法について説明する。
本発明のAl−Si−Mg系アルミニウム合金板は、双ロールキャスト式による連続鋳造法により鋳造板を作製し、該鋳造板を冷間圧延、焼鈍、急冷することで板厚0.5〜3mmのアルミニウム合金板とすることができる。
双ロールキャスト式による連続鋳造法は、回転する一対の冷却された銅ロール(双ロール)の 間に、耐火物製の給湯ノズルにアルミニウム合金溶湯を注湯して、上記双ロール間で圧下すると共に急冷して、アルミニウム合金の薄板を作製する方法である。
双ロールキャストは、縦型の双ロールキャストであることが好ましい。双ロールキャストが縦型であることとでロール間隙において固相率が変化し難くアルミニウム合金溶湯が詰まり難い。
なお、DC鋳造などで鋳造した鋳塊を均熱処理後に熱間圧延を行う通常の製造方法では、鋳造の際の鋳塊にSi、Mg、Fe等が偏析するため、通常の熱間圧延では、Al−Si−Mg系アルミニウム合金の延性が著しく低下して割れが発生するため、加工すること自体が困難である。
また、潤滑剤の濃度や厚みの不均一による冷却のムラの発生が防止され、均一かつ充分な冷却速度が得られ、偏析が防止されて成形性を均一にすることができる。
また、双ロールの圧下効果が小さくなって中心欠陥が多くなり、アルミニウム合金板の基本的な機械的性質が低下することがある。
本発明においては、上記双ロールキャスト式による連続鋳造法で作製された鋳造板に対して冷間圧延を行う。冷間圧延することで鋳造板中の結晶粒を微細化することができる。
冷間圧延の圧下率が50%以上とすることで、鋳造板の内部組織が細かく均質になると共に、板厚を均一に薄くすることができ、また、接触するロール表面が転写されて鋳造板の表面に光沢を付与することができる。
焼鈍の温度範囲は、500℃以上液相線温度以下で行う必要があり、520℃〜550℃で焼鈍を行うことが好ましい。500℃以上であることでアルミ合金中の溶け込んでない元素を均一に溶け込ませて固溶体にすることができる。500℃未満では、十分な固溶状態が作れず、耐力が向上しないことがあり、液相線温度を超えると、液体と固体が共存している状態になり部分的に溶けてしまう。
焼鈍は、バッチ式の空気炉や連続式の処理炉で行うことができる。
本発明のアルミニウム合金板の製造方法では、焼鈍した後、直ちに急冷を行う。焼鈍によって得られた固溶状態を急速に冷却して過飽和固溶体とすることで、室温においても、高温と同じような結晶状態を保つことができ、耐力が向上する。
上記冷却速度は熱電対で測定できる。
本発明のAl−Si−Mg系アルミニウム合金板は、耐力が110MPa以上、伸びが24%以上であり、自動車用部品に要求される高い伸び性と高い耐性とを有し、プレス加工に優れるため、自動車の外装部品等に好適に使用することができる。
縦型の双ロール式連続鋳造装置を用いて、成分組成が異なる8種類の[鋳造板A〜H]を作製した。
具体的には、成分組成が調節された、液相線温度+20℃のアルミニウム合金溶湯を30m/分で回転する一対の銅製の双ロール間に、耐火性の給湯ノズルを用いて注湯し、冷却速度100℃/秒で凝固させて鋳造板を作製した。
[鋳造板A〜H]の組成及び板厚を表2に示す。
[鋳造板A]を冷間圧延で厚さ1mmの板材とし、100℃/分で昇温させ、550℃で1時間焼鈍した後、直ちに水冷により5秒間で30℃まで急冷して[合金板1]を作製した。
[鋳造板A]を[鋳造板B]に代える他は、[合金板1]と同様にして[合金板2]を作製した。
[鋳造板A]を[鋳造板C]に代える他は、[合金板1]と同様にして[合金板3]を作製した。
[鋳造板A]を[鋳造板D]に代える他は、[合金板1]と同様にして[合金板4]を作製した。
[鋳造板A]を[鋳造板E]に代える他は、[合金板1]と同様にして[合金板5]を作製した。
[鋳造板A]を[鋳造板F]に代える他は、[合金板1]と同様にして[合金板6]を作製した。
[鋳造板A]を[鋳造板G]に代える他は、[合金板1]と同様にして[合金板7]を作製した。
[鋳造板A]を[鋳造板H]に代える他は、[合金板1]と同様にして[合金板8]を作製した。
