JP2001261375A - セラミックス被覆石英ガラス体 - Google Patents

セラミックス被覆石英ガラス体

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JP2001261375A JP2000070477A JP2000070477A JP2001261375A JP 2001261375 A JP2001261375 A JP 2001261375A JP 2000070477 A JP2000070477 A JP 2000070477A JP 2000070477 A JP2000070477 A JP 2000070477A JP 2001261375 A JP2001261375 A JP 2001261375A
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ceramic
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porous
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Hiromasa Sato
浩昌 佐藤
Shuichi Takeda
修一 武田
Takeshi Inaba
毅 稲葉
Eiichi Sotodani
栄一 外谷
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Toshiba Ceramics Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 繰り返しの熱衝撃を受けてもセラミックス層
の剥離や破損がなく、ダスト等の発塵が抑制され、しか
も化学的耐性(耐薬品性)に優れ、かつハンドリング性
に優れたセラミックス被覆石英ガラス体を提供する。 【解決手段】 セラミックス被覆石英ガラス体は、多孔
質石英ガラス体3の表面が、あるいは石英ガラス体に設
けられた多孔質石英ガラス層の表面がセラミックス層
1、2で被覆されている。このセラミックス被覆石英ガ
ラス体は、化学気相成長反応により該多孔質石英ガラス
体、あるいは多孔質石英ガラス層の表面にセラミックス
層を形成させ、次いで炉出しして酸洗浄することによっ
て製造される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セラミックス被覆
石英ガラス体に関し、より詳細には、強度が弱く容易に
粉壊し発塵してしまう多孔質石英ガラス体の表面に、あ
るいは石英ガラス体表面に設けられた多孔質石英ガラス
層の表面に、炭化珪素、窒化珪素等の強靱かつ耐食性、
耐摩耗性に優れたセラミックス層を形成したセラミック
ス被覆石英ガラス体に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体製造プロセスにおいては、多孔質
石英ガラス体や石英ガラス体から成る各種の部材が広く
使用されている。例えば、発泡石英ガラス(シリカガラ
ス質発泡体)等の多孔質石英ガラス体は、半導体処理用
の各種炉において、保温板や壁材等の構造断熱材等とし
て、また、ウエハボートテーブルなどの機能性断熱材等
として、広く使用されている。また、石英ガラス体は、
熱遮蔽板等の板状成形体や耐熱ノズル、反応管等の管状
成形体、ウエハボートに透明体、不透明体を問わず広く
使用されている。
【0003】前記多孔質石英ガラス体は石英ガラス体に
比べて、軽量で、熱伝導率が低く、断熱材として優れた
性質を有している。しかしながら、通常の多孔質石英ガ
ラス体は、容易に粉壊して発塵するため、粉塵による汚
染を極度に嫌う半導体製造プロセス分野では、汎用品を
そのまま使用することは困難であり、通常、多孔質石英
ガラス体を石英ガラスで封入する等、何らかの発塵抑制
処置を施して後、断熱材等として使用している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、多孔質石英
