JP2001261822A - ポリイミドおよびその製造方法 - Google Patents

ポリイミドおよびその製造方法

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JP2001261822A
JP2001261822A JP2000075991A JP2000075991A JP2001261822A JP 2001261822 A JP2001261822 A JP 2001261822A JP 2000075991 A JP2000075991 A JP 2000075991A JP 2000075991 A JP2000075991 A JP 2000075991A JP 2001261822 A JP2001261822 A JP 2001261822A
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diamine
acid
diamines
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JP2000075991A
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Seiji Kamimura
誠二 神村
Masahiro Okabe
雅寛 岡部
Yuki Honda
祐樹 本田
Kenji Asano
健次 浅野
Shunichi Matsumoto
俊一 松本
Hiroshi Itaya
博 板谷
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PI R&D Co Ltd
Hitachi Cable Ltd
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PI R&D Co Ltd
Hitachi Cable Ltd
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  • Macromolecular Compounds Obtained By Forming Nitrogen-Containing Linkages In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】耐加水分解性に優れ、イオン性不純物の含有濃
度が少ないポリイミドと、ポリアミド酸を経ることなく
このポリイミドを直接製造することのできる製造方法を
提供する。 【解決手段】第1の酸ジ無水物の1種以上と第1のジア
ミンの1種以上を反応させた後、全成分の合計が5種以
上となり、かつジアミンの合計が3種以上となるように
第2の酸ジ無水物の1種以上と第2のジアミンの1種以
上を加えて反応させる。反応は、加熱された極性溶媒の
中でラクトン系重合触媒のもとに進行させ、これにより
ポリアミド酸を経由することなく直接イミド化する。得
られるポリイミドは、20,000〜150,000の
重量平均分子量と0.1ppm以下のイオン性不純物含
有濃度を有することによって特徴づけられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリイミドおよび
その製造方法に関し、特に、耐加水分解性に優れ、イオ
ン性不純物の含有濃度が少ないポリイミドとその製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリイミドは、優れた耐熱性と電気絶縁
性を有し、さらに、機械的強度および機械伸度等の物理
的特性にも優れているため、フレキシブルプリント基板
やTABテープなどの電子部品材料の接着剤、フィルム
材等をはじめとして、幅広い用途に使用されている。
【0003】このポリマは、通常、1種類の酸ジ無水物
と1種類のジアミンを原料として合成され、まず、等モ
ルの酸ジ無水物とジアミンを低温の極性溶媒の中で反応
させて中間体のポリアミド酸を生成させ、次に、これに
熱処理あるいは無水酢酸添加等の化学処理を施すことに
よって脱水閉環させ、イミド化することにより製造され
るのが普通である。
【0004】このようにして得られるポリイミドは、成
型のための軟化温度を有さず、溶剤にも不溶であるた
め、ポリアミド酸の段階でキャスティング等の成型を行
わなければならない。しかし、ポリアミド酸は不安定な
ポリマであり、この不安定性が原因して、ポリイミドが
本来有すべき諸特性を損なうことが多い。
【0005】このため、特性を確保する目的で分子構成
