JP2001258595A - Gpt測定用試薬 - Google Patents
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Abstract
酸トランスアミナーゼ(GPT)測定用試薬を提供する
ことを目的とする。 【解決手段】 ピリドキサールリン酸の存在下、L−ア
ラニンとα−ケトグルタル酸にGPTを作用させて生成
するピルビン酸を、還元型ニコチンアミドアデニンジヌ
クレオチド(NADH)の共存下で乳酸脱水素酵素(L
DH)の作用により乳酸に変換し、このときのNADH
減少量に基づいてGPTを測定する2試薬系のGPT測
定用キットであって、第一試薬と第二試薬のいずれか
に、ピリドキサールリン酸、L−アラニン、α−ケトグ
ルタル酸、LDH及びNADHが必須成分として含有さ
れ、一方の試薬が、L−アラニンを含まずピリドキサー
ルリン酸を含有し、他方の試薬がピリドキサールリン酸
を含まずL−アラニンを含有するGPT測定用キット
を、調製することにより、長期間に亘って安定なGPT
測定用キットが得られる。
Description
トランスアミナーゼ(以下、GPTと略す)測定用試薬
に関する。より詳細には、長期間に亘って安定に保存す
ることが出来るGPT測定用の改良されたキットに関す
る。
細胞障害、なかでも心、肝疾患を検出するための鋭敏な
検査法として重要な項目となっており、古くから用いら
れている。GPTの測定法としては、分析機器の性能の
向上に従い、UV法といわれる方法が広く使用されてい
る。このUV法は、GPTの基質であるL−アラニンと
α−ケトグルタル酸に、GPTを作用させて生成される
ピルビン酸を、還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレ
オチド(以下、NADHと略す)の共存下に乳酸脱水素
酵素(以下、LDHと略す)を作用させて乳酸に変換
し、このときのNADHの減少量を波長340nm付近
で測定することによりGPTを測定する方法である。
ある。
定者間で測定値が異なり、その測定値の互換性がないた
め患者データの比較ができず、診断に支障をきたす恐れ
があるといった問題が発生し始めた。そこで各国におい
て、試薬濃度などが規定された勧告法と呼ばれる測定方
法が提唱されるようになった。国際的には、国際臨床化
学連合(IFCC)が、標準測定法として、ピリドキサ
ールリン酸の存在下にL−アラニンとα−ケトグルタル
酸にGPTを作用させるIFCC勧告法(IFCCScientif
ic Committee:Expert panel on Enzymes, IFCC method
for alanineaminotransferase, Clinica Chemica Act
a, 105, 147F-157F (1980))を提示し、また日本臨床化
学会(JSCC)も1989年に、ピリドキサールリン酸を
用いないでGPTを測定するJSCC勧告法を公表した
(日本臨床化学会:ヒト血清中酵素活性測定の勧告法−
アラニンアミノトランスフェラーゼ−(1989−08−3
0), 臨床化学, 18(4), 250-262 (1989))。
とを比較して示す。
ルリン酸は、ビタミンB6リン酸エステル化合物の一つ
であり、熱、光に不安定とされている。生体内では、ア
ミノ酸代謝にあずかる酵素(GPTなど)のリシンのε
−アミノ基とシッフ塩基を形成し結合して、補酵素とし
て働くもっとも重要な化合物である。GPTは補酵素と
結合した状態で酵素として働くが、何らかの原因で補酵
素の外れ去ったものをアポ型GPTという。一方、補酵
素の結合しているものはホロ型GPTという。従って、
ピリドキサールリン酸を試薬に添加することにより、ア
ポ型GPTが活性化されるため、ホロ型GPTと合わせ
て測定することができる。したがって、IFCC勧告法
ではアポ型、ホロ型GPTを共に測定することができる
が、JSCC勧告法では、ピリドキサールリン酸を添加
しないため、ホロ型GPTを主に測定している。
状化する技術が発展し、長期間安定性を有する液状試薬
を提供できるようになってきている。これに対して、ピ