ガラス体を封入した石英ガラス部材、あるいは石英ガラ
ス体から成る半導体製造プロセス用部材は、清浄化のた
め、使用する際、フッ酸水溶液等の酸洗浄液を用いて洗
浄される。そのため、ある程度使用すると前記洗浄によ
って、エッチングが進み、部材間にがたつきや破損が起
こることがあった。かかる問題を解決するため、即ち、
石英ガラス体からなる部材の化学的耐性(耐薬品性)を
向上させるため、その表面を炭化珪素(SiC)や窒化
珪素(Si 34 )等の強靱かつ耐食性、耐摩耗性に優
れたセラミックス層で被覆する研究開発が進められてい
る。
【0005】しかしながら、石英ガラス体の表面に直接
上記炭化珪素や窒化珪素等のセラミックス層を被覆形成
した場合には、石英ガラス体の熱膨張係数(5.6×1
-7/℃)と前記炭化珪素等のセラミックスの熱膨張係
数(SiC:4×10-6/℃)との差があるため、繰り
返し加熱・冷却等の熱履歴を受けると、この熱衝撃歪み
に起因する膜(層)破壊や剥離が生じ、ダストの原因に
なることがあった。
【0006】このようなダスト等の発生を抑制する方法
も提案されており、例えば特開平8−83835号公報
には、炭化珪素で表面被覆した石英ガラス基材におい
て、該石英ガラス基材表面と炭化珪素膜層との間に、例
えば珪素、窒化珪素等のように炭化珪素よりも硬度も弾
性率も小さい物質から成る付加成分の勾配層を中間層と
して介在させ、この中間層により前記熱膨張の差に起因
する熱歪み発生を緩衝した炭化珪素被覆石英ガラス体が
提案されている。上記構造の炭化珪素被覆石英ガラス体
は、良好な熱衝撃抵抗性を有し、フッ酸水溶液、硝酸水
溶液、これらの混酸水溶液等に対する化学抵抗力、ま
た、ダスト発塵抑制や半導体有害物質の拡散回避に関
し、長期的に安定した耐性を有している。
【0007】しかしながら、このように石英ガラス体と
炭化珪素成分以外の第3の成分、特に珪素材料を含んだ
ものであると、この分の重量増加があり、半導体製造プ
ロセス用部材の各種部材として用いた場合、ハンドリン
グ性に難点があった。また、熱容量が増大化するため
に、熱処理部材として用いた場合に熱応答性が充分でな
い等の問題点があった。
【0008】本発明は、繰り返しの熱衝撃を受けてもセ
ラミックス層の剥離や破損がなく、ダスト等の発塵が抑
制され、しかも化学的耐性(耐薬品性)に優れ、かつハ
ンドリング性に優れたセラミックス被覆石英ガラス体を
提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記技術的課題を解決す
るためになされた本発明にかかるセラミックス被覆石英
ガラス体は、多孔質石英ガラス体の表面を、あるいは石
英ガラス体に設けられた多孔質石英ガラス層の表面をセ
ラミックス層で被覆したことを特徴としている。ここ
で、前記セラミックス層が炭化珪素または窒化珪素から
成ることが望ましく、また、前記セラミックス層が化学
気相成長法により形成されたセラミックス層であること
が望ましい。
【0010】また、前記セラミックス層が、実質的にセ
ラミックス単身からなるガス不透過性の表層部分と、セ
ラミックスが多孔質石英ガラス体あるいは多孔質石英ガ
ラス層の微細気孔内に浸透したセラミックス浸潤組織構
造を有する内層部分とから構成されていることが望まし
く、前記セラミックス層の表層部分の厚さが10乃至1
000μmの範囲にあり、前記内層部分の厚さが500
μm以上であることが望ましい。
【0011】更に、前記石英ガラス体表面に設けられた
多孔質石英ガラス層の厚さが1乃至10mmであること
が望ましく、前記多孔質石英ガラス体の密度、あるいは
石英ガラス体表面に設けられた多孔質石英ガラス層の密
度が0.1乃至1.95g/cm3 の範囲にあることが
望ましい。
【0012】本発明のセラミックス被覆石英ガラス体
は、炭化珪素、炭化窒素等の強靱かつ耐食性、耐摩耗性
に優れたセラミックス層で、多孔質石英ガラス体の表