を交互共重合形式としたり、あるいはブロック共重合形
式とすることが行われている。この例として、たとえ
ば、特開平60−166326号に開示された製造方法
が知られており、ここには、まず、スルホンアミドのオ
リゴマを製造し、次いで、これに酸ジ無水物を加えるこ
とによってブロック性のポリイミドとする方法が示され
ている。
【0006】また、特開平1−21165号には、極性
溶媒にジアミン1モルと1.5〜2.0モルの酸ジ無水
物を加え、低温で反応させることによってアミド酸のオ
リゴマを生成させ、これに等量のイソシアネートを反応
させることによりポリイミドアミドカルボン酸とした
後、キャスティングと加熱処理を施すことによって高性
能のポリイミドフィルムを得る方法が示されている。
【0007】さらに、特開平2−91224号によれ
ば、ジアミノシロキサンのコポリマに酸ジ無水物を加え
てシロキサン−アミド酸ブロック共重合体を合成し、こ
れに等量のジアミンを加えてポリアミド酸を生成させた
後、熱あるいは化学処理によりシロキサン−イミドブロ
ック共重合体を得る方法が示されている。
【0008】また、特願平4−50579号には、ビシ
クロオクト・エン・テトラカルボン酸ジ無水物とビスマ
レイミド化合物からポリアミド酸を経て樹脂組成物を得
る方法が示されており、さらに、特開平64−1683
号と特開平1−21165号には、芳香族ジアミンに過
多あるいは過少の酸ジ無水物を加え、これを反応させて
ポリアミド酸プレポリマを製造した後、不足分のジアミ
ンを添加してポリアミド酸の共重合体とし、次いで、熱
あるいは化学処理を施すことによりポリイミド共重合体
を得る方法が示されている。
【0009】特開平4−306232号には、アミド酸
セグメントを有する重合体プレカーサを得るための方法
が示されている。このプレカーサは、第1と第2のセグ
メントから成り、各セグメントは、異なるジアミンと酸
無水物の生成物であるアミド酸より得られ、これによっ
てアミド酸の交換反応が起きない程度にイミド化された
ブロック性のポリマが示されている。
【0010】しかし、以上に示される各従来技術で得ら
れるポリイミドは、ホモポリマタイプのポリイミドより
は特性の改善は期待できるけれども、いずれもポリアミ
ド酸を経由するものであり、従って、ポリアミド酸特有
の不安定さからは依然として解放されていない。即ち、
ポリアミド酸は、イミド化する際の生成水のために分子
鎖が切断されやすく、このため、イミド化の段階で再縮
合が生じ、特性を低下させるランダム重合を招きやすい
問題を有している。
【0011】また、ポリアミド酸は、分子相互間におい
て酸アミド基の交換が容易かつ迅速に進行する性質を有
しており、このため、2つの異なったブロックポリマを
結合させても、生成するポリアミド酸の交換反応を防ぐ
ことができず、純粋性に劣るランダム性のブロックポリ
マとなりやすい問題も有している。
【0012】以上のように特性に悪影響を及ぼすポリア
ミド酸を経由しないポリイミドの製造方法として、米国
特許5502143号が知られている。触媒としてγ−
バレロラクトンを使用し、まず、第1の酸ジ無水物とジ
アミンからポリイミドオリゴマを生成させ、次いで、こ
れに第2および第3の酸ジ無水物とジアミンを添加して
反応させることによりブロックポリマを製造するもの
で、ポリアミド酸を経由せずに1段階の反応によって直
接ポリイミドを製造することができる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかし、直接のイミド
化により得られる従来のポリイミドによると、分子構成
が3成分の共重合体のため、物理的および化学的特性が
3成分によって規制されることになり、このため、化学
的および物理的特性が充分でなく、特に、電子部品材料
の用途において重要視される耐加水分解性において満足
できる特性を有していない。また、上記において引用し
たポリイミドの多くは、含有するイオン性不純物の濃度
が高いという問題を有しており、この問題は、電子部品
材料の用途に適用するとき、好ましくないように作用す
る。
【0014】従って、本発明の目的は、耐加水分解性に
優れ、イオン性不純物の含有濃度が少ないポリイミド
と、ポリアミド酸を経ることなくこのポリイミドを直接
製造することのできる製造方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を
達成するため、2種以上の酸ジ無水物と3種以上のジア
ミンより得られる5成分以上の共重合体より成り、2
0,000〜150,000の重量平均分子量と、0.