[鋳造板A]を冷間圧延で厚さ1mmの板材とし、100℃/分で昇温させ、550℃で1時間焼鈍した後、炉内で冷却速度70℃/時間で室温まで徐冷して[合金板9]を作製した。
[鋳造板A]を[鋳造板B]に代える他は、[合金板9]と同様にして[合金板10]を作製した。
[鋳造板A]を[鋳造板C]に代える他は、[合金板9]と同様にして[合金板11]を作製した。
[鋳造板A]を[鋳造板D]に代える他は、[合金板9]と同様にして[合金板12]を作製した。
[鋳造板A]を[鋳造板E]に代える他は、[合金板9]と同様にして[合金板13]を作製した。
[鋳造板A]を[鋳造板F]に代え、冷間圧延で厚さ0.5mmの板材の板材とする他は、[合金板9]と同様にして[合金板14]を作製した。
[鋳造板A]を[鋳造板G]に代える他は、[合金板9]と同様にして[合金板15]を作製した。
[鋳造板A]を[鋳造板H]に代える他は、[合金板9]と同様にして[合金板16]を作製した。
上記合金版1〜16を以下の方法で評価した。評価結果を表3に示す。
(導電率)
渦流導電率測定装置(AutoSigma 3000、GEインスペクション・テクノロジーズ株式会社製)を用いて、アルミニウム合金板1〜16の表面を任意に5箇所測定し、平均して平均導電率を測定した。
(引張試験)
JIS5号試験片を模擬して、図1に示す形状の試験片を、試験片の長手方向が圧延方向と一致するように作製し、室温での引張試験により、0.2%耐力、引張強度、伸びを測定した。
また、Al−Si−Mg系アルミニウム合金板の成分が、Siの含有量が3質量%〜6質量%、Mgの含有量が0.4質量%〜2.4質量%、Feの含有量が1質量%以下を具備することで伸びが24%以上の合金板が得られ、上記導電率と相俟って、自動車用部品に要求される耐力と伸びとを両立させたAl−Si−Mg系アルミニウム合金板が得られることがわかる。
図2に[合金板3]の機械特性の変化、図3に[合金板5]の機械特性の変化を示す。
そして、導電率もBH処理前後で大きく変化していないことから、本発明のアルミニウム合金板は、上記BH処理では材料の添加元素の固溶状態に大きな変化がないことがわかる。
Claims (6)
- アルミニウム(Al)と、ケイ素(Si)と、マグネシウム(Mg)と、鉄(Fe)と、不可避的不純物とから成り、
Siの含有量が3質量%〜6質量%、Mgの含有量が0.4質量%〜2.4質量%、Feの含有量が1質量%以下、残部がAl及び不可避的不純物であり、
24℃での導電率が45%IACS以下、耐力が110MPa以上、伸びが24%以上であることを特徴とするAl−Si−Mg系アルミニウム合金板。 - Mgの含有量が0.5質量%〜1.5質量%であることを特徴とする請求項1に記載のAl−Si−Mg系アルミニウム合金板。
- さらに、銅(Cu)を含み、Cuの含有量が1.2質量%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のAl−Si−Mg系アルミニウム合金板。
- Cuの含有量が0.5質量%〜1.0質量%であることを特徴とする請求項3に記載のAl−Si−Mg系アルミニウム合金板。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のAl−Si−Mg系アルミニウム合金板の製造方法であって、
双ロールキャスト式連続鋳造法で鋳造板を作製し、該鋳造板を圧下率50%以上で冷間圧延した後、500℃以上液相線以下の温度範囲で5分間以上焼鈍を行い、10℃/秒以上の冷却速度で急冷することを特徴とするAl−Si−Mg系アルミニウム合金板の製造方法。 - 上記双ロールキャスト式連続鋳造法で作製された鋳造板が、スクラップ材由来のアルミニウムを含むリサイクル鋳造板であることを特徴とする請求項5に記載のAl−Si−Mg系アルミニウム合金板の製造方法。
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