面、あるいは石英ガラス体に設けられた多孔質石英ガラ
ス層の表面が被覆されている点に構成上の特徴がある。
【0013】多孔質体でない通常の石英ガラス体の表面
に、例えば、炭化珪素(SiC)等のセラミックス層を
被覆した場合は、既に説明したように、石英ガラス体と
セラミックス層の熱膨張係数の相違に起因して、セラミ
ックス層にひび割れや膜層剥離が生じ、これがダスト等
の原因となっていた。これに対し、本発明のセラミック
ス被覆石英ガラス体では、多孔質石英ガラス体の表面、
あるいは石英ガラス体に設けられた多孔質石英ガラス層
の表面に、SiC等のセラミックス被覆を施す、即ち、
セラミックス層を形成するものである。
【0014】多孔質石英ガラス体の表面に、あるいは石
英ガラス体に設けられた多孔質石英ガラス層の表面に設
けられたセラミックス層は、前記した石英ガラス体の場
合と異なり、界面から、多孔質石英ガラス体の内部ある
いは多孔質石英ガラス層の内部の微細気孔内に浸透す
る。即ち、前記界面上には、実質的にSiC等のセラミ
ックス単身からなるガス不透過性の表層部分が形成され
ると共に、該界面下に前記セラミックスが多孔質体の微
細気孔内に浸透した浸潤組織構造の内層部分が形成され
る。この内層部分の存在により、石英ガラス体とSiC
等のセラミックスの熱膨張係数差に伴う、表層となるセ
ラミックス層の剥離や破損を防止することができる。
【0015】本発明の多孔質石英ガラス体、石英ガラス
体に設けられた多孔質石英ガラス層にあっては、その石
英ガラスは無数の微細気孔により分割され、これらを区
画する極薄い隔壁面が連続した組織構造として存在す
る。従って、石英ガラス体に比較して熱衝撃等による変
形応力に対し柔軟であり、しかも、石英ガラス体に比べ
てSiC等セラミックス層との接着部の面積が広くな
り、かつ、石英ガラスの微細隔壁は夫々複雑な形状を有
しているため応力分散がより容易となる。このことによ
っても、前記したような多孔質体にSiC等のセラミッ
クス層を被覆した場合には、繰り返し加熱・冷却のよう
な熱履歴を長期間受けても、石英ガラス体に直接SiC
等を被覆した場合のように膜(層)剥離や界面での破損
が発生せず、発塵抑止性に極めて優れたものとなる。
【0016】また、セラミックス層がSiC層等の場合
には耐食性も高く、そのため部材全体を酸洗浄すること
も可能である。また、SiC等の強靱なセラミックスで
被覆することにより、部材自体の強度が増加するという
効果も得られる。
【0017】特に、本発明のセラミックス層を被覆した
多孔質石英ガラス体から成るセラミックス被覆石英ガラ
ス体は、基材に多孔質石英ガラス体を用いているため、
上記したダスト発塵抑止性、不純物拡散抑止性、耐食
性、強靱性等の諸効果に優れていることに加え、軽量
で、かつ断熱効果も高く、半導体製造プロセス用断熱部
材として極めて優れた効果を奏する。
【0018】また、本発明のセラミックス層を被覆した
多孔質石英ガラス体から成るセラミックス被覆石英ガラ
ス体は、石英ガラス体の表面に多孔質石英ガラス体を融
着することによって、容易に良好な密着性を有する積層
体を得ることができる。また、特に石英ガラス体に設け
られた多孔質石英ガラス層の表面をセラミックス層で被
覆した本発明にかかるセラミックス被覆石英ガラス体で
は、多孔質石英ガラス体が緩衝層となり、SiC等のセ
ラミックスがこれと多孔質石英ガラス体との界面から内
部の気孔に入り込むことで、耐熱衝撃性に極めて優れた
ものとなる。そして、既に述べたとおり、多孔質石英ガ
ラス層とSiC等のセラミックス層との密着性も良好で
あるため、ダスト等の発塵抑止性に優れ、しかも、セラ
ミックス層が、CVD成膜法等により形成された高純度
SiC膜層の場合には、不純物拡散抑止性にも優れ、半
導体製造プロセス用部材として極めて優れたものとな
る。
【0019】なお、本発明の上記セラミックス被覆石英
ガラス体は、多孔質石英ガラス体を所望の形状に加工