1ppm以下のイオン性不純物含有濃度を有しているこ
とを特徴とするポリイミドを提供するものである。
【0016】また、本発明は、上記の目的を達成するた
め、酸ジ無水物とジアミンを反応させるポリイミドの製
造方法において、酸ジ無水物とジアミンの合計が5種以
上にならず、かつジアミンが3種以上にならないように
して加熱された極性溶媒の中でラクトン系重合触媒のも
とに第1の酸ジ無水物の1種以上と第1のジアミンの1
種以上を反応させた後、前記第1の酸ジ無水物およびジ
アミンとの合計が5種以上になり、かつ前記第1のジア
ミンとのジアミンの合計が3種以上となるようにして第
2の酸ジ無水物の1種以上と第2のジアミンの1種以上
を加えてラクトン系重合触媒のもとに加熱した極性溶媒
の中で引き続き反応させ、ポリアミド酸を経ないで直接
イミド化したポリイミドを含む反応液を得ることを特徴
とするポリイミドの製造方法を提供するものである。
【0017】上記の2種以上の酸ジ無水物としての第1
および第2の酸ジ無水物としては、以下の式(I)によ
り示されるビシクロ(2,2,2)オクタ−7−エン−
2,3,5,6テトラカルボン酸ジ無水物(以下、BC
Dと略す)、あるいは式(II)により示される3,
4,3,4−ビフェニルテトラカルボン酸ジ無水物(以
下、BPDAと略す)を使用することが好ましい。ま
た、上記の3種以上のジアミンとしての第1および第2
のジアミンとしては、以下の式(III)により示され
る3,4−ジアミノジフェニルエーテル(以下、DAD
Eと略す)、式(IV)により示されるビス〔4−(4
−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン(以下、BA
PSと略す)、あるいは式(V)により示されるヘキサ
メチレンジアミン(以下、HMDAと略す)等の脂肪族
ジアミンを使用することが好ましい。
【0018】
【化6】
【0019】
【化7】
【0020】
【化8】
【0021】
【化9】
【0022】
【化10】
【0023】本発明のポリイミドは、5種以上の成分の
ブロック共重合体であることによって特徴づけられ、少
なくとも5種の成分を組み合わせることによって、従来
の2成分あるいは3成分の重合体では得られない多成分
による相互補完の特性をポリマに与え、これによって総
合特性に優れたポリイミドとするものである。特に、耐
加水分解性において優れた特性を得ることができる。
【0024】本発明において、重量平均分子量を20,
000〜150,000に限定する理由は、20,00
0以下では、耐加水分解性と耐熱性が不充分化するとと
もに、ワニス状にされたときの成膜性に充分なものが得
られず、逆に、150,000を超えると、ワニス状態
においてゲル化が起こりやすくなるため保存安定性が低
下し、さらに、電子部品材料として重要な銅箔との接着
性においても充分な特性が得られないためである。イオ
ン性不純物の含有濃度は、0.1ppm以下であること
によって特徴づけられ、これにより電子部品材料として
好適な特質が付与される。
【0025】本発明の製造方法においては、加熱した極
性溶媒の中でラクトン系重合触媒のもとに第1の酸ジ無
水物と第1のジアミンを反応させた後、引き続きこれに
第2の酸ジ無水物と第2のジアミンを加え、同じくラク
トン系重合触媒の存在下に加熱した極性溶媒の中におい
てさらに反応を進める形式としているため、原料からの
直接のイミド化が可能になる利点がある。この結果、ポ
リアミド酸を経由することによる分子鎖の切断、あるい
はランダム重合等の発生は防止され、良好な分子構成の
ポリイミドが得られることになる。
【0026】反応浴となる極性溶媒としては、N−メチ
ル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチル
アセトアミド、スルホラン、アニソール、ジオキソラ
ン、ビチロラクトン等の1種、あるいは2種以上が併用
して使用される。ラクトン系重合触媒としては、γ−バ
レロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−テトロン酸、
γ−フタリド、γ−クマリン、あるいはγ−フタリド酸
等とピリジン、キノリン、N−メチルモルホリン等の塩