リドキサールリン酸の存在下で、GPTを測定する試薬
では、ピリドキサールリン酸が不安定であるため、液状
化を達成できていない。例えば、ピリドキサールリン酸
を錠剤として添付し使用前に試薬で溶解するキットや、
凍結乾燥品とした試薬などが現在用いられている。IF
CC勧告法では、ピリドキサールリン酸水溶液を2週間
ごとに調製することになっている。また、溶液状態では
ピリドキサールリン酸特有の黄色に呈色しているが、安
定性の劣化と共に無色となってしまう。このように、G
PT測定系で使用するピリドキサールリン酸は、現状で
は溶液状態で長期間安定化させるのが困難であり、溶解
後数日程度しか安定性を有していない。本発明者らは、
こうした従来の問題点を解消すべく種々鋭意検討した結
果、液状試薬としての充分な保存安定性を有するGPT
測定試薬組成を見出した。本発明は、こうした知見に基
づくものである。
定用試薬の試薬組成を種々検討した結果、使用する酵素
や基質のうち、L−アラニンとピリドキサールリン酸を
共存させておいた場合に、保存中にピリドキサールリン
酸特有の黄色の呈色が失われ、測定値も低下するといっ
た安定性の低下が起こることを見出した。特に、2試薬
系で構成する場合には、一方の試薬は、L−アラニンを
含まず、ピリドキサールリン酸を含有し、他方の試薬
は、ピリドキサールリン酸を含まず、L−アラニンを含
有する、2試薬系のキットとすることで、安定な液状G
PT測定試薬を供給することが可能となった。従って、
本発明は、ピリドキサールリン酸の存在下、L−アラニ
ンとα−ケトグルタル酸にグルタミン酸ピルビン酸トラ
ンスアミナーゼ(GPT)を作用させて生成するピルビ
ン酸を、還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド
(NADH)の共存下で乳酸脱水素酵素(LDH)の作
用により乳酸に変換し、このときのNADH減少量に基
づいてGPTを測定するGPT測定用キットであって、 1)第一試薬と第二試薬からなる2試薬系のキットであ
り; 2)第一試薬と第二試薬のいずれかに、ピリドキサール
リン酸、L−アラニン、α−ケトグルタル酸、LDH及
びNADHが必須成分として含有され; 3)一方の試薬が、L−アラニンを含まずピリドキサー
ルリン酸を含有し、他方の試薬がピリドキサールリン酸
を含まずL−アラニンを含有する、GPT測定用キット
である。
本発明のGPT測定用キットは、一方の試薬は、L−ア
ラニンを含まず、ピリドキサールリン酸を含有し、他方
の試薬は、ピリドキサールリン酸を含まず、L−アラニ
ンを含有する、2つの試薬から構成される2試薬系の測
定用キットである。本発明のGPT測定用キットは、凍
結乾燥品の形態であってもよいが、液状の形態にした場
合であっても、長期間安定であり、ピリドキサールリン
酸特有の黄色も長期間維持される。
ルリン酸と共に、LDH及びNAPDHを必須成分とし
て含有する試薬を調製し、第二試薬として、L−アラニ
ンとα−ケトグルタル酸を必須成分として含有する試薬
を調製してキットとするのが好ましい。第一試薬に含有
させるLDHとその補酵素であるNADHは、GPTの
測定誤差の原因となる検体中のピルビン酸を消去できる
利点がある。
ン酸を含有する第一試薬のpHは、pH7〜10に調整
するのが好ましい。そして、第二試薬のpHおよび緩衝
液濃度を適当に調節し、第一試薬と混合してGPTの測
定の際に、GPT反応時のpHが7〜8、好ましくは
7.3付近となるように設定するのが好ましい。このよ
うにpHを調整した第一試薬と第二試薬を調製すること
により、各試薬中の構成成分を長期間安定に保存するこ
とができる。
にすることができれば、従来公知の緩衝液を適宜選択し
て使用することができる。具体的には、IFCC及びJ
SCC勧告法に使用されるトリス(ヒドロキシメチル)
アミノメタンやpH7〜10に緩衝能を持つ緩衝液であ
れば何ら問題なく使用することができる。また、複数の
緩衝液を組み合わせて第一試薬のpHをpH7〜10に
設定することもできる。第一試薬のpHは、前記したよ
うにpH7〜10、NADHの安定性を鑑み、pH8.