し、得られた多孔質石英ガラス体を炉中の支持具上にセ
ットして化学気相成長反応により該多孔質石英ガラス体
表面にガス不透過性のセラミックス層を形成させ、次い
で炉出しして酸洗浄した後、前セラミックス層形成時に
おいて、前記多孔質石英ガラス体の前記支持具と接して
いた部位とは異なる部位を炉中の支持具により支持し、
さらに化学気相成長反応により、所望厚さのセラミック
ス層の表層部分を形成することにより製造することが好
ましい。
【0020】例えば、3点支持する支持具上に多孔質石
英ガラス体をセットし、1回の化学気相成長によって所
望の厚さ(例えば500〜1000μm)のセラミック
ス層の表層部分を形成しようとすると、多孔質石英ガラ
ス体の支持具と接する部分にも、相応のセラミック膜が
形成され多孔質石英ガラス体と支持具が接合された状態
となり、多孔質石英ガラス体を炉出しする際に、このガ
ラス体自身が破損してしまう不具合が生じてしまう。ま
た、破損しないまでも前記支持具と接していた部分に十
分にセラミックス膜(層)が形成されず、ガス不透過性
が不十分になってしまう。
【0021】また、基材が石英ガラス体の場合は、所望
の形状に加工した石英ガラス体の表面に多孔質石英ガラ
ス層を融着により接合、形成し、得られた前記石英ガラ
ス体を炉中の支持具上にセットして化学気相成長反応を
行わせ、該多孔質石英ガラス層表面にガス不透過性のセ
ラミックス層を形成させ、次いで炉出しして酸洗浄した
後、前セラミックス層形成時において、前記石英ガラス
体の前記支持具と接していた部位とは異なる部位を炉中
の支持具により支持し、さらに化学気相成長反応によ
り、所望厚さのセラミックス層の表層部分を形成するこ
とにより製造することが、上記同様の理由から好まし
い。
【0022】
【発明の実施の形態】以下に本発明をより詳細に説明す
る。本発明のセラミックス被覆石英ガラス体は、多孔質
石英ガラス体の表面が、あるいは石英ガラス体に設けら
れた多孔質石英ガラス層の表面がセラミックス層で被覆
されている点が構成上の特徴である。一般に、多孔質石
英ガラス体は、通常の石英ガラスと同等の素材を原料と
し、これを多孔質化処理して得られるもので、耐熱性、
化学安定性、純度等は、石英ガラスに準じ、見掛密度を
通常の石英ガラスの約1/10程度まで軽量化すること
が可能である。そして、前記多孔質石英ガラス体は、高
耐熱性で低熱膨張性あり、加工性にも優れている。本発
明で用いることのできる多孔質石英ガラス体は、次に記
載するシリカ質多孔体(見掛密度:1.00〜1.99
g/cm3 、好ましくは、1.80〜1.95g/cm
3 )やシリカガラス質発泡体(見掛密度:0.1〜0.
99g/cm3 、好ましくは、0.1〜0.50g/c
3 )が包含される。
【0023】即ち、このような多孔質石英ガラス体の例
として、特開平4−202070号公報に示される、結
晶質シリカ粉末に極微細な粒径の非晶質シリカ粉末を添
加し、混合、成形後焼成して得られ、結晶質シリカ粒表
面を覆う非晶質シリカ微粉末層により該結晶シリカ質粒
を密に部分結合させて結晶シリカ質粒間に多数の開気孔
を形成させたシリカ質多孔体、また特開平5−3456
36号公報に示される、水酸基を含有し、比表面積が6
2 /g以上の非晶質シリカ母材を600乃至1300
℃のアンモニアガスを含んだ雰囲気中で熱処理し、次い
で1350℃乃至1800℃の温度範囲で加熱発泡させ
て得られた高純度シリカガラス質発泡体、更には特開平
5−254882号公報に示される高純度珪酸質原料粉
に粒径制御された高純度窒化珪素を所定量添加し、酸水
素炎で溶融して得られた泡径分布20乃至180μmの
シリカガラス質発泡体等が挙げられる。これらの多孔質
石英ガラス体の内でも特に、本発明においては、密度
0.1乃至1.95g/cm3 の高純度品を用いること
が、汚染防止性、軽量性、断熱性、熱容量バランスの観
点から好ましい。
【0024】本発明においては、上記の多孔質石英ガラ