基類との混合物が使用される。これらの混合比率は、多
くの場合、後者が前者の1/1〜1/3の分子量比率と
なるように設定される。
【0027】本発明の製造方法により得られる反応液に
おけるポリイミド固形分の比率は、10〜50重量%に
設定することが好ましい。10重量%未満になると、成
膜性が乏しくなり、逆に、50重量%を超過すると、溶
媒不足のためにポリイミド生成反応の進行が難しくな
る。また、第1および第2の酸ジ無水物と第1および第
2のジアミンは、前者1モルに対して後者0.95〜
1.05モルの範囲内で反応させることが好ましい。こ
の範囲を外れると、モル比のアンバランスを原因とした
特性の低下を招くようになる。
【0028】本発明の製造方法により得られる反応液
は、ワニスとしてそのまま使用することができ、たとえ
ば、TABテープにおいてポリイミド基材テープと銅箔
をラミネートするための接着剤、あるいは絶縁フィルム
材を成膜するための原液などとして使用され、その優れ
た耐加水分解性と低いイオン性不純物量の故に良好な電
子部品材料を構成することができる。また、原料から1
段階で直接ワニス(反応液)を製造するため、原料の仕
込み段階から所望の固形分量を調整することができ、さ
らに、ワニスの段階においてイミド化が完了しているの
で、保存安定性に優れたワニスを提供することができ
る。
【0029】
【発明の実施の形態】次に、本発明によるポリイミドお
よびその製造方法の実施の形態を説明する。
【実施例1】撹拌機を取り付けた1000mmlのセパ
ラブル3つ口フラスコに、シリコンコック付きトラップ
を備えた玉付冷却管を取り付けることにより反応槽を構
成し、この反応槽に、式(I)のBCD19.86g、
式(III)のDADE8.01g、γ−バレロラクト
ン1.2g、ピリジン1.9g、N−メチルピロリドン
(以下、NMPと略す)102g、およびトルエン20
gを入れ、常温で窒素ガス雰囲気下に10分間撹拌した
後、反応槽の内容物を180℃に昇温させ、撹拌機の回
転数を180rpmに設定して1時間撹拌した。
【0030】次に、反応液を空冷した後、式(II)の
BPDA11.77g、式(IV)のBAPS8.65
g、式(V)に属するHMDA6.97g、NMP10
0g、およびトルエン20gを加え、再度180℃に昇
温させた状態で5時間の撹拌反応を行った。この間、撹
拌機の回転数は、当初の180rpmから反応の低下に
応じて漸減させ、一方、生成する水はシリコンコックか
ら排除した。
【0031】次いで、以上により得られた反応液(ワニ
ス)の一部を過剰のメタノール液に注入し、ミキサーで
撹拌することにより樹脂粉末を析出させた。次に、この
粉末をメタノールで洗浄して常温で乾燥し、150℃で
減圧乾燥することによって乾燥粉末とし、日本分光社製
MFT2000を使用して赤外吸収スペクトルを測定し
た結果、720cm-1、1365cm-1、1721cm
-1および1780cm-1の各帯域においてイミドの特性
吸収が認められた。
【0032】また、反応により得られたワニスをそのま
まガラス基板上にキャスティングして150℃の温度で
乾燥した後、成膜物を引き剥がして250℃で熱処理し
たところ、強靭なフィルムを得ることができた。ワニス
を250℃で2時間加熱してその固形分含有量を調べと
ころ、21.5重量%の結果が得られた。
【0033】
【実施例2】実施例1で使用した反応槽にBCD19.
86g、DADE8.01g、γ−バレロラクトン1.
2g、ピリシン1.9g、NMP60g、およびトルエ
ン12gを収容し、常温下に窒素ガス雰囲気の中で10
分間撹拌した後、180℃に昇温して回転速度180r
pmにより1時間撹拌した。
【0034】次に、得られた反応液を空冷し、これに、
BPDA11.77g、BAPS8.65g、HMDA
6.97g、NMP50g、およびトルエン10gを添
加し、再度、液温を180℃に昇温させ、シリコンコッ
クから生成水を排除しながら3時間反応させた。撹拌機
の回転数は、当初、180rpmに設定し、反応が低下
するのにしたがって減速させるようにした。
【0035】次いで、以上により得られた反応液である
ワニスの一部を使用し、実施例1と同じ手順を経ること
により乾燥樹脂粉末を得、その赤外吸収スペクトルを測