5〜9.0が特に好ましい。
を前記範囲内にすることができる公知の緩衝液を適宜選
択して使用することができる。具体的には、第一試薬と
同様にトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンなどが
使用できる。また、緩衝液のpHは特に規定されない
が、第一試薬と混合した際にpH7〜8付近となるよう
にpHおよび緩衝液濃度を設定するのが好ましい。
量は、通常0.01〜1mM、好ましくは0.1〜0.
3mMである。また、NADHは通常0.05〜5m
M、好ましくは、0.1〜1mMである。本発明に用い
られるLDHとしては、その由来は特に限定されない。
LDHの添加量としては、通常1000U以上を適宜選
択して使用すればよい。第二試薬に用いるL−アラニン
の添加量は、通常10〜2000mM、好ましくは、5
00〜1500mMである。また、α−ケトグルタル酸
の添加濃度は、通常1〜200mM、好ましくは、10
〜50mMである。これらの試薬の添加量は、第一試薬
と第二試薬の混合比によって変動するため、上記範囲外
であってもよい。
の他に、必要により、一般的に添加される成分である、
EDTA等のキレート化剤やアジ化ナトリウムなどの防
腐剤、各種界面活性化剤等を適宜添加することができ
る。
を用いて検体中のGPTを測定することによって、検体
中のGPTはピリドキサールリン酸の作用でアポ型GP
Tがホロ型GPTへと活性化される。そして、検体中に
存在しているホロ型GPTに、GPTの基質であるL−
アラニンとα−ケトグルタル酸を作用させると、グルタ
ミン酸とピルビン酸が生成される。ピルビン酸は、共役
酵素であるLDHにより、NADHを酸化して乳酸とN
ADになる。この反応で酸化されるNADHの減少量を
波長340nm付近の吸光度で測定することで、GPT
活性を求めることができる。
に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するもので
はない。 実施例1ピリドキサールリン酸のL−アラニンに対する安定性 ピリドキサールリン酸のL−アラニンに対する安定性を
検証した。36.6mMトリス(ヒドロキシメチル)ア
ミノメタン緩衝液(pH8.70)にピリドキサールリ
ン酸を0.125mM添加し、さらにLDH、β−NA
DH、界面活性剤を添加した試薬に、L−アラニンを2
00mM又は400mM添加後、pHを4N−NaOH
にてpH8.70に再調整した第一試薬と、対照として
L−アラニンを添加しない第一試薬を調製した。第二試
薬は、366mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメ
タン緩衝液(pH4.00)に、L−アラニン、α−ケ
トグルタル酸及び界面活性剤を添加し、2N−HClに
てpHを調整した。試薬組成は下記に記した。
置を用い、試料として血清または生理食塩水10μLに
対し第一試薬300μL、第二試薬75μLを反応さ
せ、主波長340nm、副波長405nmとし、該分析
装置の機能で30〜50測光ポイント間(R2添加後1分
後から5分後に相当)において吸光度変化率を追跡し
た。試料中のGPTの活性値は下記式より算出した。
/ε×(V/v)×106 ΔE/min:1分間あたりの吸光度変化率 ε:モル分子吸光係数(NADHの場合、6.22×1
03L/mol・cm) V:全反応液量(試料+第一試薬+第二試薬) v:試料液量
日のコントロール血清の測定値を100%として、第一
試薬を4℃および37℃保存し、測定値の変化率を算出
した。結果を表2に示す。ピリドキサールリン酸の呈色
の変化としても確認した。結果を表3に示す。
当日と比較した相対活性として示した表である。表2に
示されるように、37℃保存では、L−アラニンを第一
試薬に添加し、ピリドキサールリン酸と共存させておい
た場合、コントロール血清の測定値が測定日ごとに低下
していき、試薬の安定性が失われていることが分かる。
しかし、L−アラニン無添加の試薬では37℃保存にお
いても、ほとんど測定値に変化は見られず試薬が安定性
を保っていることがわかる。
「+」は淡黄色、「−」は無色を表す。表3からも同様