ス体の表面を炭化珪素(SiC)、窒化珪素(Si3
4 )等の強靱かつ耐食性、耐摩耗性に優れたセラミック
ス膜(層)で表面被覆する。この多孔質石英ガラス体の
表面に形成されるSiC、Si34 等の膜(層)は、
例えば図1に模式図として示すように、膜の断面組織構
造が、実質的にセラミックス単身からなるガス不透過性
の表層部分1と、セラミックスが多孔質石英ガラス体3
の微細気孔内に浸透した浸潤組織構造の内層部分2とか
ら成っていることが好ましい。
【0025】そしてまた、多孔質石英ガラス体をSiC
被覆したセラミックス被覆石英ガラス体にあっては、前
記SiC単身のガス不透過性表層部1の厚さは10乃至
1000μmの範囲にあることが耐薬品性、ダスト発塵
抑止性の点から好ましい。また、前記多孔質石英ガラス
体の微細気孔内にSiCが浸透したSiC浸潤組織構造
を有する内層部分2の厚さは3mm以上であることが強
度、靭性を担保する観点や、石英ガラスとSiCとの熱
膨張率差に基づく膜(層)剥離を回避する観点から好ま
しい。特に、強度の高い部材を必要とする場合は、Si
Cが部材成形体の中心部まで浸透した構造であることが
好ましい。
【0026】上記SiC、Si34 等のセラミックス
を多孔質石英ガラス体の表面に被覆する方法としては、
該多孔質石英ガラス体の表面に膜(層)を形成できる方
法であれば特に限定されるものではないが、本発明にお
ける上記セラミックス被覆層形成に特に好適な方法とし
て、高純度膜を形成でき、また上記内層部分を形成し易
いCVD成膜法(化学気相成長法)を挙げることができ
る。CVD成膜法は、堆積原料を気相(ガス)状態で供
給し、化学反応を用いて基材表面に薄膜を形成する方法
であり、反応を生じさせるエネルギーをどのような手段
で与えるかにより熱CVD法、プラズマCVD法、光C
VD法等がある。本発明では何れのCVD法も使用可能
である。
【0027】一例として、熱CVD法を用いて多孔質石
英ガラス体(厚さ20mm、直径100mmの円盤状基
材)にSiC膜を被覆形成する場合についてその標準的
条件を述べると、通常炉内温度;1230℃、流入ガ
ス;SiCl4 (2.7SLM)、C38 (0.9S
LM)、H2 (20SLM)、処理時間;5時間、の処
理条件で、前記実質的にSiC単身から成る膜表層部分
の厚さが100μm程度の被覆膜形成が可能である(S
iC浸潤内層部分の厚さ3mm程度、それより内側の中
心部にはシリカガラス質発泡体の部分が残る)。
【0028】このCVD法によるセラミックス膜(層)
被覆処理工程において、膜(層)堆積処理を所定厚さに
なるまで複数回に分けて実施することがより好ましく、
例えば、上記処理時間を2.5時間ずつ2回に分け、そ
の間に基材のフッ酸洗浄、乾燥操作を挟む等の処理手順
を取ることが推奨される。例えば、支持具上に多孔質石
英ガラス体をセットし、1回の化学気相成長によって所
望の厚さ(例えば500〜1000μm)のセラミック
ス層の表層部分を形成しようとすると、多孔質石英ガラ
ス体の支持具と接する部分にも、相応のセラミック膜が
形成され多孔質石英ガラス体と支持具が接合された状態
となり、多孔質石英ガラス体を炉出しする際に、このガ
ラス体自身が破損してしまう不具合が生じてしまう。ま
た、破損しないまでも前記支持具と接していた部分に十
分にセラミックス膜(層)が形成されず、ガス不透過性
が不十分になってしまう。前記したように、複数回に分
けて実施することにより、炉内における基材載置治具の
跡を残すことがなく、セラミックス被覆石英ガラス部材
の表面全面に均一厚さの膜(層)を形成することができ
る。
【0029】本発明のセラミックス被覆石英ガラス体に
おいて、適当な多孔質石英ガラス体素材を準備し、これ
を所望の形状に加工して基材とする。次いでこの基材
を、保持治具上に載置保持し、CVD炉内にセットす
る。そして、例えば上記条件下にCVD気相成長法によ
り、セラミックス層を形成する。炉出し後、フッ酸洗浄