定した結果、実施例1と同じ帯域においてイミドの特性
吸収が確認された。また、実施例1と同一手順により強
靭なフィルムが得られることが確認され、さらに、反応
液であるワニス中の固形分含有量を実施例1と同一方法
で確認したところ、35.0重量%の結果が得られた。
【0036】
【実施例3】実施例1の反応槽にBCD19.86g、
DADE8.01g、γ−バレロラクトン1.2g、ピ
リジン1.9g、NMP40g、およびトルエン8gを
入れ、常温および窒素ガス雰囲気下で10分間撹拌した
後、反応槽の内容物の温度を180℃に昇温させ、撹拌
機の回転数を180rpmに設定して1時間撹拌した。
【0037】次に、得られた反応液を空冷し、この液に
BPDA11.77g、BAPS8.65g、HMDA
6.97g、NMP30g、およびトルエン6gを加
え、液温を180℃に昇温させて2時間反応させた。当
初の撹拌機の回転数を180rpmに設定し、反応が低
下するのにしたがって回転数を下げる一方、生成する水
をシリコンコックから排除しながら反応を進めた。
【0038】次いで、以上により得られたワニスの一部
を使用し、実施例1と同一手順により乾燥樹脂粉末を
得、この粉末の赤外吸収スペクトルを測定した結果、実
施例1と同じ帯域においてイミドの吸収特性が確認され
た。また、実施例1と同じ手順により強靭なフィルムが
得られることが確認され、さらに、ワニス中の固形分含
有量を調べたところ、45.0重量%の結果が得られ
た。
【0039】
【比較例1】実施例1において使用した反応槽にBCD
19.86g、DADE8.01g、γ−バレロラクト
ン1.2g、ピリジン1.9g、NMP120g、およ
びトルエン20gを収容し、常温および窒素ガス下で1
0分間撹拌した後、液温を180℃に昇温させ、撹拌機
の回転数を180rpmに設定して1時間撹拌した。
【0040】次に、この反応液を空冷したものにBPD
A11.77g、BAPS8.65g、HMDA6.9
7g、NMP120g、およびトルエン20gを入れ、
再度、180℃に昇温させて2時間反応させた。撹拌機
の回転数は、当初の120rpmから反応の低下に合わ
せて減速させ、生成水をシリコンコックより排除しなが
ら反応を進めた。
【0041】得られた反応液であるワニスをそのままガ
ラス基板上にキャスティングし、150℃で乾燥した
後、成膜物を引き剥がしたところ、引き剥がし過程で切
れてしまい、フィルムの作製が困難であった。反応が不
足したことが原因である。この例における固形分含有量
は、19.5重量%であった。
【0042】
【比較例2】実施例1の反応槽にBCD19.86g、
DADE8.01g、γ−バレロラクトン1.2g、ピ
リジン1.9g、NMP15g、およびトルエン3gを
入れ、常温および窒素ガス下に10分間撹拌した後、液
温を180℃に昇温させ、撹拌機の回転数を180rp
mに設定して1時間撹拌した。
【0043】次に、この反応液を空冷し、固形分65重
量%を目標としてBPDA11.77g、BAPS8.
65g、HMDA6.97g、NMP15g、およびト
ルエン3gを加えた後、再び180℃に昇温させ、撹拌
機の回転数を180rpmに設定して反応を試みたが、
充分な溶解状態が得られないため反応を中止した。原因
は固形分が過剰なことにある。
【0044】
【従来例3】新日本理化社製ワニス「リカコートPN2
0」(酸ジ無水物として3,3′,4,4′−ジフェニ
ルスルホン−テトラカルボン酸ジ無水物を使用した2成
分系)をガラス基板上にキャスティングし、150℃で
乾燥した後、250℃で熱処理することによりフィルム
を得た。
【0045】表1に、以上の各実施例、比較例および従
来例によって得られたフィルムとワニスを使用して行っ
た特性試験結果を示す。試験方法は以下による。 ◇重量平均分子量 各例のワニスを使用し、東ソー社製TSK gel G
MHHR- M型ゲルカラムおよびUV- 8020型検出器
を使用して測定した。
【0046】◇ガラス転移点 セイコー電子工業社製熱機械的分析装置TMA120を
使用し、供試フィルムに円筒石英プローブを用いて8g
の荷重をかけ、昇温速度10℃/minの条件で室温よ
り300℃の範囲内で測定した。