に、濃度に関わらずL−アラニンが試薬中に存在する場
合には、呈色が失われ無色となってしまい、ピリドキサ
ールリン酸が変化してしまったものと推測できる。しか
しながら、L−アラニンを含まない試薬では、呈色も維
持し続けた。即ち、ピリドキサールリン酸の安定性が、
L−アラニンによって失われることは明らかであり、L
−アラニンを含まず、ピリドキサールリン酸を含有する
試薬が安定性において優れていることがわかる。
した。100mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメ
タン緩衝液にピリドキサールリン酸を0.205mM添
加し、さらにLDH、β−NADH、塩化ナトリウム、
界面活性剤を添加した試薬のpHを4N−NaOHおよ
び2N−HClにてpH7〜10に調整した第一試薬
と、105mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタ
ン緩衝液(pH4.20)にL−アラニンおよびα−ケ
トグルタル酸、界面活性剤を添加し、2N−HClにて
pHを調整した第二試薬を調製した。試薬組成は下記に
記した。
置を用い、試料として血清または生理食塩水10μLに
対し第一試薬200μL、第二試薬200μLを反応さ
せ、主波長340nm、副波長405nmとし、該分析
装置の機能で30〜50測光ポイント間(R2添加後1分
後から5分後に相当)において吸光度変化率を追跡し
た。GPT活性値は、実施例1と同様に求めた。
の安定性は、保存当日のコントロール血清の測定値を1
00%として、第一試薬を37℃保存し、測定値の変化
率を算出した。結果を表4に示す。また、ピリドキサー
ルリン酸の呈色の変化としても確認した。結果を表5に
示す。
当日と比較した相対活性として示した表である。表4に
示されるように、pH7〜10、特にpH7〜9ではコ
ントロール血清の測定値も変わらず、安定であることが
示される。
「+」は淡黄色、「−」は無色を表す。pH7〜10、
特にpH7〜9とした第一試薬では、呈色は維持し続け
た。即ち、ピリドキサールリン酸の安定性が、特にpH
7〜9において保持されることがわかる。
試薬は自動分析装置への適用に即し、しかも液状試薬と
して供することが可能となり、操作性および安定性が格
段に向上したものである。すなわち、本発明の方法によ
り、従来不可能であった液状でのピリドキサールリン酸
の安定性を図ることが可能となり、長期間にわたって使
用可能な試薬を供給できるようになった。
Claims (4)
- 【請求項1】 ピリドキサールリン酸の存在下、L−ア
ラニンとα−ケトグルタル酸にグルタミン酸ピルビン酸
トランスアミナーゼ(GPT)を作用させて生成するピ
ルビン酸を、還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオ
チド(NADH)の共存下で乳酸脱水素酵素(LDH)
の作用により乳酸に変換し、このときのNADH減少量
に基づいてGPTを測定するGPT測定用キットであっ
て、 1)第一試薬と第二試薬からなる2試薬系のキットであ
り; 2)第一試薬と第二試薬のいずれかに、ピリドキサール
リン酸、L−アラニン、α−ケトグルタル酸、LDH及
びNADHが必須成分として含有され; 3)一方の試薬が、L−アラニンを含まずピリドキサー
ルリン酸を含有し、他方の試薬がピリドキサールリン酸
を含まずL−アラニンを含有する、 GPT測定用キット。 - 【請求項2】 第一試薬と第二試薬とが液状である、請
求項1記載のGPT測定用キット。 - 【請求項3】 一方の試薬が、ピリドキサールリン酸、
LDH及びNADHを必須成分として含み、他方の試薬
が、L−アラニン及びα−ケトグルタル酸を必須成分と
して含む、請求項1又は2記載のGPT測定用キット。 - 【請求項4】 第一試薬が、ピリドキサールリン酸、L
DH及びNADHを必須成分として含み、かつpHが7
〜10であり、第二試薬が、L−アラニン及びα−ケト
グルタル酸を必須成分として含む、請求項1〜3のいず
れかに記載のGPT測定用キット。
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