等により被覆セラミックス層表面部分の汚染を取り除け
ば半導体製造プロセスにおける高純度雰囲気でのより好
適に使用が可能となる。
【0030】このように形成されたSiC等のセラミッ
クス被覆膜は、図1に示すように、表面から深さ10乃
至1000μmまではSiC等のセラミックスのみから
成り、それより深い部分、通常、表面から500μm以
上20mm以内、好ましくは3乃至5mm、の部分はS
iC等のセラミックスが気孔(気泡)内部に浸透したセ
ラミックス浸潤組織構造となる。通常、基材の中心部は
多孔質石英ガラス体のまま残るが、中心部まで上記セラ
ミックス浸潤構造とすることもでき、この部材は高強度
で硬いものとなる。この基材の中心部に多孔質石英ガラ
ス体のまま残存させる割合は、その用途により適宜設定
することができるが、特に、半導体用の熱遮蔽材、断熱
材としてより高い軽量性及び断熱性を確保するためには
セラミックス被覆石英ガラス体全体の50〜80体積%
とすることが好ましい。
【0031】上記セラミックス被覆石英ガラス体は、基
材に多孔質石英ガラス体を用いているため、SiC等の
セラミックス単独品より軽量で、断熱性能が高い。これ
らの性能をより高めるためには、多孔質石英ガラス体の
例として上述したシリカ質多孔体及びシリカガラス質発
泡体のうち、特に後者を用いることが好ましい。SiC
等のセラミックス層(膜)を形成することにより、多孔
質石英ガラス体の発塵を抑制することができる。特に、
表層が前記したようにCVD成膜されたセラミックス層
の場合には、高純度であり、不純物拡散抑止性も高い。
また、表層がSiC等の耐食性セラミックス質のため耐
薬品性が高く、部材全体を酸洗浄することが可能であ
る。なお、板状から円状、更に複雑な形状まで、基材が
加工可能である限り、任意の形状の部材を製作すること
ができる等、利点も有する。
【0032】本発明のセラミックス被覆石英ガラス体に
あっては、図2に示すように、任意の石英ガラス体4の
基材表面に多孔質石英ガラス層3を設け、この表面をS
iC等のセラミックス膜(層)を被覆したものであって
もよい。この態様のセラミックス被覆石英ガラス体は、
実質的に無気泡の透明または見掛密度2.0〜2.19
g/cm3 の不透明の石英ガラス基材4の表面に多孔質
石英ガラス層3を、例えば、融着等の手段により接合
し、この多孔質石英ガラス層3の表面に上記と同様にし
てSiC等のセラミックス層(1、2)を形成すること
によって得られる。
【0033】多孔質石英ガラス層は、前記した多孔質石
英ガラス体を融着等により接合したものであり、接合す
る多孔質石英ガラス層3の厚さは、部材の形状、用途等
に応じて適宜設定されるが、通常の板状体の場合1乃至
10mm程度の厚さに設定することが好ましい。前記多
孔質石英ガラス層の厚さが薄い場合には、接合された多
孔質石英ガラス層がセラミックス浸潤組織構造の内層部
分2となり、多孔質石英ガラスのみの層がなくなる。そ
のため、硬く、高強度には成るが、靭性やフレキシビリ
ティを若干欠く構造となる。
【0034】この態様のセラミックス被覆石英ガラス体
は、多孔質石英ガラス層が緩衝層となり、石英ガラス体
とSiC等のセラミックス被覆膜との間の熱膨張係数差
に起因する膜剥がれを防止でき、発塵を抑制できる。ま
た、石英ガラス体と多孔質石英ガラス層との接合は、例
えば融着等により容易に接合でき、両者の密着性も良好
であるため、全体として丈夫な積層構造部材となる。ま
た、セラミックス被覆石英ガラス体の表層がSiC等の
高純度セラミックスで被覆されている場合には、不純物
拡散抑止性に優れている。また、耐食性も高く、そのた
め部材全体を酸洗浄することもできる等数多くの利点も
有する。この態様のセラミックス被覆石英ガラス体は遮
熱性の高い高強度構造材として有用性が高い。
【0035】
【実施例】「実施例1」シリカガラス質発泡体(見掛密
度0.4g/cm3 、気泡径200〜800μm、平均
線膨張係数5.6×10-7/℃(25〜900℃)、熱