【0047】◇1%熱重量減少温度 セイコー電子工業社製示唆熱熱重量同時測定装置TG/
DTA320を使用し、窒素中あるいは空気中、100
ml/minの流量で昇温速度10℃/minにより常
温より700℃まで熱分析を行い、重量が1%減少する
温度を求めた。
【0048】◇熱膨張係数 幅4mm×長さ20mmの試料フィルムを対象に、引張
用石英プロープを使用して引張力5g、昇温速度10℃
/minの条件で、常温より300℃までの温度領域に
おいて測定した。測定装置としては、セイコー電子工業
社製熱機械的分析装置TMA120を使用した。
【0049】◇体積抵抗率 ヒューレットパッカード社製の固有抵抗セルに試料をセ
ットし、横河ヒューレットパッカード社製の高絶縁抵抗
計4329Aを使用して、直流100V×1分間印加後
の電流値から体積抵抗率を求めた。
【0050】◇イオン性不純物含有濃度 容量が100mlのステンレスビーカに入れた50ml
の超純水の中に幅50mm×長さ100mmの試料フィ
ルムを浸漬し、乾燥器の中で100℃×0.5時間熱抽
出した後、この抽出液を対象に横河アナリティカルシス
テムズ社製のイオンクロマトアナライザIC7000を
使用してNa+ 、Cl- 、N03-およびSO4-のイオン
性不純物の濃度を求めた。
【0051】◇給水率 幅と長さが100mmの試料フィルムを150±3℃の
乾燥器に入れて30分間乾燥し、デシケータの中で常温
まで冷却した後、これを秤量瓶に入れて重量(W1)を
測定する。次に、この試料フィルムを23℃の純水に2
4時間浸漬した後、表面の付着水を拭き取り、秤量瓶に
入れて吸水後の重量(W2)を測定し、以下の式により
求めた。 吸水率=(W2−W1)×100/W1
【0052】◇貯蔵弾性率 アイティー計測制御社製の動的粘弾性測定装置DVA−
200を使用して、幅4mm×長さ25mmの試料フィ
ルムを対象に、周波数10Hz、昇温速度3℃/mi
n、および測定範囲:室温〜300℃の条件により測定
した。
【0053】◇ガス発生量 GLサイエンス社製の試料加熱ガス発生装置により試料
を350℃で5分間加熱した後の発生ガス量を、日立製
作所社製ガスクロマトグラフィG3000を使用して測
定した。
【0054】◇TABテープ耐加水分解性 康井精機社製のコーティング装置を使用して、宇部興産
社製ユーピレックス50SGA(ポリイミド基材テー
プ)に各例のワニスを塗布し、これを乾燥することによ
って基材テープの片面に厚さ20μmの接着フィルム層
を形成した後、この接着フィルム層の面にエムシーケイ
社製のテストラミネータMT−300を使用して厚さ1
8μmの電解銅箔を貼り合わせ(貼合温度200℃)、
これによって得られたTABテープを対象に耐加水分解
性試験(PCT試験)を実施した。試験方法は以下によ
る。
【0055】・PCT試験 平山製作所社製のプレッシャークッカー試験器PC−2
42HS−Aを使用してTABテープに最大121℃×
168時間の湿熱処理を施し、湿熱処理の前後における
ポリイミドテープと電解銅箔の90゜剥離強度(JIS
C6481に準拠して測定)を比較した。剥離強度試
験機としては、オリエンテック社製のテンシロンMPW
−300Sを使用した。
【0056】
【表1】
【0057】表1によれば、実施例1〜3が、TABテ
ープの耐加水分解性において湿熱処理後の剥離強度が処
理前の38〜40%の残率を示しているのに比べ、従来
例の残率は僅かに6%でしかなく、本発明による耐加水
分解性の向上効果が明確に現れている。また、イオン性
不純物の濃度においても、従来例がNa+ とCl- がそ
れぞれ0.14ppmと0.09ppmの高濃度を示し
ているのに比べ、実施例1〜3の場合には、Na+ が
0.04〜0.06ppmおよびCl- が0.02〜
0.03ppmという低いレベルにとどまっており、電
子部品材料の用途に適用するうえにおいてその有用性は
明らかである。
【0058】なお、比較例1の場合には、フィルム化が
難しいために全項目の試験を行えなかったが、実施でき
た測定項目の中で重量平均分子量が18,000を示し
ていることに注目すべきであり、本発明が5成分以上の
共重合体において、特に、その重量平均分子量の下限値
を20,000に設定する理由がこの比較例1によって