伝導率0.08kcal/mhK、純度分析値(pp
m):Na<0.2、K<0.2、Li<0.2、Mg
<0.2、Al<1、Cu<0.1)を保温板形状(直
径200mm×厚さ3mm)に加工し、この加工したシ
リカガラス質発泡体表面に、CVD炉中でSiC膜を6
0μm(但し、実質的にSiC単身から成る表層部分の
厚さ)形成した。なお、CVD膜成長処理条件は、炉内
温度;1230℃、流入ガス;SiCl 4 を2.7SL
M、C38 を0.9SLM、H2 を20SLM、処理
時間2.5hrsとした。膜形成後炉出しし、洗浄・乾
燥後そのまま保温板として使用した。この製品は、高い
断熱効果を示すと共に常温と約800℃間における80
回の繰り返し熱サイクル(使用期間2ヶ月、酸洗浄回数
7回)使用においても表層からの発塵が、ほとんど見ら
れなかった。
【0036】「実施例2」実施例1と同様のシリカ質多
孔体(見掛密度:1.85g/cm3 、気孔分布20〜
180μm)を保温筒形状に加工し、この保温筒形状の
シリカ質多孔体にCVD炉でSiC膜を100μm(但
し、実質的にSiC単身から成る表層部分の厚さ)を形
成した。炉出しし、洗浄・乾燥後そのまま保温筒として
使用した。表層の高純度SiC層が高純度雰囲気の使用
も可能にすると共に雰囲気ガスによる腐食に耐え、2ヶ
月以上の長期使用にもかかわらず表層からの発塵は、ほ
とんどなかった。また、該保温筒の使用中に表面にポリ
シリコン膜が付着し、HF+HNO3 洗浄液で10回洗
浄したが、実質的にエッチングによる消耗がなく、がた
つき等の不具合もなかった。
【0037】「実施例3」炉壁用板状の見掛密度2.1
0g/cm3 の不透明石英ガラス体を用意し(縦100
mm×横200mm×厚さ3mm)、この石英ガラス体
の全表面に厚さ10mmのシリカガラス質発泡体を融着
した(発泡石英材性状:密度0.8g/cm3 、気泡径
50〜200μm、平均線膨張係数5.6×10-7/℃
(25〜900℃)、熱伝導率0.08kcal/mh
K、純度分析値(ppm):Na<0.2、K<0.
2、Li<0.2、Mg<0.2、Al<1、Cu<
0.1)。上記シリカガラス質発泡体を表面に接合した
不透明石英ガラス体の該シリカガラス発泡体層(多孔質
石英ガラス層)の表面にCVD炉でSiC膜を300μ
mの厚さに形成し、処理後炉出しし、洗浄・乾燥後その
まま使用した。製品は不透明石英ガラス基材、多孔質石
英ガラス中間層、SiC表面層各層の層間密着性が良好
で、長期間使用にも表層剥離等を生ずることがなかっ
た。
【0038】「実施例4」反応管形状(外形308m
m、肉厚311mm、長さ350mm)の透明石英ガラ
ス体の全表面部に厚さ3mmのシリカガラス質発泡体
(実施例3と同じ性状のもの)を融着した。この反応管
の該シリカガラス質発泡体(多孔質石英ガラス層)表面
にCVD炉でSiC膜を100μm形成した。炉出し
し、洗浄乾燥後そのまま使用した。表層の高純度SiC
層が、高純度雰囲気下の使用も可能にすると共に雰囲気
ガスによる腐食に耐え、2ヶ月以上の長期使用が可能で
あった。また、該反応管を使用中に、HF+HNO3
浄液で10回洗浄したが、実質的にエッチングによる消
耗がなく、変形等の不都合もなかった。
【0039】
【発明の効果】本発明のセラミックス被覆石英ガラス体
によれば、加熱冷却等の熱サイクルを長期間にわたって
受けても、石英ガラスとセラミックス層(膜)との熱膨
張率差に起因して生ずるセラミックス層(膜)の剥離
や、亀裂の発生等を防止することができる。従って、本
発明のセラミックス被覆石英ガラス体を、過酷な加熱・
冷却熱サイクルをを受ける環境下で長期間使用しても、
劣化して部材表面から発塵することがなく、特に半導体
製造プロセス用部材として好適に使用できる。
【0040】また、本発明のセラミックス被覆石英ガラ
ス体の内、多孔質石英ガラス体にSiC等のセラミック
ス層を被覆した部材は、軽量で断熱性に優れているため
保温板や熱遮蔽板、保温筒等の断熱部材として好適であ
る。また、石英ガラス体に多孔質石英ガラス層を融着接
合し、この多孔質石英ガラス層表面にセラミックス層を
形成した態様の部材は、強靱性、耐食性及び耐摩耗性に
優れ、炉壁材や反応管、ウエハ載置、熱処理用のサセプ
タ、ランプ加熱装置用あるいは面状ヒータ加熱装置用の
各種部材等に好適に使用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、基材が多孔質石英ガラス体からなる態
様の本発明のセラミックス被覆石英ガラス体の組織構造
を模式的に示した断面図である。
【図2】図2は、石英ガラス体に多孔質石英ガラス層を
融着した表面に、セラミックス層を形成した態様の本発
明のセラミックス被覆石英ガラス体を模式的に示した図
であって、(a)はその斜視図、(b)はその部分拡大
断面図である。
【符号の説明】
1 SiC被覆層(膜)(表層部分) 2 SiC被覆層(膜)(内層部分) 3 多孔質石英ガラス体(多孔質石英ガラス層) 4 石英ガラス体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 稲葉 毅 山形県西置賜郡小国町大字小国町378番地 東芝セラミックス株式会社小国製造所内 (72)発明者 外谷 栄一 山形県西置賜郡小国町大字小国町378番地 東芝セラミックス株式会社小国製造所内 Fターム(参考) 4G059 AA16 AB09 AC17 AC18 EA11 EA12 EB01 4K030 AA03 AA17 BA37 CA06 FA10 JA10

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多孔質石英ガラス体の表面を、あるいは
    石英ガラス体に設けられた多孔質石英ガラス層の表面を
    セラミックス層で被覆したことを特徴とするセラミック
    ス被覆石英ガラス体。
  2. 【請求項2】 前記セラミックス層が炭化珪素または窒
    化珪素から成ることを特徴とする請求項1記載のセラミ
    ックス被覆石英ガラス体。
  3. 【請求項3】 前記セラミックス層が化学気相成長法に
    より形成されたセラミックス層であることを特徴とする
    請求項1または請求項2記載のセラミックス被覆石英ガ
    ラス体。
  4. 【請求項4】 前記セラミックス層が、実質的にセラミ
    ックス単身からなるガス不透過性の表層部分と、セラミ
    ックスが多孔質石英ガラス体あるいは多孔質石英ガラス
    層の微細気孔内に浸透したセラミックス浸潤組織構造を
    有する内層部分とから構成されていることを特徴とする
    請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のセラミックス
    被覆石英ガラス体。
  5. 【請求項5】 前記セラミックス層の表層部分の厚さが
    10乃至1000μmの範囲にあり、前記内層部分の厚
    さが500μm以上であることを特徴とする請求項4記
    載のセラミックス被覆石英ガラス体。
  6. 【請求項6】 前記石英ガラス体表面に設けられた多孔
    質石英ガラス層の厚さが1乃至10mmであることを特
    徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のセラ
    ミックス被覆石英ガラス体。
  7. 【請求項7】 前記多孔質石英ガラス体の密度、あるい
    は石英ガラス体表面に設けられた多孔質石英ガラス層の
    密度が0.1乃至1.95g/cm3 の範囲にあること
    を特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の
    セラミックス被覆石英ガラス体。
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