裏付けられている。
【0059】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によるポリ
イミドおよびその製造方法によれば、2種以上の酸ジ無
水物と3種以上のジアミンより得られる5種以上の共重
合体より成り、しかも、20,000〜150,000
の重量平均分子量と0.1ppm以下のイオン性不純物
含有濃度によって特徴づけられる電子部品材料用に好適
なポリイミドを提供するものであり、その有用性は大で
ある。また、本発明の製造方法によれば、ポリアミド酸
を経ることなく直接イミド化するため、分子鎖の切断と
ランダム重合のない良好な分子構成のポリイミドを提供
することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡部 雅寛 茨城県日立市日高町5丁目1番1号 日立 電線株式会社パワーシステム研究所内 (72)発明者 本田 祐樹 茨城県日立市日高町5丁目1番1号 日立 電線株式会社パワーシステム研究所内 (72)発明者 浅野 健次 茨城県日立市日高町5丁目1番1号 日立 電線株式会社パワーシステム研究所内 (72)発明者 松本 俊一 神奈川県横浜市金沢区福浦1丁目1番 横 浜金沢ハイテクセンタービル5F 株式会 社ピーアイ技術研究所内 (72)発明者 板谷 博 神奈川県横浜市金沢区福浦1丁目1番 横 浜金沢ハイテクセンタービル5F 株式会 社ピーアイ技術研究所内 Fターム(参考) 4J043 PA01 PA06 PA08 PA09 QB15 QB26 QB31 RA37 SA06 SA47 SB04 TB02 UA082 UA131 UA132 UA151 UA761 UB011 UB121 UB131 UB301 VA011 VA022 VA031 VA051 VA062 XA13 XA16 XB17 XB35 XB37 ZA11 ZA46 ZB47

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】2種以上の酸ジ無水物と3種以上のジアミ
    ンより得られる5成分以上の共重合体より成り、20,
    000〜150,000の重量平均分子量と、0.1p
    pm以下のイオン性不純物含有濃度を有していることを
    特徴とするポリイミド。
  2. 【請求項2】酸ジ無水物とジアミンを反応させるポリイ
    ミドの製造方法において、 酸ジ無水物とジアミンの合計が5種以上にならず、かつ
    ジアミンが3種以上にならないようにして、加熱された
    極性溶媒の中でラクトン系重合触媒のもとに第1の酸ジ
    無水物の1種以上と第1のジアミンの1種以上を反応さ
    せた後、 前記第1の酸ジ無水物およびジアミンとの合計が5種以
    上となり、かつ前記第1のジアミンとのジアミンの合計
    が3種以上となるようにして第2の酸ジ無水物の1種以
    上と第2のジアミンの1種以上を加えてラクトン系重合
    触媒のもとに加熱した極性溶媒の中で引き続き反応さ
    せ、 ポリアミド酸を経ないで直接イミド化したポリイミドを
    含む反応液を得ることを特徴とするポリイミドの製造方
    法。
  3. 【請求項3】前記第1および第2の酸ジ無水物は、式
    (I)あるいは式(II)より選択された互いに異なる
    酸ジ無水物であり、 前記第1および第2のジアミンは、式(III)、式
    (IV)あるいは式(V)より選択された互いに異なる
    ジアミンであることを特徴とする請求項2項記載のポリ
    イミドの製造方法。 【化1】 【化2】 【化3】 【化4】 【化5】
  4. 【請求項4】前記極性溶媒は、前記反応液の固形分含有
    量が10〜50重量%となるようにその量を調整される
    ことを特徴とする請求項2項記載のポリイミドの製造方
    法。
  5. 【請求項5】前記第1および第2のジアミンは、前記第
    1および第2の酸ジ無水物1モル当たり0.95〜1.
    05モルの範囲内で使用されることを特徴とする請求項
    2項記載のポリイミドの製造方法。
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